JP5797140B2 - 微小光量検出装置および微生物センサ - Google Patents

微小光量検出装置および微生物センサ Download PDF

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Description

この発明は微小光量検出装置および微生物センサに関し、特に、試料からの微小な光量を検出する検出装置および該装置を用いた微生物センサに関する。
光量を利用した検出装置において判定精度を向上させる技術として、たとえば特開平7−151701号公報(以下、特許文献1)は、ストロボスコープを利用した検査装置であって、複数回分のストロボスコープからの発光光量の測定値の積分値を平均し、その平均値に基づいてストロボスコープからの光量の変動を補正することで、ストロボスコープからの光量を一定として検査装置での判定精度を向上させる技術を開示している。
特開平7−151701号公報
微生物からの蛍光を検出する場合など微小な蛍光を検出する際には、特許文献1にも開示されているように、光量の測定値の積分値が利用される。しかしながら、微小な蛍光を測定する場合においてはわずかなノイズ成分が検出結果に大きな影響を与えるため、正確な検出が困難となる、という問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、微小光量を高精度で検出することが可能な微小光量検出装置および当該装置を利用した微生物センサを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、微小光量検出装置は、受光した光量に応じた電流を出力するための受光素子と、受光素子と接続されて、所定期間の電流の値を積分することで電圧値を出力するための積分回路と、積分回路での算出を制御するための制御部とを備える。制御部は、積分回路に所定間隔で積分を実行させて電圧値を得る処理と、積分回路から電圧値が得られるごとに電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出し、その変化量と規定値との差分がしきい値以上であるか否かを判断する処理と、上記差分がしきい値よりも小さい場合であって、かつ、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には上記所定間隔で予め規定された回数の積分によって得られた電圧値のそれぞれから算出される上記変化量の平均値を算出する処理とを実行し、制御部は、上記差分がしきい値以上である場合には、上記変化量の平均値を算出する処理を実行せずに積分回路での積分回数を初期化して、再度、電圧値を得る処理から実行し直し、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達していない場合には、積分回数が予め規定された回数に達するまで電圧値を得る処理から判断する処理までの処理を繰り返す。
好ましくは、上記規定値は、変化量を算出した電圧値が得られた積分の前の積分で得られた電圧値から算出された変化量である。
好ましくは、制御部は、積分回路から電圧値が得られるごとに積分回路での飽和電圧に達したか否かを判断する処理をさらに実行し、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達するよりも以前に電圧値が積分回路での飽和電圧に達した場合には、上記変化量の平均値を算出する処理を実行せずに、上記所定間隔を変更して、再度、電圧値を得る処理から繰り返す。
より好ましくは、制御部は、電圧値が積分回路での飽和電圧に達したことが判断された時点よりも以前に予め規定された回数、電圧値が得られるように、所定間隔を変更する。
本発明の他の局面に従うと、微生物センサは、受光した光量に応じた電流を出力するための受光素子と、受光素子と接続されて、所定期間の電流の値を積分することで電圧値を出力するための積分回路と、積分回路での算出を制御するための制御部と、電圧値に基づいて微生物量を計算するための計算部とを備える。制御部は、積分回路に所定間隔で積分を実行させて電圧値を得る処理と、積分回路から電圧値が得られるごとに電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出し、その変化量と規定値との差分がしきい値以上であるか否かを判断する処理と、上記差分がしきい値よりも小さい場合であって、かつ、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には上記所定間隔で予め規定された回数の積分によって得られた電圧値のそれぞれから算出される変化量の平均値を算出する処理とを実行する。計算部は、制御部で算出された変化量の平均値に基づいて微生物量を計算し、制御部は、上記差分がしきい値以上である場合には、変化量の平均値を算出する処理を実行せずに積分回路での前記積分回数を初期化して、再度、上記電圧値を得る処理から実行し直し、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達していない場合には、積分回数が予め規定された回数に達するまで電圧値を得る処理から判断する処理までの処理を繰り返す。
好ましくは、微生物センサは、捕集部材と、捕集部材に励起光を照射するための発光素子と、捕集部材に捕集された粒子を加熱するためのヒータとをさらに備え、受光素子は、発光素子から励起光が照射されることで捕集部材に捕集された粒子から発光される蛍光を受光し、計算部は、加熱前後に制御部で算出された上記変化量の平均値の差分に基づいて微生物量を計算する。
本発明のさらに他の局面に従うと、検出方法は微小光量を検出する方法であって、所定間隔で、受光素子で受光した光量に応じた電流を積分することで電圧値を得るステップと、電圧値が得られるごとに電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出するステップと、その変化量と規定値との差分がしきい値よりも小さい場合であって、かつ、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には上記所定間隔で予め規定された回数の積分によって得られた電圧値のそれぞれから算出される変化量の平均値を算出するステップとを備え、差分がしきい値以上である場合には、変化量の平均値を算出するステップを実行せずに積分回路での前記積分回数を初期化して、再度、電圧値を得るステップから実行し直し、積分回路での積分回数が予め規定された回数に達していない場合には、積分回数が予め規定された回数に達するまで電圧値を得るステップから電圧値の変化量を算出するステップまでを繰り返す。
この発明によると、微小量の光量を高精度で検出することができ、それを利用して、たとえば微生物等の生物由来の粒子を精度よく検出することができる。
加熱前後における生物由来の粒子の蛍光強度の変化と、加熱前後における粉塵の蛍光強度の変化とを示すグラフである。 生物由来の粒子を検出する捕集工程を示す図である。 生物由来の粒子を検出する蛍光測定工程(加熱前)を示す図である。 生物由来の粒子を検出する加熱工程を示す図である。 生物由来の粒子を検出する蛍光測定工程(加熱後)を示す図である。 生物由来の粒子を検出するリフレッシュ工程を示す図である。 加熱前後の蛍光強度の増大量△Fと、生物由来の粒子濃度との関係を示すグラフである。 実施の形態にかかる粒子検出装置の外観を示す斜視図である。 図8中の粒子検出装置の外観を示す別の斜視図である。 図8中の粒子検出装置を示す分解組み立て図である。 図8中の粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。 図9中の粒子検出装置からファンが取り外された状態を示す斜視図である。 移動機構部を構成する回転ベースを示す斜視図である。 図13中の回転ベースを示す分解組み立て図である。 捕集工程および加熱工程時の粒子検出装置を示す断面図である。 蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時の粒子検出装置を示す断面図である。 リフレッシュ工程時の粒子検出装置を示す断面図である。 この発明の実施の形態1における粒子検出装置の動作の流れを示すフローチャートである。 粒子検出装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。 粒子検出装置での計算方法を説明するための図である。 図20で表わされた計算方法を実現するための粒子検出装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。 粒子検出装置での積分処理の流れを表わすフローチャートである。 粒子検出装置での積分処理の流れを表わすフローチャートである。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
[生物由来の粒子の検出原理について]
本実施の形態における粒子検出装置は、花粉や微生物、カビといった生物由来の粒子を検出するための装置である。最初に、本実施の形態における粒子検出装置を用いて生物由来の粒子を検出する原理について説明する。
図1は、加熱前後における生物由来の粒子の蛍光強度の変化と、加熱前後における粉塵の蛍光強度の変化とを示すグラフである。
空気中に浮遊する生物由来の粒子に紫外光または青色光を照射すると、生物由来の粒子は蛍光を発する。しかしながら、空気中には化学繊維の埃など(以下、粉塵ともいう)の、同様に蛍光を発する粒子が浮遊しており、蛍光を検出するのみでは、生物由来の粒子からのものであるのか粉塵からのものであるのかが区別されない。
一方、図1中に示すように、生物由来の粒子および粉塵に対してそれぞれ加熱処理を施し、加熱前後における蛍光強度(蛍光量)の変化を測定すると、粉塵から発せられる蛍光強度が加熱処理によって変化しないのに対して、生物由来の粒子から発せられる蛍光強度は、加熱処理によって増加する。本実施の形態における粒子検出装置では、生物由来の粒子と粉塵とが混合する粒子に対して、加熱前後の蛍光強度を測定し、その差分を求めることにより、生物由来の粒子の量を特定する。
図2から図6は、生物由来の粒子を検出する工程を示す図である。図2を参照して、まず、粒子を捕集基板510に捕集する(捕集工程)。
本工程では、捕集基板510を静電針530に対向配置するとともに、捕集基板510および静電針530間に電位差を生じさせる。ファン500の駆動により、空気を捕集基板510に向けて導入すると、空気中に浮遊する粒子600は、静電針530の周囲にて帯電される。帯電された粒子600は、静電気力によって捕集基板510の表面に吸着される。捕集基板510に捕集された粒子600には、生物由来の粒子600Aと、化学繊維の埃などの粉塵600Bとが含まれる。
図3を参照して、次に、加熱前の粒子600から発せられる蛍光の強度を測定する(蛍光測定工程(加熱前))。本工程では、半導体レーザなどの発光素子550から捕集基板510に捕集された粒子600に向けて励起光を照射するとともに、粒子600から発せられた蛍光をレンズ560を通じて受光素子565にて受光する。
図4を参照して、次に、ヒータ520を用いて、捕集基板510に捕集された粒子600を加熱する。加熱後、捕集基板510を冷却する(加熱工程)。
図5を参照して、次に、加熱後の粒子600から発せられる蛍光の強度を測定する(蛍光測定工程(加熱後))。既に説明したように、粉塵600Bから発せられる蛍光強度が加熱処理によって変化しないのに対して、生物由来の粒子600Aから発せられる蛍光強度は、加熱処理によって増加する。このため、本工程では、図3中の蛍光測定工程(加熱前)で測定された蛍光強度よりも大きい値の蛍光強度が測定される。
図7は、加熱前後の蛍光強度の増大量△Fと、生物由来の粒子濃度との関係を示すグラフである。図7を参照して、加熱前の蛍光強度と加熱後の蛍光強度との差から、蛍光強度の増大量△F1を算出する。予め用意した蛍光強度の増大量△Fと生物由来の粒子濃度Nとの関係に基づき、算出された増大量△F1に対応する生物由来の粒子濃度N1を特定する。なお、増大量△Fと生物由来の粒子濃度Nとの対応関係は、予め実験的に決められる。
図6を参照して、次に、生物由来の粒子の検出を終えた粒子600を捕集基板510から除去する(リフレッシュ工程)。
以降に説明する、本実施の形態にかかる粒子検出装置10は、上の原理を利用して生物由来の粒子を検出する。つまり、本実施の形態にかかる粒子検出装置10は生物由来の粒子からの微小な蛍光量を測定することで生物由来の粒子を検出するものであって、微小光量検出装置とも言える。
[粒子検出装置の全体構造について]
図8は、本実施の形態にかかる粒子検出装置の外観を示す斜視図である。図9は、図8中の粒子検出装置の外観を示す別の斜視図である。図10は、図8中の粒子検出装置を示す分解組み立て図である。図11は、図8中の粒子検出装置の内部構造を示す斜視図である。
図8から図11を参照して、本実施の形態における粒子検出装置10は、筐体としてのキャビネット11と、ファン16と、捕集部20と、蛍光検出部30と、清掃部50とを有する。
キャビネット11は、略直方体形状を有し、捕集部20、蛍光検出部30、清掃部50を収容する。本実施の形態では、キャビネット11が、第1筐体としての上キャビネット12と、第2筐体としての下キャビネット14から構成されている。下キャビネット14は、一方向に開口する箱形状を有する。上キャビネット12は、下キャビネット14の開口を塞ぐ平板形状を有する。一例として、キャビネット11は、60mm×50mm(上キャビネット12の縦、横)×30mm(高さ)の大きさを有する。
キャビネット11は、側面11mおよび側面11nを有する。側面11mおよび側面11nは、互いに対向して配置されている。側面11mは、上キャビネット12に形成され、側面11nは、下キャビネット14に形成されている。
キャビネット11には、筒状部材としての捕集筒15が一体に形成されている。捕集筒15は、側面11mに開口し、側面11mから側面11nに向けて円筒状に延びている。捕集筒15は、後述する静電針22を取り囲むように設けられている。捕集筒15は、静電針22と対向して位置決めされた捕集基板71に向けて、粒子を含む空気を案内する。
図12は、図9中の粒子検出装置からファンが取り外された状態を示す斜視図である。図9および図12を参照して、ファン16は、正転方向および反転方向に回転駆動可能である。ファン16が正転方向に駆動されることにより、キャビネット11の内部の空気がファン16を通じてキャビネット11の外部に排出される。ファン16が反転方向に駆動されることにより、キャビネット11の外部の空気がファン16を通じてキャビネット11の内部に導入される。
ファン16は、キャビネット11の側面11nに取り付けられている。ファン16が取り付けられたキャビネット11の位置には、開口部120が形成されている。開口部120は、捕集筒15と向かい合う範囲(図12中の2点鎖線122に示す範囲)と、後述するブラシ51と向かい合う範囲(図12中の2点鎖線121に示す範囲)とを含むように開口している。開口部120は、捕集筒15と向かい合う範囲とブラシ51と向かい合う範囲とで連続的に形成されている。
このような構成によって、ファン16は、捕集工程と、加熱工程時の冷却と、リフレッシュ工程とで兼用して用いられる。これにより、粒子検出装置10の小型化や低コスト化を図ることができる。
図8から図11を参照して、捕集部20は、図2を参照して説明した捕集工程を実行し、空気中に含まれる粒子を捕集基板71に捕集する。捕集部20は、電源部としての高圧電源21と、放電電極としての静電針22とを有する。
捕集基板71は、生物由来の粒子と化学繊維の埃などの粉塵とが混合した粒子が捕集される捕集部材として設けられている。捕集基板71は、ガラス板から形成されている。粒子を吸着するガラス板の表面には、導電性の透明被膜が形成されている。捕集基板71は、ガラス板に限定されず、セラミックもしくは金属などから形成されてもよい。被膜は、透明被膜に限定されず、たとえば、セラミック等から形成された捕集基板71の表面に、金属被膜が形成されてもよい。また、捕集基板71が金属から形成される場合、その表面に被膜を形成する必要はない。
高圧電源21は、捕集基板71と静電針22との間に電位差を生じさせるための電源部として設けられている。
静電針22は、高圧電源21から延出し、捕集筒15を貫通して捕集筒15の内部に達している。捕集工程時、捕集基板71は、静電針22と対向して配置される。本実施の形態では、静電針22が、高圧電源21の正極に電気的に接続されている。捕集基板71に形成された被膜は、高圧電源21の負極に電気的に接続されている。
なお、静電針22が高圧電源21の正極に電気的に接続されている場合に、捕集基板71に形成された被膜が接地電位に接続されてもよいし、静電針22が高圧電源21の負極に電気的に接続され、捕集基板71に形成された被膜が高圧電源21の正極に電気的に接続されてもよい。
捕集工程時、ファン16が正転方向に駆動されると、キャビネット11内部の空気が排気されると同時に、キャビネット11の外部の空気が捕集筒15を通って捕集基板71に向けて導入される。この際、高圧電源21によって静電針22と捕集基板71との間に電位差を発生させると、空気中の粒子は、静電針22の周囲で正極に帯電される。正極に帯電された粒子が、静電気力によって捕集基板71に移動し、導電性の被膜に吸着されることによって、捕集基板71に捕集される。
このように本実施の形態における粒子検出装置10においては、静電気力を利用した静電捕集により、粒子を捕集基板71に捕集する。この場合、粒子の検出時に粒子を確実に捕集基板71に保持するとともに、粒子の検出後には粒子を容易に捕集基板71から除去することができる。
また、放電電極として針状の静電針22を用いることによって、帯電した粒子を、静電針22に対向する捕集基板71の表面であって、後述する発光素子の照射領域に対応した極めて狭い領域に吸着させることができる。これにより、蛍光測定工程において、吸着された微生物を効率的に検出することができる。
蛍光検出部30は、図3および図5を参照して説明した蛍光測定工程(加熱前,加熱後)を実行する。蛍光検出部30は、励起光源部31および受光部41から構成されている。励起光源部31は、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射する。受光部41は、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。
励起光源部31は、光源としての発光素子32と、励起部フレーム33と、集光レンズ34と、レンズ押さえ35とを有する。受光部41は、ノイズシールド42と、増幅回路43と、受光素子44と、受光部フレーム45と、フレネルレンズ46と、レンズ押さえ47とを有する。発光素子32としては、半導体レーザまたはLED(Light Emitting Diode)素子などが用いられる。発光素子32から発せられる光は、生物由来の粒子を励起して蛍光を発せさせるものであれば、紫外または可視いずれの領域の波長を有してもよい。受光素子44としては、フォトダイオードまたはイメージセンサなどが用いられる。
清掃部50は、図6を参照して説明したリフレッシュ工程を実行し、粒子を捕集基板71から除去する。清掃部50は、清掃具としてのブラシ51と、ベース部としてのブラシ固定部52およびブラシ押さえ53とを有する。清掃部50は、高圧電源21に対して固定支持されている。リフレッシュ工程時、清掃部50は静止している。
ブラシ51は、繊維集合体から形成されている。ブラシ51は、導電性を有する繊維集合体から形成されている。ブラシ51は、たとえば、カーボンファイバから形成されている。ブラシ51を形成する繊維集合体の線径は、φ0.05mm以上φ0.2mm以下であることが好ましい。
ブラシ51は、自由端51pと、自由端51pの反対側の端部に配置される支持端51qとを有する(図11を参照)。支持端51qは、ブラシ固定部52およびブラシ押さえ53により支持されている。ブラシ51は、支持端51qから自由端51pに向けて垂れ下がるように設けられる。ブラシ51は、後述するリフレッシュ位置93に固定支持されている。ブラシ51の自由端51pが捕集基板71の表面に接触した状態で捕集基板71が移動することにより、粒子が捕集基板71から除去される。
なお、本実施の形態では、捕集基板71から粒子を除去する捕集具としてブラシ51を用いたが、本発明はこれに限られず、たとえば、捕集基板71の表面と接触する平板状のワイパーであってもよいし、捕集基板71の表面に向けて空気を噴き出すノズルであってもよい。
粒子検出装置10は、加熱部としてのヒータ76と、移動機構部60とをさらに有する。
ヒータ76は、図4を参照して説明した加熱工程を実行し、捕集基板71に捕集された粒子を加熱する。
移動機構部60は、捕集基板71を搭載し、捕集工程、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)、リフレッシュ工程および加熱工程間で捕集基板71を移動させる。移動機構部60は、モータホルダ61と、回転駆動可能な駆動部としての回転モータ62と、モータ押さえ63と、アーム部としての回転ベース64を有する。
図13は、移動機構部を構成する回転ベースを示す斜視図である。図14は、図13中の回転ベースを示す分解組み立て図である。図13中には、裏側(キャビネット11の側面11n側)から見た回転ベース64が示され、図14中には、表側(キャビネット11の側面11m側)から見た回転ベース64が示されている。
図11、図13および図14を参照して、回転ベース64には、回転モータ62の出力軸が接続されている。回転モータ62の駆動に伴って、回転ベース64は、図11中に仮想線として描かれた回転中心軸66を中心に回転(正転、反転)する。
回転ベース64は、樹脂材料により形成されている。回転ベース64は、その構成部位として、中心部67と、基板支持部68と、清掃具初期化部材としてのブラシ清掃アーム81と、センシング対象部82とを有する。
中心部67は、回転モータ62の出力軸に接続されている。中心部67は、キャビネット11により回転中心軸66を中心に回転自在に支持されている。基板支持部68は、中心部67から回転中心軸66の半径方向に延伸し、その先端で捕集基板71を搭載している。基板支持部68は、捕集基板71を搭載する位置で枠形状を有する。ブラシ清掃アーム81およびセンシング対象部82については、後の項目で詳細に説明する。
捕集基板71の裏面には、ヒータ76が貼り合わされている。ヒータ76は、回転ベース64の回転時、捕集基板71とともに移動する。ヒータ76には、ヒータ76の電力供給線や、ヒータ76に内蔵されたセンサの信号線を含む、複数の配線111,112,113が接続されている。配線111,112,113は、フレキシブル基板96を通じてキャビネット11の外部に引き出されている。
図15は、捕集工程および加熱工程時の粒子検出装置を示す断面図である。図16は、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時の粒子検出装置を示す断面図である。図17は、リフレッシュ工程時の粒子検出装置を示す断面図である。図15から図17中には、キャビネット11の側面11n側から見た粒子検出装置の断面が示されている。
図15から図17を参照して、本実施の形態における粒子検出装置10では、捕集基板71が、捕集工程および加熱工程時に、図15中に示す第1位置としての捕集・加熱位置91に移動され、蛍光測定工程(加熱前,加熱後)時に、図16中に示す第2位置としての検出位置92に移動され、リフレッシュ工程時に、図17中に示す第3位置としてのリフレッシュ位置93に移動される。捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、互いに離れて配置されている。
なお、図17中のリフレッシュ位置93は、代表的な例として示したものであり、実際には、リフレッシュ工程時に捕集基板71を移動させつつ、捕集基板71の表面をブラシ51に接触させて捕集基板71から粒子を除去するため、捕集基板71とブラシ51とが接触する間の捕集基板71の移動範囲がリフレッシュ位置93に相当する。
捕集基板71は、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93間を移動する間、同一平面内に保持される。捕集基板71は、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93間を移動する間、回転中心軸66に直交する同一平面内に保持される。
すなわち、本実施の形態における粒子検出装置10は、捕集基板71を、同一平面内に保持しながら、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の間で移動させる移動機構部60を備える。本実施の形態では、捕集基板71を同一平面内で移動させるため、捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の各位置における捕集基板71の位置決め精度を向上させることができる。また、回転中心軸66の軸方向において捕集基板71が移動しないため、粒子検出装置10の全高を低く抑えることができる。
捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、円周上に並んで配置されている。捕集・加熱位置91と、検出位置92と、リフレッシュ位置93とは、回転中心軸66を中心とする円周上に並んで配置されている。捕集基板71の移動方向において、捕集・加熱位置91は、検出位置92とリフレッシュ位置93との間に配置されている。言い換えれば、捕集基板71の移動方向において、リフレッシュ位置93は、捕集・加熱位置91から見て検出位置92の反対側に配置されている。捕集基板71の移動方向において、検出位置92、捕集・加熱位置91およびリフレッシュ位置93が挙げた順に並んで配置されている。
捕集・加熱位置91とリフレッシュ位置93との間の捕集基板71の移動距離よりも、検出位置92とリフレッシュ位置93との間の捕集基板71の移動距離の方が大きい。捕集・加熱位置91、検出位置92およびリフレッシュ位置93の間における捕集基板71の移動範囲は、回転中心軸66の軸周りにおいて180°以下である。
続いて、本実施の形態における粒子検出装置10の動作について説明する。図18は、この発明の実施の形態1における粒子検出装置の動作の流れを示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、図15から図17中において、回転中心軸66を中心とする時計周りの回転を正転方向といい、回転中心軸66を中心とする反時計周りの回転を反転方向という。
図15および図18を参照して、まず、捕集基板71を捕集・加熱位置91に位置決めして、捕集工程を実施する(S101)。この際、ファン16を正転方向に駆動させることによって、キャビネット11内部に空気を導入するとともに、高圧電源21によって静電針22と捕集基板71との間に電位差を発生させ、空気中の粒子を捕集基板71の表面に捕集する。
図16および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を正転方向に回転させ、捕集基板71を捕集・加熱位置91から検出位置92に移動させる(S102)。次に、励起光源部31によって、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、受光部41によって、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。これにより、捕集基板71に捕集された粒子の加熱前の蛍光強度F1を測定する(S103)。
図15および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71を検出位置92から捕集・加熱位置91に移動させる(S104)。次に、ヒータ76に通電することによって、捕集基板71に捕集された粒子を加熱する(S105)。次に、ヒータ76への通電を停止して、捕集基板71を冷却する(S106)。この際、ファン16を反転方向に駆動させることによって、空気をキャビネット11内部に導入し、捕集基板71の冷却を促進させる。
図16および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を正転方向に回転させ、捕集基板71を捕集・加熱位置91から検出位置92に移動させる(S107)。次に、励起光源部31によって、捕集基板71に捕集された粒子に向けて励起光を照射するとともに、受光部41によって、励起光の照射に伴って粒子から発せられる蛍光を受光する。これにより、捕集基板71に捕集された粒子の加熱後の蛍光強度F2を測定する(S108)。そして、加熱前の蛍光F1の強度と加熱後の蛍光F2の強度とを比較することにより、捕集基板71に捕集された粒子に含まれる生物由来の粒子の量を算出する(S109)。
図17および図18を参照して、次に、回転モータ62を駆動させることによって回転ベース64を反転方向に回転させ、捕集基板71を検出位置92からリフレッシュ位置93に移動させる。リフレッシュ位置93において回転ベース64を反転方向に回転させ、さらに正転方向に回転させることによって、捕集基板71の表面をブラシ51に接触させる。これにより、捕集基板71から粒子を除去する(S111)。
リフレッシュ工程時、ファン16を正転方向に駆動させることによって、捕集基板71から除去されて空気中を飛散する粒子を開口部120を通じてキャビネット11の外部に排出する。開口部120を通じてキャビネット11の外部に排出された粒子を回収するため、開口部120とファン16との間にフィルタを設けることが好ましい。
この際、捕集基板71が、図15中に示す捕集・加熱位置91から図17中に示すリフレッシュ位置93に近づくに従って、捕集基板71と捕集筒15とが重なる範囲が小さくなるため、空気の導入口である捕集筒15の開口面積が大きくなる。これにより、粒子を効率的にキャビネット11の外部に回収することができる。一方、捕集工程時には、捕集基板71に遮蔽されることによって捕集筒15の開口面積が小さくなるため、空気の導入ロスを減らすことができる。
生物由来の粒子から発せられる蛍光の強度は、加熱処理によって増加する。このため、ステップ(S105)では、ステップ(S102)の加熱前の蛍光測定で測定された蛍光強度よりも大きい値の蛍光強度が測定される。加熱前の蛍光強度F1と加熱後の蛍光強度F2との差(F2−F1)から、蛍光強度の増大量を算出する。予め用意した蛍光強度の増大量と生物由来の粒子濃度との関係に基づき、算出された増大量に対応する生物由来の粒子の粒子量(濃度)を特定することができる。なお、増大量と生物由来の粒子濃度との対応関係は、予め実験的に決められる。
[粒子除去装置の構成]
本実施の形態における粒子検出装置10は、生物由来の粒子を検出するための装置単体として用いられてもよいし、微生物センサとして空気清浄機やエアーコンディショナ、加湿器、除湿機、掃除機、冷蔵庫、テレビなどの家電製品に組み込まれてもよい。
図19は、上の動作を行なうための粒子検出装置10の機能構成の具体例を示すブロック図である。図19では、粒子検出装置10の後述する信号処理部100の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、粒子検出装置10が図示しないCPU(Central Processing Unit)を備え、該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、粒子検出装置10の後述する測定部200の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
図19を参照して、粒子検出装置10は上記動作を実現するための機能として、受光素子44からの信号を処理するための機能である信号処理部100と、受光量に基づいて生物由来の粒子量を算出したり各部の動作を制御したりするための測定部200とを含む。
信号処理部100は、受光素子44に接続される電流−電圧変換回路101と、電流−電圧変換回路101に接続される積分型の(積分回路を含んだ)増幅回路102とを含む。
測定部200は、制御部201、記憶部203、およびクロック発生部204を含む。さらに、測定部200は、ファン16やヒータ76や移動機構部60を駆動させるための駆動部205を含む。
捕集基板71上に捕集された粒子に対して発光素子32から励起光ELが照射されることで、励起光照射領域にある当該粒子からの蛍光が受光素子44に集光される。受光素子44から、受光量に応じた電流信号が信号処理部100に対して出力される。電流信号は、電流−電圧変換回路102に入力される。
電流−電圧変換回路102は、受光素子44から入力された電流信号より蛍光強度を表わすピーク電流値Hを検出し、電圧値Ehに変換する。電圧値Ehは増幅回路102で予め設定した増幅率に増幅され、測定部200に対して出力される。測定部200の制御部201は信号処理部100から電圧値Ehの入力を受け付けて、順次、記憶部203に記憶させる。
クロック発生部204はクロック信号を発生させ、制御部201に対して出力する。制御部201は、クロック信号に基づいたタイミングで、ファン16を回転させたり、ヒータ76を加熱させたり、移動機構部60で捕集基板71を移動させたりするための制御信号を駆動部205に対して出力して、これらの動作を制御する。また、制御部201は発光素子32および受光素子44と電気的に接続され、それらのON/OFFを制御する。
制御部201は計算部202を含み、計算部202において、記憶部203に記憶された電圧値Ehを用いて、導入された空気中の生物由来の粒子量を算出するための動作が行なわれる。
計算部202で算出された捕集された粒子中の生物由来の粒子の濃度は、制御部201から図示しない表示部に対して出力されることで検出結果として表示されてもよいし、図示しない通信部から外部装置に出力されることで検出結果として他の装置に出力されたり記録媒体に書き込まれたりしてもよい。
[課題の説明]
ここで、受光素子44での受光量から蛍光を検出する際のノイズ成分としては、電流−電圧変換回路101より出力される電圧波形に影響する外部ノイズ成分と、変換等の出力値読み込み時の変換ノイズ成分とが考えられる。
出力値を大きくすることでS/N比を向上させ、いずれのノイズ成分の影響も低減させることは可能となるものの、電流−電圧変換回路101における飽和電圧を大きくすることができない場合にはノイズ成分が影響することで検出精度を悪化させることになる。
[動作概要]
上述の課題を解消するため、本実施の形態にかかる粒子検出装置10では、増幅回路102で電流−電圧変換回路101より出力された電圧値の積分値を算出し、計算部202で所定回数の積分で出力電圧の時間変化(傾き)を算出して平均値を求めること、および、計算部202で出力値である電圧値が飽和電圧以下でほぼ最大の値となる積分時間で傾きを算出することでS/N比を向上させること、を同時に実行する。これにより、微小な蛍光量を測定する際にも高い検出精度が得られる。
図20は、本実施の形態にかかる粒子検出装置10での計算方法を説明するための図である。図20において、縦軸は電流−電圧変換回路101からの出力電圧を表わしており、その最大値が飽和電圧を表わしている。点線で表わされた波形Bは、上述の、電流−電圧変換回路101より出力される電圧波形に影響する外部ノイズ成分を表わしている。
図20を参照して、積分回路を含んだ増幅回路102で波形Aに示されように任意の点(図20では積分時間t0〜t6)までの所定時間の積分値を算出し、その積分値を計算部202に入力する。
計算部202は、一定の間隔tごとに出力電圧を求めてその傾きa(△V/△t)を算出する。
このとき、計算部202は、所定回数Nmin回(図20の例では6回)のサンプリングを行ない、それらの傾きの平均値を算出する。そして、傾きa1〜a6を算出するごとに、前回の傾きと比較する。そして、波形Bで表わされたような急激な傾きの変化があった場合にはエラーを出力する。または、前回の傾きに替えて、予め記憶されている規定値と比較してもよい。測定部200はこのエラーを受けて、再測定を行なうと判定する。
このように制御されることで電圧波形への外部ノイズの影響を低減することができ、蛍光量の測定精度を高めることができる。
なお、図20において波形Cで表わされた測定結果の場合、増幅回路102で所定回数の積分を行なう前(t2〜t3)に出力が飽和してしまい所定回数分の正確な傾きが算出できない。
そこで、計算部202は、所定積分回数以下で出力が飽和した場合には、積分間隔t(サンプリング時間)を短くして再測定する。このとき飽和を検出した積分回数をn、所定積分回数Nminとしたとき、積分間隔tを
t=t×(n−1)/Nmin
とすることで、積分所定回数で出力が飽和せずに積分時間を長くとることができ、S/N比のよい傾きを算出することが可能となる。
<機能構成>
図21は、上記動作を行なうための機能構成の具体例を示すブロック図であって、主に、図19に表わされた制御部201の具体的な構成を表わした図である。
図21を参照して、上記動作を行なうための機能として、制御部201には、さらに、積分回路を含んだ増幅回路102からの出力値を監視するための出力監視部206と、増幅回路102中の積分回路を制御するための積分回路制御部212とが含まれる。
出力監視部206は、電流−電圧変換回路101からの出力が飽和電圧に達したことを検出するための出力飽和検出部207と、予め規定された期間(図20の例ではt0〜t6の期間)の電流−電圧変換回路101からの出力値の積分値を積分回路を含んだ増幅回路102から取得し、予め規定された時間間隔tごとに出力電圧の時間変化である傾き(△V/△t)を算出するための傾き算出部208と、時間間隔tごとに傾き算出部208で算出された傾きとその前回に算出された傾き(または予め記憶されている規定値)とを比較し、その差が予め記憶しているしきい値以上である場合に傾き異常と検出するための比較部209と、増幅回路102での積分回数をカウントするための積分回数カウント部210と、所定回数Nmin回(図20の例では6回)分の傾きの平均値を算出するための平均値算出部211とを含む。
積分回路制御部212は、積分回数カウント部210から積分回数を示す信号の入力を受け付けて、予め規定した回数に達するまで、所定の時間間隔で積分値を算出させるため、増幅回路102に含まれる積分回路に対して積分間隔を通知するためのパルス信号を出力する。これにより、増幅回路102では、予め規定された積分回数に達するまで規定間隔で積分値が算出される。
また、積分回路制御部212は、傾き算出部208から傾き異常が検出されたことを示す信号の入力を受け付けると、増幅回路102に含まれる積分回路に対して再測定を指示する制御信号を出力する。
また、積分回路制御部212は、出力飽和検出部207から、電流−電圧変換回路101からの出力が飽和電圧に達したことを通知する信号の入力を受け付けると、現在の積分回数と予め規定されている積分回数とを比較して、その結果に応じて積分間隔を変更した上で積分回数を初期化し、増幅回路102に含まれる積分回路に対して積分値の算出を指示する制御信号を出力する。
平均値算出部211での算出結果である出力電圧の時間変化(傾き)としての傾きは順次、記憶部203に記憶され、計算部202は、その値を用いて導入された空気中の生物由来の粒子量を算出する。
<動作フロー>
図22および図23は、粒子検出装置10での積分処理の流れを表わすフローチャートである。図22および図23のフローチャートに表わされる処理は、図示しないCPUがメモリに記憶されるプログラムを読み出して図21に表わされる各機能を発揮させることによって実現される。
図22を参照して、粒子検出装置10の制御部201では、予め規定された積分時間間隔tが経過するごとに(ステップS201でYES)積分回数のカウントを1インクリメントしてカウントアップし(ステップS203)、そのときの電流−電圧変換回路101からの出力電圧値Viを取得する。
制御部201は取得した出力電圧値Viと飽和電圧値Vsatとを比較して、出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatに達していないと確認されると(ステップS207でNO)、出力電圧値Viの時間変化である傾きa(a=△V/△t)を算出する(ステップS209)。そして、その値と前回のフローで算出された傾きAとの差分と予め記憶されているしきい値Gとを比較し、差分がしきい値Gより大きく、かつ、積分回数nが1以上である場合には(ステップS211でYES)、変化量が予め規定された量よりも大きい、傾き異常が発生したものとして、積分回数nを初期化した上で(ステップS213)、処理を最初に戻す。なお、上記ステップS211では、ステップS209で算出された傾きaと、予め傾きの規定値として記憶されている値との差分を予め記憶されているしきい値Gと比較してもよい。
上のいずれも満たさない場合には(ステップS211でNO)、上記ステップS209で算出された傾きaを次のフローに用いる「前回の傾きA」とセットする(ステップS215)。
次に、積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達していないか、または、取得された出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatであることを表わす電圧飽和フラグが立っていないかを確認する。
そして、積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達し、かつ、取得された出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatではない場合には(ステップS217でNO)、制御部201は上記所定回数Nmin回の傾きの平均値を算出する(ステップS219)。算出された平均値は、計算部202で生物由来の粒子量を計算するために用いられる。
一方、積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達していない場合、または取得された出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatである場合には(ステップS217でYES)、処理を最初に戻して、一連の処理を繰り返す。
なお、上記ステップS205で取得された出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatに達していると確認された場合には(ステップS207でYES)、図23を参照して、制御部201は取得された出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatであることを表わす電圧飽和フラグを立て(ステップS221)、積分回数nが積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達していないかを確認する。
積分回数nが積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達している場合には(ステップS223でNO)、制御部201は上記ステップS209に処理を進める。この場合には、所定回数Nmin回分の傾きの平均値を算出することが可能であるからである。
一方、積分回数nが積分回数nがサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回に達するよりも以前に出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatに達してしまった場合には(ステップS223でYES)、所定回数Nmin回分の傾きの平均値を算出することができない。そのため、制御部201は積分を行なう時間間隔tを更新した上で積分回数nを初期化し(ステップS225)、処理を最初に戻す。ここでは、積分間隔tをt=t×(n−1)/Nminと更新する。
これにより、積分する間隔tが短くなり、出力電圧値Viが飽和電圧値Vsatに到達するよりも以前にサンプリングを行なう回数である所定回数Nmin回の積分値の算出が可能となる。
<実施の形態の効果>
本実施の形態にかかる粒子検出装置10では、生物由来の粒子から発せられる微小の蛍光量を測定することで生物由来の粒子を検出するものであって、受光素子での受光量を電圧値に変換した上で所定間隔でその積分値を算出し、所定間隔の積分が所定回数行なわれた時点で、各積分時間での出力電圧の時間変化(傾き)の平均値を算出して、その平均値を用いて生物由来の粒子量を算出する。このようにすることで、微小な蛍光の測定を容易とすることができる。
さらに粒子検出装置10では、上記所定間隔でその積分値の出力電圧の時間変化(傾き)をその直前の出力電圧の時間変化と比較して、その差分がしきい値以上である場合に変化量の異常として、再度測定を行なう。これにより、たとえば図20において波形Bで表わされたような急激な傾きの変化があった場合にはエラーが出力されることになる。
図20の波形Bのような電圧値の変化は外部ノイズ成分として電流−電圧変換回路101より出力される電圧波形に影響を及ぼすため、その波形を含む範囲で出力電圧の時間変化(傾き)の平均値を算出すると、それに基づいて算出される生物由来の粒子量の精度を低下させることになる。粒子検出装置10ではこのような急激な傾きの変化が検出された場合にはその範囲を生物由来の粒子量の計算には用いずに再測定を行なうため、生物由来の粒子量の検出精度を高めることができる。
さらに粒子検出装置10では、電流−電圧変換回路101からの出力電圧値が上記平均値を求める積分回数に達するよりも以前に飽和電圧値に達した場合には、積分値を算出する時間間隔を短くするように上記所定間隔を更新して測定をし直す。このとき、上述のように、飽和電圧値に達した積分回数nよりも以前の積分回数(n−1)まで期間(t×(n−1))を平均値を算出する積分回数となるように1回の積分値を算出する時間間隔を更新する。つまり、積分時間間隔を飽和電圧値以下でほぼ最大値となる時間とすることで、出力電圧値が飽和電圧値に達するまでで積分時間をできるだけ長くすることができ、S/N比のよい出力電圧の時間変化(傾き)を算出することができる。そのため、生物由来の粒子量の検出精度を高めることができる。
<他の例>
なお、粒子検出装置10の図示しないCPUに図19および図21の各機能を発揮させて、図22および図23のフローチャートで表わされた処理を実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 粒子検出装置、11,12,14 キャビネット、11m,11n 側面、15 集筒、16,500 ファン、20 捕集部、21 高圧電源、22,530 静電針、30 蛍光検出部、31 励起光源部、32,550 発光素子、33 励起部フレーム、34 集光レンズ、35,47 レンズ押さえ、41 受光部、42 ノイズシールド、43,102 増幅回路、44,565 受光素子、45 受光部フレーム、46 フレネルレンズ、50 清掃部、51 ブラシ、51p 自由端、51q 支持端、52 ブラシ固定部、53 ブラシ押さえ、60 移動機構部、61 モータホルダ、62 回転モータ、63 モータ押さえ、64 回転ベース、66 回転中心軸、67 中心部、68 基板支持部、71,510 集基板、76,520 ヒータ、81 ブラシ清掃アーム、82 センシング対象部、91 加熱位置、92 検出位置、93 リフレッシュ位置、96 フレキシブル基板、100 信号処理部、101 電流−電圧変換回路、111,112,113 配線、120 開口部、121,122 点鎖線、200 測定部、201 制御部、202 計算部、203 記憶部、204 クロック発生部、205 駆動部、206 出力監視部、207 出力飽和検出部、208 傾き算出部、209 比較部、210 積分回数カウント部、211 平均値算出部、212 積分回路制御部、560 レンズ、600,600A 粒子、600B 粉塵。

Claims (7)

  1. 受光した光量に応じた電流を出力するための受光素子と、
    前記受光素子と接続されて、所定期間の前記電流の値を積分することで電圧値を出力するための積分回路と、
    前記積分回路での算出を制御するための制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記積分回路に所定間隔で前記積分を実行させて電圧値を得る処理と、
    前記積分回路から電圧値が得られるごとに前記電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出し、前記変化量と規定値との差分がしきい値以上であるか否かを判断する処理と、
    前記差分が前記しきい値よりも小さい場合であって、かつ、前記積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には前記所定間隔で前記予め規定された回数の前記積分によって得られた前記電圧値のそれぞれから算出される前記変化量の平均値を算出する処理とを実行し、
    前記制御部は、前記差分が前記しきい値以上である場合には、前記変化量の平均値を算出する処理を実行せずに前記積分回路での前記積分回数を初期化して、再度、前記電圧値を得る処理から実行し直し、前記積分回路での前記積分回数が前記予め規定された回数に達していない場合には、前記積分回数が前記予め規定された回数に達するまで前記電圧値を得る処理から前記判断する処理までの処理を繰り返す、微小光量検出装置。
  2. 前記規定値は、前記変化量を算出した前記電圧値が得られた前記積分の前の積分で得られた電圧値から算出された変化量である、請求項1に記載の微小光量検出装置。
  3. 前記制御部は、前記積分回路から電圧値が得られるごとに前記積分回路での飽和電圧に達したか否かを判断する処理をさらに実行し、
    前記積分回路での前記積分回数が前記予め規定された回数に達するよりも以前に前記電圧値が前記積分回路での飽和電圧に達した場合には、前記変化量の平均値を算出する処理を実行せずに、前記所定間隔を変更して、再度、前記電圧値を得る処理から繰り返す、請求項1または2に記載の微小光量検出装置。
  4. 前記制御部は、前記電圧値が前記積分回路での飽和電圧に達したことが判断された時点よりも以前に前記予め規定された回数、前記電圧値が得られるように、前記所定間隔を変更する、請求項3に記載の微小光量検出装置。
  5. 受光した光量に応じた電流を出力するための受光素子と、
    前記受光素子と接続されて、所定期間の前記電流の値を積分することで電圧値を出力するための積分回路と、
    前記積分回路での算出を制御するための制御部と、
    前記電圧値に基づいて微生物量を計算するための計算部とを備え、
    前記制御部は、
    前記積分回路に所定間隔で前記積分を実行させて電圧値を得る処理と、
    前記積分回路から電圧値が得られるごとに前記電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出し、前記変化量と規定値との差分がしきい値以上であるか否かを判断する処理と、
    前記差分が前記しきい値よりも小さい場合であって、かつ、前記積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には前記所定間隔で前記予め規定された回数の前記積分によって得られた前記電圧値のそれぞれから算出される前記変化量の平均値を算出する処理とを実行し、
    前記計算部は、前記制御部で算出された前記変化量の平均値に基づいて前記微生物量を計算し、
    前記制御部は、前記差分が前記しきい値以上である場合には、前記変化量の平均値を算出する処理を実行せずに前記積分回路での前記積分回数を初期化して、再度、前記電圧値を得る処理から実行し直し、前記積分回路での前記積分回数が前記予め規定された回数に達していない場合には、前記積分回数が前記予め規定された回数に達するまで前記電圧値を得る処理から前記判断する処理までの処理を繰り返す、微生物センサ。
  6. 捕集部材と、
    前記捕集部材に励起光を照射するための発光素子と、
    前記捕集部材に捕集された粒子を加熱するためのヒータとをさらに備え、
    前記受光素子は、前記発光素子から前記励起光が照射されることで前記捕集部材に捕集された前記粒子から発光される蛍光を受光し、
    前記計算部は、加熱前後に前記制御部で算出された前記変化量の平均値の差分に基づいて前記微生物量を計算する、請求項5に記載の微生物センサ。
  7. 微小光量を検出する方法であって、
    所定間隔で、受光素子で受光した光量に応じた電流を積分することで電圧値を得るステップと、
    前記電圧値が得られるごとに前記電圧値を測定時間で除して得られる電圧値の変化量を算出するステップと、
    前記変化量と規定値との差分がしきい値よりも小さい場合であって、かつ、前記積分回路での積分回数が予め規定された回数に達している場合には前記所定間隔で前記予め規定された回数の前記積分によって得られた前記電圧値のそれぞれから算出される前記変化量の平均値を算出するステップとを備え、
    前記差分が前記しきい値以上である場合には、前記変化量の平均値を算出するステップを実行せずに前記積分回路での前記積分回数を初期化して、再度、前記電圧値を得るステップから実行し直し、前記積分回路での前記積分回数が前記予め規定された回数に達していない場合には、前記積分回数が前記予め規定された回数に達するまで前記電圧値を得るステップから前記電圧値の変化量を算出するステップまでを繰り返す、検出方法。
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