JP5804926B2 - 超電導薄膜 - Google Patents

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Description

本発明は、超電導薄膜に関する。
従来から、液体窒素温度(77K)以上で超電導現象を示す組成式REBaCu7−δの組成式で表されるRE系超電導体(REはY、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、YbやLu等の希土類元素である)が基板上に成膜された超電導薄膜が知られている。
このRE系超電導体を用いた超電導薄膜は、ケーブルやSMES(超電導エネルギー貯蔵装置)への応用が期待されており、臨界電流(Ic)特性や機械的強度(曲げ強度など)が要求される。
しかしながら、RE系超電導体を用いた超電導薄膜は、基板とRE系超電導体との格子不整合や、熱膨張係数の差、膜の欠陥、残留応力、格子歪などが原因で機械的強度が弱く、また反りが発生し易いという欠点がある。
そこで、特許文献1には、残留応力や格子歪を緩和するために、サファイア基板上に、1%以上の空隙を導入したRE系超電導体を、間に当該RE系超電導体のREとは異なるRE’を選んだRE’系超電導体の中間層薄膜を介して設ける多層構造の超電導薄膜が開示されている。また、導入した空隙が薄膜間の界面まで露出していることも開示されている。
特開2008−140789号公報
しかしながら、特許文献1の超電導薄膜では、Ic特性の劣化が見られる。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、反りの抑制と機械的強度を改善するとともに、Ic特性の劣化を抑制した超電導薄膜を提供することを目的とする。
課題を解決する過程において、特許文献1のように導入した空隙が薄膜間の界面まで露出すると、当該界面上の薄膜において空隙の上に位置する領域にはRE系超電導体が成長し難く、一次元のピンホールやその他異相が形成してしまうことが分かった。そして、この異相がIc特性の劣化に繋がることが分かった。しかし、RECuOと接するように空隙を形成することで、Ic特性の劣化を抑制できることが分かった。
そこで、本発明の上記課題は下記の手段によって解決された。
<1>基板と、前記基板の主面に形成され、RE系超電導体を主体とする多層構造の超電導層とを有しており、前記超電導層は、RECuOと前記RECuOに接した空隙とを含有する空隙単位層を有しする超電導薄膜。
<2>前記空隙単位層において前記基板側の界面とは反対の界面における前記RECuOの面積含有率が実質的に0%であり、前記空隙単位層の両界面における前記空隙の面積含有率が実質的に0%である超電導薄膜。
<3>前記超電導層は、更に層全体の前記空隙の面積含有率が実質的に0%である超電導単位層を有している<1>又は<2>に記載の超電導薄膜。
<4>前記超電導層は、前記空隙単位層と前記超電導単位層とが繰返し積層された周期構造である、<3>に記載の超電導薄膜。
<5>前記基板と前記超電導層との間には、CeO層が位置しており、前記CeO層と前記超電導単位層が接している、<3>又は<4>に記載の超電導薄膜。
<6>前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、0.1%以上20%以下である、<1>〜<5>の何れか1つに記載の超電導薄膜。
<7>前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、1%以上10%以下である、<6>に記載の超電導薄膜。
<8>前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、1%以上5%以下である、<7>に記載の超電導薄膜。
<9>前記超電導単位層は、ピニングセンターとして作用する不純物を含有している、<3>〜<5>の何れか1つに記載の超電導薄膜。
本発明によれば、反りの抑制と機械的強度を改善するとともに、Ic特性の劣化を抑制した超電導薄膜を提供することができた。
図1は、本発明の実施形態に係る超電導線の積層構造を示す図である。 図2は、図1に示す超電導線の断面構造を示す図であって、特に酸化物超電導層の層構造を詳細化したものである。 図3は、MOCVD装置の概要構成を示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る超電導薄膜について超電導線を一例に挙げて具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
<超電導線の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る超電導線1の積層構造を示す図である。
超電導線1は、テープ状の基板11上に中間層12、超電導層13、安定化層(保護層)14が順に形成された積層構造を有している。
基板11は、低磁性の金属基板やセラミックス基板を用いる。金属基板としては、例えば、強度及び耐熱性に優れた、Cu、Cr、Ni、Ti、Mo、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Ag等の金属又はこれらの合金を用いることができる。特に好ましいのは、耐食性及び耐熱性の点で優れているステンレス、ハステロイ(登録商標)、その他のニッケル系合金である。また、これら各種金属材料上に各種セラミックスを配してもよい。また、セラミックス基板としては、例えば、MgO、SrTiO、又はイットリウム安定化ジルコニア等を用いることができる。
中間層12は、超電導層13において高い面内配向性を実現するために基板11の主面上に形成される層であり、単層で構成されていても多層で構成されていてもよい。また、適宜省略することもできる。
超電導層13は、中間層12上に形成され、組成式REBaCu7−δ(前記REは単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、前記δは酸素不定比量である)で表される酸化物超電導体(RE系超電導体)を主体としている。なお、「主体」とは、超電導層13に含まれる構成成分中で含有量が最も多いことを示し、好ましくは含有量が全体の50%超であることを示すものである。
上記REBaCu7−δ中のREは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、YbやLuなどの単一の希土類元素又は複数の希土類元素であり、これらの中でもBaサイトと置換が起き難いという理由でYであることが好ましい。また、δは、酸素不定比量であり、例えば0以上1以下であり、超電導転移温度が高いという観点から0に近いほど好ましい。なお、酸素不定比量は、オートクレーブ等の装置を用いて高圧酸素アニール等を行えば、δは0未満、すなわち、負の値をとることもある。
ここで、REをPrとしたPrBaCu7−δだけは、現在、超電導現象が確認されていないが、将来酸素不定比量δを制御するなどして超電導現象が確認できた場合には、本発明の実施形態に係わる酸化物超電導体にPrBaCu7−δも含むものとする。
また、REBaCu7−δ中の各陽イオンの組成比は、厳密に1:2:3となる必要はなく、REBaCu7−δの結晶構造を維持できる程度にずれていてもよい。
安定化層14は、超電導層13上に形成され、例えば銀等で構成されている。
<超電導層の構成>
図2は、図1に示す超電導線1の断面構造を示す図であって、特に超電導層13の層構造を詳細化したものである。
本実施形態では、図2に示すように、超電導層13は、多層構造とされており、n層(n≧2)の薄膜からなる単位層13−1、13−2、・・・13−nで構成されている。各単位層は、同じ酸化物超電導体を主体としている。
なお、超電導層13を構成する単位層同士の区別は、各単位層間に形成され得るY、Gd等のReOの薄膜層、その他欠陥、転位、格子ひずみなどをTEM(Transmission Electron Microscope)等により特定して、区別することができる。また、単位層13−1、13−2、・・・13−nの各層の表面形態を光学顕微鏡やSEMなどの手段を用いて、in-situまたはex-situにより確認することができる。
そして、本実施形態では、超電導線1は、RECuOと当該RECuOに接した空隙とを含有する空隙単位層を有している。この空隙単位層は、具体的に、超電導層13内において、複数の単位層13−1、13−2、・・・13−nのうち基板11から最も遠い層(最上層)よりも基板11側に位置する単位層である。このとき、RECuOに接した空隙とすることで、空隙単位層内の空隙は層の厚み方向において、閉空間の空隙として存在することができ、単位層を跨いだ柱状の空隙として成長しない。
また、この空隙単位層において、基板11側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率は実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率は実質的に0%であることが望ましい。すなわち、空隙は空隙単位層内に存在し、RECuOは上側界面以外に存在し、下側界面にも存在していてもよい。
超電導層13が空隙を含有する空隙単位層を有することにより超電導層13の残留応力や格子の歪などを緩和して、超電導線1の反りを抑制でき、且つ、機械的強度を改善できるからである。また、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であるため、両界面からマイクロクラックが生じ難くなり、単に空隙を含有する場合に比べて機械的強度をより改善できる。
ここで、空隙やRECuOが空隙単位層の界面に存在していると、当該界面上の単位層において空隙やRECuOの上に位置する領域にはRE系超電導体が成長し難く、一次元のピンホールやその他異相が形成してしまい、結果としてIc特性の劣化に繋がる。本実施形態では、空隙やRECuOを含有していても、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面(上側界面)における空隙及びRECuOの面積含有率が実質的に0%であるため、当該上側界面上に成膜される単位層において空隙及びRECuOがRE系超電導体の成長を妨げない。
なお、上記「実質的に」とは、界面において空隙及びRECuOの面積含有率が完全に0%である場合だけでなく、0.01%以下の含有率も含む意味である。
ところで、空隙単位層の上側界面ではない領域に空隙やRECuOが存在しても、各相の成長速度の関係で、空隙単位層内における当該空隙の上の領域においてRE系超電導体は成長することができる。具体的に、空隙と当該空隙上のRE系超電導体の成長のメカニズムは、異相としてRECuOが一旦析出しても、当該RECuOよりも、RE系超電導体の成長速度の方が速いため、RECuOの両側からRE系超電導体が成長する。そして、ある厚さでRECuOの両側から成長したRE系超電導体同士が繋がり閉空間の空隙が形成され、当該空隙の上の領域において繋がった状態のRE系超電導体が成長する。
一方で、空隙単位層の界面に空隙やRECuOが存在していると、当該界面上に成膜される単位層においてRE系超電導体の成長速度と他の相の成長速度との関係が上述した関係と異なってしまうため、界面上に成膜される単位層において界面にある空隙やRECuOの上の領域にはRE系超電導体が成長し難いと考えられる。
なお、RECuOと空隙の確認は、超電導層13を構成する各単位層の断面TEMによって行うことができる。
また、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、0.1%以上20%以下であることが好ましい。0.1%以上であると、反りの抑制や機械的強度の改善が確実に見られるからである。20%以下であると、反りの抑制や機械的強度の改善が確実に見られ、且つ、Icの大幅な低下を抑制できるからである。
さらに、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、1%以上10%以下であることが好ましい。1%以上であると反りを十分に抑制し、且つ機械的強度を十分に改善させることができるからである。10%以下であると、空隙の過剰含有による機械的強度の低下やIcの大幅な低下を抑制できるからである。
さらにまた、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、1%以上5%以下であることが好ましい。5%以下であるとIcの大幅な低下を抑制できるからである。
なお、「空隙の含有率」とは、空隙単位層断面における空隙の面積/全面積の百分率の平均である。空隙単位層断面観察はTEM及びFIB−SIM(Focused Ion Beam-Scanning Ion Microscope)により数箇所で行われる。
以上の空隙単位層は、最上層を除く単位層13−1、13−2、・・・13−(n−1)のうち少なくとも1つの層であってもよく、全ての層であってもよい。また、超電導層13の最上層となる単位層13−nも空隙単位層であってもよい。なお、空隙単位層を除く他の単位層は、空隙単位層と同じ酸化物超電導体を主体とした薄膜であればよい。
さらに、超電導線1は、超電導層第1構成層の他、超電導層13の一部を構成する層、すなわち複数の単位層13−1、13−2、・・・13−nのうち少なくとも1つの層では、層全体の空隙の面積含有率が実質的に0%である超電導単位層を有することが好ましい。
空隙単位層よりも超電導単位層の方が、空隙が存在しない分、臨界電流密度が向上する。例えば各単位層13−1、13−2、・・・13−nが全て空隙単位層である場合に比べて、単位層13−1、13−2、・・・13−nのうち少なくとも1つが超電導単位層である方が、高Icを得ることができる。
なお、これら空隙単位層及び超電導単位層の膜厚は、特に限定されないが、例えばそれぞれ20nm以上200nm以下である。
また、超電導層13は、空隙単位層と超電導単位層とが繰返し積層された周期構造であることが好ましい。高Icを保ちつつ、超電導層13の積層方向に空隙を点在させて超電導線1の機械的強度を改善できるからである。
さらに、基板11と超電導層13との間の中間層12がCeOを主体としたCeO層である場合、CeO層と超電導単位層が接していることが好ましい。すなわち、超電導層13内の複数の単位層13−1、13−2、・・・13−nのうち当該CeO層と接する基板13から最も近い層(最下層)が、上述した超電導単位層であることが好ましい。空隙単位層よりも超電導単位層の方が、空隙が存在しない分成膜温度が低いので、CeO層と接するのが上述した空隙単位層である場合に比べて、CeO層と接する超電導単位層の成膜時にCeO層のCeOとRE系超電導体のBaとの反応を抑制してBaCeOの生成を抑制することができ、結果として、BaCeOの不純物が少ない超電導層13を得ることができるからである。
さらにまた、超電導単位層は、ピニングセンターとして作用するYやGd等の不純物を含有していることが好ましい。不純物により超電導線1の磁場特性の向上を図るとともに、空隙単位層よりも超電導単位層の方が、空隙が存在しない分成膜温度が低いので、空隙単位層が不純物を含有する場合に比べて、不純物の導入の際に添加物を省略できるなど製造コストを抑えることができる。
<超電導線の製造方法>
次に、以上で説明した超電導線1の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、基材11上に中間層12を形成する。
中間層12の形成(成膜)方法としては、例えばPLD法、CVD法、MOCVD法、IBAD法、TFA−MOD法、又はスパッタ法などを用いることができる。特に、中間層12が多層膜で構成される場合は、最表層のキャップ層の形成(成膜)方法としては、PLD法やRFスパッタ法による成膜が好適に用いられる。
次に、図2に示すように、超電導層13を形成する。
超電導層13の形成(成膜)方法としては、例えばPLD法、CVD法、MOCVD法、TFA−MOD法、又はスパッタ法などが挙げられる。これら成膜方法の中でも、高真空を必要としない、大面積、複雑な形状の基材11にも成膜可能で、且つ、量産性に優れているという理由からMOCVD法を用いることが好ましい。
以下、MOCVD法を一例に挙げて、超電導層13を形成する具体的方法を説明するが、他の形成方法の場合も同様に行うことができる。
図3は、MOCVD装置100の概要構成を示す図である。
MOCVD装置100は、原料供給部101、気化器102、反応炉103、基材搬送部104、テープ巻き取り器105、キャリアガス供給部106、酸素ガス供給部107及びヒータ108を備えて構成される。
原料供給部101は、気化器102に原料溶液を供給し、キャリアガス供給部106は、気化器102にAr等のキャリアガスを供給する。原料溶液には、例えばRE、Ba、及びCuの有機化合物原料(REBCO)をそれぞれ所望の比率に加えて、溶媒のTHF(テトラヒドロフラン)に溶かしたものを用いる。
気化器102は、供給されたキャリアガス中に原料溶液を噴霧して原料ガスを生成する。また、気化器102は、導入管を介して、生成した原料ガスと、酸素ガス供給部107から供給されるOとを反応炉103に導入する。
反応炉103は、基材11上に形成された中間層12の表面に、気化器102により導入された原料ガスを蒸着させて、超電導層13を成膜する。
基材搬送部104は、反応炉103内において基材11を所定速度で移動させる。
ヒータ108は、基材11の温度を制御する。
以上より、MOCVD装置100は、基材11の温度を制御しつつ移動させ、超電導層13を成膜する。
本実施形態では、超電導層13はMOCVD装置100を用いて多数回(少なくとも2回)にわたって成膜する。ここで、上述した空隙単位層を成膜するには、例えば成膜温度を760℃以上780℃以下にし、上述した原料溶液として、RE、Ba、及びCuの有機化合物原料(REBCO)をRE:Ba:Cu=1:1.25〜1.35:2.5〜2.6の比率で加えることにより行うことができる。また、上述した超電導単位層を成膜するには、例えば成膜温度を740℃以上760℃未満にし、上述した原料溶液として、RE、Ba、及びCuの有機化合物原料(REBCO)をRE:Ba:Cu=1:1.35〜1.45:2.5〜2.6の比率で加えることにより行うことができる。すなわち、空隙単位層を成膜するには、超電導単位層を成膜する場合に比べて、成膜温度を10〜30℃程度高くし、且つ、Baの比率を若干少なくすることで作製することができる。
<変形例>
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
例えば、基板11がテープ状とされた超電導線1である場合を説明したが、この超電導線1は超電導薄膜の一例に過ぎず、例えば基板11が例えば正方形状とされた超電導薄膜であってもよい。
以下に、本発明に係る超電導薄膜について、実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、超電導薄膜として超電導線を作製した。実施例1の超電導線において基板は、研磨ハステロイ基板を用いた。中間層は、基板側から順にIBAD(Ion Beam Assisted Deposition)−GZO(Gd2Zr27)とCeOの多層構造とした。超電導層は、MOCVD法によりRTR往復多数回で成膜した。超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を0.1%に調整した空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
なお、超電導層を構成する各空港単位層の成長温度(成膜温度)や組成比は、以下の表1に記載した通りである。
(実施例2)
実施例2では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例2の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を1%に調整した空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(実施例3)
実施例3では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例3の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を3%に調整した空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(実施例4)
実施例4では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例4の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を5%に調整した空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(実施例5)
実施例5では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例5の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を6%に調整した空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(実施例6)
実施例6では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例6の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を10%に調整した空隙単位層とした。なお、空隙の含有率は、超電導線の製造後TEMにより確認した。
(実施例7)
実施例7では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例7の超電導線では、超電導層を構成する各単位層は、全て空隙の含有率を20%に調整した超空隙単位層とした。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、空隙単位層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(実施例8)
実施例8では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、実施例8の超電導線では、超電導層は、空隙単位層と超電導単位層とが繰返し積層された周期構造とし、CeO層と接する超電導層の最下層を、超電導単位層で構成した。また、各空隙単位層の空隙の含有率を2.5%に調整した。ここで、空隙の含有率やRECuOの存在は、超電導線の製造後TEMにより確認した。また、TEMにより、空隙単位層の基板側の界面とは反対の界面におけるRECuOの面積含有率が実質的に0%であり、超電導層第1構成層の両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であることも確認した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、比較例1の超電導線では、超電導層は、超電導単位層のみを複数積層して構成し、超電導層に空隙が無い状態としている。なお、空隙の含有率は、超電導線の製造後TEMにより確認した。
(比較例2)
比較例2では、実施例1同様の方法で超電導線を作製した。ただし、比較例2の超電導線では、超電導層は、複数の単位層で構成し、各単位層間の界面の下方の領域だけでなく当該界面にも露出した空隙(RECuOと接していない空隙)を含有している。なお、空隙の含有率は、超電導線の製造後TEMにより確認した。
(評価)
以上のように作製した各実施例及び各比較例の超電導線に対して、機械的強度や反り、臨界電流Icをそれぞれ評価した。
機械的強度の評価は、測定対象の超電導線を200mm径のリールに巻いて、その後、線材断面をSEMやTEMで観測し、ミクロクラックや剥離の有無を確認することにより行った。
また、反りの評価は、線材幅方向の断面を光学顕微鏡で確認することにより行った。
また、Icの評価、得られた超電導線(線幅10mm)を液体窒素に浸漬した状態で四端子法を用いて測定することにより行った。電圧端子は1cm、電界基準は1μV/cmとした。
表1は、各実施例及び各比較例の評価結果をまとめたものである。なお、表中の「○」は、特性(強度又は反り)が良好である場合を示し、「×」は、特性が悪い場合を示し、「△」は、特性が「○」と「×」の中間の特性である場合を示す。また、比較例2及び各実施例のIc特性(%)は、比較例1に係る超電導線のIcの値を基準(100%)としたときの値を示している。
表1に示すように、比較例1と各実施例1〜8とを比べると、空隙を含有した各実施例では、反りや機械的強度が改善していることが分かった。これは、超電導層に空隙を含有したことにより、残留応力や格子歪が緩和されたためだと考えられる。また、共に5%の空隙を含有した比較例2と実施例4とを比べると、実施例4の方が、機械的強度がより改善していることが分かった。実施例4では、両界面における空隙の面積含有率が実質的に0%であるため、両界面においてマイクロクラックの発生が抑制されているからだと考えられる。また、実施例4では、空隙を含有することによるIc特性の劣化が19%(=100%−81%)から5%(=100%−95%)へと抑制されていることが分かる。これは、上側界面における空隙やRECuOの面積含有率が実質的に0%であるため、当該上側界面上に成膜される単位層において空隙やRECuOがRE系超電導体の成長を妨げないようにしているからだと考えられる。
また、実施例1〜7同士を比較すると、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、0.1%以上20%以下であることが好ましいことが分かった。0.1%以上であると、反りの抑制や機械的強度の改善が確実に見られるからである。20%以下であると、反りの抑制や機械的強度の改善が確実に見られ、且つ、Icの大幅な低下を抑制できるからである。
さらに、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、1%以上10%以下であることが好ましいことが分かった。1%以上であると反りを十分に抑制し、且つ機械的強度を十分に改善させることができるからである。10%以下であると、空隙の過剰含有による機械的強度の低下やIcの大幅な低下を抑制できるからである。
さらにまた、空隙単位層における層全体の空隙の面積含有率は、1%以上5%以下であることが好ましいことが分かった。5%以下であるとIcの大幅な低下を抑制できるからである。
さらに、実施例8では、超電導層は空隙単位層と当該空隙単位層の成長温度よりも低い超電導単位層とが繰返し積層された周期構造であるため、製造コストを抑えつつ、かつ、高Icを保ちつつ超電導層の積層方向に空隙を点在させて超電導線の機械的強度を改善できたと考えられる。
1 超電導線(超電導薄膜)
11 基板
12 中間層(CeO層)
13 超電導層
13−1〜13−n 単位層(空隙単位層、超電導単位層)

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板の主面に形成され、RE系超電導体を主体とする多層構造の超電導層とを有しており、
    前記超電導層は、RECuOと前記RECuOに接した空隙とを含有する空隙単位層を有する超電導薄膜。
  2. 前記空隙単位層において前記基板側の界面とは反対の界面における前記RECuOの面積含有率が実質的に0%であり、前記空隙単位層の両界面における前記空隙の面積含有率が実質的に0%である請求項1に記載の超電導薄膜。
  3. 前記超電導層は、更に層全体の前記空隙の面積含有率が実質的に0%である超電導単位層を有している、
    請求項1又は請求項2に記載の超電導薄膜。
  4. 前記超電導層は、前記空隙単位層と前記超電導単位層とが繰返し積層された周期構造である、
    請求項3に記載の超電導薄膜。
  5. 前記基板と前記超電導層との間には、CeO層が位置しており、
    前記CeO層と前記超電導単位層が接している、
    請求項3又は請求項4に記載の超電導薄膜。
  6. 前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、0.1%以上20%以下である、
    請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の超電導薄膜。
  7. 前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、1%以上10%以下である、
    請求項6に記載の超電導薄膜。
  8. 前記空隙単位層における層全体の前記空隙の面積含有率は、1%以上5%以下である、
    請求項7に記載の超電導薄膜。
  9. 前記超電導単位層は、ピニングセンターとして作用する不純物を含有している、
    請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の超電導薄膜。
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