JP5793926B2 - 浄水器用カートリッジ、浄水器および浄水器用カートリッジの製造方法 - Google Patents

浄水器用カートリッジ、浄水器および浄水器用カートリッジの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジ、浄水器および浄水器用カートリッジの製造方法に関するものである。
家庭用浄水器は、安全な美味しい水を得るために、約30年前頃より一般に市販されている。その大半は蛇口直結型のものであるが、他にも蛇口に分岐栓を取り付けてホースを繋ぐ据置型のものや水の自重でろ過を行うものなどがある。
水の自重でろ過を行う浄水器は、原水貯留部の下部にろ材を配し、原水貯留部に溜めた水を、貯留部の水頭差を原動力としてろ材を通過させ、原水貯留部の下部に配した浄水貯留部に溜めるもので、水道蛇口の形状に係わらず、簡便に水道水のろ過を行うことができる。
水の自重でろ過を行う浄水器は、ろ過の原動力が水頭差であり小さいため、スムーズなろ過を行うためにはカートリッジのろ過抵抗を極力低くする必要がある。ろ過抵抗を大きくする要因の1つとして、カートリッジ内部の空気が挙げられる。
カートリッジ上部にはろ材よりも小さい目開きの原水入口を設けており、これによりカートリッジ内部への原水の導入、カートリッジ内部からの空気の排出、カートリッジ外部へのろ材の流出の防止を行っている。しかし、繰り返して使用していると、メッシュが濡れて水膜が張った状態となってしまい、水膜によって空気の排出が妨げられるという問題があった。
この問題に対して特許文献1〜特許文献3の場合では、カートリッジの頂部に空気抜き用の穴を設けることで、カートリッジ内部の空気をこの穴から排出し問題を解決している。ところが、空気抜き用の穴の大きさはある程度の大きさを必要とし、その大きさは原水入口の目開きよりも大きくなる。そのため、空気抜き用の穴の大きさはろ材よりも大きくなることがあり、カートリッジを輸送中あるいは使用中に横に傾けたりするとカートリッジの外部にろ材が流出し、周囲を汚したり、原水側にろ材が逆流するという問題があった。
特開2004−230341号公報 特開2009−125660号公報 特開2005−313163号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、カートリッジ内部の空気を速やかに排出し、且つカートリッジ内部のろ材が外部に流出することのない浄水器用カートリッジ、浄水器および浄水器用カートリッジの製造方法を提供することを目的とする。
ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジであって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面と、前記ケーシングの底部に、前記ろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さい最大長さの目開きを有するフィルタを備え、かつ以下の関係を有することを特徴とする。
L×H>13.5
目開きの最大長さ:L(mm)
ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタ下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)
また、ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジであって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面にフィルタを備え、前記ケーシングの底部にフィルタを備え、かつ以下の関係を有することを特徴とする。
S>600
H>35
ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの上端からの面積:S(mm
ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)
また、カートリッジの前記ケーシングの側面のフィルタの備えられている部分が筒状であると好ましい。
また、前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方が、フィルタ材をインサート成形することにより形成されていると好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材の厚さは、インサート成形前の前記フィルタ材の厚さの80%〜100%であると好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ材は織物であり、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材を構成する繊維の交点における繊維断面の、最小外径の最大外径に対する比率が70%〜100%に保たれていると好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタの外周部分の内側範囲となるフィルタ内側部分は、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分をなしており、前記内側部分のフィルタ材の厚さは、前記外周部分の厚さより10%以上厚い状態に保たれていると好ましい。
また、ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジの製造方法であって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面と、前記ケーシングの底部に、前記ろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さい最大長さの目開きを有するフィルタを備え、かつ以下の関係を有し、前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間を、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%〜200%以下とすることを特徴とする浄水器用カートリッジの製造方法も好ましい。
L×H>13.5
目開きの最大長さ:L(mm)
ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)
また、前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間の設定を、前記一対の金型の少なくとも一方の該当部分の金型面を削って凹形状とすることにより行う前記浄水器用カートリッジの製造方法も好ましい。
また、前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方が、ケーシングに直接形成されていると好ましい。
また、前記カートリッジの側面のフィルタの上方に水平方向の張り出しがあると好ましい。
また、水の自重でろ過を行う浄水器であって、前記カートリッジを搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、ろ材より鉛直方向上部のケーシングの側面にフィルタがあるため、カートリッジ内部の空気をスムーズに排出することができ、ケーシングの底部にフィルタがあるため、ろ過された水をカートリッジ外部に排出することができる。またフィルタの目開きがろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さいため、カートリッジ内部のろ材が外部に流出することがない。目開きの最大長さをL(mm)、ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さをH(mm)としたときに、「L×H>13.5」としているので、カートリッジ内部の空気が水頭差によってフィルタの目開きに張っている水の膜を打ち破り外部に排出する力を加えることができ、カートリッジ内部の空気をスムーズに排出することができる。
ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの上端からの面積をS(mm)、ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さをH(mm)としたときに、「S>600、かつH>35」としているので、カートリッジ内部の空気が水頭差によってフィルタの目開きに張っている水の膜を打ち破り外部に排出する力を加えることができ、カートリッジ内部の空気をスムーズに排出することができる。
カートリッジの側面のフィルタの備えられている部分が筒状であると、部材の成形が容易になるとともに、カートリッジ内部の空気の流れが滞ることなくスムーズになり好ましい。
ケーシングが樹脂成形品であり、ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方に、フィルタ材がインサート成形されていると成形が容易になり好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材の厚さは、インサート成形前の前記フィルタ材の厚さの80%〜100%であると、フィルタの目開きが小さくなることがなく、カートリッジ内部の空気を速やかに排出することができ、好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ材は織物であり、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材を構成する繊維の交点における繊維断面の、最小外径の最大外径に対する比率が70%〜100%に保たれていると、フィルタの目開きが小さくなることがなく、カートリッジ内部の空気を速やかに排出することができ、好ましい。
また、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタの外周部分の内側範囲となるフィルタ内側部分は、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分をなしており、前記内側部分のフィルタ材の厚さは、前記外周部分の厚さより10%以上厚い状態に保たれていると、フィルタの目開きが小さくなることがなく、カートリッジ内部の空気を速やかに排出することができ、好ましい。
また、ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジの製造方法であって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面と、前記ケーシングの底部に、前記ろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さい最大長さの目開きを有するフィルタを備え、かつ「L×H>13.5、目開きの最大長さ:L(mm)、ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)」の関係を有し、前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間を、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%〜200%以下とすると、前記金型による押し当ての弱い部分の厚さは、インサート成形前の前記フィルタ材の厚さの80%〜100%とすることができ、好ましい。
また、前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間の設定を、前記一対の金型の少なくとも一方の該当部分の金型面を削って凹形状とすることにより行う前記浄水器用カートリッジの製造方法を採用すると、凹の削り代(凹の深さ)を調整することで、前記隙間を調整できるので好ましい。
ケーシングが樹脂成形品であり、ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方が、ケーシングに直接形成されていると低コストになり好ましい。
カートリッジの側面のフィルタの上方に水平方向の張り出しがあると、原水を内ケースに注ぐ際に、カートリッジの側面のフィルタのうち張り出しに近い箇所のフィルタには原水が当たりにくくなり、原水が側面のフィルタを覆わない箇所ができるため、カートリッジ内の空気の排出を妨げることがなくなり好ましい。
水の自重でろ過を行う浄水器が、前記カートリッジを搭載していれば浄水の流量が一定になり、ろ材との接触時間を一定にして、安定した吸着性能を維持したままろ過を行うことができ好ましい。
本発明に係るカートリッジ1である。 本発明に係るカートリッジ1の断面図である。 本発明に係るカートリッジ1のフィルタ7に複数のリブ9を設けた一例である。 本発明に係るカートリッジ1のフィルタ7の上方に張り出し10を設けた一例である。 本発明に係るカートリッジ1のフィルタ7に複数のリブ9を設け、複数のフィルタ7Aおよび7Bを設けた一例である。 本発明に係るカートリッジ1に複数のフィルタ7Aおよび7Bを設けた一例である。 本発明に係るカートリッジ1に複数のフィルタ7A、7B、7Cを設けた一例である。 本発明に係るカートリッジ1を搭載した浄水器の概略図である。 本発明に係るカートリッジ1の図3におけるフィルタ7の拡大図である。 本発明に係るカートリッジ1のフィルタ7への金型の押し当てを部分的に弱くした一例である。
以下に本発明の実施形態を図を用いて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、上記本発明の目的を達成できるものであれば良い。
本発明の一実施形態である浄水器用カートリッジを図1および図2に示す。カートリッジ1は、円筒状の筒状部6を有し側面にフィルタ7を有するケーシング上部2、底部にフィルタ8(図示せず)を有するケーシング下部3およびその内部にはろ材4が収容され、ケーシング下部3の外周面に備え付けられた弾性部材5で構成されている。
図2を参照して、本浄水器用カートリッジの使用形態詳細を説明する。
原水はフィルタ7からカートリッジ1の内部に流入し、ろ材4によりろ過され、フィルタ8から浄水として流出される。フィルタ7は、ろ材4のカートリッジ1の外部への流出を防ぎ、カートリッジ内部の空気を外部に排出する役割を果たす。
筒状部6は、図1では円筒状になっているが、略円形状や多角形、楕円の筒でも良い。筒状にすることで、部材の成形が容易になるとともに、カートリッジ内部の空気の流れが滞ることないため、スムーズに外部に排出される。また筒状部の断面積についてはいくらでも良いが、ケーシング下部3の断面積よりも小さいと好ましい。筒状部6の断面積をケーシング下部3の断面積の1/4以下にすると、カートリッジ1を横に傾けた際に、ろ材4が移動しにくくなりさらに好ましい。
水道水中に含まれるトリハロメタンやカビ臭の原因物質である2−MIB(メチルイソボルネオール)などの有機物、水道用鉛配管に由来する鉛などの重金属、殺菌用に含まれる遊離残留塩素や結合残留塩素などを除去する目的としたろ材として、活性炭、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)やチタノケイ酸塩などの金属ケイ酸塩、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム、酸化チタン、イオン交換樹脂を含むイオン交換体、キレート樹脂などのいずれかまたはそれらの組合せが使用される。残留塩素の除去性能が高いことから活性炭が好ましく用いられるが、残留塩素が除去された浄水を長期間保管しておくと細菌の繁殖する恐れがあるため、抗菌材である銀イオンを担持した銀添着活性炭、および/または銀イオンを担持したイオン交換体を含み、通水時に銀イオンを溶出させることがより好ましい。銀イオンの担持量はろ材に対して0.05〜2重量%であると、0.005〜0.1mg/L程度の銀イオン溶出量が得られる。担持量が0.05重量%より少ない場合、銀イオンがほとんど溶出しないか、総通水量が少ないうちに担持したろ材から銀イオンが溶出し尽くす恐れがある。また、担持量が2重量%を越えると、水質基準である0.1mg/L以上の銀イオンが連続して溶出する恐れがあり、好ましくない。さらに好ましくは0.07〜1重量%である。
ここで用いる活性炭の形状は、球状、粉末状、繊維状、顆粒状、破砕状等のいずれでもよいが、繊維状活性炭は通水抵抗が少なく、単位体積当たりの吸着面積はより大きいが、コスト面が課題となる可能性があり、中でも粉末状または粒状が単位体積あたりの吸着面積が大きいため好ましい。また、数種のろ材を複数充填する場合は、それぞれが分級し、性能が安定しない恐れがあるため、一方のろ材の粒度範囲(粒径の最大値と最小値の差)と他ろ材の粒度範囲の比率が100:80〜100:120であることが好ましい。
ろ材の充填量は、ケーシング上部2とケーシング下部3の間に充填できる量であればよいが、カートリッジの組立工程を考えると、ケーシング下部3の容量以下であることが好ましく、ろ過長にあたるろ材の厚みは少なくとも10mm以上、好ましくは15mm以上、さらに好ましくは20mm以上あることが好ましい。ろ材の充填量を多くすればろ過長が長くなるために除去性能が向上するが、通水抵抗が大きくなるために流量が低下する。充填量を少なくすれば通水抵抗が小さくなるために大きな流量を得ることができるが、原水が流入するときの水流によってろ材が流動してへこみが生じ、へこみ部分はろ過長が短くなるために原水がろ材に十分に接触せずに性能が安定しない恐れがある。
大きな流量を得るためには、ろ材の90重量%以上が粒径0.15mm〜2.0mmであることが好ましく、粒径0.18mm〜1.5mmであることがさらに好ましい。0.15mm以上の粒径のろ材を使用することで、通水抵抗を小さくし流量を維持することができる。さらに0.18mm以上のろ材を使用することで、製造中および運搬中に生じるろ材の微粉量増加を抑制することができる。2mm以下の粒径のろ材を使用することで有機物の吸着性能を維持することができる。さらに1.5mm以下の粒径のろ材を使用することで、単位体積当たりの吸着面積を大きくすることができ、最低限のろ材で目的とする除去性能を得ることができる。上記ろ材粒径の規定により、ろ材中の空気がケーシング上部に排出され、安定した流量を得ることができる。なお、ここでいうろ材の90重量%以上の粒径とはJIS K 1474:2007「活性炭試験方法」6.3粒度の測定方法において、試料のふるい通過質量分率をふるい目開きの大きいものから積算したときに90%以上になる粒度範囲である。
フィルタ7が水に濡れていない状態においてはカートリッジ1の内部の空気は、何ら問題なくフィルタ7から排出されるが、カートリッジ1の使用によりフィルタ7が濡れてしまった場合には、表面張力によりフィルタの目開きに水の膜が張ってしまい、これによりカートリッジ1の内部の空気がうまく排出されないことがある。
この現象に対し、カートリッジ1の内部の空気を外部に排出させるためには、表面張力が低下する、あるいはカートリッジ1の内部の空気が水の膜を打ち破り外部に排出するような力が掛かるようにするようにしなければならない。
表面張力を低下させるには、フィルタ7の目開きの最大長さを長くすればよく、カートリッジ内部の空気が水の膜を打ち破り外部に排出するような力が掛かるようにするためには、フィルタ7の鉛直方向の最大長さを長くしてフィルタ7に高い水頭差を加えるようにすればよい。なお、ここでいうフィルタ7の目開きの最大長さとは、目開きの内部に直線を引いた際に最も長くなる長さのことをいう。
フィルタ7の目開きの最大長さは、長ければ長いほどフィルタ7が水に濡れてしまった場合においても表面張力を低くすることができ、カートリッジ1の内部の空気が外部に排出されやすくなり、スムーズなろ過を行うことができるため好ましい。しかし、フィルタ7の目開きの最大長さは長すぎるとカートリッジ1の内部のろ材が外部に流出しやすくなるといった不具合を生じてしまう。
フィルタ7の鉛直方向の長さは、長ければ長いほどカートリッジ1の内部の空気が外部に排出されやすくなり、スムーズなろ過を行うことができるため好ましい。しかし、フィルタ7の鉛直方向の長さは長すぎると、カートリッジ1の最上部が浄水器の蓋に当たり蓋を閉めることができなくなることや、カートリッジ1が大きくなることによるコストの上昇、カートリッジ1のデザイン性を損なう等の不具合を生じてしまう。
そこで、フィルタ7の目開きの最大長さをL(mm)、フィルタ7の下端から上端までの鉛直方向の長さをH(mm)としたときに、
L× H >13.5
となるようにすると、カートリッジ1の内部の空気が外部に排出されやすく、またカートリッジ1の鉛直方向の長さが長すぎることやフィルタ7の目開きの最大長さが長すぎるといったことによる不具合が生じなくなり好ましい。前記L×Hの値が「>15」であると流量のばらつきが小さくなり、より好ましい。ここでフィルタ7の下端から上端までの鉛直方向の長さHとは、フィルタ7が複数あるばあい、鉛直方向にもっとも低いものの下端から最も高いものの上端までの鉛直方向の長さ(高さ)をいう。また、L(フィルタ7の目開きの最大長さ)は、ろ材が輸送中および使用中にフィルタから漏出しないように、ろ材の90重量%の粒度範囲の最低値よりも小さいことが好ましく、さらに好ましくはろ材の90重量%の粒度範囲の最低値の0.9倍であることが好ましい。粒度範囲の最低値の0.9倍にすることで、カートリッジを横に倒すことがあっても、ろ材の流出は目視でほぼ確認できず、実用上問題はなくなる。
また、フィルタの目開きの形状については、多角形や楕円等どんな形状でも良いが、正多角形あるいは正多角形に近い形状や略円形状であると好ましい。さらに、一部あるいは全ての目開きの形状が同一であるとより好ましい。
あるいは、カートリッジ1の内部の空気がフィルタに張ってしまった水の膜を打ち破り外部に排出するような力が掛かるようにするためには、フィルタ7の上端からのフィルタの面積をS(mm)、フィルタ7の下端から上端までの鉛直方向の長さをH(mm)としたときに、
S>600 かつ
H>35
となるようにすると、カートリッジ内部の空気が水頭差によってフィルタの目開きに張っている水の膜を打ち破り外部に排出する力を加えることができ、カートリッジ内部の空気をスムーズに排出することができる。さらに好ましくは、H>40であると、高流量で水を注いでも、フィルタの上端まで水面が上昇しがたいため、カートリッジ内部の空気を排出しやすく、さらに一定の流量を得ることが出来る。
フィルタ7の形状については図では長方形に近い形状をしているが、正方形や三角形、楕円等フィルタ7の鉛直方向の長さが稼げる形状ならどんなものでもよい。好ましくはフィルタ7の下端から鉛直方向35mm以上の面積が600以上であると、さらにカートリッジ内部の空気を排出しやすく、高流量を安定して得ることができる。また、フィルタ7の数については1つでも複数でもよい。また、図3のようにフィルタ7の中にリブ9等を設けると強度が増すため好ましい。また、図5のように複数のフィルタの大きさが異なっていたり、図6のように複数のフィルタの一部高さが重なっている、あるいは図7のように複数のフィルタが任意の位置に配置されていてもよく、カートリッジ全体のデザイン等によって任意に選択できる。いずれの場合においても、フィルタ7の下端から上端までの鉛直方向の長さをH(mm)は鉛直方向にもっとも低いものの下端から最も高いものの上端までの鉛直方向の長さ(高さ)をいう。図示されていない背面部も同様の箇所にフィルタがある場合、図6においてはフィルタ7Bの下端からフィルタ7Aの上端、図7においてはフィルタ7Cの下端からフィルタ7Aの上端までの鉛直方向の高さがH(mm)である。
ケーシング上部2あるいはケーシング下部3は、安価に製作でき、フィルタと一体化させた部材として部材点数を減らすとともに、軽量で取り扱いやすくして組立やすくるためにも樹脂成型品が好ましい。樹脂部分にも種々の材質を用いることが可能である。ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン樹脂)、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂などが使用可能である。ABS樹脂やポリスチレン樹脂などを用いると、成形時の寸法安定性がよく、ケーシング上部2とケーシング下部3の嵌合調整が容易になり好ましい。ポリプロピレン樹脂を用いると、樹脂の流動性がよいため、フィルタ材をインサート成型するときや、フィルタをケーシングに直接形成しやすく好ましい。さらに好ましくは、抗菌材を練りこんだ樹脂を用いると、樹脂への細菌付着が起こりにくくなり、細菌繁殖の可能性を低減できる効果が期待できてよい。
ケーシング上部2とケーシング下部3の接合については、樹脂の嵌合によるもの、接着剤によるもの、熱溶着、超音波溶着など任意の方法によればよいが、誤ってカートリッジを落下させたときにろ材のもれが生じない接合方式にすればよく、超音波溶着方式が生産性もよく最も好ましい。溶着方式としては、バッドジョイント方式、ステップジョイント方式、シェアジョイント方式、ビードジョイント方式など、いずれの方式でも良く、特に限定されないが、部材の組合せおよび寸法管理が容易なステップジョイント方式や水密性、気密性に優れるシェアジョイント方式が適している。さらに接合方法とは別にケーシング上部2とケーシング下部3に仮止め用の樹脂嵌合による爪(凸部)を設けると、製造工程においてケーシング下部3にろ材を充填し、ケーシング上部2を嵌め合わせることで、工程内でろ材を漏出することなく容易に持ち運ぶことが出来る。
フィルタは、ケーシング上部2あるいはケーシング下部3にフィルタ材をインサート成形すると成形が容易で好ましい。フィルタ材については、織物、不織布、編物等、カートリッジ内部のろ材が外部に流出しないような物を選定すれば良いが、目開きの形状が安定している織物状であるメッシュクロスであるとカートリッジの性能が安定するため好ましい。フィルタの材質については、天然繊維や金属でも良いが、ナイロンやポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素繊維等の合成繊維である水との接触による腐食や強度の低下が少なく、また低コストであるため好ましい。繊維断面が円形で、繊径63μmのポリエステル繊維を1インチ当たり120本のピッチで平織りにしたメッシュクロスでは開口率を約49%にでき、繊径100μmの繊維を1インチ当たり80本のピッチで平織りにしたメッシュクロスでは開口率を約47%にするなど、繊径および本数を任意に選択することが出来る。
フィルタ材をインサート成形する場合、成形時にフィルタ7となる部分のフィルタ材に樹脂が流れこみ、フィルタ7の目開きを潰さないように、フィルタ7となる部分のフィルタ材表裏両面にそれぞれ押し当たる一対の金型を、該フィルタ材を挟んで相互に押し当て、樹脂が流れこむ隙間を無くして成形する必要がある。フィルタ7となる部分のフィルタ材表裏両面にそれぞれ押し当たる一対の金型を、該フィルタ材を挟んで相互に押し当てる際、あまり強く押さえ過ぎるとフィルタ材自体が損傷してしまい、弱すぎると樹脂が流れ込んでしまうため、従来は、一対の金型の隙間をインサート成形前のフィルタ材の厚さの10%〜70%の数値としていた。ここで、フィルタ材の厚さは、適宜、ノギス、ダイヤルシックネスゲージなどを使用して測定すればよいが、織物及び編物をフィルタ材として使用する場合、JIS L 1096:2010織物及び編物の生地試験方法の8.4厚さに従えばよい。
しかし、上記従来の製造方法では、金型の押し当てにより、フィルタ材が押し潰され塑性変形し、フィルタ7の目開きが小さくなり、それに伴いカートリッジ内部の空気の排出が悪くなることがある。しかも、フィルタ材の押し潰され方は、フィルタ材の面内で一様、均一ではないので、予め押し潰され、目開きが小さくなることを予想して目開きの大きなフィルタ材を採用しても、目開きが大きいままの部分も残り、粒状活性炭等のろ材が漏れ出してしまう不具合が起こる。そこで、フィルタ7となる部分のフィルタ材に、フィルタ材に対する金型による押し当ての弱い部分を設けると、その部分のフィルタ材が押し潰されることがなくなり好ましい。そして、このインサート成形の製造方法により出来上がるフィルタ7の金型の押し当ての弱い部分11の厚さは、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%〜100%であると、フィルタ7の目開きは十分確保され、カートリッジ内部の空気の排出が良好に保たれる。また、フィルタ材がメッシュクロスなどの織物の場合、インサート成形で出来上がるフィルタ7の金型の押し当ての弱い部分11において、織物を構成する繊維の交点における繊維断面の、最小外径の最大外径に対する比率が70%〜100%に保たれていると、フィルタ7の目開きは十分確保され、カートリッジ内部の空気の排出が良好に保たれる。
この時、金型の押し当ての弱い部分11に対応する一対の金型の隙間は、全体に一定の厚さであるインサート成形前のフィルタ材の厚さの80%以上とする。この隙間を設けフィルタ材への金型による押し当てを弱くすることは、例えば一対の金型の少なくとも一方の該当部分の金型面を切削して凹形状とすることで容易に実現できる。凹の削り代(凹の深さ)を調整することで、上記隙間を調整できる。凹の深さについては、必要とされる上記隙間から決定されるが、隙間を広くするのに凹を深くしすぎると、金型の強度が低下するため、隙間の上限は金型の強度面から設定される。実際的には、上記隙間は、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%〜200%とするのが好ましい。更に金型の強度低下防止、金型表面への凹形状切削加工工数低減のため、より好ましくは、80%〜100%とする。
金型の押し当ての弱い部分の範囲については、フィルタ7の面積に応じて、図10に示すように、フィルタ7の外周縁から1mm〜5mmの幅を持たせた外周部分12より内側の範囲として、金型の押し当ての弱い部分11を設けることが好ましい。一方、外周部分12は、従来の製造方法のように金型の押し当てを強くして、内側部分のフィルタ材に樹脂が流れこむことを防ぐ。こうしたインサート成形で出来上がるフィルタ7において、内側部分と外周部分12とでは、厚さに差ができ、金型の押し当ての弱い(内側)部分11のフィルタ材の厚さが外周部分12の厚さより10%以上厚い状態に保たれていると、内側部分のフィルタ材の目開きは十分確保され、カートリッジ内部の空気の排出が良好に保たれる。
フィルタ7が複数のある場合、金型の押し当ての弱い部分11は、少なくとも1つのフィルタ7に設ければよいが、フィルタの上端が最も上にあるフィルタ7に設けると、カートリッジ内部の空気の排出の改善に効果が大きく好ましい。
また、金型の押し当てにより、フィルタ材が押し潰され塑性変形し、フィルタ7の目開きが小さくなることがないようにするために、上述のようにして金型の押し当ての弱い部分11を設けるのではなく、フィルタ材の厚さを全体一定ではなく該当部分のフィルタ材の厚さを、他の部分の厚さより薄くすることでも実現可能である。薄くする部分のフィルタ材の厚さは、その部分に対応する一対の金型の隙間が、インサート成形前の薄くする部分のフィルタ材の厚さの80%以上となるように設定すればよい。
フィルタ材の材質については、ナイロンやポリエステル、ポリエチレンのように弾性域の広い材料にすると、金型と金型の押し当てによりフィルタ材が押し潰されても、潰れに対してある程度復元するため、フィルタの目開きが小さくなることを防ぐことができるので好ましい。フィルタ材の厚さについては、薄い方がフィルタ材が押し潰される可能性が低くなるため、0.5mm以下であると好ましく、0.2mm以下であるとより好ましい。
また、フィルタがケーシング上部2あるいはケーシング下部3に直接形成されていると低コストになるため好ましい。フィルタの開口率は、通水抵抗が大きくならないように開口部の面積によって任意に決定できる。
原水を内ケース注ぐ際に、カートリッジ1の天面等に原水が当たり、原水がフィルタ7を覆い、カートリッジ内の空気の排出を妨げることがあるため、図4のように、フィルタ7の上方に張り出し10を設けると原水がフィルタ7のうち張り出しに近い箇所のフィルタを覆うことがなくなり好ましい。張り出しは、水平に張りだしていても斜め上、斜め下に張り出していてもよい。また、張り出しはケーシングと一体に成形されていてもよいし、ケーシングに嵌め合わせるように別部材で構成されていてもよい。
図8は、本発明の一実施形態であるカートリッジ1を搭載したポット型浄水器の概略図である。注ぎ口105と取っ手106を有する外ケース102と、外ケース102に取り付けられ、原水を一時的に保持する内ケース103と、内ケース103に着脱可能なカートリッジ1と、外ケース102と内ケース103に嵌合するフタ104から構成される。内ケース103に一時的に貯水した原水が、ろ材を充填したカートリッジ1に流入する。カートリッジ1に流入した原水は充填したろ材中を通過し、外ケース102の貯水部101に貯水される。貯水された状態で外ケース102にフタ104を取り付け、取っ手106を持ち、傾けることにより注ぎ口105から貯水部101に貯水された浄水を得ることが可能となる。
本発明を、以下の実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、実施例、比較例においてエア抜け性は、JIS S 3201:2010「家庭用浄水器の試験方法」6.1ろ過流量試験 c)回分式浄水器の場合に準じて前処理後、5回通水し、5回とも5秒以内でエアが抜けたものを「◎」、5回とも10秒以内でエアが抜けたものを「○」、5回中4回10秒以内でエアが抜けたものを「△」、10秒以内でエアが抜けたのが5回中3回以下のものを「×」として判定した。また、図1、図3、図5のカートリッジ全てについて、90゜ずつ4方向にフィルタ7が存在している。
<実施例1>
図1に示すカートリッジに0.30〜1.0mmの粒径の活性炭を35g充填して用いた。水道水を通水して、ケーシング上部2のフィルタ7からのエア抜け性を評価し、ろ過流量を測定した。使用したカートリッジのフィルタ7の下端から上端までの鉛直方向長さH(mm)、目開きの最大長さL(mm)、フィルタ7の上端からの面積S(mm)、およびろ過エア抜け性およびろ過流量の評価結果を表1に示す。
<実施例2〜4>
図3に示すカートリッジを使用した以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表1に示す。
<実施例5>
図3に示すカートリッジに0.40〜1.2mmの粒径の活性炭を35g充填して用いた以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表1に示す。
<実施例6>
図5に示すカートリッジのフィルタ7Bを一部ふさぎ、フィルタ7Aの合計面積が600mm、フィルタ7Bの合計面積が50mmとして使用した以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表1に示す。
<比較例1>
図3に示すカートリッジを使用した以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表1に示す。
<比較例2>
図3に示すカートリッジに0.40〜1.2mmの粒径の活性炭を35g充填して用いた以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表1に示す。
<実施例8>
ケーシングの側面のフィルタを、フィルタ材をインサート成形することにより形成し、フィルタ部分のフィルタ材において、インサート成形のためにフィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型により押し当てられたフィルタ材部分の厚さを、インサート成形前のフィルタ材の厚さの70%とした以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表2に示す。
<実施例9>
ケーシングの側面のフィルタを、フィルタ材をインサート成形することにより形成し、フィルタ部分のフィルタ材において、インサート成形のためにフィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型により押し当てられたフィルタ材部分の厚さ(金型の押し当ての弱い部分の厚さ)を、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%としたとした以外は実施例1と同様にして評価した。使用したカートリッジのH、L、Sおよび結果を表2に示す。
Figure 0005793926
Figure 0005793926
本発明は、水の自重でろ過を行う浄水器に用いることができるが、本発明の利用範囲はこれらに限定されるものではない。
1 カートリッジ
2 ケーシング上部
3 ケーシング下部
4 ろ材
5 弾性部材
6 筒状部
7 フィルタ
7A ケーシング側面のフィルタ
7B ケーシング側面のフィルタ
7C ケーシング側面のフィルタ
8 フィルタ
9 リブ
10 張り出し
101 貯水部
102 外ケース
103 内ケース
104 フタ
105 注ぎ口
106 取っ手
11 金型の押し当ての弱い部分
12 外周部分

Claims (11)

  1. ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジであって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面と、前記ケーシングの底部に、前記ろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さい最大長さの目開きを有するフィルタを備え、かつ以下の関係を有することを特徴とする浄水器用カートリッジ。
    L×H>13.5
    目開きの最大長さ:L(mm)
    ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)
  2. 前記ケーシングの側面のフィルタの備えられている部分が筒状であることを特徴とする請求項に記載の浄水器用カートリッジ。
  3. 前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方が、フィルタ材をインサート成形することにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器用カートリッジ。
  4. 前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材の厚さは、インサート成形前の前記フィルタ材の厚さの80%〜100%であることを特徴とする請求項に記載の浄水器用カートリッジ。
  5. 前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ材は織物であり、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分のフィルタ材を構成する繊維の交点における繊維断面の、最小外径の最大外径に対する比率が70%〜100%に保たれていることを特徴とする請求項3または4に記載の浄水器用カートリッジ。
  6. 前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタの外周部分の内側範囲となるフィルタ内側部分は、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分をなしており、前記内側部分のフィルタ材の厚さは、前記外周部分の厚さより10%以上厚い状態に保たれていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
  7. ケーシングと前記ケーシングの内部に水をろ過するためのろ材を収容した、水の自重でろ過を行う浄水器用カートリッジの製造方法であって、少なくとも前記ろ材より鉛直方向上部の前記ケーシングの側面と、前記ケーシングの底部に、前記ろ材の90重量%以上のろ材の粒径範囲の最小値よりもより小さい最大長さの目開きを有するフィルタを備え、かつ以下の関係を有し、前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタが、フィルタ材をインサート成形することにより形成されており、前記フィルタ部分のフィルタ材には、前記インサート成形のために前記フィルタ材の表裏両面に設けられる一対の金型による押し当ての弱い部分が設けられ、前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間を、インサート成形前のフィルタ材の厚さの80%〜200%以下とすることを特徴とする浄水器用カートリッジの製造方法。
    L×H>13.5
    目開きの最大長さ:L(mm)
    ろ材より鉛直方向上部のケーシング側面のフィルタの下端から上端までの鉛直方向長さ(高さ):H(mm)
  8. 前記金型による押し当ての弱い部分に対応する一対の金型の隙間の設定を、前記一対の金型の少なくとも一方の該当部分の金型面を削って凹形状とすることにより行うことを特徴とする請求項に記載の浄水器用カートリッジの製造方法。
  9. 前記ケーシングが樹脂成形品であり、前記ケーシングの側面のフィルタおよび底部のフィルタのいずれか一方あるは両方が、ケーシングに直接形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器用カートリッジ。
  10. 前記ケーシングの側面のフィルタの上方に水平方向の張り出しがあることを特徴とする請求項1〜6および請求項のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
  11. 水の自重でろ過を行う浄水器であって、請求項1〜6、請求項および請求項10のいずれかに記載の浄水器用カートリッジを搭載したことを特徴とする浄水器。
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