JP5802988B2

JP5802988B2 - 船体磁気推定装置及び方法

Info

Publication number: JP5802988B2
Application number: JP2013242193A
Authority: JP
Inventors: 晴和里見; 智幸堀澤
Original assignee: 防衛省技術研究本部長
Priority date: 2013-11-22
Filing date: 2013-11-22
Publication date: 2015-11-04
Anticipated expiration: 2033-11-22
Also published as: JP2015101158A

Description

本発明は、船内に設置した磁気センサ並びに船底に設置した水中電界（ＵＥＰ：Under water Electric Potential）センサ及び水中導電率計からの計測値に基づき、船体磁気のみを推定する船体磁気推定装置及び方法に関する。

船舶から発生する磁界は、永久磁気及び誘導磁気（地磁気に起因する）から構成される船体磁気による磁界と、船底を防食電流が流れることにより発生するＵＥＰ起因磁界とが重畳して形成されている。

船体磁気は船舶内部で発生し、その発生源は、磁性体材料である船体又は船舶搭載品である。

ＵＥＰ起因磁界は船舶外部で発生し、その発生メカニズムは、様々な異種金属で構成されている船舶構成品が、電気伝導体である海水に触れることより腐食が発生する。そのため、船体の腐食を防止するための手段として、船体の代わりに犠牲となる保護亜鉛を船体周辺に張る流電陽極方式や、船体電位を一定に保つように電流を通電させて腐食を防止する外部電源防食方式がある。これらの方式により、船体の腐食は防止できるものの、代わりに船体周辺にＵＥＰが発生し、これにより磁界が発生する。

船舶から発生する磁界は磁気センサを搭載した機雷あるいは探知器などの脅威を受けるため、船舶の安全航行を確保するためには、係る磁界を低減する必要がある。

下記特許文献１は、海底に設置した磁気センサからの計測値を参考に、船内に設置した磁気センサ出力値から船舶の磁気を推定し、その推定値をもとに消磁コイル電流値を決定するシステムに関するものである。

下記特許文献２は、船体外部に設置した電極から海中に電流を印加することにより、船舶から発生するＵＥＰを低減する方法及び装置に関するものである。

特開平８−７８２３４号公報特開２０１１−８８５４２号公報

図２は、船体２０から発生する磁界を模式的に示した説明図であり、船体磁気２１を棒磁石により可視化するとともに、例えば鋼鉄製材質でできた船体２０と例えば黄銅製材質でできた推進器２３とが水中で接触すると、ＵＥＰ電流２４が流れることより発生するＵＥＰ起因磁界２５を示している。

図２の船体磁気２１については、船体磁気２１を取り囲むように消磁コイル２２−１〜２２−２を配置し、消磁コイル２２−１〜２２−２の通電量を調節することにより、船体磁気２１を見かけ上低減することが可能であるが、船体２０の外で発生するＵＥＰ起因磁界２５は、消磁コイル２２−１〜２２−２で取り囲むことができないため、係る磁界を有効に低減することができない。

他方、例えば上記特許文献２などによりＵＥＰ起因磁界の発生原因となるＵＥＰ電流２４を低減することにより図２に示すＵＥＰ起因磁界２５の低減は可能であるが、当該特許文献２では、船体磁気２１を低減することはできない。

船体内に設置した消磁コイル２２は、船体磁気２１の磁気量を見かけ上低減する装置であることから、消磁コイル２２による磁気低減を効果的に行う際には、船舶から発生する磁気のうち、船体磁気２１の磁気量のみを推定できる必要がある。

図３は、発生原因別の磁界を模式的に示しており、船体２０内に設置した磁気センサ６からは船体磁気による磁界３１及びＵＥＰ電流２４に起因する磁界３３が重畳された値が出力されるため、磁気センサ６の出力値からＵＥＰ起因磁界３３の影響分を取り除く必要がある。

上記特許文献１における消磁電流値の計算根拠となる船内設置の磁気センサの出力値には、船体磁気による磁界に加え、ＵＥＰ起因磁界が重畳されていることから、当該発明をより効果的にするためには、船内設置磁気センサ出力値からＵＥＰ起因磁界を控除することなどの、船体磁気のみを推定する手法について改善の余地がある。

本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、船体内に設置した磁気センサの出力値からＵＥＰ起因磁界を控除し、船体磁気のみを簡易迅速に推定可能とした船体磁気推定装置及び方法を提供することを目的とする。

本発明のある態様は船体磁気推定装置である。この船体磁気推定装置は、船内に設置した磁気センサ及び処理器と、船底に取り付けた組をなす水中電位測定電極及び電気伝導率計とを備え、
前記処理器は、前記組をなす水中電位測定電極間の電位差及び前記電気伝導率計の電気伝導率測定値から前記磁気センサ位置でのＵＥＰ起因磁界を求め、前記磁気センサの出力値から前記ＵＥＰ起因磁界を控除して船体磁気に基づく磁界を求め、前記船体磁気に基づく磁界から船体磁気を推定することを特徴とする。

前記態様において、前記船体磁気の推定結果を表示する表示器を備えるとよい。

前記態様において、前記船体磁気の推定結果を記録する記録装置を備えるとよい。

本発明のもう一つの態様は船体磁気推定方法である。この船体磁気推定方法は、船内に設置した磁気センサ及び処理器と、船底に取り付けた組をなす水中電位測定電極及び電気伝導率計とを用い、
前記処理器では、前記組をなす水中電位測定電極間の電位差及び前記電気伝導率計の電気伝導率測定値から前記磁気センサ位置でのＵＥＰ起因磁界を求めるステップと、前記磁気センサの出力値から前記ＵＥＰ起因磁界を控除して船体磁気に基づく磁界を求めるステップと、前記船体磁気に基づく磁界から船体磁気を推定するステップとを実行することを特徴とする。

なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。

本発明に係る船体磁気推定装置及び方法によれば、消磁コイルにより船体磁気を消磁する際に必要となる消磁コイル印加電流値の決定に不可欠な船体磁気に関する情報を得ることが可能となる。

本発明に係る船体磁気推定装置及び方法の実施の形態を示す説明図。船体磁気、ＵＥＰ起因磁界及び消磁コイルについて模式的に示す説明図。船体磁気による磁界及びＵＥＰ起因磁界が船舶内で重畳することを模式的に示す船体の真後ろからみた説明図。

以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。

図１は、本発明の実施の形態であって、船舶１０の船底（船体の外側底面）には、ＵＥＰセンサとしての例えば１組の水中電位測定電極１−１〜１−２及び１個の水中の電気伝導率を測定できる電気伝導率計４が配置され（取り付けられ）、電極１−１〜１−２はケーブル２−１〜２−２を介して、また電気伝導率計４は専用ケーブル５を介してコンピュータを含む処理器３に結合（接続）されている。船舶１０の船体内には、例えば直交３軸であるＸ，Ｙ，Ｚ方向の磁界を検出する３軸磁気センサ６−１〜６−３が例えば船舶１０の船体の前、後及び中間位置に設置されて（取り付けられて）おり、磁気情報用ケーブル７−１〜７−３を介して処理器３に結合されている。処理器３の処理結果は接続ケーブル８を介して表示器９に結合して、処理結果が表示器９で表示される。また、処理器３の処理結果は記録装置１５で記録されるようになっている。

処理器３は、電極１−１及び１−２間の電位差Ｖを検出し、その結果と電気伝導率計４からの測定値Ｓから水中の船底下を流れるＵＥＰ電流値Ｉ＝ＶＳを演算し、例えばビオ・サバールの公式（下記式（１））などにより電極１−１及び１−２の間を直線電流が流れているとみなし、電流Ｉから磁気センサまでの距離をＲ、距離Ｒ間の透磁率をμ、円周率をπと置いたときの、各磁気センサ位置でのＵＥＰ起因磁界Ｂ_Ｕを推定する（ステップ１）。
Ｂ_Ｕ＝μＩ／（４πＲ） …（１）

なお、処理器３が、電極１−１及び１−２の電位差Ｖを検出し、その結果と電気伝導率計４からの測定値Ｓから、例えば有限要素法によりＵＥＰ起因磁界Ｂ_Ｕを推定する方法でも良い。

また、処理器３が、電極１−１及び１−２の電位差Ｖを検出し、その結果と電気伝導率計４からの測定値Ｓから、例えば境界要素法によりＵＥＰ起因磁界Ｂ_Ｕを推定する方法でも良い。

そして、処理器３は、磁気センサ６−１〜６−３の磁界検出値Ｂ_ＴからＵＥＰ起因磁界Ｂ_Ｕを控除して、船体磁気に基づく磁界Ｂ_Ｓを求める（ステップ２）。この船体磁気に基づく磁界Ｂ_Ｓをもとに例えば上記特許文献１などにより船体磁気量を演算する（ステップ３）。つまり、処理器３は前記ステップ１，２，３を順次実行する。表示器９は処理器３からの出力値（船体磁気推定結果）を表示する。また、処理器３からの出力値（船体磁気推定結果）は記録装置１５で記録される。

本実施の形態によれば、消磁コイルにより船体磁気を消磁する際に必要となる消磁コイル印加電流値の決定に不可欠な船体磁気を簡易迅速に推定可能である。また、船舶１０が任意の場所で停泊もしくは航行しているときにも船体磁気を推定可能であり、船体磁気を推定する場所が特定の場所に限定されない利点がある。

以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下変形例について述べる。

上記実施の形態において、磁気センサの船体への配置個数が３個の場合を例示したが、３個に限定されず、その個数は任意である。

１−１，１−２水中電位測定電極
２−１，２−２，５，７−１，７−２，７−３，８ケーブル
３処理器
４電気伝導率計
６，６−１，６−２，６−３磁気センサ
９表示器
１０船舶
１５記録装置
２０船体
２１模式的な船体磁気
２２−１，２２−２消磁コイル
２３推進器

Claims

船内に設置した磁気センサ及び処理器と、船底に取り付けた組をなす水中電位測定電極及び電気伝導率計とを備え、
前記処理器は、前記組をなす水中電位測定電極間の電位差及び前記電気伝導率計の電気伝導率測定値から前記磁気センサ位置でのＵＥＰ起因磁界を求め、前記磁気センサの出力値から前記ＵＥＰ起因磁界を控除して船体磁気に基づく磁界を求め、前記船体磁気に基づく磁界から船体磁気を推定することを特徴とする船体磁気推定装置。
前記船体磁気の推定結果を表示する表示器を備えることを特徴とする請求項１に記載の船体磁気推定装置。
前記船体磁気の推定結果を記録する記録装置を備えることを特徴とする請求項１又は２に記載の船体磁気推定装置。
船内に設置した磁気センサ及び処理器と、船底に取り付けた組をなす水中電位測定電極及び電気伝導率計とを用い、
前記処理器では、前記組をなす水中電位測定電極間の電位差及び前記電気伝導率計の電気伝導率測定値から前記磁気センサ位置でのＵＥＰ起因磁界を求めるステップと、前記磁気センサの出力値から前記ＵＥＰ起因磁界を控除して船体磁気に基づく磁界を求めるステップと、前記船体磁気に基づく磁界から船体磁気を推定するステップとを実行することを特徴とする船体磁気推定方法。