JP5801150B2 - カルボン酸塩の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造方法に関する。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの末端をカルボキシル基とした化合物であり、起泡力及び乳化力に優れ、化粧品、乳化剤、可溶化剤、分散剤、ゲル化剤、洗浄基剤等に使用することができる界面活性剤として知られている。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩は、pHを変化させることによりその性質を調整することができ、また、耐硬水性に優れ、水溶液がアルミニウム等の各種多価金属イオンに対して安定であり、さらに、皮膚に対する作用が穏和であり、酵素阻害性も少ないことから、その他各種用途での応用も期待されている。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸或いはその塩の製造方法は種々知られているが、その一つに、担体に貴金属を担持した貴金属担持触媒の存在下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させる方法が知られている(例えば特許文献1〜3)。
また、特許文献4には、PCB除去処理後の水から活性炭フィルター由来の粉末をポリスルホンメンブレンフィルタで除去できる旨が開示されている。
特開昭58−46036号公報 特開昭60−172942号公報 特開昭62−198641号公報 特開2008−29995号公報
一般に、貴金属担持触媒は高価であるため、反応後に回収した上で再利用することが行われる。また、製造工程で生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸或いはその塩を製品として使用可能にするために、貴金属担持触媒及びそれに由来する物質の微粉を、単時間でかつ確実に除去する必要がある。当該微粉を取り除くことで製品として使用可能になり、また、それを短時間で行えることで製造工程の遅延を防ぐことができるからである。
しかしながら、従来、どのような手段で短時間、かつ確実に微粉除去を実現できるのかについては知られていなかった。
本発明の課題は、起泡力及び乳化力に優れたポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法において、短時間でかつ確実に反応液に含まれる貴金属担持触媒を除去することである。
本発明は、起泡力及び乳化力に優れるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、担体を活性炭とした貴金属担持触媒、及び水を含有するスラリーに酸素を含有する気体を接触させることにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を生成させる工程と、その後、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する反応液をスルホン系高分子からなる濾材を用いて濾過することにより、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する工程と、を含むポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法を提供する。
本発明によれば、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する反応液をスルホン系高分子からなる濾材を用いて濾過することにより、短時間でかつ確実に反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離して除去することができる。
以下、実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は、酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、及びアルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合の両方を含む。
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、担体を活性炭とした貴金属担持触媒、及び水を含有するスラリーに酸素を含有する気体(以下「酸素含有気体」という。)を接触させることにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を生成させ、その後、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する反応液をスルホン系高分子からなる濾材を用いて精密濾過することにより、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離して除去する。
上記方法によれば、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する反応液をスルホン系高分子からなる濾材を用いて精密濾過することにより、短時間でかつ確実に反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離して除去することができる。
[反応工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、まず、反応原料のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、及び水を含有するスラリーに酸素含有気体を接触させることにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸素酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を生成させる。
(スラリー)
<反応原料及び反応生成物>
スラリーは、反応原料としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
RO−(AO)−H (I)
[式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、及びnはAOの平均付加モル数で1〜100の数である。]
式中の構造は、目的とするカルボン酸又はその塩の性能、用途等に応じて適宜選定することができる。
Rの炭素数は4〜30であるが、カルボン酸又はその塩の反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する観点からは、8〜22であることが好ましく、10〜18であることがより好ましく、12〜14であることが更に好ましい。Rの炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。Rは直鎖であってもよく、また、分岐鎖であってもよく、さらに、1級でも2級でもよい。
Rは、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する観点から、直鎖若しくは分岐鎖の、1級若しくは2級のアルキル基若しくはアルケニル基が好ましく、直鎖の、1級若しくは2級のアルキル基若しくはアルケニル基がより好ましく、直鎖の1級のアルキル基若しくはアルケニル基が更に好ましく、直鎖の1級のアルキル基が特に好ましい。
AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基であるが、材料としての汎用性や経済性の観点からは、炭素数2のエチレンオキシ基であることが好ましく、全AOのうち80モル%以上がエチレンオキシ基であることがより好ましい。
nは1〜100の数であるが、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する観点からは、1〜20であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
スラリーには、単一種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルのみが含有されていてもよく、また、複数種のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが含有されていてもよい。
スラリーにおけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、生産効率が良好となるという観点から1質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましく、10質量%以上とすることが更に好ましく、一方、取り扱い性が良好となるという観点から40質量%以下とすることが好ましく、35質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることが更に好ましい。
スラリーにおけるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの濃度は、具体的には1〜40質量%とすることが好ましく、5〜35質量%とすることがより好ましく、10〜30質量%とすることが更に好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして一般式(I)で表される化合物を用いて製造される反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸は下記一般式(II)で構造を表すことができる。
RO−(AO)n−1−A’−COOH (II)
[式中、R、AO、nは、一般式(I)と同じ意味を表し、A’は炭素数1〜3のアルキレン基]
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして一般式(I)で表される化合物を用いて製造される反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩は下記一般式(III)で構造を表すことができる。
{RO−(AO)n−1−A’−COO}M (III)
[式中、R、AO、nは、一般式(I)と同じ意味を表し、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン、及びmはMの価数である。]
一般式(II)及び(III)におけるR、AO、及びnの好ましい態様は一般式(I)と同じである。
A’は炭素数1〜3のアルキレン基であるが、一般式(I)の末端−AO−が酸化して−A’−COO−の構造となることから、A’の炭素数は一般式(I)のおける末端−AO−の炭素数から1つ少ないものとなる。
陽イオンであるMとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。陽イオンであるMは、製造時にスラリーが適度な粘度を呈するという観点及び製造工程の簡便さの観点からアルカリ金属イオンであることがより好ましい。アルカリ金属イオンのうちでは、製造コストを低減できるという観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
<貴金属担持触媒>
スラリーは、貴金属担持触媒として触媒である貴金属を担持した活性炭を含有する。
触媒である貴金属は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、白金族元素から選ばれる1種以上の元素、具体的には、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することが好ましく、特に、パラジウム及び白金から選ばれる1種以上の元素を含有することがより好ましい。
貴金属が白金族元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第1成分」という。)を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として、スズ、ビスマス、セレン、テルル、及びアンチモンから選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第2成分」という。)を含有することが好ましい。
貴金属担持触媒が触媒第1成分及び第2成分を含有する場合、貴金属担持触媒は、更に触媒成分として希土類元素から選ばれる1種以上の元素(以下「触媒第3成分」という。)を含有することが好ましい。
触媒第1成分の貴金属を含む触媒成分が担持された担体は、酸性物質、又はアルカリ物質に対する耐久性が高い活性炭である。活性炭は、おが屑、木材チップ、木炭、ヤシ殻炭、石炭、ピート炭等を原料として公知の方法によって製造されたものを用いることができる。
貴金属担持触媒における触媒第1成分の貴金属の担持量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の高い収率を得ることができるという観点から、貴金属担持触媒全体のうちの0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
貴金属担持触媒は、特開昭62−269746号公報等に開示された公知の方法で製造することができる。例えば、触媒第1成分を含む化合物(塩化パラジウム、塩化白金酸等)の水溶液、必要に応じて触媒第2成分を含む化合物(塩化ビスマス、五塩化アンチモン等)の水溶液、及び必要に応じて触媒第3成分を含む化合物(塩化セリウム、塩化ランタン等)の水溶液の各液中で担体である活性炭に各触媒成分を吸着させた後、触媒成分の還元処理を行う方法で製造することができる。
スラリーにおける触媒第1成分の貴金属の含有量は、反応原料であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.001〜2.0質量%とすることが好ましく、0.01〜1.5質量%とすることがより好ましく、0.02〜1.3質量%とすることが更に好ましい。なお、触媒第1成分として複数の元素を含む場合には、上記貴金属の含有量はそれらの総量である。
スラリーにおける貴金属担持触媒の含有量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から0.1質量%以上とすることが好ましく、0.5質量%以上とすることがより好ましく、一方、経済性の観点から、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。
スラリーにおける貴金属担持触媒の含有量は、具体的には0.1〜20質量%とすることが好ましく、0.5〜10質量%とすることがより好ましい。
<水>
スラリーは、液体として水を含有する。
スラリーにおける水の含有量は、高い反応性が得られると共に取り扱い性が良好となるという観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量に対して0.1〜100質量倍とすることが好ましく、0.5〜50質量倍とすることがより好ましく、1〜20質量倍とすることが更に好ましい。
なお、スラリーは、反応性を低下させず、洗浄剤等への配合後における発泡、及び反応液に含まれる貴金属担持触媒の除去を阻害しない範囲で、エタノールなどの低級アルコール等の有機溶媒を液相となる液体として含有していてもよい。
<アルカリ物質>
スラリーは、アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、アルカリ物質を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化はアルカリ物質存在下で行うことが好ましい。
アルカリ物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらのうち、高い反応性を得ることができるという観点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、その中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
スラリーには、単一種のアルカリ物質のみが含有されていてもよく、また、複数種のアルカリ物質が含有されていてもよい。
スラリーにおけるアルカリ物質の含有量は、スラリーのpHが7〜14となる量とすることが好ましく、9〜14となる量がより好ましく、11〜14となる量が更に好ましい。
<任意成分>
スラリーは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応生成物であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及び/又はその塩を予め含有していてもよく、また、反応性を低下させず、かつ反応液に含まれる貴金属担持触媒の分離除去を阻害しない範囲で、その他に有機溶剤、無機塩、ポリマー等を含有していてもよい。
<液性状>
スラリーは、酸化反応前、つまり、酸素含有気体の供給開始時点における溶存酸素濃度が3.0mg/L未満であることが好ましく、1.0mg/L以下であることがより好ましい。スラリーの溶存酸素濃度は、隔膜電極式(ポーラログラフ式、ガルバニ電池式)、蛍光式を測定原理とした各種測定装置を用い、測定部センサーをスラリーに浸漬して測定される(以下同様)。
スラリーは、粘度が反応率や温度によって変化し、また、与えられるせん断速度が増加すると見かけ粘度が減少する非ニュートン性の擬塑性流体である。このためスラリーの反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)の粘度は反応性すなわち反応終了時間に影響を及ぼす。従って、生産性の観点から、また、色相等の品質の観点からも、スラリーの粘度は、反応開始前の時点(酸素を供給する前の時点)で1〜10000mPa・sであることが好ましく、10〜5000mPa・sであることがより好ましく、100〜1000mPa・sであることが更に好ましい。スラリーの粘度は、レオメータ(例えばTAinstrument社製 ARES-100TNI)を用い、Couette 34mmを取付け、70℃、せん断速度1s−1の条件において静的粘度として測定される。
スラリーのpHは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、反応性および色相等の品質の観点から、上記の通り7〜14であることが好ましく、9〜14であることがより好ましく、11〜14であることがより好ましい。
(酸化反応)
<酸素含有気体>
酸素含有気体中の酸素濃度は、反応速度を高める観点から、20体積%以上とすることが好ましく、80体積%以上とすることがより好ましく、90体積%以上とすることが更に好ましく、95体積%以上とすることがより更に好ましく、100体積%が特に好ましい。
酸素含有気体中の酸素以外の気体としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸化反応に不活性な窒素、アルゴンなどの希ガス等が挙げられる。また、酸素含有気体として典型的には大気が挙げられる。
<スラリーへの酸素含有気体の接触手段>
スラリーへの酸素含有気体の接触は、例えば攪拌槽型反応器内において行うが、その具体的手段としては、例えば、スラリーへの酸素含有気体(空気等)の吹き込み、攪拌によるスラリーへの酸素含有気体の巻き込み、スラリーと酸素含有気体との自由界面での接触等が挙げられる。スラリーへの酸素含有気体の接触手段は、上記のうちいずれか1つだけを採用してもよく、また、複数を組み合わせて採用してもよい。
スラリーへの酸素含有気体の接触手段は、反応圧力の低下を抑制する観点から、スラリーへの連続的或いは断続的な酸素含有気体の吹き込みであることが好ましい。
スラリーへの酸素含有気体の吹き込みはスラリー中に設置したガス吹き込み管の出口から行われる。ガス吹き込み管の出口としては単孔ノズル、多孔ノズル、リング状ノズルが挙げられる。
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度は、生産性の観点から、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が1mol%/h以上となるように設定することが好ましく、5mol%/h以上となるように設定することがより好ましく、10mol%/h以上となるように設定することが更に好ましく、酸素による触媒の失活を抑制して反応速度を維持する観点からは、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が50mol%/h以下となるように設定することが好ましく、30mol%/h以下となるように設定することがより好ましく、20mol%/h以下となるように設定することが更に好ましい。
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度は、具体的には、仕込んだポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル数に対して酸素の供給速度が1〜50mol%/hとなるように設定することが好ましく、5〜30mol%/hとなるように設定することがより好ましく、10〜20mol%/hとなるように設定することが更に好ましい。
攪拌によるスラリーへの酸素含有気体の巻き込みの場合、酸素の供給速度はPV値によって設定することができる。攪拌効率を向上させ、かつ反応速度を上昇させる観点からは、PV値は0.1以上に設定することが好ましく、0.2以上に設定することがより好ましく、0.5以上に設定することが更に好ましい。ここで、PV値とは、スラリー単位体積当たりの撹拌所要動力を意味し、撹拌機の撹拌動力から攪拌による摩擦損失を差し引いた、即ち真にスラリーに伝えられる攪拌動力(kW)/スラリーの体積(m)で定義される。
撹拌に用いる撹拌翼としては、例えば、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼等が挙げられる。パドル翼としては、例えば、平板状部材を含んで構成される翼、アンカー翼等が挙げられる。平板状部材を含んで構成されるパドル翼では、撹拌槽型反応器内で液相部が占める領域の鉛直面の最大断面積(S1)と撹拌翼のシャフトの回転軸に対して垂直の方向からみた最大投影面積(S2)との比率(S2/S1)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩又はその塩を効率良く製造できる観点より、0.10〜0.90であることが好ましく、0.20〜0.70であることがより好ましい。このような構成の市販の撹拌翼としては、例えば、住友重機械工業社製の商品名:マックスブレンド、神鋼環境ソリューション社製の商品名:フルゾーン、佐竹化学機械工業社製の商品名:スーパーミックスMR203等が挙げられる。
スラリーへの酸素含有気体の吹込速度及びPV値は、酸素による触媒の失活を抑制して反応速度を維持する観点から、下記式(A)で表される反応率の1時間あたりの上昇速度が50%以下となるように設定することが好ましく、40%以下となるように設定することがより好ましく、30%以下となるように設定することが更に好ましい。
反応率(%)=ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L)/(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのモル濃度(mol/L)+ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の合計モル濃度(mol/L)) (A)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際のスラリー中の溶存酸素濃度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに対する反応性を高める観点から0mg/L以上に維持することが好ましく、0.1mg/L以上に維持することがより好ましく、0.2mg/L以上に維持することが更に好ましく、0.3mg/L以上に維持することが特に好ましく、一方、スラリーの発泡を抑制する観点から1.0mg/L以下に維持することが好ましく、0.9mg/L以下に維持することがより好ましく、0.8mg/L以下に維持することが更に好ましく、0.7mg/L以下に維持することが特に好ましい。スラリー中の溶存酸素濃度の管理制御は、スラリーの溶存酸素濃度を測定装置を用いて経時的に測定すると共に、その測定結果に基づいてスラリーへの酸素含有気体の供給量を増減することにより行うことができる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際のスラリー中の溶存酸素濃度は、具体的には0〜1.0mg/Lに維持することが好ましく、0.1〜0.9mg/Lに維持することがより好ましく、0.2〜0.8mg/Lに維持することが更に好ましく、0.3〜0.7mg/Lに維持することが特に好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化を行う際の反応温度は20〜100℃とすることが好ましく、30〜90℃とすることがより好ましく、40〜80℃とすることが更に好ましい。
反応圧力は、酸素のスラリーへの溶解度を高める観点及び装置の耐圧性を考慮する観点から、ゲージ圧力として0(常圧)〜1.0MPaとすることが好ましく、0(常圧)〜0.5MPaとすることがより好ましく、0(常圧)〜0.3MPaとすることが更に好ましい。
なお、例えば攪拌槽型反応器へのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、貴金属担持触媒、及び水の仕込みは、連続的に行ってもよく、また、断続的に行ってもよい。アルカリ物質を仕込む場合は、水溶液として仕込むことが好ましく、また、スラリーのpHが所定の値を維持するように連続的又は断続的に仕込むことが好ましい。
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の洗浄基材としての優れた性能の観点より、一般式(A)で表される反応率が95%を超えるまで反応を行うことが好ましく、96%を超えることがより好ましい。
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、スラリー中の溶存酸素濃度が急峻に上昇したとき、スラリー中への酸素含有気体の供給を停止することが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有する液相中に酸素を供給すると、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの酸素酸化反応によって酸素が消費される。酸化反応が終了すると液相に供給された酸素の消費は停止し、そのため液相に供給された酸素が残存することとなり、液相に溶存できなくなった酸素により液相に著しい発泡が生じる。生じた泡を反応器から抜き出すことは困難であり、更に、濾過精度、及び濾過速度を低下させる。そのため、泡が消えるまで静置する、或いは、予め液相に消泡剤を添加しておく等の措置が必要となるが、静置は生産効率を著しく低下させ、また、消泡剤は反応生成物を洗浄剤として用いるときの起泡性能に影響を及ぼす。それ故、洗浄剤用途の界面活性剤の製造において、生成物を含有する水溶液等の液相に気体を吹き込むことは一般的には行われない。
スラリー中の溶存酸素濃度は0〜1.0mg/Lの範囲に維持することが好ましいが、かかる溶存酸素濃度の管理を行っていても、酸化反応が終了すると、その管理を離れて溶存酸素濃度の急峻な上昇が生じる。この場合、スラリーの発泡を回避する観点から、スラリー中の溶存酸素濃度が3.0mg/Lを超えたときスラリー中での酸素含有気体の供給を停止することが好ましく、2.0mg/Lを超えたとき停止することがより好ましく、1.0mg/Lを超えたとき停止することが更に好ましい。
[濾過工程]
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、反応工程の後、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する反応液をスルホン系高分子からなる濾材を用いて精密濾過することにより、反応液に含まれる貴金属担持触媒及びそれに由来する物質の微粉を分離除去する。
<濾材>
濾材はスルホン系高分子でメンブレン状に形成されている。濾材を形成するスルホン系高分子としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのうち確実な微粉の除去と濾過速度とを両立させる観点から、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンが好ましく、ポリスルホンがより好ましい。
上記の効果の原因は明らかではないが、スルホン系高分子がポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩と何らかの相互作用をして、貴金属担持触媒を分離しやすくしているものと考えられる。
濾材の定格濾過精度は、濾過漏れを防止する観点から1μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。一方、濾材の定格濾過精度は、濾速を高めて短時間で精密濾過する観点から0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることが更に好ましい。濾材の定格濾過精度は、β値が5000となる粒子径とするものである。なお、β値は
β=(一次側粒子数)/(二次側の粒子数)
で算出される。
濾材は、濾速を高めて短時間で精密濾過する観点から、孔の大きさが流れの向きに沿って、つまり厚さ方向の上流側から下流側に向かって徐々に減少する非対称構造を有することが好ましい。かかる構造を有する濾材は、孔の大きさが異なる濾材を多層に積層する方法、或いは、例えば特表2001−509431号公報に開示された公知の方法によって製造することができる。
<濾過温度>
精密濾過時の反応液の温度は、粘度を下げて濾速を高める観点から、20℃以上とすることが好ましく、30℃以上とすることがより好ましく、40℃以上とすることが更に好ましい。一方、精密濾過時の反応液の温度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸或いはその塩の熱による品質の劣化を防止する観点から、100℃以下とすることが好ましく、90℃以下とすることがより好ましく、80℃以下とすることが更に好ましい。
<圧力>
精密濾過時の圧力は、装置及び濾材の耐圧性を考慮する観点から、1.0MPa以下とすることが好ましく、0.5MPa以下とすることがより好ましく、0.3MPa以下とすることが更に好ましい。
<精密濾過前の固液分離処理>
本実施形態に係るポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造方法では、精密濾過の前に、反応後のスラリーである反応液に固液分離処理を施すことが好ましい。反応後の反応液中の貴金属触媒濃度が高い場合、それをそのまま精密濾過すると、濾材の上に触媒ケーク層が形成され、この触媒ケーク層が抵抗となって濾速が低下することとなる。これを防止するには、濾過面積を増やせばよいが、大きなハウジングが必要で、また、濾材が多数必要となるためコスト高となる。しかしながら、精密濾過前に固液分離処理を行うことにより、反応液中の粗粒子を除去することができ、かかる不都合を回避することができる。
固液分離処理手段としては、例えば、重力、遠心力、浮力、慣性力などによって粒子と液相との間に相対速度を生じさせて分離する方法、障害物や捕集体などによって粒子を捕集すると共に液体を通過させて分離する方法等が挙げられる。前者の具体的方法としては、例えば、沈降分離、遠心分離、浮上分離等が挙げられる。後者の具体的方法としては、例えば、濾過、圧搾等が挙げられる。これらのうち操作性が良好で省エネルギー性に優れるという観点から濾過が好ましい。
固液分離処理としての濾過は、反応液を濾材で濾過し、濾過開始後、間もなく濾材面上に形成される濾過ケ−ク層がその後の濾過における濾材として作用するケーク濾過が好ましい。
ケーク濾過では、濾液の透過度はケーク層の厚みが増すにしたがって高くなるため、ケーク濾過開始直後の濾液は透過度が低く、それを精密濾過したのでは濾材への負荷が大きくなる。従って、ケーク濾過開始直後の透過度の低い濾液(ケーク濾過後の反応液)はケーク濾過前の反応液に戻し、それによってケーク濾過を繰り返し行い、ケーク濾過後の反応液の透過度がある程度高くなった後に精密濾過へと移行することが好ましい。その移行のタイミングは、精密濾過における濾速を高めて短時間で濾過する観点、及び濾材寿命を延ばしてコスト削減を図る観点から、ケーク濾過後の反応液の透過度が50%以上となった時点とすることが好ましく、80%以上となった時点とすることがより好ましく、90%以上となった時点とすることが更に好ましい。透過度は、紫外可視分光光度計(例えば、島津製作所社製 型番:UVmini-1240)を用い、標準試料の透過度を100%としてそれに対する相対値として測定される。
なお、標準試料は反応液から反応液に含まれる貴金属担持触媒及びそれに由来する物質の微粉を完全に除去したものが好ましい。
ケーク濾過時の反応液の温度は、粘度を下げて濾速を高める観点から、20℃以上とすることが好ましく、30℃以上とすることがより好ましく、40℃以上とすることが更に好ましい。一方、ケーク濾過時の反応液の温度は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸或いはその塩の熱による品質の劣化を防止する観点から、100℃以下とすることが好ましく、90℃以下とすることがより好ましく、80℃以下とすることが更に好ましい。
ケーク濾過時の圧力は、装置及び濾材の耐圧性を考慮する観点から、1.0MPa以下とすることが好ましく、0.5MPa以下とすることがより好ましく、0.3MPa以下とすることが更に好ましい。
ケーク濾過の操作方法としては、例えば、定容量型ポンプを用いて濾液流量が一定になるように操作する定速濾過、濾材の一次側の圧力を一定に保つ低圧濾過、定容量型以外のポンプを用いてポンプ出力を一定に保ちながら濾過圧力及び濾速の両方が変化しながら濾過を行う変圧変速濾過等が挙げられる。
ケーク濾過で用いる濾材としては、濾過開始後にケーク層が形成され、所望する透過度の濾液が得られるのであれば特に限定されないが、例えば、織布、不織濾材、高分子膜、多孔質濾材等が挙げられる。濾速を速くするには濾過面積が広いことが有利であり、また、安価であるという経済性の観点からは、これらのうち織布が好ましい。
固液分離処理と精密濾過とは連続操作で行ってもよく、また、固液分離処理した反応液を一旦中間槽に回収し、それに別途に精密濾過を行ってもよい。中間槽が不要であり、また、操作時間を短縮できるという観点からは、これらのうち連続操作が好ましい。
固液分離処理では、精密濾過における濾速を高めて短時間で精密濾過する観点、及び濾材寿命を延ばしてコスト削減を図る観点から、反応液の透過度が50%以上となるまで固液分離することが好ましく、80%以上となるまで固液分離することがより好ましく、90%以上となるまで固液分離することが更に好ましい。
[製品化工程]
本実施形態において、酸性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を製造する場合、濾過工程の後の反応液に含まれるカルボン酸をそのまま製品とすることができる。
また、アルカリ性条件下でポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を製造する場合、濾過工程の後の反応液では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸の一部又は全部が塩の形で溶解している。従って、pH調整をした後、そのまま界面活性剤溶液として製品とすることができる。さらに、それを塩酸等の鉱酸で酸型化して抽出工程を経て遊離するカルボン酸を製品とすることもできる。
(反応液の調製)
攪拌槽型反応器に、上記一般式(I)においてR:ラウリル基、AO:エチレンオキシ基、及びn:3であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(以下「AE」という。)、上記一般式(II)においてさらにm:1及びM:Naであるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩(以下「EC」という。)、水酸化ナトリウム、担体を活性炭(ピート炭)として白金1質量%、パラジウム4質量%、及びビスマス5質量%を担持した貴金属担持触媒、及び水を仕込み、そして、それらを攪拌することによりスラリーを2409kg調製した。スラリー中の各成分の含有量は、AEが12質量%、ECが8.5質量%、水酸化ナトリウムが1.4質量%、貴金属担持触媒が0.98質量%、及び残部が水であった。貴金属担持触媒についてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製 装置型番:LA−920)を用いて粒径測定したところ、10%径が10μm、50%径(メディアン径)が32μm、及び90%径が87μmであった。
このスラリーに酸素を吹き込むことにより、AEを酸素酸化させてECを生成させた。反応温度は70℃、及び反応圧力は0.1MPaとした。反応時間は8時間であり、発泡による反応液の流出は生じていなかった。反応後のEC水溶液スラリーについて、エプトン法に基づいて反応率を算出したところ98%であった。
EC水溶液スラリーをバッグフィルター(イートンフィルトレーション社製 ハウジング:GAFフィルター(型式:RTB-1BSLJ)、濾材:LOFCLEAR(型番LCR-123))に仕込み、温度70℃及び圧力0.15MPaとしてケーク濾過(固液分離処理)を行い、濾液を、精密濾過を行うための反応液として回収した。
以上の操作を2バッチ行い、1バッチ目の反応液1及び2バッチ目の反応液2を調製した。
(反応液の精密濾過)
リボンヒーターが設けられた1L容器の上部に窒素供給管及び下部にラボディスクホルダー(ロキテクノ社製 型番:LDH-L1 濾過面積0.00038m)がそれぞれ接続された実験装置を用い、以下の実施例1〜3及び比較例1〜5の精密濾過試験を行った。
<実施例1>
1L容器に上記反応液1を入れ、また、ラボディスクホルダーにスルホン系高分子で形成された濾材(日本ポール社製 ウオーターファイン WFN0.1、定格濾過精度0.1μm)をセットした。
1L容器内の反応液1の温度を70℃に維持すると共に1L容器に窒素供給管から窒素ガスを供給して反応液1を0.02MPaに加圧維持し、そして、反応液1にラボディスクホルダーを通過させて精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は20g及び濾過時間は599秒であった。
<実施例2>
スルホン系高分子で形成された濾材(日本ポール社製 ウオーターファイン WFN0.2、定格濾過精度0.2μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は20g及び濾過時間は282秒であった。
<実施例3>
上記反応液2及びスルホン系高分子で形成された濾材(日本ポール社製 ウオーターファイン WFN0.8、定格濾過精度0.8μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は300g及び濾過時間は1178秒であった。
<比較例1>
ポリテトラフルオロエチレンで形成された濾材(ロキテクノ社製 CTX−001、濾過精度:0.1μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は3g及び濾過時間は1241秒であった。
<比較例2>
ポリテトラフルオロエチレンで形成された濾材(ロキテクノ社製 CTX−002、濾過精度:0.2μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は15g及び濾過時間は1251秒であった。
<比較例3>
ナイロンで形成された濾材(キュノ社製 IMC020、濾過精度:0.2μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は25g及び濾過時間は1200秒であった。
<比較例4>
ポリプロピレンで形成された濾材(日本ポール社製 ポリファインII PFT0.25、定格濾過精度0.25μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は20g及び濾過時間は304秒であった。
<比較例5>
ポリプロピレンで形成された濾材(日本ポール社製 ポリファインII PFT0.45、定格濾過精度0.45μm)を用いたことを除いて実施例1と同様の精密濾過を行った。
回収した濾液の質量は20g及び濾過時間は152秒であった。
(試験評価方法)
<濾速>
実施例1〜3及び比較例1〜5のそれぞれについて、回収した濾液の質量を濾過面積及び濾過時間で除し、それを濾速(kg/m・h)とした。
<透過度>
実施例1〜3及び比較例1〜5のそれぞれについて、回収した濾液の透過度を、紫外可視分光光度計(島津製作所社製 型番:UVmini-1240)を用い、標準試料の透過度を100%としてそれに対する相対値として測定した。測定セルにはポリスチレン製の光路長10mmのものを用い、測定光の波長は550nmとした。また、標準試料には、測定対象の濾液をPTFEメンブレンフィルター(アドバンテック東洋社製 品名:DISMIC 25JP020AN、孔径0.2μm)で精密濾過した濾液を用いた。
なお、精密濾過前の反応液1及び2について同様の方法で透過度を測定したところ、反応液1が96.5%及び反応液2が96.8%であった。
(試験評価結果)
表1は試験結果を示す。
Figure 0005801150
濾速は、実施例1が316kg/mh、実施例2が672kg/mh、実施例3が2413kg/mh、比較例1が23kg/mh、比較例2が114kg/mh、比較例3が197kg/mh、比較例4が623kg/mh、及び比較例5が1247kg/mhであった。
透過度は、実施例1が99.3%、実施例2が99.6%、実施例3が99.8%、比較例1が100%、比較例2が100%、比較例3が99.7%、比較例4が98.3%、及び比較例5が98.0%であった。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2の結果から、同一の定格濾過精度のフィルターを用いて濾過した場合で比較すると、濾材がポリスルホンであると濾速が著しく高いことが分かった。
実施例2、3と比較例3の結果から、濾材がポリスルホンであると、同等以上の濾速であっても、微粉除去性で優れていることが分かった。
本発明はポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸及びその塩の製造方法について有用である。

Claims (9)

  1. ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、担体を活性炭とした貴金属担持触媒、及び水を含有するスラリーに酸素を含有する気体を接触させることにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を生成させる工程と、その後、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩を含有する反応液をポリスルホンからなる定格濾過精度が0.05〜1μmの濾材を用いて濾過することにより、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する工程と、を含むポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩の製造方法。
  2. ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩が下記式で表される、請求項1記載のカルボン酸塩の製造方法。
    {RO−(AO)n−1−A’−COO}
    [式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、nはAOの平均付加モル数で1〜100の数、A’は炭素数1〜3のアルキレン基、Mは陽イオン、及びmはMの価数である。]
  3. 濾過する前に反応液の固液分離処理を行う、請求項1又は2記載のカルボン酸塩の製造方法。
  4. 上記濾材は、孔の大きさが反応液の流れの向きに沿って減少する構造を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のカルボン酸塩の製造方法。
  5. ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、担体を活性炭とした貴金属担持触媒、及び水を含有するスラリーに酸素を含有する気体を接触させることにより、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを酸化させてポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を生成させる工程と、その後、生成したポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸を含有する反応液をポリスルホンからなる定格濾過精度が0.05〜1μmの濾材を用いて濾過することにより、反応液に含まれる貴金属担持触媒を分離する工程と、を含む、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸の製造方法。
  6. 上記濾材の定格濾過精度が0.1〜0.8μmである、請求項1乃至4のいずれかに記載のカルボン酸塩の製造方法。
  7. 上記固液分離処理が濾過である、請求項3に記載のカルボン酸塩の製造方法。
  8. 上記固液分離処理の濾過がケーク濾過である、請求項7に記載のカルボン酸塩の製造方法。
  9. 上記ケーク濾過を、反応液の透過度が90%以上となるまで繰り返し行う、請求項8に記載のカルボン酸塩の製造方法。
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