JP5803153B2 - 射出圧縮成形金型及び射出圧縮成形方法 - Google Patents
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Description
上記のような、射出圧縮成形に用いる金型(射出圧縮成形金型)として、例えば、特許文献1に開示されているものがある。
特許文献1に開示されている金型は、型閉じ状態で固定側金型と共に成形空間を形成する可動側金型に、エジェクターピンの先端を可動側金型の面から後退させた状態で成形空間内に溶融樹脂が射出されると、エジェクターピンの先端で成形空間の溶融樹脂を圧縮する圧縮機構を設けた金型である。
また、上記のように、固化する前の溶融樹脂内へ圧縮部材を押し込むと、圧縮部材の先端面に加え、側面の一部にも溶融樹脂が接触した状態で溶融樹脂を固化させた後に、成形品を金型から取り出して、成形品を形成することとなる。
このように、従来の技術においては、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで凹部を形成した成形品に対し、成形品の損傷を抑制することが困難であった。
本発明の課題は、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することである。
これにより、成形品を金型から取り出す際に発生する、成形品のこすれを抑制することが可能となる。また、成形品のうち圧縮部材の側面に接触している部分が圧縮部材に食いついた場合であっても、成形品を金型から取り出す前に、圧縮部材を成形品から離間させることが可能となり、離型不良を抑制することが可能となる。
このため、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することが可能となる。
これにより、成形品を金型から取り出す際に発生する、成形品のこすれを抑制することが可能となる。また、成形品のうち圧縮部材の側面に接触している部分が圧縮部材に食いついた場合であっても、成形品を金型から取り出す前に、圧縮部材を成形品から離間させることが可能となり、離型不良を抑制することが可能となる。
このため、固化する前の溶融樹脂を圧縮部材により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品の製造において、成形品の損傷を抑制して、成形品の品質低下を抑制することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る射出圧縮成形金型は、互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型と、当該一組の金型の開閉方向へ移動可能な移動部材と、前記型閉じ状態または前記型開き状態に応じて前記移動部材移動させる駆動機構と、を備え、前記移動部材は、前記型閉じ状態において前記一組の金型間に形成される成形空間と前記開閉方向で対向し、前記型閉じ状態では、前記駆動機構は前記成形空間内へ射出された溶融樹脂が固化する前に、前記移動部材を前記成形空間内へ移動させて固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込み、前記溶融樹脂が固化した後に、前記移動部材を移動させて固化した前記溶融樹脂から離間させ、前記型開き状態では、前記駆動機構は前記移動部材を移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る射出圧縮成形方法は、互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型間に前記型閉じ状態において形成されている成形空間内へ、溶融樹脂を射出する射出工程と、前記射出工程において前記成形空間内へ射出された前記溶融樹脂が固化する前に、前記金型の開閉方向へ移動可能であり且つ前記成形空間と前記開閉方向で対向する移動部材を成形空間内へ移動させて、固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込む移動部材前進工程と、前記移動部材前進工程において固化する前の前記溶融樹脂を圧縮した前記移動部材を溶融樹脂が固化した後に移動させて、固化した前記溶融樹脂から離間させる移動部材後退工程と、前記移動部材後退工程において固化した前記溶融樹脂から前記移動部材を離間させた状態で、前記開閉方向へ移動可能であり且つ前記移動部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向する前記移動部材を移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出す移動部材前進工程と、を有することを特徴とする。
(第一実施形態)
(構成)
まず、図1から図6を用いて、第一実施形態における、射出圧縮成形金型の構成について説明する。
図1は、射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図2は、図1のII‐II線断面図であり、図3は、図1のIII‐III線断面図である。
図1から図3中に示す射出圧縮成形金型1は、型閉じ及び型開きが可能な一組の金型が、型閉じ状態である場合において、一組の金型間に形成される成形空間(キャビティ)内に溶融樹脂を射出する。そして、成形空間内に射出した溶融樹脂が固化する前に圧縮して凹部を形成した後、この圧縮した溶融樹脂を固化させて成形品を形成する装置である。
射出圧縮成形金型1は、図1中に示すように、上述した一組の金型として、固定側金型2と、可動側金型4を備えている。なお、図1から図3中では、型閉じ状態の射出圧縮成形金型1を示している。
固定側金型2は、固定側型板6を備えている。
固定側型板6は、ボルト等を用い、例えば、固定側取付け板(図示せず)を介して、射出圧縮成形金型1を保持するための固定盤(図示せず)に取り付けられている。
また、固定側型板6は、その内部に、溶融樹脂が移動可能な樹脂通路(図示せず)と、固定側開口部8を有している。
樹脂射出装置は、成形品の容積・形状等に応じて、溶融樹脂材料(固形樹脂材料等)を計量・可塑化し、この計量・可塑化した溶融樹脂を、樹脂通路へ射出する装置である。
固定側開口部8は、溶融樹脂を充填する空間であり、固定側型板6のうち、可動側金型4と対向する面(図1中では、下側の面)に開口している。
ここで、第一実施形態では、成形品が、上述した本体部と鍔部を備える形状であるため、固定側開口部8の構成を、本体部を形成するための空間と、鍔部の一部を形成するための空間を有する構成とした場合について説明する。
可動側金型4は、可動側取付け板10と、エジェクターバックプレート12と、エジェクタープレート14と、可動側型板16を備えている。これに加え、可動側金型4は、爪部材開閉制御棒18と、制御棒用スプリング20と、スプリング押さえ板22と、圧縮部材24と、二つのエジェクターピン26と、リターンピン28と、第一爪部材30と、第二爪部材32を備えている。
可動側取付け板10は、図外の可動盤に連結されており、制御棒第一挿通孔34を有している。
制御棒第一挿通孔34は、可動側取付け板10を板厚方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ貫通する孔である。
ここで、可動盤は、可動盤駆動機構を備えており、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6と近接及び離間する方向(図1中における上下方向)へ移動可能、すなわち、上記の型閉じ及び型開き可能に形成されている。したがって、可動側取付け板10の移動方向は、一組の金型の開閉方向となる。
なお、可動盤駆動機構としては、例えば、モーターの回転運動を用いた機械式のものや、油等の液体に圧力を加えた液圧式のものがある。
エジェクターバックプレート12は、可動側取付け板10の可動盤と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)上において、可動側取付け板10と離間可能に配置されており、第一ボルト配置孔36と、制御棒第二挿通孔38と、エジェクターピン配置孔40と、圧縮部材配置孔42と、第一プレート凹部44を有している。
第一ボルト配置孔36は、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔である。
エジェクターピン配置孔40は、第一ボルト配置孔36と同様、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔であり、エジェクターバックプレート12に二箇所形成されている。
圧縮部材配置孔42は、第一ボルト配置孔36と同様、エジェクターバックプレート12を板厚方向へ貫通する孔であり、二箇所のエジェクターピン配置孔40の間に形成されている。
なお、二箇所のエジェクターピン配置孔40は、それぞれ、第一プレート凹部44の底面(図1中では、下側の面)上に設けられたピン配置孔構成ブロック46に形成されている。
二つのピン配置孔構成ブロック46は、それぞれ、板状に形成されており、その高さ(第一プレート凹部44の底面からの長さ)は、第一プレート凹部44の深さ(図1中における上下方向への長さ、以降の説明においても同様)と等しい。
エジェクタープレート14は、ボルト等を用いて、エジェクターバックプレート12の可動側取付け板10と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)に取り付けられており、第二ボルト配置孔48と、制御棒第三挿通孔50と、エジェクターピン第一挿通孔52と、圧縮部材第一挿通孔54と、リターンピン配置孔56と、第二プレート凹部58を有している。
制御棒第三挿通孔50は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔である。また、制御棒第三挿通孔50の内径は、制御棒第二挿通孔38の内径と等しい。また、制御棒第三挿通孔50は、制御棒第一挿通孔34及び制御棒第二挿通孔38と、平面視で重なる位置に形成されている。
リターンピン配置孔56は、第二ボルト配置孔48と同様、エジェクタープレート14を板厚方向へ貫通する孔であり、配置孔大径部56aと、配置孔小径部56bを有している。
配置孔小径部56bは、エジェクタープレート14のうち、可動側型板16と対向する面(図1中では、上側の面)に開口している。また、配置孔小径部56bの内径は、配置孔大径部56aの内径よりも小さい。
第二プレート凹部58は、エジェクタープレート14のエジェクターバックプレート12と対向する面に開口する凹部であり、第一プレート凹部44と対向して連続している。また、第二プレート凹部58は、第二ボルト配置孔48、制御棒第三挿通孔50、エジェクターピン第一挿通孔52、圧縮部材第一挿通孔54及びリターンピン配置孔56と連続している。
エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14は、図外のエジェクター駆動機構を備えており、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を、可動盤駆動機構による可動側取付け板10の移動とは独立して、固定側型板6と近接及び離間する方向(図1中における上下方向)へ移動可能に形成されている。したがって、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動方向は、可動側取付け板10の移動方向と同様、一組の金型の開閉方向となる。
なお、以降の説明では、エジェクターバックプレート12が可動側取付け板10と接触している状態(図1から図3中に示す状態)を、「エジェクター機構非稼動状態」と記載する場合がある。同様に、以降の説明では、エジェクターバックプレート12が可動側取付け板10から離れている状態を、「エジェクター機構稼動状態」と記載する場合がある。
可動側型板16は、エジェクタープレート14のエジェクターバックプレート12と対向する面と反対側の面(図1中では、上側の面)上において、可動側取付け板10と離間して配置されており、制御棒第四挿通孔60と、エジェクターピン第二挿通孔62と、圧縮部材第二挿通孔64と、リターンピン挿通孔66と、可動側開口部68を有している。
制御棒第四挿通孔60は、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ貫通する孔であり、制御棒第三挿通孔50と、平面視で重なる位置に形成されている。
第四挿通孔小径部60aは、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面に開口している。また、第四挿通孔小径部60aの内径は、制御棒第一挿通孔34の内径よりも小さく、制御棒第二挿通孔38の内径よりも大きい。
押さえ板配置部60cは、第四挿通孔大径部60bよりもエジェクタープレート14側(図1中では下側)に形成されている。また、押さえ板配置部60cの内径は、第四挿通孔大径部60bの内径よりも大きい。
圧縮部材第二挿通孔64は、制御棒第四挿通孔60と同様、可動側型板16を可動側取付け板10の移動方向へ貫通する孔であり、二箇所のエジェクターピン第二挿通孔62の間に形成されている。また、圧縮部材第二挿通孔64は、圧縮部材第一挿通孔54と、平面視で重なる位置に形成されている。
第二挿通孔小径部64aは、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面(図1中では、上側の面、以降の説明においても同様)に開口している。また、第二挿通孔小径部64aの内径は、圧縮部材第一挿通孔54の内径よりも小さい。
第二挿通孔大径部64bは、第二挿通孔小径部64aよりもエジェクタープレート14側(図1中では下側)に形成されている。また、第二挿通孔大径部64bの内径は、第二挿通孔小径部64aの内径よりも大きく、圧縮部材第一挿通孔54の内径と等しい。
可動側開口部68は、溶融樹脂を充填する空間であり、可動側型板16のうち、固定側金型2と対向する面に開口しており、固定側開口部8と対向している。
ここで、第一実施形態では、成形品が、上述した本体部と鍔部を備える形状であるため、可動側開口部68の構成を、鍔部の一部を形成するための空間を有する構成とした場合について説明する。ここで、可動側開口部68により形成する「鍔部の一部」とは、鍔部のうち固定側開口部8で形成される部分を除く部分である。
爪部材開閉制御棒18は、棒状に形成されており、制御棒第一大径部18aと、制御棒小径部18bと、制御棒傾斜部18cと、スプリング係合部18dと、制御棒第二大径部18eを備えている。また、爪部材開閉制御棒18の軸は、可動側取付け板10の移動方向(図1中における上下方向、以降の説明においても同様)へ向けられている。
制御棒第一大径部18aは、爪部材開閉制御棒18の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、制御棒第一挿通孔34内に挿通されている。
スプリング係合部18dは、制御棒小径部18bと連続して形成されており、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、第四挿通孔大径部60b内に配置されている。また、スプリング係合部18dの外径は、爪部材開閉制御棒18のうち最大値であり、第四挿通孔小径部60aの内径よりも大きく、第四挿通孔大径部60bの内径より小さい。
制御棒用スプリング20は、例えば、コイルスプリングを用いて形成されており、伸縮方向を、可動側取付け板10の移動方向へ向けた状態で、第四挿通孔大径部60b内に配置されている。また、制御棒用スプリング20の上端側は、スプリング係合部18dの制御棒小径部18b側の面に接触している。
スプリング押さえ板22は、円環状の板状部材であり、押さえ板配置部60c内に配置された状態で、ボルト部材や接着剤等の固着手段を用いて可動側型板16に取り付けられている。また、スプリング押さえ板22の空隙部には、制御棒小径部18bが非接触の状態で挿通されている。また、スプリング押さえ板22の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)上には、制御棒用スプリング20の下端側が着座している。したがって、スプリング押さえ板22とスプリング係合部18dは、制御棒用スプリング20を間に挟んで、制御棒用スプリング20の伸縮方向で対向している。
圧縮部材24は、棒状に形成されており、圧縮部材第一大径部24aと、爪部材係合部24bと、圧縮部材第二大径部24cと、圧縮部材小径部24dを備えている。また、圧縮部材24の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
圧縮部材第一大径部24aは、圧縮部材24の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、圧縮部材配置孔42内及び第一プレート凹部44内に配置されている。
圧縮部材第二大径部24cは、爪部材係合部24bと連続して形成されており、型閉じ状態において、圧縮部材第一挿通孔54内に挿通されているとともに、第二挿通孔大径部64b内に配置されている。また、圧縮部材第二大径部24cの外径は、圧縮部材第一大径部24aの外径よりも大きく、爪部材係合部24bの外径よりも小さい。
したがって、圧縮部材小径部24dの先端部は、成形品の本体部が有する凹部を形成する部材であり、凹部の形状寸法に応じた形状に形成されて、上述した型閉じ状態において、固定側開口部8及び可動側開口部68とともに、成形空間を形成する。すなわち、圧縮部材24は、成形空間と、一組の金型の開閉方向で対向している。
二つのエジェクターピン26は、それぞれ、棒状に形成されており、エジェクターピン第一小径部26aと、エジェクターピン大径部26bと、エジェクターピン第二小径部26cを備えている。また、エジェクターピン26の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
エジェクターピン第一小径部26aは、エジェクターピン26の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態で、エジェクターピン配置孔40内に配置されている。
また、エジェクターピン大径部26bの固定側型板6側の面(図1中では上側の面)は、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、エジェクタープレート14のうち、エジェクターピン第一挿通孔52の周辺部分と接触している。
エジェクターピン第二小径部26cは、エジェクターピン大径部26bと連続して形成されて、エジェクターピン26の他端(上端)を形成しており、型閉じ状態において、エジェクターピン第二挿通孔62内に挿通されている。また、エジェクターピン第二小径部26cの外径は、エジェクターピン第一小径部26aの内径と等しい。
リターンピン28は、棒状に形成されており、リターンピン大径部28aと、リターンピン小径部28bを備えている。また、リターンピン28の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
リターンピン大径部28aは、リターンピン28の一端(下端)を形成しており、型閉じ状態・型開き状態に関わらず、配置孔大径部56a内に配置されている。
第一爪部材30及び第二爪部材32は、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間内に配置されている。
以下、図1から図3を参照しつつ、図4から図6を用いて、第一爪部材30及び第二爪部材32の構成を説明する。
図4は、射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1を上方から見た斜視図である。なお、図4中では、説明のために、固定側金型2と、エジェクタープレート14と、可動側型板16と、制御棒用スプリング20及びスプリング押さえ板22の図示を省略している。
図6は、第一爪部材30及び第二爪部材32の構成を示す図であり、図6(a)は、第一爪部材30及び第二爪部材32を可動側取付け板10側(図1中における下側)から見た斜視図であり、図6(b)は、図6(a)中のうち第二爪部材32のみを示す図であり、図6(c)は、図6(a)中のうち第一爪部材30のみを示す図である。
まず、第一爪部材30の構成を説明する。
第一爪部材30は、第一爪部材側平板部70と、第一爪部材側制御棒係合部72と、第一爪部材側圧縮部材係合部74を備えている。
第一爪部材側平板部70は、板状に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第二プレート凹部58で形成される空間内のみに配置されている。
また、第一爪部材側平板部70は、第一爪部材側平板部70を板厚方向へ貫通する孔である、第一爪部材側貫通孔70aを有している。
第一爪部材側制御棒係合部72は、箱型に形成されており、第一爪部材側平板部70よりも圧縮部材24に近い側(図1中では右側)に配置されて、第一爪部材側平板部70と一体に形成されている。
また、第一爪部材側制御棒係合部72の固定側型板6側の面(図1中では上側の面)は、第一爪部材側平板部70の固定側型板6側の面と連続して、同じ高さ(第一プレート凹部44の底面からの長さ)となっている。
第一爪部材側圧縮部材係合部74は、平面視で略L字形に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74の一端面は、第一爪部材側制御棒係合部72の第一爪部材側平板部70と対向する面と反対の面(図1中では右側の面)と連続している。これにより、第一爪部材側圧縮部材係合部74は、第一爪部材側制御棒係合部72と一体に形成されている。
また、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面のうち、圧縮部材24側への突出量が最大の部分(最も固定側金型2に近い部分、以降の説明においても同様)には、圧縮部材第一大径部24aの外径面に応じた曲率で湾曲した第一爪部材側湾曲面74aが形成されている。
第一スプリング支持棒76は、断面多角形の柱状部材であり、一端側が第一支持棒取り付け孔74b内に挿入され、他端側が、第一プレート凹部44で形成される空間内において、第一爪部材30から離れる方向(図1中では、右方向)へ突出している。
第一スプリング取り付け溝76aには、爪部材用スプリング78の一端が取り付けられている。なお、爪部材用スプリング78の説明は、後述する。
次に、第二爪部材32の構成を説明する。
第二爪部材32は、第二爪部材側平板部80と、第二爪部材側制御棒係合部82と、第二爪部材側圧縮部材係合部84を備えている。
第二爪部材側平板部80は、板状に形成されており、平面視で第一爪部材側平板部70と重なった状態で、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
また、第二爪部材側平板部80は、第二爪部材側平板部80を板厚方向へ貫通する孔である、第二爪部材側貫通孔80aを有している。
第二爪部材側貫通孔80aの内径は、第一爪部材側貫通孔70aの内径と等しい。また、第二爪部材側貫通孔80aは、第一爪部材側貫通孔70aと、平面視で重なる位置に形成されている。
また、第一爪部材側貫通孔70aと第二爪部材側貫通孔80aを重ねて連続させた空間内、すなわち、第一爪部材側貫通孔70a及び第二爪部材側貫通孔80aには、ショルダーボルト86が挿通されている。
ショルダーボルト86は、棒状に形成されており、図1中に示すように、ボルト大径部86aと、爪部材貫通部86bと、ボルト小径部86cを備えている。また、ショルダーボルト86の軸は、可動側取付け板10の移動方向へ向けられている。
ボルト大径部86aは、ショルダーボルト86の一端(下端)を形成しており、第一ボルト配置孔36内に配置されている。
ボルト小径部86cは、爪部材貫通部86bと連続して形成されて、ショルダーボルト86の他端(上端)を形成しており、第二ボルト配置孔48内に配置されている。また、ボルト小径部86cの外径は、爪部材貫通部86bの外径よりも小さい。
第二爪部材側制御棒係合部82は、箱型に形成されており、第二爪部材側平板部80よりも圧縮部材24に近い側(図1中では右側)に配置されて、第二爪部材側平板部80と一体に形成されている。
また、第二爪部材側制御棒係合部82の、第二爪部材側平板部80の板厚方向に沿った長さは、第一プレート凹部44の深さと第二プレート凹部58の深さとを足した長さ以下となっている。
また、第二爪部材側制御棒係合部82のうち、第一プレート凹部44と対向する面と爪部材開閉制御棒18と対向する面(図3中では右側の面)とを連続する縁部には、これらの面を滑らかに連続させる第二爪部材側面取り部82aが形成されている。
第二爪部材側圧縮部材係合部84は、平面視で略L字形に形成されており、第一プレート凹部44及び第二プレート凹部58で形成される空間のうち、第一プレート凹部44で形成される空間内のみに配置されている。
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84の一端面は、第二爪部材側制御棒係合部82の第二爪部材側平板部80と対向する面と反対の面(図1中では右側の面)と連続している。これにより、第二爪部材側圧縮部材係合部84は、第二爪部材側制御棒係合部82と一体に形成されている。
また、第二爪部材側圧縮部材係合部84のうち、第二爪部材側圧縮部材係合部84の一端面と反対側の面(図1中では、右側の面)には、第二スプリング支持棒88を挿入して取り付けるための凹部である、第二支持棒取り付け孔84bが形成されている。
第二スプリング支持棒88は、断面多角形の柱状部材であり、一端側が第二支持棒取り付け孔84b内に挿入され、他端側が、第一プレート凹部44で形成される空間内において、第二爪部材32から離れる方向(図1中では、右方向)へ突出している。
爪部材用スプリング78は、例えば、コイルスプリングを用いて形成されており、その伸縮方向を、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとの配列方向(図2及び図3中では、左右方向)に向けた状態で、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとを接続している。なお、図4中では、爪部材用スプリング78の長さが最短である状態を示している。
また、第一爪部材30と第二爪部材32は、平面視で、爪部材用スプリング78の収縮により、第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88を介して、第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが近接する方向へ付勢されている。
以下、図1から図6を参照しつつ、図7から図10を用いて、上記の型閉じ状態または型開き状態と、エジェクター機構非稼動状態またはエジェクター機構稼動状態との各種組み合わせにおける、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係を説明する。
まず、図1から図6を参照しつつ、図7を用いて、型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作(移動・変位、以降の説明においても同様)を、図1から図3中に示す射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが離間すると、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が離間して、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が共に圧縮部材24から離れる方向へ移動する。
なお、以降の説明では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している状態を、「爪開き状態」と記載する場合がある。
次に、図1から図7を参照しつつ、図8を用いて、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型開き状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
これにより、型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態では、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮しており、スプリング係合部18dの制御棒第二大径部18e側の面は、第四挿通孔大径部60bの押さえ板配置部60cと対向する面から離間している。
第一スプリング支持棒76と第二スプリング支持棒88が近接すると、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82が近接する。
第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が共に圧縮部材24へ近接する方向へ移動すると、第一爪部材側湾曲面74aと第二爪部材側湾曲面84aが近接して、共に圧縮部材第一大径部24aの外径面と接触する。
なお、以降の説明では、第一爪部材30と第二爪部材32が、爪部材係合部24bよりも可動側取付け板10側の位置において、平面視で、爪部材係合部24bと重なる位置へ移動している状態を、「爪閉じ状態」と記載する場合がある。
次に、図1から図8を参照しつつ、図9を用いて、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
これにより、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、制御棒第四挿通孔60内において、制御棒用スプリング20が収縮した状態で、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を固定側型板6側へ移動させている。
このため、型閉じ状態且つエジェクター機構稼動状態では、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動に伴い、第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、爪部材係合部24bを可動側取付け板10側から押圧して、圧縮部材24を固定側型板6側へ移動させる。したがって、圧縮部材24の移動方向は、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動方向と同様、一組の金型の開閉方向となる。
次に、図1から図9を参照しつつ、図10を用いて、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態における、第一爪部材30及び第二爪部材32と爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24との位置関係について説明する。なお、以下の説明では、射出圧縮成形金型1が備える各構成の動作を、上述した型閉じ状態且つエジェクター機構非稼動状態における射出圧縮成形金型1の状態を基準として記載する。
型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、まず、可動盤駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、可動側取付け板10を、固定側型板6から離間する方向へ移動させて、固定側型板6と可動側型板16とを離間させている。
その後、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、固定側型板6と可動側型板16とを離間させた状態で、エジェクター駆動機構が発生する駆動力を用いることにより、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを離間させている。
このため、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、平面視で爪部材係合部24bと重ならない位置へ移動している第一爪部材30と第二爪部材32が、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14と共に固定側型板6側へ移動する。
これに加え、型開き状態且つエジェクター機構稼動状態では、可動盤駆動機構が発生する駆動力により可動側取付け板10が固定側型板6側へ移動した後に、エジェクター駆動機構が発生する駆動力により、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14が固定側型板6側へ移動しても、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24の移動は発生しない。
次に、図1から図10を参照しつつ、図11から図28を用いて、上述した構成の射出圧縮成形金型1を用いた射出圧縮成形方法により、凹部を有する成形品を製造する工程について説明する。
第一実施形態の射出圧縮成形方法では、以下に記載する、型閉じ工程と、射出工程と、圧縮部材前進工程と、圧縮部材後退工程と、型開き工程と、エジェクターピン前進工程と、エジェクターピン後退工程を行って、成形品を製造する。
以下、図1から図10を参照しつつ、図11から図16を用いて、型閉じ工程及び射出工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。なお、以下の説明は、上記の型開き状態を前提として行う。
図11は、型開き状態の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図12は、図11のA‐A線断面図であり、図13は、図11のB‐B線断面図である。なお、図11から図13中に示す型開き状態は、例えば、前工程で製造した成形品を、成形空間から取り出した状態や、射出圧縮成形金型1のメンテナンス、特に、成形空間を形成する、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24の清掃等を行った状態を表している。
固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長するため、制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82とを離間させる。これにより、型開き状態では、第一爪部材30と第二爪部材32の状態が、上記の爪開き状態となっている(図7参照)。
さらに、爪部材開閉制御棒18が備える制御棒傾斜部18cは、その外径が、制御棒第一大径部18a側から制御棒小径部18b側へ向かうにつれて縮径している。
したがって、制御棒傾斜部18cが、制御棒第二挿通孔38内から、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動する際には、制御棒傾斜部18cのうち外径が最小値である部分が第一爪部材側面取り部72a及び第二爪部材側面取り部82aと接触する。
図14は、型閉じ工程及び射出工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図15は、図14のC‐C線断面図であり、図16は、図14のD‐D線断面図である。
固定側型板6と可動側型板16が接触すると、制御棒第四挿通孔60内で伸長していた制御棒用スプリング20が収縮し、可動側型板16の固定側型板6側の面から突出していた爪部材開閉制御棒18の上端が、第四挿通孔小径部60a内に配置される。これに加え、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24により、成形空間が形成される。
成形空間内へ溶融樹脂を射出充填すると、射出工程を終了し、圧縮部材前進工程へ移行する。なお、図14及び図15中には、成形空間内へ射出充填した溶融樹脂を、符号「R」を付して示している。
したがって、射出工程は、成形空間内へ溶融樹脂Rを射出する工程である。
次に、図1から図16を参照しつつ、図17から図19を用いて、圧縮部材前進工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図17は、圧縮部材前進工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図18は、図17のE‐E線断面図であり、図19は、図17のF‐F線断面図である。
したがって、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の固定側型板6側への移動に伴い、爪部材開閉制御棒18及び圧縮部材24のうち、圧縮部材24のみが固定側型板6側へ移動する(図9参照)。
このとき、圧縮部材前進工程では、固定側型板6と可動側型板16が、接触させた状態を保持しているため、リターンピン28が固定側型板6側へ移動すると、リターンピン挿通孔66内を移動するリターンピン小径部28bは、その先端面(上端面)が、固定側型板6の可動側型板16側の面に接触する。
したがって、圧縮部材24の移動量は、リターンピン小径部28bと固定側型板6との距離CL2となり、圧縮部材小径部24dの先端部が固化する前の溶融樹脂Rを圧縮しながら押し込んで形成する凹部の深さも、距離CL2と同じ値となる。
さらに、溶融樹脂Rを保圧した後、成形空間内へ射出した後に保圧している溶融樹脂Rを、固定側開口部8と、可動側開口部68及び圧縮部材24との熱交換作用により冷却して固化させ、成形品を形成した後、圧縮部材後退工程へ移行する。
したがって、圧縮部材前進工程は、射出工程において成形空間内へ射出された溶融樹脂Rが固化する前に、圧縮部材24を成形空間内へ移動させて、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮して押し込む工程である。
次に、図1から図19を参照しつつ、図20及び図21を用いて、圧縮部材後退工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図20は、圧縮部材後退工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図21は、図20のG‐G線断面図である。また、図20中には、H‐H線を示しているが、図20のH‐H線断面図は、図16と同様であるため、図示を省略する。
このため、図外のエジェクター駆動機構により、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させると、この移動に伴い、爪部材係合部24bを可動側取付け板10側から押圧している、第一爪部材側制御棒係合部72及び第二爪部材側制御棒係合部82が、可動側取付け板10側へ移動する。
ここで、圧縮部材後退工程は、上述したように、保圧した溶融樹脂Rを冷却して固化させ、成形品を形成した後に行っているため、圧縮部材小径部24dの先端部が第二挿通孔小径部64a内に移動すると、成形空間内には、凹部を有する成形品Pが形成される。
エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターバックプレート12と可動側取付け板10とを接触させ、圧縮部材小径部24dの先端部を第二挿通孔小径部64a内に移動させた後、型開き工程へ移行する。
したがって、圧縮部材後退工程は、圧縮部材前進工程において固化する前の溶融樹脂Rを圧縮した圧縮部材24を、溶融樹脂Rが固化した後に移動させて、固化した溶融樹脂から離間させる工程である。
次に、図1から図21を参照しつつ、図22及び図23を用いて、型開き工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図22は、型開き工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図23は、図22のI‐I線断面図である。また、図22中には、J‐J線を示しているが、図22のJ‐J線断面図は、図13と同様であるため、図示を省略する。
固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、制御棒第四挿通孔60内において制御棒用スプリング20が伸長するため、制御棒傾斜部18c及び制御棒第一大径部18aが、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82との間へ移動して、第一爪部材側制御棒係合部72と第二爪部材側制御棒係合部82とを離間させる。これにより、型開き工程では、第一爪部材30と第二爪部材32の状態が、上記の爪開き状態となっている(図7参照)。
また、固定側型板6と可動側型板16とを離間させると、固定側開口部8と可動側開口部68が離間して、成形空間が開放され、成形品Pが、可動側開口部68上に載置された状態で、離間している固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間に配置される。固定側開口部8と可動側開口部68とを離間させた後、エジェクターピン前進工程へ移行する。
次に、図1から図23を参照しつつ、図24から図26を用いて、エジェクターピン前進工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図24は、エジェクターピン前進工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図25は、図24のK‐K線断面図であり、図26は、図24のL‐L線断面図である。
このとき、エジェクターピン前進工程では、固定側型板6と可動側型板16を、離間させた状態で保持しているため、リターンピン28が固定側型板6側へ移動すると、リターンピン挿通孔66内を移動するリターンピン小径部28bは、離間している固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間へ突出する。
このため、リターンピン小径部28bが、固定側型板6と可動側型板16との間に形成された空間へ突出した後も、エジェクターバックプレート12及びエジェクタープレート14の移動を継続すると、この移動に伴い、ピン配置孔構成ブロック46が固定側型板6側へ移動する。
エジェクターピン26により、可動側開口部68上に載置されている成形品P、すなわち、可動側金型4に接触している固化した樹脂を押圧して可動側金型4から取り出し、固定側型板6側へ移動させた後、エジェクターピン後退工程へ移行する。
したがって、エジェクターピン前進工程は、圧縮部材後退工程において固化した溶融樹脂から圧縮部材24を離間させた状態でエジェクターピン26を移動させて、可動側金型4に接触している固化した溶融樹脂を押圧して可動側金型4から取り出す工程である。
次に、図1から図26を参照しつつ、図27及び図28を用いて、エジェクターピン後退工程における射出圧縮成形金型1の動作を説明する。
図27は、エジェクターピン後退工程の射出圧縮成形金型1の概略構成を示す図であり、射出圧縮成形金型1の断面図である。また、図28は、図27のM‐M線断面図である。また、図27中には、N‐N線を示しているが、図27のN‐N線断面図は、図13と同様であるため、図示を省略する。
したがって、第一爪部材側湾曲面74a及び第二爪部材側湾曲面84aが、圧縮部材第二大径部24cと対向する位置から、爪部材係合部24bと対向する位置を通過する際に、第一爪部材側圧縮部材係合部74及び第二爪部材側圧縮部材係合部84が爪部材係合部24bと接触しても、第一爪部材側圧縮部材係合部74と第二爪部材側圧縮部材係合部84は、第一爪部材側圧縮部材係合部74の他端面及び第二爪部材側圧縮部材係合部84の他端面の傾斜に沿って、離間しながら可動側取付け板10側へ移動する。
エジェクターピン26を可動側取付け板10側へ移動させて、エジェクターピン第二小径部26cをエジェクターピン第二挿通孔62内に収容した後、エジェクターピン26上に載置されている成形品Pを取り出して、成形品Pの製造を終了する。なお、図27及び図28中では、説明のために、成形品Pを、エジェクターピン前進工程における位置に図示している。
このため、成形品Pを可動側金型4から取り出す際に発生する、成形品Pのこすれを抑制することが可能となる。
したがって、本発明では、固化する前の溶融樹脂Rを圧縮部材24により圧縮しながら押し込んで形成した凹部を有する成形品Pの製造において、成形品Pの損傷を抑制して、成形品Pの品質低下を抑制することが可能となる。
このため、圧縮部材24により固化する前の溶融樹脂Rを圧縮し、この溶融樹脂Rが固化した後に、再度、圧縮部材24が圧縮した面を、エジェクターピン26で押し出すことが無いため、圧縮部材24により圧縮した面や、その面と隣接する部分の損傷を抑制することが可能となる。
したがって、本発明では、射出圧縮成形金型1の構成が複雑化することを抑制することが可能となるとともに、射出圧縮成形金型1の製造コスト等、コストの増加を抑制することが可能となる。
以下、第一実施形態の変形例を列挙する。
第一実施形態においては、第一爪部材30と第二爪部材32の構成を、平面視で、ショルダーボルト86を回転中心として、ショルダーボルト86の軸回りに相対回転可能に配置されている構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、第一爪部材30と第二爪部材32の構成を、例えば、それぞれ、二つのスプリング支持棒を備える構成とし、二組のスプリング支持棒同士を、第一スプリング取り付け溝76aと第二スプリング取り付け溝88aとの配列方向へ伸縮する二つの爪部材用スプリングで連結した構成としてもよい。
Claims (2)
- 互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型と、
当該一組の金型の開閉方向へ移動可能な圧縮部材と、
前記開閉方向へ移動可能なエジェクターピンと、
前記型閉じ状態または前記型開き状態に応じて前記圧縮部材と前記エジェクターピンとを個別に移動させる動作分割機構と、を備え、
前記動作分割機構は、
それぞれの一方の端部同士において前記開閉方向の軸線周りに相対回転可能に配置された第1の爪部材および第2の爪部材を有し、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれの他方の端部に設けられて前記圧縮部材の爪部材係合部と係合する爪部材側圧縮部材係合部同士を近接させる爪閉じ状態と、前記爪閉じ状態よりも前記爪部材側圧縮部材係合部同士を離間させる爪開き状態と、に切り換え可能な爪部材と、
前記開閉方向を軸線方向として、第1の径部と、前記第1の径部より小さな第2の径部と、が形成されるとともに、前記爪部材の状態を前記爪閉じ状態と前記爪開き状態とに制御可能な爪部材開閉制御棒と、を有し、
前記爪部材側圧縮部材係合部は、
前記型閉じ状態の場合には、前記爪部材の前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられた制御棒係合部と、前記爪部材開閉制御棒の前記第2の径部と、が係合することで前記爪部材が前記爪閉じ状態となって、前記圧縮部材の前記爪部材係合部と係合し、
前記型開き状態の場合には、前記爪部材の前記制御棒係合部と、前記爪部材開閉制御棒の前記第1の径部と、が係合することで前記爪部材が前記爪開き状態となって、前記圧縮部材の前記爪部材係合部との係合を解除し、
前記圧縮部材は、前記型閉じ状態において前記一組の金型間に形成される成形空間と前記開閉方向で対向し、
前記エジェクターピンは、前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向し、
前記型閉じ状態では、前記動作分割機構は、前記爪部材側圧縮部材係合部を前記圧縮部材の前記爪部材係合部と係合させるとともに、前記成形空間内へ射出された溶融樹脂が固化する前に、前記圧縮部材のみを前記成形空間内へ移動させて固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込み、前記溶融樹脂が固化した後に、前記圧縮部材のみを移動させて固化した前記溶融樹脂から離間させ、
前記型開き状態では、前記動作分割機構は、前記爪部材側圧縮部材係合部を前記圧縮部材の前記爪部材係合部との係合から解除させるとともに、前記エジェクターピンのみを移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すことを特徴とする射出圧縮成形金型。 - 互いに接触した型閉じ及び互いに離間した型開きが可能な一組の金型間に前記型閉じ状態において形成されている成形空間内へ、溶融樹脂を射出する射出工程と、
前記射出工程において前記成形空間内へ射出された前記溶融樹脂が固化する前に、前記金型の開閉方向へ移動可能であり且つ前記成形空間と前記開閉方向で対向する圧縮部材を成形空間内へ移動させて、固化する前の前記溶融樹脂を圧縮して押し込む圧縮部材前進工程と、
前記圧縮部材前進工程において固化する前の前記溶融樹脂を圧縮した前記圧縮部材を溶融樹脂が固化した後に移動させて、固化した前記溶融樹脂から離間させる圧縮部材後退工程と、
前記圧縮部材後退工程において固化した前記溶融樹脂から前記圧縮部材を離間させた状態で、前記開閉方向へ移動可能であり且つ前記圧縮部材と異なる位置で前記成形空間と前記開閉方向で対向するエジェクターピンを移動させて、前記一組の金型のうち一方に接触している固化した前記溶融樹脂を押圧して前記一方の金型から取り出すエジェクターピン前進工程と、を有し、
前記圧縮部材前進工程においては、
それぞれの一方の端部同士において前記開閉方向の軸線周りに相対回転可能に配置された第1の爪部材および第2の爪部材を有し、前記第1の爪部材および前記第2の爪部材のそれぞれの他方の端部に設けられて前記圧縮部材の爪部材係合部と係合する爪部材側圧縮部材係合部同士を近接させる爪閉じ状態と、前記爪閉じ状態よりも前記爪部材側圧縮部材係合部同士を離間させる爪開き状態と、に切り換え可能な爪部材において前記一方の端部と前記他方の端部との間に設けられた制御棒係合部と、
前記開閉方向を軸線方向として、第1の径部と、前記第1の径部より小さな第2の径部と、が形成されるとともに、前記爪部材の状態を前記爪閉じ状態と前記爪開き状態とに制御可能な爪部材開閉制御棒における前記第2の径部と、
が係合することで前記爪部材が前記爪閉じ状態となって、前記爪部材側圧縮部材係合部が前記圧縮部材の前記爪部材係合部と係合し、
前記エジェクターピン前進工程においては、
前記爪部材における前記制御棒係合部と、
前記爪部材開閉制御棒における前記第1の径部と、
が係合することで前記爪部材が前記爪開き状態となって、前記爪部材側圧縮部材係合部が前記圧縮部材の前記爪部材係合部との係合を解除する、
ことを特徴とする射出圧縮成形方法。
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