JP5789789B2 - フッ素汚染土壌の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素により汚染された土壌の処理方法、より具体的には、土壌中のフッ素を不溶化して、当該土壌から溶出するフッ素の量(フッ素溶出量)を環境基準以下とする方法に関する。
重金属あるいは有害化学物質による土壌の汚染が問題となっている。土壌の汚染を放置すれば、雨水および地下水を媒体として汚染が徐々に拡大し、被害が増大する。汚染物質の種類ならびに汚染の程度によって取り得る方法が異なるが、汚染土壌の処理方法の一つに、土壌中の汚染物質の不溶化処理がある。不溶化処理によって、水を媒体とする当該物質の周辺への拡散が抑えられる。
汚染物質がフッ素の場合、「溶出量0.8mg/L以下」との環境基準が定められている。フッ素により汚染された土壌(フッ素汚染土壌)の処理方法では、処理後の土壌において、少なくともこの環境基準を満たす必要がある。
特許文献1には、フッ素汚染土壌に対して鉱酸を加えて酸性域(pH2〜4)にする第1工程と、次いでアルミニウム塩または鉄塩のうち少なくとも1種を添加して混合する第2工程と、次いでアルカリを加えて弱酸性域ないしアルカリ性域(pH3〜10、好ましくは中性域であるpH7〜8)に調節して、アルミニウムまたは鉄の水酸化物を生成させることによりフッ素を不溶化する第3工程と、を含む処理方法が開示されている(請求項3,4)。また、特許文献1には、処理対象物である土壌が、アルミニウム塩または鉄塩のうち少なくとも1種の添加により上記の酸性域となる場合、または当初から上記の酸性域にある場合、第1工程が省略され得ることが記載されている(段落0007、請求項1,2)。
特許文献2には、フッ素汚染土壌に対してリン酸水素カルシウム二水和物を混合する処理方法が開示されている。
特開2002-326081号公報 特開2007-216156号公報
特許文献1の方法は、処理後の土壌におけるフッ素溶出量を環境基準以下とするために、第1工程で土壌のpHを2〜4とする必要があり、土壌中の生態系へのインパクトが非常に大きい。特許文献2の方法は、処理後の土壌におけるフッ素溶出量を環境基準以下とするために、表面を活性化したリン酸水素カルシウムを多く、具体的には乾燥土壌100重量部に対して5〜20重量部ほど、添加する必要がある。リン資源は、全世界的に枯渇が懸念されており、それに伴い、価格が上昇傾向にあることが知られている。リン酸化合物の汚染土壌への添加量は、できるだけ少ないことが望まれる。
本発明は、フッ素汚染土壌におけるフッ素の不溶化のためにリン酸カルシウム化合物の添加が必ずしも必要なく、リン酸カルシウム化合物を添加する場合においてもその添加量を従来より削減できるとともに、特許文献1の方法に比べて土壌中の生態系へのインパクトが抑制され、フッ素の溶出量が環境基準以下となる十分なフッ素不溶化作用を有する、フッ素汚染土壌の処理方法の提供を目的とする。
本発明のフッ素汚染土壌の処理方法は、粘土画分を含むフッ素汚染土壌に酸性資材を添加して前記土壌のpHを5.5以上6.5以下とすることにより、前記土壌に含まれるフッ素を不溶化する方法である。
別の側面から見た本発明のフッ素汚染土壌の処理方法は、フッ素汚染土壌に酸性資材を添加して前記土壌のpHを5.5以上6.5以下とすることにより、前記土壌に含まれるフッ素を不溶化して、当該土壌のフッ素溶出量を環境基準の0.8mg/L以下にし、前記酸性資材が、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である方法である。
本発明の処理方法は、フッ素汚染土壌に対して、フッ素の溶出量が環境基準以下となる十分なフッ素不溶化作用を有する。本発明の処理方法では、フッ素汚染土壌におけるフッ素の不溶化のためにリン酸カルシウム化合物の添加が必ずしも必要なく、リン酸カルシウム化合物を添加する場合においてもその添加量が従来より削減される。本発明の処理方法は、土壌のpHをpH2〜4のような強い酸性域とすることなくフッ素を不溶化でき、特許文献1の方法に比べて、土壌中の生態系へのインパクト(ダメージ)が小さい。
本発明の処理方法の一例を示すフロー図である。 本発明の処理方法の別の一例を示すフロー図である。 実施例1で評価した、第1工程実施後の土壌のpHとフッ素溶出量との関係を示す図である。 実施例1および2で評価した、第1工程実施後の土壌のpHとフッ素溶出量との関係を示す図である。 実施例2で評価した、第1工程実施後の土壌のpHとフッ素溶出量との関係、ならびに実施例3で評価した、第2工程実施後の土壌のpHとフッ素溶出量との関係を示す図である。 実施例4で評価した、ヒドロキシアパタイト添加量と第2工程実施後の土壌のフッ素溶出量との関係、ならびに比較例で評価した、ヒドロキシアパタイト添加量とヒドロキシアパタイト添加後の土壌のフッ素溶出量との関係を示す図である。 実施例4で評価した、第2工程実施後の土壌にさらに酸添加溶出試験を行った際のヒドロキシアパタイト添加量と土壌のフッ素溶出量との関係、ならびに比較例で評価した、ヒドロキシアパタイト添加後の土壌にさらに酸添加溶出試験を行った際のヒドロキシアパタイト添加量と土壌のフッ素溶出量との関係を示す図である。 実施例4で評価した、第2工程実施後の土壌にさらにアルカリ添加溶出試験を行った際のヒドロキシアパタイト添加量と土壌のフッ素溶出量との関係、ならびに比較例で評価した、ヒドロキシアパタイト添加後の土壌にさらにアルカリ添加溶出試験を行った際のヒドロキシアパタイト添加量と土壌のフッ素溶出量との関係を示す図である。
図1に、本発明の処理方法の一例を示す。図1に示す処理方法では、フッ素汚染土壌に対して酸性資材を添加して、当該土壌のpHを5.5以上6.5以下に調整する(第1工程)。酸性資材の添加により、フッ素汚染土壌のpHを5.5以上6.5以下に調整すると、土壌中の粘土画分にフッ化物イオンが吸着してフッ素が不溶化される。この不溶化の効率は高く、処理前の土壌中に含まれているフッ化物イオンの量にもよるが、リン酸カルシウム化合物を必ずしも添加することなく、処理後の土壌におけるフッ素の溶出量が環境基準以下となる。酸性資材の添加によりpHを調整した後の土壌のpHが5.5未満および6.5を超える場合、このような効率よいフッ化物イオンの吸着が行われず、フッ素の不溶化が不十分となる。土壌中の粘土画分は、層状ケイ酸塩化合物;鉄、アルミニウム、マンガン、ケイ素などの酸化物または水酸化物;アロフェン;イモゴライト;腐植物質が代表的である。粘土画分の粒子径は、一般に、5μm以下、好ましくは2μm以下である。
土壌のpHは、土壌を乾燥させた後、当該土壌の重量(乾燥重量)に対して10倍の重量の水を当該土壌に加え、6時間振とうさせて得た懸濁液のpHにより表される。
本明細書における環境基準は、平成15年に施行された土壌汚染対策法における重金属等(第二種特定有害物質)の土壌溶出量の指定基準に基づく。フッ素に関しては、その土壌からの溶出量を0.8mg/Lとすることが基準として定められている。フッ素汚染土壌とは、フッ素の溶出量が当該基準を超過する土壌である。
酸性資材は、フッ素汚染土壌のpHを5.5以上6.5以下に調整できる限り限定されない。酸性資材は、例えば、塩酸、硫酸などの鉱酸、ならびに水との接触により、より具体的には水への溶解により、酸性を示す物質である。
酸性資材は、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムは、水への溶解により酸性を示す物質であり、土壌のpHを5.5以上6.5以下とするpH調整剤としての機能を有する。これに加えて、両者には、フッ化物イオンを不溶化させる不溶化剤としての機能が期待できる。具体的には、当該pH域において、アルミニウムは水酸化アルミニウムとして析出した状態で土壌中に存在する。水酸化アルミニウムは多数の表面水酸基を有し、当該pH域においては、正に帯電した表面サイトが卓越する。この表面水酸基にフッ化物イオンが吸着することで、フッ化物イオンが不溶化される。すなわち、酸性資材として硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種を用いることによって、本発明の処理方法におけるフッ素不溶化作用が向上する。
フッ素汚染土壌に対する酸性資材の添加量は、酸性資材の添加による土壌のpHの変化が止まった後、すなわち、土壌が安定した後のpHが5.5以上6.5以下となるように選択すればよい。
第1工程では、フッ素汚染土壌に対し、2種以上の酸性資材を添加してもよい。この場合、少なくとも1種の酸性資材が、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
第1工程の具体的な実施方法は限定されない。フッ素不溶化剤を土壌に添加する公知の方法を応用できる。土壌中への酸性資材の均一な添加のためには、溶液状の酸性資材、例えば水溶液、を土壌に添加することが好ましい。酸性資材が不溶性または難溶性である場合は、粉末またはスラリーとして酸性資材を土壌に添加してもよい。フッ素汚染土壌が存在する現地において第1工程を実施し、そのまま当該土壌を現地で養生してもよい。養生の条件、例えば養生時間、温度など、は、適宜調整できる。あるいは、フッ素汚染土壌を現地で採取し、採取した土壌に対して別途第1工程を実施した後、フッ素が不溶化された土壌を現地に埋め戻してもよい。本発明の処理方法は、フッ素汚染土壌を封じ込める方法にも適用可能であり、当該方法をとる場合、第1工程は、封じ込め前の前処理として実施してもよい。養生、埋め戻しならびに封じ込めは、公知の方法を応用して実施できる。
図2に、本発明の処理方法の別の一例を示す。図2に示す処理方法では、上述した第1工程を実施した後に、当該土壌にリン酸カルシウム化合物を添加する(第2工程)。この方法は、例えば、処理対象であるフッ素汚染土壌に含まれるフッ素の量が非常に多く、第1工程のみではフッ素の不溶化が不十分となる場合、あるいは環境基準に比べてさらなるフッ素溶出量の低減が必要な場合に実施すればよい。本発明の処理方法では、第2工程は、あくまでも必要に応じて実施される工程である。
リン酸カルシウム化合物の添加は、第1工程の後に、すなわち、酸性資材の添加により、土壌のpHを5.5以上6.5以下とした後に行う。このとき、リン酸カルシウム化合物を添加した後の土壌のpHを5.5以上6.5以下に保つことが好ましい。
第2工程において土壌にリン酸カルシウム化合物を添加すると、土壌中の未だ不溶化がなされていないフッ素(フッ化物イオン)が当該化合物と結合し、不溶化される。すなわち、第2工程の実施により、本発明の処理方法におけるフッ素不溶化作用がさらに向上する。
これに加えて、第2工程を実施した場合、酸性側およびアルカリ性側を問わず土壌のpHが後に変化したときにも、フッ素不溶化の効果がより確実に維持される。不溶化処理後の土壌のpHが変化することが予想される場合、特に、土壌のpHがアルカリ側に変動することが予想される場合に、第2工程を含む本発明の処理方法は特に効果的である。土壌のpHがアルカリ側に変動することが予想される場合として、例えば、コンクリート製の構築物が土壌中に存在する場合、溶液状の酸化資材または溶液状のリン酸カルシウム化合物の添加による地盤強度の低下を防ぐために、あるいは処理済み土壌の埋め戻しによる地盤強度の低下を防ぐために、セメントのようなアルカリ性の固化剤を併用する場合、が考えられる。
リン酸カルシウム化合物は特に限定されない。例えば、ヒドロキシアパタイト(Ca5(PO43OH)、または、リン酸二水素カルシウム(Ca(H2PO42)、リン酸水素カルシウム(CaHPO4)、リン酸三カルシウム(Ca3(PO42)の無水物または水和物であり、フッ化物イオンと結合する能力が高いことからヒドロキシアパタイトが好ましい。ヒドロキシアパタイトは、フッ化物イオンとの結合により、フルオロアパタイト(Ca5(PO43F)に変化する。この変化は、土壌のpHが5.5以上の領域において特に進行しやすい。
第1工程後の土壌に対するリン酸カルシウム化合物の添加量は、特に限定されない。第1工程における酸性資材の添加量、フッ素汚染土壌中に含まれているフッ素の量、ならびに処理後の土壌に要求されるフッ素溶出量に応じて、適宜設定すればよい。本発明の処理方法におけるフッ素不溶化作用が強いことから、当該添加量は、例えば、乾燥土壌100重量部に対して5重量部未満、3重量部以下、さらには2重量部以下である。
第2工程の具体的な実施方法は限定されない。フッ素不溶化剤を土壌に添加する公知の方法を応用できる。土壌中へのリン酸カルシウム化合物の均一な添加のためには、溶液状のリン酸カルシウム化合物、例えば水溶液、を土壌に添加することが好ましい。リン酸カルシウム化合物が不溶性または難溶性である場合は、当該化合物の粉末またはスラリーを土壌に添加してもよい。フッ素汚染土壌が存在する現地において第1および第2工程を実施し、そのまま当該土壌を現地で養生してもよい。第2工程後の養生の条件、例えば養生時間、温度など、は、適宜調整できる。あるいは、フッ素汚染土壌を現地で採取し、採取した土壌に対して別途第1および第2工程を実施した後、フッ素が不溶化された土壌を現地に埋め戻してもよい。フッ素汚染土壌を封じ込める方法をとる場合、第1および第2工程は、封じ込め前の前処理として実施してもよい。養生、埋め戻しならびに封じ込めは、公知の方法を応用して実施できる。
本発明の処理方法は、本発明の効果が得られる限り、第1および第2工程以外の任意の工程を含んでいてもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
最初に、土壌の評価方法を記載する。
[土壌のpH]
評価対象である土壌を十分に乾燥した後(例えば、土壌をバットに広げ、一週間風乾する)、ポリプロピレン製のふるい(目の開きが2mm)にかけて粒径2mm以下の画分を採取し、評価試料とした。次に、当該試料の乾燥重量に対して10倍の重量の水を当該試料に加えた。次に、試料と水との混合物を振とう機(EYELA東京理化器械製、NTS-1300)を用いて室温で6時間振とうさせ、懸濁液を得た。得られた懸濁液のpHをpHメータ(HORIBA製、F-52)により測定して、その値を土壌のpHとした。
[土壌のフッ素溶出量]
土壌のフッ素溶出量は、環境庁告示第46号(平成3年8月23日付)に示された方法により評価した(通常溶出試験)。フッ素不溶化処理後における土壌のpH変化を想定した、フッ素溶出量に関する酸添加溶出試験およびアルカリ添加溶出試験は、社団法人土壌環境センター提案の方法に従って実施した。これらの評価には、土壌のpHを測定するための評価試料と同様に準備した試料を用いた。
(実施例1)
フッ素化合物を使用する事業所の敷地から採取したフッ素汚染土壌を上記の方法で風乾させた後、粒径2mm以下の画分を採取し、評価試料とした。試料のフッ素溶出量は3.64mg/L、pHは8.63であった。なお、当該試料は、粘土画分として層状ケイ酸塩化合物、水酸化物、鉄酸化物、腐植物質を含んでいた。
次に、上記のように準備した試料に、酸性資材として濃度0.1Mの塩酸水溶液を、その添加量を変えながら添加し、全体を10分間振とう攪拌して第1工程を実施した。このとき、試料と水との混合比(重量比)が1:10となるように、塩酸水溶液とは別に水を添加した。混合比中の水には、塩酸水溶液中の水分が含まれる。
以下の表1および図3に、第1工程実施後の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。
Figure 0005789789
表1および図3に示すように、酸性資材である塩酸水溶液の添加により土壌のpHを酸性側に変化させ、当該pHを5.5以上6.5以下とした場合に、土壌のフッ素溶出量が大きく低減し、環境基準である0.8mg/L以下となった。一方、土壌のpHが5.5未満および6.5を超える場合は、フッ素溶出量が高く、環境基準を満たさなかった。
(実施例2)
実施例1で準備した試料に、酸性資材として硫酸アルミニウムの水溶液(濃度はAl23換算で8重量%)を、その添加量を変えながら添加し、全体を10分間振とう攪拌して第1工程を実施した。このとき、試料と水との混合比(重量比)が1:10となるように、硫酸アルミニウム水溶液とは別に水を添加した。混合比中の水には、硫酸アルミニウム水溶液中の水分が含まれる。
以下の表2および図4に、第1工程実施後の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。なお、図4には、実施例1の結果を併せて示す。
Figure 0005789789
表2および図4に示すように、酸性資材である硫酸アルミニウムの添加により土壌のpHを酸性側に変化させ、当該pHを5.5以上6.5以下とした場合に、土壌のフッ素溶出量が大きく低減した。フッ素溶出量を低減させる効果は、酸性資材として塩酸水溶液を用いた場合よりも高かった。
(実施例3)
実施例2と同様にして、硫酸アルミニウムの添加により試料のpHを5.4〜6.7とした(第1工程)後に、リン酸カルシウム化合物としてヒドロキシアパタイトの粉末を試料100gに対して2.5g添加し、全体が均一となるように10分間振とう攪拌して第2工程を実施した。
以下の表3および図5に、第1工程実施後、すなわち、ヒドロキシアパタイト添加時の試料の(土壌の)pHおよび第2工程実施後の試料の(土壌の)フッ素溶出量を示す。なお、図5には、実施例2の結果を併せて示す。
Figure 0005789789
表3および図5に示すように、第2工程実施により、土壌のフッ素溶出量が非常に小さくなった。
(実施例4および比較例)
実施例2と同様に、硫酸アルミニウムの添加により試料のpHを6.1とした(第1工程)後に、リン酸カルシウム化合物としてヒドロキシアパタイトの粉末を添加量を変えながら添加し、全体が均一となるように10分間振とう攪拌して第2工程を実施した。
以下の表4および図6に、ヒドロキシアパタイトの添加量ならびに第2工程実施後の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。表4および図7に、第2工程を実施した後の試料に対して、さらに酸添加溶出試験を行った際の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。表4および図8に、第2工程を実施した後の試料に対して、さらにアルカリ添加溶出試験を行った際の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。
Figure 0005789789
これとは別に、実施例1で準備した試料に、第1工程を実施することなく、リン酸カルシウム化合物としてヒドロキシアパタイトの粉末を添加量を変えながら添加し、全体が均一となるように10分間振とう攪拌した。
以下の表5および図6に、ヒドロキシアパタイトの添加量ならびにヒドロキシアパタイト添加後の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。表5および図7に、ヒドロキシアパタイトを添加した試料に対して、さらに酸添加溶出試験を行った際の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。表5および図8に、ヒドロキシアパタイトを添加した試料に対して、さらにアルカリ添加溶出試験を行った際の試料の(土壌の)pHおよびフッ素溶出量を示す。
Figure 0005789789
表4,5および図6〜8に示すように、第1工程を行うことなく、リン酸カルシウム化合物であるヒドロキシアパタイトの添加のみを行った比較例に対して、第1工程後にヒドロキシアパタイトを添加した実施例4では、ヒドロキシアパタイトの添加量が少ない場合にもフッ素溶出量が非常に小さく、高いフッ素不溶化作用が得られた。また、比較例に比べて実施例4では、酸添加溶出試験およびアルカリ添加溶出試験においても、フッ素溶出量が大きく抑えられた。
実施例4について、酸添加溶出試験では、ヒドロキシアパタイトの添加量がゼロの場合、すなわち、第1工程のみが実施された場合にも、処理後の土壌におけるフッ素溶出量は非常に小さかった。一方、アルカリ添加溶出試験では、ヒドロキシアパタイトの添加量がゼロの場合に処理後の土壌におけるフッ素溶出量が増加したが、ヒドロキシアパタイトを乾燥土壌100gに対して2.4g以上添加することで、処理後の土壌におけるフッ素溶出量が非常に小さくなった。
本発明の処理方法は、フッ素汚染土壌に対する効率的なフッ素不溶化処理を実現する。これにより、フッ素による土壌汚染の拡大を抑制でき、環境保護に寄与する。

Claims (4)

  1. 粘土画分を含むフッ素汚染土壌に酸性資材を添加して前記土壌のpHを5.5以上6.5以下とすることにより、前記土壌に含まれるフッ素を不溶化する、フッ素汚染土壌の処理方法。
  2. フッ素汚染土壌に酸性資材を添加して前記土壌のpHを5.5以上6.5以下とすることにより、前記土壌に含まれるフッ素を不溶化して、当該土壌のフッ素溶出量を環境基準の0.8mg/L以下にし、
    前記酸性資材が、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である、フッ素汚染土壌の処理方法。
  3. 前記酸性資材の添加により、前記土壌のpHを5.5以上6.5以下とした後に、
    前記土壌にリン酸カルシウム化合物をさらに添加する、請求項1または2に記載のフッ素汚染土壌の処理方法。
  4. 前記リン酸カルシウム化合物が、ヒドロキシアパタイトである請求項3に記載のフッ素汚染土壌の処理方法。
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