JP5806122B2 - 潰瘍性大腸炎の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マーカー遺伝子を用いた潰瘍性大腸炎の検出方法に関する。より具体的には、糞便に含まれているマーカー遺伝子由来RNAの量を指標として、当該糞便が採取された被験者の潰瘍性大腸炎への罹患の有無及びその病期を検出する方法に関する。
本願は、2010年2月8日に日本国に出願された特願2010−25024号に基づく優先権を主張し、その内容をここに援用する。
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)は、腹痛、下痢、下血、発熱、貧血、体重減少等の症状を呈し、大腸及び小腸等の消化管の粘膜に慢性の炎症又は潰瘍を引き起こす、原因不明の疾患の総称である。生活習慣の欧米化に伴い、本邦においても罹患患者数が増加の一途をたどっている。炎症性腸疾患の特徴の一つとして、若年者の患者が多いことが挙げられる。また、罹患によりQOL(Quality of Life)の低下を来たす場合が多く、厚生労働省により特定疾患に指定されている。
炎症性腸疾患は、主に、潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis)とクローン病(Crohn’s Disease)とに大別される。潰瘍性大腸炎は、主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症である。通常、血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。一般的に、病状の拡がり(全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎、右側あるいは区域性大腸炎)、病期(ステージ)(活動期や寛解期など)、重症度(軽症、中等症、重症)、臨床経過(再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型)等によって分類される。一方、クローン病は、潰瘍や繊維化を伴う肉芽腫性炎症性病変が、口腔から肛門までの消化管全域に、非連続的に起こる疾患である。症状は、病変の部位や範囲によって異なり、発熱、栄養障害、貧血等の全身症状や、関節炎、虹彩炎、肝障害等の全身性合併症も起こり得る。一般的に、病変の存在部位(小腸型、小腸大腸型、大腸型、直腸型、胃・十二指腸型など)、病期(活動期、非活動期など)等によって分類される(例えば非特許文献1参照。)。
潰瘍性大腸炎とクローン病のいずれも、臨床症状から発症が疑われる場合に、特有の病変が観察されるかどうかに基づき診断される。このため、これらの疾患の診断・治療方針の決定には、病変部を直接観察することができ、病理組織学的検討もできる内視鏡検査が重要な位置を占めている。しかしながら、重症患者に対しての内視鏡検査は、検査自体が悪化の原因となることがある。また、増加傾向にある小児患者に対しては、侵襲性が高いことや麻酔下で行う必要がある等の理由から、内視鏡検査を躊躇してしまうことも多い。さらに、大腸内を内視鏡で観察するためには、下剤等による前処置が必要であり、時間を要するため、忙しい外来通院患者では内視鏡検査に対する受容性は決して高くはなく、気軽に行うことは難しい。このため、より侵襲性が低く、かつ、感度・特異度の高い検査方法が望まれている。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病は、原因が不明であり、根本療法がなく、完全な治癒は困難である。このため、再燃・寛解が繰り返され、患者のQOLは著しく損なわれてしまう。したがって、これらの疾患においては、寛解期をできるだけ長くすること、及び再燃した場合にはなるべく早期に治療を試みることが重要である。このためにも、疾患活動性や再燃予測性に対する有効かつ非侵襲的な指標が強く求められている。
これらの疾患の活動性の把握には、これまで、DAI(Disease Activity Index)等の全身症状を含めた指標も用いられてきた。しかしながら、病変の首座である消化管粘膜病変を反映した指標のほうが、感度・特異度も高く重要であることが認識されてきている。
一方で、例えば、疾患部位が同じ大腸である大腸がんの診断において、糞便に含まれる成分を指標とする方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。糞便中にはがん組織から剥離してきた細胞が含まれていることから、糞便の組成は、消化管病変を反映し得ると考えられる。そこで、当該方法では、正常組織ではあまり発現せずがん組織で高発現する遺伝子をバイオマーカーとし、糞便中の当該遺伝子のmRNA量を指標として、がん罹患者と健常者とを区別している。このように、検体として糞便を用いることにより、侵襲性がなく、被験者の検査負担を飛躍的に改善することができる。
炎症性腸疾患についても、糞便に含まれる成分を、疾患活動性や再燃予測性の指標として利用できるかどうかについて、種々の研究がなされている。例えば、糞便中のラクトフェリンやカルプロテクチン等の好中球に由来するタンパク質の量が、粘膜病変及び疾患活動性を反映するかどうかが検討されており、これらのタンパク質量の指標としての有用性が報告されている(例えば、非特許文献2及び3等参照。)。しかしながら、これらのタンパク質量を指標とした場合には、活動期と寛解期に大別するような大まかな判別にしか使われていない。
特許第4134047号公報 特許第4206425号公報 国際公開第2007/018257号パンフレット
宮本彰俊著、松川正明監修「消化器疾患の臨床分類 一目でわかる分類と内視鏡アトラス」、株式会社羊土社発行、2008年、第136〜152ページ。 Thomas R. Walker、他6名、ジャーナル・オブ・ペディアトリック・ガストロエンテロロジー・アンド・ニュートリション(Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition)、2007年、第44巻、第414〜422ページ。 Ulrika Lorentzon Fagerberg、他4名、ジャーナル・オブ・ペディアトリック・ガストロエンテロロジー・アンド・ニュートリション(Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition)、2007年、第45巻、第414〜420ページ。
本発明は、糞便に含まれる成分を指標として、炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎を検出する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、潰瘍性大腸炎患者より提供された糞便からRNAを抽出し、このRNA中に含まれているヒト遺伝子由来のRNAを解析したところ、糞便中に含まれている特定の遺伝子由来のRNAの量を指標とすることにより、潰瘍性大腸炎の罹患の有無や、活動期、非活動期、寛解期といった病期を比較的明確に鑑別することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の構成をとる。
(1) 活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別して、潰瘍性大腸炎を検出する方法であって、
(a)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出する工程と、
(b)前記工程(a)において得られたRNA中のCD45遺伝子由来RNAの量と、CEA(Carcinoembryonic antigen)遺伝子由来RNAの量及びB2M(β2 microglobulin)遺伝子由来RNAの量のいずれか一方とを測定する工程と、
(c)前記工程(b)において測定されたCD45遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期にある可能性の高低を判定する、又は
前記工程(b)において測定されたCD45遺伝子由来RNAの量をB2M遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期にある可能性の高低を判定する工程と、
を有することを特徴とする潰瘍性大腸炎の検出方法。
(2) 潰瘍性大腸炎と大腸がんの罹患可能性を判定する方法であって、
潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ当該遺伝子由来RNAが、健常者から採取された糞便中に検出可能な量含有されている遺伝子を第1のマーカー遺伝子とし、
潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ大腸がんの遺伝子マーカーでもある遺伝子を第2のマーカー遺伝子とし、
被験者から採取された糞便中に含まれている、前記第1のマーカー遺伝子由来RNAの量に対する、前記第2のマーカー遺伝子由来RNAの量の比([第2のマーカー遺伝子由来RNAの量]/[第1のマーカー遺伝子由来RNAの量])を指標として、当該被験者が潰瘍性大腸炎と大腸がんのどちらに罹患している可能性が高いかを判定し、
前記第1のマーカー遺伝子がCEA(Carcinoembryonic antigen)遺伝子又はB2M(β2 microglobulin)遺伝子であり、かつ、前記第2のマーカー遺伝子がCD45遺伝子であることを特徴とする、潰瘍性大腸炎と大腸がんの罹患可能性の判定方法。
本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法を用いることにより、被験者から採取された糞便を検体として、活動期の潰瘍性大腸炎を高精度に検出することができる。このため、被験者から採取された糞便に対して本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法を行うことにより、当該被験者が潰瘍性大腸炎に罹患しているか否かを、より安全にかつ精度よく検出することができる。また、被験者が予め潰瘍性大腸炎に罹患していると診断されている場合には、当該被験者の病期、特に活動期であるか否かを検査することもできる。
実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたCOX−2のmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたB2MのmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたMMP−7のmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたSnailのmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたCD45のmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例1において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたCEAのmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに示した図である。 実施例2において、採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていたCOX−2/CEA値(COX−2のmRNAのコピー数をCEAのmRNAのコピー数で除した値)を、疾患ごとに示した図である。 実施例2及び3において得られた、各マーカー遺伝子由来RNA量の比を、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんとの識別マーカーとして用いた場合のROC(Receiver Operating Characteristic)解析の結果を示した図である。 実施例4において、潰瘍性大腸炎患者の一日当たりの便の回数と、投薬状況、及び各マーカー遺伝子由来RNA量(コピー数)を示した図である。
本発明及び本願明細書において、潰瘍性大腸炎患者の活動期、非活動期、及び寛解期は、それぞれ、以下の状態を意味する。
活動期:血便を訴え、内視鏡的に血管透見像の消失、易出血性、びらん、又は潰瘍などを認める状態。
非活動期:血便は消失したが、内視鏡的には完全には活動期の所見が消失していない状態(血管透見像も出現してきたが、一部に軽度の発赤などが見られる場合)。
寛解期:血便が消失し、内視鏡的には活動期の所見が消失し、血管透見像が出現した状態。
また、本発明及び本願明細書において、「マーカー遺伝子由来RNA」とは、マーカー遺伝子のゲノムDNAの全長又は一部分から転写されたRNAを意味し、該遺伝子のmRNAであってもよく、該mRNAの一部分(フラグメント)であってもよい。
本発明及び本願明細書において、「非罹患者」とは、潰瘍性大腸炎に罹患していない者を意味し、健常者のみならず、潰瘍性大腸炎以外の疾患に罹患している者も含む。
本発明は、潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーとして、COX−2(Cyclooxygenase−2)遺伝子、B2M(β2 microglobulin)遺伝子、MMP−7(Matrix metalloproteinase−7)遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA(Carcinoembryonic antigen)遺伝子からなる群より選択される1種以上の遺伝子を用いることを特徴とする。以下、これらの6種類の遺伝子を、潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子という。これらの遺伝子のうちの1種類の遺伝子をマーカー遺伝子として用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の遺伝子を組み合わせて用いることにより、検査において、潰瘍性大腸炎をより精度よく検出することができる。
これらのマーカー遺伝子は、当該遺伝子由来RNAの量と、潰瘍性大腸炎の活動性との間に、強い正の相関がある。すなわち、活動期にある潰瘍性大腸炎罹患者の糞便には、非罹患者(例えば健常者)の糞便と比べて、これらのマーカー遺伝子由来RNAが有意に多く含まれている。また、潰瘍性大腸炎の罹患者群では、寛解期、非活動期、活動期の順に、糞便中におけるこれらのマーカー遺伝子由来RNAの量が多くなる傾向がある。さらに、大腸内の病変部位の面積が多くなるほど、糞便中におけるこれらのマーカー遺伝子由来RNAの量が多くなる傾向がある。
これらの遺伝子が潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子として用いることができる理由は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患においては、非罹患者よりも腸管内壁から多くの細胞が剥奪すること、及び、活動期から寛解期において段階的に剥奪細胞数が減少することが予測される。腸管内壁の細胞中には様々な種類の遺伝子に由来するRNAが含まれているが、COX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子は、剥奪細胞に含まれているその他多くの遺伝子よりも、糞便中の遺伝子由来RNAの量と剥奪細胞数との相関性が高く、このため、糞便中のこれらの遺伝子の遺伝子由来RNAの量を、潰瘍性大腸炎のバイオマーカーとし得ると推察される。
本発明においては、糞便中の潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子由来RNAの量を測定し、得られた測定値を指標として、潰瘍性大腸炎の罹患の有無や病期を検査する。例えば、糞便中のマーカー遺伝子由来RNAの量について、予め閾値を設定しておき、この閾値に基づき、被験者から採取された糞便中の当該マーカー遺伝子由来RNAの量から、当該被験者が潰瘍性大腸炎に罹患しているか否か等を判定することができる。
本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子を用いて、潰瘍性大腸炎を検出する方法であって、下記工程(A)〜(C)を有し、前記マーカー遺伝子が、COX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子からなる群より選択される1種以上の遺伝子であることを特徴とする。
(A)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出する工程と、
(B)前記工程(A)において得られたRNA中のマーカー遺伝子由来RNAの量を測定する工程と、
(C)前記工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較する工程。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(A)として、被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出する。本工程においては、抽出したRNAを常法により精製してもよい。糞便からのRNAの抽出・精製方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよく、市販されている精製キット等を利用することもできる。なお、次の工程に移る前に、予め、工程(A)において得られたRNAの量や濃度を測定してもよい。RNAの量や濃度の測定方法は、特に限定されるものではなく、吸光度測定法等の当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよい。
工程(A)においてRNA抽出に供される糞便は、ヒト由来のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、定期健診や診断等のために採取された検体等を用いることができる。また、排泄直後のものであってもよく、採取後一定期間保存されたものであってもよい。糞便の保存方法は特に限定されず、臨床検査等で糞便に対してなされる保存方法のいずれであってもよい。例えば、凍結保存や冷蔵保存された糞便をRNA抽出に用いてもよく、各種保存液に浸漬・懸濁させた状態で保存されたものを用いてもよい。糞便に添加される保存液としては、例えば、水溶性アルコール類等を有効成分とする糞便試料調製用溶液(例えば、国際公開第2010−024251号パンフレット参照。)等の、糞便中のRNAの損傷を抑制して保存し得る溶液であることが好ましい。
工程(A)において抽出されたRNAは、そのまま工程(B)へ用いられてもよく、一定期間保存後に工程(B)へ用いられてもよい。RNAの保存は、RNAの分解を抑制して保存し得る方法であれば、いずれの方法で行ってもよく、例えば、凍結乾燥後に保存してもよく、精製水に溶解させた溶液の状態で保存してもよい。
次に、工程(B)として、工程(A)において得られたRNA中のマーカー遺伝子由来RNAの量を測定する。工程(B)におけるマーカー遺伝子由来RNAの量の測定方法は、特に限定されるものではなく、一般的に特定の塩基配列を有する核酸の量を測定する場合に用いられる公知の手法の中から、適宜選択して行うことができる。
なお、本発明及び本願明細書において、RNAの量を測定するとは、厳密な定量を意味するものではなく、半定量的なものであってもよく、所定の閾値等との定量的な比較が可能な程度に測定できるものであってもよい。例えば、当該技術分野において公知の手法によりマーカー遺伝子由来RNAを検出し、得られた検出結果から、濃度既知の対照試料の検出結果から作成された検量線に基づき算出することができる。マーカー遺伝子由来RNAの検出方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において公知のいずれの方法を用いてもよい。例えば、マーカー遺伝子由来RNAとハイブリダイズし得るプローブを用いたハイブリダイゼーション法により検出してもよく、マーカー遺伝子由来RNAとハイブリダイズし得るプライマーとポリメラーゼとを用いた核酸増幅反応を利用した方法により検出してもよい。その他、市販されている検出用キット等を利用することもできる。
工程(B)における測定は、工程(A)において得られたRNA中に存在するマーカー遺伝子由来RNAを直接定量的に検出してもよく、当該RNA中のマーカー遺伝子由来RNAを核酸増幅反応により増幅させた後に定量的に検出してもよい。例えば、マーカー遺伝子由来RNAに隣接してハイブリダイズする2本のプローブを用い、ハイブリダイゼーション後にリガーゼ反応により結合させ、得られた結合体を定量的に検出する方法や、標識したプローブを用いたノザンブロッティング法を行い、ハイブリダイゼーションにより会合体を形成したプローブの量を、標識を指標として定量的に検出する方法等により、マーカー遺伝子由来RNAを直接検出することができる。
マーカー遺伝子由来RNAの量は微量であるため、核酸増幅反応を利用した方法により測定することもできる。例えば、工程(A)において得られたRNAの全量又は一部に対して、逆転写反応を行うことによりcDNAを合成した後、得られたcDNAを鋳型として核酸増幅をすることにより、マーカー遺伝子由来RNAを検出し、その量を測定することができる。cDNAを鋳型とした核酸増幅法としては、通常PCR(Polymerase Chain Reaction)が行われるが、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)法やICAN(Isothermal and Chimeric Primer−initiated Amplification of Nucleic acids)法を用いることもできる。また、該核酸増幅として、リアルタイムPCR等の半定量的PCRを行うことにより、マーカー遺伝子由来RNAの検出と同時にその定量を簡便に行うことができる。その他、RNAからダイレクトにRNAを増幅させるNASBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)法によっても、マーカー遺伝子由来RNAを増幅させることができる。マーカー遺伝子由来RNAの増幅産物は、当該技術分野において公知の手法により定量することができる。例えば、その増幅産物を適宜、ゲルやキャピラリー電気泳動等で特異的に分離した後、それを検出することにより定量的に測定することができる。
また、マーカー遺伝子由来RNAの検出には、インベーダー(登録商標)法等の各種増感法を利用することもできる。増感法は、工程(A)において得られたRNA中に存在するマーカー遺伝子由来RNAを、直接検出する場合と、核酸増幅反応により増幅させた後に検出する場合のいずれの場合にも利用することができる。
2種類以上のマーカー遺伝子を組み合わせて用いる場合、それぞれのマーカー遺伝子由来RNAの量を個別に測定してもよく、同時に測定してもよい。例えば、工程(A)において得られたRNAの全量又は一部から逆転写反応により得られたcDNAを鋳型とし、遺伝子の種類ごとに別個にPCRを行って増幅産物を得てもよく、マルチプレックスPCR等を行うことにより、複数の遺伝子の増幅産物を1つの反応で得てもよい。
工程(B)の後、工程(C)として、工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較する。比較の結果、前記被験者が潰瘍性大腸炎に罹患している可能性の有無や高低を判定することができる。具体的には、例えば、工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量が、予め設定された閾値よりも多い場合には、前記被験者が潰瘍性大腸炎に罹患している(又は、罹患している可能性が高い)と判定し、当該閾値よりも少ない場合には、前記被験者は潰瘍性大腸炎に罹患していない(又は、罹患している可能性が低い)と判定することができる。
この際に用いられる閾値は、当業者であれば、工程(B)におけるマーカー遺伝子由来RNA量の測定方法の種類等を考慮して、また必要な予備検査等を行うことにより、適宜設定することができる。例えば、内視鏡検査等の他の検査方法の結果から、潰瘍性大腸炎に罹患していないことが分かっている集団(非罹患者群)から採取された糞便と、潰瘍性大腸炎に罹患していることが分かっている集団(罹患者群)から採取された糞便とに対して、工程(B)と同じ測定方法によりマーカー遺伝子由来RNA量を求め、両集団の測定値を比較することにより、両群を識別するための閾値を適宜設定することができる。
糞便に含まれているCOX−2遺伝子等に由来するRNAの量は、潰瘍性大腸炎の活動性との間に強い相関があるため、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法では、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者の検出に、非常に有効である。具体的には、予め、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者群と健常者群とを分ける閾値を設定しておき、工程(C)において、当該閾値を用いて、被験者が活動期の潰瘍性大腸炎にあるか否かを判定する。工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量が、当該閾値よりも大きい場合には、前記被験者が活動期の潰瘍性大腸炎に罹患している(又は、その可能性が高い)と判定することができる。
このように、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法により、被験者が潰瘍性大腸炎に罹患しているか否か、罹患している可能性の高さ等を判定することができるため、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、健康診断等の潰瘍性大腸炎の一次スクリーニングにも好適に用いることができる。
閾値の設定に際しては、所望の検出精度を考慮することもできる。非罹患者群と罹患者群の両群について、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量の分布が明らかにされている場合には、例えば、潰瘍性大腸炎の罹患者から採取された糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量が閾値未満となる確率(すなわち、非罹患者であると判断される確率)が所望の範囲内(例えば、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0%)となるように、閾値を設定することができる。
また、非罹患者群についてのみ、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量の分布が明らかにされている場合には、例えば、被験者が非罹患者であると仮定した場合に、当該被験者から採取された糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量が、非罹患者のパーセンタイルで所望の値(例えば、90%ile、好ましくは95%ile、より好ましくは97.5%ile、さらに好ましくは99%ile、特に好ましくは100%ile)となるように、閾値を設定することができる。また、当該被験者から採取された糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量が閾値未満である有意確率(P値)が所望の値(例えば、10%、好ましくは5%、より好ましくは1%、さらに好ましくは0.1%)となるように、閾値を設定することができる。なお、P値は両側確率であってもよく、片側確率であってもよい。罹患者群についてのみ、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量の分布が明らかにされている場合にも、同様にして閾値を設定することができる。なお、P値は、Mann Whitney′s U test等の統計学的手法により求めることができる。
本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法における感度や特異度は、設定される閾値により適宜調整することができる。例えば、十分に高い感度を得たい場合、すなわち潰瘍性大腸炎の罹患があることを検出しようとする場合には、閾値は、潰瘍性大腸炎の罹患者から採取された糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量が閾値未満となる確率(すなわち、非罹患者であると判断される確率)が1%以下、特に好ましくは0%となるように設定することが好ましい。一方、健康診断等の一次スクリーニングに用いる場合には、多少感度が犠牲になるとしても、特異度が高いことが好ましい。このため、例えば、健常者から採取された糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量が閾値を越える確率(すなわち、罹患者であると判断される確率)が十分に小さくなるように、例えば10%以下、好ましくは5%以下となるように閾値を設定することもできる。このように、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法においては、所望の感度・特異度に合わせて、閾値を設定することができる。
前述したように、糞便に含まれているCOX−2遺伝子等に由来するRNAの量は、潰瘍性大腸炎の病期の指標とすることができる。具体的には、工程(C)に替えて、下記工程(C’1)を行うことにより、被験者が潰瘍性大腸炎に罹患している場合に、その病期について検査することができる。
(C’1)前記工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された第1閾値及び/又は第2閾値とを比較し、前記被験者が、潰瘍性大腸炎の活動期、非活動期、又は寛解期のいずれかの病期にある可能性の高低を判定する工程。
工程(C’1)において用いる第1閾値は、非活動期又は寛解期と、活動期とを分ける閾値である。つまり、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者と、その他の病期の潰瘍性大腸炎罹患者とを識別するための閾値である。よって、工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量が、第1閾値よりも大きい場合には、当該被験者は活動期の潰瘍性大腸炎罹患者である(又は、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者である可能性が高い)と判定することができる。
一方、第2閾値は、活動期又は非活動期と、寛解期とを分ける閾値である。つまり、寛解期の潰瘍性大腸炎罹患者と、その他の病期の潰瘍性大腸炎罹患者とを識別するための閾値である。但し、マーカー遺伝子の種類や、工程(b)における測定方法の種類によっては、寛解期の潰瘍性大腸炎罹患者と非罹患者を明確に区別することは困難である場合が多い。よって、工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量が、第2閾値よりも小さい場合には、当該被験者が潰瘍性大腸炎罹患者であるならば寛解期にある、若しくは当該被験者は非罹患者である(又はその可能性が高い)と判定することができる。
なお、工程(C’1)においては、第1閾値のみを用いて判定してもよく、第2閾値のみを用いて判定してもよく、第1閾値と第2閾値の両方を用いて判定してもよい。
COX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子は、いずれも、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者と、寛解期の潰瘍性大腸炎罹患者又は非罹患者とでは、糞便中の当該遺伝子等に由来するRNAの量に統計学的に有意な差がある。しかしながら、マーカー遺伝子の種類や、工程(B)における測定方法の種類によっては、活動期の潰瘍性大腸炎罹患者と非活動期の潰瘍性大腸炎罹患者との間や、非活動期の潰瘍性大腸炎罹患者と寛解期の潰瘍性大腸炎罹患者との間では、糞便中の当該遺伝子等に由来するRNAの量に統計学的に有意な差がみられない場合がある。
第1閾値又は第2閾値は、工程(C)において用いる閾値と同様にして設定することができる。具体的には、内視鏡検査等の他の検査方法の結果から、病期が分かっている潰瘍性大腸炎罹患者のうち、活動期の罹患者群から採取された糞便と、その他の病期の罹患者群から採取された糞便とに対して、工程(B)と同じ測定方法によりマーカー遺伝子由来RNA量を求め、両集団の測定値を比較することにより、両群を識別するための閾値を適宜設定することができる。同様に、病期が分かっている潰瘍性大腸炎罹患者のうち、寛解期の罹患者群から採取された糞便と、その他の病期の罹患者群から採取された糞便とに対して、工程(B)と同じ測定方法によりマーカー遺伝子由来RNA量を求め、両集団の測定値を比較することにより、両群を識別するための閾値を適宜設定することができる。
このように、潰瘍性大腸炎罹患者の病期を識別することができるため、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、投薬等の治療の効果や投薬期間等の診断の一助となり得る。例えば、投薬治療が行われている潰瘍性大腸炎患者に対して本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法を経時的に行うと、当該治療によって寛解に向かっている場合には、当該潰瘍性大腸炎患者の糞便に含まれているマーカー遺伝子由来RNAの量は、治療期間が長くなるにつれて減少する傾向が観察される。
このため、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法により、潰瘍性大腸炎の病期のモニタリングを行うことができる。すなわち、被験者から経時的に糞便を採取し、各糞便に対して、糞便中に含まれるRNAを抽出し、得られたRNA中のマーカー遺伝子由来RNAの量を測定し、測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された前記第1閾値及び/又は前記第2閾値とを比較することにより、当該糞便が採取された時点において、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期、非活動期、又は寛解期のいずれかの病期にある可能性の高低を判定することができる。例えば、潰瘍性大腸炎患者に対する治療効果は、主に内視鏡検査によって確定的に診断することができるが、内視鏡検査は侵襲性が高く、頻繁に行うことは患者にとって負担が大きい。一方で、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、直接患部を視認する内視鏡検査よりも診断の確実性は劣るおそれがあるものの、患者の負担は顕著に軽減されている。そこで、予備的な診断として、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法を利用してモニタリングを行い、その後必要に応じて、内視鏡検査により確定診断を行うようにすることにより、患者への負担を抑えつつ、十分な頻度で病期の変動をモニタリングすることが可能となる。なお、糞便からのRNAの抽出や、マーカー遺伝子由来RNAの量の測定は、それぞれ、前記工程(A)及び(B)と同様にして行うことができる。
また、一般的に潰瘍性大腸炎は、発症後は、寛解と再燃が繰り返される。すなわち、潰瘍性大腸炎罹患者では、治療等により一旦活動度が低下した(寛解期)としても、再び活動度が上昇しやすい(活動期)。このため、潰瘍性大腸炎の治療においては、再燃をなるべく早期に発見し、適切な治療を行うことが重要である。血便等の症状が現れる前の段階で、非侵襲的に再燃を予測することができれば、内視鏡精査を行い、早期に再燃を確定診断することができ、また、本格的再燃を防ぐために、さらなる治療や薬を追加することができる。なお、本願発明及び本願明細書において、「潰瘍性大腸炎が再燃する」とは、寛解期又は非活動期にあった潰瘍性大腸炎の活動度が、再度上昇することを意味する。
糞便中の前記6種類のマーカー遺伝子由来のRNA量は、潰瘍性大腸炎の活動度とは強い相関があるため、潰瘍性大腸炎の再燃を予測するための指標として用いることができる。具体的には、寛解期又は非活動期の潰瘍性大腸炎罹患者を被験者とし、工程(C)に替えて、下記工程(C’2)を行うことにより、当該被験者の潰瘍性大腸炎が再燃するかどうかを予測することができる。なお、下記第2閾値は、工程(C’1)と同様に活動期又は非活動期の罹患者群と、寛解期の罹患者群とを分ける閾値である。
(C’2)前記工程(B)において測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された第2閾値とを比較し、当該マーカー遺伝子由来RNAの量が、前記第2閾値を超えた場合に、前記被験者の潰瘍性大腸炎が再燃すると予測する工程。
例えば、血便等の症状のない(すなわち、寛解期又は非活動期の)潰瘍性大腸炎罹患者に対して、経時的に糞便を採取し、前記6種類のマーカー遺伝子のうちの少なくとも1種のマーカー遺伝子由来のRNA量を測定した場合に、測定されたRNA量が第2閾値を超えていた場合には、潰瘍性大腸炎が活性化しており、当該被験者は寛解期ではなく非活動期に移行しており、そのまま放置すれば活動期へと移行すると予測される。逆に、測定されたRNA量が第2閾値よりも低い場合には、当該被験者の潰瘍性大腸炎の活動度は低く、寛解期にある(又はその可能性が高い)と判断することができる。
工程(C’2)において用いられる第2閾値は、工程(C’1)において用いられるものと同様にして設定することができる。その他、工程(C’2)において用いられる第2閾値は、個々の被験者に応じて設定することもできる。例えば、一の潰瘍性大腸炎患者に対して、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量を経時的に測定することにより、当該潰瘍性大腸炎患者における、寛解期と、活動期又は非活動期とを分ける閾値を設定することができる。
その他、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、潰瘍性大腸炎に対する薬剤(抗潰瘍性大腸炎剤)の候補化合物のスクリーニングに際して、薬効判断に用いることもできる。例えば、候補化合物を服用した動物から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出し、得られたRNA中のマーカー遺伝子由来RNAの量を測定し、測定されたマーカー遺伝子由来RNAの量と、予め設定された閾値とを比較することにより、前記動物の潰瘍性大腸炎への罹患の有無、又は病期を判定することができる。例えば、潰瘍性大腸炎の活動期にあるモデル動物に候補化合物を服用させた後、糞便を採取して潰瘍性大腸炎の病期を調べた場合に、当該モデル動物が非活動期又は寛解期にあると判定された場合には、服用された候補化合物は、抗潰瘍性大腸炎活性を有すると判定することができる。なお、候補化合物を服用させる動物は、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル等の実験動物として使用されている動物であってもよく、ヒトであってもよい。
特許文献1〜3に記載されているように、糞便に含まれているCOX−2遺伝子由来RNAの量は、大腸がんの罹患の有無の指標としても用いることができる。よって、糞便に含まれているCOX−2遺伝子由来RNAの量が、健常者よりも有意に多い場合には、当該糞便が採取された被験者は、潰瘍性大腸炎又は大腸がんに罹患している可能性が高いと判断される。このような被験者に対しては、さらに内視鏡検査を行うことにより、潰瘍性大腸炎と大腸がんのいずれに罹患しているかを確定診断することができる。
しかしながら、内視鏡検査の侵襲性を鑑みれば、糞便中の遺伝子解析によって潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別し得ることが望まれる。そこで、本発明者らはさらに検討を進めた結果、異なる種類のマーカー遺伝子由来RNA量の比から、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんとを、従来になく高精度に識別し得ることを見出した。
具体的には、下記工程(a)〜(c)により、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別して、潰瘍性大腸炎を検出することができる。
(a)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出する工程と、
(b)前記工程(a)において得られたRNA中のCOX−2遺伝子由来RNAの量及びCEA遺伝子由来RNAの量を測定する工程と、
(c)前記工程(b)において測定されたCOX−2遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較する工程。
工程(a)及び(b)は、前述の工程(A)及び(B)と同様にして行うことができる。
工程(b)の後、工程(c)として、工程(b)において測定されたCOX−2遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較する。比較の結果から、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期にあるかを判定することができる。具体的には、COX−2遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「COX−2/CEA値」と記載することがある。)が、予め設定された閾値よりも大きい場合には、当該被験者は、大腸がんに罹患しておらず、潰瘍性大腸炎の活動期にある(又はその可能性が高い)と判定し、当該閾値よりも小さい場合には、前記被験者は活動期の潰瘍性大腸炎に罹患していない(又はその可能性が高い)と判定することができる。なお、糞便中にCEA遺伝子由来RNAが含まれていない、若しくは測定の検出限界値以下しか含まれておらず、工程(b)においてCEA遺伝子由来RNAの量が測定できなかった場合には、当該被験者は潰瘍性大腸炎に罹患していないと判定する。
工程(c)において用いる閾値は、当業者であれば、工程(b)における測定方法の種類等を考慮して、また必要な予備検査等を行うことにより、適宜設定することができる。例えば、内視鏡検査等の他の検査方法の結果から、活動期の潰瘍性大腸炎にあることが分かっている集団(潰瘍性大腸炎活動期群)から採取された糞便と、大腸がんに罹患していることが分かっている集団(大腸がん群)から採取された糞便とに対して、工程(b)と同じ測定方法により、COX−2遺伝子由来RNAの量及びCEA遺伝子由来RNAの量を測定し、COX−2/CEA値を求めた後、両集団のCOX−2/CEA値を比較することにより、両群を識別するための閾値を適宜設定することができる。
また、工程(c)において用いる閾値の設定に際しては、工程(C)において用いる閾値と同様に、所望の検出精度を考慮することもできる。
例えば、閾値を、5〜100、好ましくは10〜40の範囲内に設定することにより、より高精度に活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別することができる。
COX−2/CEA値と同様に、6種類の本発明の潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーのうち、CD45遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、及びSnail遺伝子も、大腸がんにおいて糞便中に含まれる遺伝子由来RNA量が増大することが知られている(特許文献1〜3)。これらの遺伝子の中から適切な組み合わせの2種類の遺伝子を選択することにより、遺伝子由来RNAの糞便中の含有量比を、COX−2/CEA値と同様に活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別するマーカーとして用いることができる。具体的には、潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ当該遺伝子由来RNAが、健常者から採取された糞便中に検出可能な量含有されている遺伝子を第1のマーカー遺伝子とし、潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ大腸がんの遺伝子マーカーでもある遺伝子を第2のマーカー遺伝子とし、被験者から採取された糞便中に含まれている、前記第1のマーカー遺伝子由来RNAの量に対する、前記第2のマーカー遺伝子由来RNAの量の比([第2のマーカー遺伝子由来RNAの量]/[第1のマーカー遺伝子由来RNAの量])を指標として、当該被験者が潰瘍性大腸炎と大腸がんのどちらに罹患している可能性が高いかを判定することができる。
糞便中の含有量比を求める際に、分母とする第1のマーカー遺伝子が、健常者から採取された糞便において、当該遺伝子由来RNAが含まれていない、若しくは測定の限界値未満の微量にしか含まれていない場合(すなわち、測定値が0となる場合)があると、そもそも含有量比が算出不可能なケースが無視できない頻度で起こるため、統計的に信頼できる結果が得られにくく、このような指標は、臨床上有用なマーカーとは成り難い。このため、第1のマーカー遺伝子としては、健常者から採取された糞便中に検出可能な量含有されているものを用いる。具体的には、第1のマーカー遺伝子として、CEA遺伝子又はB2M遺伝子を用いることが好ましく、CEA遺伝子を用いることがより好ましい。
一方で、第2のマーカー遺伝子としては、潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ大腸がんの遺伝子マーカーでもある遺伝子を用いる。具体的には、CD45遺伝子、B2M遺伝子(但し、第1のマーカー遺伝子としてB2M遺伝子を用いる場合を除く。)、MMP−7遺伝子、又はSnail遺伝子を第2のマーカー遺伝子として用いることが好ましい。
具体的には、CD45遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「CD45/CEA値」と記載することがある。)、B2M遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「B2M/CEA値」と記載することがある。)、MMP−7遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「MMP−7/CEA値」と記載することがある。)、Snail遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「Snail/CEA値」と記載することがある。)、COX−2遺伝子由来RNAの量をB2M遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「COX−2/B2M値」と記載することがある。)、CD45遺伝子由来RNAの量をB2M遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「CD45/B2M値」と記載することがある。)、及びSnail遺伝子由来RNAの量をB2M遺伝子由来RNAの量で除した値(以下、「Snail/B2M値」と記載することがある。)を、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別するマーカーとして用いることができる。中でも、COX−2/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、MMP−7/CEA値、Snail/CEA値、及びCD45/B2M値を用いることが好ましく、COX−2/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、Snail/CEA値、及びCD45/B2M値を用いることがより好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<糞便サンプル>
潰瘍性大腸炎患者のうち、活動期の患者12名と、非活動期の患者4名と、寛解期の患者5名から、糞便を提供していただいた。また、大腸がん患者111名と健常者140名とにも、糞便を提供していただいた。これらの患者及び健常者には、事前に口頭又は書面にてインフォームドコンセントを得た。潰瘍性大腸炎患者及び大腸がん患者は、内視鏡検査等により確定診断がなされた患者である。検体(糞便サンプル)は、内視鏡検査又は生検から2〜4週間後であって、手術又は内視鏡的切除の前に採取された。採取された糞便サンプルは、まず4℃で保存された後、保存開始後24時間以内に−80℃に移し、RNA抽出処理を行うまで保存した。
<糞便サンプルからのRNA抽出・精製>
滅菌済みの5mLチューブに、約0.5gの凍結した糞便サンプルと、3mLのIsogen(ニッポンジーン社製)を加えた後、ホモジナイザーで混合して、均一化させた。得られたスラリーを、滅菌済み1.5mLチューブに約0.7mLずつ分注した後、12,000×gで5分間、4℃で遠心し、その上清を新しい滅菌済み1.5mLチューブに分注した。各チューブに0.3mLのIsogenと0.3mLのクロロホルムをそれぞれ加え、チューブを30秒間激しくボルテックスにかけて撹拌した後、12,000×gで15分間、4℃で遠心した。得られた水相を、チューブ上面からコンタミネーションを生じないように注意して回収し、新しい1.5mLチューブに移した。等量の70%エタノール溶液を加えた後、チューブを30秒間激しくボルテックスにかけて攪拌した。得られた混合液(0.7mL)から、RNeasy mini kit(QIAGEN社製)を用いてRNAを抽出・精製した。精製されたRNAは、NanoDrop 1000(NanoDrop Wilmington社製)を用いて定量した。以後の解析に用いるまで、RNAは−80℃にて保存した。
<マーカー遺伝子由来RNA量の測定>
0.125μgの精製されたRNAと、250μgのランダムヘキサマーと、逆転写酵素M−MLV(RNaseH;タカラバイオ社製)とを用いて、最終容量が20μLの反応液中で、使用説明書に従ってcDNAを合成した。
合成されたcDNAを鋳型として、定量的リアルタイムPCRを行うことにより、当該cDNA中の、COX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子に対して、糞便中の各遺伝子由来RNAから合成されたcDNAの量を定量した。これらのマーカー遺伝子を検出するためのTaqMan(登録商標)プライマー・プローブセットは、アプライドバイオシステムズ社より市販されているものを、それぞれ用いた。なお、これらのセットに含まれているプローブは、5’端側に蛍光物質FAMがラベルされており、3’端側には消光物質がラベルされているレポータープローブである。具体的には、1μLのcDNA溶液と、1μLの20×TaqMan primers and probe mixture(アプライドバイオシステムズ社製)とに滅菌済み精製水を加えて最終容量を20μLに調製したものを、PCR反応溶液とした。遺伝子ごとにそれぞれ調製したPCR溶液を、95℃で20秒間処理した後、95℃で3秒間、62℃で30秒間を60サイクルの反応条件で、7500 Fast Real−Time PCR systems(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、リアルタイムに蛍光強度を測定しながら核酸増幅(PCR)した。コピー数を計算する対照試料(標準物質)として、各遺伝子のcDNAが入ったプラスミドを使用し、同時に増幅した。
測定の結果得られたマーカー遺伝子由来RNA量(コピー数)に対する統計学的処理は、Mann Whitney′s U testにより行った。また、全ての統計学的処理は、両側検定で行い、P値<0.05を統計上有意であるとした。
なお、マーカー遺伝子由来RNAの大部分が当該遺伝子由来のmRNAであることから、以下、mRNAと記載する。
潰瘍性大腸炎患者及び健常者から採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりに含まれていた各マーカー遺伝子のmRNAのコピー数を、潰瘍性大腸炎患の病期(活動性)ごとに、図1〜6に示す。図1はCOX−2のmRNAを、図2はB2MのmRNAを、図3はMMP−7のmRNAを、図4はSnailのmRNAを、図5はCD45のmRNAを、図6はCEAのmRNAを、それぞれ示す。また、図中に、病期群の間のP値を示した。さらに、表1に、罹患者群ごとに、各マーカー遺伝子のmRNAのコピー数の最大値、最小値、及び平均値をそれぞれ示す。
Figure 0005806122
表1及び図1〜6に示すように、遺伝子によって多少のばらつきはあるものの、6遺伝子のいずれにおいても、活動期が最もmRNA量が多く、非活動期、寛解期、健常者の順にmRNA量が少なくなる傾向が観察され、潰瘍性大腸炎(UC)の活動性とmRNA量に相関があることが確認された。
したがって、これらの結果から、COX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子からなる群より選択される1種以上をマーカー遺伝子とする本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法によって、潰瘍性大腸炎を検出し得ることが明らかである。
[実施例2]
実施例1の測定結果を用いて、各糞便サンプルのCOX−2/CEA値(COX−2のmRNAのコピー数をCEAのmRNAのコピー数で除した値)を求め、潰瘍性大腸炎又は大腸がんの罹患の有無との関係を調べた。
図7は、潰瘍性大腸炎患者、大腸がん患者、及び健常者から採取された糞便サンプルから抽出されたRNA0.025μg当たりのCOX−2/CEA値(COX−2のmRNAのコピー数をCEAのmRNAのコピー数で除した値)を、疾患ごとに示した図である。なお、糞便サンプル中にCEAのmRNAが含まれていなかった、若しくは検出限界値未満しか含まれていなかった場合、CEAのmRNAのコピー数は0となるが、この場合には、COX−2/CEA値は0とした。また、表2に、潰瘍性大腸炎の活動期群及び大腸がん群のCOX−2/CEA値を示す。なお、大腸がん群はサンプル数が多いため、COX−2/CEA値が各範囲である人数を記載している。また、該範囲の記載中、「X〜X」は、Xよりも大きく、X以下である数値範囲を意味する。
Figure 0005806122
この結果、潰瘍性大腸炎の非活動期及び寛解期の患者群では、健常者群と同様に、COX−2/CEA値はほぼ0であった。これに対して、潰瘍性大腸炎の活動期の患者群では、全12サンプルのうち、最小値が0.7、最大値が36018.3、平均値が3373.0であった。一方、大腸がんの患者群では、最小値が0、最大値が95.4、平均値が4.8であった。これらの結果から、糞便中のCOX−2遺伝子由来RNAとCEA遺伝子由来RNAとの量比から、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんとを識別し得ることが明らかである。
また、表2の結果から、例えば、COX−2/CEA値の閾値を5とした場合には、感度約83%(10/12)、特異度84%(93/111)で、閾値を10とした場合には、感度約83%(10/12)、特異度93%(103/111)で、閾値を20とした場合には、感度約75%(9/12)、特異度95%(105/111)で、それぞれ活動期の潰瘍性大腸炎を大腸がんと識別して検出し得るといえる。一方、COX−2/CEA値の閾値を40とした場合には、感度約58%(7/12)、特異度約95%(106/111)で、閾値を100とした場合には、感度約50%(6/12)、特異度約100%(111/111)で、それぞれ活動期の潰瘍性大腸炎を大腸がんと識別して検出し得るといえる。以上より、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法において適当な閾値を設定することにより、活動期の潰瘍性大腸炎を従来になく高精度に検出し得ることが明らかである。
[実施例3]
COX−2/CEA値以外の他のマーカー遺伝子の含有量比についても、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんの識別のためのマーカーとして利用可能かどうかを調べた。含有量比を求める際の分母には、健常者群でコピー数が0となるケースが最も少なかった、CEA遺伝子のmRNAのコピー数又はB2M遺伝子のmRNAのコピー数を用いた。
表3に潰瘍性大腸炎の活動期群及び大腸がん群のCD45/CEA値を、表4にB2M/CEA値を、表5にMMP−7/CEA値を、表6にSnail/CEA値を、表7にCOX−2/B2M値を、表8にCD45/B2M値を、表9にMMP−7/B2M値を、表10にSnail/B2M値を、及び表11にCEA/B2M値を、それぞれ示す。表2と同様に表3〜11においても、大腸がん群はサンプル数が多いため、各値が各範囲である人数を記載している。また、該範囲の記載中、「X〜X」は、Xよりも大きく、X以下である数値範囲を意味する。さらに、分母であるCEAのmRNAのコピー数又はB2MのmRNAのコピー数が0の場合、各値は0とした。
Figure 0005806122
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この結果、COX−2/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、MMP−7/CEA値、Snail/CEA値、COX−2/B2M値、及びCD45/B2M値は、活動期の潰瘍性大腸炎の患者群と大腸がん患者群では、値の分布が異なり、適当な閾値を設定することにより、両群を識別できることが示唆された。一方で、MMP−7/B2M値、及びCEA/B2M値は、いずれも値が小さく、かつ両患者群において、値の分布にあまり大きな差がなかった。
本実施例で得られた各マーカー遺伝子の比と、実施例2で得られたCOX−2/CEA値とに対して、それぞれ疾患の鑑別に用いるマーカーの性能を示すROC(Receiver Operating Characteristic)解析を行った。ROC解析は、PASW statistics ver.18(IBM製)を用いて作図した。正の有効なケースの数は12、負の有効なケースの数は110であり、欠損値は1であった。解析結果を表12及び図8に示す。図8は、縦軸を感度、横軸を(1−特異度)として、ROC曲線を引いた。
Figure 0005806122
この結果、COX−2/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、MMP−7/CEA値、Snail/CEA値、COX−2/B2M値、CD45/B2M値、及びSnail/B2M値は、いずれも曲線の下の領域の面積が0.5以上であり、活動期の潰瘍性大腸炎を大腸がんと識別して検出するためのマーカーとして、良好であることがわかった。中でも、COX−2/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、MMP−7/CEA値、Snail/CEA値、及びCD45/B2M値は、いずれも曲線の下の領域の面積が0.8以上であり、非常に良好なマーカーであることが確認できた。
一方で、MMP−7/B2M値とCEA/B2M値は、いずれも曲線の下の領域の面積が0.5未満であり、これらを指標としては、活動期の潰瘍性大腸炎を大腸がんとを、臨床上十分な精度で識別することは難しいことがわかった。特に、B2M/CEA値は非常に良好なマーカーであるにもかかわらず、CEA/B2M値は、曲線の下の領域の面積が0.3と非常に低かった。
また、実施例1において得られた結果において、健常者群では糞便中にマーカー遺伝子由来RNAが検出できなかったCD45遺伝子、Snail遺伝子、又はMMP−7遺伝子に対するCOX−2遺伝子の比が、活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別するためのマーカーとして有用か否かを、同じくROC解析により調べたところ、正の有効なケースの数は12、負の有効なケースの数は51であり、欠損値は60であった。欠損値が大きいのは、分母が0となるケースが多かったためである。このように、欠損値が多すぎ、信頼できる結果は得られなかった。
[実施例4]
内視鏡検査等により確定診断がなされた潰瘍性大腸炎患者に対して、経時的に糞便中の本発明の潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子由来RNAの量と、病期との関係を調べた。
具体的には、2002年8月7日から2002年10月18日まで、潰瘍性大腸炎患者の一日当たりの便の回数や全身症状等を観察した。さらに、8月7日と10月15日の2回、当該潰瘍性大腸炎患者から糞便を採取し、実施例1と同様にして、糞便中のCOX−2遺伝子、B2M遺伝子、MMP−7遺伝子、Snail遺伝子、CD45遺伝子、及びCEA遺伝子のそれぞれの遺伝子由来RNA量(コピー数)を測定した。
図9に、当該潰瘍性大腸炎患者の一日当たりの便の回数と、投薬状況、及び各マーカー遺伝子由来RNA量(コピー数)を示す。図9の上段に示すように、当該潰瘍性大腸炎患者は、Predonisolone、6−MP(6−mercaptopurine)、及び5−ASA(5−aminosalicylic acid)の投薬治療を受けていた。該治療により、1日当たり30回近くもあった便の回数は、少なくなっていき、観測終了時には5回以下にまで改善された。また、6種類全てにおいて、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量は、8月7日よりも10月15日のほうが明らかに低下していた。なお、糞便中のマーカー遺伝子由来RNA量は、表13にも示す。
Figure 0005806122
また、8月7日、8月21日、及び9月27日には、内視鏡検査及び全体症状の観察を行い、病期を診断した。さらに、10月15日には、全体症状の観察を行った。表14に、潰瘍性大腸炎の病期の診断結果を示す。臨床的活動指標のうち、CAI(Clinical Activity Index)は6点以上が活動期と判定し、DAI(Disease Activity Index) は3点以上を活動期と判定した。また、内視鏡的活動性スコアであるEI〔Endoscopic Index(Rachmilewitz‘s)〕は、4点以上を活動期と判定した。病期は、これら3種のインデックスを総合して判断した。この結果、表14に示すように、8月7日及び8月21日は、CAI、DAI、及びEIのいずれも活動期であったため、当該潰瘍性大腸炎患者は、活動期にあると判定された。これに対して、9月27日は、DAI及びEIはいずれも活動期であったが、CAIのインデックスは十分に低かったため、これらを総合して非活動期と判定された。また、10月15日は、CAI及びDAIのインデックスは十分に低く、これらのインデックスのみからだと寛解期と判断し得るものの、EIを行っていないため、非活動期と寛解期のいずれとも判定することはできなかった。ただし、それまでの経過等から、10月15日の時点では、当該潰瘍性大腸炎患者は、寛解期よりもむしろ非活動期にある可能性が高いと推察された。
Figure 0005806122
すなわち、当該潰瘍性大腸炎患者は、内視鏡検査等により、8月7日は活動期にあると診断され、10月15日は非活動期にあると考えられた。ここで、本発明の潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子は6種とも全て、潰瘍性大腸炎の活動性に依存して糞便中の含有量が増大する傾向にあるが、図9に示すように、当該潰瘍性大腸炎患者においても、活動期にある8月7日のほうが、非活動期(若しくは寛解期)にある10月15日よりも糞便中の含有量が明らかに多かった。すなわち、これらの結果から、本発明の潰瘍性大腸炎のマーカー遺伝子の糞便中の含有量は、潰瘍性大腸炎の病期に依存して変動するため、これらのマーカー遺伝子の糞便中の含有量は、潰瘍性大腸炎の病期のモニタリングに有効であることが明らかである。
さらに、糞便中の各マーカー遺伝子由来RNA量の比(COX/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、Snail/CEA値、CD45/B2M値)を算出した。算出結果を表15に示す。この結果、8月7日と10月15日の両日ともに、COX/CEA値は30.41以下であり、CD45/CEA値は7.09以下であり、B2M/CEA値は117.27以下であり、Snail/CEA値は0.71以下であり、CD45/B2M値は0.06以下であった。これらの結果を、実施例3の結果に照らし合わせると、当該潰瘍性大腸炎患者は大腸がんではなく潰瘍性大腸炎に罹患している可能性が高いと判定され、当該判定結果は、実際に内視鏡検査等の診断結果と一致する。したがって、被験者から採取された糞便中のCOX/CEA値、CD45/CEA値、B2M/CEA値、Snail/CEA値、及びCD45/B2M値を指標とすることにより、当該被験者が潰瘍性大腸炎と大腸がんのどちらに罹患している可能性が高いかを判定し得ることが明らかである。
Figure 0005806122
本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法を用いることにより、潰瘍性大腸炎の罹患の有無やその病期を精度よく検出することができる。また、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、検体として糞便を用いていることから、従来の内視鏡検査に比べて遥かに侵襲性がなく、安全であり、被験者の検査負担が低減されている。したがって、本発明の潰瘍性大腸炎の検出方法は、糞便試料を用いた臨床検査等の分野、特に高い信頼性と安全性が要求される臨床診断、特に潰瘍性大腸炎の診断等の分野において利用が可能である。

Claims (2)

  1. 活動期の潰瘍性大腸炎と大腸がんを識別して、潰瘍性大腸炎を検出する方法であって、
    (a)被験者から採取した糞便中に含まれるRNAを抽出する工程と、
    (b)前記工程(a)において得られたRNA中のCD45遺伝子由来RNAの量と、CEA(Carcinoembryonic antigen)遺伝子由来RNAの量及びB2M(β2 microglobulin)遺伝子由来RNAの量のいずれか一方とを測定する工程と、
    (c)前記工程(b)において測定されたCD45遺伝子由来RNAの量をCEA遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期にある可能性の高低を判定する、又は
    前記工程(b)において測定されたCD45遺伝子由来RNAの量をB2M遺伝子由来RNAの量で除した値と、予め設定された閾値とを比較し、前記被験者が潰瘍性大腸炎の活動期にある可能性の高低を判定する工程と、
    を有することを特徴とする潰瘍性大腸炎の検出方法。
  2. 潰瘍性大腸炎と大腸がんの罹患可能性を判定する方法であって、
    潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ当該遺伝子由来RNAが、健常者から採取された糞便中に検出可能な量含有されている遺伝子を第1のマーカー遺伝子とし、
    潰瘍性大腸炎の遺伝子マーカーであり、かつ大腸がんの遺伝子マーカーでもある遺伝子を第2のマーカー遺伝子とし、
    被験者から採取された糞便中に含まれている、前記第1のマーカー遺伝子由来RNAの量に対する、前記第2のマーカー遺伝子由来RNAの量の比([第2のマーカー遺伝子由来RNAの量]/[第1のマーカー遺伝子由来RNAの量])を指標として、当該被験者が潰瘍性大腸炎と大腸がんのどちらに罹患している可能性が高いかを判定し、
    前記第1のマーカー遺伝子がCEA(Carcinoembryonic antigen)遺伝子又はB2M(β2 microglobulin)遺伝子であり、かつ、前記第2のマーカー遺伝子がCD45遺伝子であることを特徴とする、潰瘍性大腸炎と大腸がんの罹患可能性の判定方法。
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