JP5807797B1 - 巻芯アダプター及びフリクション巻軸 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻芯が幅の狭いものであっても、その巻芯を、傾いたり幅方向にずれたりしないように正確かつ確実に保持することができ、しかも巻芯の着脱作業を比較的簡単に短時間で行うことができる巻芯アダプターを提供する。【解決手段】巻芯Cを被せ嵌める環状本体3の一端に鍔部3aを設け、環状本体3の外周に形成した底面傾斜溝4に夫々転動体5を配置し、環状本体3に回転自在に装着した保持器6で各転動体5を転動可能及び外周に突出可能に保持した、巻芯Cを巻取軸2の外周に装着するための巻芯アダプター1において、環状本体3の外周に巻芯Cを装着していないとき転動体が底面傾斜溝4の深い部分から浅い部分にある待機位置に復帰するように保持器6に回転力を付与するための、保持器6と環状本体3との間に設けた、弾力的に伸縮可能な伸縮部材7を備え、転動体5は、外周に幅方向に交互に並ぶ山と谷を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、プラスチックフィルム、紙、金属箔等の帯状シートを巻取るための環状の巻芯を該巻芯の内径より小さい外径を有する巻取軸の外周に装着するための巻芯アダプター、及び、複数の巻芯を所定の相互間隔をとって貫通して保持し、それらの巻芯のまわりに夫々帯状シートを一斉に巻取るフリクション巻軸に関する。
一般に、巻芯のまわりに帯状シートを巻取る際には、巻芯を巻取軸の外周に装着し、帯状シートの先端を巻芯に係止して巻取軸を回転駆動して、巻取軸の回転力を巻芯に伝達する。従来の巻取軸には、中心駆動軸と、該中心駆動軸に同心かつ回転自在に装着した環状の多数の巻取カラーと、前記中心駆動軸の回転力を前記巻取カラーに、該巻取カラーが中心駆動軸に対してスリップ回転可能に伝達する回転力伝達手段とを備え、前記巻取カラー外挿した円筒状の巻芯の内周面に転動体を突出させてその巻芯を巻取カラーに固定することができるように構成したものがある(例えば、特開平2−132043号公報参照)。この巻取軸では、巻取カラーは、中心駆動軸と巻芯との間に介在するが、通常、中心駆動軸から容易に取り外すことができないようになっているので、この巻取軸に巻芯着脱する際に巻芯を巻取カラーの外周に直接着脱する。また転動体は、巻取カラーの外周に形成した底が傾斜した傾斜溝内に収容しており、巻芯と巻取カラーとの相対的な回転によって傾斜溝の底面上を傾斜溝の浅い部分に移動することによって巻芯の内周面へ向けて突出する。
しかし、この巻取軸では、巻取停止中は巻取カラーは中心駆動軸から回転力を受けないため、転動体の巻芯内周面に対する押付力は非常に弱い。それゆえ巻取カラー幅方向における巻芯の拘束力は小さいので、巻芯の内径や装着操作等の条件によっては、巻取開始前に帯状シートの先端を巻芯に係止する際や巻取開始直後に巻取トルクが生じて転動体が傾斜溝の浅い部分に移動する際に、巻芯が巻取カラーに対して幅方向にずれる場合がある。その場合、巻芯アダプターに対して幅方向にずれた巻芯のまわりに帯状シートを巻取ると巻取ロールは不良品になる。また、巻芯の幅が、例えば1個の巻取カラーの幅と同じ程度に狭い場合、その巻芯が巻取カラーに、当該巻芯の中心軸線が当該巻取カラーの中心軸線に対して傾いた状態で保持され易い。そして、このように傾いた状態で保持された巻芯は、巻取中に、その端部外周面がその半径方向に往復移動すると共にその端面がその幅方向に往復移動する状態で回転するので、つまり巻芯に振れ回りが生ずるので、この巻芯上に帯状シートを巻取ると、その巻取ロールの端面が不揃いとなったり、巻崩れを生じたりする。
従来、巻取軸の外周に巻芯を着脱するための巻芯アダプターとしては、複数の幅の狭い巻芯とその巻芯相互間に配置した円筒状のスペーサとからなる巻芯群を、管状の巻芯アダプターの本体によって貫通し、本体の長手方向に沿って締め付けることにより、その巻芯アダプターに装着するものがあった(例えば特開2006−315836号公報参照)。
しかし、上述の巻芯アダプターによれば、幅の狭い巻芯を保持することができるが、巻芯群の締付力を大きくすると、巻芯が例えば紙管や合成樹脂管のように機械的強度が比較的小さいものでは、その巻芯が巻取途中で圧縮応力に抗しきれずに弾性限界を超えて縮んでしまい、各巻芯に適正な回転力を伝達できなくなってしまうことがある。また巻芯群の締付け力が大き過ぎると巻芯群はアダプター本体に固定されてしまう。その場合、帯状シート巻取中に巻芯アダプター本体と各巻芯とは一体的に回転するため、帯状シートの厚みムラ等に起因して各巻芯上の巻取ロールの半径に差異が生じると、その巻取ロール間で外周速度に差が生じて各帯状シートの巻取張力の大きさにばらつきが生じる。そこで、巻芯群の締付力を小さくすると、各巻芯はアダプター本体に対して個々にスリップ回転し得るが、その場合、各巻芯に大きい回転力を付与することができない。また巻芯が機械的強度の小さいものでは、巻取中に巻芯の端面がスペーサの端面と擦れて磨耗することで粉塵が発生し、それが帯状シートに付着して不良品になるという問題も発生し易い。しかも、締付力の調整が難しい。更に、中心駆動軸の回転は、締付力に起因する巻芯の端面とスペーサ端面との摩擦力によって巻芯群の端の巻芯から中央部の巻芯へ順次回転が伝達され、スペーサと巻芯との間でスリップが生じると、摩擦損失が生じるので、巻芯が巻芯群の端から遠い位置にあるものほど、伝達される回転力が低減し、各巻芯に所要の回転力を正確に付与することが困難であり、各巻芯上に巻取られる帯状シートの巻取張力が大きくばらつくことが多い。それゆえ、共通の巻芯アダプター上の各巻芯のまわりに同時に巻取って形成した巻取ロールであっても、その巻取ロール間で巻取品質が不均一になり易い。更に、巻芯群を巻芯アダプターに装着するには、複数の巻芯だけでなく複数のスペーサを装着する必要があり、スペーサと巻芯とを手作業で1個ずつ交互に巻芯アダプターの本体の一端から外挿して巻芯群とした後、巻芯アダプターの本体の一端にロックナットを取付けて適正な締付力で締付けなければならず、この装着作業は手間と時間がかかる。
特開平2−132043号公報 特開2006−315836号公報
本発明は、上述のような問題点に鑑み、巻芯が幅の狭いものであっても、その巻芯を、傾いたり幅方向にずれたりしないように正確かつ確実に保持することができ、しかも巻芯の着脱作業を比較的簡単に短時間で行うことができる巻芯アダプターを提供することを課題としている。また、本発明は、幅の狭い巻芯であっても、その巻芯複数個を精度よく所定の相互間隔をとって、振れ回りが生じないよう確実に保持して品質良く巻取ることができ、しかも巻芯の着脱作業を比較的簡単に短時間で行うことができるフリクション巻軸を提供することを課題としている。
そこで、本発明に係る巻芯アダプターは、外周に巻芯を被せ嵌めて巻取軸の外周に着脱可能な環状本体と、前記環状本体の一端に設けた、前記巻芯の端面に係合可能な鍔部と、前記環状本体の外周に円周方向の少なくとも3箇所に配置した、前記環状本体の回転方向に次第に深くなる底面傾斜溝と、前記底面傾斜溝に夫々配置した転動体と、前記転動体を、該転動体の一部分が外周面から突出可能かつ該転動体が転動可能に収容する空所を有する、前記環状本体に回転自在に装着した環状の保持器とを備える、前記巻芯を前記巻取軸の外周に装着するための巻芯アダプターにおいて、前記環状本体の外周に巻芯を装着していないとき前記転動体が前記底面傾斜溝の深い部分から浅い部分にある待機位置に復帰するように前記保持器に回転力を付与するための、前記保持器と環状本体との間に設けた、弾力的に伸縮可能な伸縮部材を備え、前記転動体は、外周に幅方向に交互に並ぶ山と谷を有し、前記山が右ネジ又は左ネジの螺旋状に連続的又は間欠的に伸長していることと、前記鍔部を、前記山が右ネジのときは前記底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって右側に配置し、前記山が左ネジのときは前記底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって左側に配置したこと特徴とする。
また、本発明に係るフリクション巻軸は、複数の巻芯を所定の相互間隔をおくと共に貫通して保持し、それらの巻芯のまわりに夫々帯状シートを一斉に巻取るフリクション巻軸であって、中心駆動軸と、該中心駆動軸に同心かつ回転自在に装着した環状の多数の巻取カラーと、前記中心駆動軸の回転力を前記各巻取カラーに、該巻取カラーが中心駆動軸に対して個々にスリップ回転可能に伝達する回転力伝達手段とからなる巻取軸と、前記巻芯毎の上述した本発明の巻芯アダプターと、前記多数の巻取カラーからなる巻取カラー群が貫通している前記巻芯アダプターからなる巻芯アダプター群を、前記巻取カラー群の長手方向における所定位置に拘束する巻芯アダプター群位置決め手段とからなり、前記巻芯アダプターは、前記環状本体の少なくとも一方の端部に該環状本体と同心に装着したころがり軸受を備え、前記巻芯アダプター群において隣り合う関係にある巻芯アダプターの環状本体同士は夫々前記ころがり軸受を挟んで接することを特徴とする。
本発明に係る巻芯アダプターによれば、環状本体の外周に巻芯を装着していないとき転動体が底面傾斜溝の深い部分から浅い部分にある待機位置に復帰するように保持器に回転力を付与するための、保持器と環状本体との間に設けた、弾力的に伸縮可能な伸縮部材を備え、前記転動体は、外周に幅方向に交互に並ぶ山と谷を有することにより、環状本体の外周に巻芯を被せ嵌めた後も転動体の巻芯内周面への押圧力が持続するので、また転動体の外周面に幅方向に並ぶ山が巻芯内周面を支えるので、巻芯が幅の狭いものであっても、その巻芯を傾かないように正確に保持することができると共に、巻取開始前や巻取開始時に幅方向にずれるのを防ぐことができる。しかも巻芯アダプターへの巻芯装着時に巻芯をロックナットで締付ける作業や、巻芯相互間にスペーサを装着したりする作業が不要であるため、比較的簡単に巻芯を装着することができる。また、前記山が、右ネジ又は左ネジの螺旋状に連続的又は間欠的に伸長しており、鍔部を、山が右ネジのときは底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって右側に配置し、山が左ネジのときは底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって左側に配置することにより、転動体から巻芯に、その巻芯を鍔部に押し付ける方向の力が作用するので、巻芯の幅方向の保持力を高めることができ、巻芯を傾いたり幅方向にずれたりしないように一層正確かつ確実に保持することが可能になる。
また、本発明のフリクション巻軸によれば、巻芯が幅が狭いものであっても、その巻芯を巻芯アダプター上に正確に装着することができ、その巻芯を装着した巻芯アダプター複数個を精度よく所定の相互間隔をとって、しかも振れ回りが生じないよう確実に保持することができる。更に巻芯アダプター相互間での摩擦損失が小さいので巻芯に所要の回転力を比較的正確に付与することができる。それゆえ、各巻芯のまわりに幅の狭い帯状シートを同時に品質よく巻取ることができる。また巻芯がスペーサと擦れながら回転することがないので巻芯の磨耗粉による帯状シートの汚損の心配もない。したがって、巻芯アダプターへの巻芯装着作業や巻取カラー群上への巻芯アダプター装着作業を比較的簡単に短時間で行うことができ、巻取停止時間の短縮と歩留まりの向上を図ることができる。
図1は、本発明の一実施例に係る巻芯アダプターの半断面正面図である。 図2は、図1におけるA−A矢視断面図である。 図3は、図1におけるB−B矢視断面図である 図4は、転動体の拡大正面図である。 図5は、本発明の一実施例に係るフリクション巻軸の概略正面図である。 図6は、フリクション巻軸の要部を示す縦断面図である。 図7は、図6におけるD−D矢視断面図である。
図1乃至図4を参照して本発明の巻芯アダプターの一実施例について説明する。巻芯アダプター1は、図1に示すように外周に巻芯Cを被せ嵌めて巻取軸2の外周に着脱可能な環状本体3と、環状本体3の一端に設けた、巻芯Cの端面に係合することができる鍔部3aと、図2に示すように環状本体3の外周に円周方向の6箇所に配置した、環状本体3の回転方向に次第に深くなる底面傾斜溝4と、各底面傾斜溝4に夫々配置した転動体5と、転動体5を、該転動体5の一部分が外周面から突出可能かつ該転動体5が転動可能に収容する空所6aを有する、環状本体3に回転自在に装着した環状の保持器6とを備えている。保持器6の転動体5を収容する空所6aは、転動体5が脱落しないように保持器6の外周面の開口の幅が転動体5の直径より僅かに狭くなるように形成してある。この巻芯アダプター1において、環状本体3の外周に被せ嵌めた巻芯Cを、環状本体3に対して、図2の矢印A1の方向へ回転させると、その巻芯Cの回転に伴い転動体5は底面傾斜溝4の浅い部分へ転動すると共に、各転動体5の一部が夫々保持器の外周面から等量だけ突出し、その転動体5が巻芯Cの内周面を押圧する。それによって巻芯Cを環状本体3に固定することができる。
この巻芯アダプター1は、更に、図3に示すように、環状本体3の外周に巻芯Cを装着していないとき各転動体5が底面傾斜溝4の深い部分から浅い部分にある待機位置に復帰するよう保持器6に回転力を付与するための、保持器6と環状本体3との間に設けた、弾力的に伸縮可能な伸縮部材である引張りコイルバネ7を備える。この引張りコイルバネ7は、環状本体3の外周面に円周方向に形成した溝10に収容してある。引張りコイルバネ7の一端は、保持器6に装着したピン8に係合し、他の一端は、環状本体3に装着したピン9に係合しており、保持器6は、引張りコイルバネ7から環状本体3に対して図3の矢印A2が指す方向の回転力を受ける。なお伸縮部材として、圧縮コイルバネ等を用いることもあり得る。図3に示す転動体5は夫々待機位置についている。このとき各転動体5の頂部5aに外接する円C2の直径が巻芯Cの内周面の直径より大きくなっている。このようになる位置に転動体5の待機位置が設定されている。
図4に示すように、転動体5は、外周に幅方向に交互に並ぶ山11と谷12を有しており、山11が螺旋状に連続的に伸長している。そして、この実施例では外周面が円筒面となっている円筒状の素材35の外周面上に設定した右ネジのネジ山を形成することによって作られている。この右ネジの転動体5を採用するときは、鍔部3aを、環状本体3の、底面傾斜溝4の深い部分から浅い部分に向かって右側に配置する。また螺旋状に伸長した山11が左ネジのときは、環状本体3の、底面傾斜溝4の深い方から浅い方に向かって左側の端部に配置する。なお螺旋状の山11は、例えば転動体5の転動に支障がない程度に一箇所又は複数個所で欠けているもののように間欠的に伸長したものでもよい。また市販の六角穴付止めネジを転動体として用いてもよい。
図1に示すように、環状本体3の、鍔部3aの内周には、ころがり軸受13が装着してある。そして巻取軸2上に複数の巻芯アダプター1を複数個並べて装着したとき、隣り合う巻芯アダプター1の環状本体3の片方の端面、又は必要に応じて環状本体3の端面に取付けたスペーサの端面が、ころがり軸受13の内輪13bに当接するようになっている。ころがり軸受13は、この実施例では4点接触玉軸受であり、その外輪13aを鍔部の下側に形成した穴に装着してある。
このように構成された巻芯アダプター1に巻芯Cを装着するには、巻取軸2から抜き取った状態において、保持器6に引張りコイルバネ7の反発力に抗する回転力を加え、保持器6を環状本体3に対して図3の矢印A2が指す方向の反対方向に回転させることにより、転動体5を底面傾斜溝4の深い部分に移動させた後、巻芯Cを環状本体3の外周に差し込み、巻芯Cの端面を鍔部3aに押し当てる。その後、保持器6に回転力が外部から加わらない状態にすると、保持器6は、引張り状態にある引張りコイルバネ7の反発力を受け、環状本体3に対して図3の矢印A2が指す方向に回転する。それによって各転動体5は、同時に等距離ずつ底面傾斜溝4内を浅い方へ移動すると共に、底面傾斜溝4の底面によって等量だけ押上げられて、巻芯Cの内周面を押圧する。転動体5が巻芯Cの内周面を押圧すると保持器6の回転抵抗は大きくなり保持器6の回転は停止する。その後も、保持器6は、引張りコイルバネ7から回転力を付与されるので、各転動体5による巻芯Cの内周面の押圧状態は続く。そして巻芯Cの内周面は、転動体5の外周に幅方向つまり環状本体の中心軸線に平行に並ぶ、山11の頂部で支えられる。そして各転動体3は夫々底面傾斜溝4の底面で支えられ、図1に示すように底面傾斜溝4の底面は、その幅方向が環状本体3の中心軸線と平行に形成されている。したがって、巻芯Cを巻芯アダプター1に装着したとき、巻芯Cの中心軸線が環状本体3の中心軸線に対して傾かないよう同心に保持することができる。また転動体5は、外周に幅方向に交互に並ぶ山11と谷12を有しているので、巻芯Cが転動体5に対して滑りにくくなる。しかも、巻取中に環状本体3から巻芯Cに伝達する回転力が大きくなればなるほど、転動体5が更に底面傾斜溝4の浅い部分に移動して一層強固に巻芯Cの内周面を把持することになる。更に、図2において、転動体5が底面傾斜溝4の深い方から浅い方に向かって転動するとき、その転動体5は半時計方向に回転すると共に巻芯Cの内周面を押し上げる。その際、転動体5が右ネジの山11を有していると、その右ネジの山11が回転しながら巻芯Cの内周面を押し、山11の頂部が巻芯Cの内周面に食い込んだ状態になる。そのため、この転動体4は、巻芯Cの右側の端面を鍔部3aに押付ける方向の力を巻芯Cに及ぼす。それゆえ、巻芯Cが環状本体3に対して幅方向に正確かつ確実に位置決めされる。特に、ASB樹脂のような合成樹脂製の巻芯等では、その端面の加工精度が良いものが得られるため、このような巻芯を用いると、巻芯を傾かないように、かつ幅方向にずれないように一層正確かつ確実に保持することができる。
巻芯Cを巻芯アダプター1から取外すには、巻芯Cを環状本体3に対して図3の矢印A2が指す方向と反対方向に回転させる等により、保持器6に引張りコイルバネ7の反発力に抗する回転力を加え、保持器6を環状本体3に対して底面傾斜溝4が深くなる方向に回転させ、それによって転動体5を底面傾斜溝4の深い部分に移動させた後、巻芯Cを環状本体3の外周から抜き取る。
図5乃至図7は本発明に係るフリクション巻軸の一実施例を示す。このフリクション巻軸は、複数の巻芯Cを所定の相互間隔をおくと共に貫通して保持し、それらの巻芯Cのまわりに夫々帯状シートSを一斉に巻取るものであり、中心駆動軸14と、該中心駆動軸14に同心かつ回転自在に装着した環状の多数の巻取カラー15と、中心駆動軸14の回転力を各巻取カラー15に、該巻取カラー15が中心駆動軸14に対して個々にスリップ回転可能に伝達する公知の回転力伝達手段とからなる巻取軸2と、巻芯C毎の前述した巻芯アダプター1と、中心駆動軸14上の多数の巻取カラー15からなる巻取カラー群17が貫通している巻芯C毎の巻芯アダプター1からなる巻芯アダプター群18を、巻取カラー群17の長手方向における所定位置に拘束する巻芯アダプター群位置決め手段19とからなる。そして巻芯アダプター群において隣り合う関係にある巻芯アダプター1の環状本体3同士は夫々ころがり軸受13を挟んで接している。
図5に示すように、巻取カラー群17は、それを挟むように中心駆動軸14上に配置して固定したカラー14cとカラー14dとによって、中心駆動軸1の長手方向における所定位置に拘束してある。中心駆動軸14の左端部は、軸受装置Bにより回転可能に支持してあり、中心駆動軸14の右端部の端面には、スピンドル20の先端に設けた円錐台状の軸頭20aに嵌め合わせ可能に穴が形成してある。スピンドル20はモータMにより回転駆動することができ、中心駆動軸14の右端部の穴に軸頭20aを嵌め合わせたとき、中心駆動軸14の右端部は、スピンドル20によって支持されると共に、中心駆動軸14の右端部と軸頭20aとに設けた爪が噛合ってスピンドル20の回転が中心駆動軸14に伝達されるようになっている。帯状シートSの巻取中は、中心駆動軸14の右端部をスピンドル20により支持しておき、巻取ロールRを取外したり巻芯Cを装着したりするときは、中心駆動軸14の右端部を軸頭20aから後退させ、中心駆動軸14を片持ち支持の状態にすることができるようになっている。
巻芯アダプター群位置決め手段19は、この実施例では巻取カラー群17上において巻芯アダプター群18を挟むよう巻取カラー群17上の所定位置に配置した左右の位置決め環21、22からなる。左右の位置決め環21及び22は夫々巻取カラー群17に着脱自在であり、左側の位置決め環21は、中心駆動軸14の左側の端部付近の外周面14aに嵌めてあり、その左側の端部は中心駆動軸14の段付部14bの肩に当接している。そのため、位置決め環21は、巻芯アダプター群18に右側の位置決め環22から軸線方向に作用する押圧力に抗して巻芯アダプター群15の左側への移動を阻止することができる。左側の位置決め環21と巻芯アダプター群18との間にはスペーサ23が嵌めてある。右側の位置決め環22は、巻取カラー群17の外周に装着してあり、その左側の端部には、巻芯アダプター1と同様のころがり軸受24が装着してある。また、巻取中、スペーサ25を介して、環状の押圧部材26から押圧力を受け、巻芯アダプター群18を押圧した状態を維持することができる。右側の位置決め環22、ころがり軸受24、スペーサ25は、巻取軸2に対してスライド可能であり、押圧部材26は可動腕27の先端部に装着してある。また可動腕27は、流体圧シリンダ装置28により中心駆動軸14の長手方向に適時押し引き可能に設けてある。流体圧シリンダ装置28により可動腕32を所定の力で押すと、スペーサ23を介して位置決め環22が巻芯アダプター群18に押付けられる。それによって、位置決め環21と位置決め環22は巻芯アダプター群を所定の位置に位置決めすると共に、所定の押圧力を巻芯アダプター群18に付与することができる。なお巻取条件等によってはスペーサ23やスペーサ25が不要の場合もあり得る。
図6に示すように、前述の回転力伝達手段は、中心駆動軸14の中空部に、ゴム等の伸縮可能な材料からなる密封性のあるチューブ29を配置し、中心駆動軸14の外周面から中空部に通じる孔に摩擦部材30を挿入しておき、チューブ29内に所要圧力の圧縮空気を導入してそのチューブ29を膨張させ、その膨張力によって摩擦部材30を巻取カラー15の内周面に押付け、摩擦部材30と巻取カラー15の内周面との間に生ずる摩擦力に応じた回転力を中心駆動軸14から巻取カラー15に伝達することができるように構成したものである。なお回転力伝達手段は、この実施例のものに限らず、必要に応じて例えば電磁力を利用する形式のもの等公知のものであってもよい。
巻取カラー15は環状体でできており、ころがり軸受15aによって中心駆動軸14上に支持されている。また巻取カラー15上に巻芯アダプター1の環状本体3を固定するために、巻取カラー15は環状本体3の内周面を把持する把持機構31を備えている。把持機構31は、図7に示すように巻取カラー15の円周方向の少なくとも3箇所、この実施例では6箇所に形成した、中心駆動軸14の回転方向に次第に深くなる細溝32と、細溝32に夫々配置した球体33と、球体33を細溝32の深い部分と浅い部分とに転動可能かつ脱落不能に保持する、巻取カラー15の外周に回転自在に装着した保持環34とからなる。保持環34の球体33を収容した空所は、保持環34の外周面の開口の幅が球体33の直径より僅かに狭くなるように形成してある。なお巻取カラー15、球体33及び巻芯アダプター1の環状本体3等は、例えば炭素鋼のような比較的機械的強度の大きい材料でできており、十分な加工精度を有するものである。
図5に示すフリクション巻軸1から巻取ロールRを取出すには、中心駆動軸14を巻取ロールRに対して巻取時と反対方向に回転させるか、又は巻取ロールRを巻芯アダプター1と共に中心駆動軸14に対して巻取時と同じ方向に回転させることにより、巻芯アダプター1の環状本体3に対して巻取カラー15を、図7の矢印A3が指す方向の反対方向に回転させて、球体33を細溝32の深い部分に移動させると共に、図5において中心駆動軸14を右端が自由端となる片持ち支持状態にして、中心駆動軸14の右端から巻取ロールRを巻芯アダプター1と共に抜き取る。この実施例では、巻芯アダプター1を抜き取る前に、スペーサ25、右側の位置決め環22を抜き取る。また流体圧シリンダ装置28により押圧部材26を右方へ後退させておく。巻芯アダプター1を巻取カラー群17から抜き取るとき、環状本体3の内周面に係合する球体33は細溝32に直交する方向にも回転し得るので巻芯アダプター1を抜き取り易い。
帯状シートSを巻取るには、予め各帯状シートSを巻取るための巻芯Cを夫々巻芯アダプター1に装着しておき、その巻芯アダプター1を、夫々中心駆動軸14の右端から巻取カラー群17の外周に所要位置まで差し込み、更に右側の位置決め環22、スペーサ25を差し込む。次に中心駆動軸14の右端をスピンドル20で支持した状態にする。その後、流体圧シリンダ装置28を作動させて可動腕27を左方へ進出させ、巻取終了までその状態を維持する。それによって、巻芯アダプター群18は、図5に示すように巻取カラー群17上の長手方向の所定位置に拘束されると共に、その長手方向の押圧力を受ける。そして巻芯アダプター群18において隣り合う関係にある巻芯アダプター1の環状本体3同士は夫々ころがり軸受13を挟んで接するので、各巻芯アダプター1は正確に位置決めされ、巻芯アダプター1上の巻芯Cも正確に位置決めされる。
その後、各巻芯Cに帯状シートSの先端を止着してモータMを起動すると、中心駆動軸14は、図7において矢印A3が指す方向に回転し、巻取カラー15には摩擦部材30を介して中心駆動軸14の回転力が伝達される。一方、巻芯Cには帯状シートSの張力に応じた回転抵抗が生じる。そのため、巻芯Cは巻芯アダプター1の環状本体3に対して図7の矢印A3が指す方向の反対方向に回転しようとし、各転動体5は底面傾斜溝4の浅いほうへ移動しようとするので、転動体5による巻芯Cの内周面の押圧力が増大し、巻芯アダプター1による巻芯Cの把持力は増大する。また巻取カラー15においては、それ自体が巻芯アダプター1の環状本体3に対して、中心駆動軸14と同方向に回転しようとするので、球体33が細溝32の浅い方へ移動すると共に、保持環34が巻取カラー15に対して中心駆動軸14の回転方向と反対の方向に回転し、各球体33は夫々の細溝32の底面によって押上げられて等量ずつ同時に突出し、環状本体3の内周面を押圧する。それによって巻取カラー15の把持機構31は巻芯アダプター1の環状本体3を巻取カラー15と同心に把持する。したがって、巻芯アダプター1上の巻芯Cの中心軸線と中心駆動軸14の中心軸線と同心になり、その巻芯Cは振れ回りすることなく回転する。
帯状シートSの巻取中に隣り合う巻取ロールRの巻取半径に差が生じることにより両者の回転数に差が生じ、それによって、巻芯Cを装着した巻芯アダプター1の環状本体3相互間でスリップが生じたとしても、隣り合う関係にある巻芯アダプター1の環状本体3同士は夫々ころがり軸受13を挟んで接するので、環状本体3相互間のスリップによる摩擦損失は比較的小さいものになる。それゆえ、摩擦部材30と巻取カラー15との摩擦力によって中心駆動軸14から巻芯Cに伝達される回転力の、摩擦損失による低減は僅かなものになる。この実施例では、巻取カラー15は中心駆動軸14に対してころがり軸受14aを介して巻取カラー15と一体になって回転するので、巻取カラー15と中心駆動軸14との間の摩擦損失も比較的小さいものになるので、回転力の摩擦損失による低減は一層僅かなものになる。
C 巻芯
1 巻芯アダプター
2 巻取軸
3 環状本体
3a 鍔部
4 底面傾斜溝
5 転動体
6 保持器
7 伸縮部材
10 溝
11 山
12 谷
13 ころがり軸受
14 中心駆動軸
15 巻取カラー
17 巻取カラー群
18 巻芯アダプター群
19 巻芯アダプター群位置決め手段
28 流体圧シリンダ装置
31 把持機構
35 円筒状の素材
36 凹部
37 弾力的部材

Claims (2)

  1. 外周に巻芯を被せ嵌めて巻取軸の外周に着脱可能な環状本体と、前記環状本体の一端に設けた、前記巻芯の端面に係合可能な鍔部と、前記環状本体の外周に円周方向の少なくとも3箇所に配置した、前記環状本体の回転方向に次第に深くなる底面傾斜溝と、前記底面傾斜溝に夫々配置した転動体と、前記転動体を、該転動体の一部分が外周面から突出可能かつ該転動体が転動可能に収容する空所を有する、前記環状本体に回転自在に装着した環状の保持器とを備える、前記巻芯を前記巻取軸の外周に装着するための巻芯アダプターにおいて、前記環状本体の外周に巻芯を装着していないとき前記転動体が前記底面傾斜溝の深い部分から浅い部分にある待機位置に復帰するように前記保持器に回転力を付与するための、前記保持器と環状本体との間に設けた、弾力的に伸縮可能な伸縮部材を備え、前記転動体は、外周に幅方向に交互に並ぶ山と谷を有し、前記山が右ネジ又は左ネジの螺旋状に連続的又は間欠的に伸長していることと、前記鍔部を、前記山が右ネジのときは前記底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって右側に配置し、前記山が左ネジのときは前記底面傾斜溝の深い方から浅い方に向かって左側に配置したこと特徴とする巻芯アダプター。
  2. 複数の巻芯を所定の相互間隔をおくと共に貫通して保持し、それらの巻芯のまわりに夫々帯状シートを一斉に巻取るフリクション巻軸であって、中心駆動軸と、該中心駆動軸に同心かつ回転自在に装着した環状の多数の巻取カラーと、前記中心駆動軸の回転力を前記各巻取カラーに、該巻取カラーが中心駆動軸に対して個々にスリップ回転可能に伝達する回転力伝達手段とからなる巻取軸と、前記巻芯毎の請求項1に記載の巻芯アダプターと、前記多数の巻取カラーからなる巻取カラー群が貫通している前記巻芯アダプターからなる巻芯アダプター群を、前記巻取カラー群の長手方向における所定位置に拘束する巻芯アダプター群位置決め手段とからなり、前記巻芯アダプターは、前記環状本体の少なくとも一方の端部に該環状本体と同心に装着したころがり軸受を備え、前記巻芯アダプター群において隣り合う関係にある巻芯アダプターの環状本体同士は夫々前記ころがり軸受を挟んで接することを特徴とするフリクション巻軸。
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