JP5795191B2 - 農業機械 - Google Patents
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Description
この農業機械は、軸架した大径ロールと、その大径ロール面に軸架した小径ロールによって圧接保持されるベルトと、の間に、圧接面を有している。そして、大径ロールの面上に、大径ロールの軸方向に傾斜して連続する細長い移動経路が形成されている。この移動経路内には、撹拌羽根を有する回転軸が、移動経路に沿って設置されている。移動経路の片側には、大径ロールとベルトとの間の圧接面の一端が、連続して位置している。
本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、里芋の商品価値を損なうことなく里芋から根を除去することが可能な農業機械を提供することである。
「搬送方向」とは、「搬送路において里芋が搬送される方向」のことをいう。「入口側」とは、「搬送路の搬送方向の上手側(すなわち、入口側)」のことをいい、「出口側」とは、「搬送路の搬送方向の下手側(すなわち、出口側)」のことをいう。「除根部」とは、「第2のローラ体と、この第2のローラ体の入口側隣に配置された第1の除根用ローラ体」のことをいい、「第2の除根用ローラ体」とは、「除根部の一部を形成する第2のローラ体」のことをいう。なお、すべての第2のローラ体は、第2の除根用ローラ体である。「除根部の谷部分」とは、「第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体との間に形成されている谷部分」のことをいう。
里芋が除根部の谷部分にいる場合、その里芋は、第1の除根用ローラ体から出口側向きの力を受け、第2の除根用ローラ体から入口側向きの力を受ける。第1の除根用ローラ体から里芋に働く力と、第2の除根用ローラ体から里芋に働く力と、が、釣り合うと、里芋は除根部の谷部分に留まって転動する。除根部の谷部分で転動する里芋の根は、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体との間に引き込まれ、里芋から引きちぎられる。
なお、搬送路において、搬送路の入口側端に最も近い第1の除根用ローラ体よりも入口側に、1本または複数本の第1のローラ体を配置することが好ましい。これにより、里芋が入口側端から搬送路の外に出てしまうことが防止される。
また、搬送路において、搬送路の出口側端に、1本または複数本の第1のローラ体を配置することが好ましい。これにより、搬送路から出るべき里芋が入口側へ逆行することが防止される。
先ず、第1のローラ体と第2のローラ体の直径に関する知見を述べる。
第1のローラ体と第2のローラ体の直径がともに小さければ、除根部の谷部分が浅くなる。除根部の谷部分が浅ければ、里芋の短い根が、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体との間に引き込まれて引きちぎられる。しかし、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体の直径が小さくなりすぎると、以下の不具合が生じる。
すなわち、里芋の根が第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体との間に引き込まれる際、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体が、それぞれ撓む。第1の除根用ローラ体や第2の除根用ローラ体の撓みは、里芋の根を引き込む力が弱まる原因になる。また、振動が発生する原因にもなる。
すなわち、搬送路を移動する里芋は、第1のローラ体や第2のローラ体を乗り越えなければならない。第1のローラ体と第2のローラ体の直径が大きくなりすぎると、里芋が乗り越えるべき高さが、高くなりすぎる。このような場合に里芋を出口側に移動させるには、第1のローラ体の回転速度を速くするか、回転羽根が里芋を押す力を大きくしなければならない。しかし、第1のローラ体の回転速度が速くなると、第1のローラ体から里芋に働く力が大きくなり、里芋が傷つく可能性が高まる。また、回転羽根が里芋を押す力が大きくなることによっても、里芋が傷つく可能性が高まる。
かかる知見に基づいて、本願発明者は、第1のローラ体と第2のローラ体の直径が、20.0mm以上であり、かつ、40.0mm以下であることが好ましいことを見出した。
隣り合う第1のローラ体の周面どうしの間の最短距離は、2.0mm以上であり、かつ、10.0mm以下であることが好ましい。
第1のローラ体の周面には、里芋に付着していた土がこびりつきやすい。隣り合う第1のローラ体の周面どうしの間の最短距離が、2.0mm未満であると、第1のローラ体に付着した土によって、第1のローラ体の径が大きくなる。この結果、隣り合う第1のローラ体どうしが擦れ合う。そして、第1のローラ体の回転が妨げられてしまう。
第1の除根用ローラ体の周面と、第2の除根用ローラ体の周面と、の間の最短距離は、0.0mm以上であり、かつ、2.5mm以下であることが好ましい。この最短距離が2.5mmを超えると、里芋の細い根が、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体との間に引き込まれなくなり、里芋に根が残る原因となる。
回転押送体をその回転軸方向から見た際に、「回転押送体の回転軸芯の搬送方向における位置」が、「除根部を形成する第1の除根用ローラ体の周面の入口側の端がある搬送方向における位置」と、「この除根部を形成する第2の除根用ローラ体の周面の出口側の端がある搬送方向における位置」と、の間にある場合、以下の現象が生じる可能性がある。
回転押送体をその回転軸方向から見た際に、「搬送方向における回転押送体の回転軸芯の搬送方向における位置」が、「除根部の入口側隣に配置された第1のローラ体の周面の入口側の端がある搬送方向における位置」と、「この除根部を形成する第2の除根用ローラ体の周面の出口側の端がある搬送方向における位置」と、の間にない場合、以下のようになる。
本願発明者の知見によれば、第1の除根用ローラ体の入口側隣に、1本の第1のローラ体が進入用ローラ体として配置されている場合、回転押送体をその回転軸方向から見ると、「回転押送体の回転軸芯の搬送方向における位置」が、「第1の除根用ローラ体の入口側隣に配置された進入用ローラ体の周面の出口側の端がある搬送方向における位置」と、「この第1の除根用ローラ体の入口側隣に配置された進入用ローラ体の周面の入口側の端がある搬送方向における位置」と、の間にあることが、搬送路の里芋を効率よく搬送するためにより好ましい。
第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体は、これらの間に里芋の根を引き込んで引きちぎる。また、第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体は、これらの間に里芋に付着している土や異物をも引き込む。このため、第1の除根用ローラ体の周面と第2の除根用ローラ体の周面には、摩耗等の損傷が発生しやすい。第1の除根用ローラ体や第2の除根用ローラ体の周面に摩耗等の損傷があると、里芋の根を引き込む力が弱くなり、里芋に根が残る原因となる。
第1の除根用ローラ体と第2の除根用ローラ体の周面に摩耗等の損傷が発生した場合、損傷した第1の除根用ローラ体や第2の除根用ローラ体を、除根部を形成しない第1のローラ体のうちの無傷のものと交換することができる。
農業機械1は、基台10を備えている。基台10の上面に、里芋の搬送路12が形成されている。搬送路12の搬送面(すなわち、搬送方向)は水平である。図2〜図5において、右側が搬送路12の入口側であり、左側が搬送路12の出口側であり、図2〜図5の左右方向が搬送路12の搬送方向である。
一部のローラ体14が第1のローラ体16をなし、残りのローラ体14が第2のローラ体18をなす。搬送方向において、搬送路12の入口側から出口側に向かって、4本の第1のローラ体16と、1本の第2のローラ体18と、が交互に配置されている。搬送路12の入口側端部分と出口側端部分には、それぞれ、4本の第1のローラ体16が配置されている。
第1のローラ体16の回転軸の一方の端には、歯車32が設けられている。第2のローラ体18の回転軸の一方の端には、歯車34が設けられている。入口側から奇数番目のローラ体14の歯車32または歯車34は、すべて、搬送路12の左側に位置する。入口側から偶数番目のローラ体14の歯車32または歯車34は、すべて、搬送路12の右側に位置する。搬送路12の右側においても左側においても、4個の歯車32と、1個の歯車34と、が、搬送方向に交互に並んでいる。ただし、搬送路12の右側の出口側端部分においては、入口側から1個の歯車34と2個の歯車32とが並ぶ。また、搬送路12の左側の入口側端部分においては、入口側から2個の歯車32と1個の歯車34とが並ぶ。
第1のローラ体16のうち、第1の除根用ローラ体22ではないものが、搬送用ローラ体26をなす。そして、搬送用ローラ体26のうち、第1の除根用ローラ体22の入口側隣に配置されているものが、進入用ローラ体28をなす。
回転押送体30のうち、入口側端にある回転押送体30が回転押送体30Aをなし、出口側端にある回転押送体30が回転押送体30Cをなし、残りの回転押送体30が回転押送体30Bをなす。以下の説明において、「入口側からn本目の回転押送体30」という場合、すべての回転押送体30に着目して入口側から数えてn本目にある回転押送体30のことをいう。また、「入口側からm本目の回転押送体30B」という場合、回転押送体30Bにのみ着目して入口側から数えてm本目にある回転押送体30Bのことをいう。すなわち、「入口側からm本目の回転押送体30B」とは、「入口側からm+1本目の回転押送体30」のことである。
回転押送体30は、回転羽根38を有する。回転羽根38は、弾力性と可撓性を有するゴム製板状部材によって形成されている。回転羽根38は、回転押送体30の回転軸から、この回転軸の径方向に張り出している。
農業機械1に、p本の回転押送体30があるとする。そして、農業機械1が停止状態である場合、入口側から1本目の回転押送体30において、回転軸芯から回転羽根38が0時の方向に向かって伸びているとする。このとき、他の回転押送体30において、回転軸芯から回転羽根38が伸びる向きは、以下のようになっている。
たとえば、Z°が60°であれば、入口側から2本目の回転押送体30の回転羽根38は、回転軸芯から2時の方向に向かって伸びており、入口側から3本目の回転押送体30の回転羽根38は、回転軸芯から4時の方向に向かって伸びており、入口側から4本目の回転押送体30の回転羽根38は、回転軸芯から6時の方向に向かって伸びており、入口側から5本目の回転押送体30の回転羽根38は、回転軸芯から8時の方向に向かって伸びており、入口側から6本目の回転押送体30の回転羽根38は、回転軸芯から10時の方向に向かって伸びている。
農業機械1は、上述した構成を有する。次に、農業機械1が奏する作用効果について説明する。
作業員は、モータ40とモータ43のスイッチを入れる。ローラ体14と回転押送体30とが、回転を開始する。そして、作業員は、根がついた里芋を、搬送路12の入口側端部分の搬送用ローラ体26の上にのせる。以下、ある1個の里芋M1に着目して説明する。
里芋M1は、回転する搬送用ローラ体26から力を受け、出口側へ移動する。里芋M1は、進入用ローラ体28まで移動し、回転する進入用ローラ体28から力を受け、出口側隣にある除根部20に移動する。
除根部20に移動した里芋M1は、まず、回転する第1の除根用ローラ体22から力を受け、この第1の除根用ローラ体22を乗り越え、除根部20の谷部分に移動する。除根部20の谷部分において、里芋M1は、回転する第1の除根用ローラ体22と、回転する第2の除根用ローラ体24と、から力を受ける。
里芋M1が除根部20の谷部分において転動する際、里芋M1の根が、第1の除根用ローラ体22の周面と第2の除根用ローラ体24の周面との間に引き込まれ、里芋M1から引きちぎられる。引きちぎられた根は、除根部20からホッパー50を介して雑物槽52に落下する。
回転押送体30の回転羽根38は、里芋M2を出口側に押すだけであり、回転羽根38が里芋M2を傷つけることはない。また、回転羽根38から里芋M2に働く力は、里芋M2を出口側に押して移動させる大きさの力であれば足り、里芋M2を傷つけるような大きさの力である必要はない。
このようにして、里芋M1は、徐々に出口側へ向かって搬送路12を移動し、その移動途中において、除根部20を通過するたびに、残っている根を引きちぎられて除去される。そして、搬送路12の出口側端部分に達した里芋M1からは、根が完全に除去されている。
前述したように、里芋M1が搬送路12を移動する間、里芋M1には、里芋M1を傷つけるような大きさの力は働かない。したがって、搬送路12を出た里芋M1の表皮等に傷がつくことはなく、搬送路12を出た里芋M1の商品価値が低下することもない。
第1の除根用ローラ体22と第2の除根用ローラ体24は、両者の間に里芋M1の根を引き込む。その際、里芋M1の表面に付着していた土や異物も、第1の除根用ローラ体22と第2の除根用ローラ体24との間に引き込まれる。このため、第1の除根用ローラ体22の周面と第2の除根用ローラ体24の周面には、傷がつく可能性がある。
第1の除根用ローラ体22と第2の除根用ローラ体24が土や異物を引き込むと、第1の除根用ローラ体22や第2の除根用ローラ体24の回転に大きな抵抗がかかる。この抵抗は、里芋M1を搬送する際に搬送用ローラ体26の回転にかかる抵抗よりもはるかに大きい。
10 基台
12 搬送路
14 ローラ体
16 第1のローラ体
18 第2のローラ体
20 除根部
22 第1の除根用ローラ体
24 第2の除根用ローラ体
26 搬送用ローラ体
28 進入用ローラ体
30、30A、30B、30C 回転押送体
32、34、36、37 歯車
38 回転羽根
40、43 モータ
41、44 モータの回転軸
46、47、48A、48B、48C チェーン
50 ホッパー
52 雑物槽
54、56 軸受
Claims (3)
- 収穫した里芋から根を除去する農業機械であって、
里芋を入口側から出口側まで搬送する搬送路を備え、
前記搬送路は、回転軸周りに回転する複数本の第1のローラ体と、回転軸周りに回転する複数本の第2のローラ体と、からなり、
前記搬送路の上方に、回転軸周りに回転する複数本の回転押送体を備え、当該回転押送体は、回転軸周りに回転して里芋を出口側に向かって押す回転羽根を有し、
前記回転羽根は、前記回転押送体の回転軸からこの回転軸の径方向に張り出しており、
前記搬送路を上方から見ると、前記第1のローラ体の回転軸方向と、前記第2のローラ体の回転軸方向と、前記回転押送体の回転軸方向と、は、それぞれ、前記搬送路の搬送方向と交差しており、
前記搬送路を上方から見ると、前記第1のローラ体の回転方向は、前記第1のローラ体の周面が入口側から出口側に向かって移動する方向であり、前記第2のローラ体の回転方向は、前記第1のローラ体の回転方向に対して逆向きであり、前記回転押送体の回転方向は、前記第1のローラ体の回転方向に対して逆向きであり、
前記搬送路において、前記第2のローラ体は、第2の除根用ローラ体をなしており、当該第2の除根用ローラ体の入口側隣には、1本の前記第1のローラ体が、第1の除根用ローラ体として配置されており、当該第2の除根用ローラ体と、この当該第2の除根用ローラ体の入口側隣にある当該第1の除根用ローラ体と、が、除根部を形成しており、
前記第2の除根用ローラ体の出口側隣には、少なくとも1本の前記第1のローラ体であって前記除根部を形成しない前記第1のローラ体が、配置されており、
前記第1の除根用ローラ体の入口側隣には、1本の前記第1のローラ体であって前記除根部を形成しない前記第1のローラ体が、進入用ローラ体として配置されており、
前記回転押送体をその回転軸方向から見ると、前記搬送路の搬送方向において前記回転押送体の回転軸芯の位置は、前記搬送路の搬送方向において前記除根部の前記第1の除根用ローラ体の周面の入口側の端がある位置と、前記搬送路の搬送方向においてこの前記第1の除根用ローラ体の入口側隣に配置された前記進入用ローラ体の周面の入口側の端がある位置と、の間にあることを特徴とする農業機械。 - 前記回転押送体をその回転軸方向から見ると、前記回転押送体の回転軸芯の搬送方向における位置は、前記第1の除根用ローラ体の入口側隣に配置された前記進入用ローラ体の周面の出口側の端がある搬送方向における位置と、この前記第1の除根用ローラ体の入口側隣に配置された前記進入用ローラ体の周面の入口側の端がある搬送方向における位置と、の間にあることを特徴とする請求項1に記載の農業機械。
- 前記第1のローラ体と、前記第2のローラ体と、は、同じ形状と同じ大きさを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農業機械。
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