JP2008190733A - 廃棄物の低温熱処理方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、廃棄物を低温熱処理して灰を生成することを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の下部から継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法により、目的を達成した。
【選択図】図1

Description

この発明は、各種廃棄物を、ダイオキシンが発生しない低温度(例えば400℃未満の温度)で熱処理して、灰にすることを目的とした廃棄物の低温熱処理方法及び装置に関する。
従来廃棄物の燃焼処理については、ダイオキシンを分解して無害化する高温燃焼装置と、ダイオキシンが分離(発生)しない低温乾留装置とが提案されている。
特開平11−316006 特開2005−29600 特開2003−117534
従来ごみ焼却炉内に励起状態の酸素分子を含んだ空気を吹き込み、炉内のごみを完全燃焼させることにより、ダイオキシン等の有害物質の生成を抑制しようとした発明が提案されている(特許文献1)。
また磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入することにより、ダイオキシンの発生なく廃棄物を乾留炭化処理するに際して安定した操業ができる技術が提案されている(特許文献2)。
次に磁気処理した空気を熱処理室に導き、700℃以下で加熱され、ついで例えば800℃〜1000℃の温度処理により、ダイオキシンの発生が抑えられる技術も提案されている(特許文献3)。
前記特許文献1の発明においては、ごみを完全燃焼するとしているが、完全燃焼するのに、温度が何度になるのか、酸素分子の励起がどの程度か、ダイオキシンの無害化がどのようになるのか不明であり、これらを実用化する方法の具体案が不明である。
前記特許文献2は、低温乾留に関する発明であって、明細書記載のような廃棄物に有効とされているが、果して90℃〜120℃以下で効率よく処理できるか否か不明である。また実施装置の説明があるが、明細書記載の廃棄物に、どのようにして空気を均一に供給できるのか不明瞭である。
また特許文献3の発明は、熱処理物の表面温度は700℃以下の低温に継続的に抑えることができるとされ(400℃〜700℃ではダイオキシンが発生する)、かつ内部で800℃〜1000℃以上でゆっくり熱処理するので、ダイオキシン類の発生が抑えられると説明されており、結局ダイオキシンは発生するが、少ないのか、発生したダイオキシンは無害化するのか、不明である。前記のように各部の温度の制御がダイオキシン対策として有効であるとされ乍ら、具体的手段の開示がない。
前記特許文献1〜3は何れもダイオキシンを抑えた(又は無害化した)廃棄物の処理に関しては、この発明と軌を一にする。然し乍ら、前記各技術は具体的手段に関し、不明瞭な点を内蔵する問題点があった。これに対し、この発明は、従来装置と同一技術と、従来示されていない新技術の結合により、低温熱処理できる(ダイオキシンの発生しない)具体的方法及び装置について提案し、前記従来の問題点を解決したのである。
即ちこの発明は、熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法であり、易燃焼物を400℃近辺で燃焼させ、その灰を燃焼室の容量の1/10程度にしてから、通常の廃棄物を収容し、ついで熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法である。
また他の発明は、熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体及び前記活性熱気体を廃棄物に通過させた循環熱気体との混合熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法であり、活性熱気体は、強化磁場に常温空気を流入させて、酸素を活性化させると共に熱処理部の下部で加熱するものであり、強化磁場は、流入空気量1m〜5m/分に対し、500ガウス〜4000ガウスの永久磁石又は電磁石による磁場としたものである。
次の他の発明は、酸素制限は、炉の内容積2mに対し、燃焼物容積1mの際流入空気量を0.5m〜1.0m/分とするものであり、酸素制限は、燃焼温度を300℃〜380℃に保つように供給空気量を調整するものであり、廃棄物に接触させる活性熱気体の温度を300℃〜380℃に調節するものである。
また装置の発明は、請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に蓋付きの廃棄物投入口と、煙筒とを設け、該煙筒は浄煙手段に連結し、該浄煙手段に煙突を連設し、前記上部熱処理室と下部熱処理室の温度制御手段を設けたことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置であり、請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に蓋付きの廃棄物投入口と、煙筒とを設け、該煙筒は浄煙手段の始端側に連結し、該浄煙手段の終端側に煙突を連設し、前記上部熱処理室と下部熱処理室の温度制御手段を設け、前記内筒には、熱交換用の水管を螺旋筒状に設置し、前記水管の上下端部を給水管及び出水管と接続したことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置である。
次に他の発明は、請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に蓋付きの廃棄物投入筒と煙筒とを設け、前記廃棄物投入筒には、外蓋と内蓋とを上下に設け、外蓋開放時に内蓋を閉め、内蓋開放時に外蓋を閉めるように外蓋と内蓋の開閉手段を設置し、前記煙筒は、浄煙手段に連結したことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置であり、外蓋と内蓋の開閉手段は手動開閉手段又は自動開閉手段としたものである。また、自動開閉手段は、投入廃棄物の重量により内蓋が開くと共に、前記廃棄物の落下に伴い重錘の重量により自動復帰することを特徴としたものであり、自動開閉手段は、外蓋又は内蓋の取付軸に回転動力を連結することを特徴としたものである。
次に、給気手段は、下部熱処理室の下側部に空気室を設け、空気室と下部熱処理室を給気管で連通させると共に、炉外へ永久磁石を介装した送気管を設け、送気管の内端を前記空気室に連結開口させたものであり、浄煙手段は、煙筒端へ、上下に屈曲した煙道を連設し、前記煙道の少なくとも一部に散水管を設置して、前記散水内に煙を通過させたものであり、温度制御手段は、熱処理室の温度センサーと、該温度センサーの出力により、給気管の開度を制御する制御器とを組み合せたものである。
前記発明において、処理温度が250℃未満の場合には、熱量不足による処理不十分を生じるおそれがある。また400℃を越えると、廃棄物の処理中にダイオキシンが生成されるおそれがあることが判明した。そこで処理温度を250℃〜400℃としたが、好ましくは300℃〜380℃である。
次に、永久磁石の磁力は、単位時間当りの空気の通過量(永久磁石による処理量)により異なるが、例えば空気の流入量が1m〜5m/分においては、500ガウス〜4000ガウスが使用範囲であり、好ましくは、1000ガウス〜3000ガウスである。
前記において、永久磁石の強度が500ガウス以下では、空気の活性化が不十分となり易く、4000ガウスを越えても効果に変化は認められないからである。
前記装置において、水を加熱するために水管をまきつけるが、水管の直径、密度には制約がない。例えば、直径5mm〜40mmなど自由に選定できるが、水管による吸熱量が少ないと、温水供給能力が小さくなり、吸熱量が多きに失すると炉内温度の低下を来し、本来の目的を達成できない(熱処理不十分)。
そこで適宜の温度でよいが、差支えない程度で処理される為には、余り変化を期待しない。
前記発明において、下部熱処理室と、上部熱処理室とを分けたのは、下部熱処理室では、励起した空気を均一に混合して上部熱処理室での乾燥と熱処理をスムースにすると共に、空気と熱処理気体を循環させることにあり、高温気体の利用、乾燥、熱処理とを下部より上部へ順次行っている。
また給気パイプは水平方向へ突出しているので、投入廃棄物を支持し、適度の空気を供給すると共に、密度を保って支持し、前記投入廃棄物を完全熱処理させることができる。特に、低温(400℃未満、好ましくは300℃〜380℃)なるが故に励起酸素が均一に浸透(混入)しなければならない。
前記において、空気室を大きくとり、ここから給気パイプを介し、励起空気を均一に送り込むが為に、給気パイプは、上下2段とし、かつ熱処理室の中央に達しない程度に長短突設し、その先端は切口を下向きにして切断することが好ましい。また、先端を塞ぎ、給気パイプへ多数の通気孔を設けることもある。またロストル式にして廃棄物を支持しつつ給気するか、ロストルとは別に給気パイプのみにするかは、処理すべき主要廃棄物の形態により選定する。この発明で処理しようとする廃棄物には、特に制限がなく、家庭廃棄物及び産業廃棄物の何れでも、基本的処理形態は同一であるが、特に水分の多い廃棄物(例えば水分70%以上)と、水分の少ない廃棄物(例えば水分30%以下)とを一緒に処理する場合には適宜混合することが好ましい。また最初は、高温灰(例えば300℃以上の灰)を溜めてから、本格的に処理する方が、円滑な処理ができる。
この発明の熱処理炉は、廃棄物を低温(ダイオキシンの発生温度以下、400℃未満)で、効率よく熱処理させる為に、給送空気を励起し、給気中に含まれた酸素を活性化した。従って低温であっても、効率よく熱処理させた。そこで強制給気(ファンを使用)と、給気量の調整(バルブの開度による)を図った。前記給気を過不足なく供給することは至難であるが、熱処理温度と、給気量の関係を正確に保つことにより、目的を達成した。前記熱処理は、励起した酸素によって有機物を気化させ、300℃〜380℃程度に加熱することにより炭その他を無気質の灰化するものである。
そこで熟練者がバルブ調整すれば、目的を達成できるが、汎用化する為には、温度センサーの出力(熱処理温度)と、バルブの開閉との適性値を求め、これを制御系に組み込むことによって自動制御が確実になった。然し乍ら少容量の熱処理炉にあっては、給気量と、熱処理温度とを、手動調整できるように、図表などを付属させることもできる。また上部熱処理室は、二重壁の内側に設けたので、最も高温部分は熱遮断される。
従って外槽壁は60℃以下位であり、作業者が触れても火傷を生じるおそれはない位である。この原因は、上部熱処理室内の熱処理温度が低い為に、輻射熱が外槽壁に伝達されることが少ないからである。また外槽壁と、内筒との間隙を気体が流動(下降)する為でもある。然し乍ら、外槽壁を断熱被覆して、熱の放散を防止することを妨げるものではない。
この発明における空気励起については、給送量に対応して永久磁石(又は電磁石)の容量を増加させることにより、十分の処理ができる。更に遠赤外線発生セラミックス類を給送パイプに連接した処理パイプ内へ充填し、永久磁石の磁力との相乗作用を求めることも有用であるが、その最良条件については今後の研究課題となる。
この発明によれば、廃棄物は低温(例えば380℃以下)で熱処理される為に、ダイオキシンは分離せず、従って煙の中及び灰の中は共にダイオキシン濃度が低い(表1)。また廃棄物は灰のみになる為に、残りの重量は5%以下、容量も5%前後となる。前記における空気の磁化は、例えば2000ガウス〜4000ガウスの永久磁場で、0.1m/分〜1m/分の処理を行う。
また前記のように、供給する空気を強力な磁場を通過させることによって、空気中の酸素をイオン化して、その活性を向上(酸化力の強化)させる。その結果、熱分解処理が促進される。即ち一般の燃焼処理と異なり、低温酸化(低温処理)であっても、急速に処理される。前記酸素の活性化によって、恰も燃焼のように、又はそれ以上に早く分解処理される。
この発明の装置は原則的にバッチ式であって、一度に100kg〜1000kgとか、装置の大きさに対応した量を一度に処理することができると共に、若干の連続処理(例えば100kg容量の装置であっても、順次投入により300kgの処理も可能)もできる。この場合には、最初投入後ある程度の時間(例えば熱処理開始後3時間)の経過後100kg追加し、次の2時間後に最終の100kgを追加することもできる。また2時間間隔で継続投入しても支障はない。
前記装置において、熱処理炉内へ廃棄物を適宜投入し、燃焼を継続させるには、熱処理炉の加熱気体が廃棄物投入口へ吹き上るのを防止する必要がある。そこで、廃棄物投入筒の上下に、外蓋と内蓋を設け、廃棄物投入時に、密閉室(外蓋と内蓋の間)を構成し、外蓋と内蓋を交互に開放する必要がある。前記外蓋と、内蓋の開放手段には、手動と自動があるが、必要に応じ、その何れかを採用する。
このような処理方式をとれば、連続処理炉となるが、灰は適宜取り出し、篩にかけて半処理固形物を再処理する。
この発明の方法によれば、ダイオキシンの発生なく低温燃焼によって、廃棄物から灰を生成することができる効果がある。
然して灰は一般に生物の5%以下であるから、100kgの廃棄物を処理すると、5kg以下の灰となる効果がある。
また空気の励起によりその活性化を図るもので、励起自体が簡単であり、一旦励起すれば著しく有効な作用を期待することができる。
この発明の装置によれば、前記方法を効率よく実施することができるので、従来大型焼却炉(例えば1日100t以上とか)しか使用を許されなかった廃棄物処理が小型(例えば1日1t)でも安全にできるようになったので、各工場は勿論、廃棄物が出る場所(各レストラン、各食品加工場)に設置できる効果がある。
またダイオキシンの発生を未然に防止し得ると共に、廃棄物の燃焼処理により、残灰となるので、その量は極めて少なく(廃棄物の種類により異なるが、通常1%〜5%)なり、爾後の処理が容易であるのみならず、残灰の有効利用により、廃棄物を0にできる可能性がある。前記は全体として低温処理であるから、炉壁等の耐久性が大きく長期の使用に耐え得る効果がある。
この発明は、熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の下部から継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法又は請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に炉蓋付きの廃棄物投入口と、煙筒とを設け、該煙筒に浄煙手段の始端側を連結し、該浄煙手段の終端側に煙突を連設し、前記上部熱処理室と下部熱処理室の温度制御手段を設けたことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置により容易に実施することができる。
この発明の実施例を図1に基づいて説明すると、廃棄物を炉内に入れて点火すると共に、活性化した励起空気を適量宛吹き込み、350℃〜380℃に加熱して、廃棄物中へ吹きこみ低温燃焼させる。この場合に、温度を検出しつつ、給気量を調節して、燃焼最高温度を400℃未満に調整する。
前記において、最初は比較的燃焼し易い物(例えば藁、紙、木片など)を下に入れて、これに点火し、炉内の下部燃焼室へ灰が一杯になるまで続ける。このようにして、灰の温度が350℃〜380℃になった場合に、その上に廃棄物を入れて給気を継続すれば、爾後連続的に処理することができる。そこで灰が多くなれば適宜取り出すと共に、廃棄物の燃焼が進行すれば、廃棄物を更に投入することにより任意の時間に亘って継続的に処理することができる
前記処理によって廃棄物は全部灰となり、著しく少容積(例えば5%以下)となるので、その後の処理が容易となる。下記条件の処理によれば、ダイオキシンの含有量が極めて少ないことが判る。また煙中の物質についても測定した所、下記結果を得た。
1.条件
(1)使用廃棄物 家庭用廃棄物(水分90%)
(2)熱処理 3時間80℃以下で連続熱処理
(3)空気量 毎分0.1m程度
(4)永久磁石 4000ガウス
2.ダイオキシン類を測定した所、表1を得た(基準値より著しく少ない)。
Figure 2008190733
3.一酸化炭素、酸素濃度連続測定及びばい煙測定をした所、表2を得た(但し煙浄化をしていない)。この場合に、一酸化炭素以外の各物質量は著しく少なくなっている。従って、一酸化炭素低減の装置を設けることが好ましい。
Figure 2008190733
この発明の実施例を図2、3について説明すると、四角筒状の炉体1の下部内側へ空気室2を設けて、その上部へ、下部熱処理室3を設ける。前記空気室2は前記炉体1の下部の三側壁へ、直角三角形の斜辺に相当する斜板4a、4b、4c(全体をいう場合は4とする)を設けて、斜板4と、炉体1の隅部により断面三角形の空気室2a、2b、2cを連通して設け、前記下部熱処理室3と給気パイプ3a、3aで連通させると共に、前記空気室2へ、二つの給送パイプ5、5の一端を連結し、給送パイプ5、5の他端には、ファン6、6を夫々設けて外界に開口し、この給送パイプ5、5の中間部には、バルブ7、7と、活性処理パイプ8、8とを介装する。前記活性処理パイプ8、8内には、永久磁石(例えば4000ガウス)を対向設置して、通過空気を磁化する。前記活性処理パイプ8、8中には、永久磁石の他に、遠赤外線発生鉱物(例えば電気石又は麦飯石など)を充填することもある。
前記下部熱処理室3の上部には、炉体1の内壁と間隙を設け、内筒9を遊嵌して上部熱処理室10を形成し、前記炉体1の頂板11へ投入口12を設け、該投入口12へ開閉蓋13を被冠する。
また前記頂板11へ円筒14を設置し、円筒14の上端部を浄煙槽15の一側に連結し、該浄煙槽15の他側へ煙突16を連設する。
前記浄煙槽15は、四周閉鎖して、直方体状の煙道を形成してあり、浄煙槽15の内部は複数の仕切板17、17を所定間隔で縦設し、排煙が屈曲流動する如く仕切板17、17の上部(頂板15a)と、水面19との間に排煙の通過間隙18、18を設ける。前記浄煙槽15の終端側に煙突16を設けて、この発明の熱処理炉25を完成したものである。
前記実施例において、この熱処理炉の使用状態を説明すると、図4において廃棄物を入れた容器を持って階段21から踏板22に到り、開閉蓋13を開いて、前記廃棄物を投入口12から矢示23のように投入し(図2(a))、前記廃棄物が上部燃焼室の1/3程度にたまったならば、開閉蓋13を閉鎖する。次に、下部熱処理室3に通じる蓋24を開いて(図2(b))、点火した紙又は木を矢示26の方向へ差し入れて点火する。この場合に給気パイプ3aから永久磁石(麦飯石、電気石入り)で励起した空気が空気室を介して、下部熱処理室3へ供給されるので、廃棄物が良く熱処理される。ついで火力給気を調節して、温度を350℃程度として、他の廃棄物も熱処理する。前記のようにして処理の結果、灰の深さが20cm〜30cm(下部燃焼室の1/2以上)になったならば、開閉蓋13を開いて、新たな廃棄物を順次投入し、上部熱処理室10に充満したならば、開閉蓋13を閉じる。このように、磁化空気を送りつつ低温度処理すれば、新しく充填した廃棄物は、下から順次熱処理される。前記処理により生じた排煙は矢示27、28のように上昇する煙と、矢示29、30のように下降する煙とに分けられる。この場合に上昇排煙として煙筒14を出た排煙は、浄煙槽15内を矢示31、32、33、34のように屈曲流動し、矢示20のように煙突16から外界へ排出される。
前記排煙は、屈曲流動中に、水面19と接触するので、水によっても浄化されると共に、大粒子は水中へ沈下し、水面との当接煙は、煙中の微粒子を捕えられ浄化されるので、煙突から出る排煙は外界放出できる程度まで浄化される。また散水浄煙する。
前記において、給気は矢示35、35のように強制吸入され、活性処理パイプ8、8で活性化処理されると共に、バルブ7によって送気量が調整され(例えば1m/1分)、高温熱処理しないように調節される。前記ファン6は通常使用しないが、加圧給送を要する場合のみ使用される。
前記において浄煙槽15の上部には、太陽電池36が設置され(図4(a))、その電力は、コード37によってファン6又はセンサーなどの電源として給電される。太陽の出ない時(例えば夜間)には、蓄電池を使用する。
前記実施例は、比較的小型の熱処理炉(例えば一度に1000kg処理)について説明したが、熱処理室の構造、廃棄物の投入設備(例えば自動投入)及び浄煙装置の効率化などを行うことにより、処理能力を増大し(例えば1000kg〜10000kg)又は連続処理装置とすることもできる。
前記処理能力の増大に伴い、これに対応する給送空気の活性化処理能力を増大させることは当然である。然し乍ら、給送空気の励起と、低温熱処理の維持は行うことが必要不可欠である。
前記における低温処理の温度制御には、供給空気の量を制御して行うことができる。例えば、前記煙筒14の基部に温度センサー46をセットし、温度センサー46の出力を制御器47に入力させ、制御器47の出力を給送パイプ5のバルブ7(この場合には自動バルブにする)に作用させて、開度を定めれば、排気温度により、給気量を制御し、処理温度を制御することができる。
前記のような自動バルブでない時には、温度を見てバルブを手動的に調節し、処理温度を決める。
前記実施例において、浄煙槽15の内側上部に散水管70を設置し、適宜散水させれば、通過煙を散水浄化することができる。前記散水を噴霧とすることもできる。
この発明の他の実施例を図5、6について説明すると、四角筒状の炉体1の下部内側へ空気室2を設け、その上部へ、下部熱処理室3を設ける。前記空気室2は、前記炉体1の下部の三側壁へ、直角三角形の斜辺に相当する斜板4a、4b、4c(全体は4とする)を設けて、斜板4と、炉体1の隅部により断面三角形の空気室2a、2b、2cを連通して設け、前記下部熱処理室3と給気パイプ3a、3aで連通させると共に、前記空気室2へ、二つの給送パイプ5、5の一端を連結し、給送パイプ5、5には永久磁石を装着した活性処理パイプ8を介装し、端部を開口してある。
また下部熱処理室3の上部には、炉体1の内壁と間隙を設け、内筒9を遊嵌して上部熱処理室10を形成してある。また内筒9内には、熱交換用の水管よりなる螺旋管筒49を設置したもので、図中49aは入水口、49bは出水口、50は前記螺旋管筒49の内側へ嵌挿した覆筒である。
この実施例によれば、上部熱処理室の熱により水管を加熱するので、水管内を流動する水を加熱する。例えば、上部熱処理室の温度が380℃の時に、水を1m/秒で流送すると、95℃の熱水とすることができる。
この発明の他の実施例を図7について説明する。この実施例は、炉体40を円筒形としたもので、その他の形状構造、機能(装置)は実施例1とほぼ同様である。実施例4の場合には、空気室39を断面三角形の環状とし、浄煙槽41を半環状としたものである。
前記実施例4は、炉体40を円筒状にしたので、下部熱処理室3と、上部熱処理室10とはほぼ同一とすることができる。然し乍ら廃棄物投入口12は炉体40の頂板38の中央部に設けて開閉蓋13を被冠してある。従って浄煙槽41は、前後半円形(平面)41a、41aとして、一側を連結部41bで連結し、一方の半円形41aの一側下部へ円筒42を連結し、他方の半円形41bの一側上部へ煙突43を連結することも考えられる。
この場合には、廃棄物の投入を容易にする為に、投入シュート(図示してない)を設けることもできる。図中44はコード、45は太陽電池、48は下部熱処理室へ通じる蓋であって、給送パイプ5、5は実施例1と同一である。
この発明の他の実施例を図8、9に基づいて説明する。この実施例の低温熱処理装置は、前記実施例2の炉体1の頂板11に設けた投入口12に代えて、廃棄物の投入筒51を設置し、該投入筒51の上端部へ外蓋52の一端縁を回動自在に蝶着し、外蓋52の他端縁にハンドル53、53を連設する。
また前記投入筒51の基部内側へ、内蓋54a、54bの基端部を水平軸55a、55bに固定し、水平軸55a、55bの両端にアーム56a、56bを介して重錘57a、57bを夫々固定すると共に、前記内蓋54a、54bを水平に支持すべきストッパー58、58を、前記投入筒51の基部へ出入可能に設置してある。図中2は空気室、3は下部熱処理室、4は斜板、5、5は給送パイプ、8は活性処理パイプ、9は内筒、10は上部熱処理室、14は煙筒、15は浄煙槽、16は煙突である。
前記実施例において、廃棄物61を投入するには、図9(b)のように、内蓋54a、54bを閉鎖(重錘57a、57bにより、自動閉鎖し、その上限はアーム56a、56bと、頂板11との当接により決まる)する。
ついで、ハンドル53、53を矢示59のように持ち上げて外蓋52を開く、例えば支杆60を設置すれば、外蓋52を開放状態で保持することができる。ついで容器に入った廃棄物61を矢示62のように投入し、投入筒51のほぼ口部まで溜まったならば、前記と逆に、ハンドル53を持って、外蓋52を矢示70のように回動して閉鎖し、ハンドル53を掛止片63に掛止し、外蓋を確実に閉鎖する。
次にストッパー58を矢示64のように引いて外すと、内蓋54a、54bは、廃棄物61の自動によって矢示65のように下方へ開き(図9(a))、廃棄物は矢示66のように上部処理室へ投入される。この場合に、内蓋54bを内蓋54aより小さくしてあると、内蓋54b側の廃棄物が矢示67のように早く滑り落ち、ついで内蓋54a上の廃棄物が矢示68のように滑り落ちるので、全体が詰まるおそれなく、全廃棄物を円滑に供給することができる。
前記のようにして、内蓋54a、54b上の廃棄物が全部落下したならば、内蓋54a、54bは重錘57a、57bの重さにより矢示69のように旧位置に復帰し、投入筒51の下部内側を閉鎖する。
この実施例によれば、前記のように燃焼処理中に廃棄物の自動供給により燃焼を継続させ、自動的かつ連続処理ができる。
前記実施例においては、外蓋の開閉を手動について説明したが、外蓋の一側を回転軸に固定し、この回転軸にギヤードモータのような低速回転モータを連結すれば、動力開閉ができる。また、廃棄物の投入についても、コンベアその他を用いて、動力投入ができる。更に廃棄物の投入制御についてはセンサーを用い又は目視により、或いは試験結果に基づきタイマーを利用するなど、従来公知の検出手段を採用することができる。
この発明の実施例のブロック図。 (a)同じく他の実施例の一部を破切した正面図、(b)同じく底面図。 (a)同じく一部を省略した横断平面図、(b)同じく左側面図。 (a)同じく平面図、(b)同じく右側面図。 同じく他の実施例の一部省略し、一部断面した正面図。 同じく一部を省略した平面図。 (a)同じく他の実施例の一部横断平面図、(b)同じく一部を破切した正面図、(c)同じく浄煙槽の平面図。 (a)同じく他の実施例の平面図、(b)同じく正面図。 (a)同じく内蓋を開いて一部を破切した側面図、(b)同じく内蓋を閉じて一部を破切した側面図。
符号の説明
1 炉体
2 空気室
3 下部熱処理室
4a、4b、4c 斜板
5 給送パイプ
6 ファン
8 活性処理パイプ
9 内筒
10 上部熱処理室
11 頂板
12 投入口
13 開閉蓋
14 円筒
15 浄煙槽
16 煙突
17 仕切板
18 通過間隙
19 水面
20 煙突
25 熱処理炉
51 投入筒
52 外蓋
54a、54b 内蓋
57、57 重錘
58 ストッパー
61 廃棄物

Claims (17)

  1. 熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法。
  2. 易燃焼物を400℃近辺で燃焼させ、その灰を燃焼室の容量の1/10程度にしてから、通常の廃棄物を収容し、ついで熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法。
  3. 熱処理炉の下部で発生させた250℃〜400℃の酸素を制限した活性熱気体及び前記活性熱気体を廃棄物に通過させた循環熱気体との混合熱気体を、前記熱処理炉に収容した各種廃棄物の中へ継続して吹き込み、前記廃棄物を低温燃焼させて悉く灰にすることを特徴とした廃棄物の低温熱処理方法。
  4. 活性熱気体は、強化磁場に常温空気を流入させて、酸素を活性化させると共に熱処理炉の下部で加熱することを特徴とした請求項1又は2記載の廃棄物の低温熱処理方法。
  5. 強化磁場は、流入空気量1m〜5m/分に対し、500ガウス〜4000ガウスの永久磁石又は電磁石による磁場としたことを特徴とする請求項4記載の廃棄物の低温熱処理方法。
  6. 酸素制限は、炉の内容積2mに対し、燃焼物容積1mの際流入空気量を0.5m〜1.0m/分とすることを特徴とした請求項1、2又は3記載の廃棄物の低温熱処理方法。
  7. 酸素制限は、燃焼温度を300℃〜380℃に保つように供給空気量を調整することを特徴とした請求項1、2又は3記載の廃棄物の低温熱処理方法。
  8. 廃棄物に接触させる活性熱気体の温度を300℃〜380℃に調節することを特徴とした請求項1、2又は3記載の廃棄物の低温熱処理方法。
  9. 請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に蓋付きの廃棄物投入口と、煙筒とを設け、該煙筒は浄煙手段の始端側に連結し、該浄煙手段の終端側に煙突を連設し、前記上部熱処理室と下部熱処理室の温度制御手段を設けたことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置。
  10. 請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に蓋付きの廃棄物投入口と、煙筒とを設け、該煙筒は浄煙手段の始端側に連結し、該浄煙手段の終端側に煙突を連設し、前記上部熱処理室と下部熱処理室の温度制御手段を設け、前記内筒の側壁には、熱交換用の水管を螺旋筒状に設置し、前記水管の上下端部を給水管及び出水管と接続したことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置。
  11. 請求項1、2又は3記載の方法を実施する装置であって、炉体の下部内側へ、磁気処理した空気の給気手段を有する下部熱処理室を設け、該下部熱処理室の上部へ炉壁と通気間隙をおいて、内筒よりなる上部熱処理室を設置すると共に、前記炉体の上部に廃棄物投入筒と煙筒とを設け、前記廃棄物投入筒には、外蓋と内蓋とを上下に設け、外蓋開放時に内蓋を閉め、内蓋開放時に外蓋を閉めるように外蓋と内蓋の開閉手段を設置し、前記煙筒は、浄煙手段の始端側に連結したことを特徴とする廃棄物の低温熱処理装置。
  12. 投入筒に設けた外蓋と内蓋の開閉手段は手動開閉手段又は自動開閉手段としたことを特徴とする請求項11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
  13. 自動開閉手段は、投入廃棄物の重量により内蓋が開くと共に、前記廃棄物の落下に伴い重錘の重量により内蓋が自動復帰することを特徴とした請求項11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
  14. 自動開閉手段は、外蓋又は内蓋の取付軸に回転動力を連結し、この回転動力を制御手段に連結することを特徴とした請求項11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
  15. 給気手段は、下部熱処理室の下側部に空気室を設け、空気室と下部熱処理室を給気管で連通させると共に、炉外へ永久磁石を介装した送気管を設け、送気管の内端を前記空気室に連結開口させたことを特徴とする請求項9、10又は11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
  16. 浄煙手段は、煙筒端へ、上下に屈曲した煙道を連設し、前記煙道の少なくとも一部に散水管を設置して、前記散水内に煙を通過させたことを特徴とする請求項9、10又は11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
  17. 温度制御手段は、熱処理室の温度センサーと、該温度センサーの出力により、給気管の開度を制御する制御器とを組み合せたことを特徴とした請求項9、10又は11記載の廃棄物の低温熱処理装置。
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