しかしながら、特許文献1のように半導体レーザ及びコリメータレンズ等のホルダーの3箇所をネジ止めした場合は、ホルダーに外力が作用して、ホルダーに歪みが一旦生じると、ホルダーの歪んだ状態が保持され易く、ホルダーが元の形状に復帰せず、半導体レーザの光出射面の位置及び向きがずれたままとなって元に戻ることがなかった。特に、半導体レーザの光軸に重なる箇所でホルダーの歪が生じると、半導体レーザの光出射面の位置及び向きが大幅にずれた。
このようなホルダーの歪んだ状態が保持されるという現象は、ホルダーのネジ止め箇所が多くなる程顕著に現れる傾向がある。これは、ホルダーの締結箇所が多くなる程、各締結箇所によるホルダーの形状(歪み)保持能力が高くなり、一時的に生じたホルダーの歪みが保持されるためであると考えられる。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、発光素子等を保持したホルダーに外力が作用して、ホルダーに歪みが生じても、ホルダーが元の形状に容易に復帰して、発光素子の光出射面の位置及び向きを高精度で維持することが可能な光走査装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光走査装置は、発光素子から光学部材を通じて光ビームを出射し、前記光ビームにより被走査体を走査する光走査装置であって、前記発光素子及び前記光学部材を保持するホルダーと、前記ホルダーに固定される基板と、前記基板に対して固定された第1コネクタと、前記ホルダーに前記発光素子の光軸の両側で前記基板を締結する2つの締結部材と、前記発光素子の光軸の方向において前記第1コネクタと対峙する位置に設けられ、前記ホルダーの変位を一定量まで許容する変位許容部とを備えている。
このような本発明の光走査装置では、2つの締結部材により、ホルダーの2箇所を発光素子の光軸の両側で基板に締結している。これにより、ホルダー、発光素子、及び光学部材を確実に位置決めすることができる。
また、ホルダーの締結箇所を2箇所に特定しているので、ホルダーの3箇所以上を締結した場合と比較すると、ホルダーに外力が作用して、ホルダーに歪みが一旦生じても、ホルダーが元の形状に復帰し易く、発光素子の光出射面の位置及び向きがずれ難い。
更に、発光素子の光軸の方向において第1コネクタと対峙する位置に、ホルダーの変位を一定量まで許容する変位許容部を設けているので、第1コネクタに対する接続操作等に伴いホルダーが変位しても、ホルダーの変位量が一定量以下に抑えられて、ホルダーの歪みが抑えられ、ホルダーの形状復帰がより容易になり、発光素子の光出射面の位置及び向きがよりずれ難くなる。
すなわち、本発明では、ホルダーの2箇所を締結することによりホルダー等を確実に位置決めし、またホルダーの締結箇所を2箇所に特定して、各締結箇所によるホルダーの形状(歪み)保持能力を低く抑え、更に外力が作用したときには、ホルダーの他の1箇所が一定量まで変位することを意図的に許容して、ホルダーを無理に押さえ付けないようにしているので、外力が作用しなくなったときには、ホルダーが元の形状に容易に復帰して、ホルダーの歪みが解消される。
また、本発明の光走査装置においては、前記変位許容部は、前記ホルダーの変位の方向において前記ホルダーに対し前記一定量の隙間をあけて固定された当接部材を有している。
この場合は、当接部材に当接するまでホルダーの変位が可能であり、ホルダーと当接部材との隙間の分だけホルダーの変位が許容される。
また、本発明の光走査装置においては、前記変位許容部は、前記各締結部材よりも前記第1コネクタに近い位置で、前記基板の表面に対する鉛直方向において前記ホルダーの変位を一定量まで許容している。
この場合は、第1コネクタに対する接続操作等に伴い、基板の表面に対する鉛直方向にホルダーが変位しても、ホルダーの変位が一定量に抑えられ、ホルダーの形状が容易に復帰する。
更に、本発明の光走査装置においては、前記第1コネクタは、前記発光素子の光軸と直交する方向に該光軸からずれた位置に設けられている。
この場合は、第1コネクタの配置位置の自由度が高くなり、延いては装置の小型化を図ることができる。
また、本発明の光走査装置においては、前記基板に固定され、前記第1コネクタが設けられた第1基板と、前記第1コネクタに差し込まれる第2コネクタが設けられた第2基板とを備えている。
このように第2コネクタを第1コネクタに差し込む構成においては、第2コネクタの差し込みのときにホルダーに外力が作用して、ホルダーに歪みが生じるので、本発明の適用が有効である。
更に、本発明の光走査装置においては、前記第1コネクタに対する前記第2コネクタの差し込みの終端位置よりも前記差し込みの方向とは逆方向の手前の位置で前記第2コネクタを位置決めしている。
第1コネクタに対して第2コネクタを差し込む過程では、第2コネクタが第1コネクタに差し込まれつつ移動するので、第1コネクタに作用する外力が小さくなり、また第1コネクタに対する第2コネクタの差し込みを完了して、第2コネクタを第1コネクタにそれ以上差し込むことができない終端位置まで第2コネクタを差し込んだ後では、第2コネクタに加えられた力が第1コネクタに直接作用して、第1コネクタに作用する外力が大きくなり、ホルダーに歪みが生じ易くなる。このため、第1コネクタに対する第2コネクタの差し込みの終端位置よりも手前の位置で第2コネクタを停止させて位置決めし、ホルダーの歪みを生じ難くしている。
また、本発明の光走査装置においては、前記光ビームを反射するポリゴンミラーを備え、
前記ポリゴンミラーの一反射面に対する前記光ビームの照射領域が該一反射面よりも大きくなるオーバーフィルドを適用している。
このようなオーバーフィルドでは、光ビームの光路の位置を高精度で維持する必要があるため、発光素子の光出射面の位置及び向きがずれ難いという本発明の適用は有意義である。
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の光走査装置を備え、前記光走査装置により被走査体上に潜像を形成し、前記被走査体上の潜像を可視像に現像して、前記可視像を前記被走査体から用紙に転写形成している。
このような画像形成装置においても、上記本発明の光走査装置と同様の作用効果を奏する。
本発明では、2つの締結部材により、ホルダーの2箇所を発光素子の光軸の両側で基板に締結している。これにより、ホルダー、発光素子、及び光学部材を確実に位置決めすることができる。
また、ホルダーの締結箇所を2箇所に特定しているので、ホルダーの3箇所以上を締結した場合と比較すると、ホルダーに外力が作用して、ホルダーに歪みが一旦生じても、ホルダーが元の形状に復帰し易く、発光素子の光出射面の位置及び向きがずれ難い。
更に、発光素子の光軸の方向において第1コネクタと対峙する位置に、ホルダーの変位を一定量まで許容する変位許容部を設けているので、第1コネクタに対する接続操作等に伴いホルダーが変位しても、ホルダーの変位量が一定量以下に抑えられて、ホルダーの歪みが抑えられ、ホルダーの形状復帰がより容易になり、発光素子の光出射面の位置及び向きがよりずれ難くなる。
すなわち、本発明では、ホルダーの2箇所を締結することによりホルダー等を確実に位置決めし、またホルダーの締結箇所を2箇所に特定して、各締結箇所によるホルダーの形状(歪み)保持能力を低く抑え、更に外力が作用したときには、ホルダーの他の1箇所が一定量まで変位することを意図的に許容して、ホルダーを無理に押さえ付けないようにしているので、外力が作用しなくなったときには、ホルダーが元の形状に容易に復帰して、ホルダーの歪みが解消される。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の光走査装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、モノクロ画像を記録用紙に形成するものであり、その構成を大別すると、原稿用紙搬送部(ADF)11、画像読取り部12、印字部13、記録用紙搬送部14、及び給紙部15等からなる。
原稿用紙搬送部11では、原稿用紙を1枚ずつ原稿セットトレイ21から引き出して原稿搬送経路22を通じて搬送し、この原稿用紙を排紙トレイ23に排出する。
画像読取り部12は、原稿用紙の搬送中に、第1走査ユニット24の光源によって原稿用紙表面を照明し、第1及び第2走査ユニット24、25のミラーによって原稿用紙表面からの反射光を結像レンズ26へと導き、結像レンズ26によって原稿用紙表面の画像をCCD(Charge Coupled Device)27上に結像する。CCD27は、原稿用紙表面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿用紙表面の画像を示す画像データを出力する。また、CIS28(Contact Image Sensor)は、原稿用紙の搬送中に、原稿用紙裏面を照明して、原稿用紙裏面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿用紙裏面の画像を示す画像データを出力する。
また、原稿用紙が画像読取り部12上面のプラテンガラス29上に置かれた場合は、第1及び第2走査ユニット24、25を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、第1走査ユニット24の光源によってプラテンガラス29上の原稿用紙表面を露光し、第1及び第2走査ユニット24、25のミラーによって原稿用紙表面からの反射光を結像レンズ26へと導き、結像レンズ26によって原稿用紙表面の画像をCCD27上に結像する。
CCD27、CIS28から出力された画像データは、マイクロコンピュータ等の制御回路により各種の画像処理を施されてから、印刷部13に出力される。
次に、印刷部13は、画像データによって示される原稿を用紙に記録するものであって、感光体ドラム31、帯電装置32、光走査装置33、現像装置34、転写装置35、クリーニング装置36、及び定着装置37等を備えている。
感光体ドラム31は、一方向に回転しており、その表面をクリーニング装置36によりクリーニングされてから、その表面を帯電装置32により均一に帯電される。光走査装置33は、画像データを入力し、この画像データに応じて光ビーム(レーザ光)を変調し、この光ビームを感光体ドラム31に照射して、感光体ドラム31表面に静電潜像を形成する。現像装置34は、トナーを感光体ドラム31表面に供給して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム31表面に形成する。転写装置35は、感光体ドラム31表面のトナー像を記録用紙搬送部14により搬送されてきた記録用紙に転写する。定着装置37は、記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上のトナー像を定着させる。この後、記録用紙は、排紙トレイ38へと更に搬送されて排出される。
記録用紙搬送部14は、記録用紙を搬送するための複数の搬送ローラ41、レジストローラ42、搬送経路43、及び排紙ローラ46等を備えおり、記録用紙を給紙部15から受け取って、記録用紙の先端をレジストローラ42に突き当てて揃えた後、記録用紙を印字部13の転写装置35へと搬送し、更に排紙ローラ46により記録用紙を排紙トレイ38へと搬送する。
給紙部15は、複数の給紙トレイ51を備えている。各給紙トレイ51は、記録用紙を蓄積しておくためのトレイであり、ピックアップローラ52により記録用紙を一枚ずつ引き出して記録用紙搬送部14の搬送経路43へと送り出す。
次に、本実施形態の光走査装置33の構成について図2、図3を用いて詳細に説明する。図2は、上蓋を外した状態での光走査装置33の要部を示す斜視図である。また、図3は、光走査装置33の光学系を概略的に示す斜視図である。尚、図3では、光学系を図2の背面側から見て示している。
図2に示すように光走査装置33の筐体53は、合成樹脂製のものであって、その内部には、半導体レーザ101、ポリゴンミラー102、コリメータレンズ103、凹レンズ104、シリンドリカルレンズ105、中間ミラー106、第1fθレンズ107、第2fθレンズ108、及び出射折り返しミラー109等が配置されている。
図3に示すように光走査装置33では、半導体レーザ101から出射された光ビームBMをミラーやレンズ等により矢印方向に回転駆動されているポリゴンミラー102の反射面へと導き、光ビームBMをポリゴンミラー102の反射面で反射して偏向させ、更に反射された光ビームBMをミラーやレンズ等により感光体ドラム31へと導き、光ビームBMにより感光体ドラム31の表面を主走査方向Yに繰り返し走査している。
半導体レーザ101からポリゴンミラー102までの光路には、半導体レーザ101からポリゴンミラー102へと向う順に、コリメータレンズ103、凹レンズ104、シリンドリカルレンズ105、中間ミラー106等の各光学部材が配置されている。
コリメータレンズ103は、半導体レーザ101から出射された光ビームBMを平行光に変換する。凹レンズ104は、平行光に一旦変換された光ビームBMを拡散させる。シリンドリカルレンズ105は、副走査方向Xについて光ビームBMを再度収束させ、副走査方向Xと直交する主走査方向Yについて光ビームBMをそのまま拡散光として出射する。中間ミラー106は、シリンドリカルレンズ105からの光ビームBMを反射し、ポリゴンミラー102に入射させる。これにより、主走査方向についてはポリゴンミラー102の一反射面に対する光ビームBMのスポット(照射領域)が該一反射面よりも僅かに大きくされる(オーバーフィルドと称す)。
また、ポリゴンミラー102から感光体ドラム31までの光路には、ポリゴンミラー102から感光体ドラム31へと向う順に、第1fθレンズ107、第2fθレンズ108、及び出射折り返しミラー109等の各光学部材が配置されている。
第1fθレンズ107は、副走査方向Xについてポリゴンミラー102で反射された光ビームBMを平行光に変換し、主走査方向Yについてポリゴンミラー102で反射された平行光の光ビームBMを感光体ドラム31の表面で所定のビーム径となるように集光して出射する。また、第1fθレンズ107は、ポリゴンミラー102の等角速度運動により主走査方向Yに等角速度で偏向されている光ビームBMを感光体ドラム31上の主走査線上で等線速度で移動するように変換する。
第2fθレンズ108は、副走査方向Xについて第1fθレンズ107で平行光となった光ビームBMを感光体ドラム31上で所定のビーム径となるように集光し、主走査方向Yについて第1fθレンズ107で収束光となった光ビームBMをそのまま感光体ドラム31に入射させる。
出射折り返しミラー109は、第2fθレンズ108を透過した光ビームBMを反射し、光ビームBMを筐体53の基板53aのスリット53bを介して感光体ドラム31に入射させる。この結果、光ビームBMのスポットが感光体ドラム31の表面に形成され、光ビームBMにより感光体ドラム31の表面が主走査される。
また、ポリゴンミラー102で反射された光ビームBMは、該光ビームBMによる感光体ドラム31の主走査が開始される直前に、検出ミラー111で反射されてBDセンサ112に入射する。BDセンサ112は、感光体ドラム31の主走査を開始する直前のタイミングで光ビームBMを受光して、この主走査開始直前のタイミングを示すBD信号を出力する。このBD信号に応じて光ビームBMによる感光体ドラム31の主走査の開始タイミングが判定され、画像データに応じた光ビームBMの変調が開始される。
このように光走査装置33においては、光ビームBMがポリゴンミラー102の反射面で反射されて偏向され感光体ドラム31に入射して、光ビームBMにより感光体ドラム31の表面が繰返し主走査される。その一方で、感光体ドラム31が回転駆動されるので、光ビームBMにより感光体ドラム31の2次元表面(周面)が走査され、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。
ところで、このような光走査装置33においては、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きを高精度で調節して、光ビームBMの集光スポットを感光体ドラム31の表面に形成したり、光ビームBMによる感光体ドラム31表面の主走査ラインの位置を設定したりしている。
しかしながら、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きを高精度で調節した後に、外力により半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きがずれたならば、感光体ドラム31の表面上の集光スポットが大きくなったり、光ビームBMによる感光体ドラム31の表面上の主走査ラインの位置がずれたりする。
例えば、光走査装置33においては、ホルダー121を基板53aに取り付ける前に、冶工具を用いて、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きを調整している。そして、図4の断面図に示すようにホルダー121を基板53aに取り付けた後に、制御基板123の第2コネクタ125を半導体レーザ駆動基板122の第1コネクタ124に差し込むため、この差し込みのときに、第2コネクタ125から第1コネクタ124及び半導体レーザ駆動基板122を通じてホルダー121に外力が作用し、ホルダー121に歪みが生じ、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きがずれる。
仮に、第2コネクタ125の差し込みが終了して、その外力が作用しなくなっても、ホルダー121の歪みが解消されずに残ったならば、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きがずれた状態が維持され、その光出射面の位置及び向きが元に戻ることはない。
そこで、本実施形態の光走査装置33では、第2コネクタ125が第1コネクタ124に差し込まれたときに、ホルダー121に外力が作用して、ホルダー121に歪みが生じても、外力が作用しなくなったときには、ホルダー121の歪みが良好に解消されるような支持構造によりホルダー121を支持して、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きが元に戻るようにしている。
次に、そのようなホルダー121の支持構造を詳しく説明する。図5及び図6は、中間ミラー106の支持構造を示す斜視図及び平面図である。図5及び図6に示すように筐体53の基板53aには、ホルダー121が固定されている。このホルダー121は、底板121a、壁板121b、及び底板121a上の光学部材収納部121cを有している。光学部材収納部121cの内側には、半導体レーザ101、コリメータレンズ103、及び凹レンズ104が配置されており、光ビームBMがアパチャー113を通じて出射される。
ホルダー121の底板121aは、半導体レーザ101の光軸(光ビームBM)の両側に配された2本のネジ131、132により基板53aに固定されている。また、底板121aには、円形孔121d及び長形孔121eが半導体レーザ101の光軸(光ビームBM)の両側に振り分けられて形成されており、基板53aに突設された2本のピン53cが底板121aの円形孔121d及び長形孔121eに差し込まれて、ホルダー121が位置決めされている。更に、底板121aには、ネジ133によりワッシャ134が固定されており、ワッシャ134により底板121aの上方への変位が一定量まで許容されている。ネジ133及びワッシャ134は、半導体レーザ101の光軸(光ビームBM)の方向において第1コネクタ124と対峙する位置にあり、各ネジ131、132よりも第1コネクタ124に近い位置にあり、半導体レーザ101の光軸と直交する方向に該光軸から離間した位置にある。
図7は、基板53aの保持部材121の取付け領域付近を示す斜視図である。図7に示すように基板53aには、各ネジ131、132がねじ込まれるそれぞれのネジ孔53d、53eが形成され、また各ピン53cが突設されている。互いに近接する一方のネジ孔53dとピン53cの周囲には、スペーサー状リブ53fが形成され、また互いに近接する他方のネジ孔53eとピン53cの周囲には、スペーサー状リブ53gが形成されている。また、各ネジ孔53d、53e間の中央でかつ壁板121b(図4及び図5に示す)近くには、スペーサー状リブ53hが形成されている。更に、基板53aには、ネジ133がねじ込まれるボス53iが形成され、ボス53iの周囲にスペーサー状リブ53jが形成されている。各スペーサー状リブ53f、53g、53h、53jの上面は、同一高さにされている。
図8は、図6のA−Aに沿う断面図であり、図9は、図6のB−Bに沿う断面図であり、図10は、図6のC−Cに沿う断面図である。図8〜図10に示すように保持部材121の底板121aは、各スペーサー状リブ53f、53g、53h、53jに安定的に載せられている。
また、図8及び図9に示すように各ネジ131、132が保持部材121の底板121aの各穿孔を通じて基板53aの各ネジ孔53d、53eにねじ込まれ、各ネジ131、132の頭部と各スペーサー状リブ53f、53g間に底板121aが挟み込まれて固定されている。更に、各ネジ131、132のねじ込みにより、保持部材121の底板121aの裏面がスペーサー状リブ53hに圧接されている。
ここで、各ネジ131、132、基板53aの各ネジ孔53d、53e、及び各スペーサー状リブ53f、53gが半導体レーザ101の光軸の両側に配されていることから、保持部材121の底板121aが半導体レーザ101の光軸の両側で固定されている。また、スペーサー状リブ53hが半導体レーザ101の光軸の下方に配されていることから、保持部材121の底板121aが半導体レーザ101の光軸の位置で圧接支持されている。そして、各スペーサー状リブ53f、53g、53hは、二等辺三角形の各頂点に位置する。従って、保持部材121の底板121aは、二等辺三角形の3つの頂点で安定支持されている。
また、図10に示すようにホルダー121の底板121aの円形孔121fに基板53aのボス53iが通されて、底板121aがスペーサー状リブ53jに載せられ、ネジ133がワッシャ134に通されてボス53iにねじ込まれて、ワッシャ134がボス53iの上面に固定され、スペーサー状リブ53jとワッシャ134との間に底板121aが配置されている。底板121aの円形孔121fの内径がボス53iの外径よりも大きくて、底板121aの円形孔121fとボス53iとの間に隙間が形成され、またスペーサー状リブ53jの上面からのボス53iの高さが底板121aの厚みよりも高くされて、底板121aとボス53iの上面に固定されたワッシャ134との間に隙間が形成されている。従って、底板121aの円形孔121fの部位は、副走査方向X、主走査方向Y、及び方向X、Yに直交する高さ方向Zのいずれにも位置決めされてはおらず、固定されてもいない。
ただし、ボス53iの上面に固定されたワッシャ134は、底板121aの上方(基板53aの表面に対する鉛直方向)への一定量までの変位を許容し、一定量を超えて変位して来た底板121aに当接して、底板121aの一定量を超える変位を禁止する。
尚、ワッシャ134を省略して、ワッシャ134の代わりに、ネジ133の頭部の外径をワッシャ134の外径と同程度に大きくし、底板121aとネジ133の頭部との間に隙間を形成し、上方に変位して来た底板121aがネジ133の頭部に当接するようにしてもよい。あるいは、上方に変位して来た底板121aに当接して、一定量(隙間の分)だけ底板121aの変位を許容することが可能であれば、他の部材を適用しても構わない。
一方、図4に示すようにホルダー121の壁板121bの背面には、半導体レーザ駆動基板122がネジ止め固定され、半導体レーザ駆動基板122上に形成された駆動回路(図示せず)が半導体レーザ101の端子に接続されている。また、半導体レーザ駆動基板122に第1コネクタ124が固定され、筐体53下方の制御基板123に第2コネクタ125が固定され、第2コネクタ125が筐体53の開口部(図示せず)を通じて第1コネクタ124に差し込まれて接続されている(Board to Board)。
半導体レーザ駆動基板122に対する制御基板123の上下方向の固定位置は、第1コネクタ124に対する第2コネクタ125の差し込みの終端位置よりも差し込みの方向とは逆方向の手前(下方)の位置で第2コネクタ125が位置決めされるような位置である。つまり、第1コネクタ124に対する第2コネクタ125の差し込みを完了して、第2コネクタ125を第1コネクタ124にそれ以上差し込むことができない第2コネクタ125の終端位置よりも差し込みの方向とは逆方向の手前の位置で第2コネクタ125が位置決めされるように、半導体レーザ駆動基板122に対する制御基板123の上下方向の固定位置を設定している。
例えば、そのような終端位置よりも0.3mmだけ手前の位置で第2コネクタ125の差し込みが停止されるように、制御基板123の上下方向の固定位置を設定している。制御基板123の上下方向の固定位置は、制御基板123が載せられる筐体53裏面側の各ボス53kの高さ調節により設定される。
また、図6に示すように第1コネクタ124は、半導体レーザ101の光軸と直交する方向(主走査方向Y)に該光軸からずれた位置にある。これにより、第1コネクタ124の配置位置の自由度が高くなり、半導体レーザ駆動基板122の高さを低くすることができ、延いては光走査装置33の小型化を図ることができる。
このようなホルダー121の支持構造においては、2本のネジ131、132によりホルダー121の底板121aが締結されて、ホルダー121、半導体レーザ101、コリメータレンズ103、及び凹レンズ104が確実に位置決めされているものの、制御基板123の第2コネクタ125が上方に移動されて半導体レーザ駆動基板122の第1コネクタ124に差し込まれているときには、上向きの外力が第1コネクタ124及び半導体レーザ駆動基板122を通じてホルダー121の壁板121bに作用して、この上向きの外力によりホルダー121の底板121aが上方に湾曲して歪む。
ところが、ホルダー121の底板121aの締結箇所を2箇所に特定していることから、底板121aの3箇所以上を締結した場合と比較すると、底板121aが湾曲して、底板121aに歪みが一旦生じても、第2コネクタ125の差し込みが終了して、その外力が作用しなくなったときには、底板121aが元の形状に復帰し易く、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きがずれ難い。これは、底板121aの締結箇所が多くなる程、各締結箇所による底板121aの形状(歪み)保持能力が高くなり、一時的に生じた底板121aの歪みが保持されるためであると考えられる。
また、先に述べたように第1コネクタ124に完全に差し込まれたときの第2コネクタ125の終端位置よりも0.3mmだけ手前(下方)の位置で第2コネクタ125が位置決めされるように、制御基板123の上下方向の固定位置を設定しているため、第1コネクタ124に対して差し込みの終端位置まで第2コネクタ125が差し込まれることはなく、第2コネクタ125に加えられた力が第1コネクタ124に直接作用して、第1コネクタ124に作用する外力が大きくなることもなく、底板121aに歪みが生じ難くなる。
更に、ホルダー121の底板121aが上方に湾曲すると、底板121aがワッシャ134に当接して、底板121aの湾曲が抑えられる。つまり、底板121aは、一定量までの上方への変位を許容され、一定量を超える変位を禁止される。このため、ホルダー121の歪みが抑えられ、ホルダー121の形状復帰がより容易になり、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きがよりずれ難くなる。
すなわち、本発明では、ホルダー121の底板121aの2箇所を締結することによりホルダー121、半導体レーザ101、コリメータレンズ103、及び凹レンズ104を確実に位置決めし、また底板121aの締結箇所を2箇所に特定して、各締結箇所による底板121aの形状保持能力を低く抑え、更に第1コネクタ124に完全に差し込まれたときの第2コネクタ125の終端位置よりも手前の位置で第2コネクタ125を位置決めし、また底板121aの円形孔121fの部位が一定量まで変位することを意図的に許容して、底板121aを無理に押さえ付けないようにしているので、外力が作用しなくなったときには、底板121aが元の形状に容易に復帰する。
また、ボス53iの上面に固定されたワッシャ134を半導体レーザ101の光軸(光ビームBM)より離れた位置に設けているので、ボス53i、ワッシャ134、ネジ133が光ビームBMを遮断することはなく、ボス53i、ワッシャ134、ネジ133の設置が容易である。
また、本実施形態の光走査装置33では、主走査方向についてはポリゴンミラー102の一反射面に対する光ビームBMの照射領域を該一反射面よりも大きくするというオーバーフィルドを適用していることから、光ビームBMの光路の位置を高精度で維持する必要があり、半導体レーザ101の光出射面の位置及び向きのずれを効果的に防止するという本発明の適用は有意義である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。