以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
<画像形成装置>
以下に、本発明の実施形態に係る後処理装置を備えた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略模式図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、本発明の画像形成装置は、例えば、プリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当し、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能等を備えた画像形成装置として機能する。
以下に、例えば、コピー機能を利用する場合の複合機100(MFP:Multi Function Peripheral)の動作を簡単に説明する。
先ず、ユーザが、複合機100を利用する場合、所定のフロアの商用電源10のコンセント11に当該複合機100の電源コード12を接続して、当該複合機100の電源スイッチをONする。すると、前記複合機100の電源部13は前記商用電源10から電力供給を受けて所定の電力を前記複合機100の各駆動部にそれぞれ供給し、当該複合機100が起動して、画像形成可能な状態へ移行する。尚、前記複合機100が前記フロアの商用電源10から初めて電力供給を受ける場合には、当該商用電源10からの電力供給が可能か否かの初期設定が行われる(後述する)。
さて、前記複合機100が画像形成可能な状態へ移行すると、ユーザは、原稿Pを当該複合機100の上面に備えられている原稿台101又は自動原稿給紙部101aに載置し、コピー機能の設定を操作部102から入力する。当該操作部102には、複合機100が提供するコピー機能に関連する操作画面(初期画面など)が表示され、コピー機能に関連する複数の設定項目キーが選択可能に表示される。ユーザは、前記操作画面を介して、コピー機能に関する設定条件の入力を行う。
ユーザが、設定条件の入力を完了すると、前記操作部102に設けられたスタートキー205を押下して、複合機100にコピー機能の処理を開始させる。
複合機100がコピー機能の処理を開始すると、画像読取部103において、光源104から照射された光が、前記原稿台101に置かれた原稿に反射される。又、前記自動原稿給紙部101aに原稿が載置された場合には、当該自動原稿給紙部101aが原稿を一枚ずつ前記画像読取部103の画像読取位置へ搬送し、当該画像読取位置へ前記光源104が光を照射することで、当該光が原稿に反射されることになる。
前記反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は前記撮像素子108により光電変換されて、基本的な補正処理、画質処理、圧縮処理等を施され、前記原稿に対応する画像データが生成される。
さて、前記画像データをトナー像として転写する駆動部が画像形成部109である。前記画像形成部109には感光体ドラム110が備えられている。前記感光体ドラム110は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器111、露光ユニット112、現像器113、転写器114、クリーニングユニット115などが配置されている。
前記帯電器111は、前記感光体ドラム110の表面を一様に帯電させる。前記露光ユニット112は、帯電された前記感光体ドラム110の表面に、前記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。前記現像器113は、搬送された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、前記転写器114により、記録媒体(例えば、シート、用紙)に転写される。前記クリーニングユニット115は、前記感光体ドラム110の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、前記感光体ドラム110が回転することにより実行される。
前記用紙は、前記複合機100に備えられた複数の給紙カセット116から搬送される。搬送される時は、前記用紙はピックアップローラ117により何れか1つの前記給紙カセット116から搬送路へ引き出される。前記各給紙カセット116には、それぞれ異なる紙種の用紙が収容されており、前記出力条件に関する設定に基づいて用紙が給紙される。
搬送路に引き出された前記用紙は、搬送ローラ118やレジストローラ119により感光体ドラム110と転写器114の間に送り込まれる。送り込まれると、前記用紙は前記転写器114により前記トナー像が転写され、定着装置120に搬送される。尚、搬送ローラ118に搬送される用紙は、複合機100に備えられた手差しトレイ121から搬送される場合もある。
前記トナー像が転写された用紙が前記定着装置120に備えられた加熱ローラ122と加圧ローラ123の間を通過すると、前記トナー像に熱と圧力が印加されて、可視像が用紙に定着される。前記加熱ローラ122の熱量は紙種に応じて最適に設定され、前記定着が適切に行われる。前記可視像が用紙に定着されて画像形成が終了し、可視像が定着された用紙は、定着装置120を経て折り装置124へ搬送される。
上記搬送された用紙は、ユーザが入力した設定条件の設定に従って、折り装置124で折り処理が施される。折り処理が入力されていない場合は、上記用紙は折り装置124を通過するのみである。
又、ユーザが後処理(例えば、ステイプル、パンチ、製本等)を設定条件に入力した場合、通過した用紙は製本装置125に搬送されて後処理が実行される。前記後処理のうち、例えば、製本処理の場合、前記製本装置125は、図示しないパンチ処理部で、複数の用紙にそれぞれパンチ処理を施し、図示しないステイプル処理部で、全ての用紙にステイプル処理を施す。
前記後処理が実行された用紙又は用紙束は、前記製本装置125の排紙トレイ126に積載、収容されることになる。尚、前記折り装置124と前記製本装置125とを含めて後処理装置(フィニッシャ)と称する。
前記手順により、複合機100はコピー機能をユーザに提供する。
尚、前記複合機100には、自装置100が設置されたフロアに存在する電子機器と通信可能な通信部127を備えており、当該通信部127は、所定の通信ケーブル128を介してネットワーク129に接続された電子機器と通信可能な有線通信部127aと、例えば、Bluetooth(登録商標)技術などの近距離無線通信技術を用いて自装置100から所定の距離の範囲内に存在する電子機器と通信可能な無線通信部127bとを備える。前記無線通信部127bと通信可能な電子機器には、対応する無線通信部を予め備えている。前記複合機100は、前記通信部127を介してフロアに存在する電子機器と通信し、データのやり取りを行う。
図2は、本発明の実施形態に係る操作部の全体構成を示す概念図である。ユーザは、前記操作部102を用いて、上述のような画像形成についての設定条件を入力したり、入力された設定条件を確認したりする。前記設定条件が入力される場合、前記操作部102に備えられたタッチパネル201(操作パネル)、タッチペン202、操作キー203が用いられる。
前記タッチパネル201には、設定条件を入力する機能と当該設定条件を表示する機能が兼ね備えられている。即ち、タッチパネル201上に表示された画面内のキーを押下することによって、当該押下されたキーに対応する設定条件が入力される。
前記タッチパネル201の背面には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部(図示せず)が設けられており、当該表示部が、例えば、前記初期画面等の操作画面を表示する。前記タッチパネル201の近傍には、タッチペン202が備えられており、ユーザがそのタッチペン202の先をタッチパネル201に接触させると、タッチパネル201下に設けられたセンサーが接触先を検知する。
更に、タッチパネル201近傍には、所定数の操作キー203が設けられ、例えば、テンキー204、スタートキー205、クリアキー206、ストップキー207、リセットキー208、電源スイッチ209(電源キー)が備えられている。
次に、図3を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図3は、本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305、通信部127、および電源部13を内部バス308によって接続している。
前記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、前記ROM302、HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ305、前記操作部102、前記通信部127からのデータや指示を授受し、前記図1、2に示した各駆動部の動作を制御する。また、前記CPU301は、前記通信部127を介してフロア300に設置された電子機器301に指示を送信したりする。前記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、前記CPU301がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM302には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
前記通信部127は、有線通信部127aと、無線通信部127bとを備え、当該有線通信部127aでは、通信ケーブル128を介してネットワーク129に接続された電子機器301a(例えば、他の複合機)と通信され、当該無線通信部127bでは、近距離無線通信技術により、対応する無線通信部を備えた電子機器301a(例えば、パーソナルコンピュータPC)と通信される。
尚、前記フロア300に存在する電子機器301には、前記複合機100と通信可能な電子機器301aと、当該複合機100と通信不可の電子機器301bとが存在し、いずれも前記フロア300に予め設けられた商用電源10に接続され、電力供給を受けている。
前記電源部13は、前記商用電源10に電源コード12を介して接続され、各駆動部にそれぞれ適合する電力を供給している。
<本発明の実施形態>
次に、図4、図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図4は、本発明の複合機の機能ブロック図である。又、図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
まず、ユーザが、複数の電子機器301(例えば、パーソナルコンピュータPC、他の複合機など)が予め設置されたフロア300に、所定の複合機100を搬入し、当該複合機100の有線通信部127aから伸びた通信ケーブル128と電源部13から伸びた電源コード12とを、前記フロア300のネットワーク127(ネットワーク接続部)と商用電源10(コンセント)とにそれぞれ接続する(図5:S101)。
次に、ユーザが、前記複合機100の電源スイッチ209をONすると(図5:S102)、当該複合機100の電力供給手段401が、前記商用電源10から電力供給を受けて、前記複合機100の操作部102(表示受付手段402)と、通信部127(通信手段403)とにのみ電力供給(通電)する(図5:S103)。この時点では、前記電力供給手段401は、電力供給を必要とする駆動部には電力を供給しない
前記電力供給を受けた操作部102の表示受付手段402は、前記複合機100に商用電源10から初めて電力供給を受ける場合の初期設定に関する初期設定画面をタッチパネル201上に表示する(図5:S104)。
前記初期設定画面600には、図6(A)に示すように、前記フロア300における電子機器301の最大電力使用量の合計値を算出する旨のメッセージ601と、前記合計値の算出を開始させるための算出キー602とが表示される。
これにより、ユーザは、前記複合機100をフロア300に新たに設置する場合に、当該複合機100も含めた当該フロア300内の電子機器301の最大電力使用量の合計値を事前に確認することが可能となる。
ここで、前記最大電力使用量の合計値を算出する場合に、前記複合機100は、前記フロア300に設置され、且つ、自装置100と通信可能な電子機器301aに対しては当該通信により各電子機器301a毎の最大電力使用量又は最大電力使用量に関するデータを収集出来る。しかしながら、前記フロア300に設置され、且つ、自装置100と通信不可の電子機器301bに対しては、その最大電力使用量又は最大電力使用量に関するデータを収集することが出来ない。
そのため、前記初期設定画面600には、前記複合機100と通信不可の電子機器301bの種類に対応して、当該通信不可の電子機器301bの台数を入力するための入力欄603が表示される。これにより、ユーザが、前記フロア300を見渡して、新たな複合機100と通信不可の電子機器301bの台数を入力することにより、当該通信不可の電子機器301bの最大電力使用量も考慮して、前記合計値を算出することが可能となる。
尚、図6(A)の入力欄603では、前記複合機100と通信不可の電子機器301bのうち、パーソナルコンピュータの台数を入力するためのPC入力欄603aと、後処理装置がない複合機の台数を入力するための第一のMFP入力欄603bと、後処理装置がある複合機の台数を入力するための第二のMFP入力欄603cとが表示されている。
更に、前記初期設定画面600には、前記フロア300内の商用電源10の許容最大電力使用量を入力するための電力使用量入力欄604が表示されている。これにより、前記商用電源10の許容最大電力使用量が予め設定されている場合に、ユーザが当該許容最大電力使用量を入力することで、様々なフロアの条件、環境に応じて柔軟に対応することが可能となる。
ここで、ユーザは、例えば、前記初期設定画面600を見ながら、前記操作部102の操作キー203などを用いて、所定の入力欄603(例えば、前記PC入力欄603a)に前記複合機100と通信不可の電子機器301b(PC)の台数(例えば、「3」)を入力するとともに、前記算出キー602を押下する。すると、前記表示受付手段402が、当該入力された数と当該算出キー602の押下とを受け付けて(図5:S105YES)、その旨を収集手段404に通知する。当該通知を受けた収集手段404は、前記複合機100の最大電力使用量と、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量とを収集する(図5:S106)。
ここで、前記収集手段404は、先ず、電力使用量記憶手段405に予め記憶されている電力使用量テーブルを参照する。
前記電力使用量テーブル605には、図6(B)に示すように、前記複合機100を含む電子機器301の種類606(例えば、「PC」606a、「後処理装置のない複合機」606b、「後処理装置のある複合機」606cなど)と、これに対応する電子機器301の最大電力使用量607(例えば、「Wa」607a、「Wb」607b、「Wc」607cなど)とが関連付けて記憶されている。
前記電力使用量テーブル605を参照した収集手段404は、自装置100に後処理装置が装着されていない場合、前記「後処理装置のない複合機」606bに対応する最大電力使用量「Wb」607bを、当該自装置100自身の最大電力使用量「Ws」(kWh)として取得する。一方、前記自装置100に後処理装置が装着されている場合、前記収集手段404は、前記「後処理装置のある複合機」606cに対応する最大電力使用量「Wc」607cを、当該自装置100自身の最大電力使用量「Ws」(kWh)として取得する。
ここで、前記複合機100に後処理装置が装着され、当該複合機100及び後処理装置が同時に電力を消費する場合、一般的には、当該複合機100単独での電力を消費する場合と比較して、その最大電力使用量は著しく高い。そのため、初期設定の段階で、前記後処理装置を含めた複合機100全体の最大電力使用量を考慮することで、過剰な電力供給を確実に防止することが可能となる。
次に、前記収集手段404は、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量を収集する。具体的には、前記収集手段404は、前記通信手段403を用いて、前記フロア300において複合機100と通信可能な電子機器301aの最大電力使用量を収集する。
ここで、前記通信手段403に有線通信部127aを備える場合には、前記収集手段404が、当該有線通信部127aの通信ケーブル128を介してネットワーク129に接続された電子機器301a(例えば、他の複合機など)に、当該電子機器301aの最大電力使用量の返信を要求する旨の指示を送信する。そして、前記収集手段404は、前記指示を送信すると、予め備えられた所定のタイマーを起動して、前記送信時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が予め設定された時間を超過するまで、前記指示を受けた電子機器301aから返信される当該電子機器301aの最大電力使用量「Wy」(kWh)を受信し取得する。
又、前記通信手段403に無線通信部127bを備える場合には、前記収集手段404が、前記フロア300において複合機100自身の近傍に存在する電子機器301aに、当該電子機器301aの最大電力使用量の返信を要求する旨の指示を前記無線通信部127bを介してブロードキャスト送信(同時通報)する。
ここで、前記無線通信部127bは、例えば、Bluetooth(登録商標)技術による近距離無線通信部が該当し、前記複合機100と通信可能な電子機器301aは、例えば、当該複合機100(無線通信部127b)を中心として半径が数m(例えば、10m、100mなど)の距離の範囲に含まれる電子機器である。
そして、前記収集手段404は、前記指示をブロードキャスト送信すると、上述と同様に、前記タイマーを用いて、前記ブロードキャスト送信時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が予め設定された時間を超過するまで、前記指示を受けた電子機器301aから返信される当該電子機器301aの最大電力使用量「Wy」(kWh)を受信し取得する。
尚、前記通信によって、前記電子機器301aの種類のみが取得される場合、例えば、前記収集手段404は、前記電力使用量テーブル605に基づいて前記電子機器301aの最大電力使用量「Wx」(kWh)、「Wy」(kWh)を取得すればよい。
一方、前記収集手段404が、前記複合機100と通信不可の電子機器301bの最大電力使用量を収集する場合は、ユーザの入力と前記電力使用量テーブル605に基づいて取得する。即ち、前記収集手段404が、前記電力使用量テーブル605を参照し、ユーザにより数(台数)が入力された入力欄603(前記PC入力欄603a)に対応する電子機器301bの種類「PC」606aの最大電力使用量「Wa」607aを取得する。そして、前記収集手段404が、当該取得した最大電力使用量「Wa」607aに前記入力された数(「3」)を乗算することで、当該乗算値「3Wa」を前記複合機100と通信不可の電子機器301bの最大電力使用量「Wz」(kWh)として取得する。尚、各入力欄603にそれぞれ数が入力されている場合には、各入力欄603毎に最大電力使用量が算出され、その合計値が、前記複合機100と通信不可の電子機器301bの最大電力使用量「Wz」(kWh)となる。
このように、前記収集手段404は、前記通信手段403やユーザにより入力された数を利用して、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量を収集する。
さて、前記収集手段404が、前記複合機100の最大電力使用量「Ws」と、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量「Wx」、「Wy」、「Wz」とを収集すると、当該収集したこれらの最大電力使用量「Ws」、「Wx」、「Wy」、「Wz」を全て合算して、合計値「S」(kWh)(=Ws+Wx+Wy+Wz)を算出する(図5:S107)。
そして、前記収集手段404が前記合計値「S」の算出を終了すると、その旨を判定手段406に通知し、当該判定手段406は、前記合計値「S」が、予め設定された閾値「Vc」を超過するか否かを判定する(図5:S108)。
前記閾値「Vc」(kWh)は、前記フロア300の商用電源10に予め設定された電力供給の遮断基準を示す許容最大電力使用量であり、例えば、前記判定手段406に備えられた所定のメモリに予め記憶されている。ここで、上述で示したように、ユーザが、前記初期設定画面600を介して前記電力使用量入力欄604に所定の値「X」を入力した場合には、前記判定手段406が、当該入力した値「X」を前記閾値「Vc」として採用することになる。
さて、前記判定の結果、前記合計値「S」が前記閾値「Vc」以下である場合(図5:S108NO)、前記判定手段406は、前記複合機100の駆動部の全てに電力供給してもフロア300の商用電源10の電力不足は生じない(問題ない)と判定し、その旨を前記電力供給手段401に通知する。当該通知を受けた電力供給手段401は、未だ電力供給していない駆動部、例えば、自動原稿給紙部101a、画像読取部103、画像形成部109、定着装置120、折り装置124と製本装置125とを含む後処理装置などに電力を供給する(図5:S109)。
これにより、前記複合機100がフロア300の商用電源10から電力供給を受けても、当該商用電源10の電力不足に伴うブレーカ落ちや過度の電力供給に伴う過電流事故を発生させることが無く、ユーザは、安心して当該複合機100を設置することが可能となる。
尚、前記電力供給手段401が、全ての駆動部に電力を供給すると、その旨を前記表示受付手段402に通知し、当該通知を受けた表示受付手段402は、次の初期設定に関する画面(例えば、用紙サイズや印刷品質に対応する初期設定値の入力画面)をタッチパネル201上に表示して、ユーザに、次の初期設定値の入力を行なわせる。
一方、前記判定の結果、前記合計値「S」が前記閾値「Vc」を超える場合(図5:S108YES)、前記判定手段406は、前記複合機100の駆動部の全てに電力供給するとフロア300の商用電源10の電力不足が生じる(問題がある)と判定し、その旨を警告手段407に通知する。当該通知を受けた警告手段407は、前記複合機100の商用電源10への接続(フロア300内への設置)の見直しを促す警告画面をタッチパネル201上に表示して警告する(図5:S110)。
前記警告画面700には、図7(A)に示すように、前記フロア300に設置された全ての電子機器301の最大電力使用量の合計値701(「S」)と、前記許容最大電力使用量702(「Vc」)と、前記複合機100の商用電源10への接続を承認するためのYESキー703(承認キー)と、承認しないためのNOキー704(拒否キー)とが表示される。
これにより、ユーザは、前記合計値701(「S」)と前記許容最大電力使用量702(「Vc」)とを見ながら、前記複合機100をフロア300の商用電源10に接続してよいか否かを具体的に数値で検討することが可能となる。そのため、上述したブレーカ落ちや過電流事故の発生を精度高く未然に防止することが可能となる。
ここで、例えば、前記合計値701(「S」)が、前記許容最大電力使用量702(「Vc」)に近い場合、ユーザが、前記警告画面700を見ながら、前記YESキー703を押下する。すると、前記警告手段407は、当該YESキーの押下を受け付けて(図5:S111YES)、その旨を前記電力供給手段401に通知する。当該通知を受けた電力供給手段401は、上述と同様に、未だ電力供給していない駆動部に電力を供給する(図5:S109)。
これにより、上述したブレーカ落ちや過電流事故が生じ難い条件であれば、それに柔軟に対応して、ユーザが、前記複合機100にフロア300の商用電源10の電力を供給させて設置することが可能となる。
一方、例えば、前記合計値701(「S」)が、前記許容最大電力使用量702(「Vc」)よりも著しく大きい場合、ユーザが、前記警告画面700を見ながら、前記NOキー704を押下する。すると、前記警告手段407は、当該NOキーの押下を受け付けて(図5:S111NO)、前記複合機100の再設定を促すための再設定画面をタッチパネル201上に表示する(図5:S112)。
前記再設定画面705には、図7(B)に示すように、現時点ではフロア300の商用電源10に前記複合機100を接続することが出来ない旨のメッセージ706と、当該複合機100の対処方法707とが表示される。前記対処方法707には、例えば、前記複合機100の電源スイッチ209をOFFして、このフロア300から他のフロア(他の設置場所)に搬送する方法、前記複合機100に後処理装置が装着されている場合には当該後処理装置を脱離して、再度、初期設定をやり直す方法などが表示される。
これにより、上述した対処方法707をユーザに促して、前記ブレーカ落ちや過電流事故の発生を確実に防止することが可能となる。
さて、前記再設定画面705を確認したユーザは、前記複合機100の電源スイッチ209をOFFして(図5:S113)、例えば、当該複合機100を他のフロアに搬送し直したり、当該複合機100から最大電力使用量を高める後処理装置を切り離して、再度、初期設定をやり直したりすることになる。
このように、本発明の複合機100では、自装置100が前記商用電源10に接続された際に(初期設定の際に)、当該自装置100の最大電力使用量「Ws」と、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量「Wx」、「Wy」、「Wz」とを収集して、当該収集した最大電力使用量の合計値「S」を算出する収集手段404と、前記算出された合計値「S」が、予め設定された閾値「Vc」を超過するか否かを判定する判定手段406と、前記合計値「S」が前記閾値「Vc」を超過した場合に、自装置100の商用電源10への接続の見直しを促す警告画面700を表示して警告する警告手段407とを備える。
これにより、ユーザは、前記複合機100がフロア300の商用電源10から電力供給を受けた場合に、当該商用電源10の電力不足に伴うブレーカ落ちや過度の電力供給に伴う過電流事故が発生する可能性が高いことを、事前に確認することが可能となる。そのため、上述したブレーカ落ちや過電流事故の発生を精度高く未然に防止することが可能となる。
尚、本発明の実施形態では、前記通信手段403が、有線通信部127a及び無線通信部127bを備えるよう構成したが、フロア300内の電子機器301の配置により、前記ネットワーク129が存在しなかったり、前記無線通信部127bに対応する無線通信部を備える電子機器301が存在しなかったりする場合がある。そのため、前記通信手段403が、前記有線通信部127a又は無線通信部127bのいずれかを備えるよう構成しても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記初期設定画面600に所定の入力欄603や前記電力使用量入力欄604を設けるよう構成したが、こられの入力欄は無くても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記フロア300に一の商用電源10を備えるよう構成したが、当該フロア300の広さ、種類によって前記フロア300に一の商用電源10から複数のサブ商用電源を設置する場合もあるが、そのような場合であっても、当該商用電源10を基準とすれば、本発明を適用することは可能である。
又、本発明の実施形態では、前記収集手段404が、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量を収集する場合に、当該電子機器301に所定の指示を送信して、当該電子機器301から最大電力使用量を直接受信するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記収集手段404が、前記電子機器301から、最大電力使用量に関連するデータを受信して、当該データに基づいて最大電力使用量を算出してもよいし、当該電子機器301の内部メモリに前記最大電力使用量又はこれに関連するデータが予め記憶されている場合には、前記収集手段404が、これを直接取得しても構わない。
又、本発明の実施形態では、前記収集手段404が、前記通信手段403を利用して、通信可能な電子機器301aをそのまま前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301としてこれらから最大電力使用量を取得するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記複合機100と通信可能な電子機器301aが、他のフロアに存在し、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の識別情報(コード)が予め分かっている場合に、前記収集手段404が、前記通信手段403を利用して、前記識別情報に対応する電子機器301aから最大電力使用量を取得するよう構成してもよい。この構成とすると、前記フロア300の商用電源10から電力供給を受けている電子機器301の最大電力使用量を精度高く収集することが可能となる。
又、本発明の実施形態では、前記電力使用量テーブル605の電子機器301の種類606に、「PC」606a、「後処理装置のない複合機」606b、「後処理装置のある複合機」606cなどを備える構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記電子機器301の種類606に、当該電子機器301の機種やスペック、製品番号などを盛り込み、それに対応する最大電力使用量607を関連付けるよう構成しても構わない。
又、本発明の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを複合機100に読み出させ、当該複合機100が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。