JP5798786B2 - コンクリートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融スラグ骨材を、例えば擁壁やU字側溝などのコンクリート製造時にコンクリート骨材用膨張抑制剤で処理して骨材として有効利用するコンクリートの製造方法に関するものである。
なお、この明細書において、「コンクリート」という用語は、「コンクリートおよびモルタル」を含む意味において使用するものとする。
従来、例えば、ごみ焼却灰やRDF灰(ごみ固形化燃料焼却灰)などの灰溶融スラグを廃棄せずに再利用する方法として、路盤材や埋め戻し材、あるいはコンクリート、モルタル等のセメントを含んだセメント硬化物の骨材等として用いることが行なわれている。
一般に、溶融スラグをコンクリート用の細骨材や粗骨材等の骨材として用いた場合に、溶融スラグ中に含まれる金属アルミニウム等がセメント中のアルカリ成分と反応して水素を発生し、コンクリート中に水素が気泡となって残り、コンクリートが膨張したり、結果として強度が低下する。
ここで、バーナー溶融スラグやプラズマ溶融スラグでは、処理灰中の金属アルミニウムの一部がスラグ中に移行し、多い場合には数%にも達する。このようなスラグをコンクリート骨材に用いると、コンクリートが膨張して強度低下が生じるために、スラグ骨材を有効利用することが困難である。
コンクリート膨張の主たる原因物質であるスラグ中の金属アルミニウムは、アルミニウム選別等により、塊状の金属アルミニウムは80%程度除去することは可能であるが、微粒の金属アルミニウムは10〜20%程度しか除去できない。
金属アルミニウムによるコンクリートの膨張は、表面積の大きい微粒の金属アルミニウムの影響が大きく、アルミニウム選別によるスラグ中の金属アルミニウムの除去処理では、コンクリートの膨張抑制効果は小さいという問題があった。
ちなみに、いわゆるガス化溶融では、ガス化炉残渣から金属アルミニウムが選別除去され、溶融炉にアルミニウム分がほとんど行かないので、スラグ中の金属アルミニウムは0.1重量%以下となり、ガス化溶融スラグをコンクリート細骨材として用いても、コンクリートの膨張・強度低下は起きない。
下記の特許文献1および2には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の硝酸塩と亜硝酸塩を組み合わせたセメント組成物用膨張抑制剤及びセメント組成物が記載されている。
また、特許文献3には、溶融スラグ処理設備とこの設備を用いた溶融スラグ処理方法が開示されており、金属アルミニウムを含む溶融スラグを、スラグコンベアラインでpH10〜14のアルカリ処理後に、pH5〜7の酸で洗浄処理を行い。アルカリ処理によって金属アルミニウムの表面に酸化皮膜を形成させて、セメント組成物製造時に水素発生による膨張を抑制することが記載されている。
さらに、特許文献4には、廃棄物溶融スラグの処理方法が開示されており、金属アルミニウムを含む溶融スラグを、過酸化水素、オゾン、サラシ粉、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、または過マンガン酸カリなどの酸化剤を用いて処理することにより、金属アルミニウムの表面に酸化皮膜を形成させる極一般的な方法が記載されている。
本発明者は、先に、下記の特許文献5に記載のように、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩で溶融スラグ骨材を処理することにより、水素を発生することなく、溶融スラグ骨材表面に難溶性の塩基性酢酸アルミニウムを形成させて、コンクリート膨張を抑制する発明について特許出願を行った。この先の特許出願による発明では、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩で溶融スラグ骨材を処理した後に、加熱による乾燥行なっていた。
特開2002−326853号公報 特開2007−106651号公報 特開2008−105897号公報 特開平10−137717号公報 特願2010−47408号明細書
上記の特許文献1および2に記載の亜硝酸系膨張抑制剤は、pHが中性で、溶融スラグ処理時の水素発生がなく、安全なモルタル膨張抑制剤として既に市販されているが、価格が非常に高いうえに、薬剤処理した溶融スラグを、一旦加熱による乾燥させないと、金属アルミニウム表面での酸化皮膜形成が不十分であり、コンクリート膨張抑制効果が低いという問題があった。
また、特許文献3の溶融スラグ処理方法によれば、金属アルミニウム含有溶融スラグのスラグコンベアラインでのアルカリ処理時には水素が発生するため、発生した水素の発火防止対策などが必要で、設備コストが高くつくという問題があった。
つぎに、特許文献4の廃棄物溶融スラグの処理方法では、使用する酸化剤について、次のような問題があり、その使用が望ましくないという問題があった。(イ)過酸化水素:劇・毒物である。(ロ)オゾン:人体に対して急性、慢性双方の中毒性がある。(ハ)サラシ粉、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素:酸化力が強いが、腐食性がある。(ニ)過マンガン酸カリ:PRTR対象物質(第1種指定化学物質)である。
さらに、特許文献5の先の特許出願による発明では、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩で溶融スラグ骨材を処理した後に、加熱による乾燥を行なっているために、加熱による乾燥工程を必要とし、かつ加熱のためのエネルギーを必要として、製造コストが高くつくおそれがあるという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に難溶性の保護皮膜を形成させて、微粒の金属アルミニウムを無害化することができ、コンクリート膨張による強度低下を確実に抑制することができて、しかも難溶性保護皮膜の形成時に水素の発生がなく、また加熱による乾燥工程を必要とせず、すなわち加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができて、製造コストが非常に安くつく、コンクリートの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩で溶融スラグを処理する先の特許出願の方法をさらに検討した結果、酢酸塩による溶融スラグの処理後に加熱による乾燥を行わなくても、加熱による乾燥処理を行なった場合と同等のモルタル膨張抑制効果が発現されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、金属アルミニウム含有溶融スラグ骨材からなるコンクリート骨材を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によって処理し、加熱による乾燥することなく、常温で直ちにまたは所要時間放置した後、該膨張抑制コンクリート骨材を用いてコンクリートを製造することを特徴とする、コンクリートの製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンクリートの製造方法であって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によるコンクリート骨材の処理を、コンクリートの配合と同時に行うことを特徴としている。
請求項3の発明は、上記請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法であって、アルカリ金属が、カリウムまたはナトリウムであることを特徴としている。
請求項4の発明は、上記請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法であって、アルカリ土類金属が、カルシウムおよび/またはマグネシウムであることを特徴としている。
請求項1によるコンクリートの製造方法の発明は、金属アルミニウム含有溶融スラグ骨材からなるコンクリート骨材を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によって処理し、加熱による乾燥することなく、常温で直ちにまたは所要時間放置した後、該膨張抑制コンクリート骨材を用いてコンクリートを製造するもので、請求項1の発明によれば、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に難溶性の保護皮膜を形成させて、微粒の金属アルミニウムを無害化することができ、コンクリート膨張による強度低下を確実に抑制することができて、しかも難溶性保護皮膜の形成時に水素の発生がなく、また加熱による乾燥工程を必要とせず、すなわち加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができて、製造コストが非常に安くつくという効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンクリートの製造方法であって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によるコンクリート骨材の処理を、コンクリートの配合と同時に行うことを特徴とするもので、請求項2の発明によれば、金属アルミを含有する溶融スラグを骨材に用いてコンクリートを製造する場合に、事前に溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの薬剤処理を行うことなく、コンクリート膨張による強度低下を防止することができ、加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができるだけでなく、膨張抑制剤によるコンクリート骨材の前処理工程自体も省略することができ、コンクリートの製造コストが非常に安くつくという効果を奏する。
上記請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法においては、アルカリ金属が、カリウムまたはナトリウムであること、またアルカリ土類金属が、カルシウムおよび/またはマグネシウムであることが好ましい。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明によるコンクリートの製造方法は、金属アルミニウム含有溶融スラグ骨材からなるコンクリート骨材を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によって処理し、加熱による乾燥することなく、常温で直ちにまたは所要時間放置した後、該膨張抑制コンクリート骨材を用いてコンクリートを製造することを特徴としている。
本発明によるコンクリートの製造方法においては、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によるコンクリート骨材の処理を、コンクリートの配合と同時に行うことが好ましい。
すなわち、本発明によるコンクリートの製造方法は、溶融スラグ骨材を、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の酢酸塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、および酢酸マグネシウム・カルシウム(CMA)で処理することにより、スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜を形成させて、微粒の金属アルミニウムを無害化することができ、該処理スラグ骨材をコンクリート骨材として用いたときに、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張・強度低下を抑制することができ、しかも非常に低コストである。
本発明者は、マグネシウムやカルシウム等の酢酸塩は水に溶解するが、金属アルミニウムと酢酸との反応で生成される酢酸アルミニウムは直に難溶性の塩基性酢酸アルミニウムに変り皮膜が形成されること、また両性金属である金属アルミニウムは酸やアルカリで溶解すると水素を発生することなどから、スラグ骨材中の金属アルミニウムを弱酸から弱アルカリ付近の化合物で処理し、水素を発生することなく、水に難溶性の皮膜を形成してコンクリート骨材として使用したときにコンクリート組成物の膨張を抑制する物質を探索して、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酢酸塩を見出した。
ここでまず、本発明のコンクリートの製造方法を適用する溶融スラグとしては、ごみ焼却灰溶融スラグ、RDF灰(ごみ固形化燃料焼却灰)溶融スラグ等の灰溶融スラグ、およびごみを直接溶融するシャフト炉式ガス化溶融スラグの一部が挙げられる。
これらの溶融スラグは、コンクリート用スラグ細骨材として用いられる場合は通常粒径5mm以下(溶融スラグ細骨材のJIS規格ではMS5で、これ以外にもMS2.5、MS1.2、MS5−0.3などがある)に粉砕されて用いられる。なお、溶融スラグは、粒径5mmを越えるコンクリート用スラグ粗骨材として用いられてもよい。溶融スラグの金属アルミニウム含有量はさまざまであり、溶融炉形式によっても異なる。一般的には0.05〜0.5重量%の範囲にあるものが多い。また金属鉄含有量は、JIS基準で1%以下と定められている。
本発明のコンクリートの製造方法に用いるコンクリート骨材用膨張抑制剤は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含み、そのpHが7.1〜8.8の中性から弱アルカリ性であることから水素発生することなく不溶性の皮膜を形成する。
そして、上記の粉砕された粒子状の溶融スラグに対して、コンクリート骨材用膨張抑制剤を噴霧し、混合添加した後、混合物を乾燥して、膨張抑制コンクリート骨材を作製する。
なお、本発明によるコンクリートの製造方法には、つぎの3つの実施態様がある。
まず第1の方法は、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に対して、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を噴霧し、混合添加した後、加熱することなく常温(室温)で所要時間放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート骨材を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材と、セメント、水、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造する。
つぎに、第2の方法は、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに常温(室温)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液に、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造する。
さらに、第3の方法は、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させた後、常温(室温)で所要時間放置して、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液と、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造する。
なお、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてコンクリートやモルタルを製造する本発明による上記第1の方法では、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に対して、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を噴霧し、混合添加した後、加熱することなく常温(室温)で所要時間放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート骨材を製造しているので、加熱工程が不要で、加熱に要する熱エネルギーを削減することができるという利点がある。しかもアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の作用により、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜が形成されるものである。そして、この膨張抑制コンクリート骨材と、セメント、水、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造することにより、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができるものである。
つぎに、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてコンクリートやモルタルを製造する本発明の上記第2の方法では、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに常温(室温)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液に、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造しているので、金属アルミを含有する溶融スラグを骨材に用いてコンクリートを製造する場合に、事前に溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの薬剤処理を行うことなく、コンクリート膨張による強度低下を防止することができ、加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができるだけでなく、膨張抑制剤によるコンクリート骨材の前処理工程自体も必要とせず、コンクリートの製造コストが非常に安くつくという利点がある。もちろん、コンクリート骨材分散水溶液の状態において、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の作用により、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜が形成されており、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができるものである。
さらに、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてコンクリートやモルタルを製造する本発明の上記第3の方法では、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させた後、常温(室温)で所要時間放置して、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を製造しているので、加熱工程が不要で、加熱に要する熱エネルギーを削減することができるという利点があるとともに、コンクリート骨材分散水溶液の状態において、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の作用により、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜が形成されるものである。そして、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液と、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、コンクリートやモルタルを製造することにより、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができるものである。
なお、本発明の方法により製造したコンクリートやモルタルについての膨張試験は、JIS A 5031の附属書1に基づき行ない、試験片の膨張率の計測を行なう。
本発明のコンクリートの製造方法によれば、上記いずれの場合も、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の作用により、スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜が形成され、しかも該不溶性の塩基性酢酸アルミニウム皮膜よりなる保護皮膜形成時に水素の発生がなく、低コストで、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に皮膜を形成させることができる。
そして、本発明によるコンクリートの製造方法では、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができ、しかも非常に低コストである。
つぎに、本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する本発明の上記3つの実施態様のうち、第1の方法により実施したものである。
すなわち、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に対して、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を噴霧し、混合添加した後、加熱することなく常温(室温)で所要時間放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート骨材を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材と、セメント、水、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
まず、粒径5mm以下に粉砕したごみ焼却灰バーナー溶融スラグ骨材1350gを用意した。この溶融スラグ骨材の金属アルミニウム含有量は、0.20重量%であり、また金属鉄含有量は、0.11重量%であった。
ついで、このバーナー溶融スラグ骨材を約5リットルのステンレス鋼製角バットに入れ、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)67.5gを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を加熱することなく室温(試験時は約10℃)で一夜(16時間)放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート細骨材を作製した。
なおここで、酢酸カルシウム水溶液の重量%の数値は、酢酸カルシウム水溶液中の酢酸カルシウムのモル濃度を、重量濃度に換算した数値を表す。そして、この重量濃度から、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
<モルタル膨張試験>
ついで、上記コンクリート細骨材を用いてモルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施した。ここで、モルタル膨張試験は、JIS A 5031の附属書1に基づいて行った。
薬剤処理コンクリート細骨材(粒径5mm以下)1350g、ポルトランドセメント1200g、水540g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。ついで、このモルタル混練物を、長さ550mm×径50mm×厚み0.05mmのポリエチレン製袋に約200mmまで充填して、水を400mL入れた1Lメスシリンダーに入れた。メスシリンダーの水面と袋に入れたモルタル面が一致するまで袋を下げ、この時のメスシリンダーの読みから400mLを差し引くことによりモルタルの体積V1(mL)を求めた。そして、袋の上端を結び、これを吊るして24時間、常温で静置して固化させた。
そして、固化後、モルタル試験片を先と同様に、水を400mL入れた1Lメスシリンダーに入れ、メスシリンダーの水面と袋に入れたモルタル面が一致するまで袋を下げ、この時のメスシリンダーの読みから400mLを差し引くことにより固化後のモルタルの体積V2(mL)を求め、次式によりモルタル膨張率を求めた。
モルタル膨張率(%)=(V2−V1)/V1×100。
なお、モルタル膨張率は3個の供試体の平均値を用いた。
得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、並びに用いた膨脹抑制剤の種類、膨脹抑制剤水溶液の濃度(重量%)、同水溶液量(g)、同水溶液のpH、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)、乾燥処理条件としての温度(℃)および時間(h)を、下記の表1に示した。
実施例2
上記実施例1の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を20重量%(pH:8.3)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。

比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として従来の亜硝酸系薬剤(商品名フローリックRES、株式会社フローリック製)を用いた点にある。
上記実施例1の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.9)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
比較例2
比較のために、上記実施例2の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例2の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度20重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.8)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
Figure 0005798786
実施例3
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する上記3つの実施態様のうち、第2の方法により実施したものである。
すなわち、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに常温(室温)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液に、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
まず、上記実施例1で用いたものと同じごみ焼却灰バーナー溶融スラグ1350gを用意した。ついで、約5リットルのステンレス鋼製角バットに水540gを入れ、これにモルタル骨材用膨張抑制剤である酢酸カルシウム6.75gを溶解して、酢酸カルシウム水溶液(pH:7.3)を作製した。この酢酸カルシウム水溶液の濃度は1.25重量%であり、酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
その後、上記バーナー溶融スラグ1350gをステンレス鋼製角バットに入れて、上記酢酸カルシウム水溶液に分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに、加熱することなく室温(10℃)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液1896.75gに、ポルトランドセメント1200g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表2にあわせて示した。
実施例4
上記実施例3の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を2.5重量%(pH:7.4)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
実施例5
上記実施例3の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、膨脹抑制剤の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート、Ca:Mgモル比=3:7)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は1.25重量%(pH:8.0)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
実施例6
上記実施例4の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例4の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は2.5重量%(pH:8.1)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
比較例3
比較のために、実施例1で使用した粒径5mm以下に粉砕したごみ焼却灰バーナー溶融スラグ骨材に、膨張抑制剤を用いることなく、水(pH:7.0)のみを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を、上記実施例1の場合と同様に、乾燥して、コンクリート細骨材を作製した。
ついで、得られた比較例1のコンクリート細骨材を用いて、上記実施例1の場合と同様に、モルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
比較例4
比較のために、上記実施例3の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度1.25重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
Figure 0005798786
実施例7
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する上記3つの実施態様のうち、第3の方法により実施したものである。
すなわち、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させた後、常温(室温)で所要時間放置して、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液と、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
まず、上記実施例1で用いたものと同じごみ焼却灰バーナー溶融スラグ1350gを用意した。ついで、約5リットルのステンレス鋼製角バットに水540gを入れ、これにモルタル骨材用膨張抑制剤である酢酸カルシウム6.75gを溶解して、酢酸カルシウム水溶液(pH:7.3)を作製した。この酢酸カルシウム水溶液の濃度は1.25重量%であり、酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
その後、上記バーナー溶融スラグ1350gをステンレス鋼製角バットに入れて、上記酢酸カルシウム水溶液に分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得た後、室温(10℃)で、約2時間放置した。
つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液1896.75g、ポルトランドセメント1200g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表3にあわせて示した。
実施例8
上記実施例7の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例7の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を2.5重量%(pH:7.4)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
比較例5
比較のために、上記実施例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度1.25重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
比較例6
比較のために、上記実施例8の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例8の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度2.5重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
Figure 0005798786
比較例7
比較のために、上記実施例1の場合と同じバーナー溶融スラグ骨材を約5リットルのステンレス鋼製角バットに入れ、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.9)67.5gを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を、室温(105℃)で一夜(16時間)放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート細骨材を作製した。この亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
ついで、従来の薬剤処理コンクリート細骨材(粒径5mm以下)1350g、ポルトランドセメント1200g、水540g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表4にあわせて示した。
比較例8
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、従来の亜硝酸系薬剤水溶液の濃度を20重量%(pH:6.8)とした点にある。重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
比較例9
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
比較例10
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度20重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.3)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
比較例11
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、膨脹抑制剤の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート、Ca:Mgモル比=3:7)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は10重量%(pH:8.4)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
Figure 0005798786
上記表1〜4の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜8によれば、いずれの場合にも、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に難溶性の保護皮膜を形成させて、微粒の金属アルミニウムを無害化することができ、モルタル膨張率が低く、モルタル膨張による強度低下を確実に抑制することができて、しかも難溶性保護皮膜の形成時に水素の発生がなく、また加熱による乾燥工程を必要とせず、すなわち加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができて、製造コストが非常に安くつくものであった。
特に、本発明の第2の方法である実施例3、4、5、6によれば、加熱による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができるだけでなく、膨張抑制剤によるコンクリート骨材の前処理工程自体も省略することができ、コンクリートの製造コストが非常に安くつくものである。
これに対し、比較例3のように、膨張抑制剤を用いることなく、水のみをバーナー溶融スラグ骨材に噴霧してモルタルを製造した場合には、モルタル試験片の膨張率が高く、バーナー溶融スラグ骨材中に含まれる金属アルミニウムがセメント中のアルカリ成分と反応して水素を発生し、コンクリート中に水素が気泡となって残り、モルタルが膨張したり、結果として強度が低下するという問題があった。
また、コンクリート骨材用膨張抑制剤として従来の亜硝酸系薬剤を用いた比較例1,2,4,5,6,7,8の場合には、比較例7と8の場合のように、高温で加熱による乾燥処理を行うことにより、低いモルタル膨張率が得られるが、加熱による乾燥のため熱エネルギーや時間を必要とするという問題があった。そして、その他の高温で加熱による乾燥処理を行わない比較例1〜6では、本発明の実施例に比べて、いずれもモルタル膨張率が高いものであった。そして、いずれにしても、従来の亜硝酸系薬剤よりなるコンクリート骨材用膨張抑制剤は、価格が非常に高いという問題があった。
さらに、コンクリート骨材用膨張抑制剤として酢酸カルシウムやCMAを用いた比較例9〜11の場合には、高温で加熱による乾燥処理を行うことにより、低いモルタル膨張率が得られるが、加熱による乾燥のため熱エネルギーや時間を必要とし、コンクリートの製造コストがアップするおそれがあるという問題がある。
なお、上記実施例では、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤を用いてモルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施したが、該膨張抑制剤を用い、さらに砂利などのコンクリート粗骨材を混合してコンクリートを製造し、コンクリート強度試験を実施する場合にも、同様に、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができるものである。

Claims (4)

  1. 金属アルミニウム含有溶融スラグ骨材からなるコンクリート骨材を、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によって処理し、加熱による乾燥することなく、常温で直ちにまたは所要時間放置した後、該膨張抑制コンクリート骨材を用いてコンクリートを製造することを特徴とする、コンクリートの製造方法。
  2. アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤によるコンクリート骨材の処理を、コンクリートの配合と同時に行うことを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートの製造方法。
  3. アルカリ金属が、カリウムまたはナトリウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法。
  4. アルカリ土類金属が、カルシウムおよび/またはマグネシウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンクリートの製造方法。
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