JP5794503B2 - 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法 - Google Patents

形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5794503B2
JP5794503B2 JP2012529570A JP2012529570A JP5794503B2 JP 5794503 B2 JP5794503 B2 JP 5794503B2 JP 2012529570 A JP2012529570 A JP 2012529570A JP 2012529570 A JP2012529570 A JP 2012529570A JP 5794503 B2 JP5794503 B2 JP 5794503B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shape memory
memory resin
carbon atoms
acid ester
orthodontic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012529570A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012023454A1 (ja
Inventor
達志 河合
達志 河合
滋巳 後藤
滋巳 後藤
健 宮澤
健 宮澤
丈浩 増田
丈浩 増田
泰彰 堀
泰彰 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AICHI GAKUIN
Original Assignee
AICHI GAKUIN
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by AICHI GAKUIN filed Critical AICHI GAKUIN
Priority to JP2012529570A priority Critical patent/JP5794503B2/ja
Publication of JPWO2012023454A1 publication Critical patent/JPWO2012023454A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5794503B2 publication Critical patent/JP5794503B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C7/00Orthodontics, i.e. obtaining or maintaining the desired position of teeth, e.g. by straightening, evening, regulating, separating, or by correcting malocclusions
    • A61C7/08Mouthpiece-type retainers or positioners, e.g. for both the lower and upper arch
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/10Esters
    • C08F220/26Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen
    • C08F220/28Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen containing no aromatic rings in the alcohol moiety
    • C08F220/283Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen containing no aromatic rings in the alcohol moiety and containing one or more carboxylic moiety in the chain, e.g. acetoacetoxyethyl(meth)acrylate
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F222/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical and containing at least one other carboxyl radical in the molecule; Salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof
    • C08F222/10Esters
    • C08F222/1006Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols
    • C08F222/102Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols of dialcohols, e.g. ethylene glycol di(meth)acrylate or 1,4-butanediol dimethacrylate
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F265/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of unsaturated monocarboxylic acids or derivatives thereof as defined in group C08F20/00
    • C08F265/04Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of unsaturated monocarboxylic acids or derivatives thereof as defined in group C08F20/00 on to polymers of esters
    • C08F265/06Polymerisation of acrylate or methacrylate esters on to polymers thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C2201/00Material properties
    • A61C2201/007Material properties using shape memory effect

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、歯科矯正弾性材料等に好適に用いることができる形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法に関する。
成形後にその形を変形しても、ある一定以上の温度にすると元の形状に戻るという現象を形状記憶現象という。この形状記憶現象を示す形状記憶材料は、様々な技術分野で利用されている。
例えば、医療分野においては、Ni−Ti合金が歯科矯正治療のためのワイヤーとして用いられている。
一方、金属以外で形状記憶現象を示す材料として、形状記憶樹脂も開発されており、これを歯科矯正治療のためのワイヤーとして用いることが提案されている(特許文献1〜4)。また、歯列に被せて矯正するタイプの歯列矯正器具にも形状記憶樹脂が提案されている(特許文献5)。さらには、歯列矯正治療以外の用途として、創傷閉鎖のための医療デバイスにも形状記憶樹脂を用いたものが提案されている(特許文献6)。
また、本発明者らは、ポリメチルメタクリレートにメタノールやエタノールを添加した樹脂組成物が、加温により大きな変形能を示し、冷却後は常温において変形が少なく、再度加熱後は変形前の形状にほぼ復帰するという、形状記憶機能を有する材料であることを見出している(非特許文献1)。
特開2009−96885号公報 特開2005−325336号公報 特開2005−102953号公報 特開平8−127643号公報 特表2002−531166号公報 特開2010−42258号公報 堀秦彰、河合達志、長谷川二郎、日本矯正歯科学会雑誌(52)2:257,1993
しかし、形状記憶樹脂の利用価値を高めるためは、優れた形状記憶効果を有することだけでは不十分であり、特に、矯正歯科の材料として用いる場合には審美的な面を考慮して無色透明であることが要求される。この点、上記非特許文献1の形状記憶樹脂は優れた形状記憶効果を有しているものの、樹脂が褐色に着色して不透明になり、美観上の大きな問題となっていた。
また、形状記憶樹脂の粘弾特性が所望の値となるように制御するための方法が求められていた。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、優れた形状記憶効果とともに、経時的な色の変化が少なく、透明性を長期間保持できる形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具を提供することを目的とする。
また、形状記憶樹脂の粘弾特性が所望の値となるように制御するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、非特許文献1の形状記憶樹脂(すなわち、ポリメチルメタクリレートにメタノールやエタノールを添加した形状記憶樹脂)が着色することを防ぐために、架橋剤を加えてポリメチルメタクリレートを3次元網目構造とし、このことによって化学的な安定性を向上させることを考えた。このための架橋剤として、アルカンジオールジメタクリレートを選択した。なぜならば、アルカンジオールジメタクリレートはメタクリロイロキシ基を複数含むために、ポリメチルメタクリレートのメタクリロイロキシ基残基とのあいだで架橋反応が可能となるからである。そしてさらには、樹脂に適度の柔軟性を付与するために、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルを可塑剤として選択した。そして、これらを脂肪族アルコールの存在下で共重合させたところ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の形状記憶樹脂は、ポリメタクリル酸エステルと、アルカンジオールジメタクリレートと、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルとの共重合体に脂肪族アルコールが4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれていることを特徴とする。
本発明者らの試験結果によれば、このような組成の樹脂であれば、優れた形状記憶性能を有し、経時的な色の変化が少なく、透明性を長期間保持できる形状記憶樹脂となる。
脂肪族アルコールの含有量は4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれていることを必要とする。脂肪族アルコールの含有量が4重量%未満では弾性歪及び永久歪が小さく、柔軟性に欠ける樹脂となるため、例えば歯科用矯正材料等に用いた場合に、応力がかかりすぎたり、脆くて割れたりするおそれがある。また、脂肪族アルコールの含有量が50重量%を超えると重合度が低くて機械的強度に劣る樹脂となる。好ましいのは5重量%以上40重量%以下であり、最も好ましいのは5.5重量%以上35重量%以下である。
前記アルカンジオールジメタクリレートとしては、炭素数が3〜10のアルカンジオールのメタクリル酸ジエステルが好ましく、さらには炭素数が4〜8のアルカンジオールのメタクリル酸ジエステルが好ましい。発明者らはアルカンジオールジメタクリレートとしてジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオールを用いれば、上記本発明の課題を確実に解決できることを確認している。
また、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルとは、下記構造式(1)で示される化合物であり(ただし、R、R及びRはアルキレン基を示す)例えばメタクリロイロキシエチルコハク酸メチル等が挙げられる。Rは炭素数が1〜6が好ましく、さらには2〜3が好ましい。また、Rは炭素数が1〜6が好ましく、さらには2〜4が好ましい。また、Rは炭素数が1〜4が好ましく、さらには1〜2が好ましい。
Figure 0005794503
また、脂肪族アルコールは炭素数が1以上10以下であることが好ましい。炭素数が10を超える脂肪族アルコールを添加した場合、脂肪族アルコールの単位重量あたりの水酸基の数が少なくなり、形状記憶性能が発揮され難くなるおそれがある。さらに好ましいのは炭素数が2以上5以下の脂肪族アルコールである。炭素数が1のメタノールは毒性があり、生体適合材料に反することとなる。また、食品添加物として頻用されているアルコールの炭素数は2以上5以下であり、生体に対する安全性から炭素数がこの範囲のアルコールであることが好ましい。
本発明の形状記憶樹脂は、歯列矯正器具に適用することができる。
例えば、前述した特許文献1〜4に示されたワイヤーを用いた歯列矯正器具について、ワイヤーを本発明の形状記憶樹脂で作製することができる。このような、ワイヤー式の歯列矯正器具とすれば、装着中の変色も少ないため、審美性に優れた歯列矯正器具となる。また、歯列矯正の途中でワイヤーが緩んだとしても、取り外して温度を上げてもとの形状に戻した後、再び装着することができ、テンションの微調整の必要性も少なくなる。
また、本発明の形状記憶樹脂を用いた別の歯列矯正器具として、矯正前の歯列を矯正後に所望の位置へ誘導するため、所定の位置に所定の形状を有する凹部を備え、該凹部を該矯正前の歯列に被せて歯列矯正を行うこともできる。こうであれば、装着中の変色も少ないため、審美性に優れた歯列矯正器具となる。また、装着中に歯列矯正器具が変形して歯列に対する応圧が低下した場合、歯列矯正器具を歯列から外して温度を高めてもとの形状に戻した後、再び装着することができる。このため、1つの型で歯列を移動させうる距離を大きくできることから、ひいては歯列矯正器具の型の数を減らすことができる。
また、本発明者らは、ポリメタクリル酸エステル系樹脂に脂肪族アルコールが含まれてなる形状記憶樹脂において、脂肪族アルコールの含有量を制御することにより、形状記憶樹脂の粘弾特性(瞬間弾性率、遅延弾性率、粘性率等をいう)を容易に制御することができることを見出し、本発明の形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法を完成した。
すなわち、本発明の形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法は、ポリメタクリル酸エステル系樹脂に脂肪族アルコールが含まれてなる形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法であって、該脂肪族アルコールの含有量を制御することによって該形状記憶樹脂の粘弾特性を制御することを特徴とする。
脂肪族アルコールの制御範囲は4重量%以上50重量%未満の範囲で所望の粘弾特性となるように制御することが好ましい。
また、脂肪族アルコールは炭素数が1以上10以下であることが好ましい。炭素数が10を超える脂肪族アルコールを添加した場合、形状記憶性能が発揮され難くなる。この原因については明確にはなっていないが、脂肪族アルコールの単位重量あたりの水酸基の数が少なくなることに起因するものと考えられる。また、炭素数が小さい脂肪族アルコールほど、樹脂から蒸発して散逸し易くなる。また、炭素数が1のメタノールは毒性があり、生体適合材料には反することとなる。以上を勘案すれば、さらに好ましいのは炭素数が2〜8の脂肪族アルコールであり、最も好ましいのは炭素数が3〜5の脂肪族アルコールである。
また、ポリメタクリル酸エチル系樹脂としては、ポリメタクリル酸エチルと、メタクリル酸エチルとを重合開始剤とともに混合して重合させた共重合物を用いることができる。さらには、ポリメタクリル酸エチル系樹脂として、ポリメタクリル酸エステル系樹脂はポリメタクリル酸エチルと、アルカンジオールジメタクリレートと、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルとを重合開始剤とともに混合して重合させた共重合物を用いることもできる。この場合には、形状記憶性能と共に、優れた耐変色性を付与することができる。
弾性歪み及び永久歪みの測定における工程図である。 各実施例及び比較例における弾性歪みを示すグラフである。 各実施例及び比較例における永久歪みを示すグラフである。 実施例4−1の形状記憶樹脂成形物についての浸漬時間と縦方向の形状回復率との関係を示すグラフである。 実施例4−1の形状記憶樹脂成形物についての浸漬時間と横方向の形状回復率との関係を示すグラフである。 実施例4−1の形状記憶樹脂成形物についての37,50,60℃における各時間の縦方向の形状回復率のアレニウスプロットである。 浸漬時間と活性化エネルギーとの関係を示すグラフである。 粘弾性試験において粘弾性3要素で表される等価回路で表した固体モデルである。 粘弾性試験における時間と応力との関係を示すグラフである。 実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物の時間と応力との関係を示すグラフである。 実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物の瞬間弾性率を示すグラフである。 実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物の遅延弾性率を示すグラフである。 実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物の粘性率を示すグラフである。 実施例1−1及び比較例1−1の重合した日のFTIR測定結果を示すグラフである。 実施例1−1及び比較例1−1の重合した日から30日経過後のFTIR測定結果を示すグラフである。 実施例1−1、2−1、3−1、4−1及び比較例1−1の形状記憶樹脂成形物の水中保存における重量変化を示すグラフである。 実施例1−1、2−1、3−1、4−1及び比較例1−1の形状記憶樹脂成形物の水中保存における1日目及び2日目の圧縮弾性率を示すグラフである。 マウスピース型の歯列矯正器具の図面代用写真である。 正常な歯列を有するタイポドントの図面代用写真である。 歯列前歯部に叢生(異常歯列)を有するタイポドントの図面代用写真である。 歯列前歯部に叢生(異常歯列)を有するタイポドントにマウスピース型の歯列矯正器具を装着した状態の図面代用写真である。 歯列矯正後のタイポドントの図面代用写真である。
本発明の形状記憶樹脂は、ポリメタクリル酸エステルと、アルカンジオールジメタクリレートと、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルとの共重合体に脂肪族アルコールが4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれている。
このうち、アルカンジオールジメタクリレートは2つメタクリロイロキシ基を有するため、ポリメタクリル酸エチルどうしを架橋する架橋剤としての役割を果たし、形状記憶樹脂が3次元網目構造をとることとなり、機械的強度に優れた樹脂となるとともに、樹脂の化学的安定化に寄与し、着色を防ぐ。このような架橋剤としては、例えばジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
また、メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルは可塑剤としての役割を担い、樹脂に適度な柔軟性を付与させることができる。メタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステルとして、具体的にはジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
上記の架橋剤成分、可塑剤成分及び脂肪族アルコールを適宜、所定量加えることにより、所望の硬さ及び所望の柔軟性を有する形状記憶樹脂とすることができる。
本発明の形状記憶樹脂の用途としては、例えば歯科用の矯正材料として、歯列矯正用のマウスピースとしたり、ワイヤー式の歯列矯正器具のワイヤー材料としたり、巻き爪防止用の矯正材料として爪に貼り付けたりすることができる。これにより、歯列を矯正したり、巻き爪を矯正したりすることができる。
また、これらの歯列矯正器具によれば、装着中の変色も少ないため、審美性に優れた歯列矯正器具となる。また、装着後に歯列矯正器具が変形しても、これを取り外して温かい湯につけたり、暖かい飲料を飲む等して変形をもとに戻すことができる。このため、1つの歯列矯正器具で長い距離の歯列の移動が可能となり、ひいては、必要な歯列矯正器具の数を減らすことができる。
以下に、本発明を具体化した実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、まず以下のようにして粉末Aと、溶液Bとを調製した。
1)粉末Aの調製
粉末Aはポリエチルメタクリレート(以下「PEMA」ということがある)2.96gと、過酸化ベンゾイル0.036g(1.2%)とを混合したものであり、株式会社松風研究所開発部製である。
2)溶液Bの調製
メタクリロイロキシエチルコハク酸メチル(以下「TA」という)0.76gとジメタクリル酸1,6へキサンジオール1.13g(以下「HX」という)とを混合し、さらにN、N―ジメチル―p―トルイジンを0.75%添加した溶液を用意した。なお、この溶液は株式会社松風研究所開発部製のものを使用した。
さらに、1−ブタノール0.21g(関東化学株式会社製)を添加してよく混合したものを溶液Bとした。
3)重合
上記のようにして調製した粉末A及び溶液Bを高さ12 mm、直径6mmの有底円筒容器に入れ、混合して重合させて実施例1−1の形状記憶樹脂成形物とした。また、同様にして高さ20mm、直径13mmの有底円筒容器に入れ、混合して重合させて実施例1−2の形状記憶樹脂成形物とした。
(実施例2〜4及び比較例1)
実施例2では1−ブタノールの添加量を0.47gとし、実施例3では0.81gとし、実施例4では1.26gとし、その他については実施例1と同様にして溶液Bを調製し、さらには実施例1−1と同様にして高さ12mm、直径6mmの形状記憶樹脂成形物(実施例2−1〜4−1)及び高さ20mm、直径13mmの形状記憶樹脂成形物(実施例2−2〜4−2)を作製した。
また、比較例1では1−ブタノールを添加せず、その他については実施例1と同様にして溶液Bを調製し、さらには実施例1−1と同様にして高さ12mm、直径6mmの形状記憶樹脂成形物(比較例1−1)及び高さ20mm、直径13mmの形状記憶樹脂成形物(比較例1−2)を作製した。
表1に実施例1〜4及び比較例1の形状記憶樹脂についての組成をまとめて示す。
Figure 0005794503
(実施例5〜8)
実施例5〜8では、実施例1〜4におけるポリエチルメタクリレート(PEMA)の替わりに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた。その他については実施例1と同様であり、説明を省略する。
(比較例2〜5)
比較例2〜5では、ポリエチルメタクリレート(PEMA)3gと、エチルメタクリレートモノマー2gと、過酸化ベンゾイル0.036gとを混合し、さらには、メタノールを比較例2は0.21g、比較例3は0.47g、比較例4は0.81g、比較例5は1.26gを加えて混合し、高さ12 mm、直径6mmの有底円筒容器に入れ、混合して重合させて比較例2〜5の形状記憶樹脂成形物とした。
(比較例6〜9)
比較例6〜9では、比較例2〜5におけるメタノールに替えてエタノールを用いた。その他は比較例2〜5と同様であり説明を省略する。
(比較例10〜13)
比較例10〜13では、比較例2〜5におけるポリエチルメタクリレート(PEMA)に替えてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた。その他は比較例2〜5と同様であり説明を省略する。
(比較例14〜17)
比較例14〜17では、比較例10〜13におけるメタノールに替えてエタノールを用いた。その他は比較例10〜13と同様であり説明を省略する。
(比較例18)
比較例18では、樹脂中に含まれる1−ブタノールの添加量を50重量%とし、その他については実施例1と同様とした。
(比較例19)
比較例19では、樹脂中に含まれる1−ブタノールの添加量を50重量%とし、その他については実施例5と同様とした。
(評 価)
上記実施例1〜4及び比較例1の形状記憶樹脂成形物について、弾性歪み、永久歪み、形状回復率、粘弾性試験、赤外分光分析(FT-IR)、経時的重量変化及び圧縮弾性率の測定を行った。また、実施例1〜4及び比較例2〜5の形状記憶樹脂組成物について肉眼観察による色彩の比較を行った。以下に、その詳細を述べる。なお、比較例18及び比較例19については、流動性を有する共重合体なり、弾性歪み、永久歪み、形状回復率、粘弾性試験及び圧縮弾性率の測定を行うことが困難であったため、試験を行わなかった。
<弾性歪み及び永久歪みの測定>
実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物について、定荷重歪み試験機を用い、室温下における弾性歪み及び永久歪みを求めた。
測定方法は、図1に示すように、まず、プランジャー(100 gf / cm2)を実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例2−1の形状記憶樹脂成形物に載せ、30秒経過した時のダイアルゲージのメモリをA(mm)と記録し、さらに30秒経過後、900 gf / cm2の応力を10秒間で静かに加えた(合計1.000 gf / cm2 ) 20秒経過後ダイアルゲージの目盛りをB(mm)と記録してから、900 gf / cm2の負荷を除去した。そして、60秒経過後、ダイアルゲージの目盛りをC(mm)と記録し、下記式1より弾性歪みを求め、下記式2より永久歪みを求めた。
弾性歪み(%)={B(mm) - A(mm)} / 試料の高さ(mm)×100・・・・(式1)
永久歪み(%)={C(mm) - A(mm)} / 試料の高さ(mm)×100・・・・(式2)
その結果、図2に示すように、1−ブタノールの添加量が多くなるにつれて、弾性歪み値が上昇した(相関係数R=0.964)。また、永久歪みについても、図3に示すように、1−ブタノールの添加量が多くなるにつれて上昇した(相関係数R=0.989)。
<形状回復率の測定>
実施例4−1の形状記憶樹脂成形物について、万能拭験機(INSTRON4481)を用い、以下の方法によって形状回復率の測定を行った。
すなわち、実施例4−1の形状記憶樹脂成形物を37℃のインキュベーター内で4週間水中保存した後、万能拭験機(INSTRON4481)で高さが1/2となるまで圧縮し、このときの高さH1、直径D0を記録し、試験機から外した後、37℃、50℃及び60℃の恒温槽に1、3、5.7、9分浸漬した後、高さ(H2)及び直径(D2)を計測し、以下の式3及び4より縦方向及び横方向の回復率を求めた。
縦方向の形状回復率(高さ)= (H2 - H1) / (H0 - H1)×100・・・・(式3)
横方向の形状回復率(直径)= (D2 - D 1) / (D 0 - D 1)×100・・・・(式4)
縦方向の形状回復率の結果を図4に示す。この図に示すように、浸漬する時間が1分間においては、37℃では13.4%、50℃では75.7%、60℃では91.3%となった。また、浸漬する時間を9分間とした場合には、縦方向の形状回復率は、37℃は50.2%、50℃及び60℃では約100%であった。すなわち、縦方向の形状回復率は、浸漬する時間が長いほど形状回復率は高く、浸漬する時間が9分間の場合、温度が50℃以上においては、ほぼもとの形状どおりに回復する結果となった。さらには、浸漬する時の温度が高い程、形状回復率が高い結果となった。
また、横方向の形状回復率についても、図5に示すように、縦方向の形状回復率と同様に、浸漬する時間が長いほど形状回復率は高く、浸漬温度が高い程形状回復率が高い結果となった。
以上より、実施例4−1の形状記憶樹脂成形物は、優れた形状記憶機能を有することが分かった。
また、温度と形状回復率との相関を調べるため、37,50,60℃における各時間の縦方向の形状回復率(高さ)からアレニウスプロットを行った。アレニウスの式は下記式5に示す。
k=A・Exp (-E / RT) ・・・・(式5)
k:反応速度定数、E:活性化エネルギー、A:定数、R:気体定数、T;絶対温度
横軸を絶対温度の逆数、縦軸を回復率の対数としたグラフ上に、37,50,60℃の縦方向の形状回復率をプロットし、この3点の1次近似式の傾きから活性化エネルギーを求めた。
37℃、50℃及び60℃における各時間の縦方向の形状回復率のアレニウスプロットを図6に示す。アレニウスプロットは、浸漬する時間が1分、3分、5分、7分及び9分のいずれにおいても全て直線にはならず、変曲点があることが分かった。さらには、図7に示すように、活性化エネルギーは浸漬する時間が長くなるほど低くなることが分かった (相関係数r=-0.919)。
<粘弾性試験>
実施例1−2、2−2、3−2、4−2及び比較例1−2の形状記憶樹脂成形物を37℃のインキュベーター内に24時間水中保存した後、万能試験機(INSTRON4481)を用い、瞬時に2.0mmの初期変位を与え、15分間の応力の変化を記録した。パラメータ解析には図8に示す粘弾性3要素で表される等価回路を固体モデルとして用いた。また、粘弾性試験におけるパラメータは、以下の3つとした。
瞬間弾性率:E1+E2
遅延弾性率:E2
粘性率:η
(E1、E2はそれぞれA1、A2の弾性率を表し、ηはBの粘性率を示す)
図9に示した粘弾性試験において、荷重により2.0mm変位させた直後の時間をt=0とし、その時の初期応力をσ0、荷重を負荷してから900秒後の応力をσ900、初期歪みをε0とすると、歪み付与直後においては、粘弾性部分を表現するダッシュポットBは作動せず、初期応力は、σ0 = (E1 + E2)ε0となる。900秒後の応力はσ900 = E2・ε0となる。σ0及びσ900は測定により、ε0は試料の高さから変位させた量を除することにより求め、それぞれを式に代入することによって、E1及びE2を算出した。ηは下記式6より算出した。全ての試験において各試料はn=5とし、統計解析はコントロール群と実験群の比較はt検定を行い、群間内の比較はボンフェローニ法による多重比較検定を行った。
σ= E2・ε0 + E1・ε0exp { - (E1 /η) t }・・・・(式6)
粘弾性試験の結果を図10に示す。この図から、実施例1−2、2−2、3−2、4−2の形状記憶樹脂成形物は、荷重60秒後までに応力がほとんど消失することが分かった。これに対し、1-ブタノールを添加していない比較例1−2では、荷重60秒後までに応力が急激に下がるものの、それ以降はあまり下がらなくなった。
また、瞬間弾性率(E1+E2)については、図11に示すように、1−ブタノールの添加量が増えるほど、低下した(相関係数r=-0.962)。
さらに、遅延弾性率E2については、図12に示すように、1―ブタノールの添加量が増えるほど、低下した。(相関係数r=-0.980 但し共に遅延弾性率に対して片側常用対数で処理した。)。
また、粘性率ηについては、図13に示すように、1−ブタノールの添加量が増えるほど低下した(相関係数r=-0991 但し共に粘性率に対して片側常用対数で処理した。)。
<フーリエ変換型赤外分光 (FT―IR)測定>
1-ブタノールの添加量の最も多い、実施例4-1の形状記憶樹脂成形物及び1-ブタノールを添加しなかった比較例1−1の形状記憶樹脂成形物について、重合した日及び重合から30日目の試料のFT―IRスペクトルを測定した。測定試料はKBr錠剤法によって調製し、フーリエ変換赤外分光光度計(Diamond-20)を用い、積算回数は32回とした。
重合した日の測定結果を図14に、重合から30日後の測定結果を図15に示す。図14及び図15に示す結果から、実施例4−1及び比較例1−1のいずれも、0日目と30日目との間において経時的な変化は認められなかった。この結果から、1―ブタノールを添加してもエステル交換反応等の化学反応は起こらず、形状樹脂中に1−ブタノールが存在している状態であることが示唆された。
<経時的な重量変化の測定>
実施例1−1、2−1、3−1、4−1及び比較例1−1の形状記憶樹脂成形物をそれぞれ小瓶の中に入れ、開口状態にてインキュベーターで37℃に保ったまま水中にて保存した。そして、24時間毎に28日間、重量を電子計量機で計測し、その変化を求めた。
結果を図16に示す。1−ブタノールを全く添加していない比較例1−1は時間経過に関わらず、重量は一定値を示した。一方、1−ブタノールを添加した実施例1−1、2−1、3−1、4−1は、時間の経過とともに重量が減少し、1−ブタノールの添加量が多いほど重量の減少は顕著であった。また、実施例1−1、2−1、3−1、4−1は、5日目以降は減少率が小さくなったが、28日目においても、一定値とならず、漸次減少傾向を示した。
<圧縮弾性率の測定>
実施例1−1、2−1、3−1、4−1及び比較例1−1の形状記憶樹脂成形物を37℃のインキュベーター内に24時間水中保存した後、万能試験機(INSTRON4481)(cross head speed 1 mm / min)を用いて圧縮試験を行い、応力歪み曲線を得、それから圧縮弾性率(MPa)を求めた。
また上記と同様の条件で、2週間水中保存した実施例1−1、2−1、3−1、4−1及び比較例1−1の形状記憶樹脂成形物について、圧縮弾性率の測定を行った。
結果を図17に示す。始めに、24時間水中保存した実施例1−1、2−1、3−1及び4−1は比較例1−1に比べて、圧縮弾性率が著しく低かった。また、2週間水中保存した実施例1−1、2−1、3−1及び4−1も同様に、比較例1−1に比べて、圧縮弾性率が著しく低かった。(24時間水中保存した後の相関係数r = -0.957、2週間水中保存した後の相関係数r = -0.924であった。但し、共に圧縮弾性率に対して片側常用対数で処理。)
また、24時間水中保存した比較例1−1の圧縮弾性率は、2週間水中保存した比較例1−1の圧縮弾性率と、あまり差はなかった。これに対して、24時間水中保存した実施例1−1、2−1、3−1及び4−1の圧縮弾性率は、2週間水中保存した実施例1−1、2−1、3−1及び4−1の圧縮弾性率に比べて著しく低かった。
<色彩の比較>
実施例1〜8及び比較例2〜17の形状記憶樹脂組成物について、肉眼観察による色彩の比較を行った。その結果、表2に示すように、実施例1〜8の形状記憶樹脂組成物は無色透明であるのに対し、比較例2〜17の形状記憶樹脂組成物は褐色不透明であった。
Figure 0005794503
<マウスピース型の歯列矯正器具の作製>
マウスピース型の歯科矯正用装置を作製した。以下に詳細をついて述べる。
(形状記憶樹脂の調製)
形状記憶樹脂は以下のとおりであり、実施例4で調製した組成と同じである。
1)粉末Aの調製
粉末Aはポリエチルメタクリレート2.96gと、過酸化ベンゾイル0.036gとを混合したものであり、株式会社松風研究所開発部製である。
2)溶液Bの調製
TA0.76gとHX1.13gとを混合し、さらにN、N―ジメチル―p―トルイジンを0.75%添加した溶液を用意した。なお、この溶液は株式会社松風研究所開発部製のものを使用した。
さらに、1−ブタノール1.26g(関東化学株式会社製)を添加してよく混合したものを溶液Bとした。
3)成形
上記粉末Aを溶液B中に入れてよく混合した後、正常な歯列を有するタイポドント(株式会社ニッシン製)(図19参照)を型としてタイポドント上に流し込み、硬化終了後、タイポドントから硬化した樹脂成形物を外し、これをマウスピース型の歯列矯正器具とした(図18)。
(歯列矯正のモデル試験)
続いて、上記のようにして作製したマウスピース型の歯列矯正器具を用いて、歯列矯正のモデル試験を行った。まず、歯列前歯部に叢生(異常歯列)を有するタイポドント(株式会社ニッシン製)を作製し(図20)、これに、上記のマウスピース型の歯列矯正器具を装着し(図21)、48℃の温水に5分間浸水した。5分後、温水から取り出し、マウスピース型の歯列矯正器具をタイポドントから取り外し、前歯の移動量を以下に示す方法で測定した。
(前歯移動量の測定方法)
デジタルカメラにより、歯が歯肉に挿入されている軸の方向から撮影し、前歯移動量を写真上で実測した。撮影は、正常歯列のタイポドントの歯列(T0)、叢生を施したタイポドントの歯列(T1)及び5分間温水に浸漬した後のタイポドントの歯列(T2)について行った。そして、撮影したT0、T1及びT2の写真を重ね合わせ、上顎左右中切歯、及び切歯の移動距離を計測し、下記数式によって上顎左右中切歯、及び切歯の移動率を求めた。
Figure 0005794503
(測定結果)
5分間温水に浸漬した後のタイポドントの写真代用図面を図22に示す。この図から、外観上、歯列は正常な状態になっていることが分かった。また、上顎左右中切歯及び側切歯の移動率の測定結果は約61.2%となった。この移動率は、形状記憶樹脂を用いないマウスピース型の歯列矯正器具よりもはるかに大きな移動率であった。このことから、この実施例のマウスピース型の歯列矯正器具は、1つの型で歯列を大きく移動させることができるという特性を有しており、少ない型で歯列の矯正が可能であることが分かった。
上記形状記憶樹脂を用いたマウスピース型の歯列矯正器具では、マウスピースの全体を同じ形状記憶樹脂で作製したが、必要なところ(例えば、歯列矯正を行いたい箇所)のみに形状記憶樹脂を用い、他の部分は通常の樹脂を用いてもよい。こうであれば、歯列矯正に係る負荷が必要なところのみにかかるため、装着による違和感を最小限にとどめることができる。
さらには、歯列矯正の移動距離にあわせて、箇所ごとに性能の異なる形状記憶樹脂を用いてもよい。
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

Claims (8)

  1. ポリメタクリル酸エステルと、炭素数が3〜10のアルカンジオールのメタクリル酸ジエステルと、下記構造式(1)で示されるメタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステル(ただし、R 、R 及びR は炭素数が1〜6のアルキレン基を示す。)との共重合体に脂肪族アルコールが4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれていることを特徴とする形状記憶樹脂。
    Figure 0005794503
  2. ポリメタクリル酸エステルと、炭素数が4〜8のアルカンジオールのメタクリル酸ジエステルと、下記構造式(1)で示されるメタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステル(ただし、R は炭素数が2又は3のアルキレン基を示し、R は炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、R は炭素数が1又は2のアルキレン基を示す)との共重合体に脂肪族アルコールが4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の形状記憶樹脂。
    Figure 0005794503
  3. ポリメタクリル酸エステルと、メタクリル酸1,6−ヘキサンジオールと、メタクリロイロキシエチルコハク酸メチルとの共重合体に脂肪族アルコールが4重量%以上50重量%未満の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の形状記憶樹脂。
  4. 前記脂肪族アルコールは炭素数が1以上10以下のアルコールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の形状記憶樹脂。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれか1項の形状記憶樹脂を用いたことを特徴とする歯列矯正器具。
  6. 矯正前の歯列を矯正後に所望の位置へ誘導するため、所定の位置に所定の形状を有する凹部を備え、該凹部を該矯正前の歯列に被せて歯列矯正を行うことを特徴とする請求項5記載の歯列矯正器具。
  7. ポリメタクリル酸エステルと、炭素数が3〜10のアルカンジオールのメタクリル酸ジエステルと、下記構造式(1)で示されるメタクリロイロキシアルキルジカルボン酸エステル(ただし、R 、R 及びR は炭素数が1〜6のアルキレン基を示す。)とを重合開始剤とともに混合して重合させた共重合物に脂肪族アルコールが含まれてなる形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法であって、
    該脂肪族アルコールの含有量を制御することによって該形状記憶樹脂の粘弾特性を制御することを特徴とする形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法。
    Figure 0005794503
  8. 前記脂肪族アルコールは炭素数が1以上10以下であることを特徴とする請求項7記載の形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法。
JP2012529570A 2010-08-16 2011-08-08 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法 Expired - Fee Related JP5794503B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012529570A JP5794503B2 (ja) 2010-08-16 2011-08-08 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010181511 2010-08-16
JP2010181511 2010-08-16
JP2011028328 2011-02-14
JP2011028328 2011-02-14
PCT/JP2011/068065 WO2012023454A1 (ja) 2010-08-16 2011-08-08 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法
JP2012529570A JP5794503B2 (ja) 2010-08-16 2011-08-08 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012023454A1 JPWO2012023454A1 (ja) 2013-10-28
JP5794503B2 true JP5794503B2 (ja) 2015-10-14

Family

ID=45605110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012529570A Expired - Fee Related JP5794503B2 (ja) 2010-08-16 2011-08-08 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5794503B2 (ja)
WO (1) WO2012023454A1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02232212A (ja) * 1989-03-06 1990-09-14 Sumitomo Chem Co Ltd 形状記憶性樹脂および成形体
JPH09235329A (ja) * 1996-03-01 1997-09-09 Yoshihito Osada 形状記憶材料
JPH11302493A (ja) * 1998-04-23 1999-11-02 Tokai Rubber Ind Ltd 形状記憶用樹脂組成物およびそれを用いた形状記憶製品
JP2002529759A (ja) * 1998-10-29 2002-09-10 アラーガン・セイルズ・インコーポレイテッド ポリマー組成物から製造される眼用レンズ本体
JP2006506471A (ja) * 2002-05-02 2006-02-23 ユニバーシティ オブ コネチカット 不定形形状記憶ポリマー
JP2006513286A (ja) * 2003-01-08 2006-04-20 ネモサイエンス、ゲーエムベーハー 感光性高分子網目

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02232212A (ja) * 1989-03-06 1990-09-14 Sumitomo Chem Co Ltd 形状記憶性樹脂および成形体
JPH09235329A (ja) * 1996-03-01 1997-09-09 Yoshihito Osada 形状記憶材料
JPH11302493A (ja) * 1998-04-23 1999-11-02 Tokai Rubber Ind Ltd 形状記憶用樹脂組成物およびそれを用いた形状記憶製品
JP2002529759A (ja) * 1998-10-29 2002-09-10 アラーガン・セイルズ・インコーポレイテッド ポリマー組成物から製造される眼用レンズ本体
JP2006506471A (ja) * 2002-05-02 2006-02-23 ユニバーシティ オブ コネチカット 不定形形状記憶ポリマー
JP2006513286A (ja) * 2003-01-08 2006-04-20 ネモサイエンス、ゲーエムベーハー 感光性高分子網目

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011054664; YAKACKI Christopher M., GALL Ken, LIKOS Roxanne (MedShape Solutions, Georgia), YAKACKI Christopher M: 'Shape-Memory Polymer Networks with Fe3O4 Nanoparticles for Remote Activation' J Appl Polym Sci Vol.112 No.5, 20090605, Page.3166-3176 *
JPN6011054666; 中川恵介, 猪股克弘, 杉本英樹, 中西英二(名古屋工大 大学院): '側鎖にPEG鎖を有するアクリル系高分子の形状記憶能と粘弾性特性' 高分子加工技術討論会講演要旨集 Vol.20th 冊子体, 20081020, Page.67-68 *

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2012023454A1 (ja) 2013-10-28
WO2012023454A1 (ja) 2012-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2379001B1 (en) Preformed malleable dental articles and methods
Vouvoudi et al. Dynamic mechanical properties of dental nanofilled light-cured resin composites: Effect of food-simulating liquids
Mahross et al. Effect of silver nanoparticles incorporation on viscoelastic properties of acrylic resin denture base material
KR101144055B1 (ko) 치과용 성형체 및 치과용 수지재료
JP5700339B2 (ja) 医療用樹脂組成物及びその製造方法並びに医療用キット
JP2010209113A5 (ja)
JP5892518B2 (ja) 歯科用成形体
Park et al. Changes in properties of short‐term‐use soft liners after thermocycling
Jadhav et al. Comparative evaluation of the amount of the residual monomer in conventional and deep-frozen heat cure polymethylmethacrylate acrylic resin: An: in vitro: study
JP6076475B2 (ja) 重合性混合組成物、該混合組成物の用途、及び歯科補綴物
JP5794503B2 (ja) 形状記憶樹脂及びそれを用いた歯列矯正器具、並びに形状記憶樹脂の粘弾特性の制御方法
CA2644158A1 (en) Polyfunctional compounds and uses as implant materials
Landayan et al. Effect of aging on tear strength and cytotoxicity of soft denture lining materials; in vitro
Fonseca et al. Do new matrix formulations improve resin composite resistance to degradation processes?
US20190249286A1 (en) Biodegradable magnesium alloy and manufacturing method therefor
WO2006077944A1 (ja) 医療用樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法
Masuda et al. Development of an orthodontic elastic material using EMA-based resin combined with 1-butanol
JP6966468B2 (ja) 硬質の組成物を含むバランスのとれた義歯系
Al-Ameer Effect of thermocycling on some mechanical properties of polyamide hypoallergenic denture base material (comparative study)
Inoue et al. Influence of monomer content on the viscoelasticity, water sorption and solubility of experimental fluorinated soft lining materials
Pongpat et al. Mechanical Properties of Curved Nickel-Titanium Orthodontic Archwires Prepared by Cold Bending and Heat Bending Techniques
Al-Somaiday et al. Comparing the shear bond strength with acrylic teeth, hardness, surface roughness and cost-benefit of three different denture base materials
JP2019210345A (ja) ポリマー材料および眼内レンズ
Ghoveizi et al. Comparative study of flexural strength of four acrylic resins before and after the thermocycling process
Koike et al. Mechanical properties of orthodontic wires on ceramic brackets associated with low friction ligatures

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150707

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5794503

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees