JP5794177B2 - 鋼管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管の製造方法に係り、特に、鋼板の冷間成形によって製造される鋼管の製造方法に関する。
建築構造物等に鋼板を製管した鋼管が使用されている。この鋼管の機械的性質は、製管の際の加工履歴の影響、または加工後に熱処理を行う場合には熱履歴の影響により、元の鋼板の機械的性質とは違ったものになる。そこで、鋼管の機械的性質を所望の範囲に収めるためには、元の鋼板の機械的性質と、鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量を考慮しなければならない。しかし、建築構造物などに使用される鋼管のサイズは多様であり、所定のサイズの鋼管の量産を開始する度に、鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量を確認して鋼板の機械的性質の必要範囲を定めるのでは時間とコストがかかるという問題がある。
鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量を考慮した製造方法に関する技術として、特許文献1には、プレスベンド冷間成形円形鋼管の製造方法に関する技術が提案されている。特許文献1によれば、厚鋼板を円形鋼管に成形した後に、所定の機械的特性を有する鋼管が得られるとされている。
特開2007−270304号公報
特許文献1で開示された技術を用いても、各種製造条件において機械的性質の目標値を安定的に満足する鋼管を得ることは難しい。
本発明は、このような従来技術の問題を解決するため、機械的性質の目標値を安定的に満足する鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特に鋼板から鋼管を製造する際における機械的性質変化量の予測精度について鋭意検討を行い、予測精度を向上させる条件を調査して、本発明を完成させた。本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示す鋼管の製造方法にある。
(1)鋼板に冷間成形を施して鋼管を製造するに際し、
製管による鋼材の機械的性質変化量の予測値Δσ、鋼板の炭素含有量、板厚、機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される3種以上を含むパラメータを用いて計算することにより算出し、
予測精度設定値Sを求め、
下記(i)式を満足するような鋼板およびその製造方法ならびに製管条件の組合せを選択し、製管することを特徴とする鋼管の製造方法。
σ−Δσ+S≦σ≦σ−Δσ−S ・・・(i)
なお、(i)式中の各記号の意味は下記の通りである。
σ:製管後の機械的性質の目標値の上限
σ:製管後の機械的性質の目標値の下限
σ:鋼板の機械的性質
ただし、機械的性質は、降伏強度または引張強度である。
(2)機械的性質変化量の予測値Δσを、鋼板の炭素含有量、板厚機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される種以上を含むパラメータを用いて計算することを特徴とする前記(1)に記載の鋼管の製造方法。
(3)機械的性質変化量の予測値Δσ を、鋼板の炭素含有量、板厚、機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される5種以上を含むパラメータを用いて計算することを特徴とする前記(1)に記載の鋼管の製造方法。
(4)機械的性質変化量の予測値Δσを下記(ii)式で計算することを特徴とする前記(1)〜(3)に記載の鋼管の製造方法。
Δσ={k(1+k・C)(1+k・t+k・t)(1+k・T)(1+k・T)(ε+k・ε)+k・T+k・T }(1+k10・σ) ・・・(ii)
なお、(ii)式中の各記号の意味は下記の通りである。
C:母材鋼板の炭素含有量(質量%)
t:母材鋼板の板厚(mm)
σ:母材鋼板の機械的性質
:焼戻し温度(℃)
ε:1/4tの曲げ歪(%)
:応力除去熱処理温度(℃)
〜k10:係数
なお、本発明における機械的性質とは、降伏強度YS(N/mm)および引張強度TS(N/mm)を指し、機械的性質変化量とは、降伏強度変化量ΔYS(N/mm)および引張強度変化量ΔTS(N/mm)を指す。
本発明で製造された鋼管は、鋼管の機械的性質の目標値を満足する。また、本発明の鋼管の製造方法を用いることにより、所定のサイズの鋼管の量産を開始する度に、鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量を確認して鋼板の機械的性質の必要範囲を定める必要がなく、時間とコストが省略できる。
本発明に係る鋼管の製造方法は、冷間成形により鋼板から鋼管を製造するものである。この際、鋼板に冷間で曲げ加工を施すと、その加工条件に応じて加工歪が増大し、機械的性質が変化する。なお、本発明における機械的性質とは、降伏強度YS(N/mm)、引張強度TS(N/mm)、降伏比YR(%)、伸び(%)、シャルピー吸収エネルギー(J)等を指す。加工条件に応じた機械的性質の変化量が予め分かれば、変化量だけ低い機械的性質を有する鋼板を用いて冷間加工を施し鋼管を製造することによって、目標とする機械的性質を有する鋼管を製造することができる。
この際、機械的性質変化量の実測値Δσは、母材鋼板の化学組成、サイズ、製管条件等に応じて異なるため、鋼管の量産を開始する度に測定することは、時間とコストの浪費につながるため好ましくない。そこで、機械的性質変化量の予測値Δσを用いる。
ただし、機械的性質変化量の予測値Δσを使用するに際して、その予測精度が低く誤差が大きいと、得られた鋼管の機械的性質が目標値の上限と下限との間から外れるおそれがあるため、予測精度設定値Sを考慮する必要がある。予測精度設定値Sは、後述する予測式の精度確認結果を参照して、予測誤差の絶対値の最大値以上の値とする。
本発明に係る鋼管の製造方法では、製管後の鋼管の機械的性質の目標値の上限をσ、下限をσとし、製管前の鋼板の機械的性質をσとした時に、下記の(i)式を満足するような鋼板およびその製造条件ならびに製管条件の組合せを選択し、製管する。
σ−Δσ+S≦σ≦σ−Δσ−S ・・・(i)
これにより、機械的性質の目標範囲を満足する鋼管を確実に得ることができる。以下、本発明の各要件についてより詳しく説明する。
1.機械的性質変化量の予測値
鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量の予測値Δσは、様々なパラメータから計算ができる。中でも、鋼板の炭素含有量、板厚および機械的性質、鋼板の製造条件である焼戻し温度、ならびに製管条件である曲げ歪および応力除去熱処理温度は、予測値Δσの計算に大きな影響を与える。
これらのパラメータを複数用い、予測式に用いるパラメータの数を変化させて予測値Δσを計算するとともに予測精度を確認した。予測精度は、機械的性質変化量の予測値Δσと実測値Δσとの差を誤差とし、その絶対値で評価した。表1にその結果を示す。表1における予測値Δσの計算および予測精度の評価においては、引張強度440N/mm級の鋼管のデータを用いている。表1に示すように、これらのパラメータのうち3種以上を用いて予測値Δσを計算した場合の予測精度誤差は2種のパラメータを用いて予測値Δσを計算した場合の予測精度誤差に比べ、格段に向上していることが分かる。
本発明の鋼管の製造方法では、鋼板から鋼管を製造する際の機械的性質変化量の予測値Δσを、鋼板の炭素含有量、板厚および機械的性質、鋼板の製造時における焼戻し温度、ならびに製管条件である曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される3種以上を含むパラメータを用いて計算することが好ましい。上記から選択される4種以上を含むパラメータを用いて計算することがより好ましく、5種以上を含むパラメータを用いて計算することがさらに好ましく、6種全てを含むパラメータを用いて計算することが最も好ましい。
機械的性質変化量の予測値Δσは、下記の(ii)式で計算するのが好ましい。
Δσ={k(1+k・C)(1+k・t+k・t)(1+k・T)(1+k・T)(ε+k・ε)+k・T+k・T }(1+k10・σ) ・・・(ii)
なお、Cは鋼板の炭素含有量(質量%)、tは鋼板の板厚(mm)、σは鋼板の機械的性質、Tは焼戻し温度(℃)、εは1/4tの曲げ歪(%)、Tは応力除去熱処理温度(℃)であり、k〜k10は係数である。
上記の(ii)式中における炭素含有量C、板厚t、機械的性質σ、焼戻し温度T、曲げ歪ε、応力除去熱処理温度Tのうち、パラメータとして選択しない場合には、数値0を入力すれば良い。また、焼戻し温度、応力除去熱処理温度のパラメータにおいては、実施ありの場合は熱処理温度を、なしの場合は数値0を入力する。
曲げ歪εの値は、1/4tにおける値で代表させるのが好ましい。板厚中心を中立軸とした場合、鋼管(直径D、板厚t)の1/4tの曲げ歪量εは、(iii)式となる。中立軸の位置は正確には板厚中心ではなく少し内側であるが、本発明における予測式精度の観点からは中立軸の詳細な位置計算は不要である。
ε=t/{2(D−t)} ・・・(iii)
〜k10は係数であるが、これらの係数は、例えば鋼管の製造に関する既知のデータを用いて予測精度が良好になるように最小二乗法を用いて決定すれば良い。
2.予測精度設定値
予測精度設定値Sは、予測式の精度確認結果を参照して、誤差の絶対値の最大値以上の値に設定すれば良く、予測誤差の絶対値の最大値に余裕代を設けた値とするのが好ましい。例えば、予測誤差の絶対値の最大値の4割を余裕代とし、予測精度設定値Sを設定する。表1のパラメータ数6の例では、予測の誤差の最大値は14N/mmであるから、予測精度設定値Sは14N/mmに4割程度の余裕代を設け、20N/mmとすれば良い。余裕代は、予測誤差の絶対値の最大値の7割とすることがより好ましく、10割とすることがさらに好ましい。
3.鋼の化学組成
本発明の鋼管の素材となる鋼の化学組成については特に制限はないが、化学組成は以下の元素を基本元素として含有し、残部がFeおよび不純物であることが好ましい。さらに、強度、靭性などを向上させるための任意添加元素として、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ti、B、Ca、Mg、REMおよびSn等を含有しても良い。なお、以下の化学組成における各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.19%
Cは、鋼の強度を高める元素である。この効果を得るために、C含有量は0.03%以上とすることが好ましい。しかし、Cの含有量が0.19%を超えると、靱性の低下や溶接割れが起こりやすくなる。よって、C含有量は0.03〜0.19%とすることが好ましい。C含有量は0.06%以上とすることがより好ましく、0.16%以下とすることがより好ましい。
Si:0.01〜0.60%
Siは、脱酸作用を有し、また鋼の強度を高める元素である。この効果を得るために、Si含有量は0.01%以上とすることが好ましい。しかし、Siの含有量が0.60%を超えると、母材および溶接熱影響部の靱性が悪化する。よって、Si含有量は0.01〜0.60%とすることが好ましい。Si含有量は0.05%以上とすることがより好ましい。また、Si含有量は0.45%以下とすることがより好ましく、0.30%以下とすることがさらに好ましい。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、鋼の強度、靱性を高める作用を有する。この効果を得るために、Mn含有量は0.5%以上とすることが好ましい。しかし、その含有量が2.0%を超えると、溶接割れが起こりやすくなる。このため、Mnの含有量は0.5〜2.0%とすることが好ましい。Mnの含有量は1.0%以上とすることがより好ましく、1.2%以上とすることがさらに好ましい。また、Mnの含有量は1.7%以下とすることがより好ましく、1.6%以下とすることがさらに好ましい。
P:0.04%以下
Pは、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、靱性を悪化させる元素である。そのため、P含有量は0.04%以下とすることが好ましい。P含有量は0.02%以下とすることがより好ましく、0.01%以下とすることがさらに好ましい。
S:0.04%以下
Sは、鋼材中に不純物として不可避的に存在し、靱性に有害な元素である。そのため、S含有量は0.04%以下とすることが好ましい。S含有量は0.01%以下とすることがより好ましく、0.005%以下とすることがさらに好ましく、0.003%以下とすることがさらに好ましい。
なお、不純物とは、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
4.製造方法
鋼管の製造にあたってはまず鋼板を用意する必要がある。鋼板は上記で説明した化学組成を有する鋼片または鋼塊を用いて、例えば以下のような加熱、圧延を行うことで製造することができる。なお、以下の各温度は、被圧延材の代表位置(例えば中央部)における表面温度を意味する。
圧延前の加熱温度は、鋼材の熱間圧延を容易に行うため、950℃以上とすることが好ましく、1050℃以上とするのがより好ましい。この温度で圧延前の加熱を行えば、炭窒化物の固溶が促進するなどの効果が得られ、強度および靱性が向上する。ただし、加熱温度が高すぎると、オーステナイト結晶粒が粗大化して靱性が劣化することがある。したがって、加熱温度は1250℃以下とするのが好ましく、1150℃以下とするのがより好ましい。
圧延は、900℃以下の温度域における合計圧下率が20%以上となる条件で行うことが好ましい。これにより、製品の組織を微細化することができ、良好な靱性を確保することが容易になる。900℃以下の温度域における合計圧下率は40%以上とするのがより好ましい。ここで、「900℃以下の温度域における合計圧下率」とは、{(900℃に達した時点の厚さ)−(圧延仕上厚さ)}/(900℃に達した時点の厚さ)×100(%)を意味する。さらに、圧延仕上温度は、700℃以上とすることが好ましい。これにより、圧延荷重を小さくすることができ、良好な形状を確保することが容易になる。圧延仕上温度は、740℃以上とすることがより好ましく、780℃以上とすることがさらに好ましい。
圧延後に加速冷却を適用することにより、強度、靱性を改善できる効果があるので加速冷却を適用しても良い。水冷開始温度が高すぎると降伏比が高くなりすぎる場合があり、また、水冷開始温度が低すぎると強度、靱性を改善できる効果が得られない。そのため、水冷開始温度の望ましい範囲は、650〜780℃である。また、水冷停止温度が高すぎると強度、靱性を改善できる効果が得られない。そのため、水冷停止温度の上限は550℃以下とすることが好ましく、300℃以下とすることがより好ましい。
圧延、冷却後の鋼板をさらに熱処理することによって強度および靱性を調整しても良い。
再加熱焼入れ(Q熱処理)を行う場合、加熱温度が高すぎると靱性が低下する場合があり、加熱温度が低すぎると強度の増加効果が得られない場合があるので、加熱温度の上限は1000℃以下とすることが好ましく、800℃以上とすることが好ましい。
2相域への再加熱および焼入れ(L熱処理)を行うことによって、特に降伏比を低下させることができる。加熱温度はオーステナイトとフェライトの2相域に調整する必要がある。
焼戻し(T熱処理)を行うことによって、特に靱性を改善できる場合がある。焼戻し温度が低すぎると靱性の改善効果が得られない場合があり、また、温度が高すぎると強度の低下が大きくなるので、焼戻し温度の望ましい範囲は、350〜650℃である。焼戻し温度範囲は、380〜500℃とすることがより望ましい。
上記の方法で得られた鋼板を管状に冷間加工し、継目を溶接することで鋼管が得られる。製管はプレスベンド製管またはUOE製管で行えば良い。プレスベンド法では、鋼板を型に対して押しつけて曲げ加工し、順次押しつけ位置を移動させて円筒状に成形し、溶接を行う。大きさによっては、2枚の厚鋼板を半円筒状に成形し2シーム溶接する場合もある。UOE製管法では、エッジ部をスケール除去した圧延鋼板(素材)に対しUプレスを行ってU形に成形し、さらにOプレスを行ってO形に成形して円筒状に成形し、その後に端部である継目を突き合わせて、仮付溶接、内面溶接および外面溶接を行い、さらに必要に応じて拡管を行う。
ここで、溶接方法としては、CO溶接やサブマージアーク溶接など、一般に知られている方法を使用すれば良い。製管後は、さらに応力除去熱処理(SR処理)を行っても良い。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表2に示すC含有量を有する鋼No.1〜7の厚さ300mmの鋼片を連続鋳造法により作製した。鋼片のSiおよびMnの含有量はそれぞれ0.20〜0.30%、1.35〜1.55%に調整し、不純物として存在するPおよびSの含有量をそれぞれ0.015%以下、0.005%以下に抑えた。その他、強度等を向上させるために、0.5%以下のCu、0.5%以下のNi、0.5%以下のCr、0.3%以下のMo、0.06%以下のV、0.03%以下のNb、0.03%以下のTi、0.002%以下のB、0.003%以下のCa、0.06%以下のAl、0.006%以下のNを含有させた。
この鋼片を表2に示す条件で加熱し、熱間圧延し、一部の鋼片に対しては、加速冷却や熱処理を行って鋼板を作製した。得られた各鋼板について、板厚方向1/4位置から、試験片の軸が圧延方向に対して平行になるように採取した丸棒引張試験片(JIS4号)を用いて、室温で引張試験を実施し、降伏強度YS(0.2%耐力)および引張強度TSを求めた。
一方、鋼板から表3および4に記載する鋼管径厚比(D/t)、応力除去熱処理温度(Tr)にて鋼管を製造する際の降伏強度、引張強度の変化量の予測値(ΔYS、ΔTS)、鋼管の降伏強度、引張強度の予測値を前記の(ii)式と表5の係数表を用いて計算した。予測値の計算には、6つのパラメータ全てを用いた。曲げ歪量εは(iii)式で計算した。予測精度設定値Sは、表1のパラメータ数6の結果(予測の誤差の最大値14)から4割程度余裕を持たせて、20(≒14×1.4)とした。
さらに表3および4に示す条件でプレスベンド製管した鋼管の母材部の板厚方向1/4位置から、試験片の軸が鋼管長手方向(圧延方向)に対して平行になるように採取した丸棒引張試験片(JIS4号)を用いて、室温で引張試験を実施し、降伏強度YS(0.2%耐力)および引張強度TSを求めた。なお、降伏強度の目標値の上下限は、それぞれYS:620N/mmおよびYS:440N/mmであり、引張強度の目標値の上下限は、それぞれTS:740N/mmおよびTS:590N/mmとした。
(ii)式を用いれば、機械的性質変化量を予測することができる。この予測値Δσを用いることで、表3および4に示すように、予め製管後の機械的特性を予測して素材となる鋼板およびその製造条件ならびに製管条件を決定すれば、目標となる機械的特性を満足する鋼管を製造することができる。
鋼No.1の鋼板を用いて製管した試験No.1〜6において、直接焼入れ(DQ)により製造した鋼板を用いた試験No.1〜3では、応力除去熱処理温度を600℃としたもののみが上記(i)式を満足し、オーステナイト域への再加熱焼入れおよび2相域への再加熱焼入れ(QL)により製造した鋼板を用いた試験No.4〜6では、応力除去熱処理温度を550℃および600℃としたときに(i)式を満足した。そして、(i)式を満足しない試験No.1、2および4は、目標とする降伏強度および引張強度の双方を得ることができなかった。
同様に、試験No.7〜13に示すように、(i)式を満足する条件が見つかれば、その鋼板および鋼板の製造条件ならびに製管条件により鋼管を製造すれば良い。
このように、本発明により予め製管後の機械的特性を予測して適切な鋼板および製造条件の組合せを決定すれば、求める機械的特性を有する鋼管を製造することができる。
本発明によれば、機械的性質の目標値を満足する鋼管が安定的に得られるので建築構造物などに安全に使用できる。本発明に係る鋼管は、より少ない時間とコストで得ることができる。

Claims (4)

  1. 鋼板に冷間成形を施して鋼管を製造するに際し、
    製管による鋼材の機械的性質変化量の予測値Δσ、鋼板の炭素含有量、板厚、機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される3種以上を含むパラメータを用いて計算することにより算出し、
    予測精度設定値Sを求め、
    下記(i)式を満足するような鋼板およびその製造方法ならびに製管条件の組合せを選択し、製管することを特徴とする鋼管の製造方法。
    σ−Δσ+S≦σ≦σ−Δσ−S ・・・(i)
    なお、(i)式中の各記号の意味は下記の通りである。
    σ:製管後の機械的性質の目標値の上限
    σ:製管後の機械的性質の目標値の下限
    σ:鋼板の機械的性質
    ただし、機械的性質は、降伏強度または引張強度である。
  2. 機械的性質変化量の予測値Δσ を、鋼板の炭素含有量、板厚、機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される4種以上を含むパラメータを用いて計算することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の製造方法。
  3. 機械的性質変化量の予測値Δσ を、鋼板の炭素含有量、板厚、機械的性質、焼戻し温度、曲げ歪および応力除去熱処理温度から選択される5種以上を含むパラメータを用いて計算することを特徴とする請求項1に記載の鋼管の製造方法。
  4. 機械的性質変化量の予測値Δσを下記(ii)式で計算することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼管の製造方法。
    Δσ={k(1+k・C)(1+k・t+k・t)(1+k・T)(1+k・T)(ε+k・ε)+k・T+k・T }(1+k10・σ) ・・・(ii)
    なお、(ii)式中の各記号の意味は下記の通りである。
    C:母材鋼板の炭素含有量(質量%)
    t:母材鋼板の板厚(mm)
    σ:母材鋼板の機械的性質
    :焼戻し温度(℃)
    ε:1/4tの曲げ歪(%)
    :応力除去熱処理温度(℃)
    〜k10:係数
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