JP5802635B2 - 耐震可撓継手による軟接合構造と、その施工方法 - Google Patents
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そこで、出願人は、マンホールから延伸する剛性管と下水道本管を軟接合して耐震化を図ることを模索したが、いずれのものも施工性に難があり、さらに水密性の確保によるコストの増大を招くものであった。
本発明の第二の目的は、剛性管と下水道本管が異種管または同種管の何れであっても充分な水密性と耐震性能を備えており、しかも、構造が簡単で施工が容易な耐震可撓継手の軟接合構造と、その施工方法を提供することにある。
剛性管は、マンホールの周壁から延伸するものであり、その内部がマンホールと連通しており、下水道本管は、管の内径が剛性管とほぼ同一のものであるとともに、剛性管の延伸側先端部に当接しており、継手部は、弾性バンドと、弾性体固定バンドと、管固定バンドとを有しており、弾性バンドは、剛性管と下水道本管とに掛け渡す状態で剛性管及び下水道本管の継目位置を含む外周面全周に嵌合してあり、弾性体固定バンドは、剛性管と下水道本管の継目位置以外の複数箇所で弾性バンドを固定し、管固定バンドは、剛性管と下水道本管の継目位置の全周に亘り弾性バンドの外周部を固定していることを特徴とする。
本実施による耐震可撓継手は、図1のように、ヒューム管(本実施で使用する剛性管)1と、リブ管(本実施で使用する下水道本管である)2と、継手部10を構成する継手ゴム(本実施で使用する弾性バンドである)3と、ステンレスバンド(本実施で使用する弾性体固定バンドである)4と、管固定バンド5とから構成されている。また、本実施による耐震可撓継手は、上記のようにヒューム管1とリブ管2による異種の管同士の軟接合に使用するものである。
ヒューム管1は、マンホール6の側周壁からほぼ水平方向に延びて取り付けてあり、コンクリート製の断面円筒形状をなす管である。
リブ管(PRP)2は、塩化ビニール製の樹脂管であり、周壁外周面の長手方向に多数のリブ7が間隔をあけて設けてある。このリブ管2の各リブ7により、浮力を小さくして砕石基礎に対応することができ、液状化現象によるリブ管2の浮き上がりを防止する構造となっている。
上記の継手部10を構成する継手ゴム3は、肉厚のある幅広のものであり、ヒューム管1よりも僅かに内径の大きなものが使用されている。
上記の継手部10を構成するステンレスバンド4は、図示は省略するが一端部と他端部に連結部と被連結部を有する金属製のバンド材であり、図示は省略するが、その連結部と被連結部は、ネジを締め込むことによりバンドの内径が徐々に狭まっていくものである。このことから、取り付け対象物に対して締付トルクを付与する構造となっており、ヒューム管1とリブ管2に跨る複数箇所に巻きつけられる。また、図2(b)のように、継手ゴム3の外周面に巻きつけるときに、継手ゴム3に対する食い込みを防ぐ緩衝材14を挟んである。
上記の継手部10を構成する管固定バンド5は、金属製であり、図2(a)のように、一方部材5aと他方部材5bとから一対の割型に形成してある。また、一方部材5aと他方部材5bは、各々が半円弧状をなすものであり、図2(b)を参照すれば、その両端に各々フランジ8,8を有している。そして、各フランジ8,8をボルトやナット等の固定具9で締結することで、継手ゴム3を挟んでヒューム管1とリブ管2の両方を締め付けるものである。
第一の工程として、図3(a)のように、マンホール6の外周壁から延伸するヒューム管1の延伸先端側の端面に、継手ゴム3を嵌めて預けた状態とする。
第二の工程として、図3(b)のように、塞ぎ材12を嵌合した状態のリブ管2を当接する。
第三の工程として、図4(a)ヒューム管1に預けてある継手ゴム3をリブ管2側にスライドさせ、継手ゴム3をヒューム管1とリブ管2の当接箇所を跨ぐ位置まで移動させる。
第四の工程として、図4(b)のように、ヒューム管1とリブ管2の当接箇所に嵌めてある継手ゴム3に対し、その外周面におけるヒューム管1側とリブ管2側に各々ステンレスバンド4を巻きつける。
第五の固定として、図4(e)のように、継手ゴム3の外周面におけるヒューム管1とリブ管2の当接箇所が位置する箇所に、管固定バンド5を嵌める。さらに、管固定バンド5の各フランジ8,8を固定具9で締結し、管固定バンド5によって継手ゴム3の外周部におけるヒューム管1とリブ管2の継目位置11の外周全体に締付トルクを加える。
上記第一〜第五工程を経ることにより、本実施による耐震可撓継手の施工が完了する。
マンホール6から延伸するヒューム管1とリブ管2とを当接するとともに、ヒューム管1とリブ管2との継目位置11を覆う状態で継手ゴム3を嵌め、さらに、継手ゴム3の外周面にステンレスバンド4と管固定バンド5を嵌めることにより、継手ゴム3が固定される。このことから、ヒューム管1とリブ管2の継目位置11においてステンレスバンド4と管固定バンド5との間に継手ゴム3が介在することにより、ヒューム管1とリブ管2とが軟接合される。このように形成すると、マンホール6の周辺で地震や車や人の往来等による震動が発生したときに、ヒューム管1とリブ管2の双方に加わる震動や土圧により継目位置11では応力が集中する。これに対し、図5のように、継手ゴム3がヒューム管1とリブ管2の継目位置11を弾性的に保持して接合していることにより、震動や土圧がマンホール6周辺に加わったとき、それに追従して継手ゴム3の弾性によりリブ管2を約5°の範囲でヒューム管1との継目位置11を基点に揺動させ、リブ管2の負荷を逃がす構造となっている。これにより、マンホール6から延伸するヒューム管1とリブ管2とを軟接合する際の施工が容易に行える。しかも、マンホール6、ヒューム管1、リブ管2のすべてが破損することなく、耐震可撓継手の周辺構造物の耐久性が長期的に確保される。さらに、継手ゴム3が位置決めされた状態でリブ管2の揺動に追従することから、上記のように破損によるヒューム管1とリブ管2との継目位置11からの漏水も防がれるので、水密性と止水性が高く、しかも、耐用年数の長い耐震可撓継手が形成される。
本実施による耐震可撓継手は、ヒューム管(HP)あるいは陶管(CP)等に代表される剛性管同士の同種管接合を行うものである。
本実施形態は、上述した第一実施形態とほぼ同一の構成をなすものであるが、相違する構成として、マンホール6から延伸する剛性管として適用するヒューム管1と、下水道本管として適用するヒューム管22とが当接する継目位置11に対し、その外周部全周を継手ゴム3で覆うかたちで嵌めてある。そして、第一実施形態で示した異種管の軟接合と同様に、ヒューム管1,22同士の継目位置11に嵌めた継手ゴム3の外周面にステンレスバンド4を巻き付けるとともに、連結部と被連結部を連結して継手ゴム3に締付トルクを付与し、さらに、継手ゴム3がヒューム管1,22同士の継目位置11を覆う箇所の外周部に管固定バンド5が嵌めてある。このように、同種の管同士を軟接合する場合においても、本発明による耐震可撓継手を使用して同様の施工構造、施工手順により軟接合が行える。また、耐震性能についても、図8(b)のように、上述した第一実施形態のヒューム管1とリブ管2との異種管の軟接合と同様に、継手ゴム3が管同士の当接する継目位置11を覆う状態にあり、継手ゴム3がステンレスバンド4及び管固定バンド5と各ヒューム管(剛性管、下水道本管)1,22との間を緩衝する。これにより、土圧や震動がマンホール6周辺に加わったときに、下水道本管に適用したヒューム管22を継手ゴム3の弾性が許容する範囲で揺動するので、剛性管と下水道本管のそれぞれに適用したヒューム管1,22に対しても応力が集中しない。したがって、剛性管及び下水道本管として適用したヒューム管1,22の破損を防いでマンホール6の周辺構造全体の耐用性能を向上させることができる。
具体的に、上記第一及び第二実施形態では、弾性バンド3として継手ゴム3を挙げているが、硬質ゴムあるいは膨張ゴム等、弾性を有するものであれば特に限定しない。また、上記したゴム製のもの以外では、図示は省略するが、無数のコイルスプリングを敷き詰めたマット材(弾性バンド)を剛性管1,21と下水道本管2,22の継目位置11の外周面のほぼ全周に巻き付け、さらに、そのマット材の外周面にステンレスバンド4を巻き付けるととともに、剛性管1と下水道本管2を跨ぐ状態で管固定バンド5を嵌めることもできる。このように形成しても、マット材が剛性管1,21及び下水道本管2,22と管固定バンド5との間を緩衝し、上述した継手ゴム3と同様に弾性バンド3が下水道本管2,22の揺動を許容するので、剛性管1,21と下水道本管2,22に対する応力の集中を防ぎ、剛性管1,21、下水道本管2,22、継手部10、マンホール6すべての耐久性が確保される。
図7(a)のものは、ヒューム管(剛性管)1の外径が306mmで内径が250mm、管厚が28mmである。また、リブ管(下水道本管)2は、リブ7を含む外径が286.2mmで内径が250mmである。そして、上記のヒューム管1とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム(弾性バンド)3の管長手方向の長さが180mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが75mmであり、ステンレスバンド(弾性体固定バンド)4の固定範囲は68mmである。
図7(b)のものは、ヒューム管1の外径が360mmで内径が300mm、管厚が30mmである。また、リブ管2は、リブ7を含む外径が343.6mmで内径が300mmである。そして、上記の剛性管1とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム3の管長手方向の長さが200mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが80mmであり、ステンレスバンド4の固定範囲は80mmである。
図7(c)のものは、ヒューム管1の外径が414mmで内径が350mm、管厚が32mmである。また、リブ管2は、リブ7を含む外径が400.6mmで内径が350mmである。そして、上記の剛性管1とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム3の管長手方向の長さが200mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが80mmであり、ステンレスバンド4の固定範囲は80mmである。
図8(a)のものは、陶管(剛性管)21の外径が302mmで内径が250mm、管厚が26mmである。また、リブ管(下水道本管)2は、リブ7を含む外径が286.2mmで内径が250mmである。そして、上記の陶管21とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム3の管長手方向の長さが180mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが75mmであり、ステンレスバンド4の固定範囲は68mmである。
図8(b)のものは、陶管21の外径が358mmで内径が300mm、管厚が29mmである。また、リブ管2は、リブ7を含む外径が343.6mmで内径が300mmである。そして、上記の陶管21とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム3の管長手方向の長さが200mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが80mmであり、ステンレスバンド4の固定範囲は80mmである。
図8(c)のものは、陶管21の外径が470mmで内径が400mm、管厚が35mmである。また、リブ管2は、リブ7を含む外径が448.4mmで内径が400mmである。そして、上記の陶管21とリブ管2を軟接合する本実施による耐震可撓継手の構成部品は、継手ゴム3の管長手方向の長さが200mmであり、管固定バンド5の管長手方向の長さが80mmであり、ステンレスバンド4の固定範囲は80mmである。
2 リブ管(下水道本管)
3 継手ゴム(弾性バンド)
4 ステンレスバンド(弾性体固定バンド)
5 管固定バンド
6 マンホール
10 継手部
11 継目位置
12 塞ぎ材
21 陶管(剛性管)
22 ヒューム管(下水道本管)
23 Oリング(緩衝部材)
Claims (5)
- 剛性管と、下水道本管と、継手部とを備えており、
剛性管は、マンホールの周壁から延伸するものであり、その内部がマンホールと連通しており、
下水道本管は、管の内径が剛性管とほぼ同一のものであるとともに、剛性管の延伸側先端部に当接しており、
継手部は、弾性バンドと、弾性体固定バンドと、管固定バンドとを有しており、
弾性バンドは、剛性管と下水道本管とに掛け渡す状態で剛性管及び下水道本管の継目位置を含む外周面全周に嵌合してあり、
弾性体固定バンドは、剛性管と下水道本管の継目位置以外の複数箇所で弾性バンドを固定し、
管固定バンドは、剛性管と下水道本管の継目位置の全周に亘り弾性バンドの外周部を固定していることを特徴とする耐震可撓継手による軟接合構造。 - マンホールの周壁から延伸する剛性管と下水道本管とを継手部で接合する耐震可撓継手による軟接合構造の施工方法であって、
剛性管の外周に弾性バンドを嵌めて預けておく工程と、
下水道本管を剛性管の延伸先端側端部に当接する工程と、
剛性管に嵌めてある弾性バンドを下水道本管との継目位置までスライドさせる工程と、
弾性バンドの外周部における剛性管と下水道本管の継目位置以外を覆う箇所に各々弾性体固定バンドを巻きつける工程と、
弾性バンドの外周部における剛性管と下水道本管の継目位置を覆う箇所に管固定バンドを嵌合する工程を経て施工されることを特徴とする耐震可撓継手による軟接合構造の施工方法。 - 下水道本管は、外周部に多数のリブを有しており、下水道本管の外周に弾性バンドを嵌めるとき、弾性バンドで覆う範囲にあるリブ間に、その凹凸を解消し且つ下水道本管と剛性管の外径をほぼ同一にする塞ぎ部材が取り付けられることを特徴とする請求項1記載の耐震可撓継手による軟接合構造。
- 剛性管及び下水道本管の外径によって取付個数を変えることなく、弾性バンド及び管固定バンドの管長手方向の長さと、管固定バンド及び弾性体固定バンドを固定する位置が適宜変更されることを特徴とする請求項1又は3記載の耐震可撓継手による軟接合構造。
- 剛性管と下水道本管との間に緩衝部材を配置してあることを特徴とする請求項1、3又4記載の耐震可撓継手による軟接合構造。
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