JP5794952B2 - 捩り管形熱交換器 - Google Patents

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本発明は、水と冷媒とを熱交換させる捩り管形熱交換器、特に芯管となる水管の外周に冷媒管を巻き付けてなる熱交換器に関する。
水と冷媒とを熱交換させる捩り管形熱交換器は、外周に螺旋溝を有した捩り管を水管に用い、水管の螺旋溝に沿って冷媒管を外周側から巻き付け、水管と冷媒管とをカシメ接合したものであり、水管内を流れる水と冷媒管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う熱交換器である。
螺旋溝は水側の乱流を発生させ、その効果により熱交換性能を向上させる働きがある。
従来の捩り管形熱交換器として、例えば外周に複数条の山谷底部を各条毎に連続して螺旋状に設けた水管(内管)と、この水管外周の山谷底部の形状に沿って螺旋状に巻きつけた冷媒管(外管)とを伝熱的に、例えばハンダ等の金属ロウで接合しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、螺旋フィン付き管(内管)の外周にフィン高さより直径の小さな円管(外管)を螺旋状に巻き付け、フィンを引き抜き加工等によって一方向に倒して、円管を螺旋フィン付き管に固定するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−228370号公報(段落[0006]、図3) 特開2004−190922号公報(図5)
しかしながら、水管(内管)と冷媒管(外管)とを、ハンダ等の金属ロウで伝熱的に接合したものにあっては、金属ロウを介することで十分伝熱性能が期待できるものの、一般にロウを溶融接合させるために熱を加える必要があり、銅管の内面酸化を防ぐ必要が生じる。
また、シート状のロウ材を使用する場合は、螺旋状に設けた水管(内管)に対し、冷媒管(外管)を外周側から巻き付ける前に、シート状のロウ材を巻き付ける必要性があり、作業性が悪い。また、ディップ式(浸漬接合)で接合する場合においても、本来必要としない面までロウ材が付着し、コスト高となる問題がある。
また、螺旋フィン付き管のフィンを引き抜き加工等によって一方向に倒して、フィン高さより直径の小さな円管をフィン付き管に固定するようにしたものにあっては、カシメを行うフィン内に流路となる空洞はなく、螺旋フィン付き管(内管)内を流れる流体の乱流を期待できず、伝熱性能がさほど上がらないという難点があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、金属ロウによる接合材を使用することなく、伝熱性能を向上させることができるようにすることを目的とする。
本発明に係る捩り管形熱交換器は、外周面に複数条の螺旋山と螺旋溝を持つ内管と、内管の螺旋溝に沿うように巻きつけた複数条の外管とを備え、旋山の高さが螺旋溝に巻きつけた外管よりも高く、かつこの螺旋山は該螺旋山に隣接する一方の外管を包み込むようにカシメられており、該一方の外管を包み込んでいる該螺旋山の内部に流路となる空洞が残っているものである。
本発明の捩り管形熱交換器においては、外周面に複数条の螺旋山と螺旋溝を持つ内管と、内管の螺旋溝に沿うように巻きつけた複数条の外管とを備え、旋山の高さが螺旋溝に巻きつけた外管よりも高く、かつこの螺旋山は該螺旋山に隣接する一方の外管を包み込むようにカシメられており、該一方の外管を包み込んでいる該螺旋山の内部に流路となる空洞が残っているので、金属ロウによる接合材を使用することなく、内管と外管を密着接合でき、安価に製造することができる。また、内管のカシメた部分も流路となるので、内部を流れる流体の乱流効果を期待することができ、伝熱性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器の内管軸線方向に沿う断面図である。 図1の要部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器のカシメ接合前の状態を示す内管軸線方向に沿う断面図である。 図3の要部を拡大して示す断面図である。
図1は本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器の内管軸線方向に沿う断面図である。本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器10は、図1のように複数条(例えば3条)の螺旋山1aと螺旋溝1bを持つ芯管となる内管すなわち水管1と、螺旋溝1bに沿うように巻き付けた複数条の外管すなわち冷媒管3a,3b,3c(これらをまとめて「冷媒管3」という場合もある)と、を備えている。
これを更に詳述すると、水管1は、螺旋山1aの高さが螺旋溝1bに巻きつけた冷媒管3a,3b,3cよりも高く、かつこの螺旋山1aの内部に流路となる空洞1cが残るように隣接する一方の冷媒管を包み込むようにカシメられて接合されている。このように、水管1に複数条の螺旋山1aと螺旋溝1bを設けることにより、冷媒管を冷媒管3a,3b,3c等に分岐してパス設計を最適化できるとともに、隣接する冷媒管相互の接触による熱漏洩を防止できる。また、カシメ接合によって冷媒管3が固定化されるので、冷媒管3の内圧疲労に対して有利となり、冷媒管3そのものの薄肉化が可能となる。
水管1は、燐脱酸銅平滑管の両端を固定し、内径側にマンドレルを挿入して連続的に捩り加工を加えながら、複数条の螺旋山1aと螺旋溝1bを形成することで、作成される。このとき、水管1のスパイラルピッチP(図4)を精度よく制御することで、冷媒管3が健全に嵌め込まれる。
冷媒管3は、熱交換器の入口側で入口ヘッダにより冷媒管3a,3b,3cに分流され、熱交換器の出口側で出口ヘッダにより合流される。冷媒管3は図示しない冷媒回路と接続され冷媒を循環させている。水管1も、捩り管形熱交換器10が収納されている装置の外部にある図示しない装置と接続され、捩り管形熱交換器10と外部の装置との間で水を循環させている。
水管1は、捩り管形熱交換器10が収納されている装置の外部へ取り出すための接続口やバルブを延長した配管に取り付けられる。一般的に、ヒートポンプ式給湯機の管や配管に接続する部品には、熱伝導率が良く、ロウ付けや曲げ加工が容易にできるリン脱酸銅管が使用される。
図2は図1の要部を拡大して示す断面図である。水管1の螺旋山1aのカシメ接合後における水管放射方向の冷媒管径Raは、水管1の螺旋山1aのカシメ接合前の段階における水管放射方向の冷媒管径Ro(図4)に比べて小さくなっている。これは、カシメ接合時に、水管1の螺旋山1aと螺旋溝1bとの間に冷媒管3が挟まれて圧縮され、断面扁平管状に変形されるためである。したがって、水管放射方向の冷媒管径Raは、断面扁平管状の短軸側外径を示している。水管1は、この断面扁平管状の短軸側外径Raが、カシメ接合前の螺旋山1aの高さHの1/2以下に形成されている。これによって、冷媒管3は、水管1の螺旋溝1b及び螺旋山1a側面との接触面積が増大し、伝熱性能を向上させることができる。
冷媒管3は、その外径、肉厚が、冷媒等の圧力に耐えるべく設計されている。冷媒管3は、通常、真円もしくは許容される扁平度を保有しないと、運転時の冷媒圧力により疲労破壊してしまう。本発明の捩り管形熱交換器10は、水管1の螺旋山1aのカシメ接合によって冷媒管3が螺旋山1aと螺旋溝1bとの間に包み込まれるように挟まれて保持されているので、冷媒管3の疲労耐力が向上しており、冷媒管3の扁平度が上がっても疲労破壊してしまうことがなくなる。また、あえて扁平させた冷媒管を使用することで、伝熱面積の拡大が期待できる。更に、冷媒管3の扁平度が有る程度許容できるため、冷媒管3の肉厚をより薄くすることが可能となる。
図3は本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器のカシメ接合前の状態を示す内管軸線方向に沿う断面図である。水管1は、そのスパイラル外径SRoが、そのスパイラル内径SRiの1.5倍以上となるように形成されている。これによって、水の流速を確保した上で冷媒管3を螺旋状に巻きつけて嵌め込むのに好適な水管1外周の螺旋山1a、螺旋溝1bを形成することができる。
図4は図3の要部を拡大して示す断面図である。カシメ接合可能とするべく、水管1は、カシメ接合前の外周の螺旋山1aの高さHが、冷媒管3の外径Roの略2倍となるように形成してある。これにより、水管1の螺旋山1aを変形させカシメ接合する場合、冷媒管3と十分に接触させることが可能となり、かつ隣接しあう螺旋山1aへの接触を避けることが可能となる。
水管1の外周の螺旋山1aの高さHが冷媒管3の外径Roの2倍よりも小さい場合、冷媒管3との接触面積が十分には稼げず、伝熱性能が低下する。また、水管1の外周の螺旋山1aの高さHが冷媒管3の外径Roの2倍よりも大きい場合、カシメ時に隣接する螺旋山1aの側面に衝突し、冷媒管2とのカシメが十分でなくなるため、同じく伝熱性能が低下する。
水管1は、そのスパイラルピッチPが、冷媒管3の直径Roより大きく、冷媒管3の直径Roの2倍より小さくなるように形成されている。このように、水管1の外周に特定範囲のピッチで特定範囲の山高さを設けた螺旋山1a及び螺旋溝1bに沿って冷媒管3を巻きつけるので、螺旋山1a及び螺旋溝1bがガイドとなって冷媒管3を所定の位置に容易にかつ安定して巻きつけて嵌め込み、固定することが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態に係る捩り管形熱交換器は、外周に複数条の螺旋山1a及び螺旋溝1bを各条毎に連続して螺旋状に設けた水管1と、この水管外周の螺旋山1a及び螺旋溝1bの形状に沿って螺旋状に巻きつけた複数条の冷媒管3とを備え、冷媒管3を水管1の螺旋山1a及び螺旋溝1bに嵌め込んだ後、水管1の螺旋山1aを、内部に流路となる空洞1cが残るように各冷媒管3の軸線を挟む一方の側よりカシメて、各冷媒管3を包み込むように接合しているので、金属ロウによる接合材を使用することなく、水管1と冷媒管3を密着接合でき、安価に製造することができる。また、水管1のカシメた部分も流路となるので、内部を流れる流体の乱流効果を期待することができ、伝熱性能を向上させることができる。
更に、カシメ接合することで、冷媒管3を固定化することができ、疲労耐圧に対し肉厚に余裕ができ、冷媒管3の薄肉化が可能となる。
1 水管(芯管となる内管)、1a 螺旋山、1b 螺旋溝、1c 空洞、3,3a,3b,3c 冷媒管(外管)、10 捩り管形熱交換器、H 水管の螺旋山高さ、P 水管のスパイラルピッチ、Ra 冷媒管短軸側外径、Ro 冷媒管の外径、SRo 水管のスパイラル外径、SRi 水管のスパイラル内径。

Claims (4)

  1. 外周面に複数条の螺旋山と螺旋溝を持つ内管と、
    前記内管の螺旋溝に沿うように巻きつけた複数条の外管とを備え、
    記螺旋山の高さが前記螺旋溝に巻きつけた前記外管よりも高く、かつ該螺旋山は該螺旋山に隣接する一方の外管を包み込むようにカシメられており、該一方の外管を包み込んでいる該螺旋山の内部に流路となる空洞が残っていることを特徴とする捩り管形熱交換器。
  2. 前記内管は、カシメ接合前の前記螺旋山の高さHが、前記外管の外径Roの略2倍に形成されていることを特徴とする請求項1記載の捩り管形熱交換器。
  3. 前記内管は、カシメ接合前のスパイラルピッチPが前記外管の外径Roより大きく、該外管の外径Roの2倍より小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の捩り管形熱交換器。
  4. 前記外管は、カシメ接合時に断面扁平管状に変形され、その断面扁平管状の短軸側外径Raが、カシメ接合前の前記内管の螺旋山の高さHの1/2以下に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の捩り管形熱交換器。
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