JP5810348B2 - アスベスト含有建材の加熱処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、アスベスト含有建材を過熱蒸気雰囲気で加熱し、その建材に含まれるアスベストを無害化する加熱処理システムに関する。
アスベスト(石綿)は、軽量で、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、安価であることから、これまで、建設資材、電気製品、自動車、家庭用品等の様々な用途に広く使用されてきた。
このアスベストの繊維は、空中に飛散しやすく、それが肺へ吸引されると、肺癌や中皮種等の病気を引き起こすことから、現在では、アスベストを全重量の0.1%を超えて含有する製品の出荷は、原則禁止されている。また、使用済みのアスベスト含有建材等の処理では、その建材中に含まれるアスベストを全重量の0.1%以下になるまで無害化することが求められている。
そこで、アスベストを無害化するためのいくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1に記載の技術では、アスベストを、カルシウムまたはカルシウム化合物の存在下に、水を加えてペースト状になるよう水分調整をした後、500℃〜800℃に加熱して、アスベスト結晶を破壊して無害化している。詳細には、カルシウムまたはカルシウム化合物の添加により針状結晶を壊す温度を低下させながら、水分過多の状態にあるアスベストの針状結晶を、水分沸騰による撹拌および混合と、蒸発した高圧の過熱水蒸気による打撃とにより物理的に粉砕し、無害化している。
また、特許文献2に記載の技術では、蒟蒻水和物を使用し、この蒟蒻水和物のゲル化物およびアスベストに加えてセメント材またはアルカリ化合物を含有してなるアスベスト回収物を加熱炉内で加熱し、水分を蒸発させ、次いで、セメント材またはアルカリ化合物存在下でアスベストを熱処理して無害化している。この技術では、加熱炉内を100℃〜150℃の温度にして水分を蒸発させ、その後、600℃〜900℃の温度にして加熱処理している。
上述した技術では、カルシウムまたはカルシウム化合物、蒟蒻水和物およびセメント材またはアルカリ化合物が必要とされ、無害化した後に再利用することを考慮すれば、これらを出来るだけ含まない無害化処理技術が望ましい。そこで、特許文献3に記載の技術を採用することができる。この技術は、アスベストまたはアスベスト含有物質に、過熱蒸気を連続的または間欠的に供給して所定温度に加熱し、過熱蒸気の雰囲気下で所定時間保持することにより、アスベスト中の結晶水を脱水させて無害化する技術である。なお、加熱する温度は、700℃〜1100℃とされ、その温度を保持する時間は、30分〜90分程度とされている。
この技術を実現するために、アスベスト含有廃棄物を過熱蒸気雰囲気下で加熱処理するための装置も提案されている(特許文献4参照)。この装置は、粉砕していないアスベスト含有廃棄物を搬送容器に載せ、搬送容器ごと収容し、密閉して所定温度に加熱し、過熱蒸気を受け入れて過熱蒸気雰囲気とすることができる加熱炉と、過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置とを備える構成とされている。また、この装置は、加熱処理後に粉砕するための粉砕装置と、粉砕物を焼成するための焼成装置とをさらに備えることができるものとされている。
特開2008−272570号公報 特開2008−272558号公報 特開2008−272568号公報 特開2009−072709号公報
上記装置では、アスベスト含有廃棄物を加熱するために電気ヒータを用いている。電気ヒータで加熱炉内を950℃〜1100℃に加熱するには、相当の電力コストがかかる。また、上記装置では、ボード状のアスベスト含有廃棄物を、スペーサを介して離間させて搬送容器内に設置するため、表面と裏面の両方から熱を与えることができるが、その設置中にアスベストの繊維を吸い込んだり、その設置に手間がかかるといった問題があり、スペーサも大量に必要となる。
また、上記装置は、複数のアスベスト含有廃棄物を連続して加熱器内へ搬入し、搬送装置により搬送しつつ加熱し、無害化して、加熱器外へ送出されるため、連続処理を可能にするものであるが、受入口が開いた状態とされ、常温のアスベスト含有廃棄物が連続的に搬入されることから、加熱器内の温度が大きく低下し、加熱器内の温度を一定温度に保持することが難しい。加熱器内の温度が大きく低下すると、アスベスト含有廃棄物を所定温度にまで加熱するために、電気ヒータの消費電力がさらに増加し、電力コストがかかるといった問題があった。
そこで、アスベスト含有建材の搬送容器内への設置に手間をかけることなく、また、処理コストを低減させることができる装置の提供が望まれていた。
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、複数のアスベスト建材を単に積み重ねたものを収容し、底板および側板がメッシュ構造とされた容器と、容器を搬入するための入口と容器を搬出するための出口と過熱蒸気を受け入れるための蒸気受入口とを有し、入口および出口に開閉可能な扉と、容器を載置するとともに水平方向へ移動させることが可能な搬送手段とを備える加熱炉と、加熱炉内の天井部と搬送手段の下部とに配設されるチューブとそのチューブ内に挿設され燃料と空気とを噴射して燃焼させるための噴射ノズルとを有する加熱手段とを含む構成を採用し、入口の扉を開き、複数のアスベスト建材を収容した容器を、搬送手段を利用して加熱炉内へ搬入し、搬送手段上のほぼ中央の位置に配置し、その入口の扉を閉じて加熱手段により加熱するとともに、過熱蒸気を受け入れ、過熱蒸気雰囲気の下、加熱炉内を約1000℃まで加熱し、その後、約5分間保持することにより、アスベスト含有建材の内部温度を約950℃まで上昇させて、アスベスト中の結晶水を充分に脱水して無害化することができることを見出した。
この加熱手段は、燃料として重油や都市ガス等を使用するが、電気ヒータに比較してコストを約1/3に抑制することができる。また、入口と出口の扉を閉めて約1000℃まで昇温し、その温度で約5分間保持するバッチ処理のため、炉内の温度がその間、低下することがない。加熱炉内への容器の出し入れは10分程度であるため、一度約1000℃まで昇温した炉内の温度は大きく低下することはなく、次に昇温する際、短時間かつ少ないエネルギーで約1000℃まで昇温することができる。本発明は、これらのことを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、上記構成のアスベスト含有建材の加熱処理システムを提供することにより解決することができる。
搬送手段は、一定間隔で回転可能に配設した複数のローラと、各ローラを回転させるための動力手段とを含んで構成することができる。この場合、容器は、複数のローラ上に載置され、容器下の複数のローラが回転することで、容器を入口から出口へ向けて容易に移動させることができ、また、複数のローラの回転を制御することにより、加熱炉内の任意の位置に配置することが可能である。
また、このシステムは、加熱炉外に、入口を通して加熱炉内へ容器を搬入し、搬送手段上へ容器を載置する、搬送手段と同様の構成を採用する容器搬入手段と、搬送手段上に載置された容器を、加熱炉の前記出口を通して搬出する、搬送手段と同様の構成を採用する容器搬出手段とをさらに含むことができる。これにより、高温の加熱炉内に接近することなく、自動で容器を加熱炉内に搬入し、加熱炉から搬出することができる。
このシステムは、加熱炉へ過熱蒸気を供給するために、過熱蒸気生成装置を備える。この過熱蒸気生成装置は、水を貯留する貯水タンクと、水を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生手段と、貯水タンクから蒸気発生手段へ水を供給する給水手段と、蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する蒸気加熱手段とを含む。
また、このシステムは、加熱炉から搬出した容器内の無害化された建材を冷却した後、その建材を破砕する破砕機をさらに備えることができる。なお、破砕された建材は、セメントの原料、地盤改良材や凝集剤等として再利用することが可能である。
破砕機は、粉塵の発生を防止するために水を噴霧しつつ破砕することができ、破砕は、約40mm以下となるように行うことができる。破砕後の建材は、再利用するに際して、建材の種類ごとにストックすることができる。
さらに、加熱炉から排出されるガスを過熱蒸気と反応させる反応装置をさらに備えることができる。これにより、塗料等が揮発して生成された有害なガスが、大気中へそのまま排出されることはなく、無害なガスへと変換される。
本発明のアスベスト含有建材の加熱処理システムを提供することにより、処理コストを大幅に削減することができ、容器内へアスベスト含有建材を設置する手間もなくすことができる。
また、比較的低温で、かつ短時間の加熱で無害化することができ、さらには過熱蒸気雰囲気の下で加熱するため、建材表面に付着した塗料等が燃焼を起こすのを防止して揮発させることができることから、安全性や信頼性を充分に担保することができる。
また、無害化した建材を再利用することができるので、廃棄コストを削減することができ、加熱炉から排出されるガスも処理することができるので、大気を汚染することもない。
本発明のアスベスト含有建材の加熱処理システムの構成例を示した正面図。 容器の一例を示した断面図。 加熱処理システムの平面図。 過熱蒸気生成装置の構成例を示した図。 複数の加熱炉が設置された工場のレイアウト図。
本発明のアスベスト含有建材の加熱処理システムについて説明する前に、アスベストおよびアスベスト含有建材について、また、それらを過熱蒸気雰囲気の下、加熱した場合の効果について説明する。
アスベストは、天然に存在するケイ酸塩水和物の鉱物繊維であり、蛇紋石系のクリソタイル、角閃石系のクロシドライト、アモサイトがある。アスベストは、結晶水を含み、高温で加熱することによりこの結晶水が脱水する。ここで、アスベストに含まれる結晶水が脱水する際の化学式を、クリソタイルについて式1に、アモサイトについて式2に、クロシドライトについて式3にそれぞれ示す。
上記式1〜3で示されるように、クリソタイルおよびアモサイトは、脱水して、無害のフォルステライト(MgSiO)へ変化し、クロシドライトは、脱水して、無害のケイ酸ナトリウム(NaSiO)へ変化する。このことから、高温で加熱することにより、アスベストを無害化することができる。
このアスベストを含有する建材には、発塵量が著しく多い、あるいは発塵しやすい飛散性アスベスト含有建材と、発塵性が比較的低い非飛散性アスベスト含有建材とがある。前者の飛散性アスベスト含有建材には、アスベスト吹付材、アスベストを含有する保温材、断熱材、耐火被覆材等がある。後者の非飛散性アスベスト含有建材には、住宅屋根用化粧スレート等の成形板がある。
次に、過熱蒸気について説明する。過熱蒸気は、空気の2倍の比熱を有し、空気より対流伝熱効果が大きく、かつ熱放射による伝熱効果が得られるため、空気中で加熱するよりも低温かつ短時間で必要な熱量を被加熱物に与えることができる。
実際に、吹付材や住宅屋根用化粧スレート等のアスベスト含有建材を、過熱蒸気雰囲気の下、約950℃〜約1100℃の温度で加熱し、その温度に一定時間保持し、その後、定性分析および定量分析を行うと、アスベスト含有建材に含まれるクリソタイルが完全に消失していることが確認された。これは、アスベスト含有建材を単に複数積み重ねたものであっても同様で、過熱蒸気雰囲気の下では、その内部にまで熱が充分に伝わり、アスベストの結晶水を脱水させ、クリソタイルを完全に消失させた。
このため、スペーサ等を介してアスベスト含有建材を設置する必要はなく、単に積み重ねて設置するだけでも無害化できることが見出された。
しかしながら、積み重ねる枚数が多くなるほど、内部へ熱を伝えるために時間がかかることから、適切な枚数とすることが望ましい。過熱蒸気雰囲気の下、内部温度を約1000℃にして約5分間保持することにより無害化するためには、建材を積み重ねたときの厚さを約30cm以下にすることが望ましい。建材は、一般に、1枚当たりの厚さが約5.5mmであり、その積み重ねる枚数は10枚〜15枚程度が好ましい。
図1〜図3を参照して、本発明のアスベスト含有建材の加熱処理システムを詳細に説明する。この加熱処理システムは、所定の枚数のアスベスト含有建材1を収容する容器10と、容器10を収容し、容器10内のアスベスト含有建材1を過熱蒸気雰囲気の下で加熱する加熱炉20とを備える。
容器10は、図2に示すように、複数のアスベスト含有建材1を単に積み重ねたものを収容する底板11と側板12とから構成される。底板11と側板12は、略菱形の多数の穴が形成された網目構造であるメッシュ構造とされる。
底板11および側板12は、メッシュ構造の金属またはセラミック製のプレートからなり、金属であればエキスパンドメタルを採用することができる。容器10は、約950℃〜約1100℃に加熱された空気および過熱蒸気が存在する雰囲気下に置かれるため、それに耐えうる材料により作製される。熱は、多数の穴を通して上記温度に加熱された空気および過熱蒸気と、収容されたアスベスト含有建材1とが接触することにより伝えられる。
熱伝導率が高い金属材料で作製される場合、その金属材料を介してアスベスト含有建材1へ熱を伝えることも可能である。アスベスト含有建材1は、その表面に塗料等が付着している場合があり、加熱時にその塗料が燃焼するのを防止するために、過熱蒸気雰囲気にしなければならない。また、充分に過熱蒸気を行き渡らせるためには、複数の穴が形成された底板11および側板12である必要があるが、上記のように、多数の穴が形成されたメッシュ構造であることが望ましい。金属材料としては、ステンレス鋼を挙げることができ、そのほか、耐熱性を高めた、ニッケルを主成分とし、クロム、鉄、炭素を含むハステロイ(登録商標)等を挙げることができる。
容器10の形状および大きさは、アスベスト含有建材1のサイズにより決定することができ、アスベスト含有建材1が矩形の板である場合、底板11を矩形とし、アスベスト含有建材1より大きいサイズとされ、その底板11の4つの辺に連続して4つの側板12が地面に対して垂直な鉛直方向へ延びるように設けられる。アスベスト含有建材1が、幅0.9m、奥行きとなる長さが1.8mであれば、容器10の幅を1m、奥行き2mとし、アスベスト含有建材1を積み重ねた全体厚さが、30cm以下であることから、側板12の鉛直方向へ延びる長さは、アスベスト含有建材1が容器10からすべり落ちないように30cmを超える長さとすることができる。
アスベスト含有建材1を積み重ねた後、紐状物で結び、建材を緊結する場合は、アスベスト含有建材1がすべり落ちることはなく、上記の30cmより短い長さであってもよい。紐状物は、加熱により容易に揮発して消失するプラスチック材料から製造することができる。プラスチック材料としては、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン等を挙げることができる。
加熱炉20は、図1および図3に示すように、内部に容器10を収容することができるように中空とされ、容器10を搬入するための入口21と、容器10を搬出するための出口22と、過熱蒸気を受け入れる図示しない蒸気受入口とを備える。
入口21および出口22には、開閉可能な扉23、24が設けられる。扉23、24は、スライドすることにより開閉可能とされるスライド式ゲートや昇降式ゲート等を採用することができる。スライド式ゲートは、入口21および出口22の開口部分を覆うための板状の扉体と、扉体の下部に設けられる嵌合溝および嵌合溝内に配設された車輪とから構成され、嵌合溝は、レールと嵌合し、車輪が回転することにより扉体を一方へスライドさせてその開口部分を閉じることができ、他方へスライドさせることによりその開口部分を開くことができる。
昇降式ゲートである場合、入口21および出口22の開口部分を覆うための板状の扉体と、扉体が軌道に沿って昇降するように扉体の一部と嵌合するガイドレールと、扉体とガイドレールとの間の摩擦や振動を低減するために設けられるガイドローラまたはガイドシューと、扉体を吊り下げ、巻き上げられることにより扉体を上昇させるワイヤロープと、ワイヤロープを巻き上げる巻上機とを含んで構成することができる。これらのゲートの構成は一例であるので、これまでに知られた他の構成を採用することもできるものである。扉23、24も、容器10と同様、上記の耐熱性の金属またはセラミック材料で作製することができ、必要に応じて断熱材を取り付けることができる。
また、入口21および出口22には、その開口部分を覆い、容器10の搬入または搬出の際、容器10と接触して容器10の左右に押し広げられ、または容器10上へ押し上げられて開口する簾状物を設けることができ、これにより、容器10の搬入または搬出時における容器10内の温度低下を最小限に抑えることができる。
蒸気受入口は、配管を介して図示しない過熱蒸気生成装置に接続され、過熱蒸気生成装置から過熱蒸気を受け入れる。過熱蒸気生成装置は、例えば図4に示すように、水を貯留する貯水タンク30と、水を蒸発させ、蒸気を発生させるボイラ31と、貯水タンク30からボイラ31へ水を給水する給水ポンプ32と、ボイラ31で発生した蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する蒸気加熱機33とから構成されるものを採用することができる。
貯水タンク30は、所定量の水を収容することができるFRPや炭素鋼等から作製された所定容量の容器とされ、給水ポンプ32は、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、往復ポンプ等を使用することができる。また、ボイラ31は、バーナーや電気ヒータを使用して水を加熱し、蒸発させることにより蒸気を発生させるものを採用することができる。
蒸気加熱機33は、上記のバーナーを使用するもののほか、電磁誘導加熱によるものであってもよい。電磁誘導加熱は、コイルに強い電流を流して強力な磁場を発生させ、その上に電気を通しやすい鉄やステンレス鋼等の金属を置き、電磁誘導により渦電流を発生させ、その抵抗により金属が発熱するという原理を利用した加熱方法である。したがって、この電磁誘導加熱を利用した蒸気加熱機としては、鉄またはステンレス鋼等で作製された円筒管の外周に導線を巻いたものを用いることができる。
なお、ボイラ31から蒸気加熱機33への配管および蒸気加熱機33から加熱炉20への配管は、内部を流れる蒸気および過熱蒸気の温度が低下しないように断熱材が巻かれる。
再び図1および図3を参照して、加熱炉20は、容器10を載置するとともに水平方向へ移動させることが可能な搬送手段25を内部に備える。搬送手段25は、一定間隔で回転可能に配設した複数のローラ26と、各ローラ26を回転させるための動力手段27とを含んで構成することができる。これら複数のローラ26は、L字鋼、T字鋼やI形鋼等を連結させて組み立てられた架台28上に設置される。動力手段27は、回転モータ等であり、熱に弱いことから加熱炉20の外表面に断熱材を介して配設される。
この搬送手段25としては、親子方式の横方向搬送機であるトラバーサを採用することができる。このトラバーサは、親の架台がレール上を走行し、子の台車が親より独立して親の走行方向とは垂直な方向に搬送物を載せて移動させることができるように構成されているものである。
容器10は、動力手段27により回転される複数のローラ26によって、それら複数のローラ26上を搬送され、容器10内に収容されたアスベスト含有建材1を加熱するために、それら複数のローラ26のうち中央部分にあるローラ上で停止される。容器10の搬送および停止は、動力手段27により複数のローラ26の回転を制御することにより行うことができ、この制御により、加熱炉20内の複数のローラ26上の任意の位置に配置することができる。
また、加熱炉20は、レンガやセラミック等の熱伝導率が低く、耐熱性を有する材料で作製される。加熱炉20の内表面または外表面には、必要に応じて断熱材を取り付け、外部へ熱を放散させないようにすることができる。
加熱炉20内に容器10を搬入した際、天井部と複数のローラ26の下側部分に空間を生じ、その他にはほとんど空間が生じないように加熱炉20が作製される。空間を生じた天井部と複数のローラ26の下側部分には、加熱手段としてのラジエントチューブバーナー29が配設され、炉内を加熱することができるようにされる。
ラジエントチューブバーナー29は、U字型やW字型のチューブを通して間接的に加熱炉20内に熱を伝えるバーナーであり、そのチューブと、そのチューブ内に挿設され燃料と空気とを噴射して燃焼させるための噴射ノズルと、火花を飛ばして着火させる点火プラグとを備えている。燃料としては、重油、軽油、ナフサ、プロパンガス、都市ガス等を使用することができ、燃料の種類および量に対し、適切な量の空気が供給される。
ラジエントチューブバーナー29は、U字型のように、1つの曲がり部を備えるチューブに限られるものではなく、伝熱面積を増大させるため、W字型のように、3つの曲がり部を備えるチューブとすることができる。なお、この曲がり部は、2つや4つ以上であってもよく、図3では曲がり部を5つ備えるものが使用されている。チューブの径は、いかなる径であってもよいが、大きくなれば、加熱炉20の天井部および複数のローラ26の下側部分の空間を大きくとる必要があり、その結果、加熱炉20のサイズが大きくなり、所定の温度にまで加熱するのに、より多くの燃料が必要となる。このことを考慮し、最適な径を適宜決定することができる。
複数のローラ26の下側部分の空間は、ラジエントチューブバーナー29を配設する大きさより大きく形成し、挿入および引き出し可能な大きさに形成することができる。これにより、定期的に引き出して補修することが可能となる。
加熱炉20の内部の空間は、容器10およびラジエントチューブバーナー29を配置することができる最小限の容積であることが望ましい。これは、加熱に必要とされる燃料、空気、過熱蒸気の量を抑制するとともに、アスベスト含有建材1の内部温度を迅速に所望の温度へ到達させることができるからである。
加熱炉20内の温度は、上述したように、約950℃〜約1100℃とする。内部の圧力は、外部の圧力である常圧より低い負圧であることが好ましい。このために、適宜、ブロワにより内部の空気および過熱蒸気を吸引することができる。例えば、内部の圧力は、約100Pa〜約1000Pa程度の微負圧にすることができ、好ましくは約500Paの微負圧にすることができる。内部の圧力が微負圧であれば、外部へ高温の空気や過熱蒸気が漏洩するのを確実に抑制することができ、外部にいる作業員等の安全性も担保することができるからである。
加熱炉20の外に、入口21の扉23を開いて加熱炉20内へ容器10を搬入し、加熱炉20内の複数のローラ26上へその容器10を載置する容器搬入手段40と、出口22の扉24を開いて複数のローラ26上に載置された容器10を降ろし、加熱炉20内から容器10を搬出する容器搬出手段50とを備えることができる。
容器搬入手段40も、容器搬出手段50も、搬送手段25と同様、架台41、51、複数のローラ42、52、動力手段43、53から構成することができる。これらの手段は、さらに、レール上を走行可能にする車輪44、54を備えることができる。このように車輪44、54を備えることで、レール上を走行することができ、人が加熱炉20に接近することなく、車輪44により走行させて容器10を加熱炉20のところまで移動させ、加熱炉20内に容器10を搬入し、加熱炉20内の所定位置に容器10を配置し、加熱後は、加熱炉20内から容器10を搬出し、所定時間自然冷却した後、車輪54により走行させて複数の加熱炉20が設置されている建屋内からその屋外へ搬出することができる。
これらの操作は、遠隔操作により行うことができ、監視室に、容器搬入手段40、容器搬出手段50、搬送手段25の制御、加熱炉20の扉23、24の開閉を行うためのコンピュータを設置し、そのコンピュータから各手段へ指示を送ることで、各手段25、40、50が所定の動作を実行することができる。制御信号は、有線通信により行うこともできるが、加熱炉20内が高温であり、この加熱炉20が複数設置されている建屋内も温度が高いことから、無線通信により行うことが安全上好ましい。
コンピュータは、各手段25、40、50の動作制御を行い、加熱炉20の扉23、24の開閉を行う処理を実現するためのソフトウェアを記憶するメモリやHDD等の記憶装置と、その記憶装置からそのソフトウェアを読み出して実行するプロセッサと、有線または無線通信を行うための通信インタフェースとを含んで構成される。その他、データや指示を入力するためのキーボード、タッチパネル、ディスプレイ等の入力装置や表示装置をさらに含むことができる。
ここで、上記に説明したアスベスト含有建材1の加熱処理システムを使用して、アスベスト含有建材1を無害化する加熱処理について詳細に説明する。アスベスト含有建材1は、その加熱処理システムが設置されている工場まで搬送されるが、例えば、幅1m、奥行き2m、高さ0.5mのフレコンパックに複数枚積み込んで荷造りし、フレコンパックごと搬送することができる。工場へ運ばれると、X線断層撮影機を使用して、爆発する可能性のある荷を検査し、その荷が検出された場合、人力で取り除く。検出されなかった荷は、建材の種類ごとに仮置きする。このように建材の種類ごとに分けるのは、加熱処理の処理条件が異なるからである。すなわち、アスベスト含有量が多い建材は、加熱時間を長くする必要がある一方、その含有量が少ない建材は、加熱時間が少なくて済むからである。
種類ごとに分けられた建材は、加熱処理を開始する時間になったところで、フレコンパックから容器10へ移される。容器10は、複数の加熱炉20が設置されている建物の外で、容器搬入手段40上にフォークリフト等を使用して載置し、その後、容器搬入手段40がレール上を走行して建屋内へ入り、所定の加熱炉20の前で停止される。この容器搬入手段40の移動は、監視室から遠隔操作により行うことができる。加熱処理をこれから開始する場合、加熱炉20内の温度はまだ常温である。加熱炉20の出口22が閉じられていない場合は、出口22を扉24により閉じ、図1に示す加熱炉20の外部の容器搬入手段40上にある容器10を、その容器搬入手段40が備える複数のローラ42の回転により入口21を通して搬入することにより、加熱炉20内へ容器10を搬入する。また、加熱炉20内では、搬送手段25が備える複数のローラ26の回転により、これら複数のローラ26上の任意の位置へ移動させる。この任意の位置は、一般的に加熱炉20内のほぼ中央位置である。
ラジエントチューブバーナー29への着火前に、貯水タンク30の水を給水ポンプ32によりボイラ31へ送り、ボイラ31で蒸気を発生させ、蒸気加熱機33により所定温度にまで加熱し、いつでも過熱蒸気を加熱炉20内へ供給することができるようにしておく。過熱蒸気の温度は、この段階において約950℃〜約1100℃の温度にする必要はなく、100℃を超えていればよい。
加熱炉20の入口21を扉23により閉じ、ラジエントチューブバーナー29の噴射ノズルへ空気および燃料の供給を始め、点火プラグにより火花を飛ばし、着火させる。ラジエントチューブバーナー29の噴射ノズルへの空気量および燃料量を増加させ、高温の排ガス量が増加すると、チューブの管壁を介してラジエントチューブバーナー29の周りの空気が加熱される。
加熱炉20内の温度が100℃に達する前、例えば90℃を超えた段階で過熱蒸気を受け入れることができる。これは、100℃に達すると、アスベスト含有建材1に付着した塗料等が燃焼を起こす可能性があり、その前に過熱蒸気を供給し、その燃焼を防止するためである。なお、過熱蒸気の供給は、内部の圧力が外部の圧力より高くならないように管理しながら行う。
このようにして加熱炉20内の温度を所定時間かけて上昇させていき、約950℃〜約1100℃になったところで、約5分間その温度で保持し、その後、出口22を開き、複数のローラ26を回転させ、迅速に容器10を加熱炉20外へ搬出する。加熱炉20内の温度を、例えば、約1000℃に加熱する場合、約45分かけて昇温することができ、昇温後は、約1000℃の温度で約5分間保持することができる。
容器10内に収容されたアスベスト含有建材1は、加熱が開始されると、加熱された空気および過熱蒸気と接触し、その温度が急激に上昇する。加熱炉20内の温度は、ラジエントチューブバーナー29により加熱を継続しているため、上記の約950℃〜約1100℃の温度へ上昇する。
所定時間をかけて上記の温度へ加熱する間、アスベスト含有建材1に含まれるアスベストは、結晶水がとれて脱水し、無害のフォルステライトやケイ酸ナトリウムへ変化する。上記の温度へ達し、その温度で約5分間保持された後には、内部のアスベストまで熱が伝わっており、すべてのアスベストが無害化する。このため、上記の温度で約5分保持された後、出口22を開き、その無害化した処理済み建材を取り出すことができる。
実際に、約45分かけて加熱炉20内を約1000℃に加熱すると、加熱炉20内の温度は、加熱初期において急激に上昇し、約600℃〜約800℃を過ぎたあたりから緩やかに上昇した。加熱炉20内が約1000℃に到達したとき、複数枚を積み重ねたアスベスト含有建材1の中央部分にあるアスベスト含有建材の内部温度が約950℃に到達した。その温度で約5分保持し、加熱炉20から取り出し、自然冷却後、アスベスト繊維の本数を透過型電子顕微鏡(TEM)で10000倍に拡大して確認すると、アスベスト1g中の繊維本数200万本以下という無害化の基準を大幅に下回る本数であることが確認できた。これは、加熱炉20内の温度を約950℃に加熱し、アスベスト含有建材1の内部温度が約900℃の場合であっても、上記基準を満たすものであった。
無害化した処理済み建材の取り出しは、搬送手段25が備える複数のローラ26を回転させることにより、容器10を、出口22を介して容器搬出手段50上へ移動させ、容器搬出手段50が備える複数のローラ52を回転させ、複数のローラ52上の任意の位置へ移動させることにより行うことができる。任意の位置は、一般に、容器搬出手段50上から容器10が容易に落下しない複数のローラ52上の中央位置である。
取り出した後、再び入口21を開き、次の未処理のアスベスト含有建材1を収容した容器10を搬入することができる。このため、容器搬入手段40は、容器10を加熱炉20内へ搬入した後、レール上を走行し、建物外において次の未処理のアスベスト含有建材1を収容した容器10を載置し、再びレール上を走行して、建物内の加熱炉20の前で停止されることになる。この処理済み建材を取り出し、未処理のアスベスト含有建材1を搬入する作業は一定時間で行うことができる。搬入された容器10は、上記と同様、ラジエントチューブバーナー29により加熱され、過熱蒸気も適宜供給されて再び所定時間をかけて上記の約950℃〜約1100℃へ加熱され、同様にアスベストの結晶水を脱水させ、無害化する。
加熱炉20内を約950℃〜約1100℃に加熱する場合、約5分かけて容器10の搬出を行い、約5分かけて次の容器10の搬入を行うことができる。したがって、容器10の搬出入に約10分かかることになるが、この約10分では、入口21および出口22が開かれることにより加熱炉20内の温度が大きく低下することはない。実際に、加熱炉20内を約1000℃に加熱し、その後、入口21および出口22を開いて容器10の搬出および搬入を行ったところで、約10分という短い時間では約200℃しか下がらない。このため、その後は約800℃から約45分かけて約1000℃へ加熱すればよく、炉内がすでに高温であるため、アスベスト含有建材1へはすぐに必要とされる熱が伝わり、約45分の加熱と約5分の温度保持で充分に無害化できるとともに、大幅に燃料使用量を削減することができる。
アスベスト含有建材の加熱処理システムは、図5に示すように、工場の建屋内に複数の加熱炉20が設置されたものとすることができ、複数の容器10を搬入し、効率的に加熱処理を行うことができる。工場は、建屋100内に複数の加熱炉20が設置され、そのほか、トラックにより運搬されてきたアスベスト含有建材1が収容されたフレコンパックを荷降ろしするクレーン、荷降ろしされたフレコンパックを搬送するフォークリフト、X線断層撮影機を使用して、爆発する可能性のある荷を検査する検査場、建材の種類ごとに仮置きする倉庫110、監視室等を備えている。
建屋100と倉庫110とを接続するように連続して設けられるコンベア120が設けられ、このコンベア120により、アスベスト含有建材1が収容された容器10が倉庫110から建屋100内に搬送される。コンベア120は、各加熱炉20の前へつながるレール130と接続される。レール130は、コンベア120の容器10の搬送方向に対し垂直に設けられ、その搬送方向に対して垂直方向へ容器10を載置した容器搬入手段40を移動させることができる。このため、容器10は、コンベア120上に載せられ、レール130上の容器搬入手段40へ向けて移動し、容器搬入手段40上に載置される。
容器搬入手段40は、レール130上を車輪44により走行し、所定の加熱炉20の前で停止する。そして、その加熱炉20において加熱処理を行う準備ができたところで、上述したようにして容器10を加熱炉20内へ搬入し、加熱処理を行う。
加熱処理を行っている間、容器搬入手段40は、レール130上を走行してコンベア120がある位置へ戻り、次の容器10を載せ、他の加熱炉20の前へ搬送する。そして同様に、他の加熱炉20内へ搬入した後、再びコンベア120がある位置へ戻り、さらに次の容器10を載せるという動作を繰り返す。
加熱処理が終了した所定時間後、入口21に対向して設けられる出口22の扉24を開いて搬送手段25が加熱炉20の出口側に停止している容器搬出手段50上へ容器10を搬出する。容器搬出手段50も、容器搬入手段40と同様、車輪54を有しており、レール130と平行に設置されているレール140上を走行することができる。容器搬出手段50上へ搬出した後、加熱炉20内の熱が逃げないように出口22の扉24を閉じる。搬出後の処理済み建材は、停止された容器搬出手段50上の容器10内で、容器10の下方から送風される常温の空気により空冷される。その後、容器搬出手段50がレール140上を走行することにより、建屋100外にある上記コンベア120と同様で、かつそのコンベア120と平行に設置されているコンベア150上へ、容器搬出手段50が備える複数のローラ52を回転させることにより移動させる。コンベア150上に載せられた容器10は、コンベア150により破砕機160へと搬送される。
このため、加熱処理システムは、さらに、容器10の下方から送風するための送風機、加熱炉20から搬出した容器10を空冷した後、無害化された処理済み建材を破砕する破砕機160をさらに備えることができる。ここでは、送風機による空冷を例示したが、水を噴霧して直接冷却したり、管の内部に水を流し、間接的に冷却する水冷や自然放冷により冷却することも可能である。加熱炉20からは、高温に加熱された容器10が搬出されるため、建屋100内の温度が次第に上昇する。建屋100内を常温に近い一定温度に保つため、建屋100はファン等の換気装置を備えることができる。
破砕機160は、粉塵の発生を防止するために水を噴霧しつつ破砕することができ、破砕は、約40mm以下となるように行うことができる。破砕後の建材は、再利用するに際して、ベルトコンベア170上に載せられ、無害建材貯蔵サイロ180へ運ばれ、建材の種類ごとに分けてストックされる。
ここで、無害化された処理済み建材について説明を加えると、クリソタイルからなるアスベスト含有建材1を過熱蒸気雰囲気下で加熱すると、無害なフォルステライトへ変化し、最終的に、主として2CaO・SiOとCaOになる。セメントは、2CaO・SiOを含むものであることから、処理済み建材は、セメントの原料や地盤改良材として利用できるものである。また、CaOは、凝集作用を有し、凝集剤としても利用可能であり、また、CaOが水と反応して生成される消石灰(Ca(OH))も凝集作用を有するものである。したがって、これらを、セメントの原料、地盤改良材や凝集剤として利用するために、破砕機160で粉砕され、所定の粒子径以下になるようにされる。
処理済み建材は、その枚数が10枚〜15枚程度であることから、空冷により短時間でその表面温度が300℃以下に下がる。このため、300℃以下に下がった建材を破砕機160へ入れ、所定の粒子径以下になるように破砕される。破砕機160は、ロールクラッシャやチューブクラッシャ等を採用することができる。
破砕機160により破砕された後は、アスベスト含有建材1の種類ごとに無害建材貯蔵サイロ180へストックされる。
アスベスト含有建材1の1つの種類であるアスベスト吹付材は、アスベスト含有量が約60質量%〜約70質量%といったように高いことから、加熱処理により、セメントに適する2CaO・SiOが多く生成される。アスベスト吹付材を加熱処理したものは、ある程度の強度を発現することができることから、施工現場の地盤を固めるための地盤改良材として利用することができる。これは、主として2CaO・SiOとCaOを含み、セメント原料の主成分が酸化カルシウムと二酸化ケイ素であることから、セメント原料として利用できるものである。
また、アスベスト含有建材1の1つの種類である化粧板スレートは、アスベスト含有量が約15質量%〜約30質量%といったように比較的低いことから、加熱処理により、セメントに適した2CaO・SiOがあまり生成されない。このため、地盤改良材として利用するには強度が不足する。しかしながら、凝集作用を有するCaOを含むことから、化粧板スレートのようにアスベスト含有量が低いものについては凝集剤として利用することが可能である。これも、主として2CaO・SiOとCaOを含むものであるから、セメント原料として利用できるものである。
ちなみに、セメントは、セメント工場へこれらの破砕物を運び、破砕物をキルン等で焼成し、その後冷却してクリンカーを形成させ、このクリンカーに約2%〜約3%の石膏を加えて粉砕することにより作られる。
本発明において、プラスチック樹脂からなる紐状物を利用した場合、溶融し、揮発して、アスベスト含有建材から揮発する塗料や接着剤等の他の有機化合物とともに排出されることになるが、加熱炉20に排気ノズルを設け、それに反応装置を接続し、反応装置により処理することができる。反応装置は、円筒管内に電気ヒータを備える構成や、円筒管の外周に導線を巻いた電磁誘導加熱装置等とすることができ、それらの有機化合物とともに約950℃〜約1100℃の過熱蒸気を供給し、過熱蒸気と反応させ、加水分解、熱分解により水素や一酸化炭素といった低分子にまで分解する。その後、一酸化炭素は、空気と反応し、二酸化炭素となり、水素は酸素と反応し、水蒸気となるため、そのまま大気中へ放出することができる。
なお、排気ノズルへと排出されるガス中に浮遊物やそのまま大気中へ放出することができないガス成分(例えば、ハロゲンやSOx等)が存在する場合、フィルタ、洗浄装置、活性炭塔等をさらに備えることができる。すなわち、フィルタにより浮遊物を捕集し、そのガス成分を、アルカリ水溶液を収容する洗浄装置に通して反応させることにより除去し、洗浄装置から出る微細粉塵等を活性炭塔で吸着除去することができる。したがって、加熱処理システムは、これらの反応装置、フィルタ、洗浄装置、活性炭塔をさらに含む構成とすることも可能である。
これまで本発明のアスベスト含有建材の加熱処理システムについて図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
1…アスベスト含有建材、10…容器、11…底板、12…側板、20…加熱炉、21…入口、22…出口、23、24…扉、25…搬送手段、26…ローラ、27…動力手段、28…架台、29…ラジエントチューブバーナー、30…貯水タンク、31…ボイラ、32…給水ポンプ、33…蒸気加熱機、40…容器搬入手段、41…架台、42…ローラ、43…動力手段、44…車輪、50…容器搬出手段、51…架台、52…ローラ、53…動力手段、54…車輪、100…建屋、110…倉庫、120…コンベア、130、140…レール、150…コンベア、160…破砕機、170…ベルトコンベア、180…無害建材貯蔵サイロ

Claims (7)

  1. アスベスト含有建材を加熱処理して無害化する加熱処理システムであって、
    前記アスベスト含有建材の種類に応じて分けられ積み重ねられた複数のアスベスト含有建材を収容する、複数の穴が形成された底板と側板とを各々が有する複数の容器と、
    1つの建屋内に設置され、前記容器を搬入するための入口と、前記容器を搬出するための出口と、過熱蒸気を受け入れるための蒸気受入口とを有し、前記入口および前記出口に開閉可能な扉と、前記容器を載置するとともに該容器を水平方向へ移動させることが可能な搬送手段とを各々が備える複数の加熱炉と、
    前記加熱炉内の天井部と前記搬送手段の下部とに配設されるチューブと、前記チューブ内に挿設され燃料と空気とを噴射して燃焼させるための噴射ノズルとを各々が有する複数の加熱手段と、
    各前記加熱炉内の空気および前記過熱蒸気を吸引し、各前記加熱炉内を負圧にする複数の吸引手段とを含み、
    各前記容器を各前記搬送手段により各前記加熱炉内へ搬入し、各前記搬送手段上の所定位置に配置し、過熱蒸気雰囲気の下、各前記加熱手段により前記種類に応じた加熱処理の処理条件で前記複数のアスベスト含有建材を加熱することにより、該複数のアスベスト含有建材に含まれるアスベスト中の結晶水を脱水して該アスベストを無害化する、加熱処理システム。
  2. 前記搬送手段は、一定間隔で回転可能に配設した複数のローラと、各前記ローラを回転させるための動力手段とを含む、請求項1に記載の加熱処理システム。
  3. 各前記加熱炉外に、前記入口を通して前記加熱炉内へ前記容器を搬入し、前記搬送手段上へ前記容器を載置する容器搬入手段と、前記搬送手段上に載置された前記容器を、前記加熱炉の前記出口を通して搬出する容器搬出手段とをさらに含む、請求項1または2に記載の加熱処理システム。
  4. 水を貯留する貯水タンクと、水を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生手段と、前記貯水タンクから前記蒸気発生手段へ水を供給する給水手段と、前記蒸気を加熱して過熱蒸気を生成し、各前記加熱炉へ供給する蒸気加熱手段とを含む過熱蒸気生成装置をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱処理システム。
  5. 各前記加熱炉から搬出した無害化された建材を破砕する破砕機をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱処理システム。
  6. 前記破砕機は、水を噴霧しつつ破砕する、請求項5に記載の加熱処理システム。
  7. 各前記加熱炉から排出されるガスを過熱蒸気と反応させる反応装置をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱処理システム。
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