JP5806846B2 - パンツ型吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
従来、パンツ型の使い捨ておむつの上腹部領域(腹側部における吸収性本体の上端部より上側の領域)のシート積層構造として、種々のものが知られている。
例えば、特許文献1には、上腹部領域が、最外層シート、外層シート、インナーシート、及び外層シートがウエスト開口縁において肌面側に折り返されて生じた折り返しシートとからなる使い捨ておむつが記載されている。当該おむつにおける上腹部領域は、最外層シート、インナーシート、外層シート及び折り返しシートの計4枚が積層した4層部と、該4層部の上下に位置しインナーシート又は折り返しシートが積層されていない3層部とからなる。
また、特許文献2には、上腹部領域が、外層のシート、内層シート、及び外層シートがウエスト開口縁において肌面側に折り返されて生じた折り返しシートからなり、上腹部領域の全体が3層構成となったおむつ1が記載されている。また、特許文献3には、上腹部領域のうち、ウエスト開口縁側が2層部、吸収性本体側が、2枚の不織布からなる補助シートが配されて4層部となっているおむつが記載されている。
特開平11−4853号公報 特開2007−105115号公報 特開2003−126148号公報
特許文献1,3のおむつにおいては、上腹部領域の一部に4層部が存在するため、サイドシール部に接合強度ムラが起こりやすい。即ち、サイドシール部のうち上腹部領域の4層部が背側部と接合した箇所には局所的な硬化が生じ易く、硬化した部分が肌に接触することによって着用者に違和感や不快感を与えやすい。他方、シール加工の際のシール部材間のクリアランスを拡げる等により、局所的硬化を抑制しようとすると、4層部以外の部分の接合強度が不十分となり、着用中にサイドシール部に剥離が生じることが懸念される。また、特に特許文献3のおむつにおいては、ウエスト開口縁側の層数と吸収性本体側の層数が大きく異なるため、ウエスト開口縁側の局所的硬化やウエスト部の接合強度低下が一層生じやすい。
また、特許文献2のおむつのように、外層シート及び内層シートとは別体の補助シートがない場合、折り返しシートのおむつ縦方向の寸法を大きくしなければならない。一般に、おむつの製造においては、おむつの縦方向が製造ラインの幅方向となることが多いため、特許文献2のおむつの製造には、製造設備の大型化が必要となる。
また、上腹部領域の全体を3層以上の構成とすると、上腹部領域の着用者の肌に対する追従性に劣る。
従って、本発明の課題は、着用者の腹部曲面に沿って変形しやすく優れたフィット性を有すると共に、サイドシール部の接合強度ムラによる不都合を防止でき、且つコンパクトな製造設備の設計を可能とするパンツ型吸収性物品を提供することにある。
本発明は、外装体と、該外装体の肌面側に固定された吸収性本体とを備え、背側部から股部を介して腹側部に亘る縦方向と、これに交差する幅方向を有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、腹側部における前記吸収性本体の上端部より上側の領域である上腹部領域が、外層シート、該外層シートの肌面側に位置する内層シート、前記吸収性本体の上端部の上下に亘って延在する補助シート、及び前記外層シートを構成するシートがウエスト開口縁で肌面側に折り返されて生じた折り返しシートを有しており、前記内層シート又は前記補助シートは、前記折り返しシートと厚み方向に重なっておらず、前記上腹部領域は、前記縦方向に関して、前記4枚のシートのうちの前記内層シート又は前記補助シートを除く3枚が積層された第1の3層部と、前記4枚のシートのうちの前記折り返しシートを除く3枚が積層された第2の3層部と、第1及び第2の3層部間に位置し、前記4枚のシートのうちの前記折り返しシート以外の2枚が積層された2層部とを有しており、第1の3層部及び第2の3層部は、前記縦方向の合計長さが、前記上腹部領域の同方向の長さの70〜97%であり、前記2層部の同方向の長さは3〜25mmである、パンツ型吸収性物品を提供するものである。
本発明によれば、着用者の腹部曲面に沿って変形しやすく優れたフィット性を有すると共に、サイドシール部の接合強度ムラによる不都合を防止でき、且つコンパクトな製造設備の設計を可能とするパンツ型吸収性物品が提供される。
図1は、本発明のパンツ型吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。 図2は、図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における内面側を示す展開平面図である。展開且つ伸長状態とは、パンツ型吸収性物品を展開状態とし、その展開状態の吸収性物品を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。 図3は、図2のII−II線断面図である。 図4は、図1のI‐I線断面図である。 図5は、図3の矩形枠Tで囲まれた部分を拡大して示す模式断面図である。 図6(a)は、図1に示すおむつを着用した状態を示す模式図であり、図6(b)は、5層接合部のないおむつを着用した状態を示す模式図である。 図7は、図1に示すおむつのサイドシールの強接合部の形成態様を示す模式図である。 図8は、本発明のパンツ型吸収性物品の他の実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。 図9は、図8に示すおむつの縦方向に沿う断面図であり、図4の腹側の断面図に相当する図である。 図10は、本発明の変形例であるおむつの縦方向に沿う断面図であり、図4の腹側の断面図に相当する図である。
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、図2に示すように、外装体11と、外装体11の肌面側に固定された吸収性本体10とを備え、背側部B、腹側部A、及び背側部Bと腹側部Aとの間に位置する股部Cとを有する。そして、腹側部Aの側縁部と背側部Bの側縁部とが接合されて、おむつ1に、一対のサイドシール部S,Sが形成されている。腹側部Aは、着用時に着用者の腹側に配される部位であり、背側部Bは、着用時に着用者の背側に配される部位である。股部Cは、凹状の両側縁部を有し、腹側部Aと背側部Bとの間に位置して、着用時に着用者の股間部に配される。
また、図3に示すように、腹側部Aにおける、吸収性本体10の上端部10awより上側の領域である上腹部領域Atには、外層シート12、外層シート12の肌面側に位置する内層シート13、吸収性本体10の上端部10awの上下に亘って延在する補助シート15、及び外層シート12がウエスト開口縁Wにおいて肌面側に折り返されて生じた折り返しシート12aが配されている。内層シート13又は補助シート15は、折り返しシート12aと厚み方向に重なっておらず、上腹部領域Atは、おむつ1の縦方向に関して、4枚のシート12,13,15,12aのうちの内層シート13又は補助シート15を除く3枚が積層された第1の3層部A31と、4枚のシート12,13,15,12aのうちの折り返しシート12aを除く3枚が積層された第2の3層部A32と、第1及び第2の3層部A31,A32間に位置し、4枚のシート12,13,15,12aのうちの折り返しシート12a以外の2枚が積層された2層部A2とを有している。また、第1の3層部A31及び第2の3層部A32は、おむつ1の縦方向(Y方向)の長さの合計(L31+L32,図3参照)が、上腹部領域Atの同方向(Y方向)の長さLt(図3参照)の70〜97%であり、2層部A2は、同方向(Y方向)の長さL2(図3参照)が3〜25mmである。
パンツ型吸収性物品の縦方向とは、腹側部Aから股部Cを経て背側部Bに亘る方向(その逆方向も本明細書では同じものとして扱う)であり、図2中のY方向である。また、パンツ型吸収性物品の幅方向は、展開且つ伸長状態のパンツ型吸収性物品において、パンツ型吸収性物品の前記縦方向と直交する方向であり、図2中のX方向である。
また、腹側部A及び背側部Bにおいては、おむつ1の縦方向(Y方向)は着用時の上下方向であることから、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおける、おむつ縦方向(Y方向)を上下方向、その上下方向のウエスト開口縁側を上側、その上下方向の股部側を下側ともいう。
以下、おむつ1(パンツ型吸収性物品)における縦方向又は前記上下方向をY方向、おむつ1(パンツ型吸収性物品)における幅方向をX方向ともいう。
以下、本実施形態のおむつ1について、より詳細に説明する。
本実施形態のおむつ1における外装体11は、図2〜図4に示すように、外層シート12、内層シート13、補助シート15を有し、更に折り返しシート12a,12bを有する。折り返しシート12a,12bは、外層シート12を構成するシート材におけるウエスト開口縁Wより延出する部分が、該ウエスト開口縁Wにおいて肌面側に折り返されて形成されたものである。外層シート12及び内層シート13は、それぞれ、腹側部A、股部C及び背側部Bに亘って連続しており、補助シート15は、背側部B及び腹側部Aにそれぞれ一枚ずつ配されている。
図1に示すように、外装体11は、腹側部Aにおける両側縁部と、背側部Bにおける両側縁部とが互いに接合されており、その接合によって、おむつ1に、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。ウエスト開口縁Wは、ウエスト開口部5の周縁である。外装体11は、展開且つ伸長状態のおむつ1においては、図2に示すように、縦方向中央部が括れた砂時計状の形状をしている。本実施形態のおむつ1の腹側部A及び背側部Bは、それぞれ、ウエスト開口縁Wからサイドシール部S,Sの股部C側の端部Stまでの部分である。
図2及び図3に示すように、吸収性本体10は、Y方向に長い長方形状であり、液透過性の表面シート2、液不透過性又は液難透過性(撥水性等)の裏面シート3及び両シート2、3間に介在配置された液保持性の吸収体4を有する。吸収体4は、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)からなる吸収性コア又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシート(図示せず)からなる。吸収体4も、Y方向に長い長方形状に形成されている。コアラップシートとしては、各種公知のものを用いることができ、例えばティッシュペーパのような薄紙や透水性の不織布等が好ましく用いられる。
本おむつ1においては、図2に示すように、吸収性本体10の長手方向の左右両側に、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス8、8が形成されている。各側方カフス8の自由端部の近傍には、複数の側方カフス弾性部材81が伸張状態で配されている。側方カフス8は、おむつ着用時に起立して液の側方への流出を阻止する。
図2に示すように、Y方向において、腹側部Aは、上腹部領域At及び本体フラップ部Asに区分される。図3に示すように、上腹部領域Atは、ウエスト開口縁Wから、吸収性本体10の上端部(吸収性本体の縦方向の腹側部側の端部)10awの位置までの領域であり、本体フラップ部Asは、吸収性本体10の前記上端部10awの位置より股部C側の領域である。
腹側部Aと同様に、Y方向において背側部Bは、上背部領域Bt及び本体フラップ部Bsの2領域に区分される。上背部領域Btは、ウエスト開口縁Wから、吸収性本体10の上端部10bw(吸収性本体の縦方向の背側部側の端部)の位置までの領域であり、本体フラップ部Bsは、吸収性本体10の前記上端部10bwの位置より股部C側の領域である。
上腹部領域At、上背部領域Bt、本体フラップ部As,Bsは、それぞれおむつ1のX方向の全長に亘っており、且つ各部At,Bt,As,BsのY方向の長さは、X方向に沿って略一定である。
次に、図3、図4に基づき、腹側部A及び背側部B、特に上腹部領域At及び上背部領域Btのシートの積層状態について説明する。
上腹部領域At及び上腹部領域Btは、いずれも、外層シート12、内層シート13、補助シート15及び折り返しシート12a,12bから構成されている。
図3,図4に示すように、外層シート12は、おむつ1の外表面を形成しており、内層シート13は、外層シート12に隣接させて外層シート12の肌面側に配されている。肌面は、各シートの両面のうち、パンツ型吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面である。
内層シート13のおむつ縦方向の端部(以下、Y方向端部ともいう)13awは腹側部Aにおいて、吸収性本体10のY方向端部10awとウエスト開口縁Wとの間に位置しており、背側部Bにおける内層シート13のY方向端部13bwも同様である。
補助シート15,15は、図2に示すように、吸収性本体10の端部10aw,10bw近傍の肌面側及び該端部10aw,10bw近傍の上方及び両側方を覆っている。補助シート15,15における、吸収性本体10の端部10aw,10bwよりウエスト開口縁W側に位置する部分は、図3及び図4に示すように、内層シート13、及び外層シート12における内層シート13の端部13aw,13bwよりウエスト開口縁W側に位置する部分に直接積層されている。
また、図4に示すように、補助シート15,15における、ウエスト開口縁W側の端部15aw,15bwは、ウエスト開口縁W若しくは外層シート12を構成するシートの折り部又はそれらの近傍に達している。折り返しシート12a,12bは、該外層シート12に積層された補助シート15,15に積層接着されている。
補助シート15,15における、吸収性本体10の肌面を覆う部分は、該本体10に対して接着剤で接合されているが、接合されていなくても良い。但し、使用者がおむつ1を履き上げる際に補助シート15が吸収性本体10から離間し、上腹部領域における外層シート12および/または内層シート13が破断することを防止する観点から、補助シート15は該本体10に対して接着剤で接合されていることが好ましく、特に表面シート2上に接合されていることが好ましい。更には、補助シート15が表面シート2と接合している領域の少なくとも一部において表面シート2が吸収体4(あるいは吸収体からおむつ1の縦方向に延出した前記コアラップシート)と接合されていることがより好ましい。また、吸収性本体10は、内層シート13と接する面が内層シート13に対して接着剤で接合されている。
図3,図4に示すように、内層シート13は、腹側部A及び背側部Bのいずれにおいても、折り返しシート12a,12bと厚み方向(図3のZ方向)に重なっていない。即ち、図3,図4に示すように、上腹部領域Atにおける、内層シート13のウエスト開口縁側の端部(上端部)13awは、折り返しシート12aの股部側の端部(下端部)12acよりも股部側(下側)に位置しており、図4に示すように、上背部領域Btにおける内層シート13も同様である。
そして、これによって、図3に示すように、上腹部領域Atにおける、内層シート13のウエスト開口縁側の端部13awと、折り返しシート12aの股部C側の端部12acとの間に、外層シート12及び補助シート15が積層された2層部A2が形成されている。また、上背部領域Btにおける、内層シート13のウエスト開口縁側の端部13bwと、折り返しシート12bの股部C側の端部12bcとの間にも、同様に、外層シート12及び補助シート15が積層された2層部B2が形成されている。
本実施形態のおむつ1においては、上腹部領域At、上背部領域Bt、本体フラップ部As,Bsは、それぞれおむつ1の幅方向の全長に亘っており、且つ各部At,Bt,As,BsのY方向の長さもX方向に亘って略一定である。
また、前述した各シート12,13,15,12a,12bは、何れも、おむつ1の幅方向の全長に亘って配されており、展開且つ伸長状態のおむつ1(図2参照)において、各シート12,13,15,12a,12bのY方向の端部は、何れもX方向に平行な直線状である。そのため、各シート12,13,15,12a,12bのY方向の長さもX方向に亘って略一定であり、また、上腹部領域Atの2層部A2及び上背部領域Btの2層部B2も、それぞれ、ウエスト開口縁Wと略平行に形成され、Y方向の長さもX方向に亘って略一定である。
また、図3に示すように、上腹部領域AtのY方向における、前記2層部A2よりウエスト開口縁W側(上側)には、外層シート12、補助シート15及び折り返しシート12aの3枚が積層されており且つ内層シート13が積層されていない第1の3層部A31が形成されている。第1の3層部A31は、補助シート15のウエスト開口縁側の端部15awと、折り返しシート12aの股部側の端部12acとに挟まれた領域である。
また、上腹部領域AtのY方向における、前記2層部A2より股部側(下側)には、外層シート12、内層シート13及び補助シート15の3枚が積層されており且つ折り返しシート12aが積層されていない第2の3層部A32が形成されている。第2の3層部A32は、内層シート13のウエスト開口縁側の端部13awと吸収性本体10の縦方向の端部10awとに挟まれた領域である。
また、上腹部領域Atにおける第1の3層部A31のY方向長さL31と、第2の3層部A32の長さL32との合計(L31+L32)は、上腹部領域Atの同方向(Y方向)の長さLtの70〜97%である。また、上腹部領域Atにおける2層部A2のY方向長さL2(図3参照)は3〜25mmである。
本実施形態のおむつ1によれば、前述したように、上腹部領域Atに、第1及び第2の3層部A31,A32とその間に位置する2層部A2とを有しており、2層部A2は、シートの積層枚数が少ないことによって、上下の3層部A31,A32に比して曲げ剛性が小さく柔軟であるため、2層部A2は、上腹部領域Atを屈曲させる屈曲部Hとして機能する。
即ち、本実施形態のおむつ1によれば、2層部A2と、その上下の3層部A31,A32との剛性差によって、屈曲部Hを形成する2層部A2を起点に、上腹部領域Aにおける第2の3層部A32よりも上方に位置する部分が、ウエスト弾性部材51の収縮力との相互作用によりウエスト開口部の中心に向かう方向又はその逆方向に向かって折れ曲がり易い。そのため、上腹部領域Aの着用者の体型追従性が向上する。これにより、上腹部領域Atが、腹部の曲面に沿って変形しやすくなり、腹部のフィット性が向上し、また着用時に柔らかな印象を与える外観が得られる。
上腹部領域Atは、縦方向に関して、ウエスト開口縁Wから18cmの範囲内に位置することが好ましく、より好ましくは12cmの範囲内に位置する。
一般的に、着用者の上前腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部分や腹部突出点は、それらが膨出していることによって、外衣による強い着圧を受ける。そのため、おむつにおけるそれらの部分を覆う部分には、サイドシール部を含む全体において高い柔軟性が求められる。本実施形態のおむつ1では、上腹部領域Atに剛性の低い2層部A2が設けられており柔軟であるため、上腹部領域Atを、上前腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部分及び/又は腹部突出点の高さに配される部分に配することにより、着用者の肌への負担を効果的に軽減することができる。上腹部領域Atは、前記のように、ウエスト開口縁Wから18cmの範囲内に位置すると、おむつ1の着用時に、上腹部領域Atが、上前腸骨稜から上前腸骨棘にかけての部分や腹部突出点を覆う部分に確実に配することができる。
上腹部領域AtのY方向における長さLt(図3参照)は、おむつ1の縦方向の全長L(図2参照)に対して5〜25%であることが好ましく、より好ましくは8〜22%である。
また、上腹部領域Atの前記長さLtは、5〜18cmであることが好ましく、特に7〜16cmであることが好ましい。
また、一般的に上腹部領域Atは着脱時の把持部でもあるため、指を突き刺しても破れない強い突き抜け強度が求められる。本実施形態のおむつ1においては、2層部A2は、縦方向長さが25mm以下に限定され、また縦方向において、3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの長さLtの70%以上を占める。このため、着用者がおむつ1を把持する時に2層部A2に指を突き刺して破いてしまう不都合を効果的に抑制できる。一方、2層部A2の長さL2が3mm以上で、且つ3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの長さLtの97%以下であることにより、2層部A2が屈曲部Hとして機能することによる、上腹部領域Atの体型追従性向上効果が確実に得られる。
また縦方向において、3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの長さLtの70%以上を占め、且つ上腹部領域Atに4層部が存在しないため、サイドシール部Sの接合強度ムラの低減が低減でき、当該接合強度ムラによる局所的硬化や、積層枚数が少ない部位におけるサイドシール部の剥がれの防止にも繋がる。
また、本実施形態のおむつ1においては、上腹部領域Atに、吸収性本体10の縦方向端部10awの上下に亘って延在する補助シート15が配されている。そのため、外層シート12の折り返しシート12aの縦方向の長さを抑制することができ、補助シート15を用いない場合に比して、コンパクトな製造設備の設計が可能である。更に、本実施形態のおむつ1においては、上背部領域Btにも、吸収性本体10の縦方向端部10bwの上下に亘って延在する補助シート15が配されている。そのため、更にコンパクトな製造設備の設計が可能である。
上記の一又は二以上の効果を得る観点から、第1及び第2の3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの前記長さLtの80%以上であり且つ2層部A2の長さL2が4〜20mmであることが、より好ましく、第1及び第2の3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの前記長さLtの90%以上であり且つ2層部A2の長さL2が5〜10mmであることが、更に好ましい。
なお、第1及び第2の3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)が上腹部領域Atの長さLtの70〜97%であるのに対して、2層部A2の前記長さL2は、上腹部領域のY方向長さLt(図3参照)の3〜30%であることが好ましく、5〜15%であることが更に好ましい。
また、第1の3層部A31のおむつ縦方向(Y方向)の長さ(L31,図3参照)は10〜90mmであることが好ましく、更に好ましくは15〜80mmである。第2の3層部A32のおむつ縦方向(Y方向)の長さ(L32,図3参照)は15〜90mmであることが好ましく、更に好ましくは30〜80mmである。
また、第1の3層部A31の長さL31は、第1及び第2の3層部A31,A32の合計長さ(L31+L32)に対する割合が、10〜75%、特に15〜60%であることが、上腹部領域Atの着用者の肌へのフィット性向上の観点等から好ましい。
なお、上腹部領域Atは、2層部A2及び3層部A31,A32以外に、ウエスト開口縁Wに沿う2層部Pxを有していてもよい。但し、ウエスト開口縁Wに設けても良い前記2層部PxのY方向の長さLx(図3参照)は、上腹部領域Atの前記長さLtの7%以下であることが好ましく、より好ましくは4%以下であり、更に好ましくは1%以下である。また、前記2層部Pxの前記長さLxは、5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3mm以下であり、特に好ましくは1mm以下である。
図3に示すように、補助シート15のウエスト開口縁側の端部15awが、外層シート12と折り返しシート12aの間に挟持することにより、ウエスト開口縁における外装シート12が折り返されている部分の丸みを大きくし、着用者の肌への刺激を低減することができる。
また、補助シート15が親水性かつ透湿性であり、かつ、外層シート12及び内層シート13が撥水性かつ透湿性であることが好ましい。補助シート15の親水効果によりお腹周りの吸汗性を高めるとともに、外層シート12及び内層シート13の2重の撥水効果により汗の液滴が衣服へ漏出することを防止し、かつ汗を蒸気として外部へ発散させることにより、着用者の衣服内環境を改善することができる。しかも、2層部分A2から吸水された汗等が領域A31に取り込まれ易くなっているので、胴回り等で着用者に濡れ感を低減させながら蒸気を発散させうる。
図4に示すように、本実施形態のおむつ1においては、背側部Bにおける、上腹部領域Atに対応する領域である上背部領域Btも、上腹部領域Btと同様のシートの積層構造を有しており、上腹部領域Btにも、第1及び第2の3層部B31,B32と、それらの間の2層部B2とが形成されている。上背部領域Btにおいても、第1及び第2の3層部B31,B32のY方向の合計長さは、上背部領域Btの長さLtの70〜97%であることが好ましいが、それに限定されるものではない。また、上背部領域Btにおいても、2層部B2のY方向の長さが、5〜10mmであることが好ましいが、それに限られるものではない。
前述した体型追従性向上効果、柔軟性向上効果は、特にサイドシール部Sにおいて大きく発揮される。また、当該効果は、例えば背側部Bにおける、上腹部領域Atに対応する領域の全体が均一な層構造である場合(例えば全体が3層、或いは4層である場合等)においても発揮される。上腹部領域Atに対応する領域とは、ウエスト開口縁Wからの距離が、上腹部領域Atと同じ範囲である領域であり、本実施形態のおむつ1においては、前述した上背部領域Btと同領域である。
しかし、本実施形態のおむつ1のように、上背部領域Btにおいても第1及び第2の3層部B31,B32に挟まれた2層部B2が形成されており、サイドシール部Sが、上腹部領域Atと上背部領域Btの2層部同士が接合された4層接合部S4を有する場合には3層部同士が接合された6層接合部S6との剛性差が大きく、上記の体型追従性、柔軟性の効果がサイドシール部Sにおいて更に大きく発揮される。
本実施形態のおむつ1における上腹部領域At,上背部領域Btには、ウエスト弾性部材51及びエンドフラップ弾性部材71が、いずれも幅方向(X方向)に沿って配されている。ウエスト弾性部材51及びエンドフラップ弾性部材71は、いずれも幅方向(X方向)に沿って伸長状態で固定されており、おむつの胴回り方向に伸縮する。
ウエスト弾性部材51は、腹側部A及び背側部BのそれぞれのY方向において、第2の3層部A32,B32(本実施形態においては、内層シート13の縦方向端部13aw,13bwの位置)よりもウエスト開口縁W側(上側)に配された弾性部材である。また、エンドフラップ弾性部材71は、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、第2の3層部A32,B32に配された弾性部材である。
但し、背側部Bに、第1の3層部と第2の3層部との間に位置する2層部が存在しない場合には、背側部Bにおける、腹側部Aの第2の3層部A32に対応する部分に配されている弾性部材をエンドフラップ弾性部材とし、背側部Bにおける、腹側部Aの第2の3層部A32に対応する部分よりウエスト開口縁W側(上側)に配された弾性部材をウエスト弾性部材51とする。
ウエスト弾性部材51は、上腹部領域At,上背部領域Btのそれぞれにおいて、Y方向に間隔を開けて複数本配されていることが好ましい。上腹部領域At,上背部領域Btのそれぞれに配するウエスト弾性部材51の本数は、3〜15本、特に4〜12本であることがより好ましい。ウエスト弾性部材51は、図3、図4に示すように、外層シート12の内面に接合されている。より具体的には、ウエスト弾性部材51は、外層シート12と補助シート15との間に接合されている。ウエスト弾性部材51は、それぞれを挟む2枚のシート12,15に接着剤を介して接合されている。但し、ウエスト弾性部材51は、ウエスト弾性部材51が設けられた領域(サイドシール部Sを除く)において、ウエスト弾性部材51のそれぞれに塗工された接着剤によってのみ2枚のシート12,15が接合されていることが、接着剤の影響によるウエスト弾性部材51の伸縮性の低下を防ぎ、かつ柔軟性を向上させる観点から好ましい。
また、ウエスト弾性部材51は、ウエスト開口縁Wに沿って配設固定されており、腹側部A及び背側部Bそれぞれの幅方向(X方向)の全長に亘って配されている。
エンドフラップ弾性部材71は、上腹部領域At,上背部領域Btのそれぞれにおいて、Y方向に間隔を開けて複数本配されていることが好ましい。上腹部領域At,上背部領域Btのそれぞれに配するエンドフラップ弾性部材71の本数は、2〜10本、特に3〜7本であることが好ましい。図3,図4に示すように、ウエスト弾性部材51は、外層シート12の内面に接合されており、より具体的には、外層シート12と内層シート13との間に接合されている。エンドフラップ弾性部材71は、それぞれを挟む2枚のシート12,13に接着剤を介して接合されている。
図2に示すように、上腹部領域At、上背部領域Btは、それぞれ、縦方向(Y方向)において、最も股部C側に位置するウエスト弾性部材51cの下端位置から、吸収性本体10の縦方向の端部10aw,10bwの位置までの領域であるエンドフラップ部Ae,Beを有する。エンドフラップ部Ae,Beは、上述のエンドフラップ弾性部材71が配された領域である。
なお、図2、図4に示すように、各本体フラップ部As,Bsには本体フラップ弾性部材91が、幅方向に沿って配されている。本体フラップ弾性部材91は、外層シート12の内面に、より具体的には、外層シート12及び内層シート13との間に接合されている。本体フラップ弾性部材91は、本体フラップ部As,BsのX方向中央部で左右に分割された状態で配されている。即ち、本体フラップ部As,Bsは、吸収性本体10と重なるX方向中央部に、本体フラップ弾性部材91が伸縮力を発現しない非伸縮領域を有する。左右に分割された本体フラップ弾性部材91は、背側部B及び腹側部AのX方向両端まで延在している。
本体フラップ部As,Bsの非伸縮性領域は、本体フラップ弾性部材91の当該領域に配された部分が伸縮性を発現しないようにして設けたものであっても良い。例えば、非伸縮性領域は、本体フラップ弾性部材91が、伸長状態が解除された複数の断片が生じるように切断された箇所であっても良い。
本体フラップ部As,Bsそれぞれにおいて本体フラップ弾性部材91はY方向に間隔をあけて複数本配されていることが好ましく、更に好ましくは4〜10本配されている。ここで、本体フラップ弾性部材91の数は、本実施形態のように、本体フラップ弾性部材91がX方向に分割されている場合、左右の2本を纏めて1本と数える。
第1の3層部A31の収縮応力は第2の3層部A32の収縮応力よりも大きいことが、2層部A2(屈曲部H)よりウエスト開口縁W側(上側)の部分がウエスト開口部の中心に向かって内側に傾斜するように屈曲して着用者の外面に密着しやすくなる点から好ましい。
ここで、第1の3層部A31の収縮応力とは、腹側部Aの第1の3層部A31と背側部Bにおける該第1の3層部A31と対応する部分とがおむつの両側部(サイドシール部S,S)で繋がった環状領域についての収縮応力を意味し、第2の3層部A32の収縮応力も同様である。なお、例えば、背側部Bにおいて第1の3層部A31と対応する部分とは、その上端及び下端のウエスト開口縁Wからの距離(Y方向距離)がいずれも、腹側部Aにおける第1の3層部A31と同じ部分である。
第1の3層部及び第2の3層部の収縮応力は、以下のようにして測定する。
〔収縮応力の測定方法〕
おむつから、腹側部Aの第1の3層部A31と背側部Bにおける、腹側部Aの第1の3層部A31と対応する部分とが環状に繋がった第1の3層部の測定サンプル、腹側部Aの第2の3層部A32と背側部Bにおける、腹側部Aの第2の3層部A32と対応する部分とが環状に繋がった第2の3層部の測定サンプルとを切り出す。そして、それぞれのサンプルを、一対のU字状の治具間に架け渡すようにして、引張試験機(例えば、オリエンテック社製の「RTA−100」等)のチャック間に固定する。サンプルの初期状態の長さaは、環状のサンプルを自然に収縮させた状態(自然状態、外力を加えない状態)におけるサンプルの周長の1/2の長さとする。そして、チャック間に固定したサンプルを、初期状態の長さaに対して1.5倍の長さとなるまで伸長させた時点における応力(N)を、それぞれのサンプルの収縮応力とする。
第1の3層部の収縮応力と第2の3層部の収縮応力を異ならせる方法としては、(1)第1の3層部に配された弾性部材(本実施形態ではウエスト弾性材51)と第2の3層部に配された弾性部材(本実施形態ではエンドフラップ弾性材71)との数を異ならせる方法のほか、(2)配置ピッチを異ならせる方法、(3)伸長率を異ならせる方法、(4)太さを異ならせる方法、(5)材質を異ならせる方法、(6)これらの2種以上を組み合わせた方法等を採用することができる。
本実施形態のおむつ1においては、上述のように、上背部領域Btは、上腹部領域Atと同様のシートの積層構造を有している。
しかし、上腹部領域Atと上背部領域Btとで、2層部A2,B2の位置がY方向にずれている。より具体的に説明すると、折り返しシート12a,12bの股部側端部(下端部12ac,12bc)の位置がY方向にずれているとともに、上腹部領域At及び上背部領域Btにおける内層シート13のY方向端部(上端部13aw、13bw)の位置がY方向にずれている。図4では、腹側の折り返しシート12aの股部側端部12acは背側の折り返しシート12bの下端部12bcより股部側(下側)に位置すると共に、腹側の内層シート13のY方向端部13awは背側の内層シート13のY方向端部13bwより股部側(下側)に位置する。しかしながら、端部12acは端部12bcよりもウエスト開口縁側(上側)に位置すると共に、端部13awは端部13bwよりウエスト開口縁側(上側)に位置してもよい。このように、腹側部Aと背側部Bにおける折り返しシートの股部側端部の上下関係が、腹側部Aと背側部Bにおける内層シートのY方向外端部の上下関係と同じであることが好ましい。
上記した2層部の位置のずれにより、腹側部Aの側縁部と背側部Bの側縁部とを重ね合わせて接合されたサイドシール部Sにおいては、積層されたシート枚数が5枚の5層接合部が2箇所設けられている。上側の5層接合部S5は、上腹部領域Atの第1の3層部A31と上背部領域Btの2層部B2とが重ね合わされて接合されてなる。下側の5層接合部S5は、上腹部領域Atの2層部A2と上背部領域Btの第2の3層部B32とが重ね合わされて接合されてなる。
図4に示すように、腹側の折り返しシート12aの下端部12acは、背側の内層シートの上端部13bwよりも上方に位置する。これによりサイドシール部Sには、2つの5層接合部S5,S5に挟まれて積層シート枚数が4枚の4層接合部S4が設けられている。4層接合部S4は、上腹部領域Atの2層部A2と上背部領域Btの2層部B2とが重ね合わされてなる。
またサイドシール部Sには、積層されたシート枚数が6枚の6層接合部が2箇所設けられている。上側の6層接合部S6は、背側の折り返しシート12bの下端部12bcより上方に、設けられており、下側の6層接合部S6が、腹側の内層シート上端部13awよりも下方に設けられている。即ち、上側の6層接合部S6は上側の5層接合部S5の上方に設けられており、下側の6層領域S6は下側の5層接合部S5の下方に設けられている。
本実施形態のおむつ1においては、サイドシール部Sに、このような態様で、4層接合部S4と、5層接合部S5,S5と、6層接合部S6,S6とが形成されているため、図6(a)に示すように、おむつ1の両側部におけるフィット性及び装着感の一層の向上効果が得られる。
即ち、おむつ1においては、サイドシール部Sの縦方向における4層接合部S4と6層接合部S6,S6との間に5層接合部S5,S5が、狭い領域内に存在することにより、縦方向に沿う層構造の変化が緩やかである。このため、図6(a)に示すように、おむつ1の着用時において、5層接合部S5及びS5においても屈曲が生じるため、4層接合部S4における屈曲が緩やかになる。これにより、サイドシール部Sは着用者Mの両側部の緩やかな曲面形状に沿いやすく、おむつ1が着用者の両側部に密着しやすい。このためおむつ1では、おむつ1の両側部におけるフィット性及び装着感を向上させることができる。
一方、図6(b)は、5層接合部S5,S5のないおむつ1’を着用者Mが着用した状態を示す模式図である。おむつ1’においては、本実施形態のおむつ1とほぼ同様の構成を有しているが、上腹部領域Atと上背部領域Btの2層部A2,B2が上下方向の同位置にある。つまり、上腹部領域Atと上背部領域Btにおいて、折り返しシートの股部側端部12aw,12bwが上下方向の同位置にあり、内層シート13のY方向外側端部13aw,13bwが上下方向の同位置にある。このため、4層接合部S4は、その上下(Y方向外側及び内側)を6層接合部S6,S6に挟まれ、図6(b)に示すように、おむつ1’の着用時においては、サイドシール部Sは、4層接合部S4において屈曲するが6層接合部S6,S6においては屈曲しにくく、4層接合部S4における屈曲が緩和されにくい。これと比較して、図6(a)のおむつ1では、上述したような5層接合部S5が存在するために、4層接合部S4及びその近傍は着用者Mの両側部の曲面形状に沿って着用者Mの肌面に密着する程度が高くなる。
5層接合部S5を設けたことによる上述の効果をより確実に得る観点等から、上側の5層接合部S5のY方向長さL51(図4参照)及び下側の5層接合部S5のY方向長さL52(図4参照)は、それぞれ、1〜10mmであることが好ましい。また、前記長さL51及び前記長さL52は、それぞれ、上側の6層接合部S6のY方向長さL6(図4参照)に対する割合(百分率)が5〜50%であることが好ましい。
前記長さL51及び前記長さL52は、それぞれ、1〜5mmであると共に、それぞれの上側の6層接合部S6の前記長さL6に対する割合が20〜50%であることが、より好ましい。
また、4層接合部S4のY方向長さL4(図4参照)は4〜20mmであることが好ましく,更に好ましくは5〜10mmである。4層接合部S4の前記長さL4は、上側の6層接合部S6のY方向長さL6(図4参照)に対する割合(百分率)が、10〜80%であることが好ましい。
図3に示すように、本実施形態のおむつ1における上腹部領域Atの2層部A2には、複数のウエスト弾性部材51のうち、最も股部C側に位置するウエスト弾性部材51cが幅方向に沿って配されている。なお、背側部Bにおける2層部B2にも同様のウエスト弾性部材51cが幅方向に沿って配されている。
2層部A2(屈曲部H)は、上腹部領域Atにおける他の部位に比べて積層シート枚数が少なく、突き抜け強度が低下している。このため、2層部A2に、一本以上の弾性部材(ウエスト弾性部材51c)を配設することにより、着用者の指による突き抜け力が非肌面側から肌面側に(或いは逆に)掛かった場合でも、弾性部材51cがクッション作用(突き抜け力とは反対方向の力)を発現することにより、上腹部領域Atの指の突き抜けによる破れを防止することができる。また、弾性部材51cが着用者の肌面に沿う屈曲線を形成することにより、屈曲部Hが当該屈曲線に沿って屈曲しやすくなり、更に上腹部領域Atの体型追従性が向上することにより、フィット性が向上する。2層部A2に配された弾性部材の伸長率は、150〜400%であることが好ましく、更に好ましくは250〜350%である。伸長率は次式(1)で表す。
伸長率(%)=伸長後長さ/未伸長長さ×100 ・・・(1)
なお、2層部A2に配する弾性部材の数は、2本以上でもよく、1〜4本であることが好ましい。2層部A2に配された1本以上の弾性部材(本実施形態においてはウエスト弾性部材51c)は、Y方向において、2層部A2の上端(折り返し部12aの股部側端部12acの位置)からの距離L21(図3参照)が、2層部A2の長さL2(図3参照)の20〜80%の位置にあり、更に好ましくは40〜60%の位置にあることが、上記の指の突き抜け防止効果及びフィット性向上効果を更に確実に得る観点から好ましい。
ここで、2層部A2に配された弾性部材としては、後述する弾性部材51の形成素材を特に制限なく用いることができるが、特に、幅が1.2mm以上の天然ゴム、または太さ620dtex以上の合成ゴムであることが好ましい。当該天然ゴムや合成ゴムは、上述した突き抜け力に対するクッション効果を更に確実に発現することができる。
サイドシール部Sにおいては、上記のように重ねあわされた腹側部Aの側縁と背側部Bの側縁とが融着により接合されている。
図7に示すように、サイドシール部Sには、多数の強接合部s1が形成されており、該強接合部s1は、少なくとも2層部A2及び2層部A2の周辺領域においては、おむつ縦方向(Y方向)に間隔を置き、且つ幅方向(X方向)に延びている。
本実施形態における強接合部s1は、腹側部Aと背側部Bの重ねあわされた側縁が融着の際に加圧されて形成された凹部として、おむつ1の外観に現れている。より具体的には、強接合部s1である凹部s1は、X方向に延びた横長の矩形状であり、サイドシール部Sにおいては、同形状の凹部s1がY方向に所定ピッチで配されている。サイドシール部SのY方向に隣り合う強接合部s1間には、強接合部s1に比して弱く接合された弱接合部が形成されている。強接合部s1どうし間は非接合部となっていても良い。即ち、強接合部s1は、サイドシール部Sに,弱接合部及び/又は非接合部と共に存在していても良いし、単独で存在していても良い。
強接合部や強接合部としての凹部を生じさせる融着方法としては、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等のエンボス加工等を用いることができる。エンボス加工の場合は、サイドシール部Sの形成に一対のエンボスロールを用いることができ、その場合、強接合部は、周面にエンボス用の凹凸を有するエンボスロールの凸部に押圧された部分である。
サイドシール部Sが、2層部A2及びその周辺領域にY方向に延びる強接合部やシール加工による凹部を有していると、該強接合部が梁となって、2層部A2(屈曲部H)における幅方向(X方向)の変形に対する抵抗力を発揮し、屈曲部Hによるフィット性向上効果を阻害してしまう。本実施形態のような幅方向(X方向)に延びる強接合部s1であれば、屈曲部HにおけるX方向の変形が阻害されず、フィット性向上効果を確実に得られる。
ここで,強接合部やシール加工による凹部が、幅方向(X方向)に延びるとは、好ましくは、強接合部やシール加工による凹部が、Y方向の寸法よりもX方向の寸法が大きいことを意味する。
本実施形態においては、強接合部である凹部s1の上辺及び下辺はX方向と平行であり、同凹部s1の長手方向はX方向と平行である。但し、強接合部やシール加工による凹部が所定方向に長い長手方向を有している場合、該長手方向は、X方向に対して傾斜していてもよく、当該傾斜の角度は、45°以下であることが好ましく、更に好ましくは30°以下である。
また、上述した2層部A2の周辺領域とは、2層部A2の上側周辺領域及び下側周辺領域であり、2層部A2の上側周辺領域は、例えば、2層部A2の上端部からのY方向距離が上腹部領域Atの30%以下である領域であり、2層部A2の下側周辺領域は、例えば、2層部A2の下端部からのY方向距離が上腹部領域Atの20%以下である領域である。
図2〜図4に示すように、腹側部Aにおいて、2層部A2と、下側の3層部A32との境界(本実施形態では内層シート13のY方向端部13awの位置)よりも上方には複数本のウエスト弾性部材51が配されている。図5に示すように、複数のウエスト弾性部材51のうち、第2の3層部A32に最も近いウエスト弾性部材51c及び該弾性部材51cの上側隣のウエスト弾性部材51c’は、弾性部材51c,51c’にのみホットメルト接着剤等の接着剤16が塗工されており、各弾性部材51c,51c’を挟む外層シート12及び補助シート15には接着剤が直接塗工されていない。そして弾性部材51c,51c’を挟む外層シート12及び補助シート15間は、弾性部材51c,51c’それぞれに塗工された接着剤16を介して接合されている一方、当該2本の弾性部材51c,51c’間には、当該2枚のシート12、15間が接合されていない領域Mが形成されている。換言すると、弾性部材51c,51c’間には、弾性部材51c,51c’間に亘るようにY方向に連続的に塗工された接着剤が存在していない。
なお、ウエスト弾性部材51、エンドフラップ弾性部材71及び本体フラップ弾性部材91は、何れも、弾性部材に塗工された接着剤を介して、各弾性部材を挟む2枚のシートに接合されており、隣り合う弾性部材との間に接合されていない領域Mを有することが好ましい。隣り合う弾性部材どうしの領域は、図5に示すように、実質的にY方向の全域が接合されていないことが好ましい。
また、腹側部Aについて上述した各弾性部材のシートの接合状態は、背側部Bにおいても同様である。
このように、2層部A2と、下側の3層部A31との境界(本実施形態では内層シート13のY方向端部13awの位置)よりも上方に配された複数のウエスト弾性部材51のうち、第2の3層部A32に最も近いウエスト弾性部材51c及び該弾性部材51cの上側隣のウエスト弾性部材51c’は、弾性部材51c,51c’それぞれに塗工された接着剤16を介して、弾性部材51c,51c’を挟む外層シート12及び補助シート15間が接合されている一方、2本の弾性部材51c,51c’間には、当該2枚のシート12、15間が接合されていない領域Mが形成されている。
このため、2層部A2及び/又はその上側近傍に配された弾性部材間に接着剤が存在しない領域Mを形成することにより、屈曲部H及びその上側近傍における接着剤量を低減できる。このため、屈曲部Hの変形性が向上し、これによりおむつ1のフィット性が向上する。さらに、各弾性部材51c,51c’の伸縮性が増大して屈曲部H及び/又はその上側近傍が着用者の肌に密着しやすく点からも、おむつ1のフィット性が向上する。
またシート12,15の剛性増大を抑制できて屈曲部H及びその近傍の柔軟性が向上する。
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、及び側方カフス8形成用シート等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。裏面シート3は、透湿性を有するものでも有しないものでも良い。
また、外層シート12(折り返しシート2a,12b),内層シート13,補助シート15としても、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のシート材を特に制限なく用いることができるが、不織布を用いることが好ましく、不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等が好ましい。また、外層シート12,内層シート13,補助シート15として、不織布とフィルムとを一体化したシート等を用いることもできる。
特に、外層シート12,内層シート13,補助シート15は、それぞれ、目付が20g/m2以下のスパンボンド不織布であることが好ましい。目付が20g/m2以下のスパンボンド不織布は、平滑性にも優れるため、シートや弾性部材等からなる各部材間の接着性が向上し、接着剤の使用量が低減可能となることにより、屈曲部Hの変形性が向上し、屈曲部Hによるフィット性の向上効果が高まるほか、上腹部領域Atの柔軟性が向上する。また、引っ張り強度に優れるスパンボンド不織布を使用することにより、各シートの目付が低減できてシートの薄型化が実現でき、これがシートの剛性低下につながることによっても、上腹部領域Atの柔軟性が向上する。スパンボンド不織布は、柔軟加工を施されたものが好ましい。柔軟加工としては、不織布への柔軟剤塗工、製造時のエンボス加工のほか、原料樹脂への柔軟剤練り込み等が挙げられる。
弾性部材51,61,71,81,91の形成素材としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
次に、図8,図9に基づいて、第2実施形態のパンツ型おむつ1Aを説明する。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点について主として説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した使い捨ておむつ1に関する説明が適宜適用される。
第2実施形態におけるおむつ1Aの外装体11Aは、図9に示すシートの積層構造を有している。図9に示すように、第2の3層部A32に配されたエンドフラップ弾性部材71が内層シート12と補助シート15との間に接合されており、上腹部領域Atのエンドフラップ部Ae(Y方向において、最も股部Cに近いウエスト弾性部材51cの下端から吸収性本体10の上端部10awの位置までの領域)における外層シート12と内層シート13の接合面積率が50%未満である。
上腹部領域Atにおいて、ウエスト弾性部材51は、第2の3層部A32より上側に配されており、2層部A2が屈曲した屈曲部Hが弾性緩衝効果を発揮する。即ち、2層部A2の屈曲により、ウエスト弾性部材51の収縮力が、3層部A32の内層シート13に伝達されづらく、このため、3層部A32の内層シート13に不規則な弛みや皴が発生しにくい。特に、外層シート12と内層シート13との間にはウエスト弾性部材51は配設されていないことからも、ウエスト弾性部材51の収縮力は内層シート13に伝達されにくい。また、内層シート13は内面側にエンドフラップ弾性部材51が固定されており、内層シート13と外層シート12の間には弾性部材は配されていない。このため、図8のように、おむつ1Aは、最も股部Cに近いウエスト弾性部材51cより下側のエンドフラップ部Aeにおける、外層シート12と内層シート13の非接合領域において、外層シート12がおむつ1の外方に畝状に浮き上がった部分F(以下、浮き部Fと言う)が形成される。浮き部は、少なくともおむつを自然に収縮させた状態において生じる。図9に示すように、第2の3層部A32はエンドフラップ部Aeとほぼ重なる領域であり、浮き部Fは第2の3層部A32に形成されていると言ってもよい。
おむつ1Aにおいては、第2の3層部A32において外層シート12が立体的に浮き上がった浮き部Fが形成されることにより、屈曲部Hによる柔軟性向上効果に加えて、おむつ1Aが外観においても、柔らかな印象を与えるようになり、美観性の向上に繋がる。また、上述した浮き部Fは、外力緩衝領域としての役割を果たす。即ち、着用者の動作時に、外衣により外層シート12に引き攣れや歪みが生じても、浮き部Fの存在によって、外層シート12に引き攣れや歪みを生じさせた外力が内層シート13に伝達されにくい。その結果、おむつ1Aにズレ等の移動や変形が生じることが抑制されて、優れた着用感が得られる。
また、エンドフラップ弾性部材71が肌面側の補助シート15に固定されているため、3層部A32が着用者の肌に密着しやすく、上腹部領域Atのフィット性が更に向上する。
第2実施形態のおむつ1Aのように、2層部A2及び第1の3層部A31に内層シート13が積層されておらず、内層シート13がウエスト弾性部材51と厚み方向に重なる位置にない場合は特に、ウエスト弾性部材51の収縮力は内層シート13に伝達されにくく、浮き部Fの形成性が向上する。また、第2実施形態のおむつ1Aのように、ウエスト弾性部材51が外層シート12に固定されている場合、特に、ウエスト弾性部材51の収縮力により外層シート12における浮き部Fの形成性が向上する。また第2実施形態においては、第1実施形態と同様、第1の3層部の収縮応力が第2の3層部の収縮応力よりも大きい。このためおむつ1Aにおいては、第1の3層部の大きな収縮応力により、第2の3層部に配された浮き部Fが浮き上がりやすい。
更に、おむつ1Aのように第2の3層部A32の下側において本体フラップ弾性部材91が外層シート12に固定されている。即ちおむつ1Aにおいては、浮き部Fの上下に、胴回り方向に収縮するウエスト弾性部材51及び本体フラップ弾性部材71が存在しているため、浮き部Fが、前後左右に不均一によれにくく、浮き部Fの立体成形性が損なわれにくい。そのため、歩行時や立ったり座ったりする動作時等にも、浮き部Fによる外力緩衝効果が確実に奏されて、着用感の低下等が防止される。
また、おむつ1Aのように、エンドフラップ弾性部材71だけでなく、ウエスト弾性部材51も補助シート15に固定されている場合、2層部A2及び第1の3層部A31も着用者の肌に密着しやすく、フィット性が更に向上する。
なお、おむつ1Aにおいては、第1実施形態のおむつ1と同様、上背部領域Btにおける弾性部材の配置及びシートの積層構造は上腹部領域Atと同じであり、このため、上背部領域Btの第2の3層部B32においても浮き部が形成されている。そして、背側部Bにおいても、当該第2の3層部B32に配された浮き部により、上述した腹側部Aにおける浮き部Fによる効果と同じ効果が得られる。
エンドフラップ部Ae,Beにおける外層シート12と内層シート13の接合面積率は、好ましくは30%以下、より好ましくは5%以下である。特に腹側のエンドフラップ部AeをX方向に3等分したX方向中央部における接合面積率は、0%であることが、目に付きやすい腹側部AのX方向中央部に、着用時にも消失しにくい浮き部Fを形成する点や、おむつ1の外観が、柔軟な印象を強く与えるものとなる点で好ましい(図8参照)。
エンドフラップ部Ae,Beの接合面積率は、以下のようにして測定される。
<接合面積率の測定方法>
エンドフラップ部Ae,Beの全面積(展開且つ伸長状態の平面視面積)を領域面積S1とし、その領域面積S1のうち、外層シート12と内層シート13とが接合されている部分の面積を接合面積S2とする。そして、接合面積率(%)を、次式(2)により求める。
なお、エンドフラップ部Ae,BeをX方向に3等分したX方向中央部における接合面積率を求める場合は、該幅方向中央部の面積を領域面積S1とすると共に該X方向中央部のうち外層シート12と内層シート13とが接合されている部分の面積を接合面積S2とする。
接合面積率(%)=(接合面積S2/領域面積S1)×100 ・・・(2)
なお、外層シート12及び内層シート13の一方又は両方に、接着剤が、スパイラル、ストライプ、ドット(散点状)、ウェーブ(波線)等のパターンで塗工されており、その接着剤によって、エンドフラップ部における外層及び内層シート12,13間が接合されている場合、接着剤塗布部の面積を接合面積とする。但し、ストライプ、ドット(散点状)、ウェーブ(波線状)等のパターンで複数本塗工された接着剤のうち、互いの間隔が5mm以内の部分はそのパターン間も接合されているものとみなす。また、スパイラルパターン等の、接着剤塗布部で囲まれた接着剤非塗布部を有する塗工の場合は、接着剤非塗布部も接合されているものとみなす。
おむつ1Aにおいては、腹側部A及び背側部Bのそれぞれに、それぞれ複数本の、ウエスト弾性部材51、エンドフラップ弾性部材61及び本体フラップ弾性部材71が配されている。このため、ウエスト弾性部材51は、エンドフラップ部Ae,Beに最も近い弾性部材51c及びその隣のウエスト弾性部材51c’を有しており、本体フラップ弾性部材91は、エンドフラップ部Ae,Beに最も近い本体フラップ弾性部材91w及びその隣の本体フラップ弾性部材91w’を有している。
そして、弾性部材51c,51c’,91w,91w’並びに複数本のエンドフラップ弾性部材71は、いずれも、各弾性部材にのみホットメルト接着剤等の接着剤が塗工されており、それらの接着剤を介して各弾性部材を挟む2枚のシート間が接合されている。一方、2本のウエスト弾性部材51c,51c’の間、2本の本体フラップ弾性部材91w,91w’の間、及び隣り合う2本のエンドフラップ弾性部材71の間にも、第1実施形態におけるウエスト弾性部材51c,51c’間と同様に、それぞれ、各弾性部材を挟む2枚のシート間が接合されていない領域Mが形成されている。換言すれば、弾性部材51c,51c’間、弾性部材91w,91w’間、及び2本のエンドフラップ弾性部材71,71間には、それぞれ、弾性部材間に亘るようにY方向に連続的に塗工された接着剤が存在していない。
このため、おむつ1Aにおいては、2層部A2,B2及びその近傍の接着剤を低減させて屈曲部Hの変形性が向上するだけでなく、浮き部F及び浮き部Fの上下端部近傍の弾性部材間に、接着剤が存在しない領域Mを形成することにより、接着剤によるシート12,13,15の剛性増大を抑制できると共に、各弾性部材51,71,91の伸縮性が向上するため、浮き部Fの柔軟性、立体成形性も向上する。
なお、隣り合う弾性部材間に形成されたシート間が接合されていない領域Mは、おむつ1の幅方向の一部のみに形成されていてもよい。例えば、エンドフラップ部Ae,Beを、X方向に3等分したX方向中央部のみに、そのような非接合領域Mが形成されていてもよい。その場合であっても、エンドフラップ部Ae,BeのX方向中央部における浮き部Fの柔軟性や立体成形性を高めることができる。
なお、第1実施形態と同様、外層シート12,内層シート13,補助シート15は目付が20g/m2以下のスパンボンド不織布であることが、上述した屈曲部Hの変形性向上や上腹部領域Atにおける柔軟性向上のみならず、シートの剛性低下による浮き部Fの立体成形性の向上に繋がる観点から好ましい。
また、第2実施形態においては、第1実施形態と同様、本体フラップ部As,Bsは、吸収性本体10と重なる部分に、本体フラップ弾性部材91が伸縮力を発現しない非伸縮領域を有している。これによって、不規則な皺が浮き部Fに生じる可能性を低減することができ、シルエットを良好な状態にすることができる。
以上、本発明のパンツ型吸収性物品について好ましい実施形態を複数説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、外装体のシートの積層構造は、例えば、図10に示すように変更することもできる。図10に示す外装体11Bにおいては、補助シート15が折り返しシート12aと厚み方向に重なっておらず、内層シート13が折り返しシート12aと重なっている。この場合、2層部A2及び第1の3層部A31には補助シート15ではなく内層シート13が積層されている。また外装体11Bにおいては、ウエスト弾性部材51,エンドフラップ弾性部材71,本体フラップ弾性部材91はいずれも、内層シート13と外層シート12との間に固定されている。
図10に示す外装体11Bを具備するおむつにおいても、第1実施形態と同様の構成の2層部A2及びその上下の3層部A31,A32を有することから、第1実施形態において説明した効果を得ることができる。ただし、フィット性向上の観点からは、外層シート12,内層シート13,補助シート15のうち、肌面側に最も近い補助シート15に弾性部材が直接接合されていることが好ましいことから、第1実施形態のおむつ1のように、内層シート13が折り返しシート12aと厚み方向に重なっておらず、補助シート15が折り返しシート12aと重なっていることがより好ましい。
また本発明の吸収性物品は、図6(b)に示すおむつ1’のように、5層接合部S5,S5がないものでも構わない。
また、内層シート13,補助シート15,折り返しシート12aの積層順は実施形態に記載したものに限られず、例えば折り返しシート12aの肌面側に補助シート15を配してもよい。
また、外装体は、外層シート12及び内層シート13が、それぞれ、腹側部A、股部C及び背側部Bに亘って連続しているものに代えて、腹側部A及び背側部Bに、互いに別体の外層シート12及び/又は内層シート13が配されているものであっても良い。
また、パンツ型吸収性物品は、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型の生理用ナプキン等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
1,1A 使い捨ておむつ(パンツ型吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
10 吸収性本体
10aw,10bw 吸収性本体の上端部
11 外装体
12 外層シート
12a,12b 折り返しシート
13 内層シート
15 補助シート
51 ウエスト弾性部材
71 エンドフラップ弾性部材
91 本体フラップ弾性部材
A 腹側部
Ae エンドフラップ部
As 本体フラップ部
A2 2層部
A31,A32 3層部
B 背側部
Be エンドフラップ部
Bs 本体フラップ部
C 股部
B2 2層部
B31,B32 3層部
Lt 上腹部領域の縦方向長さ
L2 2層部の縦方向長さ
S サイドシール部
S4 4層接合部
S5 5層接合部
S6 6層接合部
W ウエスト開口縁

Claims (5)

  1. 外装体と、該外装体の肌面側に固定された吸収性本体とを備え、背側部から股部を介して腹側部に亘る縦方向と、これに交差する幅方向を有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、
    腹側部における前記吸収性本体の上端部より上側の領域である上腹部領域が、外層シート、該外層シートの肌面側に位置する内層シート、前記吸収性本体の上端部の上下に亘って延在する補助シート、及び前記外層シートを構成するシートがウエスト開口縁で肌面側に折り返されて生じた折り返しシートを有しており、
    前記内層シート又は前記補助シートは、前記折り返しシートと厚み方向に重なっておらず、
    前記上腹部領域は、前記縦方向に関して、前記4枚のシートのうちの前記内層シート又は前記補助シートを除く3枚が積層された第1の3層部と、前記4枚のシートのうちの前記折り返しシートを除く3枚が積層された第2の3層部と、第1及び第2の3層部間に位置し、前記4枚のシートのうちの前記折り返しシート以外の2枚が積層された2層部とを有しており、
    第1の3層部及び第2の3層部は、前記縦方向の合計長さが、前記上腹部領域の同方向の長さの70〜97%であり、前記2層部の同方向の長さは3〜25mmであり、
    前記背側部は、前記上腹部領域に対応する領域に、前記腹側部における第1の3層部、第2の3層部、及び2層部と同様のシートの積層構造を有する第1の3層部、第2の3層部、及び2層部を有しており、
    前記サイドシール部に、前記縦方向に関して、前記腹側部及び前記背側部の前記2層部同士が重ね合わされた4層接合部と、腹側部及び背側部のうちの一方の2層部と他方の3層部とが重ねあわされた5層接合部と、腹側部及び背側部の3層部同士が重ねあわされた6層接合部とが形成されており、
    前記5層接合部は、前記4層接合部を挟んで上下の2箇所に形成されており、
    前記6層接合部は、上側の前記5層接合部の更に上側、及び下側の前記5層接合部の更に下側に形成されている、パンツ型吸収性物品。
  2. 前記腹側部における前記2層部に、1本以上の弾性部材が前記幅方向に沿って配されている、請求項記載のパンツ型吸収性物品。
  3. 前記上腹部領域に、ウエスト弾性部材及びエンドフラップ弾性部材がそれぞれ前記幅方向に沿って配されており、
    前記ウエスト弾性部材は、前記第2の3層部より上側に配されており、
    前記エンドフラップ弾性部材は、前記内層シートと前記補助シートとの間に固定されており、
    前記上腹部領域における前記外層シートと前記内層シートとの間には弾性部材が配設されておらず、
    前記上腹部領域は、前記ウエスト弾性部材のうち最も前記股部側に位置する弾性部材の下端位置から前記吸収性本体の前記上端部の位置までの領域であるエンドフラップ部における前記外層シートと前記内層シートとの接合面積率が50%未満である、請求項1又は2記載のパンツ型吸収性物品。
  4. 前記ウエスト弾性部材及び前記本体フラップ弾性部材は、それぞれ、前記エンドフラップ部に最も近い第1弾性部材及びその隣の第2弾性部材を有しており、前記エンドフラップ弾性部材が複数本配されており、第1及び第2弾性部材並びに複数本のエンドフラップ弾性部材のそれぞれに塗工された接着剤を介して、各弾性部材を挟む2枚のシート間が接合されている一方、第1弾性部材と第2弾性部材との間及び隣り合う2本のエンドフラップ弾性部材間に、前記2枚のシート間が接合されていない領域が形成されている、請求項記載のパンツ型吸収性物品。
  5. 前記サイドシール部は、多数の強接合部を有しており、該強接合部は、少なくとも前記2層部及びその周辺領域において、前記縦方向に間隔を置き、且つ幅方向に延びている、請求項1〜のいずれか1項記載のパンツ型吸収性物品。
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