以下、本発明にかかる車両用情報処理装置、及び運転支援エリアの学習方法を具体化した一実施の形態について図1〜図27を参照して説明する。
図1(a)に、本実施の形態の車両用情報処理装置、及び運転支援エリアにより学習対象とされる走行エリアの一例を示すように、例えば、速度規制の対象となるカーブ10に向かって車両20が走行し、この車両20がカーブ10を通過する際に減速行動を行ったとする。
ここで、車両20のドライバにより行われた車両操作や走行位置を示す車両情報が車両20から収集されたとすると、この収集された車両情報に基づき、図1(b)に示すように、例えば、カーブ10を包含する走行エリア11が、減速操作を要するために減速案内やブレーキ回生等の減速支援を実行すべき運転支援エリアとして学習される。なお、学習対象とされる走行エリアとは、例えば、交差点やカーブ等、所定の車両操作が必要になる所定の交通要素を包含し、かつ、交通要素に対する一連の車両操作が行われる区間である。また、運転支援エリアで実行される減速支援とは、例えば、車両20が運転支援エリアに侵入したときに行われるブレーキ回生やカーブ10よりも所定距離手前での減速を促す音声案内や画像案内などが行われるものである。
このように、運転支援エリアの学習に際しては、道路上を走行する1ないし複数台の車両から、交通要素に応じて行われる車両操作と同車両操作が行われた走行位置とを示す車両情報が適宜収集される。そして、この収集された車両情報に基づいて運転支援エリアが適宜作成される。
一方、実際の走行環境には様々な要素が存在し、こうした要素によっても車両のドライバによって行われる車両操作が変化し、この車両操作が反映される車両行動も変化する。例えば、車両の減速行動の有無に基づき減速支援を実行すべき運転支援エリアを作成しようとすると、上記カーブ10などの固有の交通要素とは異なる要素に起因して本来減速する必要のない走行エリアで減速行動が行われたときには、この走行エリアが減速支援を要する運転支援エリアとして学習されることになる。すなわち、こうした学習結果に基づき、
カーブ10などの交通要素が存在しないにも拘わらず運転支援エリアが作成される虞がある。
そこで、本実施の形態では、運転支援エリアの学習に際し、交通要素に応じた車両操作とは異なり、かつ、車両の周辺環境に起因して発生する操作を示す車両操作を含んだ車両情報を外乱として特定するとともに、この特定結果を運転支援エリアの学習に反映させることとする。
以下、本実施の形態の車両用情報処理装置、及び運転支援エリアによる外乱の特定原理を図2〜図7を参照して説明する。
図2(a)に示すように、例えば、直線状の道路の所定区間である走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に、同走行エリア12のもとで行われた減速行動を示す情報とともにハザードランプの使用履歴が含まれていたとする。また、この車両20が走行エリア12を走行した際の天候は晴天であったとする。なお、この走行エリア12は、車両20から車両情報が収集された段階では、運転支援エリアとして学習されていない未学習のエリアである。
ここで、本実施の形態では、アクセルペダルのオフやブレーキペダルのオン等、走行エリア12で減速行動が行われた旨を示す情報が車両20から収集された車両情報に含まれていたとしても、この車両情報にハザードランプ20aの使用履歴が含まれていることに鑑み同車両情報が外乱として特定される。すなわち、車両20が走行エリア12を走行した際に同走行エリア12でハザードランプ20aが使用されていたことから、走行エリア12に固有の道路形状や各種交通要素とは異なる要素に起因して、車両20の非常減速や非常停止等が行われたと推定される。
よって、本実施の形態では、減速行動があった旨を示す情報とともにハザードランプ20aの使用履歴が含まれる車両情報については、走行エリア12に固有の交通要素とは異なる要素に起因する減速行動を含んだ車両情報、すなわち外乱であるとして特定される。そして、この特定された車両情報に基づいては、走行エリア12に対応する運転支援エリアが作成されないこととなる。
また同様に、図2(b)に示すように、車両20に搭載されているアンチロック・ブレーキシステム(ABS)の作動履歴が走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に含まれていたときにも、同車両情報が外乱として特定される。すなわち、ABSは、急ブレーキ等に起因する車両20のタイヤのロックを抑制すべく、急ブレーキ等が行われたときに作動するシステムである。したがって、車両20から収集された車両情報にABSの作動履歴が含まれていたときには、車両20の減速行動は、例えば、車両20の前方を走行する前方車両の急停止や車両20での異常発生に伴う行動であったと推定できる。よって、本実施の形態では、車両20の減速行動を示す情報とともにABSの作動履歴を含んだ車両情報に基づいても、走行エリア12に対応する運転支援エリアが作成されないこととなる。
同様に、図2(c)に示すように、車両20に搭載されているアダプティブ・クルーズ・コントロール・システム(ACC)の作動履歴が走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に含まれていたときにも、同車両情報が外乱として特定される。すなわち、ACCは、同システムが搭載される車両20の前方を走行する前方車両21との車間距離を自動的な減速等により制御するシステムである。したがって、同システムの作動履歴とともに車両情報に含まれる車両20の減速行動は、前方車両21との車間距離に応じて作動したACCに起因する行動であり走行エリア12に固有の交通要素に応じた行動ではない。よって本実施の形態では、減速行動を示す情報とともにACCの作動履歴を含んだ車両情報が外乱として特定される結果、同車両情報に基づいても、走行エリア12に対応する運転支援エリアが作成されないこととなる。
また同様に、図2(d)に示すように、走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に、車両20を後退させるシフト・リバース操作を示す情報が含まれていたときにも、同車両情報が外乱として特定される。すなわち、この場合には、車両20の減速行動が、シフト・リバース操作による車両20の後退に先立ち車両20を減速させるために行われた行動であり、走行エリア12に固有の交通要素に応じた行動ではない。よって、本実施の形態では、例えば、車両20の減速行動を示す情報とともにシフト・リバース操作を示す情報が含まれる車両情報についても外乱として特定され、同車両情報に基づく走行エリア12に対応する運転支援エリアの作成が行われないこととなる。
さらに図3(a)に示すように、車両20の走行環境が悪天候である旨を示す情報が、走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に含まれていたときにも、同車両情報が外乱として特定される。すなわち、車両20の走行環境が悪天候であるときには、天候に配慮された低速な走行が行われる傾向にあることから、悪天候下で行われる減速行動も走行エリア12の交通要素に関係のない行動である蓋然性が高い。よって、本実施の形態では、例えば、車両20が走行エリア12を走行したときの天候が悪天候であった旨を示す情報が含まれる車両情報については、車両20の減速行動を示す情報であっても外乱として特定され、同車両情報に基づく走行エリア12に対応する運転支援エリアの作成が行われないこととなる。
なお、車両20が走行エリア12を走行したときの天候が悪天候であるか否かは、例えば、車両20に搭載された車載カメラにより撮像された画像、ワイパーの使用履歴、ナビゲーションシステムを通じて取得される天候の記録、各種レーダーや各種センサ等の検出結果等に基づき識別される。
また同様に、図3(b)に示すように、車両20の周辺を走行する他車両21の存在を示す情報が、走行エリア12を走行した車両20から収集された車両情報に含まれていたときにも、同車両情報が外乱として特定される。すなわち、車両20の周辺に他車両21が存在するときには、車両20の行動が他車両21の走行状態に追従する傾向にあることから、車両20の減速行動も他車両21との接近や同他車両21の減速行動に応じて行われた行動である蓋然性が高い。よって、本実施の形態では、車両20が走行エリア12を走行したときに同車両20の周辺に存在する他車両21が存在していた旨を示す車両情報についても、車両20の減速行動を示す情報であっても外乱として特定され、同車両情報に基づく走行エリア12に対応する運転支援エリアの作成が行われないこととなる。
また、図4(a)に示すように、例えば、減速及び一時停止を要する交通要素である交差点31及び一時停止標識32を有する走行エリア30を、車両20が走行したとする。なお、図4(a)及び図5(a)に示す走行エリア30には、ドライバの車両操作に影響を及ぼす周辺環境が存在しないものとする。
ここで、図4(b)に例示するように、車両20の走行速度は、例えば一時停止標識32に対応するポイントPtを減速目標として、所定のパターンのもとに変化する。すなわち、車両20が走行エリア30の第1〜第3のブロック41〜43を走行する際には車両20のドライバにより一連の車両操作が行われる。この結果、ドライバAの車両操作に基づく車両20の走行速度の推移例L1は、例えば3つの推移に分類される。
なお、走行エリア30を構成する第1ブロック41は、例えば、減速行動が開始される前の一定の走行速度での巡航である基本巡航が行われた区間である。また、第2ブロック42は、アクセルペダルのオフ、ブレーキの踏み込み等、減速開始から減速目標Ptでの停止に至るまでの減速アプローチが行われた区間である。さらに、第3ブロック43は、減速目標Ptでの車両20の発進後、加速操作が行われた区間である。
また、例えば、図5(a)及び(b)に示すように、ドライバBの車両操作に基づく車両20の走行速度の推移例L2は、例えば減速行動が開始される前の巡航(ブロック41)が、ドライバBに固有の癖に起因して図4(b)に示したドライバAに比べて多少の速度変化を有した推移となっているものの、概ね推移例L1に類似する推移をなしている。なお、本実施の形態では、このように走行速度が変化する巡航を「ばたばた巡航」という。さらに、推移例L2は、例えば、減速アプローチ(ブロック42)において、ドライバBに固有の癖に起因して、減速目標Ptの前後で2段階の停止動作を示す推移をなしている。
このように、図4(b)及び図5(b)に例示した推移例L1と推移例L2とでは、ドライバA及びドライバBに固有の癖が反映されて、ブロック41及び43における走行速度が一部相違している。しかし、走行エリア30には、車両操作に影響を及ぼす周辺環境が存在しないことから、推移例L1と推移例L2とでは、ドライバA及びドライバBに固有の癖が反映される走行速度を除いては概ね共通する推移をなしている。
一方、図6(a)及び(b)に示すように、ドライバAの車両操作に基づく車両20の走行速度の推移例L3は、例えば、車両20の進行方向前方を走行する前方車両が減速行動を開始したことにより、減速アプローチが行われる直前のブロック41において巡航の途中で一時的に減速する推移をなす。
すなわち、先の図4(b)及び図5(b)に示したように、通常、走行エリア30内で減速目標Ptに対して行われる減速行動は一度で足りる。しかし、図6(b)に示す推移例L3は、例えば車両20の周辺に存在する他車両21や悪天候等の影響により、交差点31を包含する走行エリア30で二度の減速行動が行われている。
また、図7(a)及び(b)に示すように、ドライバBの車両操作に基づく車両20の走行速度の推移例L4も、例えば、車両20の進行方向前方を走行する前方車両が減速行動を開始したことにより、減速アプローチが行われる直前のブロック41において巡航の途中で一時的に減速する推移をなしている。
このように、車両20が減速目標Ptに至る過程で車両操作に影響を及ぼす要因が存在するときには、この要因の存在に起因して、減速アプローチの直前でも車両20の減速行動が発生し、一つの走行エリア30で二回以上の減速行動が行われる傾向にある。よって、減速アプローチが行われる第2ブロック42の直前の第1ブロック41で減速行動が行われた旨を示す車両情報については、走行エリア30に包含される交差点31とは異なる要因に起因する減速行動が反映された情報、すなわち外乱を含んだ情報であると推定することが可能である。
そこで本実施の形態では、運転支援エリアの学習に際し、所定の交通要素を包含する走行エリアを車両20の走行状態の推移に基づき分類する。そして、減速アプローチが行われるブロックの直前のブロックで減速行動が行われた旨を示す車両情報についても外乱として特定し、この特定した車両情報に基づく運転支援エリアの作成を行わないこととする。
以下、このような前提のもとに、本実施の形態の車両用情報処理装置の概略構成を図8を参照して説明する。
図8に示すように、車両20には、同車両20の車両情報を収集する手段として、アクセルセンサ101、ブレーキセンサ102、操舵角センサ103、車速センサ104、及び加速度センサ105等が搭載されている。これら各種センサ101〜105等は、例えばCAN(Control Area Network)などの車載ネットワークを介して、同センサ101〜105等の検出結果が車両20のドライバによる車両操作を示す情報として時系列的に記憶される車両情報記憶装置120に接続されている。
アクセルセンサ101は、ドライバによるアクセルペダル操作によって変化するアクセル開度を検出し、この検出したアクセルの開度に応じた信号を、車両情報記憶装置120に出力する。ブレーキセンサ102は、ドライバによるブレーキペダルの踏込み量を検出し、この検出した踏込み量に応じた信号を、車両情報記憶装置120に出力する。操舵角センサ103は、ドライバのステアリング操作により変化する操舵角度を検出し、この検出した操舵角度に応じた信号を、車両情報記憶装置120に出力する。車速センサ104は、車両20の車輪の回転速度を検出し、この検出した回転速度に応じた信号を、車両情報記憶装置120に出力する。加速度センサ105は、車両20の加速度を検出し、この検出した加速度に応じた信号を、車両情報記憶装置120に出力する。
また、車両20には、同車両20のハザードランプの点灯状態を制御するハザード制御装置106、ワイパーの動作状態を制御するワイパー制御装置107、ABS108、ACC109、車両20の変速機の歯車の組み合わせの選択に用いられるシフトレバー110が搭載されている。そして、これらワイパー制御装置107、ABS108、及びACC109の制御信号、並びにシフトレバー110を通じたシフトの選択結果も、上記車両情報記憶装置120に出力される。
また一方、車両20には、同車両20の絶対位置を検出するGPS111が搭載されている。GPS111は、車両20の絶対位置を検出するためのGPS衛星信号を受信し、この受信したGPS衛星信号に基づき車両20の緯度経度を検出する。また、GPS111は、この検出した車両20の緯度経度を示す情報である位置情報を、車両情報記憶装置120に出力する。
さらに、車両20には、同車両20の周辺環境を検出する周辺環境検出手段として、例えば、ミリ波レーダー112が搭載されている。ミリ波レーダー112は、例えば、車両20の周辺に存在する障害物や車両を検出し、この検出結果を車両情報記憶装置120に出力する。
車両情報記憶装置120には、こうした各センサ等101〜112等から入力される車両情報が、それぞれ時系列的に記録される。これにより、車両情報記憶装置120には、車両20のドライバの車両操作を示す情報、並びに、同車両操作のもとに車両20が走行した位置や走行環境に関する情報が、それぞれ対応付けされて車両20の車両情報として適宜記録される。
また、車両20には、車両用情報処理200との無線通信が可能な車載通信機130が搭載されている。車載通信機130は、例えば、車両20の走行の終了に伴い同車両20のアクセサリーポジションがオン状態からオフ状態に切り替えられたとき、車両情報記憶装置120に蓄積されている車両情報を車両用情報処理200に送信する。
車両用情報処理200は、例えば、車両20をはじめとする複数台の車両から各車両の車両情報が送信されるセンター等に設けられており、車載通信機130と装置通信機210との無線通信を通じて、各車両から送信される車両情報を収集する。この装置通信機210を通じて収集された車両情報は、同車両情報が収集、蓄積される車両情報収集部220に保存される。
また、車両用情報処理200は、車両情報収集部220に保存された車両情報の中から、各車両情報の収集源となった各車両の減速行動を示す車両情報を抽出する減速行動抽出部230を備えている。減速行動抽出部230は、車両情報収集部220に保存された車両情報の中から各車両の減速行動を示す情報を抽出すると、この抽出した情報を、同情報に基づき運転支援エリアの作成に際して外乱となる車両情報を特定する外乱特定部240に出力する。なお、各車両の減速行動を示す情報には、例えば、アクセルセンサ101の検出結果に基づくアクセルペダルのオン/オフ、ブレーキセンサ102の検出結果に基づくブレーキペダルのオン/オフを示す情報が含まれる。同様に、各車両の減速行動を示す情報には、車速センサ104の検出結果に基づく車両20の走行速度や、加速度センサ105の検出結果に加速及び減速態様を示す情報が含まれる。さらに、各車両の減速行動を示す情報には、各車両の減速行動が行われたときの緯度経度を示す位置情報、すなわちGPS111の検出結果も含まれる。
外乱特定部240は、例えば、各車両に対して減速支援等の運転支援を実行すべき区間である運転支援エリアの候補となる候補エリアを定義する候補エリア定義部241を備えている。候補エリア定義部241は、減速行動抽出部230から抽出された各車両の減速行動を示す情報に基づき、一時停止位置等の交通要素に応じて減速行動が行われた所定の区間を、運転支援エリアの候補となる候補エリアとして定義する。また、候補エリア定義部241は、この定義した候補エリアを、車両操作の変化の推移に基づき1ないし複数のブロックに分割する。すなわち、候補エリア定義部241は、各車両が各走行エリアを走行した際のアクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み態様に基づき、各走行エリアにおける車両の走行パターンを分類し、この分類した走行パターンの別に候補エリアを分割する。
外乱特定部240はまた、候補エリア定義部241により定義された候補エリアが、既に定義済みであるエリアと同一もしくは類似するエリアであるか否かを判定する候補エリア照合部242を備えている。候補エリア照合部242は、候補エリア定義部241により定義された候補エリアと、各候補エリアが登録される学習データベース260に登録されている候補エリアとの照合を通じて、候補エリア定義部241により定義された候補エリアが新たに定義されたエリアであるか否かを判定する。
外乱特定部240はさらに、各車両の車両行動が周辺環境、すなわち車両20の走行時における外乱の影響を受けた行動であるか否かを判定する外乱影響判定部243を備えている。本実施の形態の外乱影響判定部243は、例えば、車両情報に含まれている上記ハザード制御装置106やワイパー制御装置107の制御結果、ABS108やACC109の作動状態、シフトレバー110の操作履歴、ミリ波レーダー112の検出結果等に基づいて、各車両の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判定する。また、本実施の形態の外乱影響判定部243は、候補エリア定義部241により分割されたブロックに関する情報に基づき、交通要素を包含するブロックの直前のブロックで車両の減速行動が行われたか否かを特定する。そして、交通要素を包含するブロックの直前のブロックで車両の減速行動が行われているときには、この減速行動が周辺環境の影響を受けた行動であると判定する。
また、車両用情報処理200は、外乱特定部240により特定される外乱を、運転支援エリアの学習に反映させるエリア学習部250を備えている。エリア学習部250は、例えば、外乱影響判定部243にて外乱の影響を受けたと判定された車両行動を示す車両情報を、運転支援エリアの学習対象から除外する。また、エリア学習部250は、外乱影響判定部243にて周辺環境の影響を受けていないと判定された車両行動を示す車両情報に基づき、同車両行動が行われた候補エリアの位置や同エリアでの車両行動を示すエリア管理表を作成し、この作成したエリア管理表を学習データベース260に登録する。この際、エリア学習部250は、候補エリア照合部242による照合結果に基づき、学習データベース260に登録すべきエリア管理表にて示される候補エリアが学習データベース260に存在する旨判断したときには、学習データベース260に存在するエリア管理表を更新する。なお、この更新に際しては、例えば、同エリア管理表にて示される候補エリアの学習回数の更新などが行われる。
学習データベース260では、エリア学習部250により作成されたエリア管理表が適宜登録されるとともに、同学習データベース260に登録されているエリア管理表が適宜更新される。
次に、本実施の形態の車両用情報処理200及び運転支援エリアの学習方法による運転支援エリアの学習手順を図9〜図27を参照して詳述する。
図9に示すように、運転支援エリアの学習に際してはまず、1ないし複数台の車両から車両操作態様を示す情報と対応する位置情報とが関連付けられた車両情報が収集される(ステップS101)。これにより、例えば図10(a)に示すように、或る経路での車両の車両操作の推移、換言すれば車両の走行速度等の走行状態の推移を位置情報とともに示す車両情報が複数収集される。
次いで、この収集された各車両情報から、例えば車両の減速行動と対応する位置とを示す情報が部分的に抽出される(ステップS102)。これにより、例えば図10(b)に示すように、図10(a)に示す一の車両情報から、一時停止標識Paに対して行われた減速行動を位置情報とともに示す情報Laと、カーブPcに対して行われた減速行動を位置情報とともに示す情報Lcとが抽出される。
そして、図9にステップS103として示すように、各々抽出された減速行動に対応する位置情報が運転支援エリアの候補エリアとして定義されるとともに、その位置情報によって示される走行位置で行われた減速行動を示す情報が同候補エリアに関連付けられる。また併せて、この定義された候補エリアに対して同候補エリアを識別するための仮エリアIDが付与されるとともに、この候補エリアにおいて車両が停止した位置が減速目標位置として規定される。これにより、図10(c)に示すように、候補エリアとして定義された走行位置及び同走行位置における車両行動を示す情報La及びLcに対し、例えば仮のIDである「ID_001」及び「ID_002」がそれぞれ付与される。
その後、図9にステップS104として示すように、各候補エリアに対応する運転支援エリアが学習データベース260に存在するか否かが、各エリアに付与されているIDの照合を通じて判断される。そして、各候補エリアに対する学習処理が実行されることにより、各候補エリアに関連付けられた減速行動を示す情報が外乱であるか否かが判断されるとともに、外乱であると判断された減速行動を示す情報が関連付けられた候補エリアが運転支援エリアの候補から除外される(ステップS105)。
こうして、外乱として除外されなかった候補エリアが、学習データベース260に登録されていないエリアである旨判断された候補エリアであるときには、この候補エリアが運転支援エリアとして学習データベース260に新たに登録される。一方、外乱として除外されなかった候補エリアが、学習データベース260に既に登録されていないエリアと同一のエリアであるときには、学習データベース260に登録済みの運転支援エリアに関する情報が更新される。
次に、先のステップS102で実行される減速行動の抽出処理の詳細を図11及び図12を参照して説明する。
本処理ではまず、各車両から収集された車両情報の中から、例えば或る出発地点から到着地点までの経路における車両操作や位置を示す一つの車両情報が抽出される。なお、車両情報に、ブレーキペダルの踏み込みが行われた旨を示す情報が複数含まれているときには、出発地点に近い地点で行われたブレーキペダルの踏み込みを示す情報の順に、以下のステップS201〜S217の処理が行われる。
次いで、この抽出された車両情報に基づき、同車両情報の収集源となった車両において、出発地点から到着地点に至るまでの間にブレーキペダルの踏み込みが行われたか否かが判断される(ステップS201)。これにより、図13(a)に例示するように、ブレーキペダルの踏み込みが行われた旨を示す情報D1が車両情報に含まれているときには、図13(b)に例示するように、一時停止標識32が設けられた交差点31を包含する走行エリア30内の地点P1で、車両20のドライバによりブレーキペダルが踏み込まれた旨が認識される。
そして、図11にステップS202として示すように、車両情報の収集源となった車両において出発地点から到着地点に至るまでの間にブレーキペダルの踏み込みが行われていたときには、ブレーキペダルが踏み込まれたときの車両の走行速度が例えば約「15km/h」以上であるか否かが判断される。
次いで、車両の走行速度が例えば約「15km/h」以上ではない旨判断されたときには、車両が出発地点から到着地点に至るまでの間にブレーキペダルの踏み込みが他に行われていたか否かが判断される(ステップS202:NO、S201)。そして、ブレーキペダルの踏み込みが他に行われていたときには、このときの車両の走行速度が約「15km/h」以上であるか否かが判断される(ステップS202)。
こうして、図13(a)及び(b)に例示するように、走行エリア30内の地点P2でドライバによるブレーキ操作が行われ、かつ、車両20の走行速度が約「15km/h」以上である旨を示す情報D2が上記抽出された車両情報の中に含まれている旨が認識される。
そして、図11に示すステップS202で認識されたブレーキペダルの踏み込み操作の次に行われた車両操作がブレーキペダルの踏み込みを解除する操作であり、かつ、そのときの車両20の走行速度が例えば約「15km/h」未満であるか否かが判断される(ステップS203、S204)。
これにより、図13(a)及び(b)に示すように、上記抽出された車両情報の中に、走行エリア30内の地点P3でドライバによるブレーキペダルの踏み込みが解除され、かつ、車両20の走行速度が約「15km/h」未満である旨を示す情報D3が含まれている旨が認識される。そして、図11にステップS205aとして示すように、先のステップS201に先立ち抽出された車両情報が車両20の減速行動を示す情報である旨認識される。
なお、図11のステップS204において、ブレーキペダルの踏み込みが解除されたときの車両20の走行速度が約「15km/h」以上である旨判断されたときは、その後に行われた車両操作がブレーキペダルの踏み込みであるか否かが判断される(ステップS206)。そして、ブレーキペダルの踏み込みの解除後に再度ブレーキペダルが踏み込まれていたときには(ステップS206:YES)、その後に再びブレーキペダルの踏み込みが解除されたか否か、及び車両20の走行速度が約「15km/h」未満であるか否かが再び判断される(ステップS203、S204)。
一方、ステップS206において、ブレーキペダルの踏み込みの解除後に再度のブレーキペダルの踏み込みが行われていない旨判断されたときには、停止に至らない減速行動有りと判定される(ステップS205b)。
そして、車両情報が車両20の減速行動を示す情報である旨認識されると、この車両情報に基づき車両20の減速目標位置を決定する処理である減速目標決定処理が実行される(ステップS207〜S211)。
本処理ではまず、ステップS207において、先のステップS204で特定された地点P3以降の地点で、ブレーキペダルの踏み込み操作が解除されたときの車両20の走行速度が、同車両20の停止が推認される停止推認速度(例えば約「5km/h」)以下となっていたか否かが判断される。
そして、車両20の走行速度が同車両20の停止推認速度以下となっていたときには(ステップS207:YES)、車両20の走行速度が停止推認速度以下となったときの同車両20の位置を示す緯度経度が、走行エリア30での車両20の減速目標位置として規定される(ステップS208)。これにより、図13(a)に例示するように、例えば一時停止標識32の設置付近である地点P4が、車両20の減速目標位置として規定される。次いで、ブレーキペダルの踏み込み操作が繰り返されているときには、この操作を、ポンピング及び複数の減速行動のいずれに分類するかが判断される。
一方、図11のステップS207において、ブレーキペダルの踏み込み操作が解除されたときの車両20の走行速度が同車両20の停止が推認される停止推認速度を超えていた旨判断されたときには(ステップS207:NO)、ブレーキペダルの踏み込みの解除後に行われた操作がブレーキペダルの踏み込み操作であるか否かが判断される(ステップS210)。そして、ブレーキペダルの踏み込みの解除後に行われた操作がブレーキペダルの踏み込み操作であるときには、その後に再びブレーキペダルの踏み込み操作が解除されているかが判断される(ステップS211)。次いで、ブレーキペダルの踏み込み操作が解除されていない旨判断されたときには(ステップS211:NO)、すなわち、車両20の走行速度が停止推認速度を超えているものの継続してブレーキペダルが踏み込まれていたときには、このブレーキペダルが踏み込まれていた地点が減速目標位置として規定される(ステップS208)。
これに対し、ステップS211においてブレーキペダルの踏み込み操作が解除されている旨判断されたときには、そのときの車両20の走行速度が停止推認速度以下であるかが再び判断される(ステップS211:YES、S207)。
こうして車両20の減速目標位置が規定されると、図12に示すように、この減速目標位置の規定源となった車両情報が、車両20にとっての外乱である周辺環境の影響を受けた情報であるか否かを判定する外乱影響有無判定処理が実行される(ステップS212〜ステップS214)。
本処理ではまず、ステップS212において、例えば上記減速行動有無判定処理(図11:ステップS201〜206)にて判断の対象となったブレーキペダルの踏み込みを示す車両情報に、車両20が緊急状態にある旨を示す緊急信号が含まれているか否かが判断される。ここでは、例えば、ハザードランプを点灯させるための制御信号やABSを作動させるための制御信号が車両情報に含まれているとき、車両情報に緊急信号が含まれていると判断される。
次いで、車両情報に緊急信号が含まれていない旨判断されると(ステップS212:YES)、例えば車両20に搭載された運転支援装置により各種運転支援が行われた旨を示す運転支援信号が、ブレーキペダルの踏み込みを示す車両情報に含まれているか否かが判断される(ステップS213)。ここでは、例えば、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムを作動させるためのACC信号が車両情報に含まれているとき、車両情報に運転支援信号が含まれていると判断される。
次いで、車両情報に運転支援信号が含まれていない旨判断されると(ステップS213:YES)、車両20の周辺環境が異常である旨を示す周辺環境信号が、ブレーキペダルの踏み込みを示す車両情報に含まれているか否かが判断される(ステップS214)。ここでの例では、上記ミリ波レーダー112により車両20の前方を走行する前方車両の存在を検知した旨を示す他車両検知信号、車両20を後退させるためのシフト・リバース操作が行われた旨を示す信号が車両情報に含まれているとき、車両情報に周辺環境信号が含まれていると判断される。同様に、例えば、車両20の走行時の天候が悪天候である旨を示す悪天候検知信号などの信号が車両情報に含まれているとき、すなわち、ワイパー制御装置107が高速で作動した旨の制御信号が車両情報に含まれているとき、車両情報に周辺環境信号が含まれていると判断される。
そして、車両情報に周辺環境信号が含まれていない旨判断されると(ステップS214:YES)、減速目標位置に対して行われた車両20の減速行動が周辺環境の影響を受けたものではなく、同車両20の減速行動が行われた走行位置についての車両情報が、運転支援エリアの作成に適した適正な情報であるとして規定される(ステップS215)。
一方、緊急信号、運転支援信号、周辺環境信号のいずれかの信号が含まれているときには、減速目標位置に対して行われた車両20の減速行動が周辺環境の影響を受けたものであり、同車両20の減速行動が行われた走行位置についての車両情報が、運転支援エリアの作成に際しての外乱であると規定される(ステップS216)。
こうして、周辺環境の影響の有無の判定を通じて車両情報の適正性が規定されると、図11にステップS217として示すように、この車両情報に基づき運転支援エリアの候補となる候補エリアを定義するエリア定義処理が実行される。そして、車両情報に含まれる減速行動を示す情報に基づく減速目標位置の決定、外乱影響有無の判定、及び候補エリアの定義が完了されると、この車両情報に含まれる他の減速行動を示す情報に対して、減速目標位置決定、外乱影響有無判定、及びエリア定義が適宜実行される。こうして、先のステップS201に先立ち抽出された車両情報に基づく減速行動の有無の判定、減速目標位置の決定、外乱影響有無の判定、及び候補エリアの定義が完了されると、その他の車両情報が車両情報収集部220から新たに抽出される。こうして適宜抽出された車両情報に基づき、減速行動判定、減速目標位置決定、外乱影響有無判定、及びエリア定義が、例えば各車両情報に含まれる車両20の減速行動を示す情報を単位として適宜実行されることとなる。
次に、本実施の形態の車両用情報処理装置及び運転支援エリアの学習方法によるエリア定義処理について図14を参照して説明する。なお、図14に示すエリア定義処理は、先の図9のステップS103の処理の詳細を示したものである。
図14に示すように、本処理ではまず、ステップS301において、周辺環境の影響の有無が規定された車両情報に対し、仮エリアIDが設定される。これにより、例えば、図15(a)に示す車両20の車両操作を示す情報Lkと車両20の走行エリア30を示す位置情報とが関連付けられた車両情報に対し、図15(b)に例示するように仮のエリアID「001」が設定される。
そして、図14に示すステップS302において、減速目標位置Ptから所定の距離「X」mだけ車両20の進行方向後方に戻った位置がエリア進入位置として規定される。また併せて、ステップS303において、減速目標位置Ptから所定の距離「Y」mだけ車両20の進行方向前方に進んだ位置がエリア退出位置として規定される。これにより、図15(b)に示すように、エリア進入位置Psとエリア退出位置Pgとによって区画されたエリアが、運転支援エリアの候補となる候補エリア40として作成される。
また、図14に示すステップS304において、減速目標位置Ptに対して例えば半径「α」mの円に包含されるエリアが、本候補エリア40における許容減速目標位置として規定される。これにより、図15(b)に示すように、減速目標位置Ptを中心とした半径αの許容減速目標位置Pt2が作成され、本エリア定義処理が終了される。
なお、本エリア定義処理を通じて定義される候補エリアに関する主要情報としては、図16に例示するように、大きくは、エリアID、エリア進入位置、エリア退出位置、及び許容目標減速位置を示す情報が挙げられる。
次に、本実施の形態の車両用情報処理装置及び運転支援エリアの学習方法によるエリア照合処理について図17及び図18を参照して説明する。なお、本エリア照合処理は、先の図9のステップS104の処理の詳細を示したものである。
図17に示すように、本処理ではまず、ステップS401において、先のエリア定義処理を通じて候補エリアが新たに定義されると、この候補エリアに含まれる減速目標位置(許容減速目標位置)を有する候補エリアもしくは運転支援エリアが学習データベース260に登録されているか否かが判断される。
すなわち、図18(a)に示す候補エリア40に包含される減速目標位置Ptを有する候補エリアもしくは運転支援エリアが、図18(b)に例示する学習データベース260に登録されているか否かが判断される。
なお、この候補エリア40の登録の有無の判断は、その判断項目を図18(c)に例示するように、例えば、候補エリア40の主要情報であるエリアID、許容目標減速位置の緯度経度情報などの情報と、学習データベース260に登録されている候補エリアや運転支援エリアの主要情報との対比を通じて行われる。
また、新たに定義された候補エリア40に含まれる許容目標減速位置等を含む候補エリアや運転支援エリアが学習データベース260に複数存在するときには、エリアIDや許容目標減速位置の緯度経度情報の他、例えば、エリアの始点となる進入位置やエリアの終点となる退出位置も加味して、候補エリアの登録の有無が判断される。
そして、新たに定義された候補エリア40に含まれる許容目標減速位置等を有した候補エリアや運転支援エリアが学習データベース260に存在しないときには、図18(d)に示すように、候補エリア40に設定された仮のIDが正規のIDへと変更される(図17:ステップS402)。
一方、新たに定義された候補エリア40に含まれる許容目標減速位置等を有した候補エリアや運転支援エリアが学習データベース260に既に存在するときには、既に登録済みの候補エリアや運転支援エリアの登録情報と新たに定義された候補エリア40の登録情報とが対比される。そして、この対比の結果、例えば、一致する登録情報のみが利用対象とする情報として規定され、相違する情報については破棄される(ステップS403)。
こうして、候補エリアが定義される都度、この定義された候補エリアに基づいて学習データベース260の登録内容が更新されることとなる。
次に、本実施の形態の車両用情報処理装置及び運転支援エリアの学習方法によるエリア学習処理について図19〜図27を参照して説明する。なお、本エリア学習処理は、先の図9のステップS105の処理の詳細を示したものである。
図19に示すように、本処理では大きくは、まずステップS501において、学習データベース260に登録、更新された候補エリア40の作成元となった車両情報に基づき、同候補エリア40で行われた車両20の行動が加速行動と減速行動とに分類される加減速行動分類処理が実行される。
本処理では、図20(a)に例示する候補エリア40が新たに定義されると、この候補エリア40の作成源となった車両情報から、図20(b)に示すように候補エリア40における車両20のアクセルペダル及びブレーキペダルの操作履歴であるペダル操作リスト22が抽出される。そして、この抽出されたペダル操作リスト22に基づき、候補エリア40における車両20の行動が、例えば「加速行動1」、「減速行動1」、及び「加速行動2」の3つの行動に分類される。なお、「加速行動1」とは、例えば、アクセルペダルの解除及び踏み込みが順に行われた行動である。また、「減速行動1」は、例えば、アクセルペダルの解除、ブレーキペダルの踏み込み・解除、及びアクセルペダルの踏み込みが順に行われた行動である。さらに、「加速行動2」は、例えば、アクセルペダルの解除及び踏み込みが順に行われた行動である。
こうして、車両20の行動が分類されると、図19にステップS502として示すように、この分類された行動のうちの減速行動が減速目標位置に対する車両行動である減速アプローチであるか否かを判定する減速アプローチ判定処理が実行される。
次いで、この減速アプローチ判定処理が実行されると、候補エリアで行われた車両行動の特徴(走行パターン)の別に同候補エリアが所定のブロック毎に分割される走行パターン判定処理が実行される(ステップS503)。
その後、これら加減速行動分類処理、減速アプローチ判定処理、及び走行パターン判定処理による処理結果を踏まえて学習データベース260の登録内容が更新される学習内容更新処理が実行される(ステップS504)。
次に、図19のステップS502における減速アプローチ判定処理の詳細を図21に示すように、本処理ではまずステップS601において、上記抽出されたペダル操作リスト22の中から、減速行動を示すペダル操作群が取り出される。これにより、図22(a)に示す候補エリア40を走行した車両20のペダル操作リスト22の中から、「減速行動1」を示すペダル操作群23が取り出される。なお、ここでの例では、ペダル操作群23は例えば、アクセルペダルのオフ、ブレーキペダルのオン、ブレーキペダルのオフ、及びアクセルペダルのオンが順に行われた旨を示している。
次いで、図21にステップS602として示すように、取り出されたペダル操作群23が、車両20が減速目標Ptで停止するために行われる減速行動である減速アプローチであるか否かが判定される。この減速アプローチの判定は、例えば、取り出されたペダル操作群23に所定のペダル操作が含まれているか否かに基づいて行われる。
本実施の形態では、に車両20が走行した走行エリア30(候補エリア40)における車両情報を図22(b)例示するように、例えば、
a:車両20の走行速度が約「20km」以上であるときのアクセルペダルのオフ(減速開始操作)、
b:車両20の走行速度が約「15km」未満であるときのブレーキペダルのオフ(減速終了操作)、
c:車両20の走行速度が約「5km」未満であるときのブレーキペダルのオフ、
及びエンジンがアイドリングの状態で車両が動く現象であるクリープの開始、
がペダル操作群23にて示されているときには、車両20により減速アプローチが行われたと判定される(第1の判定基準)。なお、クリープの有無の判断に際しては、ブレーキのオフ後にさらにブレーキペダルの踏み込み操作等が行われているときには「クリープ有り」として判断され、ブレーキのオフ後にさらにブレーキペダルの踏み込み操作等が行われていないときには「クリープ無し」として判断される。
また、例えば本実施の形態では、上記aに代えて、
a2:車両20の走行速度が約「15km」以上であるときのブレーキペダルのオン(減速開始操作)、
が上記「b」及び「c」の操作とともに車両情報に含まれているときにも、車両20により減速アプローチが行われたと判定される(第2の判定基準)。すなわち、減速目標に対する車両20の減速に際しては、アクセルペダルのオフが、減速目標Ptから十分に離れた距離から開始されることもあり、この場合には、減速目標Ptを包含する所定の走行エリアにおけるペダル操作群23にアクセルペダルのオフが含まれないこともある。しかし、本実施の形態では、上記「a2」を判定基準の一つとして減速アプローチ判定が行われることにより、ブレーキペダルのオンオフ及び車両20の走行速度のみに基づいて減速アプローチ判定を行うことが可能となっている。
そして、こうした判定基準に基づき、図22(c)に示すように、例えば「減速行動1」が減速アプローチであるとして判定される。
次いで、図21にステップS603として示すように、減速アプローチとして判定された減速行動が複数存在するときには、各減速行動のうち、車両20の減速目標位置を含む減速行動が減速アプローチとして特定される。
そして、こうした判定の結果、車両20が走行エリア30(候補エリア40)を走行した際に減速アプローチを行った旨判断されると(ステップS604:YES)、走行エリア30における車両20の減速回数が加算される(ステップS605)。
一方、車両20が候補エリア40を走行した際に減速アプローチを行っていない旨判断されると(ステップS604:NO)、車両20から収集された車両情報に基づく候補エリア40についての学習が終了される(ステップS606)。すなわち、候補エリア40が、減速アプローチの不要な走行エリア、換言すれば、車両20の減速アプローチを支援するための運転支援が必要のないエリアであるとして、運転支援を実行するための運転支援エリアの学習が終了される。
次に、図23に示すように、図19のステップS503における走行パターン判定処理では、まずステップS701において、上記減速アプローチとして判定された車両20の減速行動が行われた走行区間が、例えば減速アプローチが行われる区間である「減速アプローチ中ブロック」として規定される。これにより、図24(a)に示すように、車両20にて減速アプローチ(「減速行動1」)が行われた区間BC2が、図24(b)に示すように、「減速アプローチ中ブロック」として規定される。
次いで、図23にステップS702として示すように、減速アプローチ中の車両行動にアクセルオフが存在するか否かが判断される。そして、減速アプローチ中の車両行動にアクセルオフが存在するときには(ステップS702:YES)、減速アプローチの開始前における車両行動が行われた走行区間が、例えば「減速アプローチ前ブロック」として規定される(ステップS703)。これにより、図24(a)に示すように、車両20にて「加速行動1」が行われた区間BC1、換言すれば、「減速アプローチ中ブロックBC2」の直前の区間BC1が、図24(b)に示すように、「減速アプローチ前ブロック」として規定される。
一方、減速アプローチ中の車両行動にアクセルオフが存在しないときには(ステップS702:NO)、車両20が減速アプローチ中に候補エリア40に進入したと判定され、「減速アプローチ前ブロック」の規定が行われない(ステップS704)。
また、ステップS705において、減速アプローチ中の車両行動にアクセルオンが存在するか否かが判断される。そして、減速アプローチ中の車両行動にアクセルオンが存在するときには(ステップS705:YES)、減速アプローチの終了後における車両行動が行われた走行区間が例えば「減速アプローチ後ブロック」として規定される(ステップS706)。これにより、図24(a)に示すように、車両20にて「加速行動2」が行われた区間BC3、換言すれば、「減速アプローチ中ブロックBC2」の直後の区間BC3が、図24(b)に示すように、「減速アプローチ後ブロック」として規定される。
こうして、各区間のブロック名が規定されると、各ブロックにおける車両20の車両行動の各パターンが識別される(ステップS708)。ここでは、例えば、図25(a)に示すマップの参照を通じて、「減速アプローチ前ブロック」、「減速アプローチ中ブロック」、及び「減速アプローチ後ブロック」で行われた車両行動が、それぞれ「ばたばた巡航」、「基本アプローチ」、及び「小刻み発進」であると識別される。そして、候補エリア40における車両20の各行動の表現名が、「加速行動1」、「減速行動1」、及び「加速行動2」から、それぞれ「ばたばた巡航」、「基本アプローチ」、及び「小刻み発進」へと変更される。
また、候補エリア40における車両20の減速アプローチ態様を示す減速アプローチ情報が、例えば図25(b)に例示する態様で決定される(図23:ステップS709)。
こうして、減速アプローチ情報が決定されると、「減速アプローチ中ブロック」の直前のブロックである「減速アプローチ前ブロック」で車両20の減速行動が行われたか否かが判定される(ステップS710)。そして、「減速アプローチ前ブロック」で車両20の減速行動が行われていないときには(ステップS710:YES)、他車両21や天候等の周辺環境が候補エリア40で行われた車両20の車両行動に影響していないと判断される(ステップS711)。
これに対し、「減速アプローチ前ブロック」で車両20の減速行動が行われていたときには(ステップS710:NO)、候補エリア40で行われた車両20の車両行動が、他車両21や天候等の周辺環境の影響を受けた行動であると判断される(ステップS712)。すなわち、この場合には、車両20に減速行動を及ぼす要素が候補エリア40の減速目標以外にも存在しており、この要素の存在に起因して車両20の減速行動が行われた旨判断される。
続いて、図26に示すように、図19のステップS504における学習内容更新処理では、まずステップS801において、例えば、車両20から収集された車両情報に基づき定義された候補エリア40が、新たに定義されたエリアであるか否か、すなわち、学習データベース260に未登録のエリアであるか否かが判定される。
そして、候補エリア40が新たに定義されたエリアであると(ステップS801:YES)、車両20から収集された車両情報に基づき、候補エリア40(走行エリア30)を走行した車両20の減速アプローチ時において周辺環境が車両行動に影響を及ぼしていたか否かが判定される(ステップS802)。ここでは、例えば、先の図2及び図3に例示したように、ABS108やACC109の作動、及び周辺車両の存在の有無等に基づいて、周辺環境の影響の有無が判定される。
こうして、車両20の減速アプローチ時に周辺環境が車両行動に影響を及ぼしていない旨判定されると(ステップS802:YES)、減速アプローチ開始前の車両行動に周辺環境の影響が存在するか否かが判定される(ステップS803)。ここでは、例えば、減速アプローチの開始前に減速行動が行われていたとき、周辺環境が車両行動に影響を及ぼしていた旨判定される。
そして、減速アプローチ開始前の車両行動に周辺環境が影響を及ぼしていない旨判定されると(ステップS803:YES)、候補エリア40及び同候補エリア40での車両行動に関する情報が運転支援エリアに関する情報として学習データベース260に登録される。これにより、例えば、図27に示すエリア管理表が候補エリア40について作成され、この作成されたエリア管理表が学習データベース260に新たに登録される。
一方、ステップS801において、候補エリア40が定義済みのエリアであり、同候補エリア40に関するエリア管理表が学習データベース260に登録済みである旨判断されたときには(ステップS801:NO)、この学習データベース260に登録済みのエリア管理表が車両20から収集された車両情報に応じて更新される。なお、この更新に際しては、候補エリア40における学習回数がカウントされる。
また一方、ステップS802、ステップS803において、周辺環境が車両行動に影響を及ぼしていた旨判定されたときには、この周辺環境の影響が反映される車両情報に基づくエリア管理表の作成は行われず、本処理が終了される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車両用情報処理装置、及び運転支援エリアの学習方法によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)運転支援エリアの学習に際し、一時停止標識32や交差点31などの交通要素に応じた車両操作とは異なり、かつ、車両の周辺環境に起因して発生する操作を示す車両操作を含んだ車両情報を外乱として特定するとともに、この特定結果を運転支援エリアの学習に反映させることとした。このため、この外乱として特定された車両情報については、学習すべき運転支援エリアに反映させないことで、動的に変化する車両の周辺環境に起因して発生した車両操作を示す情報に基づく運転支援エリアが作成されることが抑制される。そのため、実際には交通要素が存在しないにも拘わらず、この交通要素に応じた車両操作が行われたと誤認され、運転支援エリアが誤って作成されることが抑制される。これにより、車両から収集された車両情報をもとに、ドライバの車両操作を支援する運転支援の実行に適した運転支援エリアを精度よく作成することができるようになる。
(2)外乱特定部240による特定結果を運転支援エリアの学習に反映させる処理として、この外乱特定部240にて外乱として特定された車両情報に基づくエリア管理表(運転支援エリア)の作成を行わないこととした。これにより、外乱である蓋然性の極めて低い車両情報、換言すれば、実際の道路上に存在する交通要素に対して行われるべき車両操作を示す車両情報のみに基づいて運転支援エリアが作成されることとなり、実際の道路環境に即した運転支援エリアを容易かつ的確に作成することが可能となる。
(3)外乱特定部240により、交通要素を含む所定区間の直前の区間における車両挙動の変動を示す車両情報を外乱として特定することとした。これにより、各種交通要素のもとで行われるべき一連の車両操作傾向に基づいて外乱を特定することが可能となり、車両情報が外乱であるか否かを高精度に特性することが可能となる。
(4)候補エリア定義部241により交通要素を包含する所定の区間を運転支援エリアの候補となる候補エリア40として定義するとともに、この定義した候補エリア40を車両操作の特定の要素の変化推移に基づき1ないし複数のブロックBC1〜BC3に分割することとした。そして、エリア学習部250では、各々定義された候補エリアのうち、交通要素を包含する減速アプローチ中ブロックBC2の直前の減速アプローチ前ブロックBC1に車両挙動の変動が含まれている候補エリアを、運転支援エリアの候補から除外することとした。これにより、走行エリアを走行する車両20の各ブロックBC1〜BC3における走行パターンに基づいて、車両情報が外乱であるか否かを的確に特定することが可能となる。また、これにより、運転支援エリアが交通要素毎に的確に作成されることとなり、この作成される運転支援エリアの有用性が好適に高められるようになる。
(5)外乱特定部240により、車両挙動の変動の有無を、減速アプローチ前ブロックBC1における車両20の減速に基づき特定することとした。このため、減速アプローチ前ブロックBC1において車両20が減速行動を行ったか否かに基づき、車両挙動に変動が生じたか否かを特定することが可能となる。これにより、減速アプローチ前ブロックBC1における車両挙動の変動の有無、ひいては、同ブロックBC1で車両20が周辺環境の影響を受けたか否かを的確に特定することが可能となる。
(6)外乱特定部240により、車両20に搭載されたミリ波レーダー112の検出結果を通じて他車両21の存在を認識したとき、当該他車両21の存在を認識した走行位置についての車両情報を外乱として特定することとした。これにより、車両情報の収集源となる車両20の周辺に存在する他車両21の影響を受けた車両操作が、所定の交通要素の特性に応じて行われた車両操作であると誤認されることもなく、他車両21の影響を受けた車両操作を示す車両情報が運転支援エリアに反映されることが抑制される。
(7)外乱特定部240により、車両20に搭載されたワイパー制御装置107の制御値に基づき同車両20の走行環境が悪天候であった旨を認識したとき、悪天候である旨を認識した走行位置についての車両情報を外乱として特定することとした。これにより、悪天候に起因して行われた車両操作が、所定の交通要素の特性に応じて行われた車両操作であると誤認されることもなく、悪天候の影響を受けた車両操作を示す車両情報が運転支援エリアに反映されることが抑制されることとなる。
(8)上記交通要素として、車両の減速もしくは停止が要求される一時停止標識32や交差点31を対象とし、車両20の減速支援が実行される運転支援エリアを車両情報に基づいて作成することとした。このため、車両20の減速操作や停止操作を示す車両情報に基づき運転支援エリアを作成する上で、交通要素の特性に応じて行われた減速操作や停止操作を示す車両情報を運転支援エリアに的確に反映させることが可能となる。これにより、減速支援に利用可能な高精度な運転支援エリアを作成することが可能となる。
(9)外乱特定部240により、ハザードランプの点灯、ABS108の作動、ACC109の作動、及びシフトレバー110を通じたシフト・リバース操作の少なくとも1つを示す情報が減速操作とともに含まれている車両情報を外乱として特定することとした。これにより、こうした各種要素の使用履歴や作動履歴に基づいて、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを的確に特定することが可能となる。
(10)外乱特定部240により外乱として特定されなかった候補エリアが運転支援エリアとして登録される学習データベース260を、車両用情報処理200に設ける構成とした。そして、エリア学習部250では、新たに定義された候補エリアが学習データベースに既に登録されている運転支援エリアと重複するエリアである旨認識したとき、該運転支援エリアの学習回数をカウントアップすることとした。これにより、外乱である蓋然性が極めて低い車両情報のみ基づき作成された高精度な運転支援エリアが学習データベース260に蓄積されることとなる。また、これにより、運転支援エリア毎の学習回数を、各々作成された運転支援エリアの信頼度や利用可能性を評価する際の評価項目として活用することが可能となる。
(11)車両20から収集された車両情報に基づき、各ブロックBC1〜BC3における各車両行動を、図25(a)に例示した態様で、各構成要素毎に詳細に分類した。これにより、各ブロックBC1〜BC3における各車両行動をより詳細に解析することが可能となる。またこれにより、この分類された各構成要素と車両20の行動に影響を及ぼす外乱との因果関係等を解析することも可能となり、車両20から収集された車両情報の利用可能性の拡大が図られるようになる。
(12)車両20の行動が減速アプローチであるか否かを判定する判定基準として、ブレーキペダルの操作態様を判定要素とした第2の判定基準を用いることとした。これにより、アクセルペダルのオフが、減速目標Ptから十分に離れた距離から開始されたために、減速目標Ptを包含する所定の走行エリアにおけるペダル操作群23にアクセルペダルのオフが含まれない場合であれ、ブレーキペダルのオンオフ及び車両20の走行速度のみに基づいて減速アプローチ判定を行うことが可能となる。
なお、上記実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・車両20の加速行動や減速行動として、図20(b)に例示したアクセルペダルやブレーキペダルのオン/オフ態様を規定した。これに限らず、例えば、アクセルペダルがオンとされている車両行動については一律に「加速行動」として規定したり、アクセルペダルがオフとされている車両行動やブレーキペダルがオンとされている車両行動については一律に「減速行動」として規定することも可能である。また、例えば、加速度センサ105の検出結果に基づき車両20が加速していると識別できるときや、GPS111にて取得される車両20の緯度経度の単位時間当たりの変化量が相対的に大きいときには、車両20の車両行動が「加速行動」であるとして規定することも可能である。逆に、例えば、加速度センサ105の検出結果に基づき車両20の加速度が低下していると識別できたときや、GPS111にて取得される車両20の緯度経度の単位時間当たりの変化量が相対的に小さいときには、車両20の車両行動が「減速行動」であるとして規定することも可能である。これらの場合には、例えば、車両20の加速度の変化や走行速度が「0」になったときや、車両20の緯度経度が変化しなくなったときに、車両20が減速目標位置に停止したと推定することが可能となる。そしてこの場合には、この減速目標位置の直前における車両20の行動を、減速アプローチとして推定することが可能である。またこの他、車両20の燃料の消費量の変化に基づいて、車両20の加速行動、減速行動、及び停止を判別するようにしてもよい。
・減速アプローチ判定を、アクセルペダル及びブレーキペダルのオン/オフ、並びに車両20の走行速度に基づいて行った。これに限らず、車両20の車両行動が減速アプローチであるか否かを特定することができればよく、アクセルペダル及びブレーキペダルのオン/オフ、もしくは車両20の走行速度のいずれか一方のみに基づいて行うことも可能である。
・減速アプローチ判定の判定基準として、上記判定項目「a」、「b」、「c」からなる第1の判定基準と、上記判定項目「a2」、「b」、「c」からなる第2の判定基準とを採用した。これに限らず、第1の判定基準のみ、あるいは第2の判定基準のみを減速アプローチ判定の判定基準として採用することも可能である。
・車両20の減速が必要になる交通要素として一時停止標識32及び交差点31を例示し、それら一時停止標識32及び交差点31を包含する走行エリア30(候補エリア40)を運転支援エリアの学習対象とした。これに限らず、車両20の減速が必要になる交通要素としては、例えば、所定の曲率半径を有したカーブや踏切などであってもよい。
・新たに定義された候補エリア40に含まれる許容目標減速位置等を含む候補エリアや運転支援エリアが学習データベース260に既に存在するときには、既に登録済みの候補エリアや運転支援エリアの登録情報と新たに定義された候補エリアの登録情報との対比を通じて、一致する登録情報のみを利用対象とする情報とした。そして、新たに定義された候補エリア40に関する情報のうち、学習データベース260に登録されている登録情報と相違する情報については破棄することとした。これに限らず、相違する情報については、逆に、学習データベース260に既に存在する登録情報を破棄することも可能である。あるいは、各々相違する情報を学習データベース260に登録することも可能である。
・新たに定義された候補エリア40が、学習データベース260に既に登録されている運転支援エリアと重複するエリアであるとき、運転支援エリアの学習回数をカウントアップすることとした。これに限らず、新たに定義された候補エリア40が学習データベース260に既に登録されている運転支援エリアと重複するときには、学習回数のカウントアップを行うことなく、学習データベース260に既に登録されている運転支援エリアに関するエリア管理表を新たに定義された候補エリア40に関するエリア管理表に置き換えてもよい。あるいは、新たに定義された候補エリア40が学習データベース260に既に登録されている運転支援エリアと重複するときには、学習回数のカウントアップを行わず、新たに定義された候補エリア40についてはエリア管理表を作成しないようにしてもよい。
・交通要素に応じた減速操作とともに、ハザードランプの点灯、アンチロック・ブレーキシステムの作動、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムの作動、及びシフト・リバース操作の少なくとも1つを示す情報が含まれている車両情報を外乱として特定することとした。これに限らず、例えば、ハザードランプの点灯、アンチロック・ブレーキシステムの作動、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムの作動、及びシフト・リバース操作のうち、2つ以上を示す情報が含まれている車両情報を外乱として特定するようにしてもよい。またこの他、例えば、車両20のウィンカーの点灯を示す情報が交通要素に応じた車両操作とともに含まれている車両情報を外乱として特定するようにしてもよい。同様に、例えば、操舵角や走行速度の変化量、加速度の変化量が所定の閾値を超える情報が交通要素に応じた車両操作とともに含まれている車両情報を外乱として特定するようにしてもよい。要は、交通要素とは異なる周辺環境であって、かつ、車両操作に影響を及ぼす要素の存在を示す情報や車両20の異常を示す情報が、交通要素に応じた車両操作とともに含まれている車両情報であれば、外乱として取り扱うことが可能である。
・車両20の車両挙動の変動の有無を、アプローチ前ブロックにおける車両20の減速の有無に基づき特定した。これに限らず、アプローチ前ブロックにおける車両20の加速度の変化に基づいて、車両20の車両挙動の変動の有無を特定するようにしてもよい。なお、この場合には、上記加速度センサ105やジャイロセンサ等の検出結果に基づき加速度の変化を検知することが可能である。
・車両20の走行時における天候が悪天候であるか否かを、ワイパー制御装置107の制御値に基づいて判断した。これに限らず、例えば、車両20に車載カメラが搭載されているときには、この車載カメラにより撮像される周辺画像に基づいて、車両20の走行時における天候が悪天候であるか否かを判断するようにしてもよい。また同様に、車両用情報処理200にて、車両20の走行時における天候を車両20の位置情報や同情報の記録時刻等に基づき特定し、この特定した天候に基づいて車両20の走行時における天候が悪天候であるか否かを判断するようにしてもよい。
・車両20の周辺に他車両21が存在するか否かを、ミリ波レーダー112の検出結果に基づいて判断した。これに限らず、例えば、車両20に車載カメラが搭載されているときには、この車載カメラにより撮像される周辺画像に基づいて、車両20の周辺に他車両21が存在するか否かを判断するようにしてもよい。また、例えば、車両20や車両用情報処理200にて道路交通情報センターから渋滞情報を取得し、この取得した渋滞情報と車両20の位置情報とに基づいて、車両20の周辺に他車両21が存在するか否かを判断するようにしてもよい。
・車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、車両20の周辺における他車両21の存在、及び、車両20の走行時における天候に基づいて判断した。これに限らず、車両20の周辺における他車両21の存在、もしくは車両20の走行時における天候の一方のみに基づいて、車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判断するようにしてもよい。
・周辺環境の影響を受けた車両挙動の変動として、アプローチ前ブロックに車両20の減速行動が存在するか否かを特定し、アプローチ前ブロックに車両20の減速行動が存在するときには、この減速行動が周辺環境の影響を受けた行動であると特定した。これに限らず、例えば、急加速や急減速等に伴う車両挙動がアプローチ前ブロックで発生しているとき、この車両挙動が周辺環境の影響を受けた行動であると特定するようにしてもよい。
・交通要素を包含する所定の区間を運転支援エリアの候補となる候補エリア40として定義するとともに、この定義した候補エリア40を車両操作の変化の推移に基づき1ないし複数のブロックに分割することとした。そして、この定義された候補エリア40のうち、交通要素を包含するブロックの直前のブロックに車両挙動の変動が含まれている候補エリアを運転支援エリアの候補から除外することとした。これに限らず、例えば、先の図25(a)に例示したマップ基づき特定された車両行動の構成要素の発生傾向に基づいて、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判断するようにしてもよい。すなわち、例えば、各車両から収集される減速アプローチ後ブロックにおける車両行動の構成要素が「基本発進」となる割合が例えば約9割であるときには、同構成要素がその他の構成要素である「小刻み発進」や「二段停止」であるとき、「小刻み発進」や「二段停止」が周辺環境の影響により発生した車両行動であるとして判断するようにしてもよい。これにより、各ブロック毎の車両行動のパターンに基づいて、車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判断することが可能である。また、例えば、各ブロックにおける構成要素毎の因果関係を解析し、各ブロック間の構成要素間の相関性に基づいて、車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判断するようにしてもよい。この場合には、例えば、アプローチ前ブロックにおける「外乱減速」とアプローチ中ブロックにおける「例外アプローチ」との相関関係が強い傾向にあるときには、アプローチ中ブロックにおける車両行動が「例外アプローチ」である場合に車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であると判断することが可能である。これにより、詳細に分類された各構成要素間の相関関係に基づき、車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを判断することが可能となる。なお、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、減速アプローチの直前で行われた減速行動の有無、あるいは、車両20における車両操作を変化させ得る周辺環境に基づき判断する上では、車両行動が加速行動及び減速行動のいずれであるかに分類するだけでよい。すなわち、車両20の車両行動を、先の図25(a)に例示した態様で構成要素毎に詳細に分類する処理を割愛することも勿論可能である。
・交通要素を含む所定区間の直前の区間における車両挙動の変動を示す車両情報を外乱として特定することとした。これに限らず、交通要素を含む所定区間における車両挙動の変動や同区間の直後の区間における車両挙動の変動が、交通要素に応じた車両操作とは異なり、かつ、車両の周辺環境に起因して発生する操作に起因する変動であるときには、こうした各区間における車両挙動の変動を示す車両情報を外乱として特定するようにしてもよい。
・車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、減速アプローチの直前で行われた減速行動の有無に基づき判断した。また、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、車両20における車両操作を変化させ得る周辺環境に基づき判断した。これに限らず、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、減速アプローチの直前で行われた減速行動の有無のみに基づいて判断するようにしてもよい。あるいは、車両20の車両行動が周辺環境の影響を受けた行動であるか否かを、車両20における車両操作を変化させ得る周辺環境に基づいて判断するようにしてもよい。
・外乱として特定された車両情報を、運転支援エリアの学習対象から除外し、この車両情報に基づくエリア管理表の作成を行わないこととした。これに限らず、例えば、外乱として特定された車両情報については、外乱として特定されていない車両情報よりも優先度を下げて取り扱いようにしてもよい。この場合には例えば、同車両情報に基づきエリア管理表を作成するとともに、この作成したエリア管理表に「信頼度:低」を識別子として付すようにしてもよい。また、例えば、各車両から収集された車両情報に全ての基づきエリア管理表を作成し、この作成したエリア管理表を学習データベース260に登録するようにしてもよい。そして、周辺環境の影響を受けた車両行動が反映された車両情報に基づき作成されたエリア管理表については、学習データベース260から削除したり、無効化したりするようにしてもよい。この場合には、周辺環境の影響を受けた車両行動に基づく車両情報が運転支援エリアに反映されることを事後的に除外することが可能となり、例えば、車両用情報処理200とは異なる装置によって収集された車両情報に基づき作成された運転支援エリアの中から、適正性を欠く運転支援エリアを事後的に無効化することが可能となる。これにより、従来の装置等によって収集された車両情報に基づき作成された運転支援エリアの適正化を事後的に図ることが可能となり、従来の装置等によって収集された車両情報や、同装置等により作成された運転支援エリアを有効に活用することが可能となる。
・車両の減速もしくは停止が要求される交通要素のもとで行われた減速行動を含んだ車両情報を各車両から収集した車両情報の中から特定し、この特定した車両情報に基づき、車両の減速支援が実行される運転支援エリアを学習することとした。これに限らず、例えば、一時停止位置や信号交差点、駐車場などで行われる車両の発進行動を含んだ車両情報を各車両から収集した車両情報の中から特定し、この特定した車両情報に基づいて、車両の発進操作を支援する発進支援が実行される運転支援エリアを学習するようにしてもよい。要は、学習すべき運転支援エリアとは、各種交通要素が包含され、各種交通要素に応じて各種車両操作を支援するための運転支援が実行されるエリアであればよい。
・車両情報を、複数台の車両から収集することとした。これに限らず、運転支援エリアの作成に用いられる車両情報とは一台の車両から収集された情報であってもよい。
・上記減速行動抽出部230及び外乱特定部240及びエリア学習部250を、車両用情報処理200が備える構成とした。これに限らず、例えば、車両用情報処理200に設けられた減速行動抽出部230及び外乱特定部240及びエリア学習部250を割愛する構成とし、それら減速行動抽出部230及び外乱特定部240及びエリア学習部250を、車両情報の取得源となる車両20に搭載する構成としてもよい。そして、この車両20にて、適宜取得された車両情報が外乱であるか否かを特定するようにしてもよい。そして、外乱として特定されなかった車両情報のみを、車両20から車両用情報処理200に送信するようにしてもよい。この場合には、車両用情報処理200には、運転支援エリアの作成に直接用いることのできる信頼性の高い車両情報のみが収集されることとなる。
・車両用情報処理200を、各車両の車両情報が収集されるセンターに設ける構成とした。これに限らず、例えば、車両用情報処理200を車両20に設ける構成としてもよい。そして、この車両20にて取得される車両情報に基づいて運転支援エリアの学習を車両20にて行うようにしてもよい。またさらに、この車両用情報処理200が搭載される車両20と、他車両21との車車間通信を通じて他車両21の車両情報を収集し、この収集した車両情報に基づいて運転支援エリアの学習を車両20にて行うようにしてもよい。