JP5794149B2 - 色彩濃度測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、反射特性測定装置に関し、特に、その測定結果から、印刷物のインク濃度および色彩値を求める色彩濃度計として好適に用いられる反射特性測定装置に関する。そして、本発明は、このような反射特性測定装置を含む反射特性測定システムに関する。
印刷物に関し、通常、印刷品質の管理、例えば不良品の判別が行われている。この印刷品質の管理では、作業者によって印刷機から適宜に印刷物が抜取られ、この印刷物の本来の印刷領域における外に形成されたCMYK(シアン、マゼンダ、イエロ、ブラック)のテストパッチにおける反射特性が色彩濃度計によって測定され、これによって印刷品質の管理が行われている。この印刷品質は、インク濃度で管理され、その濃度は、ISO5−4に準じて測定される。
図8は、印刷試料面の測定方法を説明するための図である。図8(A)は、印刷直後の状態を示し、図8(B)は、充分時間が経過した後を示す。インク濃度は、図8に示すように、試料面Isの法線に対して45度方向からの照明光Ilによって試料面Isを照明し、法線方向の反射光を受光系Dで受光する45°:0°ジオメトリー、または、これら照明方向および受光方向を入れ替えた0°:45°ジオメトリーによって測定される。
ここで、印刷直後では、図8(A)に示すように、インク層Ikが乾燥していないため、紙Pの表面Psにおける凹凸を、インク層Ikが埋め合わせるので、インク層Ikの表面(前記試料面Is)は、平滑になる。このため、インク層Ikの表面(前記試料面Is)での反射光Ssは、法線に対し−45度方向に正反射され、法線方向の受光系Dに入射する成分を持たない。一方、インク層Ikに入射した照明光の成分は、紙Pに到達し、その内部で拡散された後、一部が表面Psから拡散放射され、再びインク層Ikを通り、表面(前記試料面Is)から拡散放射(図中、破線矢印で示す)される。この拡散光は、インクによって着色されており、その法線成分Dpが受光系Dに入射する。
これに対して、インク層Ikが乾燥すると、図8(B)に示すように、紙Pの表面Psに沿って、インク層Ikの表面Isにも凹凸が生じる。このため、インク層Ikの表面(前記試料面Is)で乱反射が生じ、インクによって着色されていない表面からの乱反射光(図中、2点鎖線矢印で示す)の法線成分Dsが、着色された拡散光の法線成分Dpとともに受光系Dに入射する。つまり、観察される乾燥後の印刷面からの反射光は、インク層Ikの内部からの着色された拡散光(破線矢印で示す)と、インク層Ik表面からの照明光Ilの分光特性をほぼ維持した乱反射光とを重畳した光である。このため、乾燥後の濃度は、印刷直後の濃度より低くなり、この現象は、ドライダウンあるいはドライバックと呼ばれる。
したがって、印刷中の濃度変化に迅速に対応して、前記不良品の発生を抑えるためには、印刷直後の濃度を測定する必要があるが、上記ドライダウンのために、印刷直後の濃度と、直接、乾燥状態の基準サンプルの濃度とを比較することができない。
そこで、上記ドライダウンの影響を排除して、印刷直後の濃度と乾燥状態の基準サンプルの濃度とを比較することができるように、照明系と受光系との光路に、偏光方向が互いに直交する偏光板を、表面反射除去フィルタとして挿入して濃度測定を行う技術がある(例えば、特許文献1や特許文献2等)。紙P内での拡散によって偏光が解消されている着色拡散光の法線成分Dpのおよそ半分は、受光系の偏光板を通過して受光される一方、表面反射光は、照明光の偏光特性が維持されているために、受光系の偏光板でブロック(遮光)される。これら技術は、このような現象を利用したものである。こうして、インク層Ikの表面(前記試料面Is)の状態に拘わらず、表面反射光の影響を排除することによって、乾燥状態でも、印刷直後と同様の濃度を得ることができる。
図9は、そのような表面反射光の影響を排除して濃度(反射)特性の測定を行うことができる色彩濃度計100の構造を示すブロック図である。この色彩濃度計100は、印刷物の試料101に照明光を照射して、その分光反射特性を測定し、インク濃度および色彩値を求めるものである。そのために、色彩濃度計100は、白色LED102と、円筒面鏡103と、反射鏡104aと、対物レンズ104とを備える45°a:0°ジオメトリー(a:annular)の照明受光系を備えている。この照明受光系では、先ず白色LED102の放射光102aが、一部を切り欠いて形成される円筒面鏡103で反射され、試料101の測定面101sが、その測定面法線からの角度45度で略全方位から照明され、測定面101sからの反射光の法線方向の成分102bは、反射鏡104aおよび対物レンズ104を介して分光装置106に入射される。この反射光の分光分布を測定するこの45°a:0°ジオメトリーは、試料101の測定面101sの異方性の影響を抑えることができ、最も一般的に採用されている。
そして、この照明受光系には、前記表面反射光の影響を排除するために、円筒面鏡103と試料101の測定面101sとの間に、表面反射除去フィルタ109がさらに設けられている。一方、乾燥後の印刷製品の目視評価に相関するべき色彩値は、目視評価と同様、表面反射光を加味して測定する必要がある。このため、濃度と色彩値との双方を測定する色彩濃度計は、前記表面反射光の影響を排除するかおよび加味するかのいずれの測定目的に応じて、表面反射除去フィルタ109を着脱する必要がある。その場合、着脱を容易にするためには、表面反射除去フィルタ109を測定開口100aに近い位置に配置することが望ましい。
そして、分光装置106の測定結果は、演算制御部107に入力され、前記表面反射光の影響を排除した分光反射率係数Rse(λ)(se:specular excluded)および加味した分光反射率係数Rsi(λ)(si:specular included)に変換される。さらに、演算制御部107は、それらの分光反射率係数Rsi(λ)やRse(λ)を、色彩値や濃度に変換するとともに、外部インターフェース108を通じて、パーソナルコンピュータ等の外部機器と通信を行う。また、演算制御部107は、駆動回路102dを通じて、白色LED102を点灯駆動する。
米国特許第4961646号公報 特開2001−158083号公報
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、取扱いが簡単で、かつ小型の構成で、表面反射光を除去あるいは加味した分光反射率係数を測定可能な色彩濃度測定システムを提供することである。
本発明にかかる色彩濃度測定システムは、偏光板と、前記偏光板と試料面との間に配置され、透過した照明光束の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長である移相板とを備える。このため、このような構成の色彩濃度測定システムは、取扱いが簡単で、かつ小型の構成で、表面反射光を除去あるいは加味した反射特性を測定することができる。
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
実施形態における反射特性測定装置の一例である色彩濃度計の構造を模式的に示すブロック図である。 図1に示す色彩濃度計における表面反射光阻止の原理を説明するための図である。 図2における表面反射除去フィルタの配置位置を説明するための模式的な断面図である。 図1に示す色彩濃度計の具体的な一構成例を示す断面図である。 第1および第2の開口部材の断面を模式的に示す図である。 図9に示す45°a:0°ジオメトリーの色彩濃度計に適した表面反射除去フィルタの一構成例を示す正面図である。 図6に示す表面反射除去フィルタの配置位置を説明するための模式的な断面図である。 印刷試料面の入反射光を説明するための図である。 図8に示す印刷試料面における表面反射光の影響を排除して濃度(反射)特性の測定を行うことができる従来技術の色彩濃度計の構造を模式的に示すブロック図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
図1は、実施形態における反射特性測定装置の一例である色彩濃度計の構造を模式的に示すブロック図である。この色彩濃度計10は、45°a:0°ジオメトリーで、印刷物の試料1に照明光を照射して、その分光反射特性を測定し、インク濃度および色彩値を求めるものである。より具体的には、色彩濃度計10は、白色LED2と、円筒面鏡3と、反射鏡4aと、対物レンズ4と、表面反射除去フィルタ5と、分光装置6と、演算制御部7と、外部インターフェース8と、測定開口9aを備え、これら白色LED2、円筒面鏡3、反射鏡4a、対物レンズ4、表面反射除去フィルタ5、分光装置6、演算制御部7および外部インターフェース8をその内部に収容する筐体9とを備えている。この色彩濃度計10は、白色LED2の放射光2aは、一部を切り欠いて形成される円筒面鏡3で反射されて、試料1の測定面1sを面法線からの角度45度で略全方位から照明するように構成されている。
そして、表面反射除去フィルタ5が無い場合には、色彩濃度計10は、測定面1sからの反射光の法線方向の成分2bは、反射鏡4aおよび対物レンズ4を介して分光装置6に入射させるように構成されている。この分光装置6には、インクおよび紙内部からの拡散反射光と、表面(散乱)反射光とを含んだ反射光が入射され、その分光分布Isi(λ)が測定される。その測定結果は、演算制御部7に入力され、前記表面反射光を含む分光分布Isi(λ)は、表面反射光の影響を加味した分光反射率係数Rsi(λ)に変換される。
一方、インク乾燥後のドライバックの影響を排除するべく、本実施の形態では、円筒面鏡3および反射鏡4aと試料1の測定面1sとの間には、表面反射除去フィルタ5が介在される。すなわち、表面反射除去フィルタ5が有る場合には、色彩濃度計10は、測定面1sからの反射光の法線方向の成分2bは、表面反射除去フィルタ5、反射鏡4aおよび対物レンズ4を介して分光装置6に入射させるように構成されている。これによって、この分光装置6では、表面反射を除去した試料1の反射光の分光分布Ise(λ)が測定され、演算制御部7では、表面(散乱)反射光を除去したインクおよび紙内部からの拡散反射光のみから成る分光反射率係数Rse(λ)が求められる。
演算制御部7は、それらの分光反射率係数Rsi(λ)やRse(λ)を、色彩値や濃度に変換するとともに、外部インターフェース8を通じて、パーソナルコンピュータ等の外部機器と通信を行う。そして、演算制御部7は、駆動回路2dを通じて、白色LED2を点灯駆動する。
濃度および色彩値の算出方法は、以下の通りである。先ず、色彩値の基準となる三刺激値X,Y,Zは、下記、式1に示すように、試料1の分光反射率係数R(λ)と、照明光の分光分布I(λ)と分光感度s(λ)との積和Sによって求められる。
S=∫I(λ)・R(λ)・s(λ)dλ ・・・(1)
ここで、分光感度s(λ)には、CIEが規定する標準観察者の等色関数x(λ),y(λ),z(λ)が用いられ、各々に対応して積和Sは、三刺激値X,Y,Zに対応する。また、印刷試料の色彩測定には、CIEが規定する標準イルミナントD50を照明光とすることが推奨されている。
そして、前記色彩値は、下記、式2および式3に示すように、白色基準面での分光反射率係数Rw(λ)について同様に求められた積和Swとの比Rから求められる。
Sw=∫I(λ)・Rw(λ)・s(λ)dλ ・・・(2)
R=S/Sw ・・・(3)
一方、濃度Dは、印刷用紙の非印刷面を白色基準として、下記、式4に示すように、同様に求められた反射率係数Rsから求められる。
D=−log(1/Rs) ・・・(4)
ここで、分光感度s(λ)にはISO5−33等で規定する分光感度r(λ),g(λ),b(λ),v(λ)が用いられ、各々に対応して、濃度Dr,Dg,Db,Dvが求められる。また、印刷試料の濃度測定には、CIEが規定する標準イルミナントAを照明光とすることが推奨されている。
上述のように構成される色彩濃度計10において、本実施形態では、表面反射除去フィルタ5は、偏光板5aと、その試料1の測定面1s側に配置した移相板5bとを、相互に貼り合わせて、一体に構成されている。そして、移相板5bは、移相量が1/4波長、すなわち90°に形成されている。したがって、移相板5bを透過した照明光束2a2の位相変化と受光光束2b1の位相変化との合計は、1/2波長(180°)となる。より厳密には、前記照明系ではx°の位相変化とすると、受光系では180−x°の位相変化となり、大まかには前記のように、照明系で90°、受光系で90°の位相変化となる。これによって、移相板5bから偏光板5aへの入射光2b1は、偏光方向が偏光板5aと直交する直線偏光となる。
したがって、白色LED2の放射光2aは、偏光板5aを透過することで直線偏光2a1となり、さらに移相板5bを透過し、90°の位相差が生じることで、円偏光に近い楕円偏光2a2となって試料1の測定面1sを照明する。その照明光2a2による試料反射光の法線方向の成分2bの内、図2において参照符号Dsで示す表面反射光は、インクIk等の試料表面Isでの反射によって回転方向が反転した略円偏光となって移相板5bに入射する。そして、移相板5bによって、さらに90°の位相差が生じるので、偏光板5aには、偏光方向が偏光板5aの偏光方向と直交する直線偏光となって入射し、表面反射光Dsは、偏光板5aによって阻止される。
これに対して、前記試料反射光の法線方向の成分2bの内、図2において参照符号Dpで示す試料内部からの反射光は、試料内部で散乱されて、偏光が解消されている。このため、移相板5bを通過しても、偏光板5aの偏光方向と一致する成分があり、図1において参照符号2b2で示す該成分が偏光板5aを透過する。こうして、本実施形態の色彩濃度計10は、ドライバック等の表面反射光の影響を除去することができる。
このように構成することによって、45°:0°ジオメトリーや0°:45°ジオメトリー等(45°a:0°ジオメトリーおよび0°:45°aジオメトリーも含む)で分光反射特性を測定する場合に、照明系と受光系との光束を区分する必要がない。このため、一対の偏光板5aおよび移相板5bから成る表面反射除去フィルタ5は、前記照明系と受光系とに共通に挿入することができ、色彩濃度計10の筐体9における測定開口9aに近い位置、特に図3で示すように照明光束と受光光束とが空間的に重複する位置Bに配置することが可能になり、色彩濃度計10、特に円筒面鏡3を小型化することができる。また、このような構成の色彩濃度計10は、表面反射除去フィルタ5の着脱を容易に行うことができるとともに、半径方向のズレの許容量も大きくすることができ、取扱いが簡単になる。
例えば、前述の特許文献1から想到される表面反射除去フィルタの一構成例と比較すると次の通りである。図6は、前記45°a:0°ジオメトリーに適した表面反射除去フィルタ109の一構成例を示す正面図である。この図6に示す例は、前述の特許文献1から想到されるものである。この表面反射除去フィルタ109は、互いに偏光方向が直交する照明用の偏光板PF1と受光用の偏光板PF2とが、それぞれ周辺と中央とに、不透過帯109aを挟んで同心円状に配置されて構成されている。
そして、図7から明らかなように、不透過帯109aおよび直交する偏光板PF2,PF1が、それぞれ照明および受光光束を遮らないためには、これらの偏光板PF2,PF1は、照明および受光光束が空間的に重複しない、図7で言えばフィルタ位置Aより高い位置にある必要があり、それより下方の、照明および受光光束が重複する位置、例えば前記フィルタ位置Bにあると、照明光束の半分近くを遮ってしまう。したがって、前記表面反射除去フィルタ109を測定開口100aに近い位置に形成することが困難になり、着脱が煩雑になってしまう。
また、図7から明らかなように、フィルタ位置が高くなるほど、照明光束の径は、大きくなり、それに応じて表面反射除去フィルタ109も円筒面鏡103も大型化してしまう。そして、それに伴って照明受光系、さらには色彩濃度計100全体が大型化してしまう。さらに、照明および受光光束が望まざる方向の偏光板PF2,PF1をそれぞれ透過しないためには、表面反射除去フィルタ109の半径方向についても正確な位置決めが必要になる。例えば、偏光板PF1の内径が5mm、受光光束の径が4mmの場合、許容できる表面反射除去フィルタ109の半径方向のズレは、±0.5mm程度に小さい。
したがって、本実施形態の表面反射除去フィルタ5を採用することにより、色彩濃度計10の筐体9における測定開口9aに近い位置(例えばフィルタ位置B等)に配置することが可能になり、色彩濃度計10、特に円筒面鏡3を小型化することができる(前述の図6で示す従来の表面反射除去フィルタ109では、より高いフィルタ位置Aにしか配置できず、円筒面鏡3が大型である)。また、このような構成の色彩濃度計10は、表面反射除去フィルタ5の着脱を容易に行うことができるとともに、半径方向のズレの許容量も大きくすることができ、取扱いが簡単になる。
また、前記照明系および受光系の幾何学的配置が、印刷濃度に関する各種の規格に準じる45°:0°ジオメトリーまたは0°:45°ジオメトリー(45°a:0°ジオメトリーおよび0°:45°aジオメトリーを含むものとする)であることによって、このような構成の色彩濃度計10は、前記規格に準じる濃度を測定することができるとともに、表面反射の影響を幾何学的にも抑制することができる。
また、表面反射除去フィルタ5を構成する偏光板5aと移相板5bとは、個別に分離されていてもよいが、本実施形態の表面反射除去フィルタ5のように偏光板5aと移相板5bとを積層して一体に構成することによって、上述のように表面反射除去フィルタ5を照明系と受光系とに共通に挿入することができ、特に図3で示すように、照明光束と受光光束とが空間的に重複する位置に配置することが可能になる。このため、偏光板5aと移相板5bとを積層して一体化することで、表面反射除去フィルタ5の小径化が可能となり、この結果、色彩濃度計10をより小型化することができる。また、このように偏光板5aと移相板5bとを積層して一体化することで、表面反射除去フィルタ5の取り付け機構を単純化することができ、さらにその積層を互いの接着で実現することで、それらの界面での反射損失を抑えることもできる。さらにまた、前記接着工程も、個々の表面反射除去フィルタについて、図6で示すような同心の偏光板PF1,PF2を、その偏光方向が直交するように貼り合せるような煩雑な工程ではなく、2枚の板またはシートを、所定の方向関係を維持して貼り合せるだけの簡単な作業である。このため、予め、貼り合わせた板またはシートから、多数の表面反射除去フィルタを切り出すことで表面反射除去フィルタ5を低コスト化、例えばコストを半分程度に削減することができる。
なお、偏光板5aと移相板5bとを一体化する場合に、接着ではなく、リング等によるかしめ止め等が用いられてもよい。
図4は、上述のように構成される色彩濃度計10の具体的な一構成例である色彩濃度計10aを示す断面図である。この色彩濃度計10aは、図1に示す色彩濃度計10に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この色彩濃度計10aは、掌大のハンディタイプの色彩濃度計である。そして、この色彩濃度計10aは、前記45°a:0°ジオメトリーの照明受光光学系を採用しているが、白色LED2と分光装置6への光取出しの配置とが、図1とは反対となっている。より詳しくは、白色LED2は、試料1の測定面1sの直上に設けられておらず、側方に設けられており、測定面1sとは、反対方向に放射された光2aは、凹面鏡2cを介して測定面1sの直上に導かれ、45度の平面鏡2mで反射されて測定面1s方向に放射される。平面鏡2mからの照明光2aは、トロイダル鏡3aで反射され、表面反射除去フィルタ5を介して、試料1の測定面1sを面法線からの角度45度で略全方位から円錐状に照明する。測定開口9aの径は、約5mmであり、測定面1sの測定域の径は、約4mmである。
一方、前記測定域からの試料面法線方向の反射光は、対物レンズ4bで収束され、光ファイバ4cの入射端に入射する。この光ファイバ4cは、偏光板5aを通過して入射された偏光成分2b2の偏光を解消するために数回巻回されており、出射端から円筒状の分光部6aに導かれて、分光分布が測定される。分光部6aでは、光ファイバ4cの出射端から放射された光は、凹面回折格子に照射され、得られた各分光成分が、フォトダイオードアレイで受光されて分光分布が求められる。分光部6a上には、駆動回路2dおよび演算制御部7として機能する集積回路等を搭載するボード11が配置される。
この色彩濃度計10aは、パーソナルコンピュータ(PC)と連動するPC連動タイプを示しており、外部にコネクタが臨む外部インターフェース8からUSBケーブル等を介して、パーソナルコンピュータから通電および測定の指示が行われ、また測定結果がパーソナルコンピュータで表示される。パーソナルコンピュータと連動しない単独タイプの場合には、前記外部インターフェース8に代えて、電池および測定結果の表示装置等が搭載される。
このように構成される色彩濃度計10aにおいて、その筐体9における測定開口9aを有する開口部材9bは、ねじ込み式、或いは嵌め込み式等で、着脱自在となっている。開口部材9bは、底板9cおよびその外周の側壁9dとを有する皿状に形成され、底板9cの中央部に測定開口9aが形成されている。底板9cは、表面反射除去フィルタ5の搭載部9eを有し、この搭載部9eに表面反射除去フィルタ5が搭載されることで前記表面反射光の影響を除去した分光反射率係数Rse(λ)を測定することができ、表面反射除去フィルタ5を搭載しないことで前記表面反射光の影響を加味した分光反射率係数Rsi(λ)を測定することができる。
表面反射除去フィルタ5は、搭載部9eと円筒面鏡3aの下面との間で挟持される。表面反射除去フィルタ5は、搭載部9eに接着等で固定され、前記表面反射光の影響を除去するか、または加味するかに応じて、表面反射除去フィルタ5を備える開口部材9bと備えない開口部材9bとが交換されてもよく、或いは、表面反射除去フィルタ5は、前記表面反射光の影響を除去する場合には開口部材9bに嵌め込まれ、加味する場合には取外されるように構成されてもよい。
いずれにしても、前述のように、測定開口9aおよび表面反射除去フィルタ5は、小径であるので、開口部材9bおよび照明受光系を小型化することができる。また、表面反射除去フィルタ5を試料面1s寄りに設けることができるので、開口部材9bおよびそれに搭載される表面反射除去フィルタ5の着脱が容易である。
また例えば、色彩濃度計10aは、表面反射除去フィルタを備える第1の開口部材9b1および透明ガラス板を備える第2の開口部材9b2を備えて構成されてもよい。
図5は、第1および第2の開口部材の断面を模式的に示す図である。図5(A)は、第1の開口部材9b1を示し、図5(B)は、第2の開口部材9b2を示す。第1の開口部材9b1は、図5(A)に示すように、図4に示す開口部材9bと同様の開口部材9bと、表面反射除去フィルタ5とを備えている。表面反射除去フィルタ5は、円形の測定開口9aを覆うように、搭載部9eに固定されている。開口部材9b1は、筐体9のマウント部に係合する突起部(マウント爪)を持ち、容易に取り外しができる。一方、第2の開口部材9b2は、図5(B)に示すように、上記と同じ形状をした、図4に示す開口部材9bと同様の開口部材9bと、透明ガラス板50とを備えている。透明ガラス板50は、円形の測定開口9aを覆うように、搭載部9eに固定されている。透明ガラス板50は、このように上記表面反射除去フィルタ5と同じ位置に取り付けられるとともに、屈折率を考慮して、光学的な測定距離が一致するように透明ガラス板50の厚さが設定されている。これにより、表面反射の影響のある場合と、表面反射の影響のない場合との測定を容易に行うことができるとともに、外部からのホコリや異物の侵入を防ぐこともできる。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかる反射特性測定装置は、所定の方向から試料面を照明する照明系と、照明された試料面反射光の所定方向の光束を受光する受光系と、前記照明系および受光系と試料面との間に配置された表面反射除去フィルタとを備え、前記表面反射除去フィルタは、偏光板と、前記偏光板と試料面との間に配置される移相板とを備え、前記移相板を透過した照明光束の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長である。
上記構成によれば、表面反射除去フィルタが、偏光板と、その試料面側に配置した移相板とで構成されるので、偏光板を透過して直線偏光になった照明光は、移相板を透過して、略円偏光となって試料面を照明する。その照明光による試料面反射光の内、表面反射光は、インク等の試料表面での反射によって回転方向が反転した略円偏光となって移相板に入射する。この移相板によって、照明光の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長(180°)となる、すなわち前記照明系ではx°、受光系では180−x°の位相差、大まかには照明系で90°、受光系で90°の位相差がつくから、偏光板とは偏光方向が直交する直線偏光となって該移相板から射出されるので、前記表面反射光は、偏光板によって阻止される。一方、前記試料反射光の内、試料内部からの反射光は、該試料内部で散乱されて偏光が解消しており、前記移相板を通過しても偏光板の偏光方向と一致する成分が該偏光板を透過する。したがって、このような構成の反射特性測定装置は、ドライバック等の表面反射光の影響を除去することができ、受光光束の特性から前記試料面の表面反射の影響を除去した分光反射特性を求めることができる。
したがって、この構成によれば、45°:0°ジオメトリーや0°:45°ジオメトリー等で分光反射特性を測定する場合に、前記照明系と受光系との光束を区分する必要がない。そして、一対の偏光板および移相板から成る表面反射除去フィルタは、前記照明系と受光系とに共通に挿入することができ、反射特性測定装置の測定開口に近い位置、特に照明光束と受光光束とが空間的に重複する位置に配置することが可能となる。したがって、反射特性測定装置の小型化が可能となる。また、この構成によれば、前記表面反射除去フィルタの半径方向のズレの許容量も大きくすることができる。
また、他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記表面反射除去フィルタは、着脱自在であり、装着状態で前記試料面の表面反射光の影響を除去した測定を可能にし、離脱状態で前記表面反射光の影響を加味した測定を可能にすることである。
上記構成によれば、上述のように表面反射除去フィルタが測定開口に近い位置に設けられるので、このような構成の反射特性測定装置は、着脱自在にしても、その着脱を容易に行うことができ、取扱いが簡単である。
また、他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記照明系および受光系の幾何学的配置は、45°:0°ジオメトリーまたは0°:45°ジオメトリーであって、前記移相板による、入射角45°での位相変化と入射角0°での位相変化との合計は、前記1/2波長である。
上記構成によれば、前記照明系および受光系の幾何学的配置が、印刷濃度に関する各種の規格に準じる45°:0°ジオメトリーまたは0°:45°ジオメトリー(45°a:0°ジオメトリーおよび0°:45°aジオメトリーを含むものとする)であるので、このような構成の反射特性測定装置は、前記規格に準じる濃度を測定することができるとともに、表面反射の影響を幾何学的にも抑制することができる。
また、他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記表面反射除去フィルタは、前記偏光板と移相板とを積層して成る。
上記構成によれば、上述のように表面反射除去フィルタは、照明系と受光系とに共通に挿入することができ、特に照明光束と受光光束とが空間的に重複する位置に配置することが可能になる。このため、前記偏光板と移相板とを積層することによって構成することで、表面反射除去フィルタの小径化が可能となり、この結果、反射特性測定装置のより小型化が可能となる。
また、他の一態様では、これら上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記表面反射除去フィルタは、前記偏光板と移相板とを貼り合せて成る。
このような構成の反射特性測定装置は、前記偏光板と移相板とを積層する場合に、互いに接着して一体とすることによって、それらの界面での反射損失を抑えることができるとともに、表面反射除去フィルタの取り付け機構を単純することもできる。また、このような構成の表面反射除去フィルタは、同心の偏光板を偏光方向が直交するように貼り合せるような煩雑な工程が必要ではなく、2枚の板またはシートを、所定の方向関係を維持して貼り合せるだけで形成することができ、低コスト化が可能となる。
他の一態様にかかる反射特性測定装置は、試料面に対して測定開口部を有する筐体と、所定の方向から前記試料面を照明する照明系と、照明された試料面反射光の所定方向の光束を受光する受光系と、前記測定開口部の近傍に配置され、前記照明系からの光束および前記試料面反射光の光束を透過する表面反射除去フィルタとを備え、前記表面反射除去フィルタは、偏光板と、前記偏光板と試料面との間に配置される移相板とを備え、前記移相板を透過した照明光束の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長である。
このような構成の反射特性測定装置は、ドライバック等の表面反射光の影響を除去することができ、受光光束の特性から前記試料面の表面反射の影響を除去した分光反射特性を求めることができる。そして、このような構成の反射特性測定装置は、45°:0°ジオメトリーや0°:45°ジオメトリー等で分光反射特性を測定する場合に、前記照明系と受光系との光束を区分する必要がない。したがって、一対の偏光板および移相板から成る表面反射除去フィルタは、前記照明系と受光系とに共通に挿入することができ、反射特性測定装置の測定開口に近い位置、特に照明光束と受光光束とが空間的に重複する位置に配置することが可能となる。このため、このような構成では、反射特性測定装置の小型化が可能となる。また、このような構成では、前記表面反射除去フィルタの半径方向のズレの許容量も大きくすることができる。
また、他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記測定開口部は、前記表面反射除去フィルタを脱着可能な状態になるように、前記筐体から取り外し可能に構成される。また、他の一態様では、上述の反射特性測定装置において、好ましくは、前記測定開口部は、前記表面反射除去フィルタが設置されてなり、前記筐体から取り外し可能に構成される。
表面反射除去フィルタが測定開口に近い位置に設けられるので、このような構成の反射特性測定装置は、着脱自在にしても、その着脱を容易に行うことができ、取扱いが簡単である。
また、他の一態様にかかる反射特性測定システムは、反射特性測定装置と、第1の測定開口部と、第2の測定開口部とを備え、前記反射特性測定装置は、試料面の測定領域を決定する測定開口部が脱着可能な筐体と、所定の方向から前記測定開口部を介して試料面を照明する照明系と、照明された試料面反射光の所定方向の光束を受光する受光系とを備え、前記第1の測定開口部は、前記筐体に取り付け可能であって、偏光板と、前記偏光板と試料面との間に配置され、透過した照明光束の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長である移相板とを備え、前記第2の測定開口部は、前記筐体に取り付け可能であって、前記照明系からの照明光束と前記試料面で反射した受光光束を透過する透明保護板を有する。
このような構成の反射特性測定システムは、表面反射の影響のある場合と、それのない場合との測定を容易に行うことができるとともに、外部からのホコリや異物の侵入を防ぐこともできる。
この出願は、2010年2月1日に出願された日本国特許出願特願2010−20649を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明によれば、反射特性測定装置および反射特性測定システムを提供することができる。

Claims (1)

  1. 印刷物の試料の反射特性を測定し、インク濃度および色彩値を求める色彩濃度測定システムであって、
    反射特性測定装置と、第1の測定開口部と、第2の測定開口部とを備え、
    前記反射特性測定装置は、試料面の測定領域を決定する測定開口部が脱着可能な筐体と、前記試料面の法線方向に対して角度を有した方向から前記測定開口部を介して前記試料面を照明する照明系と、照明された試料面反射光の法線方向の光束を受光する受光系とを備え、
    前記照明系および受光系の幾何学的配置は、45°:0°ジオメトリーまたは0°:45°ジオメトリーであり、
    前記第1の測定開口部は、前記筐体のマウント部に取り付け可能であって、前記照明系の照明光束と前記受光系の受光光束とが空間的に重複する位置に配置される表面反射除去フィルタを有し、
    前記表面反射除去フィルタは、偏光板と、前記偏光板と試料面との間に配置され、透過した照明光束の位相変化と受光光束の位相変化との合計が1/2波長である移相板とから成り、前記試料面の表面反射光の影響を除去した測定を可能にし、
    前記第2の測定開口部は、前記筐体の前記マウント部に取り付け可能であって、前記第1の測定開口部と同じ形状をしており、前記照明系からの照明光束と前記試料面で反射した受光光束を透過するよう前記表面反射除去フィルタと同じ位置に配置された透明保護板を有し、
    前記透明保護板は、前記第1の測定開口部が前記マウント部に取り付けられたときと光学的な測定距離が一致するような厚さであり、前記試料面の前記表面反射光の影響を加味した測定を可能にすること
    を特徴とする色彩濃度測定システム。
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