以下、本発明の1つの実施形態によるスロットマシンを詳細に説明する。スロットマシン(10)は、外周面に図柄が付された回転可能な円筒状のリール(40L、40C、40R)と、遊技進行を制御するメイン制御手段としての主制御基板(100)と、遊技演出を制御するサブ制御手段としてのサブ制御基板(200)とを有し、遊技者による操作に基づいて停止したリールの表示態様が役抽選手段(502)により当選した所定の役に対応するとき当該役が成立する遊技を提供する。はじめに、本実施形態によるスロットマシン(10)の構造を図面を参照しながら説明する。
[スロットマシンの前面構造]
図1は、スロットマシン10の前面外観を示す正面図である。スロットマシン10は、前方に開口を有する略矩形状の箱体である筐体に対し、前扉20が前記開口を開閉可能とするように軸支されている。通常は図1に示されるように、前扉20が前記開口を閉塞する位置で筐体にロックされる。
前扉20は、遊技者に対し視覚的な演出効果を高めるような意匠が施されたパネル部材により構成される。前扉20のパネル部材は、主にリール40L、40C、40Rの図柄の表示等を行う遊技領域である中央パネル部30と、中央パネル部30の下方において主にリールの回転及び停止等の遊技操作を行うためのスイッチ等が配置される操作パネル部50と、中央パネル部30の上方において主に遊技演出のためのランプやスピーカ等が配置される上部パネル部60と、操作パネル部50の下方においてスロットマシン10の遊技において登場するキャラクタなどが描かれる下部パネル部70と、により概ね構成される。なお、前扉20は、中央パネル部30、操作パネル部50、上部パネル部60及び下部パネル部70等がそれぞれユニット化されたパネル部材により組み立てられる。また、これらパネル部が一体として構成される1つのパネル部材により前扉20を製造してもよい。
中央パネル部30には、硬質アクリル等の樹脂板からなる中パネル31が設けられる。その中パネル31の略中央には、3列の縦長矩形の透明部からなる表示窓32が形成される。この表示窓32を通して、筐体内部のリール40L、40C、40Rのそれぞれ横3列×縦3コマの合計9コマの図柄が視認可能とされている。
表示窓32には、リール40L、40C、40Rを横切る5本のラインが設定されている。この5本のラインは、水平方向の3本のライン(水平中段L1、水平上段L2A、水平下段L2B)と、斜め方向の2本のライン(斜め右下がりL3A、斜め右上がりL3B)とがある。詳細は後述するが、これらラインL1、L2A、L2B、L3A、L3Bのうち、当該遊技に賭けられる遊技媒体であるメダルの数(以下「ベット数」という。)に応じて入賞判定の基準となるライン(以下「有効ライン」という。)が選択される。有効ラインとして選択されたライン上に所定の組み合せの図柄が停止して表示されたとき、その図柄の組み合せに対応する役(例えばメダルを獲得できる小役や他の遊技状態への移行する移行役など)が成立することとなる。
中央パネル部30の中パネル31には、表示窓32の他に、遊技に関する各種情報を遊技者へ知らせるための各種ランプ及び表示器等が設けられている。
中パネル31には、例えば左端の表示窓32に隣接して、後述するAT状態で使用される3つの操作指示ランプ33L、33C、33Rが設けられる。これら操作指示ランプ33L、33C、33Rは、それぞれ後述するストップスイッチ56L、56C、56R及びリール40L、40C、40Rに対応している。このような操作指示ランプ33L、33C、33Rは、例えば、リール40L、40C、40Rが回転しているときに、いずれか1つの操作指示ランプが点灯することで、停止させるべきリールを遊技者に報知することができる。また、全てのリール40L、40C、40Rが回転中にいずれか2つの操作指示ランプを点灯させれば、停止させるべきリールが二者択一となり、どちらを停止すべきか遊技者の選択に任せて当てさせるような遊技も提供することができる。
また、中パネル31の下部には、3つのベット数表示ランプ34a、34b、34cと、クレジット数表示器35と、獲得枚数表示器36とが設けられる。
ベット数表示ランプ34a、34b、34cは、当該遊技に賭けられたメダルの枚数を表示するランプである。すなわち、1枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34aのみが点灯し、2枚のメダルが賭けられるとベット数表示ランプ34a及び34bが点灯し、3枚のメダルが賭けられると全てのベット数表示ランプ34a、34b及び34cが点灯する。
クレジット数表示器35は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、スロットマシン10にクレジット(内部貯留)されているメダルの枚数を表示する。なお、遊技者はスロットマシン10にクレジットされたメダルを自由に使用及び処分することができ、そのクレジット数が後述するメイン制御基板(100)のRAMで管理される。
獲得枚数表示器36は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、当該遊技において入賞が成立することにより遊技者に払い出されるメダルの枚数を表示する。なお、入賞によりメダルを払い出す態様としては、スロットマシン10の内部にクレジットする場合と、後述するメダル払出口71からメダルを直接放出する場合とがある。
中央パネル部30の下方に設けられる操作パネル部50は、その上面が若干傾斜する卓状面50aを有しており、その卓状面50aの右部に遊技者がスロットマシン10へメダルを投入するためのメダル投入口51が設けられる。このメダル投入口51の内部には、投入されたメダルを検出し、かつ、正規/非正規のメダルを振り分けるセレクタ(28)が設けられる。スロットマシン10は、このセレクタ(28)が出力する検出信号の回数を計測することで、投入されたメダルの枚数を認識する。
操作パネル部50の卓状面50aの左部には、遊技者がクレジットからメダルを賭ける指示をするための1−ベットスイッチ52及びマックスベットスイッチ54が設けられる。1−ベットスイッチ52が操作されると、スロットマシン10にクレジットされているメダルのうち1枚が遊技に賭けられる。マックスベットスイッチ54が操作されると、クレジットされているメダルのうち3枚が遊技に賭けられる。1−ベットスイッチ52又はマックスベットスイッチ54の操作によりメダルが賭けられると、その賭けられたメダルの枚数がクレジットから減算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も減算される。
なお、スロットマシン10にメダルが全く賭けられていない状態で遊技者がメダル投入口51からメダルを投入すると、そのメダルが投入されるごとにベット数表示ランプ34a、34b、34cが順次点灯し、それぞれの枚数に応じたメダルがスロットマシン10に賭けられる。そして、賭けられたメダルが規定枚数最多の3枚になると、それ以降メダルが投入されるごとにクレジットが加算され、これに伴ってクレジット数表示器35の表示値も加算される。
ここで、スロットマシン10に1枚のメダルが賭けられた遊技では、上述した5本のラインのうち、例えば中段のラインL1だけが入賞判定の基準となる有効ラインとして選択される。また、2枚のメダルが賭けられた遊技では、5本のラインのうち、例えば水平のラインL1、L2A、L2Bの3本が有効ラインとして選択される。また、最多の3枚のメダルが賭けられた遊技では、下段のラインL2Bを除く4本のラインL1、L2A、L3A、L3Bが有効ラインとして選択されて入賞判定がされる。なお、下段のラインL2Bを含め全てのラインを有効ラインとして選択する機種もある。このように、スロットマシン10の遊技では、賭けられるメダルの枚数が多いほど、有効ラインが増えるため、図柄を揃えることによる入賞の機会も増すこととなる。また、賭けたメダルの枚数に関わらず全てのラインL1、L2A、L2B、L3A、L3Bを有効にするとともに、メダルの数に応じて役の当選確率を異なるようにして入賞の機会を増やしてもよい。
操作パネル部50の正面の左部には、傾倒操作が可能な操作ノブを有するスタートスイッチ55が設けられる。遊技者がスロットマシン10にメダルを賭けた後、スタートスイッチ55を操作すると、全てのリール40L、40C、40Rが一斉に回転を開始する。これにより、各リール40L、40C、40Rの外周面に付された図柄が、表示窓32を通して上から下へと移動(スクロール)して表示される。
操作パネル部50の正面の中央部には、遊技者の押圧操作によってリール40L、40C、40Rの回転を停止させる操作(これを「停止操作」という。)をするための、3つのストップスイッチ56L、56C、56Rが設けられる。左端のストップスイッチ56Lは左端のリール(左リール)40Lに対応し、中央のストップスイッチ56Cは中央のリール(中リール)40Cに対応し、右端のストップスイッチ56Rは右端のリール(右リール)40Rに対応している。
すなわち、スロットマシン10は、スタートスイッチ55の傾倒操作により回転したリール40L、40C、40Rに対し、ストップスイッチ56Lが操作されるとリール40Lが停止し、ストップスイッチ56Cが操作されるとリール40Cが停止し、ストップスイッチ56Rが操作されるとリール40Rが停止するように構成されている。このようなリール40L、40C、40Rとストップスイッチ56L、56C、56Rとの対応関係は固定されており、かつ、それぞれ独立している。また、ストップスイッチ(例えば56L)の操作を契機にリール(40L)が停止するときには、規定される制御コマ数(停止操作の受け付け時に表示窓32を通過する図柄から数えて後続する例えば5コマ)以内の図柄が水平のラインL1、L2A、L2Bの定位置にそれぞれ必ず停止するように制御される。他の2つのリール(40C、40R)についてもストップスイッチ(56C、56R)の操作を契機に同様に規定制御コマ数以内で停止制御される。
なお、スタートスイッチ55の傾倒操作を契機にリール40L、40C、40Rの回転が開始してから定速回転(例えば、80回転/min)に達するまでは、ストップスイッチ56L、56C、56Rによるリール40L、40C、40Rへの停止操作は無効とされる。
中央パネル部30の上方に位置する上部パネル部60には、その中央部に例えばカラー液晶ディスプレイからなる画像表示装置61が設けられる。画像表示装置61は、例えば遊技の進行に応じて展開するアニメーションを演出画像として表示する。なお、スロットマシンに設けられる表示装置としては、画像表示装置61でなくても、例えばドットマトリクス式の表示装置であってもよい。また、遊技履歴や内部抽選結果の情報を文字や記号等で直接的に表示するものでもよく、そのような情報をコード化して表示するものでもよい。すなわち、表示装置として、用途や目的に適合したあらゆる方式の表示手段を用いることができる。
また、上部パネル部60には、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rが設けられる。上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rは、例えばリール40L、40C、40Rが停止していずれかの役が成立した場合において、その役に応じたパターンで点灯及び点滅することで、役の成立を視覚的に演出する。
また、上部パネル部60には、前扉20の背面側に配設されるスピーカ(21L、21R)からの出力音を外部に通す透音部64L、64Rが設けられる。例えば画像表示装置61が表示する動画の演出画像に伴って、ステレオの演出効果音が透音部64L、64Rを介して出力される。
中央パネル部30の下方に位置する下部パネル部70には、メダル払出口71と受け皿72とが設けられる。メダル払出口71は、スロットマシン10の筐体内のメダル払出装置(83)がメダルを受け皿72に放出する開口部として形成される。
また、下部パネル部70には、そのパネル部材の背面側に配設されるスピーカ(26L、26R)からの出力音を外部に通す透音孔73L、73Rが設けられる。例えば、遊技において何らかの役が成立したとき、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等の演出ランプの点灯や点滅に連動した効果音が透音孔73L、73Rを介して出力される。
[スロットマシンの内部構造]
図2は、前扉20を開いた状態でスロットマシン10の内部構造を示す図である。図2に示されるように、スロットマシン10は、矩形箱状の筐体80を備え、遊技中には前扉20によって筐体80が閉塞される。
筐体80内の水平フレームには、3つのリール40L、40C、40Rを回転可能に支持するリールユニット40が、前扉20の中央パネル部30に対向するように位置決めされて設けられる。リールユニット40において、各リール40L、40C、40Rは、その各回転軸が一つの水平直線に一致して設けられている。また、各リール40L、40C、40Rは、リールユニット40のフレームに固定されるステッピングモータ(41L、41C、41R)によって、それぞれ独立して回転駆動される。
各リール40L、40C、40Rの外周面には、その長手方向において等間隔に合計21コマの図柄を印刷したリールテープが巻回されて貼り付けられている。図3は、左リール40L、中リール40C及び右リール40Rに付される図柄の配列例を示す図である。1つのリールにおいて配列される図柄には、リールが回転する方向に沿って1ずつ増加する「0」〜「20」の図柄番号が割り当てられる。また、各図柄の種類ごとに種別コードが割り当てられる。そして、各リール40L、40C、40Rについて図柄番号と種別コードとが対応付けられた図柄番号テーブルが後述するメイン制御基板(100)のROMに記憶されている。
図3の実施例に示されるように、リールに配置される図柄としては、「ベル」、「スイカ」、数字の「7」及び「チェリー」などをモチーフとしたものが一般的に用いられる。しかし、これらの図柄のモチーフは伝統的に慣用されているものに過ぎず、スロットマシンの機種、テーマ、キャラクタ等に合わせて適宜選択することができる。
再び図2を参照し、筐体80内の底部には、スロットマシン10に搭載される種々の機器・装置に電源を供給する電源ユニット82と、複数枚のメダルを貯留可能なホッパーを備えるメダル払出装置83とが収容される。また、筐体80の背板上部に、メイン制御基板100が筐体80から脱着不能に固定される。メイン制御手段としてのメイン制御基板100は、スロットマシン10における主に遊技の進行を制御する。
前扉20の背面側には、その上段部に上述した透音部64L、64Rに対向するスピーカ21L、21Rを備える上パネルユニット22が設けられる。上パネルユニット22は、スピーカ21L、21Rの他に前面側の上述した画像表示装置61、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等を含めてユニット化されて構成される。また、上パネルユニット22の背面側には、サブ制御基板200が固定される。サブ制御手段としてのサブ制御基板200は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドに基づいて主に遊技の演出を制御する。
前扉20の背面側の中段部には、メダル投入口51から投入されたメダルの振り分け及び検出を行うセレクタ28が設けられる。セレクタ28の下方には、セレクタ28によって正規のものと判断されたメダルをメダル払出装置83のホッパーに導くシュート部24と、非正規のメダル又は異物と判断されたものを前面のメダル払出口71に導くメダル返却路25とが設けられる。また、前扉20の背面側の下段部には、上述した透音孔73L、73Rに対向するスピーカ26L、26Rがそれぞれ設けられる。
[メイン制御基板の構成]
次にスロットマシン10の遊技進行を制御するメイン制御基板100を説明する。図4は、本実施形態による、メイン制御基板100のシステム構成を示す回路ブロック図である。同図を参照し、メイン制御基板100は、CPU(中央処理装置)101と、ROM(読み取り専用の不揮発メモリ)102と、RAM(読み書き可能な作業用メモリ)103と、入力回路104と、表示器駆動回路109とが、バス(データ及び制御用のパラレルの信号ライン)105を介して相互に通信可能に接続される。CPU101は、バス105を介して入力される各種情報に応じながら、ROM102に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することで、スロットマシン10における全体的なシステム制御及び遊技結果に直接関係する遊技進行の制御を行う。
メイン制御基板100のROM102には、スロットマシン10の遊技に係るメイン制御プログラムの他に、例えば図3に示した図柄番号と種別コードとが対応付けられた図柄番号テーブル、役と図柄とを対応付けた役図柄テーブル、及び、各役の当選数値又は当選数値範囲を割り当てた役抽選テーブルなどのテーブルデータが記憶される。また、ROM102には、ストップスイッチ56L、56C、56Rの停止操作の順序(「操作停止順」又は単に「押し順」ともいう。)と、所定の小役及び再遊技役とストップスイッチ56L、56C、56Rの停止操作順とを対応付けた操作順テーブルのデータなども記憶される。
また、メイン制御基板100のRAM103(第1記憶手段)には、CPU101が上述したプログラムの処理を行う過程で参照する変数や各種フラグなどのデータが記憶される。例えば、RAM103には、上述したクレジット数の他に、当該遊技において賭けられたベット数、役の抽選のため取得した乱数値、表示窓32に停止した図柄の図柄番号、入賞により払い出されたメダルの枚数、特定の遊技状態における遊技回数などの変数データを一時的に記憶する変数メモリ領域が設定されている。また、RAM103には、内部抽選による結果を示す当選役フラグ、成立した役を示す成立役フラグ及び当該遊技の遊技状態を示すフラグなどのフラグ領域が設定されている。このようにメイン制御基板100のRAM103には、メイン制御基板100の遊技の作動状態に関連する情報を記憶し、その記憶内容には後述するRT状態などの現在の遊技状態及び役抽選手段(502)による遊技結果の情報も含まれる。
入力回路104のポートには、図1に示したスタートスイッチ55、ストップスイッチ56L、56C、56R、1−ベットスイッチ52及びマックスベットスイッチ54などのスイッチ類が接続される。そして、これらスイッチ類の操作状態を示す接点信号が入力回路104で受信されバス105を介してCPU101に入力される。また、表示器駆動回路109には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35及び獲得枚数表示器36等の表示器類が接続される。表示器駆動回路109は、1−ベットスイッチ52又はマックスベットスイッチ54等により賭けられたメダルのベット数に応じて、ベット数表示ランプ34a、34b、34cを点灯させる。また、RAM103に記憶されるクレジット数及び払い出されたメダルの枚数などの情報データが表示器駆動回路109でセグメントコードにコード化されて、クレジット数表示器35及び獲得枚数表示器36に表示される。
バス105には、また、モータ駆動制御回路106と、回転位置検出回路107と、乱数発生器108と、信号送信回路110とが接続される。
モータ駆動制御回路106は、各リール40L、40C、40Rを駆動するステッピングモータ41L、41C、41Rに対して駆動パルス信号をそれぞれ出力することで、各リール40L、40C、40Rの回転及び停止の動作を制御する。なお、本明細書では、リールの回転及び停止の制御を含めて「回転制御」という。
回転位置検出回路107は、リールユニット40に設けられるフォトセンサ42L、42C、42Rが各リール40L、40C、40Rの回転基準位置を検出して出力する基準位置信号を受信し、その受信した時点を基準にモータ駆動制御回路106が出力した駆動パルス信号のパルス数に基づいて現時点のリール40L、40C、40Rのそれぞれの回転位置を検出する。回転位置検出回路107により検出される各リール40L、40C、40Rの回転位置の情報は、RAM103のリール制御フラグに随時記憶更新され、CPU101により管理される。なお、各フォトセンサ42L、42C、42Rは、各リール40L、40C、40Rの外周部の例えば図柄番号「0」の位置に設けた遮光片がセンサを通過する時に光が遮光されて上述の基準位置信号を出力する。
乱数発生器108は、スタートスイッチ55が傾倒操作された時点で、例えば0〜65535(16bit)の範囲で乱数値を出力する。後述する役抽選手段(502)は、この乱数発生器108を含むものであり、役抽選テーブルを参照して、乱数発生器108から取得した乱数値が属する当選数値範囲に対応する役を当選役として選択する。なお、本実施形態のようにハードウエアの乱数発生器108によって乱数を発生させる代わりに、CPU101の演算処理による、いわゆるソフトウエア乱数処理により乱数値を取得してもよい。なお、メイン制御基板100の役抽選手段(502)により行われる抽選を本明細書では「役抽選」又は「内部抽選」という。
メイン制御基板100は、信号送信回路110を介して接続されるサブ制御基板200に対し、遊技状態や内部抽選結果等の各種コマンドを出力する。
[サブ制御基板の構成]
次にスロットマシン10の遊技演出を制御するサブ制御基板200を説明する。図5は、サブ制御基板200のシステム構成を示す回路ブロック図である。同図を参照し、サブ制御基板200は、CPU201と、ROM202と、RAM203とがバス205を介して相互に通信可能に接続される。また、バス205には、信号受信回路210、ランプ駆動回路206、スピーカ駆動回路207、表示制御回路208及び乱数発生器209が電気的に接続される。
サブ制御基板200のCPU201は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドや遊技進行に関する各種情報を信号受信回路210で受信し、これらコマンド等に応じてROM202に記憶されるプログラムに従って演算処理を実行することにより、スロットマシン10の主に遊技の演出の制御を行う。
ランプ駆動回路206には、図1に示された上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類が接続される。このランプ駆動回路206は、CPU201の制御下でこれらランプ類の点灯及び点滅の駆動を行う。また、スピーカ駆動回路207には、図2に示されたスピーカ21L、21R、26L、26Rが接続される。このスピーカ駆動回路207は、CPU201の制御下で、音声データメモリ207aからアナウンスや楽音等の音声データを読み取って音信号に変換・増幅し、その生成した音信号に基づいてスピーカ21L、21R、26L、26Rを鳴動させる。
表示制御回路208には、図1に示された画像表示装置61が接続される。この表示制御回路208は、CPU201の制御下で画像データメモリ208aから随時選択される画像データを読み取り、同期信号、輝度信号及び色信号を複合した映像信号を生成して、この映像信号に基づく動画像を画像表示装置61に表示させる制御を行う。
乱数発生器209は、CPU201の制御下で例えば0〜65535(16bit)の範囲で乱数値を出力する。サブ制御基板200の後述する演出抽選手段(610)は、この乱数発生器209を含むものである。ここで演出抽選手段(610)は、例えば、乱数発生器209で取得した乱数値に応じて演出抽選テーブルで参照される遊技演出の演出パターンを選択する。また、演出抽選手段(610)は、メイン制御基板100における内部抽選の結果を遊技者に報知するかしないかの抽選(役報知抽選)や、内部当選している役が成立するように停止操作をアシストするATを実行する権利の抽選(AT抽選)なども行う。更にはスロットマシン10の本来の遊技に付随して行われる、遊技者参加型の別遊技における勝敗判定などの抽選を行うこともできる。
なお、サブ制御基板200の演出抽選手段(610)は、本実施形態のようにハードウエアの乱数発生器209に代わって、CPU201の演算処理による、いわゆるソフトウエア乱数処理により抽選を行ってもよい。
サブ制御基板200のROM202には、CPU201が実行処理するプログラム及びその初期データの他に、上述した演出抽選において参照される演出抽選テーブルなどが記憶される。一方、RAM203(第2記憶手段)には、サブ制御基板200のCPU201がプログラムの処理を行う過程で参照する変数及びフラグためのメモリ領域が確保されている。すなわち、RAM203には、サブ制御基板200の作動状態に関連する情報が記憶される。また、後述する特典付特別遊技役(BB1役)の当選で付与されるATを実行するための実行権利及びその実行条件を含む情報もRAM203に記憶される。
[スロットマシンの遊技における役と遊技状態]
図6は、本実施形態のスロットマシン10の遊技における役と各役に対応する図柄の組み合せを例示する図である。このような役と図柄との対応関係はメイン制御基板100のROM102に記憶した役図柄テーブルで管理される。スロットマシン10の役は、後述する役抽選手段(502)による当選を前提に対応する図柄が有効ラインに表示されたときに成立する。本明細書では後述する役抽選手段(502)による抽選を「役抽選」又は「内部抽選」と称する。また、役抽選手段(502)によって役が当選し成立するまでの当選状態を、「内部当選中」又は単に「当選中」と称する。後述する特別遊技役(BB役、RB役)などは、当選状態を複数遊技にわたり持ち越すことができるため、「内部当選中」又は「当選中」という場合には、複数遊技で持ち越された「当選状態」も含まれる。
図6に示される、スロットマシン10の遊技に関する役には、遊技者が賭けたメダルよりも多くのメダルを獲得できる「小役」、メダルを賭けることをなく次の遊技が行える「再遊技役(リプレイ役)」、遊技者にとって有利な遊技を提供する「特別遊技役(RB役、BB役)」などがある。
本実施形態によるスロットマシン10には、「小役」として、払い出されるメダルの枚数がそれぞれ異なる「小役1」(配当2枚)、「小役2」(配当4枚)及び「小役3」(配当5枚)が備えられる。また、小役2は、同時当選する複数の「小役2a」、「小役2b」及び「小役2c」を含んでいる。後述するAT状態では、サブ制御基板200のAT実行手段(620)が、例えば小役2aの図柄を所定の有効ラインに停止させるために最初に停止すべきリール40L、40C、40Rはどれか操作指示ランプ33L、33C、33Rの何れかを点灯して報知する。
また、本実施形態では「再遊技役」として、同時当選する複数の「再遊技役a」、「再遊技役b」、「再遊技役c」、「再遊技役d」及び「再遊技役e」が備えられる。
また、「特別遊技役」は遊技者にとって特に有利な遊技である「特別遊技」に遊技を移行させる役である。なお、本明細書では、特別遊技以外の遊技を「一般遊技」と称している。
本実施形態による特別遊技役としては、「SB(シングルボーナス)遊技」に移行させる「SB役」、「RB(レギュラーボーナス)遊技」に移行させる「RB役」及び「BB(ビッグボーナス)遊技」に移行させる「BB役」とがある。SB遊技は、一般遊技よりも高い確率で特定の小役が当選する高確率遊技をいう。RB遊技は、このような高確率遊技が複数回連続する遊技状態のことであり、所定遊技回数(例えば12遊技)消化するか、又は小役が所定回数(例えば8回)入賞するまで継続する遊技状態をいう。BB遊技は、その一般遊技中に特定の小役とともに上述のRB役が高い確率で当選し、所定の最大払出枚数(例えば480枚)のメダルの払い出しが終了するまで継続する遊技状態をいう。
更に本実施形態のスロットマシン10には、特別遊技役であるBB役が複数種類備えられる。BB役の1つの例である「BB1役」は、その成立によりBB1遊技に移行させるとともに、役抽選手段(502)により当選した時点でATなどの特典の実行権利を遊技者に付与する役でもある。特別遊技役の成立と同時に当該役に対応する特典の実行権利が確定する役もある。ここで「特典の実行権利」とは、スロットマシンにおいて実行される特典の種類、開始条件及び終了条件などの実行条件を内容とする権利のことをいう。「特典の実行権利を遊技者に付与する」とは、「特典の実行権利が確定する」ことと同じ意味であり、遊技者の立場では「特典の実行権利を獲得する」ということになる。特典の実行権利が確定すると、その権利内容に定められる開始条件の成立により当該特典が実行される。
本実施形態では、BB1役の当選により実行権利が付与される特典を「AT」とし、そのATが実行された状態を「AT状態」という。一方、ATが実行されていない状態を「非AT状態」という。AT状態では、役抽選手段(502)が抽選した例えば小役2などの所定の当選役が成立するように、サブ制御基板200のAT実行手段(620)が操作指示ランプ33L、33C、33Rや画像表示装置61などを用いてリール40L、40C、40Rの第1停止スイッチ又は停止操作順や狙うべき図柄や絵柄などを遊技者に報知する。
メイン制御基板100の役抽選手段(502)による当選などに基づいて特典の実行権利が付与される、BB1役やBB2役などの特別遊技役を特に本明細書では「特典付特別遊技役」と称している。BB1役やBB2役のような特典付特別遊技役を複数種類設け、その役の種類に応じて特典の種類やその実行条件を異なるようにしてもよい。なお、特典付特別遊技役のうちBB2役は、役抽選手段(502)による当選時には特典の実行権利は確定しない。しかし、例えばBB2役が当選中に、サブ制御基板200の演出抽選手段(610)がATを当選した場合、当該ATに対応する実行権利が確定する。また、BB1役又はBB2役の図柄が揃い、これらの特典付特別遊技役が成立したのと同時に対応するAT特典の実行権利を再設定してもよい。
なお、ATなどの特典の開始条件としては、特別遊技(BB1、BB2など)状態が終了後に継続して、又は、特別遊技状態が終了後に一般遊技が所定回数経過した後などのように任意に定めることができる。
図7(a)は、本実施形態によるスロットマシン10のメイン制御基板100が制御する遊技状態の遷移例であり、図7(b)は、サブ制御基板200が制御する演出状態の遷移例である。
図7(a)を参照し、スロットマシン10の遊技状態は、上述したように大まかには、「一般遊技」状態か、RB役やBB役などが成立した「特別遊技」状態かに分けられる。そして、再遊技役(リプレイ役)の当選確率の相違という視点で分けた場合、一般遊技状態においては、少なくとも更に3つの再遊技役確率変動遊技状態(これを「RT状態」という。)が存在する。すなわち、一般遊技状態の遊技は、再遊技役の当選確率が比較的低い「RT0」状態か、再遊技役の当選確率が比較的高い「RT1」状態か、又はこれらRT0、RT1状態とは再遊技役の当選確率が異なる「RT2」状態かの何れかのRT状態に属している。なお、再遊技役の当選確率が異なるRT状態をこれら以外にも複数種類設けてもよい。
図7(a)の実施形態によれば、RT0状態において特定の図柄役である例えば再遊技役bが成立したときには、高確率のRT1状態に遷移する。また、RT1状態において特定の図柄役である例えば再遊技役cが成立したときにはRT0状態に遷移する。その一方で、一般遊技状態(RT0及びRT1の何れの状態であってもよい)でBB役などの特別遊技役が内部当選した場合は、更に再遊技役の当選確率が異なるRT2状態に遷移することとなる。
なお、図示はしないが、RT0状態から遷移する内部当選中のRT2状態と、RT1状態から遷移する内部当選中のRT2状態とを、再遊技役の当選確率が更に異なる別のRT状態として区別してもよい。また、再遊技役の当選確率が比較的高いRT1状態から当選確率が比較的低いRT0状態への遷移条件を所定遊技回数経過後のように有限条件としてもよい。更に、図7(a)の実施形態に別のRT状態を追加したり、特定図柄の表示や特定役の取りこぼしをRT状態の遷移条件に加えたりするなどの変更を任意にしてもよい。
また、スロットマシン10の演出状態という視点で捉えると、進行中の遊技状態は、図7(b)に示される非AT状態又はAT状態の何れかの演出状態に属することとなる。図7(b)の実施形態によれば、例えばサブ制御基板200の演出抽選手段(610)がATを当選すると、その当選したATに対応する開始条件の成立によりAT状態に遷移する。本実施形態では、上述したBB1役の当選に基づいてAT特典の実行権利が確定した場合に、当該BB1遊技の終了をもってAT状態に遷移する。なお、ATの開始条件を設けずにAT当選と同時にAT状態に遷移するものでもよい。
図7(b)の実施形態によれば、AT状態における遊技が所定回数消化されたときにAT状態が終了して非AT状態に遷移する。AT状態が継続する遊技回数としては、例えば30遊技を1セットとすることができる。また、AT当選による実行権利をストックして、そのストックしたセット回数だけAT状態を継続させてもよい。AT状態中に演出抽選手段(610)がATの抽選を行ってもよい。AT状態中にATが当選すれば、引続きもう1セット(例えば30遊技)のAT遊技状態が継続する。
なお、上述したBB1役やBB2役の当選に基づいて付与されるAT特典の実行権利の内容には前記1セットの遊技回数が含まれる。またAT特典の実行権利の内容に当該セットのストック数(AT状態が継続するセット回数)を含めてもよい。更にATが1セット終了後に継続してATをもう1セット実行する確率(これを「AT継続率」という。)をAT特典の実行権利の内容に含めてもよい。なお、「AT特典の実行権利が付与される」とは、サブ制御基板200のRAM203のATセット数変数653、AT遊技回数カウンタ654及びAT継続率設定値変数655などのパラメータに具体的な値が記憶されることを意味する。
[スロットマシンの制御手段及びその動作]
次に、本実施形態によるスロットマシン10に備えられる制御手段及びその動作を説明する。ここで、図8は、スロットマシン10における制御手段の概要を示すブロック図である。
スロットマシン10における全体の制御は、上述したメイン制御基板100とサブ制御基板200とに備えられる各制御手段の連携によりなされる。図8で参照される各制御手段は、メイン制御基板100のCPU101及びサブ制御基板200のCPU201が演算処理を行うことにより実現されるが、これらの一部をハードウエアで構成することもできる。
(遊技制御手段)
はじめに、メイン制御手段としてのメイン制御基板100に備えられる遊技制御手段500は、次に説明する各制御手段を統括して、スロットマシン10で行われる遊技の進行を制御する。遊技制御手段500は、サブルーチンを呼び出すことで生成される、賭枚数設定手段501と、役抽選手段502と、リール回転制御手段503と、入賞判定手段504と、メダル払出制御手段505と、更新処理手段506とを含む。
図9は、スロットマシン10で行われる単位遊技に対応させたフローチャートであり、遊技制御手段500が実行する遊技制御処理の流れを示している。
(賭枚数設定手段)
遊技開始の待機状態では、賭枚数設定手段501が起動する(ステップS10)。ここで、遊技開始の待機状態とは、リール40L、40C、40Rが停止して入賞判定がされた後であって、次のベット操作待ちの状態をいう。図10は、賭枚数設定手段501による賭枚数設定処理を示すフローチャートである。
図10を参照し、賭枚数設定手段501は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグ582が設定されているか否か判断する(ステップS101)。再遊技役に係る成立役フラグ582がオンに設定されている場合(ステップS101:YES)、成立役フラグ582をオフにクリアして(ステップS102)、以降の遊技処理に進む。なお、再遊技役に係る成立役フラグ582は、後述する入賞判定手段504が前回の遊技で再遊技役の成立を判定している場合にオンに設定される(図18のステップS166)。これにより、再遊技役が成立した遊技においては、前回の遊技で賭けたメダルによる再遊技が可能となる。
賭枚数設定手段501は、当該遊技において再遊技役に係る成立役フラグ582が設定されておらず(ステップS101:NO)、1−ベットスイッチ52の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットがある場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数552から「1」を減算する(ステップS105)。そして、ベット数変数561には「1」を加算する(ステップS107)。
また、遊技開始の待機状態で、セレクタ28が正規のメダルの投入を検知したときには(ステップS106:YES)、その投入されたメダルを検知するごとにベット数変数561を加算する(ステップS107)。そして、メダルの賭け枚数が遊技者が望む任意の規定数(最大で「3」)になるまで(ステップS108:YES)、ベット数変数561を加算する(ステップS107)。
また、賭枚数設定手段501は、マックスベットスイッチ54の操作を検知すると(ステップS103:YES)、クレジットがある場合に(ステップS104:YES)、クレジット数変数552から「3」を減算し(ステップS105)、ベット数変数561を「3」に設定する(ステップS107)。
遊技制御手段500は、最終的に賭けられたメダルの規定数に応じて有効ラインを設定する。すなわち、ベット数変数561の値(ベット数)が「1」のときには、1本のラインL1を有効ラインとして設定し、ベット数が「2」のときには、3本のラインL1、L2A、L2Bを有効ラインとして設定し、ベット数が「3」のときには、4本のラインL1、L2A、L3A、L3Bを有効ラインとして設定する。
再び図9を参照し、遊技制御手段500は、メダルの賭け枚数が規定数に達した状態でスタートスイッチ55が傾倒操作されオンを検知すると(ステップS11:YES)、コマンド送信手段510が回転開始コマンドをサブ制御基板200に送信する(ステップS12)。
(役抽選手段)
次に役抽選手段502を説明する。役抽選手段502は、スタートスイッチ55の操作を契機とする遊技制御処理のステップS13(図9参照)において、乱数発生器108から取得した乱数値に基づく役のテーブル抽選を行う。
役抽選手段502が一般遊技(例えばRT0状態)において役の当選/非選の判定のために参照する典型的な役抽選テーブルの一例を図11に示す。図11の実施形態によれば、乱数発生器108から取得した乱数値が再遊技役の当選数値範囲(抽選結果番号9〜14)に属する場合には、その当選数値範囲に対応する再遊技役が当選となる。また、乱数値が小役の当選数値範囲(抽選結果番号4〜8)に属する場合には、その当選数値範囲に対応する小役が当選となる。同様に、乱数値がRB役の当選数値範囲(抽選結果番号3)に属する場合には当該RB役が当選となり、BB役の当選数値範囲(抽選結果番号1〜2)に属する場合には当該BB役が当選となる。
なお、図11は、再遊技役の当選確率が約1/7.3であるRT0状態の役抽選テーブルを示す例であり、RT状態が遷移した一般遊技(例えばRT1、RT2状態など)や特別遊技状態では別の抽選確率の役抽選テーブルが用いられる。
また、役抽選手段502は、以下のようにして停止操作順の抽選も行う。図12は、小役と停止操作順との関連付けを例示する図である。また、図13は、再遊技役と停止操作順との関連付けを例示する図である。図11には詳細に図示していないが、小役2の当選数値範囲(抽選結果番号5〜7)には、同時当選する小役2a、小役2b及び小役2cからなる複数の組み合せがそれぞれ対応付けされている。同様に、再遊技役の当選数値範囲(抽選結果番号9〜14)には同時当選する再遊技役a、再遊技役b、再遊技役c、再遊技役d及び再遊技役eからなる複数の再遊技役の組み合せが対応付けされている。
例えば、役抽選手段502による乱数抽選で抽選結果番号6の結果であれば、内部的には小役2a及び2cが同時当選する。この場合、第1停止操作が中(ストップスイッチ56C)を押し順正解と設定され、第1停止操作が左又は右(ストップスイッチ56L、56R))を押し順不正解と設定される。ここで、5本のラインL1、L2A、L2B、L3A、L3Bが有効ラインに設定された場合には、後述するリール回転制御手段503は、次に説明するように図柄を引き込み制御する。前記抽選結果番号6の当選で最初に中のストップスイッチ56Cが操作されたときには(押し順正解)、対応する中リール40Cの「ベル」図柄を中段の有効ラインL1に引き込んで小役2aを入賞させる。この場合、小役2aの配当4枚×3ラインにより合計12枚のメダルが払い出される。他方、最初に左(ストップスイッチ56L)又は右(ストップスイッチ56R)が操作された場合には(押し順不正解)、リール回転制御手段503は、「ベル」図柄を上段の有効ラインL2Aに引き込む。これにより、配当4枚×1ラインの合計4枚のメダルが払い出されるが、押し順正解の場合に比較して獲得するメダルの枚数が少なくなる。
また、図13で示されるように、例えば役抽選手段502による乱数抽選で抽選結果番号9の結果であれば、再遊技a、b及びcが同時当選する。この場合、再遊技役bを成立させるための押し順は、操作順1(左→中→右)となる。なお、再遊技役bは、図7(a)に示した高確率の再遊技役確率変動遊技状態であるRT1への遷移契機となり得る特定図柄役でもある。また、図7の実施形態で示したRT1の一般遊技状態では、図示はしないが、再遊技役a又はcの図柄を引き込む押し順が対応付けられた役抽選テーブルが用いられ、遊技者の操作によってはRT1からRT0への遷移契機となる再遊技役cの図柄が表示される場合もある。
図14は、役抽選手段502による役抽選処理(図9の遊技制御処理におけるステップS13の詳細)を示すフローチャートである。図14に示される処理において、役抽選手段502は、例えばスタートスイッチ55のオンスイッチ信号の立下りのタイミングで乱数発生器108が示す乱数値を取得し(ステップS131)、取得した乱数値をRAM103の乱数値変数562に記憶させる。ここで、乱数発生器108は、クロック動作する例えば16bitのインクリメントカウンタからなり、「0」〜「65535」のいずれかの数値を出力する。
そして、役抽選手段502は、ROM102に記憶された役抽選テーブルを参照して、取得した乱数値が属する当選数値範囲に対応する役を当選役として選択する。すなわち、取得した乱数値が小役の当選数値範囲に属する場合は小役の当選を判定し(ステップS132:YES)、当選した小役に係る当選役フラグ581をオンに設定する(ステップS133)。なお、当選役フラグ581は、内部当選中の役の種類を記憶するフラグであり、役抽選手段502による当選によりオンに設定され、当該役の成立(入賞)によりオフにクリアされる。
また、役抽選手段502は、取得した乱数値が再遊技役の当選数値範囲に属する場合は(ステップS135:YES)、当選した再遊技役に係る当選役フラグ581をオンに設定する(ステップS136)。
役抽選手段502は、取得した乱数値がBB役の当選数値範囲に属する場合はBB役の当選を判定し(ステップS138:YES)、当選したBB役に係る当選役フラグ581をオンに設定する(ステップS139)。同様に、RB役の当選を判定した場合は(ステップS140:YES)、RB役に係る当選役フラグ581をオンに設定する(ステップS141)。
図9で参照される遊技制御処理のステップS14において、コマンド送信手段510は、役抽選手段502による役抽選の結果(役と停止操作順との関連付けを含む)を示す役抽選結果コマンドをサブ制御基板200に送信する。
(リール回転制御手段)
次に、リール回転制御手段503を説明する。遊技制御処理のステップS15(図9参照)において、リール回転制御手段503は、スタートスイッチ55及びストップスイッチ56L、56C、56Rからの指示に応じてリール40L、40C、40Rの回転及び停止の制御をする。ここで、図15は、リール回転制御手段503によるリール回転制御処理を示すフローチャートである。
リール回転制御手段503は、当該遊技にメダルが賭けられた状態でスタートスイッチ55の傾倒操作を検知した時、モータ駆動制御回路106がステッピングモータ41L、41C、41Rに対して駆動パルス信号を出力することで、各リール40L、40C、40Rを一斉に回転させる加速制御を行う(ステップS151)。そして、リール回転制御手段503は、各リール40L、40C、40Rの回転数が例えば80回転/minとなったとき(ステップS152:YES)、回転位置検出回路107を介して各リール40L、40C、40Rの回転状態を検出しながら、その回転数で定速制御する(ステップS152)。
リール回転制御手段503は、リール40L、40C、40Rが定速で回転制御され(ステップS152:YES)、何れかのストップスイッチ56L、56C、56Rから停止操作信号を検出したとき(ステップS153:YES)、その停止操作を示す回転停止コマンドをコマンド送信手段510によりサブ制御基板200へ送信する(ステップS154)。そして、リール回転制御手段503は、その停止操作に対応するリール40L、40C、40Rを所定時間(例えば190msec)以内で、かつ、規定される制御コマ数(例えば5コマ)以内の図柄を滑らせて有効ラインに停止させる図柄停止制御をモータ駆動制御回路106を介して行う(ステップS155)。
リール回転制御手段503は、全てのリール40L、40C、40Rが停止するまで(ステップS156:YES)、ストップスイッチ56L、56C、56Rの停止操作に対応するリールを停止させる、ステップS153〜S155の制御を行う。そして、全てのリール40L、40C、40Rの停止を検出すると(ステップS156:YES)、処理を遊技制御手段500に返す。
図15に示したステップS155の図柄停止制御において、詳細にはリール回転制御手段503は、表示窓32のラインL1に停止させるべき図柄を事前に決定する。例えば中央のリール40Lが定速回転中にストップスイッチ56Lの押圧操作を検知したとき、中段のラインL1を通過している図柄の図柄番号Xを取得する。この場合、ラインL1を通過中の図柄から後続する5コマの図柄番号X+1、X+2、X+3、X+4、X+5の各図柄がラインL1へ停止すべき候補として認識される。リール回転制御手段503は、ROM102の図柄番号テーブルと、役図柄テーブルと、内部抽選の結果を記憶する当選役フラグ581とを参照し、いずれかの役に当選している場合にはその役に対応する図柄が図柄番号X〜X+5の図柄の中に存在するか調べる。役に対応する図柄が存在すれば、その図柄をラインL1上に停止させる「引き込み制御」の対象として決定する。
ここで、図16(a)、(b)は、引き込み制御の動作例を説明するための図である。リール回転制御手段503は、役抽選手段502による抽選結果に応じて、RAM103の停止制御フラグ563を設定する。停止制御フラグ563は、例えば図16に示されるように、図柄番号ごとに滑りコマ数が対応付けられたフラグ配列からなり、各リール40L、40C、40Rそれぞれについて設けられる。
例えば「ベル」の図柄に対応する小役が内部当選した場合であって、押し順が関連付けられている場合、押し順が正解のときに中央のラインL1(有効ライン)に引き込み制御させるべき図柄は「ベル」である。リール回転制御手段503は、停止制御フラグ563の図柄番号のそれぞれについて、当該図柄番号の位置からリールの回転方向において最初に配置される「ベル」の図柄までのコマ数差を滑りコマ数として停止制御フラグ563に設定する。この停止制御フラグ563は、役の抽選時及び他のリールが停止して表示される図柄の種類に応じて随時設定され、その元のデータが予めROM102に記憶されている。
図16(a)には、「ベル」の図柄に対応する小役2aが内部当選し、押し順が正解のときに設定される、中リール40Cについての停止制御フラグ563が示される。なお、この例で「ベル」の図柄は、中リール40Cにおいて5コマ以内の間隔で配置されることから、どの停止操作のタイミングでも確実に有効ラインに停止できる、いわゆる取りこぼしのない図柄である。また、図16(b)には、押し順が不正解のときに設定される停止制御フラグ563が示される。
「ベル」の小役2aが内部当選し、例えば図柄番号「13」の「リプレイ」図柄が中段のラインL1を通過中に、上述の役抽選手段502により関連付けられた正しい押し順でストップスイッチ56Cの停止操作を受け付けると、図16(a)に示されるように押し順正解の停止制御フラグ563が設定される。リール回転制御手段503は、設定された停止制御フラグ563を参照して、図柄番号「13」に対応する滑りコマ数「3」を加えた図柄番号「16」の「ベル」図柄を3本の有効ラインが交差する中段のラインL1への引き込み制御の対象として決定する。そして、リール回転制御手段503は、図柄番号「16」の「ベル」図柄がラインL1に表示されるようにリール40Cを停止制御する。「ベル」に係る小役2aが中段の有効ライン(ラインL1)で入賞することにより、遊技者は、配当4枚×3ラインの合計12枚のメダルを獲得することができる。
また、例えば図柄番号「13」の「リプレイ」図柄が中段のラインL1を通過中に、不正解の押し順でストップスイッチ56Cが停止操作されると、図16(b)に示されるように押し順不正解の停止制御フラグ563が設定される。この場合には、図柄番号「16」の「ベル」図柄が上段の1本の有効ライン(ラインL2A)に引き込まれるように制御される。このように押し順が不正解のときは、小役2aに係る「ベル」図柄が上段の有効ライン(ラインL2A)に停止することにより、遊技者は配当4枚×1ラインの合計4枚のメダルしか獲得できないこととなる。
図15に示されたステップS155の図柄停止制御において、当選役フラグ581が示す当選している役に対応する図柄が図柄番号X〜X+5のなかに存在せず、又は、当選役フラグ581がいずれの役も示さないハズレの場合には、当該リール40Lの図柄番号X〜X+5の中の役成立に関わる図柄(例えば小役1の「チェリー」などの単独入賞図柄を含む)が有効ライン上に表示されないように制御される。この場合、リール回転制御手段503は、他のリール40L、40Rがもし既に停止していれば、その有効ラインに表示された他のリールの図柄との関係(リーチ表示態様等)も考慮する。このように、役成立に関わる図柄を有効ラインから外して停止させる制御を「蹴飛ばし制御」という。
図17(a)、(b)は、リール回転制御手段503による蹴飛ばし制御の動作例を説明するための図である。本実施形態において、例えば中リール40Cの「ベル」の図柄が有効ラインに停止すると小役2aが入賞することとなるため(図6参照)、役抽選がハズレの場合には、中リール40Cの「ベル」の図柄を有効ライン上に表示されないようにする必要がある。例えばスロットマシン10の有効ラインが5本に設定される場合、リール回転制御手段503は、図17(a)に示される停止制御フラグ563の図柄番号それぞれについて、当該図柄番号の位置からリールの回転方向において最初に配置される「ベル」の図柄が表示窓32の枠から外れる位置までのコマ数差を滑りコマ数として停止制御フラグ563に設定する。
図17(a)の例において、リール回転制御手段503は、例えば図柄番号「14」の「スイカ」図柄がラインL1を通過中にストップスイッチ56Cの停止操作を受け付けると、停止制御フラグ563を参照して、図柄番号「14」に滑りコマ数「4」を加えた図柄番号「18」の「チェリー」図柄を中段のラインL1に停止させるべき図柄として決定する。このとき、停止図柄フラグには、図柄番号「18」の値が設定される。そして、リール回転制御手段503は、上述した方法でリール40Cを停止させ、図柄番号「18」の「チェリー」図柄を中段のラインL1に表示させる。このとき、入賞に関係する「ベル」図柄(図柄番号「16」)は、表示窓32を通過した位置に停止するため、所定の有効ライン上から外れることとなる。
また、有効ラインが下段のラインL2Bを除く4本に設定される場合においては、中リール40Cについて図17(b)に示される停止制御フラグ563が設定される。例えば図柄番号「14」の「スイカ」図柄が中段のラインL1を通過中にストップスイッチ56Cが停止操作されると、図柄番号「16」の「ベル」図柄が下段のラインL2B(無効ライン)に引き込まれるように制御される。このとき、入賞に関係する「ベル」図柄(図柄番号「16」)は、下段の無効ライン(ラインL2B)に停止するため、所定の有効ライン上から外れることとなる。
(入賞判定手段)
次に、入賞判定手段504を説明する。入賞判定手段504は、遊技制御処理のステップS16(図9参照)において、全てのリール40L、40C、40Rが停止したときに起動される。図18は、入賞判定手段504による入賞判定処理を示すフローチャートである。
入賞判定手段504は、始めにRAM103で管理される全ての役についての成立役フラグ582をクリアしてイニシャライズする(ステップS161)。続いて入賞判定手段504は、各リール40L、40C、40RについてRAM103のリール制御フラグを参照して、有効ラインに表示された図柄を認識する(ステップS162)。なお、入賞判定手段504は、リールの回転基準位置から送出した駆動パルス信号のパルス数の積算値に基づいて有効ライン上の図柄を認識してもよい。
また、入賞判定手段504は、役図柄テーブルを参照して、有効ラインに沿って表示されたリール40L、40C、40Rの図柄の組み合せが何れかの役に対応する組み合せと一致するか否か調べる。入賞判定手段504は、図柄の表示態様がいずれかの役に対応する図柄の組み合せと一致する場合、当該対応する役が成立(入賞)したと判定する。
入賞判定手段504は、例えば小役が成立したと判定したとき(ステップS163:YES)、当該小役に係る成立役フラグ582をオンに設定する(ステップS164)。また、再遊技役が成立したと判定したとき(ステップS165:YES)、当該再遊技役に係る成立役フラグ582をオンに設定する(ステップS166)。入賞判定手段504は、例えばBB役が成立したと判定したときには(ステップS167:YES)、BB役に係る成立役フラグ582をオンに設定するとともに(ステップS168)、BB状態フラグ585をオンに設定する(ステップS169)。同様に、RB役が成立したと判定したときには(ステップS170:YES)、RB役に係る成立役フラグ582をオンに設定するとともに(ステップS171)、RB状態フラグ584をオンに設定する(ステップS172)。
入賞判定手段504は、小役、再遊技役(リプレイ役)又は特別遊技役(BB役、RB役)のうちの何れかの役が成立したと判断すると、成立した当該役の当選役フラグ581をクリアする(ステップS173)。その一方で、特別遊技役以外の当選を持ち越しできない小役、再遊技役又は特定図柄役などが内部当選していた遊技で、これらの役を取りこぼしたときには、その当選役フラグ581をクリアする(ステップS174)。
入賞判定手段504による入賞判定の結果の情報は、コマンド送信手段510により賞判定結果コマンドとしてサブ制御基板200に送信される(図9のステップS17)。
(メダル払出制御手段)
次に、図9に示した遊技制御処理のステップS18において、入賞判定手段504が例えば小役の入賞を判定したときにはメダル払出制御手段505が起動される。ここで、図19は、メダル払出制御手段505によるメダル払出制御処理を示すフローチャートである。
小役の入賞時に遊技者へ配当されるメダルの払い出し方法は、クレジットとして内部貯留する場合と、メダル払出口71からメダルを受け皿72に払い出す場合とがある。本実施形態によるスロットマシン10では、クレジットへの内部貯留が優先される。すなわち、通常は払い出される枚数のメダルがクレジットに加算されるが、加算されるクレジットが所定の上限(例えば50枚)を超えるときには、その超える枚数分のメダルがメダル払出口71から放出される。
メダル払出制御手段505は、小役が入賞したとき、その入賞した小役に対応する配当数に図柄が揃った有効ラインの数を乗算したメダルの払出枚数をRAM103の払出数カウンタ571(以下「PCNT」)に設定する(ステップS181)。ステップS182においてPCNTがゼロ以上、すなわち払い出しがある場合(ステップS182:YES)、クレジット数変数552が50枚の上限(満杯)か否か判断する(ステップS183)。
クレジット数変数552が満杯のとき(ステップS183:YES)、メダル払出制御手段505はメダル払出装置83を作動して、メダルを1枚放出させる(ステップS184)。そして、PCNTを「1」だけ減算し(ステップS186)、ステップS182の処理に戻る。クレジット数変数552が満杯でないとき(ステップS183:NO)、メダル払出制御手段505は、クレジット数変数552を「1」加算し(ステップS185)、PCNTを「1」だけ減算して(ステップS186)、ステップS182の処理に戻る。メダル払出制御手段505は、このようにメダルを1枚ずつ払い出すステップS182〜S186処理をPCNTがゼロになるまで繰り返す。
(更新処理手段)
次に、更新処理手段506を説明する。更新処理手段506は、当該遊技制御処理におけるステップS19(図9参照)において、次の遊技への移行を含む更新処理を行う。ここで、図20は、更新処理手段506による処理を示すフローチャートである。
更新処理手段506は、BB遊技に係るBB状態フラグ585がオンのとき(ステップS191:YES)、当該遊技において入賞により払い出されたメダルの枚数を払出総数カウンタ574(以下「DCNT」)に加算して積算する(ステップS192)。そして、DCNTが、BB遊技の終了条件である最大払出枚数に相当する例えば480枚を超える場合に(ステップS193:YES)、BB遊技に係るBB状態フラグ585をオフにし(ステップS194)、DCNTをクリアする(ステップS195)。
更新処理手段506は、RB遊技に係るRB状態フラグ584がオンのときには(ステップS196:YES)、遊技回数カウンタ572(以下「GCNT」)に「1」を加算する(ステップS197)。また、当該遊技において小役が成立しその成立役フラグ582がオンのときには(ステップS198:YES)、小役入賞回数カウンタ573(以下「WCNT」)に「1」を加算する(ステップS199)。
更新処理手段506は、RB遊技の回数に相当するGCNTが例えば12遊技を超える場合、又は、小役の成立回数に相当するWCNTが例えば8回を超える場合に(ステップS200:YES)、RB状態フラグ584をオフにし(ステップS201)、GCNT及びWCNTをクリアする(ステップS202)。
更新処理手段506は、遊技状態に係るフラグを参照して上述したRT0〜RT2又は一般遊技と特別遊技間で遊技状態が変更された場合には(ステップS203:YES)、その変更された遊技状態に応じた役抽選テーブルをROM102から読み出して、役抽選手段502に設定する(ステップS204)。
(電断復帰手段)
次に、図8に示したメイン制御基板100に備えられる電断第1復帰手段520とサブ制御基板200に備えられる電断第2復帰手段630とを説明する。スロットマシン10では、電断前の作動状態が電源投入後に原則としてそのまま再現される。図21は、メイン制御基板100及びサブ制御基板200の電断前後の作動状態の例を表で示す図である。
スロットマシン10のメインの電源のスイッチを遮断したときのシャットダウン処理において、メイン制御基板100の電断第1復帰手段520は、メイン制御基板100のCPU101のレジスタの記憶内容とともに、図21の左表に示されるRAM103のパラメータ値をメイン側のスタック領域に退避させる。同様にサブ制御基板200の電断第2復帰手段630は、サブ制御基板200のCPU201のレジスタの記憶内容と、図21の右表に示されるRAM203の内容をサブ側のスタック領域に退避させる。メイン側及びサブ側のスタック領域は、バックアップ電源により長期的に記憶内容が保持される記憶領域に設けられる。このようなスタック領域をフラッシュメモリ等の保持電源を要しない不揮発性メモリに設けてもよい。
電断第1復帰手段520及び電断第2復帰手段630は、スロットマシン10への電源投入時の処理において、スタック領域の記憶内容を電源投入前のそれぞれのアドレスに復帰させる。これにより、図21に示されるように、メイン制御基板100では、役の抽選確率に対応した設定値やクレジット数などのシステム変数、ベット数や抽選用の乱数値などのテンポラリ変数、当選役フラグやRT状態フラグなどの遊技状態に関するフラグなど電断前の遊技情報が全て維持される。また、サブ制御基板200では、演出パターン変数やAT状態フラグなどの演出状態、及び、電断前に存在していたAT特典の実行権利(つまりATセット数変数653の値が1以上の場合)が全て維持される。これにより、電断前と同じ状況が電源投入後に再現され、同じ条件で遊技が継続する。
他の実施形態では、電断前のRAM103、203の記憶内容が電断中においてもバックアップ電源等により電断時の状態で保持される。この実施形態の場合でも図21に示したように各メモリの記憶内容が電断前後で維持されるので、メイン制御基板100及びサブ制御基板200は、電断時の遊技状態をそのまま継続して遊技及び演出制御を再開することができる。
(設定変更手段)
次に、図8に示した、役の抽選確率に対応した設定値を変更するための設定変更手段530を説明する。メイン制御基板100に備えられる設定変更手段530は、スロットマシン10のメイン電源投入とともに所定設定キースイッチが操作された場合に限り起動する。設定キースイッチは、スロットマシン10の筐体80内部に設けられ、ホールの管理者など限られた者だけに設定変更が許される。したがって、設定値が遊技者に直接知られることはない。
この設定値は設定1〜6の6段階あり、この設定値が高いほどメダルを獲得する確率が高くなるため遊技者に有利となる。設定変更手段530は、設定キースイッチの選択操作により設定1〜6の何れかの設定値を操作者(ホールの管理者等)に選択させ、決定操作により設定値を決定する。そして、RAM103の設定値変数551に決定した設定値が記憶される。設定値がRAM103のパブリック領域に記憶されることで、役抽選手段502はその変更された設定値を参照することができる。
(設定変更時初期化手段)
設定変更手段530の処理に引続いて、メイン制御基板100側の設定変更時第1初期化手段540が起動される。設定変更時第1初期化手段540は、メイン制御基板100の作動状態を一部を除いて初期化する。メイン制御基板100側の初期化処理が完了した後、サブ制御基板200側の設定変更時第2初期化手段640が起動される。設定変更時第2初期化手段640は、サブ制御基板200の作動状態を一部を除いて初期化する。なお、設定変更時第1初期化手段540によるメイン制御基板100側の初期化処理が行われるに伴って設定変更時第2初期化手段640によるサブ制御基板200側の初期化処理が行われるようにしてもよい。ここで、図22により、設定変更に伴う、メイン制御基板100及びサブ制御基板200における作動状態の初期化状況を表で示す。
上述したように、設定値の変更は、スロットマシン10のメイン電源投入に伴って行われることから、設定変更時には、電断前の作動状態を規定するパラメータ変数値やフラグ値がメモリのスタック領域に退避した状態にある。或いは、他の実施形態では、電断時のパラメータ変数等がRAM103、203に保持されている。
メイン制御基板100の設定変更時第1初期化手段540は、RAM103のパラメータ記憶領域に予め規定される初期値(デフォルト値)を設定する。同様にサブ制御基板200の設定変更時第2初期化手段640は、RAM203のパラメータ記憶領域にデフォルト値を設定する。具体的には図22に示されるように、クレジット数、ベット数及びその他カウンタ変数などほとんどの変数が初期化され、その初期値として「0」が設定される。
しかし、設定変更時第1初期化手段540は、設定値の変更に伴って、メイン制御基板100のRAM103の状態フラグのうち、当選役フラグとRT状態フラグを初期化せずに電断前にスタックした値を復帰させる。或いは、他の実施形態では、電断時の当選役フラグとRT状態フラグをそのまま維持する。これにより、設定値が変更される前の遊技が属していたRT状態と、特別遊技役などの当選状態が設定変更後の遊技にも再現される。図22に示されるように、メイン制御基板100で管理する一般遊技のRT状態を除いて、特別遊技状態であるRB状態又はBB状態などの情報は設定値の変更に伴って初期化される。この初期化処理において、メイン制御基板100で管理される当選役フラグのうち持ち越しが可能な役の当選状態のみを維持し、持ち越しが不可能な役(小役など)の当選状態を初期化するようにしてもよい。また、設定変更が可能な期間を制限する(遊技が行われていない期間又は特別遊技状態である期間では設定変更を行うことができないとする)こともできる。また、サブ制御基板200の設定変更時第2初期化手段640は、RAM203のほとんどの変数を初期化する。これにより、サブ制御基板200で管理する演出パターンやAT状態などの情報が初期化される。
(演出制御手段)
次に、図8に示したサブ制御手段としてのサブ制御基板200に備えられる各種制御手段を説明する。サブ制御基板200に備えられる演出制御手段600は、以下説明する各制御手段とともに、スロットマシン10の遊技の進行に付随して行われる演出を主に制御する。
演出制御手段600は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドの内容及びそのタイミングに応じて、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類を用いた光による演出、スピーカ21L、21R、26L、26Rを用いた音による演出、及び、画像表示装置61を用いた画像や文字等による演出の制御を行う。
例えば演出制御手段600は、スタートスイッチ55が傾倒操作され、メイン制御基板100から回転開始コマンド(図9のステップS12)を受信すると、所定の又は随時選択される演出画像を画像表示装置61に表示して、リールの回転動作に遊技者の関心を惹き込むような演出をする。演出制御手段600は、メイン制御基板100が実行する役抽選の結果や現在の遊技状態に応じて画像表示装置61などで演出する演出パターンを選択する。また、次に説明する演出抽選手段610が演出画像や演出パターンを抽選により選択してもよい。選択された演出パターンの情報は、RAM203の演出パターン変数651に記憶される。
また、演出制御手段600は、BB1役やBB2役などの特典付特別遊技役が成立した時に当該特典付特別遊技役に対応するAT特典の実行権利の存在を確認して、その情報をRAM203に記憶させて再設定する。ここで、図23は、その特典付特別遊技役が成立時にAT特典の実行権利が再設定されるまでの全体の処理の流れを示すフローチャートである。
図23の実施形態によれば、スロットマシン10の遊技中に、特典付特別遊技役が役抽選手段502により当選すると(ステップS210)、その当選に基づいてAT特典の実行権利がサブ制御基板200のRAM203に設定される(ステップS211)。ここで、「特典付特別遊技役の当選に基づいて」とは、BB1役のように役抽選手段502で当選した時点でAT特典の実行権利が設定される場合や、BB2役のように当選した時点では実行権利が確定しないが、当選後に後述する演出抽選手段610で行われるAT抽選でその実行権利が設定される場合など、ステップS211の処理が行われる態様及びタイミングは多様である。
また、ステップS211で設定されるAT実行権利の情報の具体例としては、RAM203の例えばATセット数変数653に「1」がセットされ、AT遊技回数カウンタ654、AT継続率設定値変数655には当該特典付特別遊技役に対応する値がセットされる。ここで、AT遊技回数カウンタ654及びAT継続率設定値変数655などのパラメータは、AT状態の終了条件を定めるものである。ATセット数変数653に既にストックされたセット数が1以上存在していれば、AT実行権利を設定する際にそのストックされたセット数に「1」を加えてもよい。
スロットマシン10の遊技が進行し、特典付特別遊技役の図柄が表示されて役が成立すると(ステップS212)、メイン制御基板100からサブ制御基板200に対し役成立のコマンド(入賞判定結果コマンド)が送信される。サブ制御基板200の演出制御手段600は、このコマンドを受けて、当該特典付特別遊技役に対応するAT特典の実行権利の内容の情報がRAM203に記憶されているか調べる(ステップS213)。なお、上述の設定値の変更がされたときには、サブ制御基板20のRAM203に記憶したこの実行権利の内容は、設定変更時第2初期化手段640によってクリアされる。
演出制御手段600は、AT特典の実行権利の内容がRAM203に記憶されていない場合(ステップS213:NO)、成立した特典付特別遊技役に対応するAT特典の実行権利の情報をRAM203に再設定する(ステップS214)。ここで、AT特典の実行権利の情報には、具体的には上述したようにATセット数、1セットのAT遊技回数、AT継続率などが含まれる。
そして、特典付特別遊技役の成立により、遊技は対応する特別遊技状態に移行する(ステップS215)。また、この特別遊技状態に引続いて後述するAT実行手段620により設定された実行権利の条件でATが実行される(ステップS216)。
なお、他の実施形態として、演出制御手段600は、ステップS212で特典付特別遊技役が成立した時に、当該役に対応するAT特典の実行権利の情報がRAM203に記憶されていない場合には(ステップS213:NO)、役抽選手段502による当選に基づいて付与される特典の実行権利とは異なる内容の実行権利に変更した情報をRAM203に設定してもよい。
例えば、演出制御手段600は、ATセット数変数653、AT遊技回数カウンタ654及びAT継続率設定値変数655などのパラメータの全て又はそれらの一部を当選に基づいて設定される値よりも小さな値に設定する。この場合、当選に基づいて付与されるAT実行権利よりも遊技者に不利な権利が役の成立時に再設定される。
また、更に別の実施形態として、演出制御手段600は、ATセット数変数653、AT遊技回数カウンタ654及びAT継続率設定値変数655などのパラメータの全て又はそれらの一部を当選に基づいて設定される値よりも大きな値に設定することで、遊技者に有利な権利を役の成立時に再設定してもよい。
(演出抽選手段)
図8に示したサブ制御基板200に備えられる演出抽選手段610は、メイン制御基板100からのコマンドを受信するごとに、又は特定の例えば回転開始コマンドや役抽選結果コマンドを受信した時などに起動される。演出抽選手段610は、乱数発生器209を備え、所定のタイミングで乱数発生器209が示す乱数値を取得する。演出抽選手段610は、ROM202に記憶された演出抽選テーブルを参照して、取得した乱数値が属する数値範囲に対応する演出内容を選択する。
なお、演出抽選手段610は、演出パターンを選択する抽選(演出抽選)の他にも、メイン制御基板100から送信されてくる役抽選手段502が行った役抽選結果の報知をするかしないかの抽選(役報知抽選)や、内部当選している役が成立するように停止操作順などの操作を遊技者にアシストするAT演出の実行権利及びその実行権利の内容の抽選(AT抽選)も行う。
(AT実行手段)
図8に示したAT実行手段620は、ATに係る複数の演出パターンの中から、役抽選結果コマンドが示す役と停止操作順との関連付けに対応する演出パターンを選択する。ATの実行に関連する演出パターンやAT演出画像を演出抽選手段610による抽選で選択してもよい。
AT実行手段620は、ストップボタン56L、56C、56Rが停止操作される毎にメイン制御基板100から送信される回転停止コマンドを受信して、次に停止させるべきリールを報知するATの演出画像を画像表示装置61に順次表示させる。これにより、内部当選中の役が確実に成立するような停止操作を遊技者に報知する。
AT実行手段620は、基本的には、演出抽選手段610によるAT抽選でAT実行権利を獲得することにより、1セット(例えば30遊技)のATを実行する。ATが実行されたAT状態中や1セットのAT終了時にも演出抽選手段610によるAT抽選が行われ、AT実行権利を獲得すると更に1セットのATが継続して実行される。このAT状態が継続する確率を「AT継続率」という。
また、本実施形態のスロットマシン10では、役抽選手段502によるBB1役やBB2役など特典付特別遊技役の当選に基づいて、AT特典の実行権利が遊技者に付与される。ATの実行権利の内容としては、1セットの遊技回数(例えば30遊技など)及びAT継続率(例えば30%)などのAT状態の終了条件に関するものが含まれる。
AT状態中は、サブ制御基板200のRAM203のAT状態フラグ652がオンに設定される。また、AT抽選又はBB1役の当選によって与えられるAT実行権利の内容がRAM203に記憶される。例えば、ストックされているAT実行権利のセット数がATセット数変数653に設定され、実行されるAT状態の1セットの遊技回数がAT遊技回数カウンタ654に設定され、与えられたAT継続率に対応した設定値がAT継続率設定値変数655に設定される。
AT実行手段620によりATが実行されると、例えば特定の小役に対応する図柄を有効ラインに引き込む押し順等をアシストすることで、遊技者は確実にメダルを獲得することができる。また、例えば上述した「ベル」図柄を3本の有効ラインが交差する中段のラインに引き込むようにアシストすることで、メダルの配当をより多くすることができる。更には、例えば図7(a)に示した再遊技役の当選確率が比較的高いRT1に遷移させる再遊技役bの特定図柄を表示させるアシストや、逆に再遊技役の当選確率が比較的低いRT0に遷移しないように再遊技役cの特定図柄を表示させないなどのアシストをして、メダルが減らないRT状態に導くことによっても遊技者に有利な状態を与えることができる。
以上説明した本発明の実施形態のスロットマシン10よれば、従来に比較して以下のような有利な効果を奏する。
(1)サブ制御基板200の演出制御手段600は、BB1役やBB2役などの特典付特別遊技役が成立した時に当該特典付特別遊技役に対応するAT特典の実行権利をRAM203に設定する。このような構成により、仮に設定値が変更されAT特典の実行権利が消滅してしまった場合でも、特別遊技役の成立と同時にATの実行権利が設定されるので、ATの実行が保証される。したがって、設定変更後も遊技者側の利益・特典を維持することができる。また、特典付特別遊技が当選していた場合や、AT特典が付与されているはずのRT2状態が設定変更後に復帰したとしても、ATの実行が保証されるため、遊技状態の不整合も生じない。
(2)また、演出制御手段600は、役抽選手段502による当選に基づいて付与される特典の実行権利とは異なる内容の実行権利に変更してRAM203に再設定する。これにより、ホール側と遊技者側との間の利害調整をより詳細に行うことができる。