以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る作業車の排気処理装置支持構造を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム1の前半部に原動部2を備え、車体フレーム1の後半部に搭乗運転部3を形成している。そして、原動部2の左右に駆動可能な操舵輪としての前輪4を配備し、搭乗運転部3の左右に制動可能な駆動輪としての後輪5を配備することにより、4輪駆動型に構成している。
車体フレーム1は、エンジンフレーム6の後端に水冷式のディーゼルエンジン(以下、エンジンと称する)7を連結し、このエンジン7の後下部にクラッチハウジング8を連結し、クラッチハウジング8の後部に、中間フレーム9を介してトランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)10を連結することにより構成している。
図1〜5に示すように、原動部2は、車体フレーム1の前半部にボンネット11を配備して形成したエンジンルーム12に、エンジン7とともに、その周辺機器であるラジエータ13及びエアクリーナ14などを配備することにより構成している。
ボンネット11は、エンジン7などの横側方を覆う左右一対のサイドカバー15と、エンジン7などを上方から覆う開閉式のアッパーカバー16とを備えている。左右の各サイドカバー15は、クラッチハウジング8に立設した下向きU字状の第1支持フレーム17などを介して、エンジン7の左右両側方に着脱可能に配備している。アッパーカバー16は、その後端上部に備えた左右一対の連結部18を、第1支持フレーム17の上端部に左右向きに配備した左右一対の連結ピン19に嵌合連結している。そして、これにより、左右の連結ピン19を支点にした原動部2を上方から覆う閉位置と原動部2を開放する開位置とにわたる上下方向の開閉揺動操作が可能となるように構成している。
図1に示すように、搭乗運転部3は、車体フレーム1に防振搭載したキャビン20によって区画形成した搭乗空間に、前輪操舵用のステアリングホイール21及び運転座席22などを配備して構成している。キャビン20は、その天井部に空調装置23の室内ユニット23Aを装備している。
T/Mケース10の後部には、トラクタの後部に連結するロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置(図示せず)の昇降操作を可能にする左右一対のリフトアーム24、左右のリフトアーム24を上下方向に揺動駆動する油圧式のリフトシリンダ25、及び、トラクタの後部にロータリ耕耘装置などの駆動型の作業装置を連結する場合に作業用動力の取り出しを可能にするPTO軸26、などを配備している。
図2〜4に示すように、第1支持フレーム17は、エンジン7の後方に近接配備した樹脂製の燃料タンク27、及び、エンジンルーム12をエンジン側と燃料タンク側とに区画するようにエンジン7と燃料タンク27との間に配備した隔壁28、などを支持するように構成している。
図1〜7に示すように、エンジンフレーム6の後部には、排気処理装置29としてエンジン7の上方に配備した円柱状の排気浄化装置29を支持する第2支持フレーム30を立設している。エンジンフレーム6の前部には、空調装置23の室外ユニット23Bを構成するコンプレッサ31、コンデンサ32、及びレシーバ33とともに、バッテリ34、リザーブタンク35、及びオイルクーラ36、などを支持する第3支持フレーム37を立設している。
図3、図5及び図6に示すように、排気浄化装置29は、その内部にDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)38を備えることにより、エンジン7の排出ガスに含まれる粒子状物質をDPF38により捕集して排出ガスから除去するように構成している。又、その内部におけるDPF38の排気方向上手側に酸化触媒39を配備し、この酸化触媒39で生成した二酸化窒素の酸化性能を利用して、DPF38が捕集した粒子状物質を比較的低温で燃焼させて除去することにより、DPF38を連続的に再生させるように構成している。
図2〜8及び図10に示すように、排気浄化装置29は、その長手方向が左右向きになり、かつ、排気方向上手側の酸化触媒39が車体の左側に位置し、排気方向下手側のDPF38が車体の右側に位置する左右向き姿勢で、エンジン7の上方におけるエアクリーナ14と燃料タンク27との間に配備している。排気浄化装置29の左端部には、その後部から後下方に延出する吸気管40を備えている。吸気管40は、エンジン7の左上部に配備したエキゾーストマニホールド41の排気部41Aに接続している。この吸気管40と排気部41Aとの接続は、吸気管40の延出端に備えた正三角形状のフランジ42と、排気部41Aに排気用の接続部として備えた正三角形状のフランジ43とのボルト連結で行うように構成している。それらのフランジ42,43のボルト連結は、吸気管40のフランジ42の各挟角部に穿設した3つの丸孔42aと、排気部41Aのフランジ43の各挟角部に立設した3本の溶接ボルト43aとを使用して行うように構成している。排気浄化装置29の右端部には、その前端から前方に延出する排気管接続部29Aを備え、この排気管接続部29Aに排気管44を接続している。排気管44は、排気管接続部29Aからエンジンフレーム6の右側方箇所に延出して、その延出端が第3支持フレーム37の下方に位置するように形成している。
図2、図5、図7、図8及び図10に示すように、吸気管40は、排気浄化装置29における左端部の後部から後下方に向けて後下がり傾斜姿勢で延出する上側管部40Aと、上側管部40Aの延出端から排気部41Aに向けて上側管部40Aよりも大きい俯角の後下がり傾斜姿勢で延出する下側管部40Bとを備える屈曲状態に形成することにより、鈍角に屈曲した状態で、排気浄化装置29から、斜め下方に位置するエキゾーストマニホールド41の排気部41Aに向けて延出するように構成している。
これにより、吸気管40の延出端に備えたフランジ42を排気浄化装置29に接近させることなく、例えば、吸気管40を、水平の上側管部と垂直の下側管部とを備えるように直角に屈曲形成する場合よりも、吸気管40における屈曲部の後上方への張り出しを抑制することができる。そこで、このトラクタでは、その吸気管40の張り出し抑制によって得られる空間を有効利用するために、エンジン7及び排気浄化装置29の後方に配備する燃料タンク27を、その排気浄化装置29の後方に位置する上部側が排気浄化装置29に向けて膨出する状態に形成して、排気浄化装置29に接近させるようにしている。
その結果、吸気管40の延出端に備えたフランジ42が排気浄化装置29に接近することに起因して、エキゾーストマニホールド側のフランジ43と排気浄化装置側のフランジ42との接続が行い難くなる、といった不都合を招くことなく、又、その接続を行い易くするために吸気管40の下方への延出長さを長くすることに起因して、エンジン7の上方に配備する排気浄化装置29の配置高さが高くなり、エンジン7及び排気浄化装置29などを覆うボンネット11の高さが高くなる、といった不都合を招くことなく、エンジン7の周辺機器の一つである燃料タンク27を、その容量の増大を図りながらエンジン7の後方に近接させたコンパクトな状態で配備することができる。
又、吸気管40を鈍角に屈曲形成することにより、例えば、吸気管40を直角に屈曲形成する場合に比較して、吸気管40の全長を短くすることができる。これにより、エキゾーストマニホールド41から排気浄化装置29のDPF38に排出ガスを供給する際の熱エネルギの損失を抑制することができ、DPF38により捕集した粒子状物質の燃焼による除去を行い易くすることができる。
その結果、DPF38の再生を良好に行うことができ、ディーゼルエンジンの排出ガスに含まれる粒子状物質の除去を効率良く行うことができる。
図5、図6及び図8〜10に示すように、正三角形状に形成した排気浄化装置側のフランジ42及びエキゾーストマニホールド側のフランジ43は、それらの一辺が、それらの排気浄化装置側となる前端を形成するように向き設定した状態で排気浄化装置29の吸気管40又はエキゾーストマニホールド41の排気部41Aに装備している。これにより、各フランジ42,43の吸気管40又は排気部41Aからの排気浄化装置側となる前方への張り出しを抑制するとともに、それらのフランジ42,43のボルト連結箇所が排気浄化装置29から離れるようにしている。
その結果、それらのフランジ42,43を接続する際のボルト連結操作を、排気浄化装置29などによって阻害され難くすることができる。
図2及び図7に示すように、吸気管側のフランジ42及びエキゾーストマニホールド側のフランジ43は、それらの接合面が排気浄化装置29に向かうように排気浄化装置側に傾斜させた後上がり姿勢に姿勢設定している。そして、吸気管40の下側管部40Bは、その俯角を、吸気管側のフランジ42とエキゾーストマニホールド側のフランジ43との接合面に直交する角度に設定することにより、その姿勢を、フランジの接合面と直交する俯角で排気浄化装置側に傾倒する前傾姿勢に設定している。
これにより、例えば、吸気管40における下側管部40Bの姿勢を鉛直姿勢とする場合よりも、吸気管40における屈曲部の張り出しを抑制することができ、その分、燃料タンク27の上部側を排気浄化装置29に向けて更に膨出させることができ、燃料タンク27の容量を更に増大させることができる。
又、例えば、フランジ42,43の接合面を水平にした状態で、吸気管40の下側管部40Bを排気浄化装置側に傾倒させた場合に招くことのある、吸気管側のフランジ42とエキゾーストマニホールド側のフランジ43とを接続する際に、それらの接続に使用するボルト・ナットの螺合操作が、吸気管40の下側管部40Bによって阻害される、といった不都合の発生を未然に回避することができる。
図2〜5、図7、図8及び図10に示すように、吸気管40の下側管部40Bには蛇腹部分40Baを備えている。これにより、吸気管側のフランジ42をエキゾーストマニホールド側のフランジ43に接続する際における吸気管側のフランジ42とエキゾーストマニホールド側のフランジ43との位置ズレを蛇腹部分40Baによって吸収することができる。又、エンジン7の振動を蛇腹部分40Baにより吸収して排気浄化装置29に伝わり難くすることができる。その結果、吸気管側のフランジ42とエキゾーストマニホールド側のフランジ43との接続を簡単にすることができる。又、エンジン7の振動に起因した排気浄化装置29の揺れ動きを抑制することができる。
図2〜10に示すように、第2支持フレーム30は、排気浄化装置29を支持する支持台45と、支持台45を下方から受け止め支持する状態にエンジンフレーム6の後部に連結した左右一対の支柱46とを備えている。そして、支持台45を左右の支柱46の上端にわたるように架設することにより、エンジン7を左右に跨ぐ略門形に構成している。
つまり、DPF38及び酸化触媒39などを備えることで大型化して重くなった排気浄化装置29を、強固な略門形の第2支持フレーム30によって、エンジン7から分離した状態で安定的に支持することができる。
これにより、重くなった排気浄化装置29の重量がエンジン7にかかる、あるいは、大型化して重くなった排気浄化装置29がエンジン7と一体的に振動する、などの不都合の発生を防止することができる。その結果、エンジン7の振動に起因した排気浄化装置29などの損傷、あるいは、エンジン7及び排気浄化装置29の支持に関する連結箇所の緩みなどを招く虞を軽減することができる。
図2〜8及び図10に示すように、支持台45は、排気浄化装置29をボルト連結により固定装備する装置固定部47と、この装置固定部47の右端部を右側の支柱46の上端に連結する板金製の連結部48とに分割可能な2分割構造に構成している。装置固定部47は、側面視U字状に屈曲形成した板金製の基板47Aに、排気浄化装置29とのボルト連結用の左右の連結部材47B,47Cなどを装備して構成している。基板47Aは、その左端部の前後2箇所に、左側の支柱46の上端とのボルト連結を可能にする溶接ナットなどからなるボルト連結部47aを備えている。又、その右端部の前後2箇所に、連結部48に対する係合部Aとして丸孔47bを穿設している。連結部48は、その右端部の前後2箇所に、左側の支柱46の上端とのボルト連結を可能にする左右方向に長い長孔48aを穿設している。又、その左端部の前後2箇所に、装置固定部47に対する被係合部Bとしての溶接ボルト48bを立設している。
装置固定部47に穿設した前後2つの丸孔47b、及び、連結部48に立設した前後2本の溶接ボルト48bは、それらの係合によって連結部48に対する装置固定部47の横方向(水平方向)での位置決めを行なうように構成している。又、その位置決め後に、各溶接ボルト48bにナット49を螺合することにより、連結部48に装置固定部47を固定することができる。
つまり、装置固定部47の前後2つの丸孔47b、連結部48の前後2本の溶接ボルト48b、及び、各溶接ボルト48bに螺合する2つのナット49により、連結部48に装置固定部47を固定する連結手段Cを構成している。
図2及び図4〜10に示すように、各支柱46の上端には、支持台45を下方から受け止め支持する支持板46Aを、その長手方向が前後向きになる姿勢で溶接している。左側の支持板46Aは、その前後2箇所に、装置固定部47とのボルト連結を可能にする左右方向に長い長孔46aを穿設している。各長孔46aは、それらに対応する装置固定部47のボルト連結部47aにおけるネジ孔よりも大径に形成している。右側の支持板46Aは、その前後2箇所に、連結部48とのボルト連結を可能にする溶接ナットなどからなるボルト連結部46bを備えている。そして、それらのボルト連結部46bに対応する連結部48の各長孔48aは、ボルト連結部46bのネジ孔よりも大径に形成している。
つまり、第2支持フレーム30においては、左側の支柱46の支持板46Aに穿設した前後2つの長孔46aと、支持台45の連結部48に穿設した前後2つの長孔48aとが、それらに対応するボルト連結部47a,46bのネジ孔に対する融通により、支持台45と左右の支柱46との間においてエンジン7に対する排気浄化装置29の横方向(水平方向)での位置調節を可能にする横調節手段Dとして機能するように構成している。
一方、各支柱46の下端部には、エンジンフレーム6の後部において横外向きに突設した左右のブラケット50にボルト連結する連結板46Bを溶接している。各連結板46Bは、その前後2箇所に、対応するブラケット50とのボルト連結を可能にする上下方向に長い長孔46cを穿設している。各ブラケット50は、その前後2箇所に、対応する連結板46Bとのボルト連結を可能にする溶接ナットなどからなるボルト連結部50aを備えている。各支柱46における各長孔46cとの対向箇所には、大径で円形の工具挿通孔46dを穿設している。
これにより、第2支持フレーム30においては、各ブラケット50に穿設した前後2つの長孔46cが、エンジンフレーム6と左右の支柱46との間においてエンジン7に対する排気浄化装置29の縦方向での位置調節を可能にする縦調節手段Eとして機能するように構成している。
つまり、このトラクタにおいては、第2支持フレーム30に横調節手段Dと縦調節手段Eとを備えていることから、前述したように、第2支持フレーム30によって排気浄化装置29をエンジン7から分離した状態で支持するように構成したことにより、排気浄化装置29を組み付ける際に、エンジン7に備えた排気用の接続部であるフランジ43と、排気浄化装置29の吸気部である吸気管40に備えたフランジ42との間に位置ズレが生じ易くなったとしても、横調節手段D及び縦調節手段Eによって、エンジン側のフランジ43と排気浄化装置側のフランジ42との横方向(水平方向)及び縦方向での位置合わせを簡単に行うことができる。
その結果、エンジン側のフランジ43と排気浄化装置側のフランジ42との接続を簡単かつ適正に行うことができる。そして、そのフランジ接続を簡単かつ適正に行えることにより、排気浄化装置29の組み付け性の低下を招くことなく、エンジン側のフランジ43と排気浄化装置側のフランジ42との不適正な接続に起因して、例えば、排気浄化装置29の吸気管40に備えた蛇腹部分40Baなどに応力が集中して蛇腹部分40Baなどが破損する虞を回避することができる。
図9に示すように、排気浄化装置29の組み付けを行う場合には、排気浄化装置29を装備した装置固定部47の代わりに治具51を用いて、エンジン7に対する排気浄化装置29の位置調節を行うようにしている。
治具51は、支持台45の装置固定部47に相当する板金部材51Aの左後部に、支持アーム51Bを介して、排気浄化装置側のフランジ42に相当する正三角形状の位置決めフランジ51Cを装備している。そして、その位置決めフランジ51Cの各挟角部には、エンジン側のフランジ43に立設した溶接ボルト43aの挿通を許容する位置決め用の丸孔51aを穿設している。又、板金部材51Aにおける左端部の前後2箇所には、装置固定部47のボルト連結部47aを代用する位置決め用の丸孔51bを穿設している。更に、板金部材51Aにおける右端部の前後2箇所には、装置固定部47の丸孔47bと同様に連結部48の2本の溶接ボルト48bに対して係合可能な位置決め用の丸孔51cを穿設している。そして、その位置決めフランジ51Cにおける3つの丸孔51aと板金部材51Aにおける4つの丸孔51b,51cとの位置関係が、排気浄化装置29を固定装備した装置固定部47における排気浄化装置側のフランジ42の3つの丸孔42aと装置固定部47の2つのボルト連結部47a及び2つの丸孔47bとの位置関係と同じになるように構成している。
つまり、治具51においては、位置決めフランジ51Cが、エンジン7に備えた排気用の接続部であるフランジ43に対して位置決め可能な排気用の位置決め手段Fとして機能する。又、その右側の前後2つの丸孔51cが、連結部48の被係合部Bである2本の溶接ボルト48bへの係合により連結部48に対する横方向(水平方向)での位置決めを行なう係合手段Gとして機能する。
図6及び図8〜10に基づいて、排気浄化装置29の組み付けについて説明すると、先ず、エンジンフレーム6に左右の支柱46を、エンジンフレーム6の左右のブラケット50に備えた前後2つのボルト連結部50a、及び、各支柱46の連結板46Bに備えた前後2つの上下向きの長孔46c(縦調節手段E)、などを使用して仮組みする。次に、右側の支柱46の上端に備えた支持板46Aに支持台45の連結部48を、支持板46Aに備えた前後2つのボルト連結部46b、及び、連結部48に備えた前後2つの左右向きの長孔48a(横調節手段D)、などを使用して仮組みする。
そして、それらの仮組み後に、排気浄化装置29を装備した装置固定部47の代わりに、治具51を、その右端部に備えた前後2つの丸孔51c(係合手段G)が、連結部48に備えた前後2本の溶接ボルト48bに係合し、かつ、その位置決めフランジ51Cに備えた3つの丸孔51aが、エンジン側のフランジ43(排気用の接続部)に備えた3本の溶接ボルト43aに係合し、更に、その左端部に備えた前後2つの丸孔51bが、左側の支柱46の支持板46Aに備えた前後2つの長孔46aに対向するように、連結部48の前後2つの長孔48a、及び、左側の支柱46の支持板46Aに備えた前後2つの長孔46aを利用して、連結部48と左側の支柱46の支持板46Aとに架設する。
これにより、エンジン7(フランジ43)に対する治具51(位置決めフランジ51C)の横方向(水平方向)での位置決めを簡単かつ適正に行うことができる。
次に、各支柱46の前後2つの長孔46cを利用して、エンジンフレーム6に対する各支柱46の縦方向での位置調節を行うことにより、エンジン側のフランジ43と治具51の位置決めフランジ51C(位置決め手段F)との接合状態が得られるように、エンジン7に対する治具51の縦方向での位置調節を行う。そして、その接合状態が得られた段階で、エンジンフレーム6に左右の支柱46を本組みして固定する。
これにより、エンジンフレーム6に対して左右の支柱46を適正に立設することができ、エンジン7(フランジ43)に対する治具51(位置決めフランジ51C)の縦方向での位置決めを簡単かつ適正に行うことができる。
その後、右側の支柱46の支持板46Aに支持台45の連結部48を本組みして固定する。これにより、右側の支柱46に支持台45の連結部48を適正に組み付けることができ、左右の支柱46に対する治具51の横方向(水平方向)での位置決めを行うことができる。
これにより、エンジンフレーム6に立設した左右の支柱46、及び、右側の支柱46に組み付けた支持台45の連結部48により、治具51をエンジン7に対する適正位置に配置した状態で支持することができる。
次に、エンジン側のフランジ43に備えた3本の溶接ボルト43aと治具51の位置決めフランジ51Cに備えた3つの丸孔51aとの係合を解除し、かつ、連結部48に備えた前後2本の溶接ボルト48bと治具51の右端部に備えた前後2つの丸孔51cとの係合を解除して、連結部48から治具51を取り外した後、排気浄化装置29を固定装備した装置固定部47を、その右端部に備えた前後2つの丸孔47bが、連結部48に備えた前後2本の溶接ボルト48bに係合し、かつ、排気浄化装置29のフランジ42に備えた3つの丸孔42aが、エンジン側のフランジ43に備えた3本の溶接ボルト43aに係合するように、連結部48と左側の支柱46の支持板46Aとに架設する。
これにより、左右の支柱46に、排気浄化装置29を固定装備した支持台45を適正に架設することができ、排気浄化装置29をエンジン7に対する適正位置に配備することができ、エンジン側のフランジ43に排気浄化装置29のフランジ42を接合させた状態を得ることができる。
そして、その架設後に、エンジン側のフランジ43に備えた3本の溶接ボルト43aを使用して、排気浄化装置29のフランジ42をエンジン側のフランジ43にボルト連結して固定する。又、左側の支柱46の支持板46Aに備えた前後2つの長孔46aと装置固定部47の左端部に備えた前後2つの丸孔51bとを使用して、左側の支柱46の支持板46Aに装置固定部47の左端部をボルト連結して固定する。更に、連結部48に備えた前後2本の溶接ボルト48bを使用して、装置固定部47の右端部を右側の支柱46に固定した連結部48にボルト連結して固定する。
これにより、排気浄化装置29を支持する第2支持フレーム30をエンジンフレーム6に対して適正に立設した状態に構成することができ、この第2支持フレーム30により、排気浄化装置29をエンジン7に対する適正位置に配置した状態で支持することができ、エンジン側のフランジ43に排気浄化装置29のフランジ42を適正に接続した状態で固定することができる。
つまり、排気浄化装置29を固定装備した装置固定部47よりもコンパクトかつ軽量で扱い易い治具51を用いることにより、エンジンフレーム6に立設する第2支持フレーム30の組み付け、エンジンフレーム6に立設した第2支持フレーム30による排気浄化装置29の支持、及び、エンジン側のフランジ43と排気浄化装置29のフランジ42との接続を、それらに要する労力の軽減を図りながら、より簡単かつ適正に行うことができる。
図2及び図4〜10に示すように、左右の各支柱46は、上側の支柱部材46Cと下側の支柱部材46Dとを、中継部材46Eを介して上下に連なる状態に溶接することにより構成している。そして、エンジンフレーム6に立設した状態では、エンジンフレーム6に連結する下側の支柱部材46Dが車体の横外方に傾倒する傾斜姿勢となり、上側の支柱部材46Cが垂直姿勢となるように、下側の支柱部材46Dに対して上側の支柱部材46Cを車体内側に屈曲させた屈曲形状に形成している。
これにより、エンジンフレーム6の上方に確保するエンジン7及び排気浄化装置29などの配置空間を、その上部側の左右幅が広い状態に形成することができる。これにより、エンジン7及び排気浄化装置29などとして、より大型のものを装備することができ、より大型のエンジン7を装備することによる作業効率の向上、及び、より大型の排気浄化装置29を装備することによる浄化性能の向上、などを図ることができる。
図2及び図4〜10に示すように、各支柱部材46C,46Dは、それらに溝形鋼材を採用し、かつ、その溝がエンジン7に面するように設定することにより、所定の前後幅を有する第1縦壁部46eと、所定の左右幅を有する前後の第2縦壁部46fとを、第1縦壁部46eが車体の横外側に位置する状態で備えるようにしている。
各中継部材46Eは、それらに溝形鋼材を採用し、かつ、その溝が車体の横外方に面する状態で前後向きになるように設定することにより、各支柱46の上下中間部に前後方向に貫通する貫通部46Fを形成している。そして、この溝形鋼材で形成する貫通部46Fの周縁が、前後方向視で貫通部46Fを車体の横外方に開放する開放部分46gを備える略C字状となるように構成している。
各支柱46には、それらの開放部分46gを覆う状態で、その開放部分46gの上下に位置する第1縦壁部46eにわたるように屈曲形成した板金製の縦壁部材46Gを、着脱可能にボルト連結している。
これにより、例えば、ボンネット11の左右幅が不必要に大きくなるのを防止するために、左右の各支柱46をエンジン7の横側部に近接させた状態でエンジンフレーム6に立設させた場合であっても、エンジン7の横側部とボンネット11との間を利用して行われていた、バッテリ34と空調装置23の室内ユニット23Aなどの電装部品とにわたるワイヤハーネス52、エンジン冷却後の冷却水(温水)を熱媒として原動部2と空調装置23の室内ユニット23Aとにわたって循環させる温水ホース53、及び、冷媒を空調装置23の室内ユニット23Aと室外ユニット23Bとにわたって循環させる冷媒管54、などの配索は、各支柱46の貫通部46Fに、ワイヤハーネス52、温水ホース53、及び冷媒管54などを通すことにより、支柱46に阻害されることなく簡単に行うことができる。
又、各中継部材46Eが有する上下の壁部46h,46iを、各貫通部46Fの上下において各支柱46の前後の第2縦壁部46fにわたる補強部材、及び、ワイヤハーネス52や温水ホース53などの案内面や支持面として機能させることができる。
これにより、例えば、前後の第2縦壁部46fの上下中間部に貫通部46Fを形成した単一の支柱部材によって各支柱46を構成する場合に比較して、各支柱46の剛性を高めることができる。又、各貫通部46Fに対するワイヤハーネス52や温水ホース53などの挿通、及び、各貫通部46Fでのワイヤハーネス52や温水ホース53などの支持が行い易くなる。
しかも、各貫通部46Fの開放部分46gを覆う縦壁部材46Gが各支柱46に対して着脱可能であることから、ワイヤハーネス52や温水ホース53などを配索する場合には、各支柱46から縦壁部材46Gを取り外しておくことにより、各貫通部46Fに対するワイヤハーネス52や温水ホース53などの挿通、及び、各貫通部46Fでのワイヤハーネス52や温水ホース53などの支持を、車体の横外側から開放部分46gを介して無理なく簡単に行うことができる。そして、それらの配索後は、各支柱46に縦壁部材46Gを取り付けることにより、各貫通部46Fの開放部分46gからのワイヤハーネス52や温水ホース53などの脱落を阻止しながら、各支柱46の貫通部形成箇所を補強することができる。
図2及び図5〜8に示すように、各支柱46の下端部においては、それらの下端部に備えた連結板46Bをエンジンフレーム6の左右のブラケット50に接合した状態では、各支柱46における前後の第2縦壁部46fの下端部分が、対応するブラケット50の前端及び後端に接して、エンジンフレーム6に対する各支柱46の前後方向での位置決めを行うように、各第2縦壁部46fの下端部分を、部分的に連結板46Bよりも車体内側に位置するように構成している。これにより、エンジンフレーム6に対する第2支持フレーム30の組み付けなどを、より簡単かつ適正に行うことができる。
図1及び図5に示すように、左右の各支柱46は、それらの貫通部46Fがエンジン7及び排気浄化装置29などを覆うボンネット11の下縁11aよりも上方に位置するように構成している。これにより、各貫通部46Fに挿通した状態でエンジン7の横側方に配索したワイヤハーネス52や温水ホース53などを、例えば、それらをボンネット11の下縁11aよりも上方の位置に保持するための専用の保持具などを設けることなく、ボンネット11によって覆い隠すことができる。
〔別実施形態〕
〔1〕エンジン7としては、ガソリンエンジンであってもよい。又、コモンレール式の燃料噴射システムを備えたディーゼルエンジンであってもよい。
〔2〕排気処理装置29としては、マフラであってもよく、又、酸化触媒のみを備えた排気浄化装置、あるいは、触媒を担持したDPF38を備えた排気浄化装置、などであってもよい。更に、DPF38を備えた排気浄化装置においては、燃料噴射システムによる主噴射後のポスト噴射により、DPF38を通過する排出ガスの温度を上昇させるように構成したものであってもよく、又、DPF38を通過する排出ガスの温度を上昇させるヒータなどを備えたものであってもよい。又、排気処理装置29の設置姿勢は種々の変更が可能であり、例えば、排気処理装置29を前後向きの姿勢で配備するようにしてもよい。
〔3〕支柱46としては、その上下の支柱部材46C,46Dに、リップ溝形鋼材、山形鋼材、H形鋼材、I形鋼材、又は、鋼管材、などを採用したものであってもよい。又、その中継部材46Eに、リップ溝形鋼材、H形鋼材、又は、鋼管材、などを採用して貫通部46Fを備えるように構成したものであってもよい。更に、上下の支柱部材46C,46Dと中継部材46Eとの溶接構造体に代えて単一の支柱部材を採用し、その支柱部材に支持板46A及び連結板46Bなどを備え、かつ、その上下中間部に前後方向に貫通する貫通部46Fを形成して構成したものであってもよい。又、エンジンフレーム6に立設した状態において真っ直ぐに起立するように形成したものであってもよい。
〔4〕排気処理装置29の支持構造としては、例えば、排気処理装置29を支持する支持台45を、エンジンフレーム6の左右一側部に立設した単一の支柱46によって片持ち支持するように構成したものであってもよい。又、支持台45を備えずに、排気処理装置29を、エンジンフレーム6の左右一側部に立設した単一の支柱46によって支持するように構成したものであってもよい。
〔5〕支持台45としては、排気処理装置29を固定装備する装置固定部47のみによって構成したものであってもよい。又、排気処理装置29を固定装備する装置固定部47と、左右の支柱46に連結する左右の連結部48とから3分割可能に構成したものであってもよい。