JP6423336B2 - 四輪駆動作業車 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関により構成されたエンジンと、走行駆動用の電動モータと、の二系統の走行用出力装置を備えた、いわゆるハイブリッド型の四輪駆動作業車に関する。
この種の四輪駆動作業車に関しては、下記[1]に記載の従来の技術が存在する。
[1]エンジンで駆動される発電機の電力をバッテリに蓄える充電モードと、バッテリに蓄えられた電力を作業装置の動力として用いるアシストモードとの何れかを選択できるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2004−242558号公報(段落番号「0019」、「0033」、「0048」、図5乃至図13)
上記[1]に記載のものでは、バッテリの充電手段として、発電機に代えて太陽電池を脱穀装置の上面などに設けることは示されているが、バッテリやエンジンを、どこにどのように配設するかについての記載が全くない。したがって、バッテリやエンジンを走行機体上に配設するにあたって、より安定性良く合理的に配設するか、あるいは、重量物であるバッテリの脱着操作を簡便にする点についての技術は開示されていない。
本発明は、エンジンのみならず、電動モータによる駆動走行も可能であるように、作業車にバッテリを搭載するにあたり、そのバッテリやエンジンの配設位置を工夫して、走行の安定性を良くし、かつバッテリの脱着操作を行い易くした四輪駆動作業車を提供しようとするものである。
上記の課題を解決するための手段として、本発明における四輪駆動作業車では、左右一対の前輪と左右一対の後輪とで支持された車体フレームを備える走行機体に、運転座席が設けられた運転部と、前記前輪及び前記後輪に駆動力を伝達する原動部と、が備えられ、前記原動部には、内燃機関により構成されたエンジンと、走行駆動用の電動モータと、の二系統の走行用出力装置が備えられ、前記運転部には、前記車体フレーム上で前記運転座席を支持する座席支持フレームが装備され、前記車体フレームは、前記運転部の床面を支持するように配設された前部機枠と、前記運転部の床面よりも高い位置で前記前部機枠の後方側に配設された後部機枠とを備え、前記原動部における前記エンジンが前記後部機枠の下側に配備され、前記電動モータに電力を供給するバッテリが前記前部機枠の上側で前記座席支持フレームの下側に配備され、前記座席支持フレームのうち、前記バッテリの上側で前記バッテリに対向した位置に存在する一部のフレーム部分が、前記車体フレームに固定されている他のフレーム部分に対して、脱着可能に構成されている点に特徴がある。
本発明によれば、エンジンが後部機枠の下側に存在する空間を有効に利用して、外気との接触による冷却も行われ易い状態で配設される。そして、バッテリは前部機枠の上側で座席支持フレームの下側に配備され、機体外部への電磁波の拡散が抑制されるとともに、導電ケーブル等の外部への露出を制限して、それらの保護が行われやすい合理的な構造を採用し得たものである。
また、座席支持フレームのうち、バッテリの上側でバッテリに対向した位置に存在する一部のフレーム部分が、車体フレームに固定されている他のフレーム部分に対して、脱着可能に構成されている。したがって、座席支持フレームの存在に妨げられるおそれなく、重量物であるバッテリをクレーン等で吊り上げた状態での、積み込み、積み降ろし作業を支障なく行い易いという利点がある。
本発明においては、前記車体フレームは、前記前部機枠及び前記後部機枠の全体にわたる範囲で、前後方向に長い左右一対のメインフレームを備え、前記バッテリは、左右の前記メインフレーム同士の間に位置する状態で設けられていると好適である。
本発明によれば、バッテリが、強度メンバーである左右のメインフレームによって保護された状態で走行機体に搭載されるとともに、左右のメインフレーム同士の間で、左右バランス良く配設することができる。
本発明においては、前記座席支持フレームのうちの前記一部のフレーム部分は、そのフレーム部分の端部が、前記他のフレーム部分に対して上方側から重なる状態で、上下方向に貫通する連結ボルトにより連結されていると好適である。
本発明によれば、脱着可能な一部のフレーム部分と、固定されている他のフレーム部分との連結及び連結解除を、上方側からの連結ボルトの操作で簡便に行い易い。
多目的作業車の左側面図である。 多目的作業車の平面図である。 多目的作業車の背面図である。 多目的作業車の後半部における車体フレーム及び原動部を示す左側面図である。 多目的作業車の後半部における車体フレーム及び原動部を示す平面図である。 運転座席の前面側からみた運転座席、及び座席下空間の下部を示す正面図である。 運転座席の前面側からみた座席下空間を示す正面図である。 座席支持フレーム、及び座席下空間における分解斜視図である。 図4におけるIX-IX線断面図である。 メインフレームと原動部支持枠との組み付け状態を示す斜視図である。 原動部支持枠を示す分解斜視図である。 原動部支持枠にエンジンや電動モータを組み込んだ状態を示す斜視図である。 座席支持フレームにおける横向きフレームの脱着を示す説明図である。 座席支持フレームにおける横向きフレームの連結構造を示す断面図である。 メインフレームと原動部支持枠の前部における連結構造を示す斜視図である。 メインフレームと原動部支持枠の後部における連結構造を示す斜視図である。
以下、本発明の四輪駆動作業車にかかる実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した多目的作業車などの走行機体の作業走行時における前進側の進行方向(図2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左」である。
〔全体構成〕
図1乃至図3に、四輪駆動作業車の一例としての多目的作業車を示す。
この多目的作業車には、走行機体の骨組みを形成する車体フレーム1の前部に操向可能な左右一対の前輪4F,4Fが支持されている。車体フレーム1の後部には操向不能な左右一対の後輪4R,4Rが支持されている。これらの前輪4F,4F及び後輪4R,4Rには、後述する走行用出力装置から駆動力が伝達可能に構成されている。これによって、多目的作業車は、四輪走行式の四輪駆動車に構成されている。
走行機体の前後方向での中間部には、ステアリングホイール21及び運転座席22を備えた運転部2が設けられている。
運転部2の後方には、後端側を揺動支点x1としてダンプ作動する荷台5が配備されており、運転部2と荷台5との間には、運転部2と荷台5との間を仕切る(運転部2の後壁を構成する)仕切部材18が配設されている。
荷台5は、車体フレーム1のうち、後述する原動部支持枠30との間に設けられた電動油圧シリンダ11によって、ダンプ作動するように構成されている。又、多目的作業車は、その前部に左右のフロントフェンダ12及びボンネット13などを備えている。
走行機体の後部には、荷台5の下方側に位置する状態で原動部3が設けられている。
原動部3には、内燃機関であるガソリンエンジン6(以下、単にエンジンと略称する)と、電動モータ8との二系統の走行用出力装置が設けられている。
これらの二系統の走行用出力装置のうち、エンジン6の動力は、トランスミッション(図示せず)を内装するミッションケース7から左右横向きに延出された後車軸14を介して、後輪4Rに伝達される。電動モータ8の動力は、電動モータ8の前端部から前方へ延出された前輪駆動軸15により前輪デフケース16に入力され、左右の前車軸17を介して前輪4Fに動力伝達される。
前記運転部2には、操縦者が搭座する運転座席22、及び他の搭乗者が搭座する搭乗席23、の周辺を囲んで搭乗空間s1を形成するロプスフレーム20が備えられている。これにより、運転座席22及び搭乗席23に搭座する乗員は、ロプスフレーム20によって囲まれた搭乗空間s1内に位置した状態となる。
ロプスフレーム20によって囲まれた搭乗空間s1の下部で、運転座席22及び搭乗席23の下側に相当する座席下空間s2は、図4乃至図6に示されているように、エンジン6に燃料を供給するための燃料タンク34、及び前記電動モータ8に電力を供給するためのバッテリ9の配設用空間として利用されている。
また、座席下空間s2は、エンジン6を支持する原動部支持枠30に取り付けられた電動モータ8が、この座席下空間s2に入り込んだ状態で装備されるようにするためにも利用されている。原動部支持枠30に取り付けられた電動モータ8の配設に関する具体構造については後述する。
〔車体フレーム〕
図1、図4、及び図8に示すように、車体フレーム1は、運転部2の床面を支持するように配設された前部機枠1Aと、運転部2の床面よりも高い位置に配設された後部機枠1Bとを備えている。後部機枠1Bは前部機枠1Aの後方側に位置し、前部機枠1Aと後部機枠1Bとは互いに一体に構成されたものである。
具体的には、車体フレーム1は、前後方向に長い左右一対のメインフレーム10を備えている。このメインフレーム10は、前部フレーム10Aと、後部フレーム10Cと、その中間に位置して前部フレーム10Aと後部フレーム10Cとを繋ぐ立ち上がり脚部10Bと、を備えて、前方側が低く後方側が高い階段状に形成されている。左右のメインフレーム10同士は、前後方向での複数箇所で横桟部材10Dにより連結されて一体化されている。
メインフレーム10は前部機枠1A及び後部機枠1Bの前後方向での全体にわたる範囲に設けられている。メインフレーム10のうち、前部フレーム10Aが前部機枠1Aの骨組みとなり、後部フレーム10Cが後部機枠1Bの骨組みとなる。立ち上がり脚部10Bは、前部機枠1A及び後部機枠1Bの中間位置で、前部フレーム10Aと後部フレーム10Cとを一体化するように連結している。
図1及び図2に示すように、前部機枠1Aは、左右のフロントサスペンション(図示せず)を介して、左右の前輪4Fを支持している。後部機枠1Bの下方側には原動部支持枠30が固定され、この原動部支持枠30に対して、左右のリアサスペンション4Aを介して左右の後輪4Rが支持されている。
原動部支持枠30は、上記のように後輪4Rの支持を行うことに加え、後部機枠1Bの下方側に原動部3を形成する役割を果たすためのものであり、車体フレーム1の一部を構成している。つまり、原動部支持枠30は、メインフレーム10に対して、前部機枠1Aの後端部と後部機枠1Bの後端部とにわたって連結可能に構成されていて、メインフレーム10に連結された状態で車体フレーム1の一部を構成するものであるが、メインフレーム10に対しては脱着可能に構成されている。
〔原動部支持枠〕
原動部支持枠30は、エンジン6及びミッションケース7が搭載されるエンジン側枠部分40と、電動モータ8が搭載されるモータ側枠部分50とを備えて、次のように構成されている。
図4、図5、及び図10乃至図12に示すように、エンジン側枠部分40は、その前端部が、前部機枠1Aの後端部で、前部フレーム10Aの後端部に対して連結可能に構成されている。エンジン側枠部分40の後端部は、後部機枠1Bの後端部で後部フレーム10Cに対して連結可能に構成されている。
モータ側枠部分50は、後端部がエンジン側枠部分40の前端部に連結されているとともに、前端部が前部機枠1Aの後端部とエンジン側枠部分40の前端部との連結箇所よりも前方側箇所で、前部機枠1Aに対して脱着可能に連結されている。
このように構成されたエンジン側枠部分40とモータ側枠部分50とは、互いに一体に連結された状態で、メインフレーム10に対して脱着可能に構成されている。
エンジン側枠部分40について説明する。
エンジン側枠部分40は、図5及び図11に示すように、左右一対の前後方向フレーム41を備え、その前端側、後端側、及び中間位置が横架部材42で一体に接続されている。左右の前後方向フレーム41は、断面矩形の角パイプ材で構成されている。その角パイプ材は、前後方向の中間位置で屈曲されて、後側の左右方向間隔が前側の左右方向間隔よりも狭く形成され、後輪4Rとの干渉を避けられるようにしてある。前後方向フレーム41の前端側における左右方向間隔は、メインフレーム10の前部フレーム10Aの後端部と同程度の左右方向間隔に形成されている。
エンジン側枠部分40の前端部には、この前端部を前部フレーム10Aの後端部に連結するための樋状ブラケット部43が取り付けられている。エンジン側枠部分40の後端部には、この後端部を後部フレーム10Cの後端側に連結するための吊り下げ部材45が取り付けられている。
吊り下げ部材45は、上端側が左右の後部フレーム10Cに連結可能であるように左右方向で幅広に構成され、下端側がエンジン側枠部分40の前後方向フレーム41に連結されることにより左右方向で幅狭に構成されて、前後方向視では下窄まりの形状に形成されている。
前部フレーム10Aの後端部に対するエンジン側枠部分40の前端部の連結は、図15に示すように、エンジン側枠部分40の前端部に備えた連結用の樋状ブラケット部43を介して行われる。
この樋状ブラケット部43は、上方側が開放された樋状に形成されていて、エンジン側枠部分40の前端部を下方側から抱き込む状態でエンジン側枠部分40に溶接固定されている。そして、エンジン側枠部分40の上縁よりも上方へ突出した樋状ブラケット部43の横板部分43aにボルト挿通孔43bが形成されている。
この樋状ブラケット部43を、横板部分43aが前部フレーム10Aの後端部を左右両側から抱き込む状態に、前部フレーム10Aの下側から装着する。この状態で前部フレーム10Aの後端部に形成されたボルト挿通孔10Aaを、横板部分43aに形成されたボルト挿通孔43bと合致させ、その両ボルト挿通孔10Aa,43bに左右方向から連結ボルト44を挿通して締め込み、横板部分43aで前部フレーム10Aの後端部を左右両側から挟み込むことによって連結固定する。
後部機枠1Bの後端部に対するエンジン側枠部分40の後端部の連結は、次のようにして行われる。
図10乃至図12、及び図16に示すように、エンジン側枠部分40の後端部には、後部機枠1Bの後端部における後部フレーム10Cに対して、上端側を連結可能な吊り下げ部材45の下端部が溶接固定されている。
吊り下げ部材45の上端部には、連結用当て板46が溶接固定されている。この連結用当て板46は、ボルト挿通孔46bを備えた上向きの当接面46aを備えている。後部フレーム10Cの横側面のうち、機体内方側に向く横側面部分に、下向きの下面47aを備えた取付用ブラケット47が溶接固定されている。この取付用ブラケット47にも、ボルト挿通孔47bが形成されている。
連結用当て板46に備えたボルト挿通孔46bと、取付用ブラケット47に備えたボルト挿通孔47bとを合致させ、その両ボルト挿通孔46b,47bに上下方向から連結ボルト48を挿通して締め込むことにより、後部フレーム10Cに対して、吊り下げ部材45の上端部が、脱着可能に連結固定される。
モータ側枠部分50について説明する。
図5、図8、及び図11に示すように、モータ側枠部分50は、下向き開放の断面チャンネル状部材で構成された左右一対の前後方向フレーム51を備えている。この前後方向フレーム51と、その前端側、及び後端側を接続する前後一対の横架部材52とを備えて、平面視で矩形枠状に形成されている。
モータ側枠部分50における前後方向フレーム51同士の左右方向幅は、メインフレーム10の前部フレーム10A同士の左右方向間隔よりも狭く形成されていて、左右の前部フレーム10A同士の間に位置する状態で配置されている。
モータ側枠部分50の後端側の横架部材52には、エンジン側枠部分40の前端側の横架部材42に備えた左右一対の取付座部42aに対して重合する左右一対の連結ブラケット52aが設けられている。この連結ブラケット52aと前記取付座部42aとに連結ボルト53を挿入して締結することにより、エンジン側枠部分40に対してモータ側枠部分50の後端側を一体的に連結可能に構成してある。
モータ側枠部分50の前端側は、メインフレーム10における前部フレーム10A同士の間に横架された横桟部材10Dに取り付けられている連結部材54に対して、脱着可能に構成されている。
すなわち、モータ側枠部分50の前後方向フレーム51における前端部の上面側に、連結孔51aが形成されているとともに、その連結孔51aが形成された部位における前後方向フレーム51の裏面側に止めナット(図示せず)を固定してある。したがって、この前後方向フレーム51の連結孔51aを、連結部材54に形成されている連結孔(図示せず)と合致する状態に位置させて、連結ボルト55を締め込んで連結固定、あるいは連結ボルト55を緩めて連結解除することができる。
上記の連結部材54と前後方向フレーム51の前端部との連結箇所は、前部フレーム10Aの後端部とエンジン側枠部分40の前端部との連結箇所よりも、車体フレーム1の前後方向での前方側箇所に設定されている。
そして、モータ側枠部分50は、前部フレーム10Aの上縁10Abよりも上方側にではなく、図9に示すように、前後方向フレーム51の上縁51bが前部フレーム10Aの上縁10Abよりも少し低く位置し、前後方向フレーム51の下縁51cと前部フレーム10Aの下縁10Acがほぼ同高さとなる状態に配置されている。このように、前後方向フレーム51が前部フレーム10Aの上下幅内に位置ように低く配設されることによって、電動モータ8を車体フレーム1上の低い位置に配設し易くなる。
モータ側枠部分50の前後方向フレーム51の上面側に、電動モータ8を連結固定するための複数本の固定台56(モータ支持部に相当する)が立設され、電動モータ8の周部に備えられた取付部に連結ボルト57を挿通して、前後の固定台56に電動モータ8を固定するようにしてある。
モータ側枠部分50に取り付けられた状態で、電動モータ8の下縁は、メインフレーム10の前部フレーム10Aにおける上縁10Abよりも下方に位置し、かつ、前部フレーム10Aの下縁よりも上方に位置している(図6参照)。
〔座席支持フレーム〕
次に、座席支持フレーム24について説明する。
図4及び図7に示すように、座席支持フレーム24は、ロプスフレーム20によって囲まれた搭乗空間s1の下方で、運転座席22及び搭乗席23を支持するためのものであるとともに、運転座席22及び搭乗席23の下側に座席下空間s2を形成するためのものでもある。
座席下空間s2は、図6に示されるようにエンジン6に燃料を供給するための燃料タンク34、電動モータ8に電力を供給するためのバッテリ9、及び制御用の各種電気機器37の配設用空間として用いられているとともに、電動モータ8自体を収容するためのスペースを確保する箇所としても利用されている。
図8に示されるように、座席支持フレーム24は、メインフレーム10の左右の立ち上がり脚部10Bの上部から前方へ向けて延出された左右一対の前向きフレーム25と、左右の前部フレーム10Aの上面側から立設された左右一対の起立フレーム26と、前向きフレーム25と起立フレーム26との交点部分同士を結ぶ状態で左右方向に配設された横向きフレーム27とを備えている。
この座席支持フレーム24の上側に座席取付台(図示せず)を搭載して、座席取付台に運転座席22や搭乗席23が固定されている。
座席支持フレーム24の下側に形成される座席下空間s2内においては、図6に示されるように、右側の前部フレーム10Aの右側方(図6中では左側に示されている)にタンク支持台34Aが延出されて、そのタンク支持台34Aの上側に燃料タンク34が配設されている。
左側の前部フレーム10Aの左側方(図6中では右側に示されている)には、前部フレーム10Aの横外側に位置するように、制御用の各種電気機器37が、座席支持フレーム24の横向きフレーム27等に連結された適宜取付部材を介して配備されている。
座席下空間s2内における左右の前部フレーム10A同士の間には、電動モータ8に電力を供給するためのバッテリ9として、リチウムイオンバッテリが備えられている。
図7乃至図9に示されているように、このバッテリ9は、下面側の高さが左右で異なる段差のある形状に形成されている。右側における高い下面9aは、右側の前部フレーム10Aから立設された背の高い右取付台35Rに固定され、左側における低い下面9bは、左側の前部フレーム10Aから立設された背の低い左取付台35Lに固定されている。
この高さの異なる下面9a,9bのうち、右側寄りの高い下面9aの左右方向長さが、左側寄りの低い下面9bの左右方向長さよりも長く形成されていて、その右側寄りの高い下面9aの下側の空間に、原動部支持枠30のモータ側枠部分50に搭載された電動モータ8が潜り込む状態で、つまり前後方向及び左右方向で重複する状態で配設されている。
このように、バッテリ9と電動モータ8とが、前後方向でも左右方向でも重複し、しかも、電動モータ8の上部がバッテリ9の右側寄りの高い下面9aに潜り込む状態で配設されたことで、バッテリ9も、電動モータ8も、そのバッテリ9と電動モータ8の集合体も、走行機体の前後方向及び左右方向での中央位置付近に集約された状態で搭載される。
すなわち、バッテリ9と電動モータ8は、左右方向では左右の前部フレーム10A同士の間に位置し、前後方向では、前車軸17と後車軸14との間に位置している。さらに前後方向では、より中央位置に近い箇所である座席下空間s2に、前記バッテリ9と電動モータ8とが存在している。
また、上下方向においても、バッテリ9と電動モータ8とは車体フレーム1上の低い位置に設けられている。
つまり、バッテリ9は、車体フレーム1のうちで低い位置にある前部フレーム10Aに、右取付台35R及び左取付台35Lを介して取り付けられている。そして、モータ側枠部分50は、前部フレーム10Aの上縁10Abよりも低い位置に上縁51bを有した前後方向フレーム51を備え、この前後方向フレーム51に電動モータ8が搭載されている。このようにモータ側枠部分50を走行機体上で、できるだけ低く配置することで、電動モータ8の走行機体上における配設高さをできるだけ低くしている。
このことに加えて、下面側に段差を有したバッテリ9の、高い下面9aの下側に潜り込ませた状態で電動モータ8を配設して、バッテリ9と電動モータ8とが上下方向でも重複する状態としてある。これにより、バッテリ9と電動モータ8との集合体についても、その重心G2の高さ位置を、走行機体上のできるだけ低い位置に設定することができる。
その結果、図7に示すように、頑丈なロプスフレーム20を備えていて比較的走行機体全体の重心G1の位置が高くなりがちな多目的作業車において、その走行機体全体の重心G1の高さ位置よりも、バッテリ9と電動モータ8との集合体の重心G2の高さ位置が低くなっている。つまり、上述したバッテリ9と電動モータ8との配置構成が、走行機体全体の重心G1の高さを、より低くするための手段として役立っている。
尚、ここでいう走行機体全体の重心G1とは、車体フレーム1上にバッテリ9と電動モータ8とを搭載した状態での走行機体全体の重心G1の位置をいう。
座席支持フレーム24のうち、左右方向に延設されている横向きフレーム27は、左右の前部フレーム10A同士の間で、かつ左右の前向きフレーム25と起立フレーム26との交点部分よりも少し機体内方側に外れた二箇所で分割可能に構成されている。
これは、バッテリ9のうち、その一部が横向きフレーム27の下側に潜り込む状態で配設される構造を採用した場合にも、バッテリ9が存在する位置に対向した箇所の横向きフレーム27の一部を脱着できるようにして、バッテリ9の吊り上げ、吊り降ろしを支障なく行い易くするためである。
具体的には、図7,8に示すように、角パイプ状の横向きフレーム27が、脱着可能な脱着フレーム部分28(一部のフレーム部分に相当する)と、脱着不能な固定フレーム部分29(他のフレーム部分に相当する)との組み合わせで構成されている。
固定フレーム部分29は、前向きフレーム25と起立フレーム26との交点部分に機体内方側の端部近くが連結されるとともに、前部フレーム10Aよりも機体横外方側に設けた、外側脚フレーム38及び手摺りフレーム39に機体外方側の端部近くが連結されることによって、車体フレーム1に固定されている。
脱着フレーム部分28は、その両端部が左右の固定フレーム部分29に連結可能に構成されているだけで、他の部位には連結されていない。
脱着フレーム部分28と固定フレーム部分29との連結は、次のようにして行われる。
図13及び図14に示すように、脱着フレーム部分28と固定フレーム部分29とのそれぞれは、角パイプ状のフレーム筒28a,29aの端部に、角柱状の接続金具28b,29bを嵌入させて一体に固定することにより構成されている。
接続金具28b,29bのうち、固定フレーム部分29側の接続金具29bは、脱着フレーム部分28に対向する端部側の上半部が切り欠かれた形状である。脱着フレーム部分28側の接続金具28bは、固定フレーム部分29に対向する端部側の下半部が切り欠かれた形状である。
そして、上半部が切り欠かれた形状の固定フレーム部分29側の接続金具29bの上側に、下半部が切り欠かれた形状の脱着フレーム部分28側の接続金具28bを重ね合わせ、それぞれの接続金具28b,29bを上下に貫通する上下方向の連結ボルト27aにより、両接続金具28b,29bを連結して、脱着フレーム部分28を固定フレーム部分29に連結している。
〔原動部〕
二系統の走行用出力装置が配設された原動部3について説明する。
上記の座席支持フレーム24の下側に存在する部位、及び前記原動部支持枠30の上側に存在する部位が原動部3に相当する。
二系統の走行用出力装置のうち、一系統の走行用出力装置は、内燃機関により構成されたエンジン6であり、他の一系統の走行用出力装置は走行駆動用の電動モータ8である。
この多目的作業車では、エンジン6の動力で後輪4Rを駆動し、電動モータ8の駆動力で前輪4Fを駆動するように構成されている。
エンジン6による後輪4Rの駆動と、電動モータ8による前輪4Fの駆動とが同時に行われている状態が四輪駆動状態であり、エンジン6による後輪4Rの駆動のみによる駆動状態が後二輪駆動状態であり、電動モータ8による前輪4Fの駆動のみよる走行駆動状態が、前二輪駆動状態である。
この四輪駆動状態と、後二輪駆動状態と、前二輪駆動状態と、の各駆動状態は、具体的な説明は省くが運転部2における図示しない操作具の切り換え操作によって、適宜に切り換えられるように構成されている。
図2乃至図4に示されているように、原動部3のうち、原動部支持枠30の上側に存在する部位では、出力軸(図示せず)が車体の左右方向に沿う横置き姿勢のエンジン6が、前記出力軸よりもシリンダヘッド6A側が車体後方側に位置する後傾斜姿勢で設けられている。このようにエンジン6を後傾斜姿勢で備えることにより、出力軸を水平姿勢に維持しながらエンジン6の全体高さを低くすることができ、原動部3の全体高さを低くすることができる。
エンジン6の後方側に、トランスミッションを内装したミッションケース7が配設されている。エンジン6とミッションケース7との左横側方にベルト式無段変速装置31が配設され、そのベルト式無段変速装置31の上側に沿って後方側へ延出された排気管32の途中に、マフラなどの排気処理装置33が配設されている。
原動部3のうち、座席支持フレーム24の下側に存在する部位では、図6乃至図8に示すように、エンジン6に対して燃料を供給するための燃料タンク34が、前述したように座席下空間s2の右側端部に設けられ、エンジン6や電動モータ8に対して制御信号を伝える制御用の各種電気機器37が座席下空間s2の左側端部に設けられている。
また、座席下空間s2の左側端部には、座席支持フレーム24の下側に、前側の一部分のみが存在し、後方側の部分は、座席支持フレーム24の下側よりも後方側へ突出する状態で、制御用の各種電気機器37等に対して制御信号を出力する、あるいはエンジン6の動作制御用の電力を供給するための、制御用バッテリ36が配設されている(図10参照)。
座席支持フレーム24の下側に存在する部位のうち、左右方向での中央側に相当する左右のメインフレーム10同士の間には、前輪4Fを駆動するための電動モータ8、及び電動モータ8に電力を供給するためのバッテリ9が配設されている。
バッテリ9は、リチウムイオンバッテリであり、外部から電力を取り込むプラグインタイプに構成されたものである。
このバッテリ9が、座席下空間s2内で、右取付台35R及び左取付台35Lによって少し持ち上げられて、その下側に電動モータ8が潜り込む状態で配設される。バッテリ9はエンジン6の前側に位置しており、右取付台35R及び左取付台35Lによって少し持ち上げられるが、エンジン6と同程度の高さ範囲内に位置する状態で設けられている。
電動モータ8の出力軸(図示せず)は機体前方側へ向けて突出している。その出力軸に前輪駆動軸15が連結され、前輪デフケース16、及び前車軸17を介して、電動モータ8の動力が前輪4Fに伝達される。
〔別実施形態の1〕
上記の実施形態では、エンジン6としてガソリンエンジンを備えたものを示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、ディーゼルエンジンを備えるディーゼル仕様でもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の2〕
上記の実施形態では、バッテリ9としてプラグインタイプのものを用いた例を示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、エンジン6で駆動される発電機、あるいは回生装置を用いて、バッテリ9の充電を行うようにしたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の3〕
上記の実施形態では、電動モータ8を座席下空間s2に配備した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、電動モータ8をエンジン側枠部分40の上側空間に配備して、モータ側枠部分50を省くようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の4〕
上記の実施形態では、電動モータ8をバッテリ9の下側に潜り込ませた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、電動モータ8とバッテリ9とを左右に併設するようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の5〕
上記の実施形態では、運転部2にロプスフレーム20を設けた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、ロプスフレーム20ではなく運転キャビンを備えたものであったり、また、このような運転部2の周りを囲むロプスフレーム20や運転キャビンを備えていない構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
本発明は、エンジンと電動モータとの二系統の走行用出力装置を備えた運搬車、トラクタ、乗用草刈機、乗用田植機、などの四輪駆動作業車に適用することができる。
1 車体フレーム
1A 前部機枠
1B 後部機枠
2 運転部
3 原動部
4F 前輪
4R 後輪
6 エンジン
8 電動モータ
9 バッテリ
10 メインフレーム
22 運転座席
24 座席支持フレーム
28 一部のフレーム部分
29 他のフレーム部分
27a 連結ボルト

Claims (3)

  1. 左右一対の前輪と左右一対の後輪とで支持された車体フレームを備える走行機体に、運転座席が設けられた運転部と、前記前輪及び前記後輪に駆動力を伝達する原動部と、が備えられ、
    前記原動部には、内燃機関により構成されたエンジンと、走行駆動用の電動モータと、の二系統の走行用出力装置が備えられ、
    前記運転部には、前記車体フレーム上で前記運転座席を支持する座席支持フレームが装備され、
    前記車体フレームは、前記運転部の床面を支持するように配設された前部機枠と、前記運転部の床面よりも高い位置で前記前部機枠の後方側に配設された後部機枠とを備え、
    前記原動部における前記エンジンが前記後部機枠の下側に配備され、前記電動モータに電力を供給するバッテリが前記前部機枠の上側で前記座席支持フレームの下側に配備され、
    前記座席支持フレームのうち、前記バッテリの上側で前記バッテリに対向した位置に存在する一部のフレーム部分が、前記車体フレームに固定されている他のフレーム部分に対して、脱着可能に構成されている四輪駆動作業車。
  2. 前記車体フレームは、前記前部機枠及び前記後部機枠の全体にわたる範囲で、前後方向に長い左右一対のメインフレームを備え、前記バッテリは、左右の前記メインフレーム同士の間に位置する状態で設けられている請求項1記載の四輪駆動作業車。
  3. 前記座席支持フレームのうちの前記一部のフレーム部分は、そのフレーム部分の端部が、前記他のフレーム部分に対して上方側から重なる状態で、上下方向に貫通する連結ボルトにより連結されている請求項1又は2記載の四輪駆動作業車。
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