JP5801228B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高温薬液を用いた処理を基板に施すための基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などの基板が含まれる。
半導体装置の製造工程には、たとえば、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の主面にリン、砒素、硼素などの不純物(イオン)を局所的に注入する工程が含まれる。この工程では、不要な部分に対するイオン注入を防止するため、ウエハの表面に感光性樹脂からなるレジストがパターン形成されて、イオン注入の不要な部分がレジストによってマスクされる。ウエハの表面上にパターン形成されたレジストは、イオン注入の後は不要になるから、イオン注入後には、そのウエハの表面上の不要となったレジストを除去するためのレジスト除去処理が行われる。
このようなレジスト除去処理の代表的なものでは、ウエハの表面に酸素プラズマが照射されて、ウエハの表面上のレジストがアッシングされる。そして、ウエハの表面に硫酸と過酸化水素水の混合液である硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM液)などの薬液が供給されて、アッシングされたレジストが除去されることにより、ウエハの表面からのレジストの除去が達成される。
ところが、レジストのアッシングのための酸素プラズマの照射は、ウエハの表面のレジストで覆われていない部分(たとえば、レジストから露呈した酸化膜)にダメージを与えてしまう。
そのため、最近では、レジストのアッシングを行わずに、ウエハの表面にSPM液を供給して、このSPM液に含まれるペルオキソ一硫酸(HSO)の強酸化力により、ウエハの表面からレジストを剥離して除去する手法が注目されつつある。
特開2005−32819号公報
ところが、高ドーズのイオン注入が行われたウエハでは、レジストが炭化変質(硬化)していることがある。
SPM液に高いレジスト剥離性能を発揮させるためには、SPM液の液温を200℃以上の高温まで昇温させる必要がある。このようなSPM液であれば、表面に硬化層を有するレジストであっても、アッシングすることなく、ウエハの表面から除去することができる。また、SPM液の液温を200℃以上の温度に保つことにより、レジストの剥離効率が高まるから、レジスト剥離の処理時間の短縮を図ることもできる。
このような問題は、SPM液等のレジスト剥離液を用いたレジスト除去処理だけでなく、高温の燐酸を用いた窒化膜等の選択エッチング処理等にも共通の課題である。
そこで、本発明の目的は、基板の主面の薬液を高温に保持させることにより、基板の主面に薬液を用いた処理を良好に施すことができる基板処理装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持する基板保持手段(3)と、基板の主面に薬液を供給するための薬液流通配管(4;4A;4B)と、前記薬液流通配管に薬液を供給する薬液供給手段(13)と、前記薬液流通配管の周囲を取り囲む環状の赤外線ランプ(38)を有し、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に対向して配置され、前記赤外線ランプからの赤外線の放射により、前記基板の主面に供給された薬液を加熱する、基板よりも小径のヒータ(38,52;38,252)と、前記ヒータと前記薬液流通配管とを一体に保持する保持ヘッド(35;35A;35B)と、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に沿って前記保持ヘッドを移動させる保持ヘッド移動手段(36,37)とを含み、前記赤外線ランプからの赤外線の放射により、前記薬液流通配管を流通する薬液が加熱される、基板処理装置(1;1A;1B)である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、本項において同じ。
この構成によれば、赤外線ランプからの赤外線の放射により、その赤外線ランプに取り囲まれた薬液流通配管を流通する薬液が加熱される。したがって、薬液流通配管を流通して高温化された薬液が、基板の主面に供給される。
また、ヒータを基板の主面に対向配置させつつ、赤外線ランプから赤外線を放射させることにより、基板の主面において、ヒータに対向する領域に存在する薬液が加熱される。また、ヒータによる加熱と並行して、保持ヘッドを基板の主面に沿って移動させる。そのため、基板の主面におけるヒータに対向する領域が、所定の軌跡上を移動するので、ヒータによって基板の主面の全域を加熱することができる。
したがって、薬液流通配管を流通して高温化された薬液が、基板の主面に供給された後に、ヒータによってさらに加熱される。これにより、基板の主面に存在する薬液を、高温に保つことができる。その結果、基板の主面の全域に、薬液を用いた処理を良好かつ均一に施すことができる。
また、基板の主面の薬液を高温に保つことができるので、薬液による処理を促進することができ、薬液による処理時間を短縮することができる。
請求項2に記載のように、前記薬液流通配管の管壁は、前記赤外線ランプによる赤外線の照射により熱せられて高温に昇温させられることにより、前記薬液流通配管を流通する薬液を加熱するものであってもよい。
請求項3記載の発明は、前記薬液流通配管(4;4A)は、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に薬液を吐出する薬液吐出口(80;80A)を有している、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、薬液流通配管を流通した薬液は、その後、基板の主面に供給される。そのため、薬液流通配管を流通して加熱された直後の高温の薬液を基板の主面に供給することができる。
請求項4記載の発明は、前記薬液流通配管(4A)の周囲を取り囲むように設けられ、前記薬液流通配管との間に気体が流通する気体流路(101,105,109)を区画し、先端部において前記薬液流通配管との間に気体吐出口(107)を区画するように前記薬液流通配管に固定された外筒(100)をさらに含み、前記薬液吐出口(80A)から吐出される薬液と前記気体吐出口から吐出される気体とが混合されることにより前記薬液の液滴が形成される、請求項3に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、薬液流通配管を流通して加熱された薬液が、薬液吐出口から吐出される。そのため、薬液吐出口から吐出される薬液と気体吐出口から吐出される気体との混合により、薬液の微細な液滴を形成することができる。微小な液滴の態様で基板の主面に供給された薬液は、ヒータの加熱により昇温させられ易い。これにより、基板の主面の薬液を高温に保つことができる。
また、微細な液滴の態様の薬液は気化し易いので、混合の過程で薬液を気化させることも考えられる。この場合、気化した状態の薬液(すなわち薬液成分を含む気体)を、基板の主面に供給することも可能であり、気化後の薬液がその薬液の沸点を超える高温であることから、基板の主面の薬液を、より高い温度に保つことができる。
請求項5記載の発明は、前記保持ヘッドは、水平方向に沿う上面(252A)および下面(252B)を有する底板部(252)を有し、前記赤外線ランプを収容する有底容器状のランプハウジング(40)を備え、前記薬液流通配管(4B)は、前記ランプハウジングの内部で、前記底板部の前記上面に対向する開口(80B)を有し、前記底板部は、その底板部を上下方向に貫通する多数の薬液吐出口(200)を有する、請求項1または2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、薬液流通配管を流通した薬液は、開口から吐出された後、ランプハウジングの底板部に受けられる。ランプハウジングの底板部に受けられた薬液は、薬液吐出口から吐出されるまでの間、その底板部に溜められる。底板部に溜められた薬液に、赤外線ランプからの赤外線が照射されることにより、薬液がさらに加熱される。
また、底板部に溜められた薬液は、底板部の多数の薬液吐出口からシャワー状に吐出される。すなわち、各薬液吐出口からは、薬液の液滴が吐出される。液滴の態様で基板の主面に供給された薬液は、ヒータの加熱により昇温させられ易い。
さらに、底板部の広範囲に薬液吐出口を配置することにより、高温の薬液の液滴を、基板の主面のより広範囲に供給することができる。以上により、基板の主面に供給される薬液をさらに高温化することができるから、基板の主面の薬液を高温に保持することができる。
また、請求項6に記載のように、前記薬液流通配管の管壁は、石英を用いて形成されていてもよい。薬液流通配管の管壁は、赤外線ランプからの赤外線を受けて高温に熱せられるが、耐熱性を有する石英を用いて形成することにより、薬液流通配管の破壊や溶融のおそれが少ない。
請求項7に記載の発明は、前記一体型ヘッドは、前記赤外線ランプを収容する有底容器状のランプハウジング(40)を備える、請求項6に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、赤外線ランプの周囲がランプハウジングによって覆われている。そのため、基板の主面付近の薬液の液滴を含む雰囲気が、赤外線ランプに悪影響を及ぼすのを防止することができる。また、赤外線ランプの管壁に薬液の液滴が付着するのを防止できるので、赤外線ランプから放射される赤外線の光量を長期にわたって安定的に保つことができる。
この場合、請求項8に記載のように、前記ヒータは、前記赤外線ランプの照射により加熱される前記ランプハウジングの底板部(52;252)を含んでいてもよい。この場合、赤外線ランプによる赤外線の照射により、赤外線ランプを収容するランプハウジングの底板部が高温に熱せられる。これにより、ランプハウジングにより、赤外線ランプの保護と、薬液の加熱との双方を実現することができる。
前記底板部は、前記基板の主面と対向する平坦な対向面(52B;252B)を有していることが好ましい。この場合、対向面と基板の主面との間の雰囲気を、その周囲から遮断することができ、対向面と基板の主面との間の雰囲気を保温させることができる。これにより、基板の主面における底板部に対向する領域に存在する薬液の温度降下を抑制することができるので、底板部に対向する領域に存在する薬液のより一層の高温化を図ることができる。
また、請求項9に記載のように、前記ランプハウジングは石英を用いて形成されていてもよい。ランプハウジングは赤外線ランプからの赤外線を受けて部分的に高温に熱せられる場合があるが、耐熱性を有する石英を用いて形成することにより、ランプハウジングの破壊や溶融のおそれが少ない。
また、請求項10に記載のように、薬液流通配管の管壁は、ランプハウジングと一体に形成されていてもよい。
さらに、本発明の一実施形態に係る態様では、前記一体型ヘッドは、前記ランプハウジングの開口部(39)を閉塞する蓋(41)をさらに備えている。この構成によれば、ランプハウジングの開口部が蓋によって閉塞されている。そのため、薬液の液滴を含む雰囲気のランプハウジング内への進入が確実に阻止される。これにより、薬液の液滴を含む雰囲気が赤外線ランプに悪影響を及ぼすのを、より確実に防止することができる。
この場合、蓋と赤外線ランプとが十分な間隔を隔てて配置されていれば、蓋が赤外線ランプによって熱せられることがない。したがって、その蓋を、樹脂材料を用いて形成することもできる。
また、前記ヒータは、前記基板の主面と前記赤外線ランプとの間に配置され、前記赤外線ランプの照射により加熱される対向部材(52)をさらに含んでいてもよい。
この場合、赤外線ランプによる赤外線の照射により、対向部材が高温に熱せられる。そして、対向部材を基板の主面に対向配置させることにより、基板の主面における対向部材に対向する領域に存在する薬液を、赤外線ランプおよび対向部材の双方を用いて加熱することができる。これにより、薬液を効率良く加熱することができる。
前記対向部材は、前記基板の主面と対向する平坦な対向面(52B)を有していることが好ましい。この場合、対向面と基板の主面との間の雰囲気を、その周囲から遮断することができ、対向面と基板の主面との間の雰囲気を保温させることができる。これにより、基板の主面における対向部材に対向する領域に存在する薬液の温度降下を抑制することができるので、対向部材に対向する領域に存在する薬液のより一層の高温化を図ることができる。
請求項11に記載のように、前記赤外線ランプは、前記基板の主面に垂直な軸線を中心軸線とする環状をなしていてもよい。この場合、赤外線ランプが基板の主面に沿って延びるので、より大流量の薬液に対して、赤外線を照射することができる。
また、請求項12に記載のように、前記薬液はレジスト剥離液であってもよい。
この場合、基板の主面に存在する全てのレジスト剥離液を高温に保つことができるので、基板の主面の全域からレジストを良好かつ均一に除去することができる。
また、基板の主面のレジスト剥離液を高温に保つことができるので、硬化層を有するレジストであっても、アッシングすることなく、基板の主面から除去することができる。レジストのアッシングが不要であるから、アッシングによる基板の主面のダメージの問題を回避することができる。
請求項13記載の発明は、前記基板保持手段に保持されている基板を、所定の鉛直軸線まわりに回転させるための回転手段(6)と、前記薬液供給手段を制御して前記基板保持手段に保持されている基板の主面に、前記薬液流通配管からの薬液を供給するとともに、前記回転手段を制御して前記基板保持手段に保持されている基板を第1回転速度で回転させることにより、その基板の主面を覆う薬液の液膜を形成させる液膜形成工程と、前記液膜形成工程の後、前記回転手段を制御して、前記基板保持手段に保持されている基板を第1回転速度よりも低い第2回転速度で回転させることにより、前記基板の主面上に形成された薬液の液膜(70)を、その基板の主面上に保持する液膜保持工程と、前記液膜保持工程と並行して、前記ヒータおよび前記保持ヘッド移動手段を制御して、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に前記ヒータを対向配置させるとともに、前記基板の主面に保持されている薬液の液膜を前記ヒータにより加熱する液膜加熱工程と、前記液膜保持工程および前記液膜加熱工程と並行して、前記保持ヘッドを、前記基板の主面に沿って移動させる保持ヘッド移動工程とを実行する制御手段(55)とをさらに含み、前記基板保持手段は、基板を水平姿勢に保持する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板保持手段に保持されている基板の主面に、第1流量の薬液を供給するとともに、その基板を第1回転速度で回転させることにより、基板の主面に当該主面を覆う薬液の液膜が形成される。その後、基板の回転速度が第2回転速度に下げられることにより、基板の主面上に薬液の液膜が継続して保持される。この液膜の保持と並行して、基板の主面にヒータを対向配置させるとともに、ヒータによる加熱を開始することにより、ヒータに対向する基板の主面上の領域に存在する薬液の液膜が加熱される。また、ヒータによる加熱と並行して、ヒータを基板の主面に沿って移動させることにより、ヒータに対向する基板の主面上の部分を移動させることができる。そのため、ヒータによって基板の主面の全域を加熱することができる。これにより、基板の主面上にある薬液のほぼ全てを加熱することが可能である。この場合、基板の主面上の全域において、薬液を高温に保つことができる。その結果、基板の主面に対し、薬液を用いた処理を良好かつ均一に施すことができる。
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す図である。 図1に示す一体型ヘッドの図解的な断面図である。 図2に示す赤外線ランプの斜視図である。 図1に示すアームおよび一体型ヘッドの斜視図である。 図1に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。 図1に示す基板処理装置におけるレジスト除去処理の第1処理例を示す工程図である。 図6に示す第1処理例の主要な工程における制御装置による制御内容を説明するためのタイムチャートである。 第1処理例の一工程を説明するための図解的な図である。 図8Aの次の工程を示す図解的な図である。 図8Aおよび図8Bに示す各工程における一体型ヘッドの移動範囲を示す平面図である。 第2処理例の主要な工程における制御装置による制御内容を説明するためのタイムチャートである。 第3処理例の主要な工程における制御装置による制御内容を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の一体型ヘッドの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の一体型ヘッドの断面図である。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を模式的に示す図である。基板処理装置1は、たとえば基板の一例としてのウエハWの表面(主面)に不純物を注入するイオン注入処理やドライエッチング処理の後に、そのウエハWの表面から不要になったレジストを除去するための処理に用いられる枚葉式の装置である。
基板処理装置1は、隔壁(図示しない)により区画された処理室2内に、ウエハWを保持して回転させるウエハ回転機構(基板保持手段)3と、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWの表面(上面)に対向して配置されて、レジスト剥離液(薬液)の一例としてのSPM液をウエハWの表面に供給するとともに、ウエハWの表面上のSPM液を加熱する一体型ヘッド(保持ヘッド)35とを備えている。
ウエハ回転機構3として、たとえば挟持式のものが採用されている。具体的には、ウエハ回転機構3は、モータ(回転手段)6と、このモータ6の駆動軸と一体化されたスピン軸7と、スピン軸7の上端にほぼ水平に取り付けられた円板状のスピンベース8と、スピンベース8の周縁部の複数箇所にほぼ等角度間隔で設けられた複数個の挟持部材9とを備えている。そして、複数個の挟持部材9は、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持する。この状態で、モータ6が駆動されると、その駆動力によってスピンベース8が所定の回転軸線(鉛直軸線)Cまわりに回転され、そのスピンベース8とともに、ほぼ水平な姿勢を保ったウエハWを鉛直な回転軸線Cまわりに回転される。
なお、ウエハ回転機構3としては、挟持式のものに限らず、たとえば、ウエハWの裏面を真空吸着することにより、ウエハWを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で回転軸線Cまわりに回転することにより、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWを回転させる真空吸着式のものが採用されてもよい。
ウエハ回転機構3の側方には、鉛直方向に延びる支持軸33が配置されている。支持軸33の上端部には、水平方向に延びるアーム34が結合されており、アーム34の先端に、赤外線ランプ38を収容保持する一体型ヘッド(保持ヘッド)35が取り付けられている。また、支持軸33には、支持軸33を中心軸線まわりに回動させるための揺動駆動機構(保持ヘッド移動手段)36と、支持軸33を中心軸線に沿って上下動させるための昇降駆動機構(保持ヘッド移動手段)37とが結合されている。
揺動駆動機構36から支持軸33に駆動力を入力して、支持軸33を所定の角度範囲内で回動させることにより、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの上方で、アーム34を、支持軸33を支点として揺動させることができる。アーム34の揺動により、一体型ヘッド35を、ウエハWの回転軸線C上を含む位置(ウエハWの回転中心に対向する位置)と、ウエハ回転機構3の側方に設定されたホームポジションとの間で移動される。また、昇降駆動機構37から支持軸33に駆動力を入力して、支持軸33を上下動させることにより、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面に近接する近接位置(後述する第1の近接位置および第2の近接位置の双方を含む。図1に二点鎖線で示す位置)と、そのウエハWの上方に退避する退避位置(図1に実線で示す位置)との間で、一体型ヘッド35を昇降させることができる。この実施形態では、近接位置は、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面と一体型ヘッド35の下面(底板部52の下面52B(図2参照))との間隔がたとえば約3mmになる位置に設定されている。
また、基板処理装置1は、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面にリンス液としてのDIW(脱イオン化された水)を供給するためのDIWノズル24と、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面に対して洗浄用の薬液としてのSC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)を供給するためのSC1ノズル25とを備えている。
DIWノズル24は、たとえば、連続流の状態でDIWを吐出するストレートノズルであり、ウエハ回転機構3の上方で、その吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて固定的に配置されている。DIWノズル24には、DIW供給源からのDIWが供給されるDIW供給管26が接続されている。DIW供給管26の途中部には、DIWノズル24からのDIWの供給/供給停止を切り換えるためのDIWバルブ27が介装されている。
SC1ノズル25は、たとえば、連続流の状態でSC1を吐出するストレートノズルである。SC1ノズル25は、その吐出口を下方に向けた状態で、ほぼ水平に延びる液アーム28の先端に取り付けられている。液アーム28は、鉛直方向に延びる所定の揺動軸線まわりに旋回可能に設けられている。液アーム28には、液アーム28を所定角度範囲内で揺動させるための液アーム揺動機構29が結合されている。液アーム28の揺動により、SC1ノズル25は、ウエハWの回転軸線C上の位置(ウエハWの回転中心に対向する位置)と、ウエハ回転機構3の側方に設定されたホームポジションとの間で移動される。
SC1ノズル25には、SC1供給源からのSC1が供給されるSC1供給管30が接続されている。SC1供給管30の途中部には、SC1ノズル25からのSC1の供給/供給停止を切り換えるためのSC1バルブ31が介装されている。
図2は、一体型ヘッド35の図解的な断面図である。
一体型ヘッド35は、鉛直方向に延びる剥離液流通配管(薬液流通配管)4と、剥離液流通配管4の周囲を取り囲むように配置された略円環状の赤外線ランプ38とを備えている。剥離液流通配管4は丸管(円筒状の配管)である。また、一体型ヘッド35は、上部に開口部39を有し、赤外線ランプ38を収容する有底容器状のランプハウジング40と、ランプハウジング40の内部で赤外線ランプ38を吊り下げて支持する支持部材42と、ランプハウジング40の開口部39を閉塞するための蓋41とを備えている。この実施形態では、蓋41がアーム34の先端に固定されている。また、剥離液流通配管4およびランプハウジング40は、透明材料である石英を用いて一体に形成されている。
剥離液流通配管4の先端(下端)は、ランプハウジング40の底板部52を貫通して、底板部52の下面52Bよりも先端側(下方)に突出し、下方に向けて開口している。剥離液流通配管4の先端の開口が、SPM液を吐出する剥離液吐出口(薬液吐出口)80とされている。
一方、剥離液流通配管4の基端は上方へと延び、蓋41(図2では蓋41)外に達している。剥離液流通配管4の基端には、蓋41の外側から次に述べる剥離液供給管15が接続されており、この剥離液供給管15から剥離液流通配管4にSPM液が供給されるようになっている。
図3は、赤外線ランプ38の斜視図である。図2および図3に示すように、赤外線ランプ38は、円環状の(円弧状の)円環部43と、円環部43の両端から、円環部43の中心軸線に沿うように鉛直上方に延びる一対の直線部44,45とを有する1本の赤外線ランプヒータであり、主として円環部43が発光部として機能する。この実施形態では、円環部43の直径(外径)は、たとえば約60mmに設定されている。赤外線ランプ38が支持部材42に支持された状態で、円環部43の中心軸線は、鉛直方向に延びている。換言すると、円環部43の中心軸線は、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面に垂直な軸線である。また、赤外線ランプ38はほぼ水平面内に配置される。
赤外線ランプ38は、フィラメントを石英配管内に配設して構成されている。赤外線ランプ38には、電圧供給のためのアンプ54が接続されている。赤外線ランプ38として、ハロゲンランプやカーボンヒータに代表される短・中・長波長の赤外線ヒータを採用することができる。
図4は、アーム34および一体型ヘッド35の斜視図である。
図2および図4に示すように、蓋41は円板状をなし、アーム34に対して水平姿勢に固定されている。蓋41は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂材料を用いて形成されている。この実施形態では、蓋41はアーム34と一体に形成されている。しかしながら、蓋41をアーム34と別に形成するようにしてもよい。また、また、蓋41の材料として、PTFE等の樹脂材料以外にも、セラミックスや石英などの材料を採用することもできる。
図2に示すように、蓋41の下面49には、(略円筒状の)溝部51が形成されている。溝部51は水平平坦面からなる上底面50を有し、上底面50に支持部材42の上面42Aが接触固定されている。図2および図4に示すように、蓋41には、上底面50および下面42Bを、上下方向(鉛直方向)に貫通する挿通孔58,59が形成されている。各挿通孔58,59は、赤外線ランプ38の直線部44,45の各上端部が挿通するためのものである。なお、図4では、赤外線ランプ38を一体型ヘッド35から取り除いた状態の構成を示している。
図2に示すように、ランプハウジング40は有底円筒容器状をなしている。ランプハウジング40は、その開口部39を上方に向けた状態で、蓋41の下面49(この実施形態では、溝部51を除く下面)に固定されている。ランプハウジング40の開口側の周端縁からは、円環状のフランジ40Aが径方向外方に向けて(水平方向に)突出している。フランジ40Aがボルト等の固定手段(図示しない)を用いて蓋41の下面49に固定されることにより、ランプハウジング40、およびランプハウジング40と一体に形成された剥離液流通配管4が、蓋41に支持されている。
この状態で、ランプハウジング40の底板部(対向部材)52は、水平姿勢の円板状をなしている。底板部52の上面52Aおよび下面(対向面)52Bは、それぞれ水平平坦面をなしている。ランプハウジング40内において、赤外線ランプ38は、その円環部43の下部が底板部52の上面52Aに近接して対向配置されている。また、円環部43と底板部52とは互いに平行に設けられている。なお、この実施形態では、ランプハウジング40の外径は、たとえば約85mmに設定されている。また、赤外線ランプ38(円環部43の下部)と上面52Aとの間の上下方向の間隔はたとえば約2mmに設定されている。
支持部材42は厚肉の板状(略円板状)をなしており、ボルト56等によって、蓋41にその下方から、水平姿勢で取付け固定されている。支持部材42は、耐熱性を有する材料(たとえばセラミックスや石英)を用いて形成されている。支持部材42は、その上面42Aおよび下面42Bを、上下方向(鉛直方向)に貫通する挿通孔46,47を2つ有している。各挿通孔46,47は、赤外線ランプ38の直線部44,45が挿通するためのものである。
各直線部44,45の途中部には、Oリング48が外嵌固定されている。直線部44,45を挿通孔46,47に挿通させた状態では、各Oリング48の外周が挿通孔46,47の内壁に圧接し、これにより、直線部44,45の各挿通孔46,47に対する抜止めが達成され、赤外線ランプ38が支持部材42によって吊り下げ支持される。
図1を参照して、剥離液流通配管4にSPM液を供給するための剥離液供給機構(薬液供給手段)13は、硫酸と過酸化水素水とを混合させるための混合部14と、混合部14と剥離液流通配管4との間に接続された剥離液供給管15とを備えている。混合部14には、硫酸供給管16および過酸化水素水供給管17が接続されている。硫酸供給管16には、後述する硫酸供給部(図示しない)から、所定温度(たとえば約80℃)に温度調節された硫酸(HSO)が供給される。一方、過酸化水素水供給管17には、過酸化水素水供給源(図示しない)から、温度調節されていない室温(約25℃)程度の過酸化水素水(H)が供給される。硫酸供給管16の途中部には、硫酸バルブ18および流量調節バルブ19が介装されている。また、過酸化水素水供給管17の途中部には、過酸化水素水バルブ20および流量調節バルブ21が介装されている。剥離液供給管15の途中部には、攪拌流通管22および剥離液バルブ23が混合部14側からこの順に介装されている。攪拌流通管22は、たとえば、管部材内に、それぞれ液体流通方向を軸にほぼ180度のねじれを加えた長方形板状体からなる複数の撹拌フィンを、液体流通方向に沿う管中心軸まわりの回転角度を90度ずつ交互に異ならせて配置した構成を有している。
剥離液バルブ23が開かれた状態で、硫酸バルブ18および過酸化水素水バルブ20が開かれると、硫酸供給管16からの硫酸および過酸化水素水供給管17からの過酸化水素水が混合部14に流入し、それらが混合部14から剥離液供給管15へと流出する。硫酸および過酸化水素水は、剥離液供給管15を流通する途中、攪拌流通管22を通過することにより十分に攪拌される。攪拌流通管22による攪拌によって、硫酸と過酸化水素水とが十分に反応し、多量のペルオキソ一硫酸(HSO)を含むSPM液が生成される。そして、SPM液は、硫酸と過酸化水素水との反応熱により、混合部14に供給される硫酸の液温以上の高温に昇温する。その高温のSPM液が剥離液供給管15を通して剥離液流通配管4に供給される。
この実施形態では、硫酸供給部(図示しない)の硫酸タンク(図示しない)には、硫酸が溜められており、この硫酸タンク内の硫酸は温度調節器(図示しない)により、所定温度(たとえば約80℃)に温度調節されている。この硫酸タンク内に溜められた硫酸が硫酸供給管16に供給される。混合部14において、約80℃の硫酸と、室温の過酸化水素水とが混合されることにより、約140℃のSPM液が生成される。剥離液流通配管4の剥離液吐出口80は、約140℃のSPM液を吐出する。
図2に示すように、アンプ54から赤外線ランプ38に電圧が供給されると、赤外線ランプ38が赤外線を放射し、ランプハウジング40を介して、一体型ヘッド35の下方に向けて出射される。また、赤外線ランプ38の放射により、ランプハウジング40の底板部52がたとえば300℃程度に熱せられる。そして、ランプハウジング40の底板部52が熱源として機能する。そのため、この実施形態では、赤外線ランプ38だけでなく、ランプハウジング40の底板部52も特許請求の範囲の「ヒータ」に含まれる。ランプハウジング40の底板部52を、SPM液を加熱するためのヒータとして機能させるので、ランプハウジング40により、赤外線ランプ38の保護と、SPM液の加熱との双方を実現することができる。
また、赤外線ランプ38に取り囲まれた剥離液流通配管4の管壁は、赤外線ランプ38赤外線ランプ38からの赤外線の照射により、300℃程度に熱せられる。この状態で、剥離液流通配管4に剥離液供給機構13からのSPM液が供給されると、SPM液が剥離液流通配管4を流通する過程で、剥離液流通配管4の管壁により加熱される。また、剥離液流通配管4を流通するSPM液は、赤外線ランプ38から照射される赤外線を受けて加熱される。したがって、剥離液流通配管4を流通してたとえば高温化されたSPM液が剥離液吐出口80から吐出される。
前述のように、ランプハウジング40および剥離液流通配管4は、赤外線ランプ38からの赤外線の照射により、部分的に300℃程度に熱せられるのであるが、ランプハウジング40および剥離液流通配管4が耐熱性を有する石英を用いて形成されているので、その破壊や溶融のおそれが少ない。
また、赤外線ランプ38の円環部43および底板部52の双方が互いに平行に設けられているので、円環部43が底板部52に沿っている。そのため、円環部43による底板部52への照射面積を広く保つことができ、赤外線ランプ38による底板部52の加熱を効率良く行うことができる。また、赤外線ランプ38の円環部43が水平姿勢であるので、同じく水平姿勢にあるウエハWの表面への照射面積を広く保つことができ、これにより、SPM液に対し赤外線を効率良く照射することができる。
赤外線ランプ38の周囲がランプハウジング40によって覆われており、また、ランプハウジング40のフランジ40Aと蓋41の下面49とは、ランプハウジング40の全周にわたって密着している。さらに、ランプハウジング40の開口部39が蓋41によって閉塞されている。これらにより、後述するレジスト除去処理の際、ウエハWの表面付近のSPM液の液滴を含む雰囲気が、ランプハウジング40内に進入して、赤外線ランプ38に悪影響を及ぼすのを防止することができる。また、赤外線ランプ38の石英管の管壁にSPM液の液滴が付着するのを防止することができるので、赤外線ランプ38から放射される赤外線の光量を長期にわたって安定的に保つことができる。
そして、後述するレジスト除去処理の際には、赤外線ランプ38の円環部43およびランプハウジング40の底板部52が、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWの表面に対向して配置される。換言すると、ウエハWに対するレジスト除去処理時には、底板部52は、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWの表面と、赤外線ランプ38との間に配置される。
また、蓋41内には、ランプハウジング40の内部にエアを供給するための給気経路60と、ランプハウジング40の内部の雰囲気を排気するための排気経路61とが形成されている。給気経路60および排気経路61は、蓋41の下面に開口する給気ポート62および排気ポート63を有している。給気経路60には、給気配管64の一端が接続されている。給気配管64の他端は、エアの給気源に接続されている。排気経路61には、排気配管65の一端が接続されている。排気配管65の他端は、排気源に接続されている。
給気配管64および給気経路60を通して、給気ポート62からランプハウジング40内にエアを供給しつつ、ランプハウジング40内の雰囲気を、排気ポート63および排気経路61を通して排気配管65へ排気することにより、ランプハウジング40内の高温雰囲気を換気することができる。これにより、ランプハウジング40の内部を冷却し、その結果赤外線ランプ38およびランプハウジング40(とくに底部52)を冷却することができる。
なお、図4に示すように、給気配管64および排気配管65(図4では図示しない。図2参照)は、アーム34の一方の側面に配設された板状の給気配管ホルダ66、およびアーム34の他方の側面に配設された板状の排気配管ホルダ67に、それぞれ支持されている。
図5は、基板処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。基板処理装置1は、さらに、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置(制御手段)55を備えている。制御装置55には、モータ6、アンプ54、揺動駆動機構36、昇降駆動機構37、液アーム揺動機構29、硫酸バルブ18、過酸化水素水バルブ20、剥離液バルブ23、DIWバルブ27、SC1バルブ31、流量調節バルブ19,21等が制御対象として接続されている。
図6は、基板処理装置1におけるレジスト除去処理の第1処理例を示す工程図である。
図7は、次に述べるSPM液膜形成工程およびSPM液膜加熱工程における制御装置55による制御内容を説明するためのタイムチャートである。図8Aおよび図8Bは、SPM液膜形成工程およびSPM液膜加熱工程を説明するための図解的な断面図である。図9は、図8Aおよび図8Bに示す各工程における一体型ヘッド35の移動範囲を示す平面図である。
以下、図1〜図9を参照しつつ、レジスト除去処理の第1処理例について説明する。
レジスト除去処理に際しては、搬送ロボット(図示しない)が制御されて、処理室2(図1参照)内にイオン注入処理後のウエハWが搬入される(ステップS1:ウエハ搬入)。ウエハWは、レジストをアッシングするための処理を受けておらず、また、ウエハWの表面のレジストは疎水性であるとする。ウエハWは、その表面を上方に向けた状態でウエハ回転機構3に受け渡される。このとき、ウエハWの搬入の妨げにならないように、一体型ヘッド35、剥離液流通配管4およびSC1ノズル25は、それぞれホームポジションに配置されている。
ウエハ回転機構3にウエハWが保持されると、制御装置55はモータ6を制御して、ウエハWを回転開始させる。ウエハWの回転速度は第1回転速度(30〜300rpmの範囲で、たとえば60rpm)まで上げられ、その後、その第1回転速度に維持される(ステップS2)。第1回転速度は、ウエハWをSPM液でカバレッジできる速度である。また、制御装置55は、揺動駆動機構36および昇降駆動機構37を制御して、一体型ヘッド35を保持したアーム34をウエハWの上方で揺動および昇降させる。具体的には、一体型ヘッド35を、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWの表面の回転中心に対向する第1の近接位置に配置する。この第1の近接位置は、一体型ヘッド35に含まれる剥離液流通配管4の剥離液吐出口80がウエハWの表面の回転中心に対向する位置(図9に実線で示す位置)である。
ウエハWの回転速度が第1回転速度に達した後、図8Aに示すように、制御装置55は、硫酸バルブ18、過酸化水素水バルブ20および剥離液バルブ23を開いて、剥離液流通配管4にSPM液を供給する。これにより、剥離液流通配管4を流通したSPM液が剥離液吐出口80から吐出されて、ウエハWの表面に供給される。また、制御装置55は、アンプ54を制御して、赤外線ランプ38から赤外線を放射させる。
前述のように、赤外線ランプ38からの赤外線の放射により、赤外線ランプ38に取り囲まれた剥離液流通配管4を流通するSPM液が加熱される。したがって、剥離液流通配管4を流通して高温化されたSPM液が剥離液吐出口80から吐出され、このSPM液がウエハWの表面に供給される。
また、ウエハWの回転速度が第1回転速度であるので、ウエハWの表面に供給されるSPM液は、ウエハWの表面上に溜められていき、ウエハWの表面上に、その表面の全域を覆うSPM液の液膜(薬液の液膜)70が形成される(ステップS3:SPM液膜形成工程)。
図8Aに示すように、SPM液膜形成工程の開始時には、制御装置55は、第1液アーム揺動機構12を制御して、一体型ヘッド35を第1の近接位置に配置させる。
その後、制御装置55は、揺動駆動機構36を制御して、アーム34を揺動させて、一体型ヘッド35を、ウエハWの回転軸線C上を含む第2の近接位置に向けて水平移動(ウエハWの表面に沿って)移動させるとともに、剥離液流通配管4の剥離液吐出口80からSPM液を吐出する。具体的には、第2の近接位置は、一体型ヘッド35に含まれる剥離液流通配管4の剥離液吐出口80がウエハWの表面の周縁部に対向する位置(図9に二点鎖線で示す位置)である。剥離液吐出口80をウエハWの回転中心上に配置させることにより、SPM液をウエハWの表面の全域に行き渡らせることができる。
また、ヒータ(赤外線ランプ38および底板部52)と剥離液流通配管4とが、保持ヘッド35によって一体に保持されているので、ウエハW上において、剥離液吐出口80からのSPM液の吐出位置と、ヒータ38,52に対向する領域とは常に接近している。そのため、ウエハWの表面に供給された直後のSPM液を、ヒータ38,52により加熱することができる。
ウエハWの表面の全域を覆うSPM液の液膜70が形成されるまでに要する時間は、剥離液吐出口80から吐出されるSPM液の流量によって異なるが、2〜15秒間の範囲で、たとえば5秒間である。
この5秒間が、SPM液の供給開始から経過すると、制御装置55は、モータ6を制御して、ウエハWの回転速度を第1回転速度よりも小さい所定の第2回転速度に下げる。これにより、ステップS4のSPM液膜加熱工程が実行される。
第2回転速度は、ウエハWへのSPM液の供給がなくても、ウエハWの表面上にSPM液の液膜70を保持可能な速度(1〜20rpmの範囲で、たとえば15rpm)である。また、モータ6によるウエハWの減速と同期して、制御装置55は、剥離液バルブ23を閉じて、剥離液吐出口80からのSPM液の供給を停止する。ウエハWへのSPM液の供給が停止されるが、ウエハWの回転速度が第2回転速度に下げられることにより、ウエハWの表面上にSPM液の液膜70が継続して保持される。
図8Bに示すように、ウエハWの回転速度が下げられた後も、一体型ヘッド35のヒータ38,52によるウエハWの表面上のSPM液への加熱は継続される(ステップS4:SPM液膜加熱工程)。
制御装置55は、アンプ54を制御して、赤外線ランプ38から赤外線を放射させるとともに、揺動駆動機構36および昇降駆動機構37を制御して、図8Bおよび図9に示すように、一体型ヘッド35を、第1の近接位置と、第2の近接位置との間で往復移動させる。赤外線ランプ38による赤外線の照射により、ランプハウジング40の底板部52が300℃程度に熱せられるので、ウエハWの表面における底板部52の下面52Bに対向する領域に存在するSPM液が、約250℃程度の高温に加熱され、SPM液が急激に温められる。そして、ウエハWの表面における底板部52の下面52Bに対向する領域が、ウエハWの回転中心を含む領域からウエハWの周縁を含む領域に至る範囲内を円弧帯状の軌跡を描きつつ移動する。これにより、ウエハWの表面の全域を加熱することができ、この場合、赤外線ランプ38直下のウエハWが温まり、ウエハWとの境界付近のSPM液が温められる。
また、前述のように、一体型ヘッド35が近接位置にあるときには、底板部52の下面52BとウエハWの表面との間が微小間隔(たとえば約3mm)に保たれる。そのため、下面52BとウエハWの表面との間の雰囲気を、その周囲から遮断することができ、下面52BとウエハWの表面との間の雰囲気を保温させることができる。これにより、ウエハWの表面における底板部52の下面52Bに対向する領域に存在するSPM液の温度降下を抑制することができるので、底板部52に対向する領域に存在するSPM液のより一層の高温化を図ることができる。
ステップS4のSPM液膜加熱工程では、SPM液の液膜70がウエハWの表面との境界付近で温められる。この間に、ウエハWの表面上のレジストとSPM液との反応が進み、ウエハWの表面からのレジストの剥離が進行する。
その後、ウエハWの回転速度が下げられてから予め定める液膜加熱処理時間(5〜240秒間の範囲で、たとえば約14秒間)が経過すると、制御装置55は、硫酸バルブ18および過酸化水素水バルブ20を閉じるとともに、制御装置55は、アンプ54を制御して、赤外線ランプ38からの赤外線の放射を停止させる。また、制御装置55は、揺動駆動機構36および昇降駆動機構37を制御して、一体型ヘッド35をホームポジションに戻す。
そして、制御装置55は、モータ6を制御して、ウエハWの回転速度を所定の液処理回転速度(300〜1500rpmの範囲で、たとえば1000rpm)に上げるとともに、DIWバルブ27を開いて、DIWノズル24の吐出口からウエハWの回転中心付近に向けてDIWを供給する(ステップS5:中間リンス処理工程)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面上をウエハWの周縁に向けて流れる。これにより、ウエハWの表面に付着しているSPM液がDIWによって洗い流される。
DIWの供給が所定の中間リンス時間にわたって続けられると、DIWバルブ27が閉じられて、ウエハWの表面へのDIWの供給が停止される。
ウエハWの回転速度を液処理回転速度に維持しつつ、制御装置55は、SC1バルブ31を開いて、SC1ノズル25からSC1をウエハWの表面に供給する(ステップS6)。また、制御装置55は、液アーム揺動機構29を制御して、液アーム28を所定角度範囲内で揺動させて、SC1ノズル25を、ウエハWの回転中心上と周縁部上との間で往復移動させる。これによって、SC1ノズル25からのSC1が導かれるウエハWの表面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。これにより、ウエハWの表面の全域に、SC1がむらなく供給され、SC1の化学的能力により、ウエハWの表面に付着しているレジスト残渣およびパーティクルなどの異物を除去することができる。
SC1の供給が所定のSC1供給時間にわたって続けられると、制御装置55は、SC1バルブ31を閉じるとともに、液アーム揺動機構29を制御して、SC1ノズル25をホームポジションに戻す。また、ウエハWの回転速度が液処理回転速度に維持された状態で、制御装置55は、DIWバルブ27を開いて、DIWノズル24の吐出口からウエハWの回転中心付近に向けてDIWを供給する(ステップS7:リンス処理工程)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力を受けて、ウエハWの表面上をウエハWの周縁に向けて流れる。これにより、ウエハWの表面に付着しているSC1がDIWによって洗い流される。
DIWの供給が所定のリンス時間にわたって続けられると、DIWバルブ27が閉じられて、ウエハWの表面へのDIWの供給が停止される。
リンス処理の開始から所定時間が経過すると、制御装置55は、DIWバルブ27を閉じて、ウエハWの表面へのDIWの供給を停止する。その後、制御装置55は、モータ6を駆動して、ウエハWの回転速度を所定の高回転速度(たとえば1500〜2500rpm)に上げて、ウエハWに付着しているDIWを振り切って乾燥されるスピンドライ処理が行われる(ステップS8)。ステップS8のスピンドライ処理によって、ウエハWに付着しているDIWが除去される。なお、ステップS5の中間リンス工程およびステップS7のリンス工程において、リンス液として、DIWに限らず、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、還元水(水素水)、磁気水などを採用することもできる。
スピンドライ処理が予め定めるスピンドライ処理時間にわたって行われると、制御装置55は、モータ6を駆動して、ウエハ回転機構3の回転を停止させる。これにより、1枚のウエハWに対するレジスト除去処理が終了し、搬送ロボットによって、処理済みのウエハWが処理室2から搬出される(ステップS9)。
以上のようにこの実施形態によれば、赤外線ランプ38からの赤外線の放射により、赤外線ランプ38に取り囲まれた剥離液流通配管4を流通するSPM液が加熱される。したがって、剥離液流通配管4を流通して高温化されたSPM液が、ウエハWの表面に供給される。
また、ヒータ38,52をウエハWの表面に対向配置させつつ、赤外線ランプ38から赤外線を放射させることにより、ウエハWの表面において、ヒータ38,52に対向する領域に存在するSPM液が加熱される。また、ヒータ38,52による加熱と並行して、ヒータ38,52をウエハWの表面に沿って移動させる。そのため、ウエハWの表面における底板部52の下面52Bに対向する領域が、ウエハWの回転中心を含む領域からウエハWの周縁を含む領域に至る範囲内を円弧帯状の軌跡を描きつつ移動するので、ヒータ38,52によってウエハWの表面のほぼ全域を加熱することができる。
したがって、剥離液流通配管4を流通して高温化されたSPM液が、ウエハWの表面に供給された後に、ヒータ38,52によってさらに加熱される。これにより、ウエハWの表面に形成されたSPM液の液膜70のウエハWとの境界部分が温められる。
また、ウエハWの表面上のSPM液のウエハWとの境界付近を温めることができるので、硬化層を有するレジストであっても、アッシングすることなく、ウエハWの表面から除去することができる。レジストのアッシングが不要であるから、アッシングによるウエハWの表面のダメージの問題を回避することができる。
また、ウエハWの表面上のSPM液のウエハWとの境界付近を温めることができるので、レジストの剥離を促進することができ、レジスト除去のための処理時間を短縮することができる。
ステップS4のSPM液膜加熱工程においてウエハWへのSPM液の供給を停止するので、硫酸の消費量を低減することができる。また、硫酸の消費量を低減できるので、硫酸供給部(図示しない)から供給される硫酸の温度が低温(約80℃)であるだけでなく、その硫酸の消費量を低減することもできるので、高温(約180〜195℃)の硫酸を大量に消費する場合と比較して、硫酸の昇温のために要する熱量を大幅に低減することができる。以上により、1枚のウエハWの処理に要するコストを低減することができる。
図10は、レジスト除去処理の第2処理例の主要な工程における制御装置55による制御内容を説明するためのタイムチャートである。図11は、レジスト除去処理の第3処理例の主要な工程における制御装置55による制御内容を説明するためのタイムチャートである。
処理例2では処理例1と同様、SPM液膜形成工程(図6に示すステップS3)、SPM液膜加熱工程(図6に示すステップS4)、中間リンス工程(図6に示すステップS5)、SC1供給工程(図6に示すステップS6)およびリンス工程(図6に示すステップS7)およびスピンドライ処理(図6に示すステップS8)の各処理が、この順に実行される。
処理例2および処理例3が処理例1と相違する点は、ステップS4のSPM液膜加熱工程において、ウエハWの表面に、SPM液を、その単位時間当たりの流量が、第1流量よりも小さくなるように供給している点である。
具体的には、処理例2では、制御装置55は、ステップS4のSPM液膜加熱工程の開始時において、第1流量のSPM液をウエハ回転機構3に保持されているウエハWに供給するとともに、その後、流量調節バルブ19,21を制御して、ステップS4のSPM液膜加熱工程の進行に伴って、ウエハWに供給するSPM液の流量を徐々に(時間の経過に比例して)減少させ、SPM液膜加熱工程の開始から所定時間(たとえば5秒間)が経過した後、ウエハWに対するSPM液の供給を停止させる。
また、処理例3では、制御装置55は、ステップS4のSPM液膜加熱工程の開始時において、第1流量のSPM液を、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWに間欠的に供給する。より具体的には、SPM液の間欠供給は、たとえば2秒間のSPM液の供給と、たとえば5秒間のSPM液の供給停止とを交互に繰り返している。
処理例2および処理例3によれば、SPM液の液膜70に対する加熱の際に、SPM液の液膜70に、新たなSPM液が加えられる。これにより、ウエハWの表面上に、SPM液の液膜70が安定して保持される。また、ウエハWの表面に対するSPM液の単位時間当たりの供給流量が第1流量よりも少ないので、SPM液の消費量の低減を図ることができる。
なお、処理例2では、ステップS4のSPM液膜加熱工程の途中に、ウエハWに対するSPM液の供給を停止させるものとしたが、SPM液の供給流量を徐々に(時間の経過に比例して)減少させた後に、ウエハWに対するSPM液の供給流量を、第1流量よりも少ない第2流量とし、その後第2流量で、SPM液の供給を続行させるようにすることもできる。
また、処理例3では、SPM液の間欠吐出の際の流量を第1流量としたが、この間欠吐出のときのSPM液の供給流量を、第1流量よりも少ない第2流量とすることもできる。
図12は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置1Aの一体型ヘッド(保持ヘッド)135の断面図である。基板処理装置1Aでは、図2等に示す一体型ヘッド35に代えて、一体型ヘッド135が搭載されている。図12に示す一体型ヘッド135において、第1実施形態の一体型ヘッド35の各部に対応する部分には、図2等と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。第2実施形態の一体型ヘッド135が図2等に示す第1実施形態の一体型ヘッド35と相違する点は、剥離液流通配管(薬液流通配管)4Aの先端部に、円筒状の外筒100を設け、剥離液流通配管4Aの先端部の形態を、いわゆる外部混合型二流体ノズルの構成とした点にある。
剥離液流通配管4Aは、剥離液流通配管4(図2参照)よりも長尺の丸管(円筒状の配管)である。剥離液流通配管4Aの先端は、ランプハウジング40の底板部52を貫通して、底板部52の下面52Bよりも先端側(下方)に突出している。その剥離液吐出口(薬液吐出口)80Aの下面52Bからの突出量が、剥離液吐出口80(図2参照)の下面52Bからの突出量よりも大きくされている。剥離液流通配管4Aは、その先端部を除いて、剥離液流通配管4(図2参照)と同等の構成である。
外筒100は、円筒状の剥離液流通配管4Aと同軸状の略円筒状をなしている。外筒100はたとえば石英を用いて、剥離液流通配管4Aと一体に形成されている。
外筒100は、その上端部を除いて、剥離液流通配管4Aの外径よりも大きなほぼ一定の内径を有している。そのため、剥離液流通配管4Aの外壁と外筒100の内壁との間には、剥離液流通配管4Aの中心軸線を中心とした略円筒状の間隙である円筒流路101が形成されている。また、外筒100の上端部の内周は、剥離液流通配管4Aの外周と同径まで縮径されており、これにより、円筒流路101の上端部が閉塞されている。
外筒100の長さ方向(上下方向)途中部には、円筒流路101に連通した気体導入口102が形成されている。気体導入口102には、窒素ガス配管103が接続されている。窒素ガス配管103の一端部が気体導入口102に接続され、窒素ガス配管103の一端部が気体導入口102に接続され、窒素ガス配管103の一端部には、図示しない窒素ガス供給源からの窒素ガスが供給されるようになっている。
剥離液流通配管4Aの剥離液吐出口80A側に設けられたフランジ104には、剥離液流通配管4Aの中心軸線方向にフランジ104を貫通する気流方向変換流路105が形成されている。外筒100の先端部(剥離液吐出口80A側の端部)は、先端に向かうに従って内径が小さくなるテーパ状の内壁面を有する遮蔽部106となっている。この遮蔽部106の外壁面は、剥離液吐出口80Aおよび後述する気体吐出口107を取り囲み、剥離液流通配管4Aの中心軸線と直交する円筒面からなる先端面111を有している。
剥離液流通配管4Aの中心軸線方向に関して、フランジ104の先端からは短筒部108が突出している。すなわち、剥離液流通配管4Aの先端部は短筒部108となっている。短筒部108は、遮蔽部106のほぼ中心に配置されている。遮蔽部106の内径は短筒部108の外径より大きい。遮蔽部106と短筒部108との間には、剥離液流通配管4Aの中心軸線を取り囲む略円筒状の間隙である旋回流形成流路109が形成されている。旋回流形成流路109は、剥離液吐出口80Aのまわりに円環状の気体吐出口107として開口している。
円筒流路101、気流方向変換流路105および旋回流形成流路109は、互いに連通しており、これらの流路101,105,109により、気体流路が形成されている。気流方向変換流路105から旋回流形成流路109に導かれた窒素ガスは、剥離液流通配管4Aのまわりを旋回するように流れ、気体吐出口107へと導かれる。旋回流形成流路109において、窒素ガスが剥離液流通配管4Aのまわりに旋回するように流れることにより、気体吐出口107から吐出される窒素ガスは、気体吐出口107付近で渦巻き気流を形成する。窒素ガスの渦巻き気流は、剥離液吐出口80Aから、剥離液流通配管4Aの中心軸線に沿って吐出されるSPM液を取り囲むように形成される。
そして、剥離液供給管15から剥離液流通配管4AにSPM液が供給されるとともに、窒素ガス配管103に窒素ガスが供給されると、剥離液吐出口80から外部空間にSPM液が吐出されるとともに、気体吐出口107から外部空間に窒素ガスが吐出される。すると、外部空間において、SPM液と窒素ガスとが衝突して混合され、SPM液の微細な液滴が形成される。そして、このSPM液の液滴が噴流となって、ウエハ回転機構3に保持されているウエハWの表面に吐出される。
第2実施形態によれば、剥離液吐出口80Aから吐出されるSPM液と気体吐出口107から吐出される窒素ガスとの混合により、高温のSPM液の微細な液滴を形成することができる。微細な液滴の態様でウエハWの表面に供給されたSPM液は、ヒータ38,52の加熱により昇温させられ易い。これにより、ウエハWの表面のSPM液の液膜70を、200℃以上の高温に良好に保つことができる。
図13は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置1Bの一体型ヘッド(保持ヘッド)235の断面図である。基板処理装置1Bでは、図2等に示す一体型ヘッド35に代えて、一体型ヘッド235が搭載されている。図13に示す一体型ヘッド235において、第1実施形態の一体型ヘッド35の各部に対応する部分には、図2等と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。第3実施形態の一体型ヘッド235が図2等に示す第1実施形態の一体型ヘッド35と相違する点は、剥離液流通配管(薬液流通配管)4Bの先端が、ランプハウジング40の底板部252に達しておらず、その剥離液吐出口(開口)80Bが、底板部252の上面252Aと所定の間隔を空けて対向している点、および底板部252が、その底板部252を上下方向に貫通する多数の小径の貫通孔(薬液吐出口)200を有している点である。貫通孔200は、底板部252の全域に分散配置されている。
剥離液流通配管4Bは、剥離液流通配管4(図2参照)よりも短い石英製の丸管(円筒状の配管)である。剥離液流通配管4Bは、たとえば、Oリング201を介して蓋41に固定支持されている。
底板部252は、多数の貫通孔200を有している以外は、底板部52(図2参照)と同等の構成である。そのため、底板部252は、上面52A(図2参照)および下面52B(図2参照)と同等の上面252Aおよび下面(対向面)252Bを備えている。そして、赤外線ランプ38の放射により、底板部252が高温に熱せられて熱源として機能する。そのため、この実施形態では、赤外線ランプ38だけでなく、底板部252も特許請求の範囲の「ヒータ」に含まれる。
また、赤外線ランプ38は、その円環部43の下端が、剥離液流通配管4Bの下端(すなわち剥離液吐出口80B)よりもやや上方に位置している。すなわち、剥離液流通配管4Bの先端部の周囲が、円環部43により取り囲まれている。そのため、赤外線ランプ38の円環部43と、底板部252の上面252Aとの間隔は、剥離液吐出口80Bと、底板部252の上面252Aとの間隔よりも大きく設定されている。このときの赤外線ランプ38の円環部43と、底板部252の上面252Aとの間隔は、赤外線ランプ38による赤外線の照射により、底板部252が高温に熱せられる程度の間隔に設定されている。レジスト除去処理時には、底板部252の下面252Bが、ウエハWの表面に近接して配置される。
剥離液流通配管4Bの下端周囲には、円板状の板状部材85が取り付けられている。この板状部材85は石英などを用いて形成されており、この板状部材85により、SPM液から赤外線ランプ38が保護される。
第3実施形態によれば、剥離液流通配管4Bを流通したSPM液は、剥離液吐出口80Bから吐出された後、ランプハウジング40の底板部252に受けられて、底板部252の多数の貫通孔200からシャワー状に吐出される。底板部252に受けられたSPM液は、貫通孔200から吐出されるまでの間その底板部252の上面252Aに一旦溜められ、このSPM液に赤外線ランプ68からの赤外線が照射されることにより、SPM液がさらに加熱される。これにより、ウエハ回転機構3に保持されたウエハWの表面に供給されるSPM液をさらに高温化することができるから、ウエハWの表面のSPM液の液膜70を、たとえば200℃以上の高温に良好に保持することができる。
また、各貫通孔200からは、SPM液の液滴が吐出される。液滴の態様でウエハWの表面に供給されたSPM液は、ヒータ38,252の加熱により昇温させられ易い。これにより、ウエハWの表面のSPM液の液膜70を、前記の高温に良好に保つことができる。
また、底板部252の全域に貫通孔200を配置することにより、SPM液の液滴を、ウエハWの表面のより広範囲に供給することができる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、赤外線ランプ38として、1つの円環状ランプを備えるものを例に挙げたが、これに限られずに、同心円状の複数の円環状ランプを備えるものとすることもできる。また、赤外線ランプ38として、水平面に沿って互いに平行に配置された複数本の直線状ランプを備えることもできる。
また、ランプハウジング40として円筒状のものを採用したが、角筒状(たとえば四角筒状)のものを採用することもできる。この場合、底板部52,252の形状が矩形板状になる。
また、ランプハウジング40の底板部52,252とは別に、ウエハWの表面に対向する対向面を有するたとえば円板状や矩形板状の対向板(対向部材)を設け、この対向板を、赤外線ランプ38の照射により加熱するようにしてもよい。この場合には、対向板の材料として、石英を採用することができる。
また、ステップS3のSPM液膜形成工程において、一体型ヘッド35,135,235のヒータ38,52(38,252)によるウエハWの表面上のSPM液への加熱を行わないようにすることもできる。つまり、ステップS4のSPM液膜加熱工程において、ヒータ38,52(38,252)によるSPM液への加熱が初めて行われるようにしてもよい。
また、本発明を、燐酸などの高温のエッチング液を用いて基板の主面の窒化膜を選択的にエッチングする基板処理装置に適用することもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1,1A,1B 基板処理装置
3 ウエハ回転機構(基板保持手段)
4,4A,4B 剥離液流通配管(薬液流通配管)
6 モータ(回転手段)
13 剥離液供給機構(薬液供給手段)
35 一体型ヘッド(保持ヘッド)
36 揺動駆動機構(保持ヘッド移動手段)
37 昇降駆動機構(保持ヘッド移動手段)
38 赤外線ランプ
39 開口部
40 ランプハウジング
41 蓋
52 底板部(対向部材)
52B 下面(対向面)
55 制御装置(制御手段)
70 SPM液の液膜(薬液の液膜)
80,80A 剥離液吐出口(薬液吐出口)
80B 剥離液吐出口(開口)
100 外筒
107 気体吐出口
135 一体型ヘッド(保持ヘッド)
200 貫通孔(薬液吐出口)
235 一体型ヘッド(保持ヘッド)
252 底板部
252A 上面
252B 下面
W ウエハ(基板)

Claims (13)

  1. 基板を保持する基板保持手段と、
    基板の主面に薬液を供給するための薬液流通配管と、
    前記薬液流通配管に薬液を供給する薬液供給手段と、
    前記薬液流通配管の周囲を取り囲む環状の赤外線ランプを有し、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に対向して配置され、前記赤外線ランプからの赤外線の放射により、前記基板の主面に供給された薬液を加熱する、基板よりも小径のヒータと、
    前記ヒータと前記薬液流通配管とを一体に保持する保持ヘッドと、
    前記基板保持手段に保持されている基板の主面に沿って前記保持ヘッドを移動させる保持ヘッド移動手段とを含み、
    前記赤外線ランプからの赤外線の放射により、前記薬液流通配管を流通する薬液が加熱される、基板処理装置。
  2. 前記薬液流通配管の管壁は、前記赤外線ランプによる赤外線の照射により熱せられて高温に昇温させられることにより、前記薬液流通配管を流通する薬液を加熱する、請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記薬液流通配管は、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に薬液を吐出する薬液吐出口を有している、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記薬液流通配管の周囲を取り囲むように設けられ、前記薬液流通配管との間に気体が流通する気体流路を区画し、先端部において前記薬液流通配管との間に気体吐出口を区画するように前記薬液流通配管に固定された外筒をさらに含み、
    前記薬液吐出口から吐出される薬液と前記気体吐出口から吐出される気体とが混合されることにより前記薬液の液滴が形成される、請求項3に記載の基板処理装置。
  5. 前記保持ヘッドは、水平方向に沿う上面および下面を有する底板部を有し、前記赤外線ランプを収容する有底容器状のランプハウジングを備え、
    前記薬液流通配管は、前記ランプハウジングの内部で、前記底板部の前記上面に対向する開口を有し、
    前記底板部は、その底板部を上下方向に貫通する多数の薬液吐出口を有する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
  6. 前記薬液流通配管の管壁は、石英を用いて形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  7. 前記保持ヘッドは、前記赤外線ランプを収容する有底容器状のランプハウジングを備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  8. 前記ヒータは、前記赤外線ランプからの赤外線の照射により加熱される前記ランプハウジングの底板部を含む、請求項7に記載の基板処理装置。
  9. 前記ランプハウジングは石英を用いて形成されている、請求項7または8に記載の基板処理装置。
  10. 前記薬液流通配管の管壁は、前記ランプハウジングと一体に形成されている、請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  11. 前記ヒータは、前記基板の主面と前記赤外線ランプとの間に配置され、前記赤外線ランプの照射により加熱される対向部材をさらに有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  12. 前記薬液はレジスト剥離液である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  13. 前記基板保持手段に保持されている基板を、所定の鉛直軸線まわりに回転させるための回転手段と、
    前記薬液供給手段を制御して前記基板保持手段に保持されている基板の主面に、前記薬液流通配管からの薬液を供給するとともに、前記回転手段を制御して前記基板保持手段に保持されている基板を第1回転速度で回転させることにより、その基板の主面を覆う薬液の液膜を形成させる液膜形成工程と、前記液膜形成工程の後、前記回転手段を制御して、前記基板保持手段に保持されている基板を第1回転速度よりも低い第2回転速度で回転させることにより、前記基板の主面上に形成された薬液の液膜を、その基板の主面上に保持する液膜保持工程と、前記液膜保持工程と並行して、前記ヒータおよび前記保持ヘッド移動手段を制御して、前記基板保持手段に保持されている基板の主面に前記ヒータを対向配置させるとともに、前記基板の主面に保持されている薬液の液膜を前記ヒータにより加熱する液膜加熱工程と、前記液膜保持工程および前記液膜加熱工程と並行して、前記保持ヘッドを、前記基板の主面に沿って移動させる保持ヘッド移動工程とを実行する制御手段とをさらに含み、
    前記基板保持手段は、基板を水平姿勢に保持する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
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