本発明に係る表示システムは、表示装置と、その表示装置に対して画像を出力するソース機器と、を備えている。以下、本発明に係る表示システムについて、並びに本発明に係る上記表示装置や上記ソース機器について、基本的に表示装置とソース機器とが有線のMHLケーブルで接続されている例を挙げて説明する。
但し、MHLケーブルの代わりに、例えばHDMIケーブルで接続されている場合や、Miracast対応のHDMIアダプタにより無線接続されている場合などでも同様である。さらに、本発明は、HDMI規格やMHL規格に限らず、出力画像のサイズやアスペクト比が固定されているソース機器から画像を出力し、その出力画像を表示装置で表示させる場合に生じ得る課題を解決するためのものであり、表示装置とソース機器との接続に採用する規格もMHL規格やHDMI規格に限ったものではない。無論、本発明に係る表示装置は、出力画像のサイズやアスペクト比が固定されていないソース機器から出力された画像に対しても、後述するようなソース機器からの情報に基づいて、同様の適切な表示が可能である。また、表示装置とソース機器との接続に採用する規格としては、例えばWiFi(登録商標)規格を採用することもできる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る表示システムの一構成例を示すブロック図である。
図1で例示する表示システムは、シンク機器として機能する表示装置1とソース機器2とがMHLケーブル3で接続され、ソース機器2からMHLケーブル3を介して画像(以下、映像)が表示装置1に送信可能となっている。
表示装置1は、画像を表示する表示部と、ソース機器2より送信(伝送)される画像信号(映像信号)を受信する受信部と、画像処理部と、を備え、上記画像処理部で処理後の画像を上記表示部に表示させる。なお、このような表示制御は、例えば表示装置1の制御部が行えばよい。
また、上記画像処理部は、上記受信部で受信した画像信号が示す送信画像に対して、回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理といった画像処理を施す。なお、上記送信画像は出力画像でありし、表示装置1側から見れば受信画像若しくは入力画像とも言える。
ここで、上記回転処理は、後述の向き検出部19で検出された表示画面の上部又は下部の向きと上記受信部で受信した送信画像の上部又は下部の向きが一致するように回転させる処理である。スケーリング処理は、アスペクト比を維持して上記表示画面に最大に表示するようにスケーリングを行う処理である。黒帯処理は、黒帯部分の付与若しくは除去を行う処理である。
図1で例示する表示装置1には、上記表示部の一例として映像を表示する映像表示部11が設けられ、上記受信部の一例として、Transition Minimized Differential Signaling(TMDS:登録商標、以下同様)信号処理部15、MHL I/F16、及びCBUS(Control Bus)信号処理部17が設けられている。
映像表示部11は、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示パネルである。MHL I/F16は、MHLの接続インターフェースであり、ソース機器2から送信されたTMDS信号を受信し、TMDS信号処理部15に渡す。TMDS信号処理部15は、MHL I/F16から入力されたTMDS信号を映像信号に変換する。CBUS信号処理部17は、MHL I/F16を介し、接続されたソース機器2とCBUSの信号(制御信号)のやり取りを行う。
また、図1で例示する表示装置1には、上記画像処理部の一例として、映像処理を実行する映像変換処理部14が設けられている。映像変換処理部14は、映像処理として、映像の回転処理、映像のスケーリング処理、映像から黒帯部分を付与/除去する処理を実行することが可能に構成されている。
なお、映像変換処理部14は、上記受信部で受信した映像だけでなく、内部の記憶装置に格納された写真や動画や文書等のファイルの画像やUI画像(User Interface)などの画像についても、これらの処理が可能に構成されている。内部の記憶装置に格納された画像についても、映像変換処理部14での処理後は映像表示部11で表示可能となっている。
また、図1で例示する表示装置1には、上記制御部の一例として主制御部10が設けられている。なお、映像変換処理部14から出力された映像が映像表示部11に表示されるように構成されており、主制御部10は、映像変換処理部14を制御することで間接的に映像表示部11での表示を制御するものとして説明する。
主制御部10は、プログラム保存領域に格納されたプログラムを動作させ、各種制御を行う。例えば主制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)、作業領域としてのRAM(Random Access Memory)、及び記憶装置などの制御デバイスで構成され、その一部又は全部を集積回路/ICチップセットとして搭載することもできる。
この記憶装置には、制御プログラム(本発明に係る処理を実行するプログラムを含む)をはじめ、上述したUI画像、各種設定内容、写真や動画像や文書等のファイルなどが記憶される。この記憶装置としては、フラッシュROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等が挙げられ、後述の画面向き記憶部18もこの記憶装置の一部として構成することもできる。表示装置1の種類によってはこの記憶装置としてハードディスクドライブ(HDD)を採用することもできる。
また、図1で例示する表示装置1はその他、タッチ入力部12a、タッチ変換処理部12b、キー入力部13a、UI処理部13b、画面向き記憶部18、及び向き検出部19を備えている。
キー入力部13aは、ハードウェアキーを有し、そのキーからの操作の入力を検出する。このハードウェアキーとしては、例えば電源キーや音量調整キーなどが挙げられる。UI処理部13bは、そのキー操作の入力によりOSD(On Screen Display)を表示し、表示装置1についての各種設定を行う。
タッチ入力部12aは、ユーザによるタッチ入力を検出するタッチセンサで構成され、映像表示部11の上面に設けられるか、映像表示部11に組み込まれる。また、タッチセンサと映像表示部11とでタッチパネルが形成される。タッチ変換処理部12bは、タッチ入力部12aで入力されたタッチ情報に対して座標変換を行う。
映像表示部11には、写真や動画や文書等のファイルの画像や上記のUI画像などが表示されており、ユーザはその表示内容を見ながら表示画面の所定位置をタッチすることになる。そのタッチをタッチ入力部12aが検出し、その検出結果をタッチ情報として主制御部10に直接(又はタッチ変換処理部12bで何も処理させないようにタッチ変換処理部12bに)出力する。映像表示部11に、表示装置1の内部のUI画像等の画像が表示されていた場合には、タッチ入力部12aで検出したタッチ位置に対応するUI画像等の画像に関する処理が実行される。また、UI画像の場合、タッチの検出により必要に応じてUI画像の遷移がなされる。
一方で、本発明では、表示装置1の表示画面にソース機器2から送信された送信画像を表示する点に特徴があり、映像表示部11に送信画像が表示された場面ではタッチセンサによるソース機器2に対するユーザ操作を受け付けることが可能になっている。この点については第2の実施形態として後述するが、それに先立ち簡単に説明しておく。そのような場面では、タッチ入力部12aがタッチ情報をタッチ変換処理部12bに出力し、タッチ変換処理部12bがタッチ情報の変換を行うと共に、CBUS信号処理部17が、タッチ変換処理部12bから出力されたタッチ情報及び表示装置1の縦横の配置情報をCBUSの信号に変換し、MHL I/F16を介してソース機器2側に送信する。
なお、後述する第2の実施形態での説明のために、またユーザの操作性を向上させるために、タッチセンサを設けた表示装置(所謂、タッチモニタ)の例を挙げているが、表示装置1は、ユーザ操作を受け付ける操作部として、ハードウェアキーを有するキー入力部13aのみを設け、タッチセンサを設けなくてもよい。
向き検出部19は、上記表示画面の向き(自身の回転状態)を検出する。この向き(sense)は、ユーザが表示装置1を保持して回転動作させることにより、若しくは表示画面における画像を回転させるユーザ設定を受け付けることにより、変化する。表示画面の向きとしては、表示画面の上部の向き又は下部の向きのいずれかを検出すれば済む。また、向き検出部19は、表示装置1の現在の姿勢(傾き具合)を検知し、現在の姿勢を示す姿勢情報を出力する姿勢検知部であるとも言える。
まず、向き検出部19が、ユーザが表示装置1を保持して回転動作させることによって生じる向きの変化を検出する場合について説明する。このような場合、向き検出部19として表示画面の向きを検出するセンサを設けておけばよい。
ここで、センサでは、表示画面の向きではなく方向(direction)として、つまり上下方向(ユーザが表示装置1を保持して表示装置1の表示画面を見た際に、表示装置1の上側になる位置と下側になる位置とを結ぶ線分の方向)として検出してもよい。このように、センサは、ユーザが表示装置1を保持している方向であって、ユーザに向かって正面を向いているか、90度回転しているか、といった方向を検出するような構成を採用することもできる。表示装置1によっては、例えば右に90度回転動作させて画像が90度左に回転した後、再度右に90度回転させた場合でも一回目の回転動作以上は画像が回転しないように構成されているものもあるためである。但し、下側になる位置又は上側になる位置を始点とし他方を終点とする(つまり表示画面の上部の向き又は下部の向き)を検出することが好ましい。
向き検出部19として設けるセンサとしては、既存の技術を利用すればよく、例えば3軸加速度センサや、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、及び3軸地磁気センサを有する9軸モーションセンサや、3軸加速度センサ及び3軸(又は2軸)地磁気センサを有するモーションセンサなどが挙げられる。
向き検出部19は、スタンドに立てた場合、水平面にやや角度をつけて水平面上に置くために出し入れ可能に設けたツメ等を出して置いた場合、ユーザが水平面に対して角度をつけて手に保持した場合などは、自動的にセンサで表示画面の上部又は下部の向き(又は上下方向)を検出すればよい。
向き検出部19が、表示画面における画像を回転させるユーザ設定を受け付けることによって生じる向きの変化を検出する場合について説明する。この場合、表示装置1は、ユーザ操作によっても回転処理が可能に構成されており、ユーザ操作による回転処理(回転させるユーザ設定)で生じた結果としての表示画面の上部又は下部の向きを画面向き記憶部18に記憶させておき、向き検出部19は、それを読み出すことで検出を実行すればよい。
また、主制御部10は、ユーザが表示装置1を回転動作させることによる上記センサでの検出結果の変化、若しくは表示画面における画像を回転させるユーザ設定を受け付けることによる変化に応じて、表示画面に表示中の画像を回転させる回転制御を行う画像回転部を有する。
センサの変化に応じた回転制御としては、例えばほぼ表示面に水平な面上で所定角度以上回転させた場合に、表示中の画像を回転させるようにすればよい。なお、回転制御に際しては、アニメーション的に徐々に画像の回転がなされるように、例えば上記検出結果の変化量に応じて表示画像の回転量を決めるようにしておいてもよい。また、表示装置1の表示面が、例えば水平面上から所定角度(例えば5°〜45°程度)以上傾いている場合にのみ、上記センサが一定以上回転したか否かを検出するように(或いは回転制御を実行するように)しておけば、例えばテーブル等の水平な場所に載置している状態の表示装置1をいくら回転させたとしても回転制御が実行されることはない。
画面向き記憶部(画面向き保持部)18は、上述したように上記センサの検出結果やユーザ設定を保持する記憶部であり、主制御部10における上記記憶装置と同様、EEPROMやフラッシュROM等で構成することができる。画面向き記憶部18は、向き検出部19の検出結果である(又はユーザ操作により決定された)現在の表示装置1の設置の向き、映像ソースが縦長/横長か、黒帯付きか否の情報を保持する。
次にソース機器2について説明する。ここでは、本発明に係るソース機器が、スマートフォン、モバイルPC、タブレット端末等の携帯端末装置であることを前提にして説明するが、ソース機器2にも画像を表示する表示部を備え、基本的に画像を回転する回転処理や画像に黒帯部分を付加する処理が可能であるものとする。このような回転処理を備えた装置としては携帯型の装置が多いため、ソース機器2として携帯端末装置を挙げているが、設置型の装置であっても設置台に対して表示パネルを回転させることが可能なものも存在するため、本発明に係るソース機器2としては設置型の装置にも適用可能と言える。
また、ソース機器2は、画像処理部と、表示装置1に対して画像信号(映像信号)を送信(伝送)する送信部と、を備え、この画像処理部で処理後の画像を上記表示部に表示させる。なお、このような表示制御は、例えばソース機器2の制御部が行えばよい。
ソース機器2側の上記画像処理部は、ソース機器2の内部の記憶装置に格納された写真や動画や文書等のファイルの画像やUI画像などの画像に対して、回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理といった画像処理を施す。
ここで、上記回転処理は、後述の向き検出部29で検出された表示画面の上部又は下部の向きと上記内部の記憶装置に格納された画像の上部又は下部の向きが一致するように回転させる処理である。画像を表示するに際しては、その画像を表示させるアプリケーションプログラムによっては縦表示又は横表示に表示方向が固定されるものも存在している。スケーリング処理は、アスペクト比を維持して上記表示画面に最大に表示するようにスケーリングを行う処理である。黒帯処理は、黒帯部分の付与若しくは除去を行う処理である。
図1で例示するソース機器2には、上記表示部の一例として映像を表示する映像表示部21が設けられ、上記送信部の一例として、TMDS信号処理部25、MHL I/F26、及びCBUS信号処理部27が設けられ、上記画像処理部の一例として映像変換処理部24が設けられている。
また、図1で例示するソース機器2には、上記制御部の一例として主制御部10が設けられている。なお、映像変換処理部24から出力された映像が映像表示部21に表示されるように構成されており、主制御部20は、映像変換処理部24を制御することで間接的に映像表示部21での表示を制御するものとして説明する。
映像表示部21は、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の表示パネルである。映像変換処理部24は、映像処理として、映像の回転処理、映像のスケーリング処理、映像から黒帯部分を付与/除去する処理を実行することが可能に構成されている。
TMDS信号処理部25は、表示装置1に送信対象の映像信号をTMDS信号に変換する。MHL I/F26は、MHLの接続インターフェースであり、このように変換されたTMDS信号をMHLケーブル3経由で表示装置1に送信する。CBUS信号処理部27は、MHL I/F26を介し、接続された表示装置1とCBUSの信号(制御信号)のやり取りを行う。
主制御部20は、プログラム保存領域に格納されたプログラムを動作させ、各種制御を行う。例えば主制御部20は、CPU又はMPU、作業領域としてのRAM(Random Access Memory)、及び記憶装置などの制御デバイスで構成され、その一部又は全部を集積回路/ICチップセットとして搭載することもできる。
この記憶装置には、制御プログラム(上記アプリケーションプログラムや本発明に係る処理を実行するプログラムを含む)をはじめ、上述したUI画像、各種設定内容、写真や動画像や文書等のファイルなどが記憶される。この記憶装置としては、フラッシュROMやEEPROM等が挙げられ、後述の画面向き記憶部18もこの記憶装置の一部として構成することもできる。ソース機器2の種類によっては、この記憶装置としてHDDを採用することもできる。
その他、図1で例示するソース機器2は、表示装置1の各部と或る程度同様の構成を有する。つまり、図1のソース機器2は、ソース機器2の制御部の一例である主制御部20、タッチ入力部22、キー入力部23a、UI処理部23b、画面向き記憶部28、及び向き検出部29を備える。
キー入力部23aは、キー入力部13aと同様に、ハードウェアキーを有し、そのキーからの操作の入力を検出する。UI処理部23bは、UI処理部13bと同様に、そのキー操作の入力によりOSDを表示し、ソース機器2についての各種設定を行う。
タッチ入力部22は、タッチ入力部12aと同様に、ユーザによるタッチ入力を検出するタッチセンサで構成され、映像表示部21の上面に設けられるか、映像表示部21に組み込まれる。タッチ入力部22は、タッチ入力部12aと異なり、常に主制御部20にタッチ情報を出力する。ソース機器2には、表示装置1のタッチ変換処理部12bに対応する部位は不要である。映像表示部21には、写真や動画や文書等のファイルの画像や上記のUI画像などが表示されており、ユーザはその表示内容を見ながら表示画面の所定位置をタッチすることになる。そのタッチをタッチ入力部22が検出し、その検出結果をタッチ情報として主制御部20に出力すればよい。映像表示部21に、ソース機器2の内部のUI画像等の画像が表示されていた場合には、タッチ入力部22で検出したタッチ位置に対応するUI画像等の画像に関する処理が実行される。また、UI画像の場合、タッチの検出により必要に応じてUI画像の遷移がなされる。
なお、後述する第2の実施形態での説明のために、またユーザの操作性を向上させるために、タッチセンサを設けたソース機器2の例を挙げているが、ソース機器2は、ユーザ操作を受け付ける操作部として、ハードウェアキーを有するキー入力部23aのみを設け、タッチセンサを設けなくてもよい。
向き検出部29は、向き検出部19と同様に、上記表示画面の向き(自身の回転状態)を検出する。但し、当然のことながら、検出対象となる表示画面はソース機器2の表示部(映像表示部21で例示)の表示画面となる。その他の点は向き検出部19と基本的に同様であり、その説明を省略する。
また、主制御部20は、主制御部10の画像回転部と同様に、ユーザがソース機器2を回転動作させることによるセンサでの検出結果の変化、若しくは表示画面における画像を回転させるユーザ設定を受け付けることによる変化に応じて、表示画面に表示中の画像を回転させる回転制御を行う画像回転部を有する。
画面向き記憶部28は、画面向き記憶部18と同様の記憶部であり、向き検出部29の検出結果である(又はユーザ操作により決定された)現在のソース機器2の設置の向き、映像ソースが縦長/横長か、黒帯付きか否の情報を保持する。また、画面向き記憶部28は、主制御部20における上記記憶装置と同様、EEPROMやフラッシュROM等で構成することができる。
次に、本発明の主たる特徴について説明する。本発明の主たる特徴の1つとして、表示装置1の上記受信部は、画像信号と共に、画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き(送信画像が回転させたものであるか否か)並びにその送信画像における黒帯部分の有無(黒帯部分の付与の有/無、つまり送信画像に黒帯部分を挿入しているか否か)を示す状態情報を受信する。
換言すれば、表示装置1に対して画像信号を送信するソース機器2は、画像信号と共に、画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びにその送信画像における黒帯部分の有無を示す状態情報を送信する。
そして、本発明の主たる特徴の1つとして、映像変換処理部14で例示した表示装置1の上記画像処理部は、送信画像に対して、向き検出部19での検出結果と上記受信部で受信した状態情報とに応じて、回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理のいずれか1又は複数の処理を施す。映像変換処理部14は、主制御部10からの検出結果及び状態情報の通知により、又は主制御部10での実行処理の決定に従い、回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理のいずれか1又は複数の処理を施せばよい。
映像変換処理部14は、検出結果と状態情報とによっては、3つの処理のうち全ての処理が実行されることもあるし、全ての処理が不要である場合もある。但し、ソース機器2の表示画面を表示装置1の表示画面で表示させようとする場合、前者と後者のサイズが同じであることは有益とは言えず、前者の方が後者より狭いことが通常であるため、そのようなケースにおいては基本的に少なくともスケーリング処理は実行されることになる。
表示装置1の表示画面の向き(表示装置1の配置の方向)は、上述したように画面向き記憶部18に保持される。また、映像ソースとなるソース機器2から送信された送信画像について、縦長/横長、黒帯があるか否かの情報は、送信画像が伝送される最初のタイミング又は送信画像が切り替わるタイミングで、MHL I/F16及びCBUS信号処理部17経由でソース機器2から通知され、その情報も画面向き記憶部18に保持しておく。これら、画面向き記憶部18に保持された情報を用い、映像変換処理部14は送信画像に対して、必要に応じて回転処理、スケーリング処理、黒帯処理を実行する。
次に、このような制御について、図2A〜図2C及び図3A〜図3Hを参照しながら説明する。図2Aは、ソース機器2側から送信(出力)される送信画像(出力画像)の一例を示す図で、図2B,図2Cはいずれも図2Aとは異なる他の例を示す図である。また、図3Aは、ソース機器2側の表示画面及びそれに対応する表示装置1側の表示画面の一例を示す図で、図3B〜図3Hはいずれも図3Aとは異なる他の例を示す図である。
図2A〜図2C及び図3A〜図3Hでは、映像ソースとなるソース機器2がスマートフォンであり、その映像を表示させる表示装置1がタブレット型のモニタであるような例を挙げている。
また、説明の簡略化のため、表示装置1は、縦長における配置が横長の状態から画像を右90度回転した状態(つまり表示装置1自体を左90度回転させた状態)である場合を例に挙げて、処理の流れを説明する。ソース機器2での回転についても同様の場合を例に挙げる。また、図2A〜図2Cにおいて、Opは実画像(黒帯部分付加無しの画像)の原点とし、縦画像の場合には上左端を示し、横画像の場合には下左端を示している。なお、逆に表示装置1及び/又はソース機器2が、縦長における配置が横長の状態から画像を左90度回転である場合にも、同様の考え方で説明できるため、その説明は省略する。
まず、ソース機器2では、その表示画面の映像を外部の表示装置1に出力する場合に、横置きの画面については、図2Aの画像2Lで例示するようにそのまま出力する。しかし、ソース機器2は、縦置きの画面については、図2Aの画像2Pで例示するようにそのまま出力せずに、その方向が表示の際のアプリケーションにより規定されていない場合には横置きの画面(画像2L)として出力する。なお、この状況では、ソース機器2の内部では画像2Lでデータを保持し、それを回転させて画像2Pとして映像表示部21で表示させている場合もある。一方で、縦置きの画面でアプリケーションにより縦置きと規定されている場合には、実画像2pの左右端に黒帯部分を付加し、図2Bで例示するような画像2PBを生成してそれを出力する。
また、ソース機器2は、縦置きの画面で且つ表示の際のアプリケーションにより横置きと規定されている場合には、映像表示部21において、実画像に対して上下端に黒帯部分が付加された図2Cで例示する画像2LBのような画像が表示されていることになる。その場合にも、ソース機器2は、図2Cで例示する画像2LBRのような横画像として出力することになる。
本発明に係る表示装置1では、上述したようにソース機器2と同様に表示画面が縦横の回転可能になっているが、自身のその回転を示す情報とソース機器2からの出力映像の上記状態情報に応じて、表示装置1側で映像変換処理部14が映像処理を行い最適な画面を構成する。
最適な画面構成とは基本的にソース機器2におけるユーザの視聴状態と同じ状態(ユーザが見る向きが同じ状態)の画面構成を指す。つまり、表示画面の画像が回転可能な表示装置1においては、ソース機器2の表示画面と表示装置1の設置の向きによって、図3A〜図3Hで例示するような画面を構成することが望まれる。
上述したように、MHL規格(又はHDMI規格)では、縦横の置き方に拘わらず720pでの出力が広く用いられる。また、ソース機器2は、MHLケーブル3を接続している状態では、横置き設置固定で画面を構成することになる。よって、縦画面しかないアプリケーション使用時には、画像の左右端に黒帯部分(黒画面)を入れて、720pにスケーリングされて表示される。
このようにソース機器2からの送信画像が常に横置きの画像であるため、図3A〜図3Hのうち、従来のソース機器をはじめソース機器2が画像出力として対応しているのは、つまり表示装置1の画面が横置きでも送信画像のままの正しい向きで実画像を表示できるのは、図3A、図3C、図3E、図3Gの場合に限られる。なお、特に説明しないが、スケーリング処理は上述のように必要となり、表示画面のサイズの違いにより黒帯処理も場合によっては必要となる。
図3Aの場合には、ソース機器2からは表示画像2aに対して図2Bの画像2PBのような黒帯部分が付加された画像が送信され、横置きの表示装置1での表示画像1aは表示画像2aに対応する実画像1aaとその左右端に付加された黒帯部分1abとで構成されることになる。
図3Bで例示するように、表示装置1の映像表示部11側が縦置き(縦長の表示画面)となる場合には、ソース機器2からは表示画像2aに対して図2Aの画像2Lのような横置きの実画像になるように画像回転が施されてから画像送信がなされる。そして、表示装置1での表示画像1aは、受信した表示画像2aを右90度に回転させた画像となり、ソース機器2の映像表示部21における縦長の表示画面に表示されたままの縦長の画像となる。
図3Cの場合には、ソース機器2からは表示画像2bに対して図2Aの画像2Lのような実画像そのままが送信され、横置きの表示装置1での表示画像1bは表示画像2bに対応する実画像のみで構成されることになる。
一方で、図3Dの場合には、ソース機器2のハードウェアの制限により、表示画像2bに対して表示装置1で表示画像1bとなるように変換を行ってから出力するようなことは困難な場合がある。動画再生アプリケーションなど、映像をハードウェアで処理していて、画面の回転をサポートしていない場合などが挙げられる。実際、動画像を表示させるアプリケーションでは動画像の復号をハードウェア構成のデコーダで実行するように構成されることが多く、そのような構成では、入力された映像を縮小して表示させる処理や回転させて表示させる処理に対応していない。
よって、図3Dの場合、表示画像2bがそのまま表示装置1に出力され、表示装置1側で結果的に、表示画像1bが表示画像2bに対応する実画像1baの上下端に黒帯部分1bbを付加したようになる変換を、表示装置1の映像変換処理部14で実行すればよい。
図3Eの場合には、ソース機器2では表示画像2c自体が画像2caの上下端に黒帯部分2cbが付加された状態であり、このような表示画像2cが図2Cの画像2LBRのような横置きの画像になるように画像回転が施されてから画像送信がなされる。そして、図3Eの場合のように縦置きの表示装置1では、表示画像1cは表示画像2cが黒帯部分を残したままの画像となり、ソース機器2の映像表示部21における縦長の表示画面に表示されたままの縦長の画像となる。
図3Fで例示するように、表示装置1の映像表示部11側が横置き(横長の表示画面)となる場合には、図3Eの場合と同様に、ソース機器2からは表示画像2cに対して図2Cの画像2LBRのような横置きの画像になるように画像回転が施されてから画像送信がなされる。そして、図3Fのような横置きの表示装置1では、表示画像1cは、受信した表示画像2cから黒帯部分2cbを除去した画像となり、ソース機器2の映像表示部21における実画像2caのみが表示されたままの横長の画像となる。よって、このような黒帯除去処理を表示装置1の映像変換処理部14で実行すればよい。
図3Gの場合には、ソース機器2では表示画像2d自体が画像2daの左右端に黒帯部分2dbが付加された状態であり、このような表示画像2dが図2Cの画像2LBRのような横置きのまま画像送信がなされる。そして、図3Gのような横縦置きの表示装置1では、表示画像1dは表示画像2cが黒帯部分を残したままの画像となり、ソース機器2の映像表示部21における横長の表示画面に表示されたままの横長の画像となる。
図3Hで例示するように、表示装置1の映像表示部11側が縦置き(縦長の表示画面)となる場合には、図3Gの場合と同様に、表示画像2d自体が画像2daの左右端に黒帯部分2dbが付加された状態であり、このような表示画像2dが図2Cの画像2LBRのような横置きのまま画像送信がなされる。そして、図3Hのような縦置きの表示装置1では、表示画像1dは、受信した表示画像2dから黒帯部分2dbを除去した画像となり、ソース機器2の映像表示部21における実画像2daのみが表示されたままの縦長の画像となる。よって、このような黒帯除去処理を表示装置1の映像変換処理部14で実行すればよい。
このようないずれの場合にも対応できるように、ソース機器2では、画像信号と共に状態情報(画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びにその送信画像における黒帯部分の有無を示す情報)を送信し、表示装置1がその状態情報を受信し、その状態情報と表示装置1における向き検出部19での検出結果とに応じて、回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理のいずれか1又は複数の処理を施す。
次に、このような処理(映像を回転するか否かの判定処理を含む)の一例について、図4、図5A、及び図5Bを参照しながら説明する。図4は、表示装置1の処理例を説明するためのフロー図である。また、図5Aは図4の処理における画像変換処理の一例を説明するための図で、図5Bは図4の処理における画像変換処理の他の例を説明するための図である。表示装置1についてここで説明する処理は、基本的に主制御部10又は映像変換処理部14が実行するものとする。
表示装置1は、ソース機器2からの送信映像が黒帯付きか否かを判定する(ステップS1)。図2A〜図2Cで説明すると、送信画像及び画像の向きは、画像2P、画像2L、画像2PB、画像2LB、画像2LBRのいずれかの状態となる。但し、ここでは、図2A〜図2Cで言うところの原点Opは考慮せず、図示する画像の上部の向きがそのまま向きを示す状態情報として含まれていると仮定して説明している。よって、ステップS1では、画像2PB、画像2LB、画像2LBRのような映像の場合にはYESと判定され、画像2P、画像2Lのような映像の場合にはNOと判定される。
ステップS1でYESの場合、つまり黒帯部分が付加された映像であると判定した場合、表示装置1は、映像の向きと表示装置1の向き(画面の向きであって状態情報が示す向き)が一致しているか否かを判定する(ステップS2)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には、画像2PB、画像2LBRがYESと判定され、画像2LBがNOと判定される。逆に、表示装置1の表示画面の向きが横である場合には、画像2LBがYESと判定され、画像2PB、画像2LBRがNOと判定される。
ステップS2でYESの場合、表示装置1は黒帯部分を除去し、表示画面で最大になるようにスケーリング処理を施して映像を出力する(ステップS3)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には、画像2PB、画像2LBRのいずれが送信されてきた場合でも、送信画像から黒帯部分を除いた実画像を拡大したような映像が表示されることになる。表示装置1の表示画面の向きが横である場合には、画像2LBが送信されてきており、送信画像から黒帯部分を除いた実画像を拡大したような映像が表示されることになる。
ステップS2でNOの場合、表示装置1は、そのまま表示画面で最大になるようにスケーリング処理を施すだけで映像を出力する(ステップS5)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には、画像2LBが送信されてきており、その送信画像を拡大した映像が表示されることになる。表示装置1の表示画面の向きが横である場合には、画像2PB、画像2LBRのいずれが送信されてきた場合でも、その送信画像を拡大したような映像が表示されることになる。
例えば、図2Bの画像2PBとして図3Hや図3Gの画像2dが送信される場合、そのまま(実際には720pに縮小された状態で)ソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯有り及び縦向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯有りであるためステップS1でYESとなり、図3Hのように表示装置1の表示画面の向きが縦である場合にはステップS2でYESとなり、ステップS3に進む。
従って、表示装置1では、受信した図3Hの画像2dに対し、黒帯部分2dbを除去して実画像2daだけ残し、その後、スケーリング処理して図3Hの画像1dを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Hのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
一方で、図3Gのように表示装置1の表示画面の向きが横である場合にはス、テップS2でNOとなり、ステップS5に進む。従って、表示装置1では、受信した図3Gの画像2dに対し、そのままスケーリング処理して図3Gの画像1dを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Gのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
また、図2Cの画像2LBRとして図3Eや図3Fの画像2cが送信される場合、実際にはこの画像2cが横向き状態で且つ720pに縮小された状態でソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯有り及び横向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯有りであるためステップS1でYESとなり、図3Fのように表示装置1の表示画面の向きが横である場合にはステップS2でYESとなり、ステップS3に進む。
従って、表示装置1では、受信した図3Fの画像2d(受信画像は画像2LBRのように横向き)に対し、黒帯部分2cbを除去して実画像2caだけ残し、その後、スケーリング処理して図3Fの画像1cを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Fのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
一方で、図3Eのように表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には、ステップS2でNOとなり、ステップS5に進む。従って、表示装置1では、受信した図3Eの画像2d(受信画像は画像2LBRのように横向き)に対し、そのままスケーリング処理して図3Eの画像1cを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Eのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
ステップS1でNOの場合、つまり黒帯部分が付加されていない映像であると判定した場合、表示装置1は、入力映像と画面の向きが一致しているか否かを判定する(ステップS4)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には、画像2PがYESと判定され、画像2LがNOと判定される。逆に、表示装置1の表示画面の向きが横である場合には、画像2LがYESと判定され、画像2PがNOと判定される。
ステップS4でYESの場合、表示装置1は、そのまま(但し、入力映像の向きのまま)表示画面で最大になるようにスケーリング処理を施すだけで映像を出力する(ステップS5)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には画像2Pが送信されてきており、表示装置1の表示画面の向きが横である場合には画像2Lが送信されてきており、いずれの場合でも、その送信画像を拡大したような映像が表示されることになる。
図2Bの画像2Pとして図3Bの画像2aが送信される場合、実際にはこの画像2aが横向き状態で且つ720pに縮小された状態でソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯無し及び縦向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯無しであるためステップS1でNOとなり、図3Bのように表示装置1の表示画面の向きが縦である場合にはステップS2でYESとなり、ステップS5に進む。
従って、表示装置1では、受信した図3Bの画像2a(受信画像は画像2Lのように横向き)に対し、画像の向きは縦向きのまま(実際には送信された画像を右90度回転させた状態で)スケーリング処理して図3Bの画像1aを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Bのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
図2Bの画像2Lとして図3Cの画像2bが送信される場合、そのまま(実際には720pに縮小された状態で)ソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯無し及び横向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯無しであるためステップS1でNOとなり、図3Cのように表示装置1の表示画面の向きが横である場合にはステップS2でYESとなり、ステップS5に進む。
従って、表示装置1では、受信した図3Cの画像2bに対し、画像の向きは横向きのままスケーリング処理して図3Cの画像1bを生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Cのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
ステップS4でNOの場合、表示装置1は、入力映像の向きを状態情報から判定する(ステップS6)。表示装置1の表示画面の向きが縦である場合には画像2Lが送信されてきており、表示装置1の表示画面の向きが横である場合には画像2Pが送信されてきている。ステップS6では、入力映像が縦であるか否かを判定するものとして説明する。
ステップS6でYESの場合、つまり入力映像の向きが画像2Pのように縦長であった場合には、その映像を右90度に回転させる回転処理を施し、左右端に黒帯部分を付加した後、表示画面で最大になるようにスケーリング処理を施して、映像出力を行う(ステップS7)。
例えば、画像2Pとして図5Aの画像51が送信される場合、実際には画像52のように横向き状態で且つ画像53のように720pに縮小された状態でソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯無し及び縦向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯無しであるためステップS1でNOとなり、表示装置1の表示画面の向きが横である場合にはステップS4でNOとなり、縦向き画像であるためステップS6でYESとなる。
従って、表示装置1では、受信した画像53に対し、90度右回転させて画像54aを生成して左右端に黒帯部分54bを付加して画像54を生成し(或いは上下端に黒帯部分を付加してから90度右回転させて画像54を生成し)、スケーリング処理して画像55を生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Aのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
ステップS6でNOの場合、つまり入力映像の向きが画像2Lのように横長であった場合には、その映像を左90度に回転させる回転処理を施し、左右端に黒帯部分を付加した後、表示画面で最大になるようにスケーリング処理を施して、映像出力を行う(ステップS8)。
例えば、画像2Lとして図5Bの画像56が送信される場合、実際には画像57のように720pに縮小された状態でソース機器2から送信される。それ同時に、状態情報として黒帯無し及び横向き画像である旨の情報もソース機器2から送信される。その場合、黒帯無しであるためステップS1でNOとなり、表示装置1の表示画面の向きが縦である場合にはステップS4でNOとなり、横向き画像であるためステップS6でNOとなる。
従って、表示装置1では、受信した画像57に対し、90度左回転させて画像84aを生成して左右端に黒帯部分58bを付加して画像58を生成し(或いは上下端に黒帯部分を付加してから90度左回転させて画像58を生成し)、スケーリング処理して画像59を生成して表示装置1の映像表示部11に表示させる。これにより、図3Bのようなソース機器2及び表示装置1の表示状態にすることができる。
以上、本発明によれば、ソース機器2から送信された送信画像を表示装置1で表示するに際し、送信画像に黒帯部分が含まれる場合であっても、表示装置1の表示画面の向きに合うように、且つ表示画面全体を最大限利用した大きさでその黒帯部分を除く実画像を表示させることができる。無論、黒帯部分が含まれない場合であっても、表示画面の向きに合うように且つ表示画面全体を最大限利用した大きさで表示させることができる。
また、表示装置1は、上記受信部での画像信号の受信前に、表示装置1が回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理のそれぞれが実行可能であることを示す実行可能情報を、ソース機器2に通知することが好ましい。これにより、ソース機器2は特に表示装置1の能力を気にすることなく画像を状態情報と共に送信すればよいだけになる。なお、スケーリング処理の機能については、多くの表示装置でもっているため、特に通知しなくても有するものとソース機器2側で捉えるようにしておけばよい。換言すれば、わざわざ大きな画面の表示装置でソース機器2の表示画面の画像を表示させようとする場合には、表示装置側で拡大するような機能があることが前提になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、図6を参照しながら表示装置1の他の処理例を説明する。図6は、表示装置1の他の処理例を説明するための図である。
本実施形態の表示装置1は、図1で例示したようにタッチ機能を有することを特徴とする。つまり、表示装置1は、映像表示部11等の表示部に、ユーザ操作によりタッチされた位置を示すタッチ情報を出力するタッチセンサを有する。
このようなタッチ機能付きの表示装置1の場合、表示装置1側で上述のように送信画像に対して回転処理、スケーリング処理、黒帯処理を施すことで、ソース機器2側では、そのままのタッチ情報を伝送されると映像表示部21の表示画面とのずれが生じてしまう。
例えば、図3Hのような処理が施された場合について、図6を参照しながら説明する。図6で模式的に示すように送信画像に存在した黒帯部分62が除去され且つ回転処理が施されて実画像61だけが表示されている。そして、画像61は、図3Hの元の画像2dに対応していないため、画像61の例えば上部や下部、さらには左部や右部をタッチしても、ソース機器2側は黒帯部分2dbをタッチしたとして反応しない。回転処理と黒帯除去処理が施されているためである。また、表示装置1側で黒帯部分を付加した場合には、表示装置1側では黒帯部分を不感帯として取り扱うことになるが、元々送信画像では対応部分が存在しているため、ずれが生じる。
そのようなずれを無くすために、本実施形態の表示装置1は、タッチセンサからタッチ情報が出力された場合、映像表示部21等の表示部に表示された表示画像が表示装置1側で回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理(挿入/除去)のそれぞれを実行したものであるか否かに応じて、タッチ情報の座標を送信画像に一致させるように座標変換し、座標変換後のタッチ情報をソース機器2に通知する。
座標変換は画像がどのように変換されたかに応じてその逆変換を行うことで実行できる。単なる幾何学計算であるため、具体的例を挙げて説明しないが、タッチの座標は元の送信画像に合わせて、黒帯部分を除去した場合には除去した黒帯部分を加算、黒帯部分を付加した場合には付加した部分を減算し、その後、回転処理が施されている場合にはX座標とY座標の値を交換し原点座標変換を行う。スケーリング処理に対しては、拡大していれば座標を縮小する処理を施せばよい。
そして、上述のようにMHLケーブル3においてソース機器2の表示画面をミラーリングした映像を表示装置1に伝送するに際し、表示装置1が検出したタッチ情報はMHLケーブル3のCBUSラインの双方向データ通信においてソース機器2に通知する。これにより、ユーザはソース機器2の映像をミラーリングで表示している表示装置1において、ソース機器2をタッチによって操作することが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、図7、図8A、及び図8Bを参照しながら図1の表示システムの他の処理例を説明する。図7は、表示装置1の他の処理例を説明するためのフロー図である。また、図8A及び図8Bは、図1の表示システムにおいて適用可能な機器間でのネゴシエーション処理の一例を説明するための図である。
第1,第2の実施形態では、ソース機器2が黒帯部分を付けているか否かに拘わらず送信画像における実画像の向きを表示装置1の向きに必ず一致させる場合を示した。しかし、本実施形態では、表示装置1の設置の向き(表示画面の向き)をソース機器2側へのユーザ入力により設定可能するものとする。
無論、ユーザにソース機器2を操作させて直接入力設定させてもよいが、第2の実施形態のように、表示装置1からソース機器2をタッチで操作できる場合には、表示装置1の表示画面の向きを表示装置側のUIで設定する点は同じであるが、ソース機器2の表示画面を表示した状態でソース機器2に対して表示装置1の表示画面の向きを設定することもできる。いずれの場合でも、ソース機器2側において、例えば画面向き記憶部28で自身の画面向きとは別に表示装置1の表示画面の向きを保持すればよい。
そして、ソース機器2は、保持した表示装置1の表示画面の向きとソース機器2の現状の表示画面の向きが一致しない場合には、黒帯部分を付加して画像を出力させるようにすればよい。表示装置1側では、状態情報を見て黒帯部分が付加されていると判定した場合には、そのまま(必要に応じてスケーリング処理は施して)映像を表示させるようにすればよい。
このような処理の一例について、図7を参照しながら説明する。まず、表示装置1は、図4のステップS1と同様に送信映像に黒帯部分が付加されているか否かを判定し(ステップS11)、黒帯部分が付加されていれば(YESの場合)、ソース機器2側で映像処理済みであるとみなし、そのまま表示画面を最大限使用するようなスケーリング処理を施して映像を出力する(ステップS12)。黒帯部分が付加されていない場合(ステップS11でNOの場合)の処理については、図4のステップS4〜S8で説明した通りであり、その説明を省略する。
また、本実施形態では、ソース機器2側の黒帯処理機能だけでなく回転処理の機能を利用するように構成することもできる。それを可能とするため、表示装置1のようなシンク機器となる表示装置は自身が回転処理、黒帯処理を実行可能であるか否かを予めソース機器2側に通知しておく。なお、スケーリング処理の機能については、多くの表示装置でもっているため、特に通知しなくても有するものと捉えればよい。
第1の実施形態では、表示装置1が、上記受信部での画像信号の受信前に、表示装置1が回転処理、スケーリング処理、及び黒帯処理のそれぞれが実行可能であることを示す実行可能情報(例えばそれぞれを第1、第2、第3の実行可能情報とする)を、ソース機器2に通知する例を挙げた。この通知と同様に、表示装置は、実行可能である処理についてだけ実行可能情報をソース機器2に通知するようにすればよい。なお、第1の実施形態で説明したように第2の実行可能情報については通知しないようにしてもよい。
実際、表示装置において、表示装置1のように回転処理や黒帯処理の機能をもたせることはコストの高い集積回路を使用することが必要であるため、安価な集積回路を利用する表示装置では回転処理や黒帯処理の機能がないものも混在し得る。そのため、表示装置1は、回転処理及び黒帯処理(及びスケーリング処理)の機能を有することを示す情報をソース機器2に通知するとよい。
これにより、ソース機器2は、3つの全ての処理が可能な表示装置1だけではなく、接続された表示装置の能力を知ることができる。そして、この通知を受け取ったソース機器2は、その通知が示す内容に従って、必要に応じてソース機器2側で回転処理、黒帯処理を実行すればよい。
つまり、ソース機器2は、第1の実行可能情報、(第2の実行可能情報、)第3の実行可能情報が表示装置から通知されたか否かに応じて、送信対象の画像を変換し、画像信号として変換後の画像の信号を表示装置に送信し、画像信号と共に状態情報(画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びに送信画像における黒帯部分の有無を示す情報)を表示装置に送信するようにすればよい。そして、表示装置側は、表示装置1と同様に(但し、3つの処理のうち不可能な処理については実行しなくてもよくなっている)状態情報と向き検出部19の検出結果に応じて、実行可能な処理のうち必要な処理を実行することで適切な画面構成とすることができる。
この処理の詳細については説明を省略するが、表示装置側にない機能についてはソース機器2側で対応するため、図3A〜図3Hで説明したようないずれの場面にも対応させることができる。
次に、図8A及び図8Bを参照しながら、図1の表示システムにおいて適用可能な、機器間でのネゴシエーション処理の一例について説明する。ここで説明するネゴシエーション処理は、上述のような実行可能情報のソース機器2への通知も含めた処理であるが、単なる一例に過ぎず、他の処理方法を採用することもできる。
なお、ここで説明するネゴシエーション処理自体を実行しなくても、ソース機器2から通知された状態情報に応じて3つの処理(回転処理、スケーリング処理、黒帯処理)が可能な表示装置1であれば、単にソース機器2から状態情報を通知するようにしておくだけで、表示装置1側で適切な画面が構成できる。この点は第1,第2の実施形態で説明した通りである。
以下に例示する処理は、ソース機器2と表示装置1のような表示装置との間における、ソース機器2から表示装置への画面出力の設定に関するネゴシエーション処理である。ソース機器2からの送信画像は、上述したように1280×720といった横長の画像であるため、状態情報の一部として説明したように実画像の縦横の情報を表示装置側に渡す必要がある。また、表示装置側で黒帯処理に対応させるために、ネゴシエーションの際にやり取りするフラグを追加する必要がある。
表示装置側からソース機器2に通知するフラグは、(I)表示装置の縦横設定フラグ、(II)表示装置の能力フラグである。表示装置側で表示画面の縦横の設定をもっている場合は上記(I)のフラグをソース機器2に通知する。図8A,図8Bの例では、設定無しを「0」、横向きの表示画面である場合を「1」、縦向きの表示画面である場合を「2」とし、設定無しの場合も通知するものとする。
また、表示装置側で黒帯部分の付加や除去の対応が可能か否かを上記(II)のフラグでソース機器2に通知する。図8A,図8Bの例では、全画面表示のみが可能な場合を「0」、全画面表示だけでなく縦表示に左右側に黒帯部分を付加する機能も有する場合を「1」、全画面表示だけでなく横表示に上下側に黒帯部分を付加する機能も有する場合を「2」、全画面表示だけでなく縦表示に左右側に黒帯部分を付加する機能と横表示に上下側に黒帯部分を付加する機能も有する場合を「3」とする。
ソース機器2側から表示装置に通知するフラグは、(III)ソース機器2側の縦横設定フラグ、(IV)ソース機器2からの出力画面フラグである。ソース機器2側での縦横の設定を、上記(III)のフラグで表示装置に通知する。図8A,図8Bの例では、横向きに固定の表示画面である場合を「1」、縦向きに固定の表示画面である場合を「2」、設定無しの場合を「0」とする。
また、ソース機器2から出力される画面が縦表示のものか横表示のものかを上記(IV)のフラグで表示装置に通知する。図8A,図8Bの例では、横向き(横表示がユーザから見て正位置)である場合を「0」、縦向き(縦表示がユーザから見て正位置)である場合を「1」とする。上記(IV)のフラグは、上記状態情報のうち送信画像の上部又は下部の向きを示す情報に該当する。また、上記(III)のフラグは、上記(IV)のフラグを考慮すると、上記状態情報のうち黒帯部分の有無の情報に該当する。
ネゴシエーション処理の手順について説明する。まず、(1)表示装置が初期ネゴシエーションパケットに上記(I),(II)のフラグを付加してソース機器2に送信する。
次いで、(2)ソース機器2は上記(I),(II)のフラグが示す情報及びソース機器2内部の状態(ソース機器側の縦横設定メニューと、アプリケーションにおける表示向きの設定[Orientation設定])から出力する画面状態を決定する。
この決定に際しては、縦横設定が表示装置側の上記(I)とソース機器2側の上記(III)の両方で設定されている場合は、ソース機器2側の上記(III)の設定を優先する。
また、通常は縦横設定に応じて、図2Aの画像2Lのように全画面で出力するように画面状態を決定する。一方で、縦横設定が横固定の「1」、且つアプリケーションが縦固定の場合で、上記(II)が左右黒帯非対応(つまり「0」又は「2」)の場合には、図5Aで例示して説明した処理のうち最後のスケーリング処理(及び表示装置の向きに合わせた表示処理)以外をソース機器2側で行う。つまり、ソース機器2側で720/1280に縮小し、右90度回転して左右に黒帯部分を入れ、図2Bの画像2PBのようにして出力する。
また、縦横設定が縦固定の「2」、且つアプリケーションが横固定で、上記(II)が上下黒帯非対応(つまり「0」又は「1」)の場合には、図5Bで例示して説明した処理のうち最後のスケーリング処理(及び表示装置の向きに合わせた表示処理)以外をソース機器2側で行う。つまり、ソース機器2側で720/1280に縮小し、左90度回転して左右に黒帯部分を入れ、図2Cの画像2LBRのようにして出力する。なお、このような処理が不可能な場合には横全画面で出力すればよい。
次いで、(3)ソース機器2は出力する画面の状態として、上記(III),(IV)のフラグを付加したネゴシエーションパケットを表示装置に応答する。なお、ソース機器2側で画面出力状態や設定が変更された場合は、その都度、上記(3)のネゴシエーションパケットで表示装置に通知すればよい。
次いで、(4)表示装置は、上記(III),(IV)のフラグ及び自身の状態である上記(I),(II)のフラグが示す情報から表示装置側で必要な対応(画面回転/黒帯付加)を判断して画面表示する。ここで、通常、表示装置側は入力画面のまま全画面で表示するものとする。例えば、上記(II)のフラグに関係なく、ソース機器2と表示装置のいずれも縦横設定がない場合は、ソース機器2の表示状態のまま全画面で表示する。なお、ソース機器2で上記(III)のフラグを出力不可の場合は、表示装置をユーザが回転させたりした向きについての上記(I)のフラグに基づき出力すればよい。
縦横設定が横固定の「1」、且つ上記(IV)が縦向きの「1」で、且つ上記(II)が左右黒帯対応可能(「1」又は「3」)の場合について説明する。この場合には、図8A,図8Bにおいて★印で示した場合であり、図5Aで例示して説明したように、表示装置側で720/1280に縮小し、右90度回転し、左右に黒帯部分を入れて表示させる。
縦横設定が縦固定の「2」、且つ上記(IV)が横向きの「0」で、且つ上記(II)が上下黒帯対応可能(「2」又は「3」)の場合について説明する。この場合には、図8A,図8Bにおいて◆印で示した場合であり、図5Bで例示して説明したように、表示装置側で720/1280に縮小し、左90度回転し、左右に黒帯部分を入れて表示させる。
また、以上の例では、表示装置の回転が0度か90度しかなく、−90度などはないことを前提に説明した。しかし、回転フラグをもう1つ追加することで4方向の回転に対応させることができる。
(その他)
以上、本発明に係る表示装置、ソース機器、表示システムについて説明したが、処理の流れをフロー図で例示したように、本発明は、表示部と、上記表示部の表示画面の上部又は下部の向きを検出する向き検出部と、ソース機器より送信される画像信号を受信する受信部と、画像処理部と、を備え、上記画像処理部で処理後の画像を上記表示部に表示させる表示装置における表示方法や、その表示方法をコンピュータ(表示装置の制御部)に実行させるためのプログラムとしての形態も採り得る。
この表示方法は、上記受信部が、上記画像信号と共に、上記画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びに上記送信画像における黒帯部分の有無を示す状態情報を受信する受信ステップと、上記画像処理部が、上記送信画像に対して、上記向き検出部での検出結果と上記受信ステップで受信した上記状態情報とに応じて、上記表示画面の上部又は下部の向きと上記受信ステップで受信した上記送信画像の上部又は下部の向きが一致するように回転させる回転処理、アスペクト比を維持して上記表示画面に最大に表示するようにスケーリングを行うスケーリング処理、及び黒帯部分の付与若しくは除去を行う黒帯処理のいずれか1又は複数の処理を施す処理ステップと、を有する。その他の応用例については、表示装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
上記プログラムは、換言すると、この表示方法を、上記表示部及び上記向き検出部を備えたコンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、このプログラムは、上記コンピュータに、上記画像信号と共に、上記画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びに上記送信画像における黒帯部分の有無を示す状態情報を受信する受信ステップと、上記送信画像に対して、上記向き検出部での検出結果と上記受信ステップで受信した上記状態情報とに応じて、上記表示画面の上部又は下部の向きと上記受信ステップで受信した上記送信画像の上部又は下部の向きが一致するように回転させる回転処理、アスペクト比を維持して上記表示画面に最大に表示するようにスケーリングを行うスケーリング処理、及び黒帯部分の付与若しくは除去を行う黒帯処理のいずれか1又は複数の処理を施す処理ステップと、を実行させるためのプログラムである。その他の応用例については、表示装置について説明した通りであり、その説明を省略する。
また、本発明は、上記表示装置に対して画像信号を送信するソース機器における送信方法や、その送信方法をコンピュータ(ソース機器の制御部)に実行させるためのプログラムとしての形態も採り得る。この送信方法は、上記画像信号と共に、上記画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びに上記送信画像における黒帯部分の有無を示す状態情報を送信するステップを有する。その他の応用例については、ソース機器について説明した通りであり、その説明を省略する。
ソース機器側の上記プログラムは、換言すると、この送信方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。すなわち、このプログラムは、上記コンピュータに、上記画像信号と共に、上記画像信号が示す送信画像の上部又は下部の向き並びに上記送信画像における黒帯部分の有無を示す状態情報を送信するステップを実行させるためのプログラムである。その他の応用例については、ソース機器について説明した通りであり、その説明を省略する。