JP5804788B2 - 多層反射防止膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物多孔質体からなる多層反射防止膜の製造方法に関する。
屈折率の低い光学材料の適用分野には、反射防止膜、光導波路、レンズ、プリズム等があり、ディスプレイ表面からの反射を抑える防眩処理、光導波路のクラッド等に用いられる。従来、屈折率の低い材料としては、サイトップ(旭化成(株)製)等のフッ素化合物(屈折率:1.34)やフッ化マグネシウム(屈折率:1.38)等の化合物、及び、それらの超微粒子を樹脂等に分散させて形成したもの等がある(特許文献1、2)。しかしながら、フッ素化合物、フッ化マグネシウム等の屈折率は高々1.3程度であり、これより低いものを得ることはできなかった。さらにそれらの屈折率は、物質固有の値であり、自在に屈折率を調節することが困難である。
反射率をより低減させ、かつ広い波長範囲の光線に対する反射防止性を提供するため、反射防止膜を多層にする方法が試みられている。
例えば基材上にSiO、TiO、ZrO、WOなどの無機酸化物を真空蒸着法、イオンレーティング法、スパッタリング法等により5〜7層積層して反射防止膜を形成する方法がある(特許文献3、4)。この方法によれば反射率が充分低減された多層反射防止膜が得られるが、大型の装置を必要とする。
特開平11−072602 特開平07−104102 特開平05−053002 特開2010−250069
本発明の課題は、低反射率で、かつ広い波長範囲の光線に対して反射防止性を有する多層反射防止膜を生産性良く低コストで製造する方法を提供することである。
即ち本発明は以下に示す多層反射防止膜の製造方法を提供する。
[1]下記工程1、工程2及び工程3を含む、メソ孔がキュービック相を形成している金属酸化物多孔質体からなる層を有する多層反射防止膜の製造方法。
工程1:金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応物を含む複数の反応溶液を調整する工程。
(前記複数の反応溶液のうち少なくとも1種の反応溶液は下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体粒子の存在下に金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応を行って得られたものであり、各々の反応溶液は末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比が異なるように調整されたものである。)
工程2:前記複数の反応溶液を基材上に重ねて塗布および乾燥することにより、基材上に金属酸化物を含有する層を2層以上有する積層体を形成する工程。
(前記金属酸化物を含有する層のうち少なくとも1層は、金属酸化物を主とするマトリックス中に下記一般式(1)で表わされる末端分岐型共重合体粒子が分散している有機無機複合体からなる層である。)
工程3:前記積層体から末端分岐型共重合体粒子を除去する工程。
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)。
[2]屈折率が異なる、メソ孔がキュービック相を形成している金属酸化物多孔質体からなる層を2層以上有する、[1]に記載の多層反射防止膜の製造方法。
[3]金属酸化物を含有する層の末端分岐型共重合体粒子の含有率が基材側から順に増加している積層体から末端分岐型共重合体粒子を除去することにより、多層反射防止膜を構成する各層の屈折率が基材側から順に低下している多層反射防止膜を得ることを特徴とする[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]基材上に直接塗布する反応溶液が、前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体粒子の非存在下に金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応を行って得られたものである、[1]〜[3]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
[5]前記金属酸化物多孔質体のメソ孔の平均孔径が10nm〜30nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
[6]前記金属酸化物が二酸化ケイ素である[1]〜[5]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
[7]波長380nmから1000nmまでの全波長域で反射率が0.6%以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
[8]前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である[1]〜[7]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
[9]前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される、[1]〜[8]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)。
[10]有機無機複合体からなる層の少なくとも1層は有機色素を含有する層であり、かつ、工程3を酸素雰囲気下に紫外線照射処理する方法で行う[1]〜[9]のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
本発明の製造方法によれば、低反射率で、かつ広い波長範囲の光線に対して反射防止性を有する多層反射防止膜を簡便に製造することができる。
参考例、実施例1、2の反射率の測定結果を示す。 実施例1、2の反射率の測定結果を示す。 実施例3、4の反射率の測定結果を示す。 実施例3、4の反射率の測定結果を示す。 比較例1、2の反射率の測定結果を示す。 比較例3、4の反射率の測定結果を示す。 実施例5の反射率の測定結果を示す。 実施例5の反射率の測定結果を示す。 実施例7、8の反射率の測定結果を示す。 実施例7、8の反射率の測定結果を示す。
工程1、工程2、工程3の順に説明する。
工程1:この工程では金属酸化物前駆体(B)のゾル−ゲル反応物を含む複数の反応溶液を調整する。具体的に、金属酸化物前駆体(B)、水および/または水の一部または全部を任意の割合で溶解する溶媒(C)を混合して混合組成物を調製するとともに、金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応を行う。なお、混合組成物には、金属酸化物前駆体の加水分解・重縮合反応を促進させる目的で、ゾル−ゲル反応用触媒(D)を含んでいてもよい。
反応溶液は2種類以上、特に3〜10種類調整するのが好ましい。前記複数の反応溶液のうち少なくとも1種の反応溶液は後述する一般式(1)で表される末端分岐型共重合体粒子(A)の存在下にゾル−ゲル反応を行って得られたものである。他の反応溶液は共重合体粒子(A)を含んでいてもよく含まなくてもよい。そして各々の反応溶液は末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比が異なるように調整されている。
末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比は例えば0/100〜70/30の任意の比率とすることができる。
前記反応溶液はさらに有機色素を含有していてもよい。
有機色素としては、ローダミン、シアニン等の水溶性またはアルコール可溶の有機色素が挙げられる。
一般式(1)末端分岐型共重合体粒子を含む混合組成物は、さらに具体的には、成分(B)または成分(B)を「水および/または水の一部または全部を任意の割合で溶解する溶媒(C)」に溶解した溶液に、「ゾル−ゲル反応用触媒(D)」、さらに必要に応じて水を添加して攪拌混合して、成分(B)のゾル−ゲル反応を行い、このゾル−ゲル反応を継続させながら重合体粒子(A)を添加することにより調製される。重合体粒子(A)は水性分散液、あるいは有機溶媒分散液として添加することができる。
また、成分(B)または成分(B)を前記溶媒(C)に溶解した溶液に、重合体粒子(A)の水性分散液、あるいは有機溶媒分散液を添加して攪拌混合した後に、触媒(D)、さらに必要に応じて水を添加して攪拌混合することで調製することもできる。
以下各成分(A)〜(D)について説明する。
[末端分岐型共重合体(A)]
本実施形態で用いる重合体粒子を構成する末端分岐型共重合体は、下記の一般式(1)で表される構造を有する。
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子であり、XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。X1およびX2は、炭化水素基、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を介して炭素原子と結合していてもよい。)
一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の数平均分子量は2.5×10以下、好ましくは5.5×10〜1.5×10、より好ましくは8×10〜4.0×10である。その数平均分子量は、Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量とXおよびXで表されるポリアルキレングリコール基の数平均分子量とR,RおよびCH分の分子量の和で表される。
末端分岐型共重合体の数平均分子量が上記範囲にあると、末端分岐型共重合体を分散質とした際の分散液中の粒子の安定性、水および/または水と親和性を有する有機溶媒への分散性が良好となる傾向があり、かつ分散液の調製が容易になるため好ましい。
一般式(1)のAであるポリオレフィン鎖は、炭素数2〜20のオレフィンを重合したものである。炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。本実施形態においては、これらのオレフィンの単独重合体又は共重合体であってもよく、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであってもよい。これらのオレフィンの中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
一般式(1)中、Aで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された数平均分子量は、400〜8000であり、好ましくは500〜4000、さらに好ましくは500〜2000である。ここで数平均分子量はポリスチレン換算の値である。
Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量が上記範囲にあると、ポリオレフィン部分の結晶性が高く、分散液の安定性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になる傾向があるため好ましい。
一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、通常1.0〜数十であるが、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。
一般式(1)においてAで表される基の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、分散液中の粒子の形状や粒子径の均一性などの点で好ましい。
GPCによる、Aで表される基の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定できる。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計。
なお、Aで表されるポリオレフィン鎖の分子量は、後述の、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
,Rとしては、Aを構成するオレフィンの2重結合に結合した置換基である水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、X,Xは同一または相異なり、直鎖または分岐の数平均分子量がそれぞれ50〜10000のポリアルキレングリコール基を含む基を表す。分岐アルキレングリコール基の分岐態様は、多価の炭価水素基あるいは窒素原子を介した分岐等である。例えば、主骨格の他に2つ以上の窒素原子または酸素原子または硫黄原子に結合した炭化水素基による分岐や、主骨格の他に2つのアルキレン基と結合した窒素原子による分岐等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール基を含む基の数平均分子量が上記範囲にあると、分散液の分散性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になるため好ましい。
一般式(1)のX,Xが上記の構造を有することにより、界面活性剤を用いることなく、体積50%平均粒子径が1nmから1000nmの粒子径を有する、末端分岐型共重合体からなる重合体粒子が得られる。
一般式(1)において、XおよびXの好ましい例としては、それぞれ同一または相異なり、一般式(2)、
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表し、mはRとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表される基である。
一般式(3)において、Rで表される基としては、炭素数1〜20のm+1価の炭化水素基である。mは1〜10であり、1〜6が好ましく、1〜2が特に好ましい。
一般式(1)の好ましい例としては、一般式(1)中、X、Xのどちらか一方が、一般式(4)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。さらに好ましい例としては、X、Xのどちらか一方が一般式(4)で表され、他方が、一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
一般式(1)の別の好ましい例としては、一般式(1)中、XおよびXの一方が、一般式(2)で表される基であり、さらに好ましくはXおよびXの両方が一般式(2)で表される基である末端分岐型共重合体が挙げられる。
一般式(4)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(5)
(式中、X、X10は同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基を表し、Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価の炭化水素基を表す。)で表される基である。
一般式(5)においてQ,Qで表される2価の炭化水素基は、2価のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましい。炭素数2〜20のアルキレン基は、置換基を有していてもいなくてもよく、例えば、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。好ましいアルキレン基としては、炭化水素系のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、メチルエチレン基であり、さらに好ましくは、エチレン基である。Q,Qは1種類のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
一般式(2)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(6)
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基である。
〜X11で表されるポリアルキレングリコール基とは、アルキレンオキシドを付加重合することによって得られる基である。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドであり、特に好ましくは、エチレンオキシドである。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基としては、これらのアルキレンオキシドの単独重合により得られる基でもよいし、もしくは2種以上の共重合により得られる基でもよい。好ましいポリアルキレングリコール基の例としては、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合により得られる基であり、特に好ましい基としては、ポリエチレングリコール基である。
一般式(1)においてX、Xが上記構造を有すると、本実施形態の末端分岐型共重合体を分散質とした際の水および/または水と親和性を有する有機溶媒への分散性が良好となるため好ましい。
本実施形態で用いることができる末端分岐型共重合体としては、下記一般式(1a)または(1b)で表される重合体を用いることが好ましい。
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+mは2以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
およびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。
l+m+oは3以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。
nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。
一般式(1b)で表される重合体としては、下記一般式(1c)で表される重合体を用いることがさらに好ましい。
式中、l+m+o、nは一般式(1b)と同様である。
ポリエチレン鎖のエチレンユニット数(n)は、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの数平均分子量(Mn)をエチレンユニットの分子量で割ることにより算出できる。また、ポリエチレングリコール鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)は、ポリエチレングリコール基付加反応時の重合体原料と使用したエチレンオキシドとの重量比が、重合体原料とポリエチレングリコール基の数平均分子量(Mn)との比に同じであると仮定して算出できる。
また、n、l+mもしくはl+m+oは1H−NMRによっても測定することができる。例えば本願の合成例で得られる末端分岐型共重合体(T−1)およびそれを含む分散系粒子においては、一般式(1)におけるポリオレフィン基Aの末端メチル基(シフト値:0.88ppm)の積分値を3プロトン分とした際の、ポリオレフィン基Aのメチレン基(シフト値:1.06−1.50ppm)の積分値およびPEGのアルキレン基(シフト値:3.33−3.72ppm)の積分値から算出することできる。
具体的には、メチル基の分子量は15、メチレン基の分子量は14、エチレンオキサイド基の分子量は44であることから、各積分値の値よりポリオレフィン基Aおよびアルキレン基の数平均分子量が計算できる。ここで得られたポリオレフィン基Aの数平均分子量をエチレンユニットの分子量で割ることによりnを、アルキレン基の数平均分子量をエチレングリコールユニットの分子量で割ることで、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)を算出することができる。
ポリオレフィン基Aがエチレン―プロピレン共重合体よりなる場合は、IR、13C−NMRなどで測定できるプロピレンの含有率と、1H−NMRにおける積分値の両者を用いることでnおよびl+mもしくはl+m+oを算出することができる。1H−NMRにおいて、内部標準を用いる方法も有効である。
[末端分岐型共重合体の製造方法]
末端分岐型共重合体は、次の方法によって製造することができる。
最初に、目的とする末端分岐型共重合体中、一般式(1)で示されるAの構造に対応するポリマーとして、一般式(7)
(式中、Aは、炭素数2〜20のオレフィンの重合した数平均分子量が400〜8000の基、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基でありかつ少なくともどちらか一方は水素原子を表す。)で示される、片末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造する。
このポリオレフィンは、以下の方法によって製造することができる。
(1)特開2000−239312号公報、特開2001−2731号公報、特開2003−73412号公報などに示されているようなサリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物を重合触媒として用いる重合方法。
(2)チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒を用いる重合方法。
(3)バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる重合方法。
(4)ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とからなるチーグラー型触媒を用いる重合方法。
上記(1)〜(4)の方法の中でも、特に(1)の方法によれば、上記ポリオレフィンを収率よく製造することができる。(1)の方法では、上記サリチルアルドイミン配位子を有する遷移金属化合物の存在下で、前述したオレフィンを重合または共重合することで上記片方の末端に二重結合を有するポリオレフィンを製造することができる。
(1)の方法によるオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれによっても実施できる。詳細な条件などは既に公知であり上記特許文献を参照することができる。
(1)の方法によって得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、重合温度を変化させるか、または使用する触媒の種類を変えることによって調節することができる。
次に、上記ポリオレフィンをエポキシ化して、すなわち上記ポリオレフィンの末端の二重結合を酸化して、一般式(8)で示される末端にエポキシ基を含有する重合体を得る。
(式中、A、RおよびRは前述の通り。)
かかるエポキシ化方法は特に限定されるものではないが、以下の方法を例示することができる。
(1)過ギ酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸による酸化
(2)チタノシリケートおよび過酸化水素による酸化
(3)メチルトリオキソレニウム等のレニウム酸化物触媒と過酸化水素による酸化
(4)マンガンポルフィリンまたは鉄ポルフィリン等のポルフィリン錯体触媒と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(5)マンガンSalen等のSalen錯体と過酸化水素または次亜塩素酸塩による酸化
(6)マンガン−トリアザシクロノナン(TACN)錯体等のTACN錯体と過酸化水素による酸化
(7)タングステン化合物などのVI族遷移金属触媒と相間移動触媒存在下、過酸化水素による酸化
上記(1)〜(7)の方法の中でも、活性面で特に(1)および(7)の方法が好ましい。また、例えばMw400〜600程度の低分子量の末端エポキシ基含有重合体はVIKOLOXTM(登録商標、Arkema社製)を用いることができる。
上記方法で得られた一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体に種々の反応試剤を反応させることにより、一般式(9)で表されるようなポリマー末端のα、β位に様々な置換基Y1、Y2が導入された重合体(重合体(I))を得ることが出来る。
(式中、A、R,Rは前述の通り。Y、Yは同一または相異なり水酸基、アミノ基、または下記一般式(10a)〜(10c)を表す。)
(一般式(10a)〜(10c)中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Tは同一または相異なり水酸基、アミノ基を表し、mは1〜10の整数を表す。)。
例えば、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体を加水分解することにより、一般式(9)においてY、Yが両方とも水酸基である重合体が得られ、アンモニアを反応させることによりY、Yの一方がアミノ基、他方が水酸基の重合体が得られる。
また、一般式(8)で表される末端エポキシ基含有重合体と一般式(11a)で示される反応試剤Aとを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10a)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
(式中、E、R、T、mは前述の通りである。)。
また、末端エポキシ基含有重合体と一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bを反応させることにより、一般式(9)においてY、Yの一方が一般式(10b)または(10c)に示される基で他方が水酸基の重合体が得られる。
(式中、R、T、mは前述の通りである。)。
一般式(11a)で示される反応試剤Aとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ブタントリオール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
一般式(11b)、(11c)で示される反応試剤Bとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノフェノール、ヘキサメチレンイミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、スペルミジン、スペルミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。
エポキシ体とアルコール類、アミン類との付加反応は周知であり、通常の方法により容易に反応が可能である。
一般式(1)は一般式(9)で示される重合体(I)を原料として、アルキレンオキシドを付加重合することにより製造することができる。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドである。
触媒、重合条件などについては、公知のアルキレンオキシドの開環重合方法を利用することができ、例えば、大津隆行著,「改訂高分子合成の化学」,株式会社化学同人,1971年1月,p.172−180には、種々の単量体を重合してポリオールを得る例が開示されている。開環重合に用いられる触媒としては、上記文献に開示されたように、カチオン重合向けにAlCl3、SbCl5、BF3、FeCl3のようなルイス酸、アニオン重合向けにアルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド、アミン類、フォスファゼン触媒、配位アニオン重合向けにアルカリ土類金属の酸化物、炭酸塩、アルコキシドあるいは、Al、Zn、Feなどのアルコキシドを用いることができる。ここで、ホスファゼン触媒としては、例えば、特開平10−77289号公報に開示された化合物、具体的には市販のテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)フォスフォラニリデンアミノ]フォスフォニウムクロリドのアニオンをアルカリ金属のアルコキシドを用いてアルコキシアニオンとしたものなどが利用できる。
反応溶媒を使用する場合は、重合体(I)、アルキレンオキシドに対して不活性なものが使用でき、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
触媒の使用量はホスファゼン触媒以外については原料の重合体(I)の1モルに対して、0.05〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。ホスファゼン触媒の使用量は、重合速度、経済性等の点から、重合体(I)の1モルに対して1×10−4〜5×10−1モルが好ましく、より好ましくは5×10−4〜1×10−1モルである。
反応温度は通常25〜180℃、好ましくは50〜150℃とし、反応時間は使用する触媒の量、反応温度、オレフィン類の反応性等の反応条件により変わるが、通常数分〜50時間である。
一般式(1)の数平均分子量は、前述の通り一般式(8)で示される重合体(I)の数平均分子量と、重合させるアルキレンオキシドの重量から計算する方法や、NMRを用いる方法により算出することができる。
[重合体粒子]
このような末端分岐型共重合体からなる本実施形態の重合体粒子は、一般式(1)のAで表されるポリオレフィン鎖部分が、内方向に配向した構造を有し、このポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するリジットな粒子である。
本実施形態の重合体粒子は、ポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するため、分散液の乾燥による粒子の取り出し後も再度溶媒等の液体中に分散することが可能である。本実施形態の重合体粒子は、粒子が含むポリオレフィン鎖部分の融点が80℃以上、好ましくは90℃以上のリジッドな粒子である。
ポリオレフィン鎖部分の融点が上記の範囲にあると、結晶性が良好なリジッドな粒子であり、より高温で加熱した場合においても粒子の崩壊が抑制される。
このため、後述する各種用途における製造工程や使用場面において、粒子の崩壊が抑制されるので、本実施形態の重合体粒子が有する特性を失うことがなく、製品の歩留まりや製品の品質がより安定する。
本実施形態の重合体粒子は、溶媒等に分散させたとしても、希釈濃度によらず粒子径が一定である。つまり、再分散性および均一な分散粒子径を有することから、液体中に分散しているミセル粒子とは異なるものである。
なお、本実施形態の重合体粒子の体積50%平均粒子径は、1nm以上1000nm以下が好ましく、好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは1nm以上100nm以下である。さらに好ましくは1nm以上30nm以下である。重合体粒子の粒子径は、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計「マイクロトラックUPA-EX150(日機装株式会社製)」にて測定した。具体的には、調製した分散体を適切な濃度になるよう該分析計に滴下し、均一に分散させた後、体積10%、50%、および90%平均粒子径を測定することができる。
[末端分岐型共重合体粒子分散液]
本実施形態の分散液は前記末端分岐型共重合体を分散質に含み、該分散質を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に粒子として分散している。
本実施形態において、分散液とは、末端分岐型共重合体粒子が分散されてなる分散液であり、
(1)末端分岐型共重合体粒子を製造する際に得られた、該重合体粒子を含む分散液、
(2)末端分岐型共重合体粒子を製造する際に得られた該重合体粒子を含む分散液に、さらに他の分散質や添加剤等を分散または溶解してなる分散液、
(3)末端分岐型共重合体粒子を水や水と親和性を有する有機溶媒に分散させるとともに、他の分散質や添加剤等を分散または溶解してなる分散液、
の何れをも含む。
本実施形態の分散液における前記末端分岐型共重合体の含有割合は、全分散液を100質量%としたときに、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。
末端分岐型共重合体の含有割合が上記範囲にあると、分散液の実用性が良好であり、かつ粘度を適正に保つことができ、取り扱いが容易になるため好ましい。
また、本実施形態の分散液中の粒子の体積50%平均粒子径は好ましくは10nm以上30nm以下である。
粒子の体積50%平均粒子径は、前記末端分岐型共重合体のポリオレフィン部分の構造および末端分岐部分の構造を変えることにより調節可能である。
なお、本実施形態における体積50%平均粒子径とは、全体積を100%としたときの累積体積が50%時の粒子の直径をいい、動的光散乱式粒子径分布測定装置やマイクロトラック粒度分布測定装置を使用して測定することができる。
また、その形状は、例えばリンタングステン酸によりネガティブ染色を施した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することができる。
本実施形態における分散液は、末端分岐型共重合体を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に分散化することにより得られる。
本実施形態における分散化は、機械的せん断力により末端分岐型共重合体を水および/または水と親和性を有する有機溶媒に物理的に分散化する方法で行なうことができる。
分散化方法としては特に限定されるものではないが、各種の分散化方法を利用することができる。具体的に言えば、一般式(1)で表される末端分岐型共重合体と水および/または水と親和性を有する有機溶媒とを混合した後、溶融状態にして高圧ホモジナイザー、高圧ホモミキサー、押出混練機、オートクレーブ等で分散化する方法、高圧で噴射粉砕する方法、細孔より噴霧させる方法が挙げられる。また、前記末端分岐型共重合体を水以外の溶媒に予め溶解した後、水および/または水と親和性を有する有機溶媒とを混合して高圧ホモジナイザー、高圧ホモミキサー等により分散化する方法も可能である。この際、末端分岐型共重合体の溶解に使用する溶媒は、末端分岐型共重合体が溶解するのであれば特に限定されないが、トルエン、シクロヘキサンや前記の水と親和性を有する有機溶媒などが挙げられる。水以外の有機溶媒が分散液に混入することが好ましくない場合には、蒸留等の操作により除去することが可能である。
さらに具体的には、例えば、せん断力をかけることが可能な撹拌機付きのオートクレーブ中、100℃以上、好ましくは120〜200℃の温度でせん断力をかけながら加熱撹拌することによって分散液を得ることができる。
上記温度範囲にあると、前記末端分岐型共重合体が溶融状態にあるため分散化が容易であり、かつ前記末端分岐型共重合体が加熱により劣化しにくいため好ましい。
分散化に要する時間は、分散化温度やその他の分散化条件によっても異なるが、1〜300分程度である。
上記の撹拌時間では分散化を十分に行うことができ、かつ前記末端分岐型共重合体が劣化しにくいため好ましい。反応後は、分散液中の温度が100℃以下になるまで、好ましくは60℃以下になるまでせん断力をかけた状態を保つことが好ましい。
本実施形態に用いる分散液の製造において、界面活性剤の添加は不可欠ではないが、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを共存させても良い。
アニオン界面活性剤として、例えば、カルボン酸塩、単純アルキル・スルフォネート、変性アルキル・スルフォネート、アルキル・アリル・スルフォネート、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸エステル、硫酸化脂肪酸モノグリセライド、硫酸化アルカノール・アミド、硫酸化エーテル、アルキル燐酸エステル塩、アルキル・ベンゼン・フォスフォン酸塩、ナフタレンスルホン酸・ホルマリン縮合物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、単純アミン塩、変性アミン塩、テトラアルキル第4級アンモニウム塩、変性トリアルキル第4級アンモニウム塩、トリアルキル・ベンジル第4級アンモニウム塩、変性トリアルキル・ベンジル第4級アンモニウム塩、アルキル・ピリジニウム塩、変性アルキル・ピリジニウム塩、アルキル・キノリニウム塩、アルキル・フォスフォニウム塩、アルキル・スルフォニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタインなどが挙げられる。
ノニオン界面活性剤として、例えば、脂肪酸モノグリセリン・エステル、脂肪酸ポリグリコール・エステル、脂肪酸ソルビタン・エステル、脂肪酸蔗糖エステル、脂肪酸アルカノール・アミド、脂肪酸ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミド・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アルコール・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミン・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸メルカプタン・ポリエチレン・グリコール縮合物、アルキル・フェノール・ポリエチレン・グリコール縮合物、ポリプロピレン・グリコール・ポリエチレン・グリコール縮合物などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独または2種以上を併用することができる。
本実施形態に用いる分散液の製造にあたっては、異物などを除去する目的で、工程中に濾過工程を設けてもよい。このような場合には、たとえば、300メッシュ程度のステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)を設置し、加圧濾過(空気圧0.2MPa)をおこなえばよい。
上記の方法で得られる分散液は、各種の酸や塩基、例えば塩酸、硫酸、リン酸などの酸や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどの塩基を添加することによりpHを1から13まで変化させても、凝集、沈殿を起こさない。また、この分散液を常圧下で加熱還流もしくは凍結解凍を繰り返すような、幅広い温度範囲においても凝集、沈殿を起こさない。
上記方法における水については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水などを使用可能であるが、蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
また、上記方法における水と親和性を有する有機溶媒は、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子、界面活性剤等の分散質が分散可能なものであれば特に限定されないが、例えばエチレングリコール、テトラエチレングリコール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。分散液中への有機溶媒の混入が好ましくない場合には、該分散質を含有した分散液を調製した後、蒸留等により、前記有機溶媒を除去することが可能である。
本実施形態における分散液は、前記ポリオレフィン系末端分岐型共重合体を100質量部としたときに、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体粒子以外の分散質を0.001質量部〜20質量部、好ましくは0.01質量部〜10質量部、さらに好ましくは0.1質量部〜5質量部含有することができる。
該分散質の含有量が上記範囲にあると、分散液の物性が実用面で良好であり、且つ分散液が凝集、沈殿を生じにくいため好ましい。
[金属酸化物前駆体(B)]
本実施形態における金属酸化物前駆体としては、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物、金属ハロゲン化物、金属アセテート、金属硝酸塩を挙げることができる。
金属アルコキシドとしては、下記式(12)で表されるものを用いることができる。
(R)xM(OR)y (12)
式中、Rは、水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、アリール基(フェニル基、トリル基など)、炭素−炭素二重結合含有有機基(アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基など)、ハロゲン含有基(クロロプロピル基、フルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基など)などを表す。Rは、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上4以下の低級アルキル基を表す。xおよびyは、x+y≦4かつ、xは2以下となる整数を表す。
Mとしては、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi、希土類金属等が挙げられ、コーティング膜として利用する観点から、Si、Al、Zn、Zr、In、Sn、Ti、Pb、Hf、Co、Li、Ba、Fe、Mnなどゾル−ゲル反応で透明な金属酸化物となる金属(アルコキシド)が好ましい。それらの中でも珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)などが好ましく用いられ、それらを組み合わせて使ってもよい。
具体例を挙げると、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、これらに対応するアルコキシアルミニウム、アルコキシジルコニウム、アルコキシチタン、アルコキシコバルト、アルコキシリチウム、アルコキシバリウム、アルコキシ鉄、アルコキシドマンガンが挙げられる。
さらに、これらの金属アルコキシドに加えて、以下1)〜4)に示すようなRに各種官能基をもつ金属アルコキシドを使用することもできる。
1)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、 3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物
2)3−グリシドキシプロピルプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基とアルコキシシリル基とを有する化合物
3)3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基とアルコキシシリル基とを有する化合物
4)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基とアルコキシシリル基とを有する化合物
本実施形態において、金属アルコキシドとしては、上記式(12)において、Mが珪素であるアルコキシシラン、Mがジルコニウムであるアルコキシジルコニウム、Mがアルミニウムであるアルコキシアルミニウム、Mがチタンであるアルコキシチタン、Mがコバルトであるアルコキシコバルト、Mがリチウムであるアルコキシリチウム、Mがバリウムであるアルコキシバリウム、Mが鉄であるアルコキシ鉄、Mがマンガンであるアルコキシマンガンが好ましい。
金属アルコキシドの部分加水分解縮合物は、これらの1種以上の金属アルコキシドにゾル−ゲル反応用触媒(D)を用いて部分的に加水分解されたものが、重縮合することにより得られる化合物であり、たとえば金属アルコキシドの部分加水分解重縮合化合物である。
本実施形態において、金属アルコキシドの部分加水分解縮合物としては、アルコキシシランの縮合物、アルコキシジルコニウムの縮合物、アルコキシアルミニウムの縮合物、アルコキシチタンの縮合物、アルコキシコバルトの縮合物、アルコキシリチウムの縮合物、アルコキシバリウムの縮合物、アルコキシ鉄の縮合物、アルコキシマンガンの縮合物が好ましい。
金属ハロゲン化物としては、下記式(13)で表されるものを用いることができる。
(R)xMZy (13)
式中、Rは、水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、アリール基(フェニル基、トリル基など)、炭素−炭素二重結合含有有機基(アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基など)、ハロゲン含有基(クロロプロピル基、フルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基など)などを表す。ZはF、Cl、Br、Iを表す。xおよびyは、x+y≦4かつ、xは2以下となる整数を表す。
Mとしては、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi、希土類金属等が挙げられ、コーティング膜として利用する観点から、Si、Al、Zn、Zr、In、Sn、Ti、Pb、Hf、Co、Li、Ba、Fe、Mnなどゾル−ゲル反応で透明の金属酸化物となる金属(ハロゲン化物)が好ましい。それらの中でも珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、コバルト、リチウム、バリウム、鉄、マンガンなどが 好ましく用いられ、それらを組み合わせて使ってもよい。
具体例を挙げると、テトラクロロ−ジメチルジシラン、クロロプロピルジクロロメチルシラン、クロロメチル(ジクロロ)メチルシラン、ジ-tert-ブチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジクロロ(メチル)-n-オクチルシラン、ジクロロ(メチル)フェニルシラン、ジクロロシクロヘキシルメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロジヘキシルシラン、ジクロロジイソプロピルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ジクロロエチルシラン、ジクロロヘキシルメチルシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロメチルビニルシラン、テトラクロロシラン、1,2-ビス(トリクロロシリル)エタン、3-クロロプロピルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ヘキサクロロジシラン、フェニルトリクロロシラン、テキシルトリクロロシラン、トリクロロ(メチル)シラン、トリクロロ(プロピル)シラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロシラン、トリクロロビニルシラン、これらに対応するフロロシラン類、ブロモシラン類、ヨードシラン類、および、これらに対応するハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジルコニウム、ハロゲン化チタン、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化バリウム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化マンガン及びそれらの水和物が挙げられる。
金属アセテートとしては、酢酸コバルト、アセト酢酸コバルト、酢酸リチウム、アセト酢酸リチウム、酢酸鉄、アセト酢酸鉄、酢酸マンガン、アセト酢酸マンガン、あるいはそれらの水和物が挙げられる。金属硝酸塩としては、硝酸コバルト、硝酸リチウム、硝酸鉄、硝酸マンガン、あるいはそれらの水和物が挙げられる。
また、金属酸化物前駆体(B)(以下、「成分(B)」ということもある)は、水および触媒の添加により、ゾル−ゲル反応することで、後述する金属酸化物となる化合物であってもよい。
[水および/または水の一部または全部を任意の割合で溶解する溶媒(C)」
本実施形態の組成物において、成分(C)は、金属酸化物前駆体(B)を、さらに加水分解させる目的で添加される。
また、成分(C)は、末端分岐型共重合体を用いて水性分散液を得るときに使用する溶媒と、水性分散液、成分(B)および後述するゾル−ゲル反応用触媒(D)(以下、「成分D」ということもある)を混合するときに使用する溶媒の両方を含む。
水については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水などを使用可能であるが、蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
水の一部または全部を任意の割合で溶解する溶媒としては、水と親和性を有する有機溶媒であって、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体が分散可能なものであれば特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−メトキシエタノール(メチルセルソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセルソルブ)、酢酸エチルなどが挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサンは、水との親和性が高いため、好ましい。
水を用いる場合、添加する水の量は、通常は前記成分(C)および前記成分(D)の混合物100重量部に対し、例えば1重量部以上1000000重量部以下の範囲であり、好ましくは10重量部以上10000重量部以下の範囲である。
水の一部または全部を任意の割合で溶解する溶媒としては、添加する溶媒の量は、通常は前記成分(C)および前記成分(D)の混合物100重量部に対し、例えば1重量部以上1000000重量部以下の範囲であり、好ましくは10重量部以上10000重量部以下の範囲である。
また、金属アルコキシド類の加水分解重縮合時の好ましい反応温度は、1℃以上100℃以下であり、より好ましくは20℃以上60℃以下であり、反応時間は10分以上72時間以下であり、より好ましくは1時間以上24時間以下である。
[ゾル−ゲル反応用触媒(D)]
本実施形態で用いる混合組成物において、金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応における反応を促進させる目的で、以下に示すような加水分解・重縮合反応の触媒となりうるものを含んでいてもよい。
金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応の触媒として使用されるものは、「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」(平島碩著、株式会社総合技術センター、29頁)や「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、154頁)等に記載されている一般的なゾル−ゲル反応で用いられる触媒である。
触媒(D)としては、酸触媒、アルカリ触媒、有機スズ化合物、チタニウムテトライソプロポキシド、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトナート、トリメトキシボランなどの金属アルコキシド等が挙げられる。
これら触媒の中でも、酸触媒、アルカリ触媒が好適に使用される。具体的には、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ触媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類などが挙げられる。
反応性の観点から、比較的穏やかに反応が進行する塩酸、硝酸等、酸触媒を使用することが好ましい。好ましい触媒の使用量は、前記成分(B)の金属酸化物前駆体1モルに対して0.001モル以上0.05モル以下、好ましくは0.001モル以上0.04モル以下、さらに好ましくは0.001モル以上0.03モル以下の程度である。
工程1における混合組成物は、例えば、触媒(D)の存在下、溶媒(C)を除去しないでゾル−ゲル反応させることによって得られるゾル−ゲル反応物の形態で使用することができる。
工程2:この工程では、前記1の工程で調整された複数の反応溶液を基材上に重ねて塗布および乾燥し、基材上に積層体を形成する。
混合組成物(反応溶液)を加熱乾燥することによりゾル−ゲル反応が完結し、成分(B)より金属酸化物が得られ、この金属酸化物を主とするマトリックスが形成される。
このうち一般式(1)で表わされる末端分岐型共重合体粒子を含む反応溶液から形成される層は有機無機複合体からなる層であり、金属酸化物を主とするマトリックス中に前記一般式(1)で表わされる末端分岐型共重合体粒子が分散している。該共重合体粒子の粒径は好ましくは10〜30nmであり、キュービック相構造を形成している。
前記積層体は有機無機複合体からなる層を1層または2層以上含む。
また、前記積層体は前記共重合体粒子を含まない層が存在してもよい。その場合、共重合体粒子を含まない層は基材に隣接する層であってもよい。
前記有機無機複合体からなる層のうち少なくとも1層は有機色素を含有していてもよい。
有機色素を含む有機無機複合体は、有機色素を含む反応溶液から形成することができる。
このゾル−ゲル反応物における金属酸化物は、連続したマトリックス構造体となるため、コーティング膜として機械的特性などを向上させるという観点から好ましい。
塗布方法としては、目的とする用途、基材の種類さらに形状等に応じて、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、流下塗布、ブレードコート、バーコート、ダイコート、その他の適宜な方法を用いることができる。基材は金属、ガラス、セラミックス、ポリマーなどの成形物、シート、フィルムなどの他、多孔質支持体を用いることができる。
多孔質支持体と膜状の複合体の製造方法としては、多孔質支持体を本実施形態の混合組成物中に浸漬し、多孔質支持体を所定温度で保持して乾燥する方法を例示することができる。
本実施形態に用いられる多孔質支持体としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ステンレス、アルミニウム等の金属、紙、樹脂等の多孔質体を挙げることができる。
ゾル−ゲル反応を完結させるための加熱温度は室温以上300℃以下であり、より好ましくは80℃以上200℃以下である。反応時間は10分以上72時間以下であり、より好ましくは1時間以上24時間以下である。
工程3:この工程では、工程2の積層体から末端分岐型共重合体粒子を除去する。
末端分岐型共重合体粒子を除去する方法としては、焼成により分解除去する方法、VUV光(真空紫外光)、遠赤外線、マイクロ波、プラズマを照射して分解除去する方法、溶剤や水を用いて抽出除去する方法などが挙げられる。焼成により分解除去する場合、好ましい温度は200℃〜1000℃、より好ましくは300℃〜700℃である。焼成温度が低すぎる場合、末端分岐型共重合体粒子が除去されず、一方高すぎる場合、金属酸化物の融点に近くなるためメソ孔が崩れる場合がある。焼成は、一定温度で行っても良いし、室温から除々に昇温しても構わない。焼成の時間は、温度に応じて変えられるが、1時間から24時間の範囲で行うのが好ましい。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で行ってもよい。また、減圧下、または真空中で行っても構わない。
VUV光を照射して分解除去する場合、VUVランプ、エキシマレーザー、エキシマランプを使用することが出来る。空気中でVUV光を照射する際に発生するオゾン(O3)の酸化作用を併用しても構わない。マイクロ波としては、2.45GHzまたは28GHzの周波数いずれでも構わない。マイクロ波の出力は特に制限されず末端分岐型共重合体粒子が除去される条件が選ばれる。
有機無機複合体からなる層に微量の有機色素が含まれていると、高い照射強度のVUV光を照射した場合でも過剰の光が有機色素に吸収される。 このため、処理時間短縮の目的でVUV光の照射強度を高くしても、反射防止膜が劣化しにくい。
有機色素の含有量は、有機無機複合体の重量に対し、0.3〜1.5重量%が好ましく、0.5〜1.0重量%がより好ましい。
溶剤や水を用いて抽出を行う場合、例えば、溶剤としてはエチレングリコール、テトラエチレングリコール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、キシレン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタンなどを使用することができる。抽出の操作は、加温下で行っても良い。また超音波(US)処理を併用しても良い。なお、抽出操作を行った後はメソ孔に残存する水分、溶剤を取り除くため減圧下、熱処理を行うのが好ましい。
このようにして有機無機複合体からなる層から前記末端分岐型共重合体粒子を除去することにより金属酸化物多孔質体からなる層が形成される。
金属酸化物多孔質体層は均一なメソ孔を有し、その平均孔径が5〜30nm、好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは20〜30nmである。本実施形態の金属酸化物多孔質体はメソポーラス構造体であり、キュービック構造を有する。
本実施形態の製造方法によれば、有機無機複合体中の有機無機比率を変えることにより、空孔率を調整することができる。そして、鋳型として上記の末端分岐型共重合体を用いているので、製造条件によらず、細孔構造を均一なメソ孔から形成されたキュービック構造とすることができ、さらに、この空孔率の範囲内において、メソ孔の孔径が一定である。そのため、本実施形態において得られる金属酸化物多孔質体は機械強度に優れる。
これに対して、従来の界面活性剤を鋳型として用いた場合には、キュービック構造、ヘキサゴナル構造を取り得る特定の界面活性剤濃度領域(あるいは有機無機比率)以外の製造条件下で得られる金属酸化物多孔質体は、メソ孔の孔径は均一でなくバラツキがあるため、同等の空孔率で比較した場合、金属酸化物多孔質体の強度は低下することになる。
なお、金属酸化物多孔質体の空孔率は、その形状が膜の場合はエリプソメーターで測定した屈折率値を用い以下のように、Lorentz−Lorenz式に当てはめて計算する方法により算出することができ、またその形状が粒子の場合は後述する窒素ガスの吸着法(BET法)により求めた細孔容積の値を用いて計算することができる。
上記数式中、Vp:空孔率(体積%)、ns:屈折率測定値、nMO2:金属酸化物の屈折率(空孔率ゼロの時の屈折率測定値)を示す。
なお、本実施形態における末端分散型共重合体粒子を鋳型として用いることにより、メソ孔がキュービック相構造を形成している金属酸化物多孔質体が得られる理由については明らかでないが、以下のように推察される。
上述した「金属酸化物多孔質体の製造方法」の工程(a)において、金属酸化物前駆体(B)のゾル−ゲル反応を行いながら、複数の末端分散型共重合体粒子(A)を添加すると、複数の末端分散型共重合体粒子(A)は所定の表面電荷により互いに反発し合い、所定の距離をおいた熱力学的に安定した状態、すなわちFm3m、Im3nなどのキュービック構造に分散される。
よって、このように分散された末端分散型共重合体粒子(A)を焼成により除去することで形成される金属酸化物粒子のメソ孔は、キュービック相を形成する。
ここで、金属酸化物多孔質体表面の構造、メソ孔の孔径および平均孔径は、走査型電子顕微鏡により評価および測定することができる。金属酸化物多孔質体内部のメソ孔の孔径は、透過電子顕微鏡(TEM)により、メソ孔の分散状態により適宜視野範囲を設定して、視野範囲内のメソ孔の径を測定して得ることができる。得られた孔径を平均することにより、その平均孔径を得ることができる。なお、多孔質体中の平均孔径は、例えば前記の末端分岐型共重合体粒子分散液における粒子の体積50%平均粒子径を調節することにより、制御することができる。
このような平均孔径が5〜30nmと比較的大きなメソ孔からなるキュービック相構造を有することにより、多孔体中の空隙率を大きくすることがより可能となる。
本発明の方法により得られる多層反射防止膜の反射率は、波長380〜1000nmの全波長領域において0.6%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。反射率は多層反射防止膜を構成する各々の層の厚み、空孔率、金属酸化物の種類、末端分岐型共重合体粒子の種類等を変更することにより制御することが可能である。
空孔率は末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比を変更することで制御できる。
本発明の反射防止膜は、一般式(1)の末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比が異なる2以上の反応溶液を基材に重ねて塗布、乾燥し、焼成等により共重合体粒子を除去するという簡便な方法により製造できる。
後述の表1でも示すように重合体粒子/金属酸化物換算の重量比と金属酸化物層の屈折率はほぼリニアな相関があり、重合体粒子の比率が高くなるほど屈折率は低下する。
従って、金属酸化物の種類を層毎に変えることなく同種の金属酸化物を用いた場合でも、広範囲の波長領域で低反射率の多層反射防止膜を簡便に製造することができる。
例えば、基材に塗布する反応溶液の共重合体粒子の比率を基材側から順に増加させることにより、基材上に金属酸化物を含有する層の末端分岐型共重合体粒子の含有率が基材側から順に増加している積層体を形成し、この積層体から末端分岐型共重合体粒子を焼成等で除去することにより、多層反射防止膜を構成する各層の屈折率が基材側から順に低下している多層反射防止膜を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施
例等に限定されるものではない。
<末端分岐型共重合体の合成例>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はG
PCを用い、本文中に記載した方法で測定した。また、融点(Tm)はDSCを用い、測
定して得られたピークトップ温度を採用した。なお、測定条件によりポリアルキレングリ
コール部分の融点も確認されるが、ここでは特に断りのない場合ポリオレフィン部分の融
点のことを指す。1H−NMRについては、測定サンプル管中で重合体を、ロック溶媒と
溶媒を兼ねた重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、1
20℃において測定した。ケミカルシフトは、重水素化−1,1,2,2−テトラクロロ
エタンのピークを5.92ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。分
散液中の粒子の粒子径はマイクロトラックUPA(HONEYWELL社製)にて、体積
50%平均粒子径を測定した。分散液中の粒子の形状観察は、試料を200倍から500
倍に希釈し、リンタングステン酸によりネガティブ染色した後、透過型電子顕微鏡(TE
M/日立製作所製H−7650)で100kVの条件にて行なった。
[合成例1]
(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T−1)の合成)
以下の手順(例えば、特開2006−131870号公報の合成例2参照)に従って、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)を合成した。
充分に窒素置換した内容積2000mlのステンレス製オートクレーブに、室温でヘプタン1000mlを装入し、150℃に昇温した。続いてオートクレーブ内をエチレンで30kg/cm2G加圧し、温度を維持した。MMAO(東ソーファインケム社製)のヘキサン溶液(アルミニウム原子換算1.00mmol/ml)0.5ml(0.5mmol)を圧入し、次いで下記式の化合物のトルエン溶液(0.0002mmol/ml)0.5ml(0.0001mmol)を圧入し、重合を開始した。エチレンガス雰囲気下、150℃で30分間重合を行った後、少量のメタノールを圧入することにより重合を停止した。得られたポリマー溶液を、少量の塩酸を含む3リットルのメタノール中に加えてポリマーを析出させた。メタノールで洗浄後、80℃にて10時間減圧乾燥し、片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)を得た。
500mlセパラブルフラスコに上記片末端二重結合含有エチレン系重合体(P−1)100g(Mn850として,ビニル基108mmol)、トルエン300g、Na2WO40.85g(2.6mmol)、CH3(nC8H17)3NHSO40.60g(1.3mmol)、およびリン酸0.11g(1.3mmol)を仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた。内温を90℃にした後、30%過酸化水素水37g(326mmol)を3時間かけて滴下した後、内温90〜92℃で3時間撹拌した。その後、90℃に保ったまま25%チオ硫酸ナトリウム水溶液34.4g(54.4mmol)を添加して30分撹拌し、過酸化物試験紙で反応系内の過酸化物が完全に分解されたことを確認した。次いで、内温90℃でジオキサン200gを加え、生成物を晶析させ、固体をろ取しジオキサンで洗浄した。得られた固体を室温下、50%メタノール水溶液中で撹拌、固体をろ取しメタノールで洗浄した。更に当該固体をメタノール400g中で撹拌して、ろ取しメタノールで洗浄した。室温、1〜2hPaの減圧下乾燥させることにより、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)の白色固体96.3gを得た(収率99%,オレフィン転化率100%)。
得られた末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1)は、Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)であった。(末端エポキシ基含有率:90mol%)1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88(t, 3H, J = 6.92 Hz), 1.18 - 1.66 (m), 2.38 (dd,1H, J = 2.64, 5.28 Hz), 2.66 (dd, 1H, J = 4.29, 5.28 Hz), 2.80-2.87 (m, 1H)
融点(Tm) 121℃
Mw=2058、Mn=1118、Mw/Mn=1.84(GPC)
1000mLフラスコに、末端エポキシ基含有エチレン重合体(E−1) 84重量部、ジエタノールアミン39.4重量部、トルエン150重量部 を仕込み、150℃にて4時間撹拌した。その後、冷却しながらアセトンを加え、反応生成物を析出させ、固体を濾取した。得られた固体をアセトン水溶液で1回、更にアセトンで3回撹拌洗浄した後、固体を濾取した。その後、室温にて減圧下乾燥させることにより、重合体(I−1)(Mn=1223、一般式(9)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R1=R2=水素原子、Y1、Y2の一方が水酸基、他方がビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ基)を得た。
1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 0.95-1.92 (m), 2.38-2.85 (m, 6H)
, 3.54-3.71 (m, 5H)
融点 (Tm) 121℃
窒素導入管、温度計、冷却管、撹拌装置を備えた500mLフラスコに、重合体(I−1)20.0重量部、トルエン100重量部を仕込み、撹拌しながら125℃のオイルバスで加熱し、固体を完全に溶解した。90℃まで冷却後、予め5.0重量部の水に溶解した0.323重量部の85%KOHをフラスコに加え、還流条件で2時間混合した。その後、フラスコ内温度を120℃まで徐々に上げながら、水及びトルエンを留去した。さらに、フラスコ内にわずかな窒素を供給しながらフラスコ内を減圧とし、さらに内温を150℃まで昇温後、4時間保ち、フラスコ内の水及びトルエンをさらに留去した。室温まで冷却後、フラスコ内で凝固した固体を砕き、取り出した。
加熱装置、撹拌装置、温度計、圧力計、安全弁を備えたステンレス製1.5L加圧反応器に、得られた固体のうち18.0重量部及び脱水トルエン200重量部を仕込み、気相を窒素に置換した後、撹拌しながら130℃まで昇温した。30分後、エチレンオキシド9.0重量部を加え、さらに5時間、130℃で保った後、室温まで冷却し、反応物を得た。得られた反応物より溶媒を乾燥して除き、末端分岐型共重合体(T−1)(Mn=1835、一般式(1)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mn=1075)、R1=R2=水素原子、X1、X2の一方が一般式(6)で示される基(X11=ポリエチレングリコール基)、他方が一般式(5)で示される基(Q1=Q2=エチレン基、X9=X10=ポリエチレングリコール基))を得た。
1H-NMR : δ(C2D2Cl4) 0.88(3H, t, J= 6.8 Hz), 1.06 - 1.50 (m), 2.80 - 3.20 (m)
, 3.33 - 3.72 (m)
融点(Tm) −16℃(ポリエチレングリコール)、116℃
<末端分岐型共重合体水性分散体の調製例>
[調製例1]
(10重量%ポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T−1)水性分散液の調製)
合成例1のポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T−1)10重量部と蒸留水40重量部を100mlのオートクレーブに装入し、140℃、800rpmの速度で30分間加熱撹拌の後、撹拌を保ったまま室温まで冷却した。得られた分散系の体積50%平均粒子径は0.018μmであった。(体積10%平均粒子径0.014μm、体積90%平均粒子径0.022μm)得られた分散系の透過型電子顕微鏡観にて測定した粒子径は0.015−0.030μmであった。更に、このT−1水性分散液(固形分20重量%)75重量部に対して蒸留水75重量部を加えることで10重量%T−1水性分散液を得た。
<シリカ多孔質体の形成例>
(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液の調製)
テトラメトキシシラン(TMOS)0.5重量部に溶媒のメタノール0.25重量部を添加し、室温で攪拌した。さらに触媒の0.1N―塩酸水溶液0.5重量部を滴下した後、50℃で1時間攪拌し、TMOSの脱水縮合物を得た。
得られたTMOSの脱水縮合物に、塩酸水溶液をさらに滴下した後(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体添加後のpHを3近傍とするため)、室温で攪拌し、さらにポリオレフィン系末端分岐型共重合体(T−1)の水性分散体を滴下し、室温で攪拌し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液を調製した。なお、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が0/100〜70/30になるよう、表1の重量部にて溶液([A液]〜[L液])を調製した。
シリカ含有量は、複合膜中に占めるシリカの含有の割合を示し、以下の方法で算出した。
シリカ含有率は、TMOSが100重量%反応し、SiO2になったと仮定して算出した。
すなわち
TMOS:Mw=152
SiO2:Mw=60
より、
SiO2/TMOS=60/152=0.395である。
つまり、TMOSの添加量に0.395を掛けた値が、膜中のSiO2含量となる。
(ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の形成)
得られた溶液をUVオゾン洗浄したシリコン基板上にスピンコーティング後、110℃で1時間加熱しポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜を得た。
(シリカ多孔質体の形成)
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによってシリカ多孔質体からなる膜を得た。
シリカ多孔質体の屈折率を表1に示す。なお屈折率は、エリプソメーター(JASCO M−150)により測定した。屈折率を表1に示す。
(参考例)
実施例、比較例で使用した白板ガラス基板の反射率の測定結果を図1に示す。
<多層反射防止膜の製造>
(実施例1)
白板ガラス基板(屈折率1.52)上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が17/83および70/30となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[E液]および[L液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[E液]を回転数6000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が17/83の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[L液]を回転数4000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が70/30の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が100nm、第2層が125nmであった。
なお、シリカ多孔質体の膜厚は、エリプソメーター(JASCO M−150)により測定した。
(反射率測定)
多層膜の反射率は、分光光度計(島津製作所 UV−3100PC、積分球付属装置付)を用いて測定した。
波長380〜1000nmでの反射率の測定結果を図1および2に示す。
本実施例は、測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例2)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が0/100、20/80および70/30となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[A液]、[F液]および[L液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[A液]を回転数7000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、シリカ膜を得た。次に得られたシリカ膜表面をUVオゾン洗浄し、[F液]を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が20/80の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[L液]を回転数4000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が70/30の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が90nm、第2層が105nmおよび第3層が125nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図1および2)、測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例3)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が8/92および45/55となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[C液]および[I液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[C液]を回転数6000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が8/92の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[I液]を0.90重量部の0.18N塩酸水で希釈した溶液を回転数3000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が45/55の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が100nm、第2層が115nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図3および4)、測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例4)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が0/100、9/91および45/55となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[A液]、[D液]および[I液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[A液]を2.96重量部の0.1N塩酸水で希釈した溶液を回転数7000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、膜厚35nmのシリカ膜を得た。次に得られたシリカ膜表面をUVオゾン洗浄し、[D液]を回転数7000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が9/91の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[I液]を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が45/55の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が35nm、第2層が85nmおよび第3層が110nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図3および4)、測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(比較例1)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の単層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が70/30のポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液([L液])を調整した。
UVオゾン洗浄した白板ガラス上に前記溶液を回転数4000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が70/30の複合膜を形成し、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによってシリカ多孔質体からなる膜厚125nmの単層膜を得た。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図5)、最低反射率は0.75%であった。
(比較例2)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の単層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が40/60のポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液([H液])を調整した。
UVオゾン洗浄した白板ガラス上に前記溶液を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が40/60の複合膜を形成し、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによってシリカ多孔質体からなる膜厚110nmの単層膜を得た。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図5)、0.5%以下の反射率は波長440〜680nmであり、広帯域の反射防止性能は有していなかった。
(比較例3)
白板ガラス基板上に以下の方法でフッ素系樹脂の単層膜を形成した。
UVオゾン洗浄した白板ガラス上にフッ素系樹脂(旭硝子製 サイトップ、屈折率1.34)の3重量%溶液を回転数4000rpmで20秒間、スピンコーティング後、180℃で1時間乾燥し、膜厚100nmのフッ素系樹脂単層膜を得た。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図6)、最低反射率は0.69%であった。
(比較例4)
白板ガラス基板上に以下の方法で2層膜を形成した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上にTMOS脱水縮合物溶液[A液]を回転数7000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、膜厚90nmのシリカ膜を得た。次に得られたシリカ膜表面をUVオゾン洗浄し、フッ素系樹脂(旭硝子製 サイトップ、屈折率1.34)の3重量%溶液を回転数4000rpmで20秒間、スピンコーティング後、180℃で1時間乾燥し、膜厚100nmのフッ素系樹脂膜を形成し、2層膜を得た。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図6)、最低反射率は1.30%であった。
(実施例5)
ポリカーボネート(屈折率1.59)基板上に、実施例2と同じ方法でポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を形成した。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、到達真空度2.7×10−3Pa、酸素流量50cc/分、RF出力100W、および周波数13.56MHzで10分間、酸素プラズマ処理することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が90nm、第2層が105nmおよび第3層が125nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図7および8)、測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例6)
ポリカーボネート(屈折率1.59)基板上に、以下の方法で実施例2と同じ構成のシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が0/100、20/80および70/30となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[A液]、[F液]および[L液])を調整し、さらに、各溶液に0.5wt%の有機色素ローダミンBを添加した(それぞれ[A2液]、[F2液]および[L2液])。
まず、UVオゾン洗浄したポリカーボネート基板上に[A2液]を回転数7000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、膜厚90nmのシリカ膜を得た。次に得られたシリカ膜表面をUVオゾン洗浄し、[F2液]を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が20/80の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[L2液]を回転数4000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が70/30の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体に、発光波長172nmのXeエキシマーランプを大気雰囲気下で5分間照射し、空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が90nm、第2層が105nmおよび第3層が125nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ、実施例5と同様に測定全波長域にわたり、0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例7)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が6/94および40/60となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[B液]および[H液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[B液]を0.53重量部の0.1N塩酸水で希釈した溶液をスピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が6/94の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[H液]を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が40/60の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が100nm、第2層が110nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図9および10)、測定全波長域にわたり0.6%以下の反射率であり、かつ殆どの波長域で0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(実施例8)
白板ガラス基板上に以下の方法でシリカ多孔質体の多層膜を形成した。
ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が0/100、8/92および40/60となるポリオレフィン系末端分岐型共重合体/TMOS脱水縮合物溶液(それぞれ[A液]、[C液]および[H液])を調整した。
まず、UVオゾン洗浄した白板ガラス上に[A液]を2.96重量部の0.1N塩酸水で希釈した溶液を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、シリカ膜を得た。次に得られたシリカ膜表面をUVオゾン洗浄し、[C液]を1.43重量部の0.1N塩酸水で希釈した溶液を回転数4000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が8/92の複合膜を形成した。さらに得られた複合膜表面をUVオゾン洗浄し、[H液]を回転数5000rpmで10秒間、スピンコーティング後、110℃で1時間加熱し、ポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ(SiO2換算)の重量比が40/60の複合膜を形成し、積層体を得た。
得られたポリオレフィン系末端分岐型共重合体/シリカ複合膜の積層体を、電気炉を用い500℃で1時間焼成することによって空孔率の異なるシリカ多孔質体からなる多層膜を得た。膜厚は第1層が100nm、第2層が110nmであった。
波長380〜1000nmでの反射率を測定したところ(図9および10)、測定全波長域にわたり、0.6%以下の反射率であり、かつ殆どの波長域で0.5%以下の反射率であり、広帯域の反射防止性能を有していた。
(多孔質構造の評価)
A液〜L液を用いて得られたシリカ多孔質体からなる膜を試料として、各々走査型電子顕微鏡(SEM/JEOL社製JSM−6701F型)、透過型電子顕微鏡(TEM/日立製作所製H−7650)を用い、それぞれ1.5kV、200kVの条件で膜の表面と内部のメソ孔構造を観察した。その結果、B液〜L液から得られた膜は孔径10〜30nmのメソ孔を有するキュービック構造を形成していた。A液から得られた膜はメソ孔が存在していなかった。

Claims (8)

  1. 下記工程1、工程2及び工程3を含む、メソ孔がキュービック相を形成している金属酸化物多孔質体からなる層を有し、波長380nmから1000nmまでの全波長域で反射率が0.6%以下である多層反射防止膜の製造方法。
    工程1:金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応物を含む複数の反応溶液を調製する工程。
    (前記複数の反応溶液のうち少なくとも1種の反応溶液は下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の粒子の存在下に金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応を行って得られたものであり、当該反応溶液は有機色素を含有し、各々の反応溶液は末端分岐型共重合体粒子/金属酸化物換算の重量比が異なるように調整されたものである。)
    工程2:前記複数の反応溶液を基材上に重ねて塗布および乾燥することにより、基材上に金属酸化物を含有する層を2層以上有する積層体を形成する工程。
    (前記金属酸化物を含有する層のうち少なくとも1層は、金属酸化物を主とするマトリックス中に下記一般式(1)で表わされる末端分岐型共重合体の粒子が分散している有機無機複合体と前記有機色素を含有する層である。)
    工程3:前記積層体から前記末端分岐型共重合体粒子を、酸素雰囲気下に紫外線照射処理する方法で除去する工程。
    (式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは、同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を有する基を表す。)
  2. 屈折率が異なる、メソ孔がキュービック相を形成している金属酸化物多孔質体からなる層を2層以上有する、請求項1に記載の多層反射防止膜の製造方法。
  3. 金属酸化物を含有する層の末端分岐型共重合体粒子の含有率が基材側から順に増加している積層体から末端分岐型共重合体粒子を除去することにより、多層反射防止膜を構成する各層の屈折率が基材側から順に低下している多層反射防止膜を得ることを特徴とする請求項1または2に記載の多層反射防止膜の製造方法。
  4. 基材上に直接塗布する反応溶液が、前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の粒子の非存在下に金属酸化物前駆体のゾル−ゲル反応を行って得られたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
  5. 前記金属酸化物多孔質体のメソ孔の平均孔径が10nm〜30nmである請求項1〜4のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
  6. 前記金属酸化物が二酸化ケイ素である、請求項15のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
  7. 前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体において、XおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
    (式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表す。Xはポリアルキレングリコール基、または下記一般式(3)
    (式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
    または、一般式(4)
    (式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
  8. 前記末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)または一般式(1b)で表される、請求項1〜7のいずれかに記載の多層反射防止膜の製造方法。
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
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