JP5789837B2 - 縦型粉砕機 - Google Patents

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Description

本発明は、特に米等、硬度の高い粒状物の微粉砕に適した縦型粉砕機に関するものである。
豆類や穀類のような食品等の粉砕には、従来からハンマーミルやピンミル等の被砕物に叩き割るような衝撃を加えて粉砕する衝撃式粉砕機が広く用いられてきた。しかし衝撃式粉砕機は微粉末化しようとすると衝撃による発熱が大きくなり、微粉砕された製品の品質悪化を招くことがあった。また、被砕物が大豆等の脂質含有量が多いものである場合には、油で練られたような状態となって粉砕が不可能となることがあった。
また、被砕物を液体窒素等の冷媒によって脆化させて粉砕する凍結粉砕法は、様々なものを微粉砕できる優れた粉砕方法であるが、高価な液体窒素等を大量に必要とするためにランニングコストが高くなり、また粉砕機自体も保冷が必要なために大きな設備投資が必要であるという問題があった。
これらに対し、激しい気流の中で被砕物どうしを衝突させて粉砕する気流粉砕は、衝撃が小さいために発熱も抑えることができ、素材成分の劣化や素材ダメージを抑えながら、効率よく微粉砕することが可能であるとともに、設備投資やランニングコストも抑えることができる優れた粉砕方法である。
この気流式粉砕機についても従来から様々な技術開発がなされており、例えば特許文献1には、筒状体の下部に気密に取付けられたケーシングの内部に、垂直回転軸に支持された回転体を備え、筒状体とケーシングの取付け境界に、口径が調整可能な調整口を形成した調整部材を固定しており、筒状体の上端部に形成された開口部から被砕物を投入し、調整口を通ってケーシング内に導かれた被砕物をケーシング内で気流式粉砕したのち、回転体の回転により形成される旋回気流にのせて、ケーシング上部の調整口、更に、筒状体の側面下部に形成された出口に導き排出する縦型粉砕機の技術が開示されている。
しかし、特許文献1記載の縦型粉砕機では、被砕物の粒度調整作業をする際、縦型粉砕機を分解して、調整部材を筒状体とケーシングとの間から取り外し、口径の異なる調整口を形成した調整部材と交換する等の作業が必要となり、粒度調整作業に多くの手数と時間とを要するという問題や、粒度調整作業中に異物が混入する危険性があった。
特開2004−243311号公報
本発明の目的は前記の問題点を解決し、粒度調整作業を、容易な作業で短時間に行え、かつ、粒度調整作業中に異物が混入する危険性を回避することができる縦型粉砕機を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の縦型粉砕機は、ケーシングの内部に垂直回転軸と、該垂直回転軸に支持された回転翼を備えた縦型粉砕機であって、該ケーシングは、上部に向かって次第に縮径する肩部を有する回転翼配置部と、その上部に接続された筒状部からなり、該筒状部の上部に、粉砕物を吸引して排出する排出口を形成し、該回転翼配置部の側面に被砕物の投入口を形成し、該筒状部の下部に、下端が筒状部から前記肩部内に垂下する粒度調整筒を、該筒状部に対して昇降可能に内接して設け、その下端の位置を変えることにより、旋回気流に乗って筒状部へ移行する粉砕物の粒径を制御可能としたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の縦型粉砕機において、粒度調整筒をケーシングの外側から昇降操作する昇降操作手段を備えることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の縦型粉砕機において、該排出口より下部位置に、未粉砕物が排出口から排出されることを抑制するブロック部材を設け、該ブロック部材をドーナツ形状とし、筒状部の内側面に内接して設けたことを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の縦型粉砕機において、垂直回転軸の下側に配置された下側回転翼と、垂直回転軸の上側に配置された上側回転翼とを備え、該投入口を、下側回転翼と上側回転翼との間に形成される空間部に向けて開口させたことを特徴とするものである。
本発明に係る縦型粉砕機は、ケーシングの内部に垂直回転軸と、該垂直回転軸に支持された回転翼を備えた縦型粉砕機であって、該ケーシングは、上部に向かって次第に縮径する肩部を有する回転翼配置部と、その上部に接続された筒状部からなり、該筒状部の上部に、粉砕物を吸引して排出する排出口を形成し、該回転翼配置部の側面に被砕物の投入口を形成し、該筒状部の下部に、下端が筒状部から前記肩部内に垂下する粒度調整筒を、該筒状部に対して昇降可能に内接して設けた構成を備え、被砕物の粒度を調整する際には、粒度調整筒の昇降作業のみを行えばよく、容易な作業で短時間に粒度調整作業を完了することができ、このため、調整作業中に異物が混入する危険性も効果的に回避することができる。請求項2記載の発明によれば、縦型粉砕機を分解することなく粒度調整を行うことができるため、更に効果的に前記効果を奏することができる。
請求項3記載の発明によれば、未粉砕物が排出口から排出されることを抑制することにより、粉砕物の粒度を安定化することができる。
本発明の実施形態を示す正面図である。 回転翼の斜視図である。 ケーシングのうち、筒状部の斜視図である。 ケーシングの説明図である。 ケーシングのうち、回転翼配置部の斜視図である。 粒度調整筒による最大粒径制御の説明図である。
図1において、1はベース、2はベース1上にフレーム3により垂直に支持された軸受、4はこの軸受2に支持された垂直回転軸である。図示のようにこの垂直回転軸4は軸受2から垂直に突出したもので、上側回転翼5と下側回転翼6とがスペーサー等によって常に一定間隔で固定され、モータ21により高速回転できるようになっている。上側回転翼5と下側回転翼6はほぼ同一形状であり、図2示されるように中心側のボス7の外周に、複数枚の翼板8を突設したものである。翼板8の先端部は折り曲げ部9となっている。なお、この実施形態では、上側回転翼5と下側回転翼6とは、それぞれ3枚の回転翼により構成されているが、これに限定されるものではない。
10はフレーム3の端部に設けられたケーシングであり、上側回転翼5と下側回転翼6とがその内部に収納される。ケーシング10は、回転翼の配置された回転翼配置部11と、該回転翼配置部11の上部に接続された筒状部12から形成されている。
筒状部12は、図3、図4に示すように、上部に、粉砕物を吸引して排出する排出口13を形成されている。この排出口13は吸引装置に連結されており、粉砕物を吸引して製品回収装置に回収するものである。
筒状部12の内側面には、排出口13の下部位置に、ドーナツ形状のブロック部材17を設けており、これにより未粉砕物が排出口から排出されることを抑制している。
また、筒状部12の下端部には、図4に示すように、昇降可能な粒度調整筒14が内接して設けられている。粒度調整筒14は、筒状部12に形成した長孔部15にボルト16で固定されており、ボルト16の固定位置を長孔部内で変更することにより、下端位置を上下に昇降させることができる。
回転翼配置部11は、図5に示すように、上側で縮径した開口部18と、該開口部18の下部に形成された肩部19を有している。すなわち、肩部19は上部に向かって次第に縮径した形状である。
回転翼配置部11には、図1に示すように、上側回転翼5と下側回転翼6と回転翼配置部11の内側面とによって粉砕エリア20が形成されている。図1において、22は投入用ホッパーであり、その下端は、上側回転翼5と下側回転翼6の間に形成される空間部に向けて開口した投入口に接続され、この位置から被砕物が投入される。
次に上記の構成を備えた本発明の気流式粉砕機の作用を説明する。
モータ21により上側回転翼5と下側回転翼6とを高速回転させた状態で、投入用ホッパー22から被砕物(米、等)を回転翼配置部11内に連続的に定量投入すると、上側回転翼5と下側回転翼6と回転翼配置部11の内側面とによって形成される粉砕エリア20に入り、被砕物どうしが衝突することによって微粉砕される。
被砕物は上側回転翼5と下側回転翼6の回転により翼板8や回転翼配置部11の内側面に衝突したり、互いに衝突するなどの衝撃が加えられて粉砕されていく。そして、こうした衝撃が繰り返し加えられることにより穀物粒は徐々に微粉砕される。
上側回転翼5と下側回転翼6の回転によって旋回気流が発生しているため、遠心力の作用によりその重さが重い程、回転体の回転中心から離れた位置で回転するようになる。
そして、回転しながら互いに衝突し合いさらに微粉砕されていき、回転体の回転中心付近には軽い粒子が集まり、回転中心から離れるに従い重い粒子が集まるようになって、重さの揃った粒子群、すなわち粒径の揃った粒子群が形成されるようになる。その結果、回転翼配置部11の内側面付近には粒径の大きい粒子群が形成され、回転体の回転中心にいくに従い粒径の小さい粒子群が形成される。
回転翼配置部11で粉砕された粉砕物は、その後、上向きの旋回気流に乗って筒状部12に放出される。
このとき、回転翼配置部11の外縁部に集まっている比較的粒径の大きい画分の粉砕物は、図6に示すように、下端が筒状部12から前記肩部19内に垂下する粒度調整筒14によって筒状部12への移行が妨げられて粉砕エリア20に引き戻されて、再度気流粉砕されて粒径が小さくなる。本発明では、このように、粒度調整筒14の昇降によって筒状部12へ移行する粉砕物の最大粒径を制御することにより、容易な作業で短時間に粒度調整作業を完了可能としている。
そして、粒度調整筒14によって筒状部12への移行が妨げられない、所定の粒径以下の粒子群は、旋回気流15に乗って筒状部12を経て、排出口13から排出されるようになる。例えば、粒度調整筒14の下端位置をより低い位置にすると、筒状部12へ移行できる粉砕物の最大粒径が小さくなり、より粒径の小さい微粉体を取り出すことができる。一方、粒度調整筒14の下端位置を上昇させると、筒状部12へ移行できる粉砕物の最大粒径が大きくなり、より粒径を大きくした微粉体を取り出すことができる。
また、更に、筒状部12の内側面には、排出口13の下部位置に、ドーナツ形状のブロック部材17を設けることにより、粒度調整筒14でブロックされなかった未粉砕物が、上向きの旋回気流に乗って筒状部12へ移行してしまった場合にも、該ブロック部材17によって未粉砕物の排出を阻止し、排出口から排出される粉砕物の粒度安定化を図っている。
例えば、回転速度を3600rpm、粒度調整筒14の下端位置を、筒状部12の下端から0mmとして米を粉砕したときには、製品回収装置に回収された粉砕物の粒度分布は、平均粒径30μmとなり、粒度調整筒14の下端位置を、筒状部12の下端から10mmに拡大すると、製品回収装置に回収された粉砕物の粒度分布は、平均粒径15μとなり、粒度調整筒14の下端位置を、筒状部12の下端から20mmに拡大すると、製品回収装置に回収された粉砕物の粒度分布は、平均粒径11μmとなり、本発明の効果が確認できた。
本発明の気流式粉砕機においては、回転翼配置部11の内部の上側回転翼5と下側回転翼6とには手を触れることなく、外部から図4に示す、ボルト位置の調整による粒度調整筒14の昇降を行うだけで分級性能の調節が可能である。このために分級性能の調節のために回転翼の取外しは不要であり、粉砕エリア20の容積は常に一定であるから破砕性能が変動することもなく、異物混入の危険も低減できるなどの多くの利点がある。
1 ベース
2 軸受
3 フレーム
4 回転軸
5 入口側回転翼
6 吐出側回転翼
7 ボス
8 翼板
9 折り曲げ部
10 ケーシング
11 円筒状本体
12 筒状部
13 排出口
15 長孔部
16 ボルト
17 ブロック部材
18 開口部
19 肩部
20 粉砕エリア
21 モータ
22 投入用ホッパー


Claims (4)

  1. ケーシングの内部に垂直回転軸と、該垂直回転軸に支持された回転翼を備えた縦型粉砕機であって、
    該ケーシングは、上部に向かって次第に縮径する肩部を有する回転翼配置部と、その上部に接続された筒状部からなり、該回転翼配置部の側面に被砕物の投入口を形成し、
    該筒状部の上部に、粉砕物を吸引して排出する排出口を形成し、
    該筒状部の下部に、下端が筒状部から前記肩部内に垂下する粒度調整筒を、該筒状部に対して昇降可能に内接して設け、
    その下端の位置を変えることにより、旋回気流に乗って筒状部へ移行する粉砕物の粒径を制御可能としたことを特徴とする縦型粉砕機。
  2. 粒度調整筒をケーシングの外側から昇降操作する昇降操作手段を備えることを特徴とする請求項1記載の縦型粉砕機。
  3. 該排出口より下部位置に、未粉砕物が排出口から排出されることを抑制するブロック部材を設け、
    該ブロック部材をドーナツ形状とし、筒状部の内側面に内接して設けたことを特徴とする請求項1または2記載の縦型粉砕機。
  4. 垂直回転軸の下側に配置された下側回転翼と、垂直回転軸の上側に配置された上側回転翼とを備え、
    前記投入口を、下側回転翼と上側回転翼との間に形成される空間部に向けて開口させたことを特徴とする請求項1記載の縦型粉砕機。
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