JP5807285B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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本発明は、潤滑油組成物に関するものであり、さらに詳しくは、低粘度化しても、優れた金属疲労寿命特性を示す潤滑油組成物に関するものである。
本発明によれば、転がり軸受、歯車、カム等の潤滑に好適な潤滑油組成物、特に、自動車用駆動系潤滑油組成物を提供することができる。
従来、潤滑油が使用される摺動面を有する機械要素において、金属疲労寿命特性を長期化または改善させるには、高粘度の潤滑油を用いることにより油膜を厚くすることが試みられてきた。
一方、近年、あらゆる産業分野において、地球温暖化防止対策が不可避な課題となっており、自動車,その他の動力機関から排出される地球環境負荷物質の低減ならびに燃料消費量の減少につながる省燃費化技術の開発およびその確立が極めて重要となっている。
従って、その一環として自動車等に使用される各種潤滑油については、低粘度化または低摩擦化による燃費向上への取り組みが強力に進められているが、低粘度化に伴ない、油膜厚さが低下し、その結果として金属疲労寿命が短くなれば、機械要素の作動に支障をきたすことになる。
かかる状況下において、低粘度化により、油膜厚さが低下しても、金属疲労寿命特性の低下を抑制できる潤滑油組成物が要求されてきた。
かかる要求を満たすため、例えば、高温時に潤滑部分の金属の疲労寿命を延長できる潤滑油として鉱油およびポリオレフィン、さらには不飽和油脂類および油溶性染料を含有し、高温時にビーズ状の酸化生成物を生じるように構成された成分からなる潤滑油組成物が提案されている(特開平2−218794号公報(以下、「特許文献1」という。)。
また、特開2008−37963号公報(以下、「特許文献2」という。)には、低粘度で、かつ低温流動性および酸化安定性に優れると共に、金属疲労寿命が長く、特に自動車の変速機用潤滑油として用いられる潤滑油組成物として、基油と(A)数平均分子量が2800〜8000のエチレン−α−オレフィン共重合体を0.5〜10質量%含み、前記基油として100℃における動粘度が1.5〜40mm/s、粘度指数が100以上、流動点が−25℃以下および硫黄分0.01質量%以下である潤滑油組成物が記載されている。
また、特開2006−117853号公報(以下「特許文献3」という。)には、低粘度であっても疲労寿命、低温粘度特性および極圧性に優れる変速機用潤滑油組成物として、(A)基油と、(B)重量平均分子量が5万〜30万のポリ(メタ)アクリレート系添加剤を含有し、潤滑油組成物の100℃における動粘度(Vc)が4.5〜8mm2/s 、潤滑油組成物の粘度指数が95〜200であり、潤滑油組成物の100℃における動粘度(Vc)に対する基油の100℃における動粘度(Vb)の比(=Vb/Vc)が0.70以上である変速機用潤滑油組成物が記載されている。
また、特開2006−117854号公報(以下、「特許文献4」という。)には、低粘度であっても疲労寿命、シヤダー防止性能、低温粘度特性および酸化安定性に優れる変速機用潤滑油組成物として、(A)100℃における動粘度が1.5〜6mm2/の基油に、(B)重量平均分子量が1.5万〜6万のポリ(メタ)アクリレート系添加剤を組成物の100℃における動粘度が3〜8mm2/s、粘度指数が95〜200になるように配合し、(C)炭素数8〜30の炭化水素基を有するイミド系摩擦調整剤を1〜5質量%および(D)硫黄を含有しないリン系極圧剤をリン量として0.015〜0.05質量%含有してなる変速機用潤滑油組成物が記載されている。
しかしながら、前記特許文献1において開示されている潤滑油組成物が、低粘度化された場合の疲労寿命への影響については開示がない。また、特許文献2〜4には、高温における潤滑油の見かけ粘度を向上させるためにポリマー等の高粘度成分が配合されているが、配合されるポリマー等の高粘度成分の粘度から期待されるほどの油膜厚さが得られず、金属疲労寿命の延長には効果が十分ではないことが指摘されている。
また、金属疲労寿命を延長する添加剤として広く認められているものは未だ提案されていない実状もある。
前記の如き先行技術においてみられる開発状況下において、環境対応機能を有する潤滑油として省燃費効果を達成するため、低粘度化され、かつ十分な金属疲労寿命を有する潤滑油組成物、すなわち、低粘度化と長期の金属疲労寿命を両立させた潤滑油組成物の開発が切望されている。
特開平2−218794号公報 特開2008−37963号公報 特開2006−117853号公報 特開2006−117854号公報
従って、前記の如き開発状況に鑑み、本発明の課題は、環境対応型潤滑油として、燃費の改善を図るために低粘度化した潤滑油であっても長期間にわたり安定した金属疲労寿命特性を有する潤滑油組成物を提供することにある。
また、本発明の課題は、低粘度化基油または前記低粘度化基油を含有する潤滑油組成物の金属疲労寿命特性の改善方法を提供することにある。
そこで、本発明者は、前記の如き本発明の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、鉱油および/または合成油を少なくとも含有する基油に末端変性ポリジエンを配合することにより調製した潤滑油組成物が低粘度化されても金属疲労寿命特性を改善できることに着目し、これらの知見に基いて本発明の完成に到達した。
かくして、本発明によれば、
成分Aおよび成分Bを少なくとも含有する潤滑油組成物であって、
前記成分Aが潤滑油基油であり、
前記成分Bが前記潤滑油基油に配合されたが少なくとも一種の末端変性ポリジエンであって、前記末端変性ポリジェンの変性部分が少なくとも一個の分子鎖末端に存在し、前記末端変性ポリジエンの含有量が、前記潤滑油組成物全重量基準で0.1〜50重量%である
ことを特徴とする、優れた金属疲労寿命特性を有する潤滑油組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
100℃における動粘度が2〜10mm/sの低粘度化された鉱油および/または合成油を含有する潤滑油基油あるいは前記潤滑油基油を含有する潤滑油組成物に末端変性ポリジエンを前記潤滑油基油または前記潤滑油組成物と前記末端変性ポリジエンとの合計量を基準として0.1〜50重量%添加することを特徴とする潤滑油組成物の金属疲労寿命特性の改善方法
が提供される。
本発明によれば、低粘度であっても金属疲労寿命を長期間維持可能であり、低粘度化による燃費改善効果と金属疲労寿命の延長を両立させ得る潤滑油組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、低粘度化された潤滑油組成物に対する少割合の末端変性水素化ポリジエンの添加により簡便な操作による金属疲労寿命の改善方法を提供することができる。
本発明によれば、成分Aと成分Bからなる潤滑油組成物であって、前記成分Aが鉱油または合成油を少なくとも含有する基油であり、前記成分Bが末端変性ポリジエンである潤滑油組成物が提供され、また、低粘度化された潤滑油組成物に末端変性ポリジエンを添加することからなる潤滑油組成物の金属疲労寿命の改善方法が提供されるが、さらに、好ましい実施態様として次の1)〜13)に掲げるものを包含する。
1)前記基油の潤滑粘度が摺動面において環境温度下で摺動部材が潤滑可能な粘度であり、100℃における動粘度が1〜15mm/sである前記潤滑油組成物。
2)前記基油の100℃における動粘度が2〜6mm/sである前記潤滑油組成物。
3)前記末端変性ポリジエンが炭素数4〜6の単量体ジエンから誘導される構造単位を主体とする重合体であって、その分子鎖の少なくとも片末端が官能基の導入により変性された重合体である前記潤滑油組成物。
4)前記末端変性ポリジエンの末端に導入された官能基が、水酸基、カルポキシル基、無水カルボン酸基、アミノ基またはグリシジル基である前記潤滑油組成物。
5)前記末端変性ポリジエンの官能基が水酸基、無水カルボン酸基またはカルボキシル基である前記潤滑油組成物。
6)前記末端変性ポリジエンの数平均分子量が200〜10,000である前記潤滑油組成物。
7)前記末端変性ポリジエンの数平均分子量が500〜5,000である前記潤滑油組成物。
8)前記末端変性ポリジエンの官能基の数が1分子あたり少なくとも平均1個である前記潤滑油組成物。
9)前記末端変性ポリジエンのヨウ素価が80以下である前記潤滑油組成物。
10)前記末端変性ポリジエンの含有量が潤滑油組成物全重量基準で1〜20重量%である前記潤滑油組成物。
11)前記末端変性ポリジエンの添加量が、前記潤滑油基油または前記潤滑油基油を含有する潤滑油組成物と前記末端変性ポリジェンとの合計量を基準として、1〜10重量%である前記潤滑油組成物の金属疲労寿命特性の改善方法。
12)用途が、転がり軸受、歯車、カムを備えた摺動部分を有する輸送機械、産業機械の潤滑のための潤滑油組成物であり、さらには自動車用駆動系潤滑油組成物である前記潤滑油組成物。
13)前記自動車用駆動系潤滑油が、自動車用ギヤ油組成物または自動車用自動変速機油組成物である前記潤滑油組成物。
以下、本発明に係る潤滑油組成物について、さらに詳細に説明する。
本発明に係る潤滑油組成物は、成分Aと成分Bを少なくとも構成成分として少なくとも含有するものであり、潤滑油組成物の用途に応じて本発明に係る潤滑油組成物の作用を阻害しない限りにおいて必要な他の添加剤がさらに配合される。
成分A(潤滑油基油)
潤滑油組成物の構成成分の成分Aである基油は、潤滑粘度を有するものであり、通常の潤滑油基油として用いられ、また使用が可能なものであれば、特に限定されるものではないが、本発明に係る潤滑油組成物において用いられる末端変性ポリジエンを完全に溶解させるものが好適である。具体的には、鉱油系基油、GTL(Gas to liquid)系基油、合成油系基油またはこれらの混合油系基油、さらには植物油系基油等が用いられる。なお、ここで、潤滑油粘度とは、潤滑油が使用される機器の摺動面において環境温度下で潤滑に必要な粘度である。
鉱油系基油としては、パラフィン系、中間基系またはナフテン系原油の常圧蒸留装置残渣油の減圧蒸留による留出油として得られる潤滑油留分を溶剤精製、水素化分解、水素化処理、水素化精製、溶剤脱蝋、接触脱蝋、白土処理等の各種精製工程を任意に選択して用いることにより処理して得られる溶剤精製鉱油または水素化処理油等の鉱油、減圧蒸留残渣油の溶剤脱瀝処理により得られる脱瀝油を前記の精製工程により処理して得られる鉱油、またはワックス分の異性化により得られる鉱油等またはこれらの混合油を基油基材として用いることができる。前記の溶剤精製においては、フェノール、フルフラール、N−メチル−2−ピロリドン等の芳香族抽出溶剤が用いられ、また、溶剤脱蝋の溶剤としては、液化プロパン、MEK/トルエン等が用いられる。一方、接触脱蝋においては、例えば形
状選択性ゼオライト等が脱蝋媒体として用いられる。
前記の如くして得られる精製基油基材として粘度レベルの異なる軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライストック等を挙げることができ、これらの基材を潤滑油製品の各用途に応じて動粘度等の要求性状を満たすように適宜調合することにより鉱油系基油を製造することができる。
また、GTL系基油としては、GTLプロセスにより天然ガス等を原料として得られる液体生成物から分離される潤滑油留分、または生成ワックスの水素化分解により得られる潤滑油留分等を挙げることができる。さらには、アスファルト等の重質残油成分を原料とするATL(Asphalt to Liquid)プロセスにより得られる液状生成油から分離される潤滑油留分等も用いることができる。
一方、合成油系基油としては、ポリアルファオレフィンオリゴマー(例えば、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等およびこれらの混合物。);ポリプテン;エチレンアルファオレフィンコポリマー;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン、ジノニルベンゼン等。);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、アルキル化ポリフェニル等。);アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびこれらの誘導体;ニ塩基酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スペリン酸、セバチン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー等。)と各種アルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、プロピレングリコール等。)とのエステル;炭素数5〜18のモノカルボン酸とポリオール(例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等。)とのエステル;その他、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、リン酸エステル等を挙げることができる。
また、植物油系基油としては、例えば、ナタネ油等が挙げられる。
かかる基油は、前記の基油基材を各々単独で、または二種以上を混合して所望の粘度その他の性状を有するように調整することにより製造することができる。例えば、各種の基油基材の調合により、本発明の潤滑油組成物を構成する基油としては、100℃における動粘度を1.5〜20mm/s好ましくは2〜15mm/s、さらに好ましくは2〜6mm/sの範囲に調整すればよい。本発明によれば、2〜6mm/sに低粘度化された基油であっても金属疲労寿命の長い潤滑油組成物を提供することができる。
通常、基油の粘度が高すぎると、撹拌抵抗が大きくなり、また、流体潤滑領域での摩擦係数が高くなり省燃費特性が悪化する。一方、粘度が低すぎると、摺動部分、例えば内燃機関の動弁系、ピストンリングや軸受等において摩耗が増加するという難点が生ずることから、かかる観点に基いて潤滑油組成物の粘度が調整されるが、本発明によれば、前記の低粘度化された基油を用いても本発明の課題を十分違成することができる。
成分B(末端変性ポリジエン)
本発明に係る潤滑油組成物の構成成分である成分Bとしての末端変性ポリジエンは、かかるポリジエンの単量体ジエンから誘導される構造単位を主体とする重合体であって、その分子鎖の少なくとも片末端が官能基の導入により変性されたものである。
前記ポリジエンの単量体ジエンとしては、炭素数4〜10の不飽和結合を少なくとも2個有する炭化水素を挙げることができる。具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン,2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等の如き共役ジエン、および1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンの如き非共役ジエンを挙げることができる。金属疲労寿命の延長にとって有効な末端変性ポリジエンを提供するための観点から、好ましい単量体ジエンは、共役ジエンであり、さらに好ましいジエンは1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。
かかる単量体ジエンを重合して得られるポリジエンのポリマー構造としては、例えば、ポリブタジエンの場合、1,2−付加によるもの、または、1,4−付加により得られるものでもよい。また、両者が混在したものでもよい。
本発明に係る潤滑油組成物の成分Bの末端変性ポリジエンの構造単位としては、ポリジエンの単量体ジエンのほか、当該ジエンと共重合可能な他の単量体を含有するものでもよい。かかる共重合可能な単量体の具体例としては、ビニル系芳香族炭化水素が好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン等が挙げられる。
本発明に係る潤滑油組成物において、前記末端変性ポリジエンの変性部分は、少なくとも一個の分子鎖末端に存在することが好ましい。かかる分子鎖末端の変性は、官能基の導入により行われる。
かかる官能基の導入により、ポリジエン分子の片末端のみが変性処理されたものでも、また、ポリジエン分子の両末端が変性処理されたものでもよい。さらに、ポリジエン分子の分岐部分の末端が変性処理されたものでもよい。しかしながら、金属疲労寿命を延長し維持する作用を促進する観点からは、変性部分が少なくとも両末端に存在することが好ましい。
前記末端変性ポリジエンの末端の変性部分は、官能基の導入により行われるが、官能基としては、酸素、窒素、イオウおよびリンからなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子を含有する官能基が挙げられる。
かかる官能基の好適な具体例としては、カルボキシル基,エステル基,カルボン酸無水物,水酸基,アミノ基,イミノ基,アミド,グルシジル基等を挙げることができる。
これらの官能基の中でも、金属疲労寿命の改善の観点から、特に好ましい官能基の具体例は、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基またはアミノ基である。
官能基の数は、ポリジエン1分子あたり、平均1〜10個であり、好ましくは1.5個以上である。官能基数が平均1に達しないと金属疲労寿命が著しく短くなり、一方、平均10個を超えると溶解性の低下の問題が生ずるおそれがある。
また、前記末端変性ポリジエンは、主鎖の炭素−炭素ニ重結合が水素化されたものがさらに好ましい。水素化の程度は、ヨウ素価または臭素価のレベルで判定することができる。ヨウ素価が100以下、または臭素価が63以下であることが好ましく、少なくともいずれかを満たせばよい。ヨウ素価としては、特に、好ましくは80以下であり、さらに好ましくは20以下である。水素化の程度が小さいと、極性の低い基油への溶解性が劣るという難点がある。なお、水素化は主鎖の二重結合のみ選択的に行なわれ、官能基の水素化が回避されたものが好ましい。なお、ヨウ素価および臭素価は、それぞれASTM D 1959およびJISK 2605に準拠して測定することができる。
前記末端変性ポリジエンの分子量としては、数平均分子量が100〜300,000であり、好ましくは200〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000である。数平均分子量が100に満たないと金属疲労寿命が短く、十分な効果を奏することができない。一方、300,000を超えると、粘度の増加のために効果発現に必要な量を添加できないという問題が生ずるおそれがある。
本発明に係る潤滑油組成物の構成成分として用いられる末端変性ポリジエンは、前記の通り説明したものであるが、さらに具体的には次の式(1)で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 0005807285




前記式(1)により表される化合物は、分子鎖の片末端または両末端が官能基の導入により変性された部分を挙げることができる。
式中、Xは−価の官能基であり、Yは水素原子または−価の官能基である。Yが水素原子の場合、片末端が変性されたポリジエンであり、Yが一価の官能基である場合、両末端変性ポリジエンであることを示す。
一価の官能基としては、例えば、前記のカルボキシル基、水酸基、無水カルボン酸基、エステル基、アミノ基、グリシジル基等が該当する。
は炭素数1〜6の炭化水素基であり、鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、特にアルキル基を挙げることができる。
mは、0または1〜100、好ましくは10〜60の整数であり、nは、0または1〜100、好ましくは10〜60の整数である。
前記末端変性ポリジエンの配合量は、潤滑油組成物全重量基準で0.1〜50重量%であり、好ましくは、0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%である。
かかる配合量が0.1重量%に満たないと金属疲労寿命の改善への効果が小さく、一方50重量%を超えても、金属疲労寿命の改善効果の増加はほとんどなく、粘度増加の点で弊害が生ずるおそれが生ずる。
かかる末端変性ポリジエンは、市場において適合するものを選択入手することができるが、次に説明する製造方法により得られるものを用いることができる。
以下に末端変性ポリジエンの製造方法について説明する。
末端変性ポリジエンは、単量体ジエンを重合して得られたポリジエンの末端に官能基を導入することにより製造することができる。官能基の導入方法としては、官能基およびポリジエンの種類により異なるが、特に限定されるものではなく、通常利用される方法、例えば官能基を開始剤や連鎖移動剤に導入する方法、リビング重合法を用いて末端活性種と官能基を有する停止剤を反応させることにより導入する方法などを採用することができる。
例えば、特開2003−176314には、官能基を含むラジカル重合開始剤や連鎖移動剤を用いてラジカル重合する方法が開示されている。この場合のラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、メチルエチルケトンパーオキサイド過酸化物や、β−アゾビス(β−シアノ)−n−プロパノール、δ,δ−アゾビス(δ−シアノ)−n−ペンタノール等の官能基を有するアゾビス系化合物を例示することができる。また、クロロエチルアミンやチオグリセロールのような連鎖移動剤を用いることもできる。
一方、リビング重合法を用いた末端編成方法の場合はリビングアニオン重合、配位リビング重合、リビングラジカル重合を用いることができる。これらの製造例として、例えば日本ゴム協会誌,80(2),46−51(2007)、特開2000−86719、リビング重合ハンドブックなどに記載されている方法を挙げることができる。例えば、ブタジエンのアニオンリビング重合では金属リチウムや金属ナトリウム等のアルカリ金属、ブチルリチウムやクミルカリウム等の有機リチウム、有機カリウム、あるいはナトリウムナフタレンやカリウムナフタレンを開始剤としてテトラヒドロフランを溶媒に用いて−78℃で重合させることによりリビングポリブタジエンを製造し、ついでエチレンオキシドを添加することにより末端に水酸基を有するポリブタジエンを製造することができる。また配位リビング重合においてはジシクロペンタジエニルチタノセンジクロリド、エチレンビスインデニルジルコノセンジメチル等のメタロセン化合物、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタノセントリクロリドやプトキシカルボニルメチルシクロペンタジエニルチタノセントリクロリド等のハーフメタロセン化合物とメチルアルミノキサンを合わせた触媒系を用いてトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒中で重合を行なうことによりリビングポリマーを製造し、次いでエチレンオキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチルイソシアネートなどの試薬と反応させることにより末端にカルボキシル基、アミノ基、グリシジル基等の種々の官能基を導入することができる。
また、カルボキシル基や水酸基の平均導入数は、JIS K−1557に規定される末端基定量法により算出される酸価または水酸基価(いずれも単位mg
KOH/g-polymer)と、GPC等から求められる高分子鎖の数平均分子体(Mn)から次式に従い求めることができる。
官能基数/高分子鎖=酸価(または水酸基価)×数平均分子量/KOH の分子量

この値から得られる水酸基含有割合(重量%)と数平均分子量との乗数を水酸基の分子量で除した値として求めることができる。
さらに、JIS等で官能基の定量法が規定されていない官能基の場合、一般的な手法として核磁気共鳴スペクトル測定を行うことにより、主鎖に起因するピークと官能基に起因するピークとの積分比により高分子鎖に対する官能基の割合をmol%で算出することができる。
成分C(エステル)
本発明に係る潤滑油組成物の構成成分としてエステルを配合することができる。
エステルとしては、ニ塩酸基酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スペリン酸、セバチン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー等。)と各種アルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等。)とのエステル;
炭素数5〜18のモノカルボン酸とポリオール(例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリストール等。)とのエステル;
その他、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、リン酸エステル等も挙げることができる。
これらのエステルの潤滑油組成物中の含有量は、潤滑油組成物全重量基準で0〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
かかるエステルの配合により組成物の粘度調整、油性向上および各成分の相溶化の促進を図ることができる。
その他の成分(その他添加剤)
本発明に係る潤滑油組成物は、低粘度であっても、転がり軸受、歯車、カム等の潤滑に好適であり、特に、自動車用駆動系潤滑油組成物として有用であり、本発明の目的を損なわれない限りにおいて、粘度特性のほか、摩擦特性、酸化安定性、清浄性、消泡性等の多面的な性能を充足させるため、必要に応じて従来から慣用されている各種添加剤、例えば、無灰清浄分散剤、金属系清浄剤、流動点降下剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、消泡剤、防請剤、および粘度指数向上剤等を適宜配合することができる。
自動車用駆動系潤滑油組成物は、自動車用ギヤ油、特にミッション用ギヤ油、自動変速機油、四軸駆動油と無段変速機油として使用することができ、それぞれ用途に応じて下記の各添加剤の組み合せ、例えば、ギヤ油用および自動変速機油用の添加剤パッケージを調製し使用することが簡便である。ギヤ油用添加剤パッケージは、粘度特性、摩擦特性、熱酸化安定性、さび止め性、泡立ち防止性等の付与の観点から極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤等を組み合わせたものである。特に極圧剤としてりん系添加剤、硫黄系添加剤等が用いられる。
また、自動変速機油用の添加剤パッケージはスリップ制御等の作用に有用な摩擦調整剤のほか、通常、酸化防止剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、摩擦防止剤、粘度指数向上剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤等を含有する。
本発明に係る潤滑油組成物は、前記の如き自動車用潤滑油としての用途のほかに、工業用潤滑油、例えば工業用ギヤ油、油圧作動油、軸受油、摺動面油等として使用することができる。
無灰系分散剤としては、例えば、ポリブテニルコハク酸イミド系、ポリブテニルコハク酸アミド系、ベンジルアミン系、コハク酸エステル系、コハク酸エステル−アミド系およびそれらのホウ素誘導体等を含有するものが挙げられ、これらは、通常0.05〜7重量%の割合で使用される。
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のスルホネート、フェネート、サリシレート、カルボキシレートから選択される化合物を含むものが挙げられ、過塩基性塩、塩基性塩、中性塩等の塩基価の異なるものを任意に選択して用いることができる。これらは、通常0.05〜5重量%の範囲で使用することが好ましい。
消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリアクリレートおよびそれらのフッ素誘導体、パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、これらは通常10〜100ppmの範囲で使用すればよい。
また、酸化防止剤を使用する場合は、例えば、アルキル化ジフェニルアイミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、さらに、ジチオリン酸亜鉛等を挙げることができ、これらは、通常0.05〜5%割合で使用される。
防請剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられ、これらは、通常0〜3重量%の割合で使用される。
摩擦調整剤としては、例えば、有機モリブデン系化合物、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、油脂類、アミン、ポリアミド、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。
摩耗防止剤としては、一般にジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸金属塩(Sb,Mo等)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn、Sb、Mo等)、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、通常0.1重量%〜5重量%の割合で使用される。
極圧剤としては、一般に無灰系サルファイド化合物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、これらは、通常0.05重量%〜3重量%の割合で使用される。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等が挙げられ、これらは、通常0.01重量%〜3重量%の割合で使用される。
流動点降下剤としては、一般にエチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、特に、ポリメタアクリレートが好ましく用いられる。これらは、通常0.01重量%〜5重量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、一般に非分散型ポリメタアクリレート、分散型ポリメタアクリレート、非分散型オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー(ポリイソプチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン−ブタジエン水添共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、星状イソプレン等が挙げられる。非分散型オレフィンコポリマーとは、分子中に酸素または窒素を含有せずに分散性能を有しているものである。イソブチレンやエチレン−プロピレン共重合体の分子量としては、重量平均分子量で10万以上(GPC分析においてポリスチレン換算量)のものが好ましい。これらは単独だけでなく複数のものを併用してもよい。通常0.01重量%〜30重量%の割合で使用される。

次に、実施例および比較例により、本発明についてさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は、実施例等により何ら限定されるものではない。

なお、基油および潤滑油組成物の性状は、下記の方法により求めた。また、金属疲労寿命の評価方法として下記の試験方法を採用した。

実施例等での「%」は「重量%」を示す。

1.動粘度(40℃、80℃、100℃)

ASTM D445

2.粘度指数

ASTM D2270

3.金属疲労寿命

(1)円筒疲労試験(Roller Fatigue Test)

円筒疲労試験機に試料油を入れ、約1500rpmで回転させながら80℃の温度に設定した。

ローラーに所定の荷重をゆっくりかけて回転速度を所定の速度に調整し、試験開始とした。疲労摩擦の発生に伴なう振動発生を検知して試験機を停止させた。試験開始から停止までの積算回転サイクル数を金属疲労寿命とした。

下表に示すように、荷重を2350Nとする円筒疲労試験−1(RFT−1)と荷重を1150Nとする円筒疲労試験−2(RFT−2)のニ種の試験を実施した。
Figure 0005807285



(2)球軸受疲労試験(Ball Bearing Test)

球軸受疲労試験機に試料油を滴下し、所定の荷重をかけて温度を80℃に調整しながら2000rpmで回転し試験開始とした。疲労摩擦の発生に伴なう振動発生を検知して試験機を停止させた。

試験開始から停止までの積算回転サイクル数を金属疲労寿命とした。

下表に示すように、荷重条件を310kgfの球軸受疲労試験−1(BBT−1)と400kgfの球軸受疲労試験−2(BBT−2)の二種の試験を実施した。
Figure 0005807285
潤滑油試作油の調製に用いた各成分は次の通りである。

1.基油

鉱油;溶剤精製/水素化処理鉱油

鉱油A KV100=3

鉱油B KV100=4

鉱油C KV100=6

鉱油D KV100=8

合成油;エチレン−アルファオレフィン共重合体

合成油A KV100=10

合成油B KV100=20

合成油C KV100=40

合成油D KV100=100

2.末端変性ポリジエン

(1)化合物1

末端カルボキシル変性水素化1,2−ポリブタジエン

・平均カルボキシル基数 ;2個/分子

・数平均分子量 ;1,400

・ヨウ素価 ;2.2

(2)化合物2

水素化1,2−ポリブタジエン

・数平均分子量;2,100

・ヨウ素価 ;1.5

(3)化合物3

末端ヒドロキシル変性水素化1,2−ポリブタジエン

・平均水酸基数;2個/分子

・数平均分子量;3,000

・ヨウ素価 ;9.4

(4)化合物4

末端ヒドロキシル変性水素化ポリイソプレン

・水酸基価 ;50.5

・数平均分子量;2,500

・臭素価 ;4.7

(5)化合物5

カルボキシル基含有液状NBR

3.添加剤

(1)ギヤ油添加剤パッケージ市販品

(2)ATF添加剤パッケージ市販品

実施例1、比較例1

表1の潤滑油組成物の組成欄に示す基油基材としてKV100=4(100℃における動粘度が4mm /sであることを示す。以下、同じ。)の鉱油Bを潤滑油組成物(試作油)全重量基準(以下、基油基材の配合量の基準については同じ。)で33%およびKV100=20の合成油BおよびKV100=40の合成油Cを同表に示すように、それぞれ8%および27%の割合で混合し調製した基油に、化合物1を5%配合した。さらに、ジイソドデシルアジペート(以下、「DIDA」という。)を17%,ギヤ油添加剤パッケージを10%配合し、80℃における動粘度を19mm/sに調整するとともに40℃における動粘度が74mm /s、100℃における動粘度が11mm /sであり、粘度指数(VI)が147の試作油1(潤滑油組成物)を得た(実施例1の試作油1の疲労寿命を表1の性能欄に示す以下、実施例等で得られた試作油の疲労寿命の測定結果は各表の性能欄に示す。)。

比較のために、表1に示すように組成欄に示す基油基材のKV100=6の鉱油CおよびKV100=40の合成油Cを混合し調製した基油に、試作油aの全重量基準でDIDAを18%、ギヤ油添加剤パッケージを10%配合し、80℃における動粘度を19mm/sに調整し、40℃における動粘度が73mm /s、100℃における動粘度が12mm /sであり、粘度係数156の試作油aを得た(比較例1)

各試作油の性能評価(円筒疲労試験−1)の結果を同表に示す。これによると、化合物1を含有する実施例1の試作油1については疲労寿命の測定結果が190万サイクルであったのに対し、化合物1を含有しない比較例1の試作油aの疲労寿命が50万サイクルであり、試作油1が試作油aに比較して金属疲労寿命の点で著しく顕著な効果を奏することが判明した。

実施例2、比較例2

表1に示す基油基材としてKV100=4の鉱油B、KV100=20の合成油B、およびKV100=40の合成油Cをそれぞれ同表に示す割合で混合し、調製した基油に化合物1を試作油2の全重量基準で3%配合した。さらにポリオールエステルおよびギヤ油添加剤パッケージをそれぞれ同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が19mm/s、40℃における動粘度が77mm /s、100℃における動粘度が12mm /sであり、粘度指数(VI)が144の試作油2を得た(実施例2)。比較のために表1に示すように鉱油B、合成油Bおよび合成油Cを混合し調製した基油に、ポリオールエステル、ギヤ油添加剤パッケージを同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が19mm/s、40℃における動粘度が74mm /s、100℃における動粘度が12mm /s、粘度指数(VI)が152の試作油bを調製した(比較例2)。

実施例3、比較例3〜4

表1に示すKV100=6の基油基材としての鉱油CおよびKV100=40の合成油Cを同表に示す割合で混合し、調製した基油に同表に示す割合で化合物1を配合し、さらにDIDAおよびギヤ油添加剤パッケージを配合して、80℃における動粘度が23mm/sであり、40℃における動粘度が98mm /s、100℃における動粘度が14mm /s、粘度指数(VI)が147の試作油3を調製した(実施例3)。

比較のために同表に示すようにKV100=6の鉱油C、KV100=8の鉱油DおよびKV100=40の合成油Cを混合し、調製した基油にDIDAおよびギヤ油添加剤パッケージを同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が22mm/s、40℃における動粘度が87mm /s、100℃における動粘度が13mm /s、粘度指数(VI)が154の試作油cを得た(比較例3)。

また、KV100=6の鉱油C、KV100=40の合成油Cを表1に示す割合で混合し、調製した基油に、化合物2、DIDAおよびギヤ油添加剤パッケージを同表に示す割合で配合し80℃における動粘度が22mm/s、40℃における動粘度が88mm /s、100℃における動粘度が13mm /s、粘度指数(VI)が154の試作油dを得た(比較例4)。

各試作油1〜3およびa〜dの性能評価(円筒疲労試験−1)の結果を表1に示す。

性能評価(円筒疲労試験−1)の結果、実施例3と比較例3、4との対比では、化合物1を配合した実施例3の試作油3は、化合物2を配合した比較例4の試作油dに比較して金属疲労寿命の点で顕著な効果を奏することがわかった。これにより、化合物1の末端カルボキシル変性水素化1,2−ポリブタジエンが化合物2の末端未変性水素化1,2−ポリブタジエンに比較して、試作油の金属疲労寿命に与える効果が著しく顕著なものであることが明確になった。

一方、比較例3と比較例4との比較から化合物2の金属疲労寿命への効果はほとんどみられなかった。

実施例4〜5、参考例1、比較例5

表2に示すようにKV100=3の鉱油AおよびKV100=4の鉱油Bを混合し、調製した基油に化合物1を配合し、さらにATF用添加剤パッケージを配合し、80℃における動粘度が8mm/s、40℃における動粘度が29mm /s、100℃における動粘度が5mm /sであり、粘度指数(VI)が119の試作油4を調製した(実施例4)。

表2に示すように、KV100=3の鉱油AおよびKV100=4の鉱油Bを同表に示す割合で混合し、調製した基油に化合物1を、同表に示す割合で配合し、粘度指数向上剤およびATF用添加剤パッケージを同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が8mm/s、40℃における動粘度が27mm /s、100℃における動粘度が5mm /s、粘度係数(VI)が140の試作油5を調製した(実施例5)。

また、表2に示す割合でKV100=3の鉱油AおよびKV100=4の鉱油Bを混合し、調製した基油に化合物3を配合し、さらに、ATF用添加剤パッケージを配合し80℃における動粘度が8mm/s、40℃における動粘度が27mm /s、100℃における動粘度が5mm /s、粘度係数(VI)が139の試作油6を調製した(参考例1)。試作油6の調製に用いた化合物3は末端ヒドロキシル変性水素化1,2−ポリブタジエンであるが、数平均分子量が3000である。尚、試作油4〜6は100℃における動粘度を5mm /sに調整した。

比較のために、表2に示す割合で鉱油AおよびBを混合し、調製した基油に、粘度指数向上剤およびATF用添加剤パッケージをそれぞれ配合し、80℃における動粘度が8mm/s、40℃における動粘度が24mm /s、100℃における動粘度が6mm /s、粘度係数(VI)が175の試作油eを調製した(比較例5)。

性能評価試験(円筒疲労試験−2)の結果、表2に示すように、実施例4〜の試作油4〜5と比較例5の試作油eとの比較においても化合物1の金属疲労寿命に与える効果が著しく顕著に表われている。

実施例7、比較例6

表3に示すように、基油としてKV100=8の鉱油Dのみを用い、これに化合物1を同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が11.9mm/s、40℃における動粘度が45mm /s、100℃における動粘度が7.4mm /s、粘度係数(VI)が130の試作油7を調製した(実施例7)。

比較のために同表に示すようにKV100=8の鉱油DにKV100=100の合成油Dを配合し、試作油fを調製した(比較例6)。

性能評価(球軸受疲労試験−1)の結果、実施例7の試作油7は比較例6の試作油fと比較して著しく顕著な効果を奏したことが確認できた。
参考例2〜3、比較例7
表4に示す割合でKV100=8の鉱油Dに化合物4を同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が11.9mm/s、40℃における動粘度が44.4mm /s、100℃における動粘度が7.5mm /s、粘度指数(VI)が133の試作油8を調製した(参考例2)。また、KV100=8の鉱油DとKV100=100の合成油Dを表4に示す割合で混合し、基油を調製し、これに化合物5を同表に示す割合で配合し、80℃における動粘度が11.9mm/s、40℃における動粘度が44.4mm/s、100℃における動粘度が7.5mm /s、粘度係数(VI)が133の試作油9を調製した(参考例3)。
比較のために、KV100=8の鉱油DとKV100=100の合成油Dを同表に示す割合で混合し、80℃における動粘度が11.8mm/s、40℃における動粘度が44.2mm /s、100℃における動粘度が7.4mm /s、粘度指数(VI)が132の試作油gを調製した(比較例7)。これらの試作油の性能評価(球軸受疲労試験−2)の結果、化合物4および5をそれぞれ用いた参考例2およびの試作油8および9を比較例7の試作油gと比較すれば金属疲労寿命の点で顕著な効果を奏する点が明らかになった。
Figure 0005807285

Figure 0005807285

Figure 0005807285

Figure 0005807285

Claims (2)

  1. 成分Aおよび成分Bを少なくとも含有する自動車用駆動系潤滑油組成物であって、100℃における動粘度が5〜15mm /sであり、
    前記成分Aが潤滑油基油であり、前記成分Bが前記潤滑油基油に配合された少なくとも一種の末端変性ポリジエンであって、前記末端変性ポリジエンが、末端変性水素化1、2−ポリブタジエンであり、
    前記末端変性水素化1、2−ポリブタジエンの変性部分が少なくとも一個の分子鎖末端に存在し、前記変性部分は、官能基が導入されることにより形成されたものであり、前記官能基は、カルボキシル基および無水カルボン酸基からなる群より選択される少なくとも一種の有機基であり、
    前記末端変性水素化1、2−ポリブタジエンの数平均分子量が500〜1,400であり、
    前記末端変性水素化1、2−ポリブタジエンのヨウ素価が20以下であり、
    前記末端変性水素化1、2−ポリブタジエンの含有量が、前記潤滑油組成物全重量基準で1.4〜10重量%であり、
    金属疲労寿命の評価において、円筒疲労試験機に採取した試料油の油温を80℃に設定し、ローラーを約1500rpmで回転させながら前記ローラーに2350Nの荷重をかけて、回転速度を調整して試験を開始し、疲労摩擦に伴う振動発生を検知するに至り、試験を停止するまでの積算回転サイクル数を金属疲労寿命とする円筒疲労試験−1により測定された積算回転サイクル数が1.4百万サイクル以上、または、円筒疲労試験機に採取した試料油の油温を80℃に設定し、ローラーを約1500rpmで回転させながら前記ローラーに1150Nの荷重をかけ、回転速度を調整して試験を開始し、疲労摩擦に伴う振動発生を検知するに至り、試験を停止するまでの積算回転サイクル数を金属疲労寿命とする円筒疲労試験−2により測定された積算回転サイクル数が2.7百万サイクル以上、または、球軸受疲労試験機に滴下する試料油の油温を80℃に設定し、試験球を2000rpmで回転させながら310kgfの荷重をかけて試験を開始し、疲労摩擦に伴う振動発生を検知するに至り、試験を停止するまでの積算回転サイクル数を金属疲労寿命とする球軸受疲労試験−1により測定された積算回転サイクル数が8.2百万サイクル以上である優れた金属疲労寿命特性を有することを特徴とする自動車用駆動系潤滑油組成物。
  2. 前記成分Aおよび成分Bを含有する前記自動車用駆動系潤滑油組成物に、さらに配合される成分Cが、エステルである請求項1に記載の自動車用駆動系潤滑油組成物。
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