以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る散蓮華1,2、杓子3,4,5及びボウル6,7について詳細に説明する。
[第1実施形態]まず、図1〜図3を用いて、第1実施形態に係る散蓮華1について説明する。図1は、散蓮華1の側面図である。図2は、散蓮華1の上面図であり、孔11aが開いた状態を示す。図3は、散蓮華1の上面図であり、孔11aが閉じた状態を示す。なお、以下で説明する各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、部材の厚み等を適宜誇張して表現する。
図1〜図3に示す散蓮華1は、汁物を掬う散蓮華と、汁気を切って食べ物を掬う穴あき散蓮華と、の双方の機能を兼ね備えたものであり、各機能を切り替えて使用することができる。具体的に、散蓮華1は、柄10と、掬い部材11と、開閉手段12と、被覆部材13と、ロック手段14と、を備えている。
柄10は、鉄やステンレス等の金属、又はプラスチック等の樹脂からなる部材であり、被覆部材13で覆われることで持ち手となる。この柄10は、開閉手段12を構成する対の回動部材15,16を兼ねている。柄10の先端には、掬い部材11が設けられている。柄10の基端には、被覆部材13によって、ラーメン鉢の縁などに引っ掛けるための掛止部13aが形成されている。
掬い部材11は、シリコーン樹脂等の弾性材料で、水切り用の複数の孔11aを有するように、底面が平らな椀状に構成されている。この掬い部材11は、食べ物等を掬うために、柄10の先端に設けられている。孔11aは、開閉手段12によって外力が付与されることで閉じる一方で、開閉手段12によって付与された外力が除去されることで開く。この孔11aは、開閉手段12によって外力が付与された場合に閉じ易いように、上面視で楕円形、雫形(涙形)、又はバナナ形に形成されていることが好ましい。掬い部材11の内部には、開閉手段12を構成する対の可動部材17,18等が埋め込まれている。
開閉手段12は、掬い部材11に対する外力の付与又は除去を行うことで、掬い部材11の変形により孔11aを開閉させる手段である。具体的に、開閉手段12は、対の回動部材15,16と、対の可動部材17,18と、を備えている。
対の回動部材15,16は、柄10を兼ねる部材であり、被覆部材13で覆われることで持ち手となる。これら対の回動部材15,16は、基端で折り返すように一体に構成された第3種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材17,18と共に掬い部材11に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材15,16は、相対回動の中心となる支点P1と、持ち手となる力点E1と、対の可動部材17,18を介して掬い部材11に対する外力の付与を行う作用点L1と、を有し、これら各点P1,E1,L1が、基端から先端に向かって、支点P1、力点E1、作用点L1の順に設けられている。
そして、対の回動部材15,16は、支点P1となる基端で折り返すように一体に構成されているので、互いに近接するように相対移動することで、互いに離隔する方向に付勢される。すなわち、対の回動部材15,16の支点P1は、可動部材17,18が互いに近接した場合に付勢され、付勢されることで、対の可動部材17,18が互いに離隔する方向の付勢力を、対の回動部材15,16の作用点L1を介して対の可動部材17,18に付与する付勢手段として機能する。
このような対の回動部材15,16は、力点E1への外力の付与又は除去により、支点P1を中心に相対回動することで、作用点L1において対の可動部材17,18を介して掬い部材11に対する外力の付与又は除去を行う。
対の可動部材17,18は、対の回動部材15,16の作用点L1同士の間において、孔11aを挟んで対向するように掬い部材11に埋め込まれている。これら対の可動部材17,18は、対向する部分が、互いに噛み合う九十九折り形状を有している。対の可動部材17,18同士の間隔(図面の上下方向の間隔)は、基端から先端の方向(図面の左方向)に向かって徐々に大きくなるように設定されている。
このような対の可動部材17,18は、対の回動部材15,16の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。互いに離隔した状態の対の可動部材17,18(図2参照)が互いに近接するように相対移動することで、掬い部材11に外力が付与され、対の可動部材17,18同士の間に位置する孔11aが閉じられる(図3参照)。一方、互いに近接した状態の対の可動部材17,18(図3参照)が互いに離隔するように相対移動することで、掬い部材11に付与されていた外力が除去され、対の可動部材17,18同士の間に位置する孔11aが開かれる(図2参照)。
被覆部材13は、シリコーン樹脂等の弾性材料からなり、柄10、開閉手段12及びロック手段14が露出しないように、柄10、開閉手段12及びロック手段14を覆う。この被覆部材13は、掬い部材11と一体に構成されている。
ロック手段14は、対の回動部材15,16の力点E1同士の間に設けられ、被覆部材13で覆われている。このロック手段14は、周知のオルタネイト動作をする手段であり、外力の付与により、縮んだ状態と伸びた状態とが切り替えられる。このようなロック手段14は、対の回動部材15,16の力点E1への外力が付与されることで、対の可動部材17,18が互いに近接した状態の維持及び解除を行う。
このような散蓮華1によれば、掬い部材11の孔11aを閉じることで汁物を掬う散蓮華として機能させることができ、また、掬い部材11の孔11aを開くことで穴あき散蓮華として機能させることができる。例えば、具材を食べることとスープを飲むことを、この散蓮華1一つで可能にする。そして、汁物を掬う散蓮華として機能させる場合も、穴あき散蓮華として機能させる場合も、掬い部材11で具材等を掬うことになる。よって、いずれとして機能させる場合も無用な部材は存在せず、今までに広く流通している一般的な散蓮華又は穴あき散蓮華と同じように使用することができる。このため、使い勝手が良い。
また、2枚の部材が重ねられた構造を採用しておらず、具材等が引っ掛かる隙間は存在しない。このため、汚れが溜まることもなく、衛生面で優れている。
さらに、対の回動部材15,16が、支点P1、力点E1、作用点L1の順に設けられている第3種てこを利用したものであるので、簡単な構造で孔11aの開閉を実現することができる。また、片手による簡単な操作で孔11aの開閉を実現することができる。
そして、対の回動部材15,16の支点P1が付勢手段として機能するので、その付勢力によって、一旦閉じていた孔11aを開くことができる。これにより、片手による簡単な操作で孔11aを開くことができる。また、その付勢力によって、孔11aが開いた状態を維持することができる。これにより、穴あき散蓮華として片手で使用することができる。
また、ロック手段14によって、対の可動部材17,18が互いに近接した状態の維持を行うことで、孔11aが閉じた状態を維持することができる。これにより、汁物を掬う散蓮華として片手で使用することができる。
さらに、弾性材料で散蓮華1の全体が覆われているので、各部材の間等に汚れが溜まることもなく、衛生面でより優れている。
そして、掬い部材11の底面が平らになっているので、小皿の上などに転がらずに置くことができ、使い勝手が更に良い。また、柄10の基端に掛止部13aが形成されているので、ラーメン鉢の縁などに引っ掛けることができ、使い勝手が更に良い。
[第2実施形態]次に、図4を用いて、第2実施形態に係る散蓮華2について説明する。図4は、散蓮華2の上面図である。なお、ここでは、散蓮華2の特徴部分のみを説明し、散蓮華1と同様の構成、作用及び効果についての説明は、適宜省略する。また、後述する各実施形態についても、その特徴部分のみを説明し、他の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、適宜省略する。
図4に示す散蓮華2は、対の回動部材25,26として第1種てこを利用している点で、対の回動部材15,16として第3種てこを利用した第1実施形態に係る散蓮華1と異なるが、基本的な構造は、第1実施形態に係る散蓮華1と同様である。具体的に、散蓮華2は、柄20と、掬い部材11と、開閉手段22と、被覆部材23と、ロック手段24と、を備えている。
柄20は、開閉手段22を構成する対の回動部材25,26を兼ねている点で、第1実施形態に係る柄10と異なるが、基本的な構造は、第1実施形態に係る柄10と同様である。
開閉手段22は、対の回動部材25,26を備えている点で、第1実施形態に係る開閉手段12と異なるが、基本的な構造は、第1実施形態に係る開閉手段12と同様である。
対の回動部材25,26は、互いにピン27で留められて、相対回動可能に構成された第1種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材17,18と共に掬い部材11に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材25,26は、相対回動の中心となる支点P2と、持ち手となる力点E2と、対の可動部材17,18を介して掬い部材11に対する外力の付与を行う作用点L2と、を有し、これら各点P2,E2,L2が、基端から先端に向かって、力点E2、支点P2、作用点L2の順に設けられている。
そして、支点P2にねじりばね28が取り付けられているので、対の回動部材25,26は、互いに近接するように相対移動することで、互いに離隔する方向に付勢される。すなわち、ねじりばね28は、可動部材17,18が互いに近接した場合に付勢され、付勢されることで、対の可動部材17,18が互いに離隔する方向の付勢力を、対の回動部材25,26の作用点L2を介して対の可動部材17,18に付与する付勢手段として機能する。
対の回動部材25,26は、力点E2への外力の付与又は除去により、支点P2を中心に相対回動することで、作用点L2において対の可動部材17,18を介して掬い部材11に対する外力の付与又は除去を行う。
対の可動部材17,18は、対の回動部材25,26の作用点L2同士の間において掬い部材11に埋め込まれている。これら対の可動部材17,18は、対の回動部材25,26の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。
被覆部材23は、柄20、開閉手段22及びロック手段24が露出しないように、柄20、開閉手段22及びロック手段24を覆う点で、第1実施形態に係る被覆部材13と異なるが、基本的な構造は、第1実施形態に係る被覆部材13と同様である。
ロック手段24は、対の回動部材25,26の力点E2同士の間に設けられている点で、第1実施形態に係るロック手段14と異なるが、基本的な構造は、第1実施形態に係るロック手段14と同様である。このようなロック手段24は、対の回動部材25,26の力点E2への外力が付与されることで、対の可動部材17,18が互いに近接した状態の維持及び解除を行う。
このような散蓮華2によれば、対の回動部材25,26が、力点E2、支点P2、作用点L2の順に設けられている第1種てこを利用したものであるので、簡単な構造で孔11aの開閉を実現することができる。また、片手による簡単な操作で孔11aの開閉を実現することができる。
そして、ねじりばね28が付勢手段として機能するので、その付勢力によって、一旦閉じていた孔11aを開くことができる。これにより、片手による簡単な操作で孔11aを開くことができる。また、その付勢力によって、孔11aが開いた状態を維持することができる。これにより、穴あき散蓮華として片手で使用することができる。
[第3実施形態]次に、図5を用いて、第3実施形態に係る杓子3について説明する。図5は、杓子3の上面図である。
図5に示す杓子3は、汁物を掬う御玉杓子と、汁気を切って食材等を掬う穴杓子と、の双方の機能を兼ね備えたものであり、各機能を切り替えて使用することができる。この杓子3は、第1実施形態に係る散蓮華1と用途が異なるが、対の回動部材35,36として第3種てこを利用したものであり、基本的な構造は、第1実施形態に係る散蓮華1と同様である。具体的に、杓子3は、柄30と、掬い部材31と、開閉手段32と、を備えている。
柄30は、金属又は樹脂からなる部材であり、持ち手となる。この柄30は、開閉手段32を構成する対の回動部材35,36を兼ねている。
掬い部材31は、弾性材料で、複数の孔31aを有するように、底面が平らな椀状に構成されている。孔31aは、第1実施形態に係る散蓮華1の孔11aと同様、開閉手段32によって外力が付与されることで閉じる一方で、開閉手段32によって付与された外力が除去されることで開く。掬い部材31の内部には、開閉手段32を構成する対の可動部材37,38等が埋め込まれている。
開閉手段32は、掬い部材31に対する外力の付与又は除去を行うことで、掬い部材31の変形により孔31aを開閉させる手段である。具体的に、開閉手段32は、対の回動部材35,36と、対の可動部材37,38と、を備えている。
対の回動部材35,36は、柄30を兼ねる部材であり、持ち手となる。これら対の回動部材35,36は、基端で折り返すように一体に構成された第3種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材37,38と共に掬い部材31に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材35,36は、支点P3と、力点E3と、対の可動部材37,38を介して掬い部材31に対する外力の付与を行う作用点L3と、を有し、これら各点P3,E3,L3が、基端から先端に向かって、支点P3、力点E3、作用点L3の順に設けられている。
そして、対の回動部材35,36は、支点P3となる基端で折り返すように一体に構成されているので、互いに近接するように相対移動することで、互いに離隔する方向に付勢される。すなわち、対の回動部材35,36の支点P3は、可動部材37,38が互いに近接した場合に付勢され、付勢されることで、対の可動部材37,38が互いに離隔する方向の付勢力を、対の回動部材35,36の作用点L3を介して対の可動部材37,38に付与する付勢手段として機能する。
このような対の回動部材35,36は、力点E3への外力の付与又は除去により、支点P3を中心に相対回動することで、作用点L3において対の可動部材37,38を介して掬い部材31に対する外力の付与又は除去を行う。
対の可動部材37,38は、対の回動部材35,36の作用点L3同士の間において、孔31aを挟んで対向するように掬い部材31に埋め込まれている。これら対の可動部材37,38は、対向する部分が九十九折り形状を有している。対の可動部材37,38同士の間隔(図面の上下方向の間隔)は、基端から先端の方向(図面の左方向)に向かって徐々に大きくなるように設定されている。
このような対の可動部材37,38は、対の回動部材35,36の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。互いに離隔した状態の対の可動部材37,38が互いに近接するように相対移動することで、掬い部材31に外力が付与され、対の可動部材37,38同士の間に位置する孔31aが閉じられる。一方、互いに近接した状態の対の可動部材37,38が互いに離隔するように相対移動することで、掬い部材31に付与されていた外力が除去され、対の可動部材37,38同士の間に位置する孔31aが開かれる。
このような杓子3によれば、掬い部材31の孔31aを閉じることで御玉杓子として機能させることができ、また、掬い部材31の孔31aを開くことで穴杓子として機能させることができる。例えば、鍋料理、おでん、湯豆腐などの取分けを、この杓子3一つで可能にする。そして、御玉杓子として機能させる場合も、穴杓子として機能させる場合も、掬い部材31で食材等を掬うことになる。よって、いずれとして機能させる場合も無用な部材は存在せず、今までに広く流通している一般的な御玉杓子又は穴杓子と同じように使用することができる。このため、使い勝手が良い。
また、御玉杓子と穴杓子との双方の機能を兼ね備えた従来の杓子とは異なり、2枚の部材が重ねられた構造を採用しておらず、食材等が引っ掛かる隙間は存在しない。このため、汚れが溜まることもなく、衛生面で優れている。
[第4実施形態]次に、図6を用いて、第4実施形態に係る杓子4について説明する。図6は、杓子4の上面図である。
図6に示す杓子4は、対の回動部材45,46として第1種てこを利用している点で、対の回動部材35,36として第3種てこを利用した第3実施形態に係る杓子3と異なるが、基本的な構造は、第3実施形態に係る杓子3と同様である。具体的に、杓子4は、柄40と、掬い部材31と、開閉手段42と、を備えている。
柄40は、開閉手段42を構成する対の回動部材45,46を兼ねている点で、第3実施形態に係る柄30と異なるが、基本的な構造は、第3実施形態に係る柄10と同様である。
開閉手段42は、対の回動部材45,46を備えている点で、第3実施形態に係る開閉手段32と異なるが、基本的な構造は、第3実施形態に係る開閉手段32と同様である。
対の回動部材45,46は、互いにピン47で留められて、相対回動可能に構成された第1種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材37,38と共に掬い部材31に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材45,46は、相対回動の中心となる支点P4と、持ち手となる力点E4と、対の可動部材37,38を介して掬い部材31に対する外力の付与を行う作用点L4と、を有し、これら各点P4,E4,L4が、基端から先端に向かって、力点E4、支点P4、作用点L4の順に設けられている。
対の回動部材45,46は、力点E4への外力の付与又は除去により、支点P4を中心に相対回動することで、作用点L4において対の可動部材37,38を介して掬い部材31に対する外力の付与又は除去を行う。
対の回動部材45,46の基端には、対の回動部材45,46の基端部分を湾曲することによって、未使用時に吊り下げておくための掛止部45a,46aが形成されている。
対の可動部材37,38は、対の回動部材45,46の作用点L4同士の間において掬い部材31に埋め込まれている。これら対の可動部材37,38は、対の回動部材45,46の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。
[第5実施形態]次に、図7を用いて、第5実施形態に係る杓子5について説明する。図7は、杓子5の上面から視た断面図である。
図7に示す杓子5は、柄50及び開閉手段52が互いに独立した構成である点で、第3実施形態に係る杓子3と異なるが、基本的な構造は、第3実施形態に係る杓子3と同様である。具体的に、杓子5は、柄50と、掬い部材51と、開閉手段52と、を備えている。
柄50は、鉄やステンレス等の金属、又はプラスチック等の樹脂からなる中空の芯である。柄50の先端には、掬い部材51が設けられている。柄50の基端には、開閉手段52を構成する操作機構53が設けられている。柄50の内部には、開閉手段52を構成する動力伝達機構54が通されている。
掬い部材51は、弾性材料で、複数の孔51aを有するように、底面が平らな椀状に構成されている。孔51aは、第3実施形態に係る杓子3の孔31aと同様、開閉手段52によって外力が付与されることで閉じる一方で、開閉手段52によって付与された外力が除去されることで開く。掬い部材51の内部には、開閉手段52を構成する対の可動部材37,38等が埋め込まれている。
開閉手段52は、掬い部材51に対する外力の付与又は除去を行うことで、掬い部材51の変形により孔51aを開閉させる手段である。具体的に、開閉手段52は、操作機構53と、動力伝達機構54と、対の回動部材55,56と、対の可動部材37,38と、を備えている。
操作機構53は、掬い部材51の孔51aを開閉するために操作される機構であり、柄50の基端に設けられている。この操作機構53は、柄50を握りながら親指で押すことで、片手で簡単に操作することができる周知のオルタネイト方式(ノック式)を採用している。すなわち、操作機構53は、プッシュスイッチである。具体的に、操作機構53は、ボタン80と、回転子81と、カムリング82と、を備えている。
ボタン80は、柄50の基端から突出するように、柄50から離脱不能、かつ、柄50に対して進退可能に設けられている。ボタン80の付け根には、回転子81の回転を案内するために、環状にギザギザとなる端面80aが形成されている。ボタン80は、押されることで回転子81を押し込む。また、ボタン80は、押し込まれた回転子81が基に戻る際に回転子81と共に初期位置に戻る。
回転子81は、柄50の内部でボタン80の付け根に隣接するように、進退可能、かつ、回転可能に設けられている。この回転子81は、ボタン80によって押し込まれた際、動力伝達機構54を構成する筒体83及びコイルスプリング84によって、ボタン80の側に付勢される。回転子81の外周には、進退及び回転を案内するための複数の羽根81aが、周方向に等間隔となるように設けられている。羽根81aのボタン80の端面80aに面する側には、端面80aに一致する傾斜面81bが形成されている。
このような回転子81は、初期位置の状態からカムリング82のレール82aに案内されながらボタン80に押し込まれる。そして、回転子81は、所定の位置まで押し込まれると、ボタン80の端面80a及びカムリング82の端面82bに案内されながら回転し、カムリング82の端面82bに引っ掛けられる。これにより、回転子81は、押し込まれた状態で保たれる。
一方、回転子81は、押し込まれた状態から更に押し込まれると、カムリング82の端面82bへの引っ掛けが解除され、ボタン80の端面80a及びカムリング82の端面82bに案内されながら回転する。そして、回転子81は、所定の位置まで回転すると、動力伝達機構54を構成する筒体83及びコイルスプリング84による付勢力により、カムリング82のレール82aに案内されながら初期位置の状態に戻される。
カムリング82は、柄50の基端の内側に嵌め込まれる態様で固定されている。カムリング82の内側には、ボタン80及び回転子81が進退可能に嵌め込まれている。このカムリング82の内側には、回転子81の羽根81aを案内するレール82aが、周方向に等間隔となるように、かつ回転子81の進退方向に沿って設けられている。カムリング82のレール82aにおける柄50の先端側には、回転子81の回転を案内すると共に回転子81を引っ掛けておくために、周方向にギザギザとなる端面82bが形成されている。
動力伝達機構54は、操作機構53による動力を対の回動部材55,56に伝達する機構であり、柄50の内部に通されている。具体的に、動力伝達機構54は、筒体83と、コイルスプリング84と、を備えている。
筒体83は、柄50の内部で回転子81の先端側に隣接するように、進退可能に設けられている。この筒体83は、先端側に移動した際、先端側に隣接するように設けられたコイルスプリング84によって、回転子81の側に付勢される。また、筒体83の先端側には、対の回動部材55,56が挿入されている。このような筒体83は、先端側に移動することで、対の回動部材55,56が挿入される量を増大させ、これにより、互いが近接する方向に対の回動部材55,56を相対回動させる。また、筒体83は、基端側に移動することで、対の回動部材55,56が挿入される量を減少させ、これにより、互いに離隔する方向に対の回動部材55,56を相対回動させる。
対の回動部材55,56は、基端で折り返すように一体に構成された第3種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材37,38と共に掬い部材51に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材55,56は、支点P5と、力点E5と、対の可動部材37,38を介して掬い部材51に対する外力の付与を行う作用点L5と、を有し、これら各点P5,E5,L5が、基端から先端に向かって、支点P5、力点E5、作用点L5の順に設けられている。
そして、対の回動部材55,56は、支点P5となる基端で折り返すように一体に構成されているので、互いに近接するように相対移動することで、互いに離隔する方向に付勢される。すなわち、対の回動部材55,56の支点P5は、可動部材37,38が互いに近接した場合に付勢され、付勢されることで、対の可動部材37,38が互いに離隔する方向の付勢力を、対の回動部材55,56の作用点L5を介して対の可動部材37,38に付与する付勢手段として機能する。
このような対の回動部材55,56は、力点E5への外力の付与又は除去により、支点P5を中心に相対回動することで、作用点L5において対の可動部材37,38を介して掬い部材51に対する外力の付与又は除去を行う。
対の可動部材37,38は、対の回動部材55,56の作用点L5同士の間において掬い部材51に埋め込まれている。これら対の可動部材37,38は、対の回動部材55,56の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。
[第6実施形態]次に、図8を用いて、第6実施形態に係るボウル6について説明する。図8は、ボウル6の上面図である。
図8に示すボウル6は、ボウルと、水切りボウルと、の双方の機能を兼ね備えたものであり、各機能を切り替えて使用することができる。このボウル6は、第3実施形態に係る杓子3と用途が異なるが、対の回動部材65,66として第3種てこを利用したものであり、基本的な構造は、第3実施形態に係る杓子3と同様である。具体的に、ボウル6は、柄60と、ボウル本体61と、開閉手段62と、を備えている。
柄60は、金属又は樹脂からなる部材であり、持ち手となる。この柄60は、開閉手段62を構成する対の回動部材65,66を兼ねている。
ボウル本体61は、弾性材料で、複数の孔61aを有するように、底面が平らな椀状に構成されている。孔61aは、第3実施形態に係る杓子3の孔31aと同様、開閉手段62によって外力が付与されることで閉じる一方で、開閉手段62によって付与された外力が除去されることで開く。ボウル本体61の内部には、開閉手段62を構成する対の可動部材67,68等が埋め込まれている。
開閉手段62は、ボウル本体61に対する外力の付与又は除去を行うことで、ボウル本体61の変形により孔61aを開閉させる手段である。具体的に、開閉手段62は、対の回動部材65,66と、対の可動部材67,68と、を備えている。
対の回動部材65,66は、柄60を兼ねる部材であり、持ち手となる。これら対の回動部材65,66は、基端で折り返すように一体に構成された第3種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材67,68と共にボウル本体61に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材65,66は、支点P6と、力点E6と、対の可動部材67,68を介してボウル本体61に対する外力の付与を行う作用点L6と、を有し、これら各点P6,E6,L6が、基端から先端に向かって、支点P6、力点E6、作用点L6の順に設けられている。
そして、対の回動部材65,66は、支点P6となる基端で折り返すように一体に構成されているので、互いに近接するように相対移動することで、互いに離隔する方向に付勢される。すなわち、対の回動部材65,66の支点P6は、可動部材67,68が互いに近接した場合に付勢され、付勢されることで、対の可動部材67,68が互いに離隔する方向の付勢力を、対の回動部材65,66の作用点L6を介して対の可動部材67,68に付与する付勢手段として機能する。
このような対の回動部材65,66は、力点E6への外力の付与又は除去により、支点P6を中心に相対回動することで、作用点L6において対の可動部材67,68を介してボウル本体61に対する外力の付与又は除去を行う。
対の可動部材67,68は、対の回動部材65,66の作用点L6同士の間において、孔61aを挟んで対向するようにボウル本体61に埋め込まれている。これら対の可動部材67,68は、対向する部分が九十九折り形状を有している。対の可動部材67,68同士の間隔(図面の上下方向の間隔)は、基端から先端の方向(図面の左方向)に向かって徐々に大きくなるように設定されている。
このような対の可動部材67,68は、対の回動部材65,66の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。互いに離隔した状態の対の可動部材67,68が互いに近接するように相対移動することで、ボウル本体61に外力が付与され、対の可動部材67,68同士の間に位置する孔61aが閉じられる。一方、互いに近接した状態の対の可動部材67,68が互いに離隔するように相対移動することで、ボウル本体61に付与されていた外力が除去され、対の可動部材67,68同士の間に位置する孔61aが開かれる。
このようなボウル6によれば、ボウル本体61の孔61aを閉じることで通常のボウルとして機能させることができ、また、ボウル本体61の孔61aを開くことで水切りボウルとして機能させることができる。このため、通常のボウルとして機能させる場合も、水切りボウルとして機能させる場合も、ボウル本体61で食材等を収容することになる。よって、いずれとして機能させる場合も無用な部材は存在せず、広く流通している一般的なボウル又は水切りボウルと同じように使用することができる。このため、使い勝手が良い。
[第7実施形態]次に、図9を用いて、第7実施形態に係るボウル7について説明する。図9は、ボウル7の上面図である。
図9に示すボウル7は、対の回動部材75,76として第1種てこを利用している点で、対の回動部材65,66として第3種てこを利用した第6実施形態に係るボウル6と異なるが、基本的な構造は、第6実施形態に係るボウル6と同様である。具体的に、ボウル7は、柄70と、ボウル本体61と、開閉手段72と、を備えている。
柄70は、開閉手段72を構成する対の回動部材75,76を兼ねている点で、第6実施形態に係る柄60と異なるが、基本的な構造は、第6実施形態に係る柄60と同様である。
開閉手段72は、対の回動部材75,76を備えている点で、第6実施形態に係る開閉手段62と異なるが、基本的な構造は、第6実施形態に係る開閉手段62と同様である。
対の回動部材75,76は、互いにピン77で留められて、相対回動可能に構成された第1種てこを利用したものであり、その先端が対の可動部材77,78と共にボウル本体61に埋め込まれている。すなわち、対の回動部材75,76は、相対回動の中心となる支点P7と、持ち手となる力点E7と、対の可動部材67,68を介してボウル本体61に対する外力の付与を行う作用点L7と、を有し、これら各点P7,E7,L7が、基端から先端に向かって、力点E7、支点P7、作用点L7の順に設けられている。
対の回動部材75,76は、力点E7への外力の付与又は除去により、支点P7を中心に相対回動することで、作用点L7において対の可動部材67,68を介してボウル本体61に対する外力の付与又は除去を行う。
対の回動部材75,76の基端には、対の回動部材75,76の基端部分を湾曲することによって、未使用時に吊り下げておくための掛止部75a,76aが形成されている。
対の可動部材67,68は、対の回動部材75,76の作用点L7同士の間においてボウル本体61に埋め込まれている。これら対の可動部材67,68は、対の回動部材75,76の相対回動に伴って、互いに近接又は離隔するように相対移動する。
なお、本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質などは、適宜変更できる。例えば、各実施形態において、付勢手段の有無、ロック手段の有無、被覆部材の有無、又は掛止部の有無は適宜選択できる。
あるいは、上記実施形態では、掬い具として散蓮華及び杓子の場合を例に説明したが、本発明は、匙等の掬い具にも適用できる。また、上記実施形態では、容器としてボウルの場合を例に説明したが、本発明は、椀状のその他の容器にも適用できる。