JP5801723B2 - ネオポンコラノール類の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ネオポンコラノール類の製造方法に関するものである。更に詳細には、この発明は、グルコシダーゼに対して阻害活性を有するネオポンコラノール類の製造方法に関するものである。
糖尿病患者は、年々増加の一途を辿り、特に先進国で増加している。日本でも、境界領域のいわゆる糖尿病予備軍を含めるとその総数は約2200万人を超えると言われている。またその数は増えつつあり、大きな社会問題ともなっている。さらに糖尿病患者の増加に伴い、当然のことながら合併症を併発する患者や腎臓透析を強いられる患者も増加することになり、それらの治療に要する医療費を含む莫大な社会保障費の急激な増加は看過できない緊急を要する重大課題であることは明らかである。
このような緊急かつ重大な課題を解決する最善の手段は、勿論のこと、日常生活において、生活習慣に気を配り、血糖値をコントロールして糖尿病にならないように予防することである。しかしながら、図らずも糖尿病や糖尿病前症と診断された患者には、食事療法や運動療法などに加えて、必要に応じて、薬物療法などが適用されることになる。
しかし、薬物療法による糖尿病の治療といっても、糖尿病に起因する神経障害、網膜症、腎臓障害などの厄介な合併症を患う患者も多く、その治療には多種多様な医薬品が適用されているが、静注インスリン製剤や血糖降下剤などの医薬品が用いられている。血糖降下剤としては、当初、膵臓ランゲルハンス島を刺激してインスリンの分泌を高めるスルホニルウレア系薬剤と、糖利用の増大ならびに糖新生の抑制作用を有するビグアナイド系薬剤が主流であったが、その後、二糖類から単糖への分解を抑制するα−グルコシダーゼ阻害剤が第一選択薬として用いられるようになっている。かかるα−グルコシダーゼ阻害剤としては、一般名ボグリボース (voglibose) やアカルボース (acarbose) などが現在使用されている。
また、α−グルコシダーゼ阻害活性を有する物質として、吉川、村岡らは、インドやスリランカにおける伝統医学であるアーユル・ヴェーダにおいて糖尿病の治療に古くから使用されていたサラシア属植物(Salacia reticulata) から、サラシノール (salacinol) とコタラノール (kotalanol) を単離し、サラシノールについては、X線結晶構造解析ならびに化学的手法により絶対構造を含むその特異的な構造を明らかにした(非特許文献1、2、3)。また、コタラノールについては、その全合成ならびにその分解生成物の合成により、その絶対構造が明らかにされた(非特許文献4、5;特許文献1、2)。これらのスルホニウム塩型化合物のα−グルコシダーゼ阻害活性は、同じ作用機序に基づく医薬品として現在使用されているボグリボースやアカルボースなどの経口糖尿病薬に匹敵し、しかもイソマルターゼに対する阻害活性についてはアカルボースよりも強いことが明らかにされている(非特許文献1,2,3)。
最近では、サラシノールとコタラノールの類縁体であるサラプリノール (salaprinol)(非特許文献6)とポンコラノール (ponkoranol)(非特許文献7)も同属の植物から単離された。また、最近、これまで合成品であったサラシノールとコタラノールのそれぞれの脱硫酸エステル体であるネオサラシノール (neosalacinol)(非特許文献7)とネオコタラノール(neokotalanol)(非特許文献6、8)が植物成分として単離され、これらの化合物のうち、ポンコラノール、ネオサラシノールならびにネオコタラノールはいずれもサラシノールやコタラノールに匹敵する。α−グルコシダーゼ阻害活性を有することを確認した。さらに、ポンコラノールの脱硫酸エステル体であるネオポンコラノール (neoponkoranol)も得られ(特許文献1、2)、この化合物もサラシノールやコタラノールと同等のα−グルコシダーゼ阻害活性を示すことが明らかになった。
ところで、ネオポンコラノールは、上述したように、ポンコラノールの硫酸エステルを脱離することによって得られるが、ポンコラノールは。複雑な工程を経て合成される(非特許文献9)。すなわち、この方法は、D−グルコースから合成できるD−グルコース1,2,3,4,6−ペンタアセテートを、文献記載の方法(非特許文献10)に基づいて6工程でベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβーD−グルコシドに導き、この化合物の環状硫酸エステル化により環状硫酸エステルを得、この環状硫酸エステルの脱保護、およびNaBH還元を経てポンコラノールを得る工程からなっている。しかしながら、この方法は、この反応の鍵化合物となる環状硫酸エステルの調製に、D−グルコースから9工程という長い反応を要することから、当然のことながら収率が低下するという問題がある。
また、文献記載のネオポンコラノールの合成方法にしても、鍵反応となるカップリング反応に要する反応時間が極めて長く、かつD-グルコースからの中間体の収率も非常に低いという問題点がある(非特許文献11)。
特開2005−2051号公報 特開2009−92597号公報
Yoshikawa, M., Murakami, T., Shimada, H., Yamahara, J., Tanabe. G., Muraoka, O.: Tetrahedron Lett. 1997, 38, 8367-8370 Yoshikawa, M., Morikawa, T., Matsuda, H., Tanabe, G.,: O. Bioorg. Med. Chem. 2002, 10, 1547-1554 Yoshikawa, M., Murakami, T., Yoshiro, K., Matsuda, H. Chem. Pharm. Bull. 1998, 46, 1339-1340 Jayakanthan, K. et al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 5621-5626 Muraoka, O, Xie, W., Osaki, S., Kagawa, A., Tanabe, G. Amer, M.F.A.; Minematsu, T., Morikawa, T., Yoshikawa, M. Tetrahedron, accepted Yoshikawa, M., Xu, F., Nakamura, S., Wang, T., Matsuda, H.; Tanabe, G., Muraoka, O. Heterocycles 2008, 75, 1397-1405 Minami, Y., Kuriyama, C., Ikeda, K., Kato, A., Takebayashi, K., Adachi, I., Fleet, W.J.G., Kettawan, A., Okamoto, T., Asano, N., Bioorg. Med. Chem. 2008, 16, 2734-2740; Tanabe, G., Yoshikai, K., Hatanaka, T., Yamamoto, M., Shao, Y., Minematsu, T., Muraoka, O., Wang, T., Matsuda, H., Yoshikawa, M., Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 3926-3973; Tanabe, G., Xie, W., Ogawa, A., Cao, C., Minematsu, T., Yoshikawa, M., Muraoka, O. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2009, 19, 2195-2198 Ozaki, S., Oe, H., Kitamura, S. J. Nat. Prod. 2008, 71, 981-984; Muraoka, O., Xie, W., Tanabe, G., Amer, M.F.A., Minematsu, T., Yoshikawa, M. Tetrahedron Lett. 2008, 49, 7315-7317 J. Org. Chem., 2006, 71, 1111-1118 J. Org. Chem., 1999, 64, 144-152 Org. Lett., 2010, 12, 1632-1635
そこで、本発明者らは、特にネオポンコラノールを含むネオポンコラノール類の新規でかつ簡便な製造方法を開発すべく鋭意研究した結果、文献既知の方法に比べて簡便でかつ収率も高いネオポンコラノール類の製造方法を完成した。
つまり、この発明は、ネオポンコラノール類の新規でかつ簡便な製造方法を提供することを目的としている。なお、この発明で使用する「ネオポンコラノール類」という用語は、当然のことながら、ネオポンコラノールばかりではなく、それらの誘導体ならびにそれらの立体異性体や構造異性体なども包含されるものと理解すべきである。
この発明は、その好ましい態様として、文献記載の方法に比べて少ない工程数でかつ高収率で製造できる鍵化合物の環状硫酸エステル体を経由して合成したポンコラノールを脱硫酸エステル化することによってネオポンコラノールを得ることからなるネオポンコラノール類の製造方法を提供することを目的としている。
この発明は、その別の好ましい態様として、上記環状硫酸エステル体を経由せずにネオポンコラノール類を製造することができるネオポンコラノールの製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、構造式[I]:
Figure 0005801723
{式中、Xは、ブレンステッド酸HXの共役塩基であって、RCOO−(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるカルボン酸イオン類、R2―SO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるスルホン酸イオン類、SO 2―もしくはR―OSO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表される硫酸イオン類、PO4 3-、R(P=O)(O2 2-)もしくは(R)2(P=O)(O-)(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるリン酸イオン類、ハロゲンイオンまたはルイス酸イオンとハロゲン化水素とのブレンステッド酸の共役塩基を意味する}
で表されるネオポンコラノール類の製造方法であって、構造式 [II]:
Figure 0005801723
で表されるD−グルコースをp−トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でp−アニサルデヒドジメチルアセタールと反応し、構造式 [III]:
Figure 0005801723
(式中、PMPは、p−メトキシフェニル基を意味する)
で表される4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノースに導いた後、得られた化合物(III)の残存する3種の水酸基をベンジル化して構造式[IV]:
Figure 0005801723
(式中、Bnはベンジル基を意味し、PMPは前記と同じ意味を有する)
で表される2,3−ジーO−ベンジル−4,6−O−p−メトキシベンジリデンーβ―およびα―D−グルコピラノシドの混合物を得、
次に、得られた化合物(IV)のベンジリデンアセタール部を加水分解して構造式[V]:
Figure 0005801723
(式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表されるベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―およびα―D−グルコピラノースを得、続いて得られた化合物(V)を環状硫酸エステル化して構造式[VI]:
Figure 0005801723
(式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表される環状硫酸エステルを得、引き続き得られた環状硫酸エステル(VI)を構造式 [VII]:
Figure 0005801723
(式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表されるチオ糖とカップリング反応し構造式 [VIII]:
Figure 0005801723
(式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表されるカップリンク体を得、さらに得られたカップリング体(VIII)を接触還元して構造式 [IX]:
Figure 0005801723
で表される還元体を得、次に得られた還元体(IX)をNaBH還元して構造式 [X]:
Figure 0005801723
で表されるポンコラノールを得、得られたポンコラノール(X)の硫酸エステルを脱硫酸エステル化して構造式[Ia]:
Figure 0005801723
で表されるネオポンコラノールを得、さらに得られたネオポンコラノール(Ia)を適切に処理したイオン交換樹脂などを用いて処理することによって構造式[I]:
Figure 0005801723
(式中、Xは、前記と同じ意味を有するが、ただしCH3OSO3 を除く)
で表されるネオポンコラノール類を得ることからなるネオポンコラノール類の製造方法を提供する。
また、この発明は、構造式 [XI]:
Figure 0005801723
で表されるアルドヘキソースの水酸基を保護して構造式 [XII]:
Figure 0005801723
(式中、Rは水酸基の保護基を意味し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を意味する)
で表される化合物を得、得られた化合物(XII)を構造式 [VII]:
Figure 0005801723
(式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表されるチオ糖とカップリング反応し構造式 [XIII]:
Figure 0005801723
(式中、R、BnおよびTfは前記と同じ意味を有する)
で表されるカップリング体を得、得られたカップリング体(XIII)をさらに反応して構造式[Ib]:
Figure 0005801723
で表されるネオポンコラノール類を得、さらに得られたネオポンコラノール類(Ib)を適切に処理したイオン交換樹脂を用いて処理することによってネオポンコラノール類(I:Xは前記と同じ意味を有するが、ただし塩素原子は除く)で表されるネオポンコラノール類を得ることからなるネオポンコラノール類の製造方法を提供する。
さらに、この発明は、構造式[II]:
Figure 0005801723
で表されるD-グルコースを処理して構造式[XIV]:
Figure 0005801723
(式中、Ac はアセチル基を意味し、Brは臭素原子を意味する)
で表される化合物を得、得られた化合物(XIV)を処理して構造式[XV]:
Figure 0005801723
で表される化合物(XVa)(式中、R1は、アセチル基を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに酸化して化合物(XVb)(式中、R1は水酸基を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに得られた化合物(XVb)を処理して構造式[XVI]:
Figure 0005801723
で表される化合物(XVIa)(式中、R1はtert―ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)を意味し、R2は水素原子を意味する)を得、続いて得られ化合物(XVIa)を処理して化合物(XVIb)(式中、R1は前記と同じ意味を有し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに得られた化合物(XVIb)を処理して化合物(XVIc)(式中、R1は水素原子を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、引き続き得られた化合物(XVIc)を酸化して構造式[XVII]:
Figure 0005801723
(式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を意味し、Bnは前記と同じ意味を有する)
で表される化合物を得、続いて得られた化合物(XVII)をチオ糖(VII)とカップリング反応して構造式[XIIIa]:
Figure 0005801723
(式中、TfおよびBnは前記と同じ意味を有する)
で表されるカップリング体を得、この得られたカップリング体(XIIIa)を前記と同様に処理することによって構造式[Ic]:
Figure 0005801723
で表されるネオポンコラノール類を得、さらに得られたネオポンコラノール類(Ic)を前記と同様に適切に処理したイオン交換樹脂などによって同様に処理することによってネオポンコラノール類(I: Xは、前記と同じ意味を有するが、ただし塩素原子は除く)で表されるネオポンコラノール類を得ることからなるネオポンコラノール類の製造方法を提供する。
さらに、この発明は、ネオポンコラノール類の製造方法においてネオポンコラノール類がエピマー体であるネオポンコラノール類の製造方法であって、構造式[XVIII]:
Figure 0005801723
で表される化合物を処理して構造式[XIX]:
Figure 0005801723
(式中、Tfは前記と同じ意味を有する)
で表される化合物を得、さらに得られた化合物(XIX)を処理することによって構造式[Id]:
Figure 0005801723
で表されるネオポンコラノール類の3’−エピマー体(3’-epi-1)を得ること、または構造式[XX]:
Figure 0005801723
で表されるD−マンノース(XXa)(式中、RおよびRはいずれも水素原子を意味する)をベンジル化して化合物(XXb)(式中、Rはベンジル基を意味し、Rは前記と同じ意味を有する)で表される化合物を得、次に得られた化合物(XXc)をさらに反応して構造式[XXI]:
Figure 0005801723
で表される化合物(XXIa)(式中、Rは水素原子を意味し、BnおよびTBDPSは前記と同じ意味を有する)を得、次に得られた化合物(XXIa)をベンジル化して化合物(XXIb)(式中、Rはベンジル基を意味し、Rはベンジル基を意味し、BnおよびTBDPSは前記と同じ意味を有する)を得、さらに得られた化合物(XXIb)を反応して構造式[XXII]:
Figure 0005801723
(式中、BnおよびTfは前記と同じ意味を有する)
で表される化合物を得、引き続き得られた化合物(XXII)をさらに処理して構造式[Ie]:
Figure 0005801723
で表されるネオポンコラノール類の5’−エピマー体(5’-epi-1)を得ることからなるネオポンコラノール類の製造方法を提供する。
この発明に係るネオポンコラノール類の製造方法は、そのα―グルコシダーゼ阻害活性がサラシノールやコタラノールに匹敵するネオポンコラノール類を、文献記載の方法に比べてより簡便にかつ高収率に製造することができるという大きな効果がある。
この発明によって得られるネオポンコラノール類は、そのα―グルコシダーゼ阻害活性がサラシノールやコタラノールに匹敵し、次の構造式(I)で表すことができる。
Figure 0005801723
{式中、Xは、ブレンステッド酸HXの共役塩基であって、RCOO−(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるカルボン酸イオン類、R2―SO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるスルホン酸イオン類、SO 2―もしくはR―OSO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表される硫酸イオン類、PO4 3-、R(P=O)(O2 2-)もしくは(R)2(P=O)(O-)(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるリン酸イオン類、ハロゲンイオンまたはルイス酸イオンとハロゲン化水素とのブレンステッド酸の共役塩基を意味する}。
構造式 [ I ]で表されるネオポンコラノール類において、R、R、R3およびR4で表される低級アルキル基およびハロゲン化アルキル基のアルキル基としては、炭素原子数が1から4の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素残基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられ、またハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基などが挙げられる。非置換もしくは置換芳香環式基としては、例えば、フェニル基、塩素、フッ素等のハロゲン化フェニル基などが挙げられ、また非置換もしくは置換複素環式基としては、ピリジル基、塩素等のハロゲン化ピリジル基などが挙げられる。またハロゲンイオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンまたはヨウ素イオンが挙げられ、ルイス酸イオンとしては、例えばBF 、ClO 、PF などが挙げられる。また、上記例示されたものの中でも、ハロゲンイオンまたは硫酸イオン類が好ましく、ClまたはR−OSO がより好ましく、ClまたはCHOSO が特に好ましい。
ところで、簡単に上述したように、ネオポンコラノール類はポンコラノールを脱硫酸エステルすることによって製造することができ、そのポンコラノールは下記に示す方法に従って合成されている。すなわち、ポンコラノールは、D-グルコース (3) から合成できる D-グルコース1,2,3,4,6-ペントアセテート (4) を、非特許文献9に基づき6行程でベンジル 2,3-ジ-O-ベンジル-β-D-グルコシド(5) に導き、引き続く、化合物 (5) の環状硫酸エステル化により化合物 (6) とする。さらに、化合物 (6) とチオ糖 (7) のカップリング反応により化合物 (8) とし、引き続く、化合物 (8) の脱保護、および NaBH4還元を経て化合物 (2) とする方法によって合成することができる。しかしながら、本行程では、鍵化合物となる環状硫酸エステル (6) の調製にD-グルコース(3) から 9 工程を要し、その工程数に問題がある。
Figure 0005801723
さらに、ネオポンコラノールの合成方法も下記に示すように非特許文献11に記載されている。
Figure 0005801723
しかし、この合成経路では鍵反応となるカップリング反応の時間が極めて長くかつネオポンコラノール(1)の中間体(3)の収率も低く問題点を残している。
そこで、この発明に係るネオポンコラノール類の製造方法においては、文献記載の合成方法の問題点を解決して、カップリング反応の時間を短縮できるとともに、ネオポンコラノールの中間体も高収率で合成することができるという利点を有している。
次に、この発明に係るネオポンコラノールの製造方法について実施例により下記に詳述するが、この発明は下記実施例によっても限定されないのは言うまでもない。
本実施例は、下記反応スキームに従ってネオポンコラノール(Ia,I)を合成する方法に関するものである。
Figure 0005801723
本実施例に示す合成方法を簡単に説明すると次のとおりである。すなわち、D−グルコース(化合物II)をp−トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でp−アニサルデヒドジメチルアセタールで処理して4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノース(化合物III)を無色固体として得た。次に、得られた化合物(化合物III)の残存する3種の水酸基をベンジル化してベンジル2,3−ジーO−ベンジル−4,6−O−p−メトキシベンジリデンーβ―ならびにα―D−グルコピラノシド(化合物IV)の混合物を無色結晶として得た。さらに、この化合物(IV)のベンジリデンアセタール部を加水分解してベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―ならびにα―D−グルコピラノース(化合物V)に変換した。このようにして得た反応混合物(V)を環状硫酸エステル化してベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―およびα―D−グルコピラノシド4,6−環状硫酸エステル(化合物VI)を収率89%で得た。このように、本実施例に示す経路では化合物(化合物VI)をD−グルコース(化合物II)から5工程という短い工程で合成することができ、文献記載の方法に比べて工程数を大幅に短縮できた。
次に、非特許文献9に従って得られた化合物(化合物VI)をチオ糖 (化合物VII) と処理して、カップリング体 (化合物VIII)のアノマーの混合物として 27% の収率で得た。つぎに、この化合物 (化合物VIII) を接触還元して化合物 (IX)を得、さらに NaBH4還元してポンコラノール (化合物X)を収率96%で得た。引き続き、ポンコラノール (化合物X)を塩化水素含有のメタノール中で加熱することにより、目的のネオポンコラノール (化合物Ia) を90%の収率で得た。
さらに、上述のようにして得られた目的のネオポンコラノール (化合物Ia) の陰イオン部は任意の陰イオンに容易に変換することができる。すなわち、市販の Cl 型陰イオン交換樹脂 (例えば、Amberite、Amberlyst、Dowex、AG、Diaion、Retardion など) を用いれば, 相当する塩化物 (化合物I: X = Cl) に変換できる。また、Cl 型陰イオン交換樹脂を苛性アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム)で活性型樹脂 (OH-型) とした後、任意の陰イオンに相当するブレンステッド酸 HX との処理により得た樹脂 (X- form) で塩化物 (化合物I: X = Cl)を処理すると、任意の X をもつネオポンコラノール (化合物I) に変換可能である。
以下に、本実施例の合成経路を詳細に説明する。
(ベンジル2,3−ジーO−ベンジル−4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノシド(化合物IV)の製造方法)
D−グルコース(9.0 g, 0.05 mol)とp−アニサルデヒドジメチルアセタール(9.0 ml, 0.053 mol)をp−トルエンスルホン酸(PTSA:25 mg, 0.15 mmol)とジメチルホルムアミド(DMF:40 ml)との混合溶媒中で減圧下 60℃で2時間加熱した。冷却後、得られた反応混合物をトリエチルアミンで中和し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムおよび水で洗浄して、4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノース(9.3 g, 62%)(化合物III)を無色固体として得た。
引き続き、化合物(III;0, 4.0 g, 13.4 mmol)を少量ずつ、ベンジルブロマイド(6.6 ml, 55.2 mmol)、水素化ナトリウム(2.76 g, 69 mmol, 60% 鉱物油中)および DMF (80 ml)の混合物に 0℃で加えた後, 反応混合物を0℃で 2.5 時間撹拌した。得られた反応混合物を氷水(300 ml)に注加した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。得られた残渣(8.9 g)を酢酸エチルおよび n-ヘキサンの混合溶液から再結晶して、ベンジル2,3−ジーO−ベンジル−4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノシド(化合物IV)を無色結晶 (3.8 g、50%、α/β = 約1/1.5)として得た。
化合物(IV)の1H および13C NMR スペクトルデータを表1に示す。
Figure 0005801723
a500 MHz, b125 MHz. 1H 化学シフト値 (δ ppm) にはシグナルとカップリング定数(J/Hz)を表記している。その他のシグナル: δH: 3.81 (s, α and β CH3O), 4.58/4.73, 4.58/4.75, 4.67/4.95, 4.77/4.92, 4.78/4.89, 4.84/4.92 (each, d, CH2Ph), 5.50/5.53 (each, s, CH3OC4H6CH), 6.88-6.92 (m, arom.), 7.23-7.42 (m, arom.). δC:δ: 69.3/71.6/73.4/75.1/75.3/75.4 (CH2Ph), 101.11/101.19 (CH3OC4H6CH), 113.56/127.31/127.52/127.58/127.66/127.73/127.89/127.91/127.94/127.99/128.11/128.26/128.29/128.34/128.38/128.44/129.80/129.90 (d, arom.), 136.95/137.08/138.15/138.27/138.50/138.81/159.96/159.99 (s, arom.).
(ベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―および―およびα―D−グルコピラノース(化合物V)の製造方法)
上記で得られたベンジル2,3−ジーO−ベンジル−4,6−O−p−メトキシベンジリデンーD−グルコピラノシド(化合物IV)(2.18 g, 3.83 mmol)、1%トリフルオロ酢酸水溶液(10 ml)および 1,4-ジオキサン(40 ml)の混合物を 2.5 時間加熱還流した。反応混合物を冷却後、水(200 ml)で希釈し、クロロホルムで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。得られた無色固体(2.16 g)をn-ヘキサンで洗浄し、ベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―およびα―D−グルコピラノース(化合物V)(1.66 g、91%, α/β = 約1/1.5)を得た。
化合物(V)についての1H および13C NMR スペクトルデータを表2に示す。
Figure 0005801723
a500 MHz, b125 MHz.1H化学シフト値 (δ ppm) にはシグナルとカップリング定数(J/Hz)を表記している。その他のシグナル:δH: 2.35(β)/2.39(α) (br s, OH), 4.67/4.97 (each 1H, d, J = 11.5 Hz, (β) CH2Ph), 4.76/4.92 (each 1H, d, J = 12.0 Hz, (β) CH2Ph), 4.72/4.97 (1H, d, J = 11.0 Hz, (β) CH2Ph), 4.54/4.63 (each1H, d, J = 12.1 Hz, (α) CH2Ph), 4.56/4.71 (each 1H, d, J = 12.9 Hz, (α) CH2Ph), 4.72/5.05 (each 1H, d, J = 11.5 Hz (α) CH2Ph), 7.25-7.42 (15H, m, arom.). δC: 69.2/71.6/72.7/75.0/75.2/75.3 (CH2Ph), 127.75/127.89/127.93/127.96/127.99/128.14/128.38/128.42/128.44/128.49/128.61/128.64 (d, arom.), 137.0/137.2/137.9/138.2/138.4/138.7 (s, arom.).
(ベンジル2,3−ジーO−ベンジルーα―およびβ―D−グルコピラノシド4,6−環状硫酸エステル(化合物VI)の製造方法)
実施例2で得られたベンジル2,3−ジーO−ベンジルーβ―およびα―D−グルコピラノース(化合物V)(1.66 mg, 3.69 mmol)、トリエチルアミン(1.53 ml, 11.1 mol)およびジクロロメタン(30 ml)の混合物に、0 ℃で塩化チオニル(375 μl, 5.16 mmol)のジクロロメタン溶液(30 ml)を滴下した後、反応混合物を 30 分間撹拌した。反応液を飽和重曹水(100 ml)に加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮して淡黄色残渣(2.54 g)を得た。
次に、淡黄色残渣(2.54 g)、重曹(1.12 g, 13.3 mmol)、四塩化炭素(30 ml)、アセトニトリル(30 ml)および水(30 ml)の混合物に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(2.37 g, 11.1 mmol)、塩化ルテニウム水和物(300 mg)および水(30 ml)の混合物を、0 ℃で滴下した。滴下終了後、反応液を室温で30分間撹拌した。反応混合物に10%チオ硫酸ナトリウム含有の飽和重層水(100 ml)を加え、エーテルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮した。得られた淡黄色残渣(1.93 g)をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン: AcOEt = 20 : 1)により精製し、ベンジル2,3−ジーO−ベンジルーα―およびβ―D−グルコピラノシド4,6−環状硫酸エステル(化合物VI)(1.67 g、89%、α/β = 約1/1.5)を無色油状物質として得た。
化合物(VI)についての1H および13C NMR スペクトルデータを表3に示す。
Figure 0005801723
a500 MHz, b125 MHz.1H化学シフト値 (δ ppm) にはシグナルとカップリング定数(J/Hz)を表記している。その他のシグナル:δH: 4.65/4.90 (each 1H, d, J = 11.7 Hz, (β) CH2Ph), 4.71/4.86 (each 1H, d, J = 10.9 Hz, (β) CH2Ph), 4.75/4.80 (1H, d, J = 11.2 Hz, (β) CH2Ph), 4.53/4.72 (each 1H, d, J = 11.8, (α) CH2Ph), 4.81 (2H, s-like, α) CH2Ph), 4.65 (2H, s-like, (α) CH2Ph), 7.22-7.40 (15H, m, arom.). δc: 71.9/75.4/75.5 ((β) CH2Ph), 70.7/73.9/75.6 ((αδ) CH2Ph), 127.92/127.94/127.97/128.01/128.04/128.07/128.11/128.25/128.40/128.43/128.49/128.59/128.61 (d, arom.), 136.4/136.5/137.4/137.5/137.6/137.7 (s, arom.).
(環状硫酸エステル体(化合物VI)とチオ糖(化合物VII)とのカップリング反応)
実施例3で得られた環状硫酸エステル体(化合物VI)(998 mg, 1.95 mmol)、チオ糖(化合物VII)(745 mg, 1.77 mmol)、炭酸カリウム(24 mg, 0.23 mmol)および、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP, 4 ml)の混合物を、70 ℃で4日間加熱した。反応液を濃縮後、淡褐色残渣(1.77 g)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3 → CHCl3 : MeOH = 100 : 1 → CHCl3 : MeOH = 50 : 1)により精製し、カップリング体(VIII)のαおよびβの混合物(448 mg、27%、α/β = 約1/1.5)を無色油状物質として得た。これらアノマーの分析用サンプルは、カラムクロマトグラフィーにより得られた。
カップリング体(VIII)についての1H および13C NMR スペクトルデータを表4に示す。
Figure 0005801723
a700 MHz, b150 MHz. 1H化学シフト値 (δ ppm) にはシグナルとカップリング定数(J/Hz)を表記している。その他のシグナル:VIIIa:δH: 4.33/4.42 (each 1H d, J = 12.0 Hz, CH2Ph), 4.40/4.52 (each 1H d, J = 11.8 Hz, CH2Ph), 4.53/4.65 (each 1H d, J = 12.0 Hz, CH2Ph), 4.64/4.77 (each 1H d, J = 11.8 Hz, CH2Ph), 4.69/4.74 (each 1H d, J = 10.8 Hz, CH2Ph), 4.71/5.30 (each 1H d, J = 10.6 Hz, CH2Ph), 7.20--7.52 (30 H, m, arom.). δc: 72.0/72.2/72.4/73.5/75.4/75.6 (CH2Ph), 127.6/127.8/127.9/127.97/128.04/128.10/128.19/128.23/128.28/128.48/128.6/128.7/128.8/129.0 (d, arom.), 136.2/136.3/136.7/137.0/138.2/138.6 (s, arom.). VIIIb:δH:4.29 (2H ,s, CH2Ph), 4.380/4.384/4.520/4.524/4.54/4.64/4.67/4.71 (each 1H d, J = ca. 12.0 Hz, CH2Ph), 4.68/5.32 (each 1H d, J = 10.4 Hz, CH2Ph), 7.20-7.55 (30H, m, arom.). δc: 71.3/72.2/72.4/73.3/73.9/75.8 (CH2Ph), 127.3/127.59/127.61/127.77/127.81/128.00/128.04/128.11/128.23/128.53/128.61/128.70/128.8/129.0 (d, arom.), 136.0/ 136.1/ 136.7/137.3/138.4/138.9 (s, arom.).
(ポンコラノール(化合物X)の製造方法)
カップリング体(VIII)(300 mg, 0.32 mmol)、パラジウム炭素(235 mg)および90% 酢酸水溶液(11 ml)の混合物を 50 ℃で24時間接触還元した。反応液を吸引ろ過した後、ろ液を濃縮し、化合物(IX)(126 mg)を無色アモルファスとして得た。このものは、精製することなく次の反応に使用した。
化合物(IX)(48 mg)の水溶液(4 ml)に、氷冷下 NaBH4(20 mg, 0.54 mmol)を少量ずつ加えた。反応液を室温で3 時間撹拌後、2 M 塩酸で中和後、混合溶液を減圧濃縮した。さらに残渣にメタノールを加え再度減圧濃縮した。残渣(118 mg)をカラムクロマトグラフィー(CHCl3 : MeOH = 5 : 1 → CHCl3 : MeOH : H2O = 6 : 4 : 1)により精製し、ポンコラノール(化合物X)(46 mg、化合物(IX)に対する収率96%)を得た。
[α]D 24 +13.9 (c= 0.41, MeOH)、lit.2 [α]D+13 (c = 0.92, MeOH), lit.3 (Yoshikawa et al. Heterocycles, 2008, 75, 1397-1405) [α]D 27 +13.5 (c= 1.0, MeOH)。また、化合物 (2) の1H および13C NMR スペクトルデータは、天然のポンコラノール(化合物X)のものと完全に一致した。
(ポンコラノール(化合物X)からネオポンコラノール(化合物I)の製造方法)
ポンコラノール(化合物X)(14.7 mg, 0.038 mmol)および 5% 塩化水素含有のメタノール(1.5 ml)の混合物を 50 ℃で 2 時間加熱した。反応溶液を減圧濃縮後、残渣(16 mg)をメタノール(5 ml)に溶解し、イオン交換樹脂 IRA67 で処理後、反応液をろ過した。ろ液を濃縮して、ネオポンコラノール(化合物Ia)(14.3 mg, 90%)を無色固体として得た。
ネオポンコラノール(化合物Ia)についての融点、比旋光度、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトルデータの結果は以下の通りである。
融点:無色プリズム状、mp 178.5-180 °C (MeOH水溶液).
比旋光度:[α]D 24 +6.83 (c= 0.41, H2O).
赤外線吸収スペクトル:IR (KBr): 3420, 1640, 1458, 1408, 1388, 1227, 1072, 1003 cm-1.
核磁気共鳴スペクトル
1H-NMR (700 MHz, CD3OD) δ: 3.61 (dd, J = 11.2, 5.6, H-6’a), 3.676 (dd, J = 11.2, 4.8, H-6’b), 3.680 (3H, s, CH3OSO3), 3.682 (dd, J= 7.6, 2.0, H-3’), 3.75 (dd, J = 13.2, 8.6, H-1’a), 3.76 (ddd, J= 5.6, 4.8, 4.8, H-5’), 3.81 (dd, J = 4.8, 2.0 Hz, H-4’), 3.86 (2H, d-like, J = 2.7, H-1a and H-1b), 3.91 (dd, J = 13.2, 3.2, H-1’b), 3.93 (dd, J = 10.6, 8.8, H-5a), 4.03 (br dd-like, J = ca. 8.8, 5.2, H-4), 4.05 (dd, J = 10.6, 5.2, H-5b), 4.19 (ddd, J = 8.6, 7.6, 3.2, H-2’), 4.37 (dd-like, J = ca. 2.5, 1.2, H-3), 4.62 (ddd-kike, J = ca. 2.7, 2.7, 2.5, H-2).
13C-NMR (175 MHz, CD3OD) δ: 51.9 (C1), 52.3 (C1’), 55.1 (CH3OSO3), 61.1 (C5), 64.0 (C6’), 69.6 (C2’), 70.7 (C4’), 73.7 (C4), 74.7 (C5’), 75.6 (C3’), 79.5 (C2), 79.6 (C3).
得られたネオポンコラノール(化合物Ia)を、アンバーライト(登録商標)400J (IRA 400J: Cl―form からX formに調整したもの)を使用して処理するとX形式の別のネオポンコラノール(I)を得た。
ネオポンコラノール(化合物Ia)のα−グルコシダーゼ阻害活性を下記のように評価した。実験方法は、ラット小腸のα−グルコシダーゼに対するIC50(μM)として文献既知の方法で実施した。なお比較として、サラシノール及びコタラノールも同様に評価した。その結果を表5に示す。
Figure 0005801723
本実施例では、ネオポンコラノール類(I)を下記の反応経路で合成することができる。
Figure 0005801723
非特許文献 (J. Org. Chem., 2000, 65, 4498-4508) の経路に従って, D−グルコース(II)から以下の様に8行程を経て収率56%でベンジル2,3,4―トリーO―ベンジルーβ―D―グルコピラノシド6−トリフルオロメタンスルホネートを合成した. 引き続き, 化合物(XVII)およびチオ糖(VII)を THF 中 40 °C で7時間加熱して, カップリング体(XIIIa)を 65% の収率で得た. 次に, イオン交換した後, 接触還元により化合物(XIIIa)のベンジル基を脱保護した後, NaBH4還元することにより, ネオポンコラノール (Ic, X = Cl-) を 45 % の収率で得た.
また、ネオポンコラノール(I)の陰イオン Xについては, 実施例1で記載したように任意の陰イオンには容易に変換することができる。すなわち、市販のCl 型陰イオン交換樹脂 (例えば, Amberite, Amberlyst, Dowex, AG, Diaion, Retardion など) を苛性アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムなど)で活性型樹脂 (OH型) とした後, 任意の陰イオンに相当するブレンステッド酸 HX との処理により得た樹脂 (Xform) でネオポンコラノール(Ic)を処理すると, 任意の X をもつネオポンコラノール (I) に変換可能である。なお、上記の条件では Amberite 400J (IRA 400J: Clform から調製した Xform) を使用した。
(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシルブロミド (化合物XIV)の製造方法)
D-グルコース (30 g, 167 mmol) と無水酢酸 (120 ml) との混合物に30%臭化水素―酢酸溶液 (60 ml)を-10 ℃で添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した後、30%臭化水素酢酸溶液 (140 ml) をさらに添加し、得られた混合物を室温でさらに12時間撹拌した。得られた反応混合物は、ジクロロメタン (200 ml) で希釈した後、氷冷水 (500 ml)中に注加し、ジクロロメタンで抽出した。抽出物は、引き続き、炭酸水素ナトリウム水溶液と食塩水で洗浄し、濃縮したところ、淡黄色の個体(69 g)を得た。この個体をジエチルエーテルで再結晶すると化合物XIVが無色針状結晶 (66.5 g, 97%) として得られた。
(ベンジル6-O-(tert-ブチル)ジフェニルシリル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVIa)の製造方法)
上記で得た化合物XIV (66.5 g, 162 mmol)、ベンジルアルコール (22.8 g, 211 mmol)、炭酸銀 (92 g, 335 mmol)、MS 4A (83 g)およびジクロロメタン(200 ml) の混合物を暗中で1時間撹拌した。得られた反応混合物を、セライトでろ過し、ジクロロメタンで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせて濃縮すると淡黄色の油状物質が得られた。この油状物質から減圧化で蒸留すると、ベンジル2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVa)が淡黄色の油状物質 (73.2 g) として得られた。ついで、この油状物質 (73.2 g) を、ナトリウムメトキシド (1.1 g, 20.3 mmol)のメタノール溶液 (200 ml) 中において室温で30分間処理した。溶媒を除去すると、残渣としてベンジルβ-D-グルコピラノシド (化合物XVIb)が淡黄色の油状物質(化合物 XVb、44.3 g) として得られた。この得られた油状物質 (2.7 g) と、イミダゾール (1.36 g, 20 mmol)と、ジメチルホルムアミド (50 ml) との混合物に、tert-ブチルジフェニルクロロシラン (2.9 ml, 11.2 mmol) を0℃で添加し、得られた反応混合物を室温で7時間撹拌した。次に、得られた反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液 (550 ml)中に注加し、この反応混合物をn-ヘキサンで洗浄し、ジエチルエーテルで抽出した。得られた抽出液を食塩水で洗浄して、濃縮すると淡黄色の油状物質 (4.2 g)が得られた。この油状物質をカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン-AcOEt, 10:1) で精製すると目的化合物 (XVIa) が収量(3.1 g;化合物 (XIV) からの収率61%)で得られた。
(ベンジル2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-O-(tert-ブチル)ジフェニルシリル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVIb)の製造方法)
上で得られた化合物(XVIa)(780 mg, 1.53 mmol) のジメチルホルムアミド溶液 (5 ml) を水素化ナトリウム (308 mg, 7.7 mmol, 60% 液体パラフィン中) と、臭化ベンジル (0.9 ml, 7.6 mmol)と、ジメチルホルムアミド (5 ml) との混合溶液にO℃で滴加し、O℃で5時間撹拌した。得られた混合物を氷水 (50 ml) に注加し、n-ヘキサンージエチルエーテル混合液 (v/v, 1/1)で抽出した。得られた抽出液を食塩水で洗浄した後、濃縮すると淡黄色の油状物質 (1.13 g)が得られた。この油状物質をカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン-AcOEt, 20:1) で精製すると目的化合物 (XVIb) が無色油状物質として収量(850 mg, 76%)で得られた。
(ベンジル2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVIc)の製造方法)
上で得られた化合物 (XVIb) (1 g, 1.26 mmol) のジメチルホルムアミド溶液 (20 ml)にTBAFの1 M THF(2.7 ml, 2.7 mmol) 溶液を0℃で添加し、得られた反応混合液を50℃で10時間撹拌した。この混合液から溶媒を除去すると、淡褐色の油状物質が得られ、この油状物質をカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン-AcOEt, 10:1) で精製すると目的化合物 (XVIc) が無色油状物質として収量(671 mg, 97%)で得られた。
(ベンジル2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-O-トリフルオロメタンスルホニル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVII)の製造方法)
アルゴン雰囲気下で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物 (Tf2O, 0.6 mL, 1.6 mmol) を2,6-ルチジン(2,6-lutidine) (0.4 mL, 1.5 mmol) のジクロロメタン溶液 (12 ml) に-20℃で添加した。5分後、この溶液に上で得られた化合物 (XVIc) のジクロロメタン溶液を-20℃で滴加した。この溶液を-20℃で5時間撹拌し、次いで0℃でそらに30分間撹拌した。得られた混合物を氷冷水に注加し、ジクロロメタンで抽出した。得られた抽出液を減圧下で濃縮すると、淡黄色の油状物質 (300 mg)が得られた。この油状物質をカラムクロマトグラフィ (n-ヘキサン-AcOEt, 20:1) で精製すると目的化合物 (XVII) が無色油状物質として収量(282 mg, 94%)で得られた。
化合物 (XVII) の物理化学的性質は下記のとおりである。
[α]D 24 +11.0 (c= 1.13, CHCl3). IR (neat): 1456, 1377, 1308, 1213, 1148, 1073, 963 cm-1. 1H-NMR (700 MHz, CDCl3) δ: 3.44 (1H, dd, J = 10.0, 9.0, H-4), 3.52 (1H, dd, J = 9.0, 7.6, H-2), 3.56 (1H, ddd, J = 10.0, 6.2, 2.0, H-5), 3.67 (1H, dd, J = 9.0, 9.0, H-3), 4.41 (1H, dd, J= 10.6, 6.2, H-6a), 4.52 (1H, d, J = 7.6, H-1), 4.56/4.71 (each 1H, d, J= 11.0, PhCH2), 4.58 (1H, dd, J = 10.6, 2.0, H-6b), 4.66/4.92 (each 1H, d, J = 11.7, PhCH2), 4.77/4.952 (each 1H, d, J = 11.0, PhCH2), 4.89/4.956 (each 1H, d, J = 11.0, PhCH2), 7.23-7.37 (20H, m, arom.). 13C-NMR (175 MHz, CDCl3) δ: 71.1 (PhCH2), 72.3 (C-5), 74.7 (C-6), 74.9/75.0/75.7 (PhCH2), 76.3 (C-4), 82.0 (C-2), 84.4 (C-3), 102.0 (C-1), 118.6 (q, J = 317, CF3SO3), 127.8/127.9/128.0/128.1/128.16/128.23/128.3/128.39(2xC)/128.44/128.5/128.7 (d, arom.), 136.9/137.2/138.12/138.16 (s, arom.). FABMS (pos.) m/z: 695 [M+Na]+.
(1,4-ジデオキシ-1,4-[(R)-[(1S)-6-デオキシ-1,2,3,4-テトラ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノース-6-イル]エピスルホニウミリデン]-D-アラビニトールのトリフルオロメタンスルホン酸エステル(化合物XIIIa)の製造方法)
アルゴン雰囲気下で、トリフレート(triflate)(ベンジル2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド (化合物XVIc):230 mg, 0.34 mmol)と、ベンジル保護チオ糖(化合物 VII)(95 mg, 0.23 mmol)と、テトラヒドロフラン (0.5 ml)との混合液を40℃で7時間加熱し、反応混合液から減圧下で溶媒を除去すると、淡黄色の油状生成物が得られた。この油状生成物をカラムクロマトグラフィ (CHCl3-CH3OH, 200:1) で精製すると目的化合物 (XIIIa) が無色油状物質として収量(161 mg, 64%)で得られた。
化合物 (XIIIa) の物理化学的性質は下記のとおりである。
[α]D 24 +9.94 (c= 1.63, CHCl3). IR (neat): 1589, 1497, 1454, 1362, 1250, 1223, 1153, 1100, 1030 cm-1. 1H-NMR (700 MHz, CDCl3) δ: 3.364 (1H, dd, J = 8.8, 8.8, H-4’), 3.366 (1H, dd, J = 8.8, 7.8, H-2’), 3.43 (1H, dd, J = 13.0, 7.2, H-6’a), 3.61-3.64 (1H, m, H-1a), 3.636 (1H, dd, J= 8.8, 8.8, H-3’), 3.642 (1H, dd, J = 10.4, 8.8, H-5a), 3.69-3.73 (1H, m, H-1b), 3.70 (1H, dd, J = 10.4, 6.0, H-5b), 3.75 (1H, dd, J = 13.0, 2.8, H-6’b), 3.76 (1H, ddd, J = 8.8, 7.2, 2.8, H-5’), 4.04 (1H, br dd, J = ca. 8.8, 6.0, H-4), 4.18 (1H, dd, J = ca. 1.8, 1.8, H-3), 4.42/4.43/4.47 (each 1H, d, J = ca. 12.0, PhCH2), 4.48 (1H, d, J = 7.8, H-1’), 4.49-4.51 (1H, m, H-2), 4.49/4.50/4.56/4.58/4.63/4.64/4.772/4.776/4.83/4.86/ 4.93 (each 1H, d, J = ca. 12.0, PhCH2), 7.16-7.35 (35H, m, arom.). 13C-NMR (175 MHz, CDCl3) δ: 47.2 (C-6’), 47.5 (C-1), 66.5 (C-5), 66.9 (C-4), 70.7 (C-5’), 72.0/72.2/72.4/73.6/74.3/74.8/75.7 (PhCH2), 77.5 (C-4’), 81.7 (C-2’), 82.3 (C-2), 82.5 (C-3), 83.9 (C-3’), 103.1 (C-1’), 120.8 (q, J = 318, CF3SO3 -), 127.6/127.76/127.82/127.9/128.0/128.1/128.3(2xC)/128.37/128.44/128.49(2xC)/128.51(2xC)/128.59(2xC)/128.68/128.73/128.79/128.82/129.1 (d, arom.), 135.95/135.99/136.6/137.1/137.4/138.0(2xC) (s, arom.). FABMS (pos.) m/z: 943 [M-CF3SO3 -]+.
(ネオポンコラノール(化合物Ic)の製造方法)
80% 酢酸水溶液 (10 mL) の 10% Pd-C (600 mg) 懸濁液を水素でプレ平衡化し、得られた懸濁液に化合物(96 mg, 0.088 mmol)の 80% 酢酸水溶液 (5 ml) を添加し、この混合液を常圧60℃で水素の吸収が終了するまで水素化した。その後触媒をろ去し、メタノールと水の混合液で洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせて減圧下で濃縮して、得られた残渣 (90 mg) をジクロロメタンで洗浄すると無色油状物質 (45 mg) が得られた。この油状物質をメタノール (2 ml) 中のイオン交換樹脂 IRA 400J (Cl- form, 2.5 g) で室温で3時間処理した後、樹脂をろ去し、メタノールで洗浄した。次に、このろ液と洗浄液とを合わせ、減圧下で濃縮すると無色油状物質(42 mg)が得られた。この得られた油状物質をNaBH4(90 mg, 2.4 mmol) と水 (10 mL)との混合物で0℃で20分間処理し、ついで2M 塩酸で約pH4に酸性化し、減圧下で濃縮すると白色固体(150 mg)が得られた。この固体をカラムクロマトグラフィ (CHCl3/MeOH, 10/1 →4/1) で精製すると目的化合物 (Ic) が無色固体として収量(14.0 mg, 収率:化合物(XIIIa)に対して45%)で得られた。
[α]D 23 +4.3 (c= 0.6, H2O), 1H-NMR (700 MHz, D2O) δ: 3.51 (1H, dd, J = 11.7, 5.6, H-6’a), 3.62 (1H, dd, J= 11.7, 3.6, H-6’b), 3.63 (1H, dd, J = 7.8, 1.8, H-3’), 3.68 (1H, dd, J = 13.2, 9.2, H-1’a), 3.71 (1H, ddd, J = ca. 5.6, 5.6, 3.6, H-5’), 3.73 (1H, dd, J = ca. 5.6, 1.8, H-4’), 3.79 (1H, dd, J= 13.0, 4.0, H-1a), 3.83 (1H, dd, J = 13.0, 3.0, H-1b), 3.850 (1H, dd, J= 11.0, 8.2, H-5a), 3.854 (1H, dd, J = 13.2, 3.2, H-1’b), 4.02 (1H, ddd, J = ca. 8.2, 4.8, 3.0, H-4), 4.04 (1H, dd, J = 11.0, 4.8, H-5b), 4.15 (1H, ddd, J = 9.2, 7.8, 3.2, H-2’), 4.36 (1H, dd, J = ca. 3.0, 3.0, H-3), 4.66 (1H, ddd, J = ca. 4.0, 3.0, 3.0, H-2). 13C-NMR (175 MHz, D2O) δ: 50.9 (C-1), 52.7 (C-1’), 61.9 (C-5), 65.0 (C-6’), 70.2 (C-2’), 72.0 (C-4’), 72.7 (C-4), 75.4 (C-5’), 75.8 (C-3’), 79.7 (C-2), 80.3 (C-3).
下記の実施例は、ネオポンコラノール類の立体異性体の一般合成経路を示すものである。例えば、ネオポンコラノール3’位エピマー(3’-epi-1や3’-epi-7など)は、市販のジ-O-1,2,3,4-イソプロピリデン-α-D-ガラクトース(XVIII)のトリフルオロメタンスルホン酸化して化合物(XIX)を得ることができる。また、5’位エピマー(5’-epi-1)は、α-D-マンノースから合成した化合物(XXII)を用いて合成することができる。
Figure 0005801723
Figure 0005801723
Figure 0005801723
この発明に係るネオポンコラノール類の製造方法は、サラシノールやコタラノールに匹敵するα−グルコシダーゼ阻害活性を有するネオポンコラノール類を工業的に合成するのに有用である。

Claims (3)

  1. 構造式 [ I ] :
    Figure 0005801723
    {式中、Xは、ブレンステッド酸HXの共役塩基であって、RCOO−(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるカルボン酸イオン類、R2―SO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるスルホン酸イオン類、SO 2―もしくはR―OSO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表される硫酸イオン類、PO4 3-、R(P=O)(O2 2-)もしくは(R)2(P=O)(O-)(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるリン酸イオン類、ハロゲンイオンまたはルイス酸イオンとハロゲン化水素とのブレンステッド酸の共役塩基を意味する}
    で表されるネオポンコラノール類の製造方法であって、構造式 [XI]:
    Figure 0005801723
    で表されるアルドヘキソースの水酸基を保護して構造式 [XII]:
    Figure 0005801723
    (式中、Rは水酸基の保護基を意味し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を意味する)
    で表される化合物を得、得られた構造式 [XII]で表される化合物を構造式 [VII]:
    Figure 0005801723
    (式中、Bnは前記と同じ意味を有する)
    で表されるチオ糖とカップリング反応し構造式 [XIII]:
    Figure 0005801723
    (式中、R、BnおよびTfは前記と同じ意味を有する)
    で表されるカップリング体を得、得られた構造式 [XIII]で表されるカップリング体をさらに反応して構造式[Ib]:
    Figure 0005801723
    で表されるネオポンコラノール類を得、さらに得られた構造式[Ib]で表されるネオポンコラノール類を適切に処理したイオン交換樹脂を用いて処理することによってネオポンコラノール類(I:Xは前記と同じ意味を有するが、ただし 塩素原子は除く)で表されるネオポンコラノール類を得ることを特徴とするネオポンコラノール類の製造方法。
  2. 構造式 [ I ] :
    Figure 0005801723
    {式中、Xは、ブレンステッド酸HXの共役塩基であって、RCOO−(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるカルボン酸イオン類、R2―SO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、炭素原子数が1から4のハロゲン化アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるスルホン酸イオン類、SO 2―もしくはR―OSO (式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表される硫酸イオン類、PO4 3-、R(P=O)(O2 2-)もしくは(R)2(P=O)(O-)(式中、Rは、水素原子、炭素原子数が1から4の低級アルキル基、非置換もしくは置換芳香環式基または非置換もしくは置換複素環式基を意味する)で表されるリン酸イオン類、ハロゲンイオンまたはルイス酸イオンとハロゲン化水素とのブレンステッド酸の共役塩基を意味する}
    で表されるネオポンコラノール類の製造方法であって、構造式[II]:
    Figure 0005801723
    で表されるD-グルコースを処理して構造式[XIV]:
    Figure 0005801723
    (式中、Ac はアセチル基を意味し、Brは臭素原子を意味する)
    で表される化合物を得、得られた構造式[XIV]で表される化合物を処理して構造式[XV]:
    Figure 0005801723
    で表される化合物(XVa)(式中、R1は、アセチル基を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに酸化して化合物(XVb)(式中、R1は水酸基を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに得られた化合物(XVb)を処理して構造式[XVI]:
    Figure 0005801723
    で表される化合物(XVIa)(式中、R1はtert―ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)を意味し、R2は水素原子を意味する)を得、続いて得られ化合物(XVIa)を処理して化合物(XVIb)(式中、R1は前記と同じ意味を有し、R2はベンジル基を意味する)を得、さらに得られた化合物(XVIb)を処理して化合物(XVIc)(式中、R1は水素原子を意味し、R2はベンジル基を意味する)を得、引き続き得られた化合物(XVIc)を酸化して構造式[XVII]:
    Figure 0005801723
    (式中、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を意味し、Bnは前記と同じ意味を有する)
    で表される化合物を得、続いて得られた構造式[XVII]で表される化合物をチオ糖(VII)とカップリング反応して構造式[XIIIa]:
    Figure 0005801723
    (式中、TfおよびBnは前記と同じ意味を有する)
    で表されるカップリング体を得、この得られた構造式[XIIIa]で表されるカップリング体を前記と同様に処理することによって構造式[Ic]:
    Figure 0005801723
    で表されるネオポンコラノール類を得、さらに得られた構造式[Ic]で表されるネオポンコラノール類を前記と同様に適切に処理したイオン交換樹脂などによって同様に処理することによってネオポンコラノール類(I: Xは、前記と同じ意味を有するが、ただし 塩素原子は除く)で表されるネオポンコラノール類を得ることを特徴とするネオポンコラノール類の製造方法。
  3. 構造式[XVIII]:
    Figure 0005801723
    で表される化合物を処理して構造式[XIX]:
    Figure 0005801723
    (式中、Tfは前記と同じ意味を有する)
    で表される化合物を得、さらに得られた構造式[XIX]で表される化合物を処理することによって構造式[Id]:
    Figure 0005801723
    で表されるネオポンコラノール類の3’−エピマー体(3’-epi-1)を得ることを特徴とするネオポンコラノール類の製造方法。
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