JP5788097B1 - 数値制御装置およびロギング方法 - Google Patents
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Abstract
異常発生のタイミングの付近の診断情報を効率よく取得するために、数値制御装置は、予め設定された事象の発生を検知したとき(S3、Yes)、逐次変化する診断情報を参照して前記事象の発生が検知されたタイミングにおける診断情報を基準値として取得し、前記基準値を用いて予め設定された演算処理を行うことによって開始条件を生成し(S4)、逐次変化する診断情報が開始条件を満たしたとき(S2、Yes)、逐次変化する診断情報のロギング処理を開始する(S5)。
Description
本発明は、数値制御装置およびロギング方法に関する。
数値制御装置を用いて工作機械を数値制御(Numerical Control:NC)するシステムにおいて、アラーム発生等の異常発生時に、異常発生要因を特定するための診断情報をロギングすることが一般的に行われる。異常発生要因を特定するためには、異常発生前後の診断情報が必要となることがあるためである。
異常発生前後の診断情報を取得するための技術として、例えば特許文献1の技術によれば、数値制御装置は、異常が発生するまでは循環メモリに診断情報を順次上書きして蓄積し、異常が発生すると循環メモリとは別のロギングバッファメモリに診断情報を記憶する。
また、例えば特許文献2には、数値制御装置に、ロギングの開始条件およびロギングの終了条件が予め設定される数値制御装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載される技術によれば、異常発生前後の診断情報をロギングするために、異常が発生しない場合においても、診断情報のロギングを常時行う必要があった。その結果、CPU負荷が高くなり、場合によっては性能が低下するという問題があった。特に、複数の異常発生要因を特定したい場合には、発生する異常によって取得したい情報が異なるため、いつ発生するか分からない異常に対して大量の診断情報をロギングし続ける必要があった。
また、特許文献2に記載される技術によれば、アラーム発生など異常発生をトリガとしてその前後の診断情報を取得したい場合に、いつ、どこで発生するか分からない異常に対してロギングの開始条件およびロギングの終了条件をユーザが予想して設定するのは困難という問題があった。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、異常発生要因を特定するために必要な異常発生のタイミングの付近の診断情報を効率よく取得することができる数値制御装置およびロギング方法を得ることを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、予め設定された事象の発生を検知する検知部と、前記検知部が前記事象の発生を検知したとき、逐次変化する第1の数値制御情報を参照して前記事象の発生が検知されたタイミングにおける第1の数値制御情報を基準値として取得し、前記基準値を用いて予め設定された第1の演算処理を行うことによって第1判定条件を生成する、条件生成部と、前記条件生成部が前記第1判定条件を生成した後、逐次変化する第2の数値制御情報の記録を開始して終了し、前記第2の数値制御情報の記録の終了後、前記逐次変化する第1の数値制御情報が前記第1判定条件を満たさない状態から前記第1判定条件を満たす状態に至ったとき、前記第2の数値制御情報の記録を再び開始する、ロギング処理部と、を備えることを特徴とする。
本発明にかかる数値制御装置は、診断情報を常時ロギング処理することなく、かつ、ユーザがロギング処理の開始タイミングを固定的に設定する必要なく、異常発生の直前の診断情報を取得することができるので、異常発生のタイミングの付近の診断情報を効率よく取得することができる。
以下に、本発明にかかる実施の形態の数値制御装置およびロギング方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の数値制御装置の機能構成を示す図である。数値制御装置100は、工作機械の駆動部300に接続されている。駆動部300とは、例えばモータを駆動するサーボアンプを含む。数値制御装置100は、駆動部300に対して駆動指令22を供給する。
図1は、本発明の実施の形態1の数値制御装置の機能構成を示す図である。数値制御装置100は、工作機械の駆動部300に接続されている。駆動部300とは、例えばモータを駆動するサーボアンプを含む。数値制御装置100は、駆動部300に対して駆動指令22を供給する。
数値制御装置100は、外部からロギング処理にかかる設定情報200が設定される。設定情報200は、トリガ条件11、開始オフセット12、終了オフセット13、およびログデータ情報14を含んでいる。設定情報200に含まれる各情報は後述する。
数値制御装置100は、条件記憶部1、トリガ判定部2、条件生成部3、ロギング処理部4、ロギングバッファ5、および数値制御部6を備えている。
数値制御部6は、内蔵する加工プログラム(加工プログラム36)に基づいて数値制御処理を実行する。数値制御処理は駆動部300に供給する駆動指令22を生成する処理である。加工プログラム36は、指令の単位であるブロックを複数備えて構成される。各ブロックは、加工プログラム36内でユニークなブロック番号が付されている。加工プログラム36を構成する複数のブロックは、先頭から順番に解析されて実行される。例えば、各ブロックには、加工プログラム36の先頭から昇順となるようにブロック番号が付されている。以降、単にブロック番号と表記する場合には、加工プログラム36のブロック番号を示すものとする。
数値制御部6による数値制御処理は、1以上の処理によって構成される。例えば、数値制御処理は、加工プログラム36からブロックを読み込んでブロックに記載された指令を解析する解析処理、解析処理による解析結果に基づいて工作機械の軌跡を補間する補間処理、補間された軌跡上を工作機械を移動させる速度を加減速する加減速処理、加減速処理によって求められた速度で工作機械を移動させるための演算周期毎の位置指令または速度指令を生成する指令生成処理などを含む。なお、各処理が出力するデータであって、駆動指令22を除くデータを、中間データと表記する。また、数値制御処理は、異常を検出してアラーム通知を出力するアラーム出力処理を含んでいてもよい。また、数値制御処理は、工作機械またはモータの状態値(位置検出値または速度検出値)をフィードバックするフィードバック処理を含んでいてもよい。また、数値制御処理は、任意のフィルタ処理を含んでいてもよい。その他、数値制御処理は、制御の手法に応じて任意の処理を含んで構成されることが可能である。
トリガ判定部2は、異常として予め設定された事象の発生を検知する検知部として機能する。具体的には、トリガ判定部2は、条件記憶部1が記憶するトリガ条件11を読み出す。そして、トリガ判定部2は、数値制御部6の監視情報19を監視し、監視情報19がトリガ条件11を満たすか否かを判定する。そして、トリガ判定部2は、判定結果15を条件生成部3に出力する。ここでは、トリガ判定部2は、監視情報19がトリガ条件11を満たしていない状態から監視情報19がトリガ条件11を満たすに至ったタイミングで、「トリガ条件成立」を意味するパルスを判定結果15として条件生成部3に出力するものとする。
監視情報19とは、異常とされる事象の発生の検知のために監視される情報である。監視情報19としては任意の種類のデータが採用可能である。例えば、アラーム通知が監視情報19として採用可能である。また、任意の中間データが監視情報19として採用可能である。例えば、ブロック番号、経過時間、移動距離、使用工具番号、指令速度、指令主軸回転数などが監視情報19として採用可能である。また、駆動部300からの各種状態値が監視情報19として採用されてもよい。例えば、駆動部300がモータである場合には、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値が監視情報19として採用可能である。
トリガ条件11とは、異常とされる事象の発生を検知するための判定条件である。アラーム通知が監視情報19として採用される場合には、トリガ条件11として例えばアラームの種類毎に予め割り振られた識別番号(アラーム番号)、または、ブロック番号を含んで構成されてもよい。また、監視情報19として使用工具番号が採用される場合には、異常と判定される特定の使用工具番号がトリガ条件11として設定されてもよい。また、監視情報19として経過時間、移動距離、指令速度、または指令主軸回転数が採用される場合には、トリガ条件11として、トリガ判定のためのしきい値が設定される。また、例えば、トリガ条件11にアラーム番号が含まれる場合には、所定のアラーム番号のアラーム通知が検知されたか否かがトリガ判定部2によって判定される。また、トリガ条件11にアラーム番号が含まれる場合には、所定のブロック番号のブロックを実行中にアラーム通知が検知されたか否かがトリガ判定部2によって判定される。
条件生成部3は、トリガ判定部2が異常とされる事象の発生を検知したとき、条件記憶部1に格納されている開始オフセット12および終了オフセット13を用いて、ロギング処理の開始条件16およびロギング処理の終了条件17を生成する。条件生成部3は、生成した開始条件16および終了条件17を、条件記憶部1に格納する。
ここで、開始条件16は、ロギング処理の開始タイミングを判定するための判定条件であり、終了条件17は、ロギング処理の終了タイミングを判定するための判定条件である。開始条件16および終了条件17を、タイミング判定条件と表記する。タイミング判定条件は、例えばしきい値を含む。
実施の形態では、タイミング判定条件のしきい値は、トリガ条件成立時の状態情報21の値に所定の演算処理を実行することによって動的に生成される。状態情報21とは、ロギング処理の開始・終了タイミングの判定のために監視される情報(第1の数値制御情報)である。制御に応じて変化する任意の種類の情報が状態情報21として採用可能である。例えば、例えば、ブロック番号、加工プログラム36の実行開始からの経過時間、移動距離、使用工具番号、指令速度、または指令主軸回転数が、状態情報21として採用可能である。また、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値が状態情報21として採用可能である。
トリガ条件成立時の状態情報21の値を基準値と表記する。ここでは、条件生成部3は、基準値に対して、予め設定された各オフセット値(開始オフセット12、終了オフセット13)がオフセットされることによってタイミング判定条件のしきい値を演算する。例えば、条件生成部3は、基準値から開始オフセット12を減算することによって開始条件16のしきい値を算出する。また、条件生成部3は、基準値に終了オフセット13を加算することによって終了条件17のしきい値を算出する。
開始条件16を生成するために基準値に対して開始オフセット12を加算するか減算するかは、状態情報21の種類に応じて任意に設定可能である。同様に、終了条件17を生成するために基準値に対して終了オフセット13を加算するか減算するかは、状態情報21の種類に応じて任意に設定可能である。また、しきい値を越えたときか、または、しきい値を下回ったときの何れを条件成立とするかは、状態情報21の種類に応じて任意に設定可能である。
条件生成部3は、条件記憶部1からログデータ情報14を読み出すことによって、状態情報21として設定された数値制御情報を認識することができる。条件生成部3は、判定結果15が「トリガ条件不成立」から「トリガ条件成立」となったとき、指定された種類の状態情報21を数値制御部6から取得して、取得した診断情報20を基準値とする。
例えば、ログデータ情報14がブロック番号を状態情報21として指定する場合には、開始オフセット12および終了オフセット13としてブロック数が設定される。条件生成部3は、トリガ条件成立時に実行中のブロックのブロック番号から開始オフセット12に設定されたブロック数を減算して得られるブロック番号をしきい値とし、このしきい値を越えることを開始条件16とする。また、条件生成部3は、トリガ条件成立時に実行中のブロックのブロック番号から終了オフセット13に設定されたブロック数を加算して得られるブロック番号をしきい値とし、このしきい値を越えることを終了条件17とする。
また、ログデータ情報14が経過時間を状態情報21として指定する場合には、開始オフセット12および終了オフセット13として時間が設定される。条件生成部3は、トリガ条件成立時の経過時間に開始オフセット12に設定された時間を減算して得られる時間をしきい値とし、経過時間がこのしきい値を越えることを開始条件16とする。また、条件生成部3は、トリガ条件成立時の経過時間に終了オフセット13に設定された時間を加算して得られる時間をしきい値とし、経過時間がこのしきい値を越えることを終了条件17とする。なお、経過時間とは、例えば加工プログラム36を先頭から実行開始してからの時間である。経過時間は、例えば加工プログラム36の実行サイクル毎にリセットされる。
また、ログデータ情報14が移動距離を状態情報21として指定する場合には、開始オフセット12および終了オフセット13として距離が設定される。条件生成部3は、トリガ条件成立時の移動距離に開始オフセット12に設定された距離を減算(または加算)して得られる移動距離をしきい値とし、移動距離がこのしきい値を越えること(または下回ること)を開始条件16とする。また、条件生成部3は、トリガ条件成立時の移動距離に終了オフセット13に設定された距離を加算(または減算)して得られる移動距離をしきい値とし、移動距離がこのしきい値を越えること(または下回ること)を終了条件17とする。
また、ログデータ情報14が指令速度を状態情報21として指定する場合には、開始オフセット12および終了オフセット13として速度が設定される。条件生成部3は、トリガ条件成立時の指令速度に開始オフセット12に設定された速度を減算(または加算)して得られる速度をしきい値とし、指令速度がこのしきい値を越えること(または下回ること)を開始条件16とする。また、条件生成部3は、トリガ条件成立時の指令速度に終了オフセット13に設定された速度を加算(または減算)して得られる速度をしきい値とし、指令速度がこのしきい値を越えること(または下回ること)を終了条件17とすることができる。
また、ログデータ情報14が指令主軸回転数を状態情報21として指定する場合には、開始オフセット12および終了オフセット13として主軸回転数が設定される。条件生成部3は、トリガ条件成立時の指令主軸回転数に開始オフセット12に設定された主軸回転数を減算(または加算)して得られる主軸回転数をしきい値とし、指令主軸回転数がこのしきい値を越えること(または下回ること)を開始条件16とする。また、条件生成部3は、トリガ条件成立時の指令主軸回転数に終了オフセット13に設定された主軸回転数を加算(または減算)して得られる主軸回転数をしきい値とし、指令主軸回転数がこのしきい値を越えること(または下回ること)を終了条件17とする。
なお、条件生成部3が各しきい値を演算する手法は、基準値をオフセットする手法だけに限定されない。例えば、基準値に所定の係数を乗算することによって各しきい値を演算するようにしてもよい。その他に、条件生成部3は、各しきい値を演算する手法として種々の演算手法が採用可能である。
また、開始条件16および終了条件17のうちの1つまたは両方は、複数の条件の組み合わせによって構成されてもよい。複数の条件の組み合わせとは、例えば、複数の条件の論理和、論理積、排他的論理和、またはこれらの演算の組み合わせによって複数の条件の関係が定義されていることをいう。
ロギング処理部4は、ログデータ情報14と、条件生成部3によって生成された開始条件16および終了条件17と、を条件記憶部1から読み出す。そして、ロギング処理部4は、ログデータ情報14によって指定された状態情報21を数値制御部6から逐次取得するとともに、取得した状態情報21を開始条件16および終了条件17と比較する。そして、ロギング処理部4は、診断情報20のロギング処理を比較結果に基づくタイミングで開始したり終了したりする。
ここで、診断情報20とは、異常の診断に供される数値制御情報(第2の数値制御情報)である。数値制御情報には、制御に応じて変化する任意の種類の情報が採用可能である。如何なる種類の数値制御情報を診断情報20としてロギング対象とするかは、ログデータ情報14によって指定される。例えば、ブロック番号、加工プログラム36の実行開始からの経過時間、移動距離、使用工具番号、指令速度、または指令主軸回転数が、ログデータ情報14によって指定可能である。その他に、数値制御処理を構成する任意の処理の中間データが、ログデータ情報14によって指定可能である。また、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値が診断情報20として採用可能である。
ロギング処理部4は、ロギング処理実行中においては、診断情報20を逐次取得して、取得した診断情報20をログデータ18としてロギングバッファ5に蓄積記憶させる。なお、ロギング処理部4は、取得した診断情報20を加工してログデータ18としてロギングバッファ5に蓄積記憶させてもよい。
図2は、数値制御装置100のハードウェア構成例を示す図である。数値制御装置100は、演算装置31、主記憶装置32、補助記憶装置33、およびI/O34を備えている。演算装置31、主記憶装置32、補助記憶装置33、およびI/O34はバスで互いに接続されている。
演算装置31は、実施の形態の数値制御方法を実現するためのプログラムである数値制御プログラム35を実行する。I/O34は、駆動部300に接続するための接続インタフェースである。I/O34は、ユーザに対して各種情報を視認可能に表示する表示装置が接続されてもよい。IO34は、ユーザからの設定情報200の入力を受け付ける入力装置が接続されてもよい。
主記憶装置32は、プログラム展開領域および演算装置31のワークエリアとして機能する。主記憶装置32は、例えばRAM(Random Access Memory)など、補助記憶装置33よりも高速に動作することが可能なメモリによって構成される。補助記憶装置33は、数値制御プログラム35および加工プログラム36を予め記憶する記録媒体として機能する。補助記憶装置33は、例えばROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、CD−ROM、DVD−ROM、着脱可能なメモリデバイス、またはこれらの組み合わせによって構成される。
数値制御プログラム35は、補助記憶装置33から読み出され、バスを介して主記憶装置32へロードされる。演算装置31は、主記憶装置32内にロードされた数値制御プログラム35を実行する。演算装置31は、主記憶装置32に展開された数値制御プログラム35を実行することによって、トリガ判定部2、条件生成部3、ロギング処理部4、および数値制御部6として機能する。数値制御部6は、各種中間データを主記憶装置32のワークエリアに一時記憶される。主記憶装置32のワークエリアを介して機能構成要素(トリガ判定部2、条件生成部3、ロギング処理部4、および数値制御部6)間のデータの授受が実行される。数値制御部6が生成した駆動指令22は、I/O34を介して駆動部300に出力される。
条件記憶部1およびロギングバッファ5は、主記憶装置32または補助記憶装置33に確保される。ロギングバッファ5に蓄積記憶された診断情報20は、例えばI/O34を介して外部に読み出されることが可能である。ロギングバッファ5が着脱可能なメモリデバイスに確保される場合には、ユーザは、当該メモリデバイスをコンピュータに接続することによって診断情報20を読むことができる。数値制御装置100が表示装置を備える場合には、ロギングバッファ5に蓄積記憶された診断情報20を当該表示装置に表示可能に構成されてもよい。
なお、数値制御装置100のハードウェア構成は、上記したハードウェア構成例に限定されない。例えば、トリガ判定部2、条件生成部3、ロギング処理部4、および数値制御部6のうちの一部または全部が、ハードウェア回路またはハードウェア回路とソフトウェアとの組み合わせによって構成されてもよい。
図3は、数値制御装置100の動作を説明するフローチャートである。なお、図3に示す一連の処理は、サンプリング周期毎に実行される。サンプリング周期は制御周期と等しくてもよいし、制御周期よりも大きくてもよい。
まず、ロギング処理部4は、ロギング処理を実行中であるか否かを判定する(S1)。ロギング処理を実行中ではない場合、ロギング処理部4は、開始条件16とその時点の状態情報21とに基づき、開始条件16が満たされているか否かを判定する(S2)。
開始条件16が満たされていない場合(S2、No)、トリガ判定部2は、監視情報19とトリガ条件11とに基づき、トリガ条件11が満たされているか否かを判定する(S3)。トリガ条件11が満たされている場合(S3、Yes)、条件生成部3は、その時点の状態情報21と各オフセット値(開始オフセット12、終了オフセット13)とを用いてタイミング判定条件(開始条件16、終了条件17)を生成する(S4)。トリガ条件11が満たされていない場合(S3、No)、S1の処理が再び実行される。
開始条件16が満たされていると判定された場合(S2、Yes)、または、S4の処理の後、ロギング処理部4は、ロギング処理を開始し(S5)、S1の処理を再び実行する。なお、ロギング処理を開始すると、ロギング処理部4は、サンプリング周期毎に診断情報20を取得して、取得した診断情報20をログデータ18としてロギングバッファ5に格納する。S5の処理が実行された後から後述のS7の処理が実行されるまでの間、ロギング処理部4の状態は、「ロギング処理を実行中」の状態となる。
ロギング処理を実行中であると判定された場合(S1、Yes)、ロギング処理部4は、終了条件17とその時点の状態情報21とに基づき、終了条件17が満たされているか否かを判定する(S6)。終了条件17が満たされている場合(S6、Yes)、ロギング処理部4は、ロギング処理を終了し(S7)、S1の処理を再び実行する。終了条件17が満たされていない場合(S6、No)、ロギング処理部4は、S7の処理をスキップする。
図4は、図3に示した一連の処理によってロギング処理が開始/終了される様子を説明するタイミングチャートである。図示するように、1回目にトリガ条件11が満たされたとき(タイミングT1)、タイミングT1から終了オフセット13に基づいて設定される終了条件17が満たされるとき(タイミングT2)までの間、ロギング処理が実行される。2回目にトリガ条件が満たされるとき(タイミングT3)、タイミングT3の前後の診断情報20がロギング処理される。即ち、開始オフセット12に基づいて設定される開始条件16が満たされるとき(タイミングT4)から、終了条件17が満たされるとき(タイミングT5)までの間、診断情報20がロギング処理される。タイミングT4は、タイミングT3よりも前に到来する。
例えば、「E01」というアラーム番号がトリガ条件11として設定され、ブロック番号が状態情報21としてログデータ情報14に設定され、開始オフセット12として「10」のブロック数が設定され、終了オフセット13として「20」のブロック数が設定され、モータの回転数検出値が診断情報20としてログデータ情報14に設定されている場合を考える。トリガ判定部2においては、「E01」というアラーム番号のアラームが通知されたか否かが判定される。「E01」というアラーム番号のアラームが通知された場合、条件生成部3においては、その時点のブロック番号「N(Nは整数)」を基準値として取得され、「N−10」を開始条件16、「N+20」を終了条件17として夫々設定される。ロギング処理部4においては、ブロック番号が状態情報21として監視され、ブロック番号が「N−10」から「N+20」に至るまでの間、モータの回転数検出値のロギング処理が実行される。
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、数値制御装置100は、異常とされる事象を検知したとき、当該事象を検知したタイミングにおける状態情報21に所定の演算処理を実行することによってロギング処理の開始タイミングを生成するので、診断情報20を常時ロギング処理することなく異常発生の直前の診断情報20を取得することが可能となる。また、ユーザが開始タイミングを予想して設定することを不要とすることができる。即ち、実施の形態の数値制御装置100は、異常発生のタイミングの付近の診断情報20を効率よく取得することができる。
また、数値制御装置100は、異常とされる事象を検知したタイミングにおける状態情報21に所定の演算処理を実行することによってロギング処理の開始タイミングを生成するので、異常発生の直後の診断情報20を、終了タイミングの固定的な設定の必要なく取得することができる。
なお、条件生成部3は、開始条件16および終了条件17のうちの何れか1つのみ生成するようにしてもよい。ロギング処理部4は、開始条件16のみが生成された場合には、トリガ判定部2が異常とされる事象を検知したタイミングをロギング処理の終了タイミングとするように構成されてもよい。また、ロギング処理部4は、終了条件17のみが生成された場合には、トリガ判定部2が異常とされる事象を検知したタイミングをロギング処理の開始タイミングとするように構成されてもよい。
また、異常とされる事象毎に異なるトリガ条件11が設定されてもよい。トリガ条件11が異常とされる事象毎に個別に設定される場合には、開始オフセット12、終了オフセット13、およびログデータ情報14はトリガ条件11毎に個別に設定され、トリガ判定部2、条件生成部3、およびロギング処理部4は、図3に示した動作を、トリガ条件11毎に個別に実行する。
また、単一の事象を検知するためのトリガ条件11が複数の条件の組み合わせによって構成されてもよい。
1 条件記憶部、2 トリガ判定部、3 条件生成部、4 ロギング処理部、5 ロギングバッファ、6 数値制御部、11 トリガ条件、12 開始オフセット、13 終了オフセット、14 ログデータ情報、15 判定結果、16 開始条件、17 終了条件、18 ログデータ、19 監視情報、20 診断情報、21 状態情報、22 駆動指令、31 演算装置、32 主記憶装置、33 補助記憶装置、35 数値制御プログラム、36 加工プログラム、100 数値制御装置、200 設定情報、300 駆動部。
Claims (12)
- 予め設定された事象の発生を検知する検知部と、
前記検知部が前記事象の発生を検知したとき、逐次変化する第1の数値制御情報を参照して前記事象の発生が検知されたタイミングにおける第1の数値制御情報を基準値として取得し、前記基準値を用いて予め設定された第1の演算処理を行うことによって第1判定条件を生成する、条件生成部と、
前記条件生成部が前記第1判定条件を生成した後、逐次変化する第2の数値制御情報の記録を開始して終了し、前記第2の数値制御情報の記録の終了後、前記逐次変化する第1の数値制御情報が前記第1判定条件を満たさない状態から前記第1判定条件を満たす状態に至ったとき、前記第2の数値制御情報の記録を再び開始する、ロギング処理部と、
を備えることを特徴とする数値制御装置。 - 前記条件生成部は、前記基準値を用いて予め設定された第2の演算処理を行うことによって第2判定条件を生成し、
前記ロギング処理部は、前記逐次変化する第1の数値制御情報が前記第2判定条件を満たさない状態から前記第2判定条件を満たす状態に至ったとき、前記第2の数値制御情報の記録を終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。 - 前記第1または第2の演算処理は、予め設定されたオフセット値を前記基準値からオフセットすることによってしきい値を演算する処理を含み、
前記ロギング処理部は、前記逐次変化する第1の数値制御情報と前記しきい値との比較に基づいて前記第2の数値制御情報の記録の開始または終了のタイミングを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。 - 前記第1の数値制御情報は、アラーム番号、加工プログラムを構成する複数のブロックのうちの実行中のブロックの番号、前記加工プログラムを実行開始してからの経過時間、数値制御対象の移動距離、使用工具番号、指令速度、指令主軸回転数、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の数値制御装置。 - 前記第2の数値制御情報は、加工プログラムを構成する複数のブロックのうちの実行中のブロックの番号、前記加工プログラムを実行開始してからの経過時間、数値制御対象の移動距離、使用工具番号、指令速度、指令主軸回転数、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の数値制御装置。 - 数値制御装置の診断のために逐次変化する数値制御情報を記録するロギング方法であって、
前記数値制御装置が予め設定された事象の発生を検知したとき、条件生成部が、前記事象の発生が検知されたタイミングにおける第1の数値制御情報を基準値として取得して、前記基準値を用いて予め設定された第1の演算処理を行うことによって第1判定条件を生成する第1生成ステップと、
前記条件生成部が前記第1判定条件を生成した後、ロギング処理部が、逐次変化する第2の数値制御情報の記録を開始して終了する記録ステップと、
前記第2の数値制御情報の記録の終了後、前記ロギング処理部が、前記逐次変化する第1の数値制御情報が前記第1判定条件を満たさない状態から前記第1判定条件を満たす状態に至ったとき、前記第2の数値制御情報の記録を再び開始する、記録再開ステップと、
を備えることを特徴とするロギング方法。 - 前記条件生成部が、前記基準値を用いて予め設定された第2の演算処理を行うことによって第2判定条件を生成する第2生成ステップと、
前記ロギング処理部が、前記逐次変化する第1の数値制御情報が前記第2判定条件を満たさない状態から前記第2判定条件を満たす状態に至ったとき、前記第2の数値制御情報の記録を終了する、終了ステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のロギング方法。 - 前記第1または第2の演算処理は、予め設定されたオフセット値を前記基準値からオフセットすることによってしきい値を演算する処理を含み、
前記記録再開ステップおよび前記終了ステップは、前記ロギング処理部が、前記逐次変化する第1の数値制御情報と前記しきい値との比較に基づいて前記第2の数値制御情報の記録の開始または終了のタイミングを判定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のロギング方法。 - 前記第1の数値制御情報は、アラーム番号、加工プログラムを構成する複数のブロックのうちの実行中のブロックの番号、前記加工プログラムを実行開始してからの経過時間、数値制御対象の移動距離、使用工具番号、指令速度、指令主軸回転数、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値である、
ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか一項に記載のロギング方法。 - 前記第2の数値制御情報は、加工プログラムを構成する複数のブロックのうちの実行中のブロックの番号、前記加工プログラムを実行開始してからの経過時間、数値制御対象の移動距離、使用工具番号、指令速度、指令主軸回転数、モータの回転数検出値、位置検出値、速度検出値、またはトルク検出値である、
ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか一項に記載のロギング方法。 - 夫々ブロック番号が付された複数のブロックを備える加工プログラムをブロック番号順に実行し、前記加工プログラムを繰り返し実行する制御部、
をさらに備え、
前記第1の数値制御情報は前記制御部が実行中のブロックのブロック番号であり、
前記第1の演算処理は、予め設定されたオフセット値を前記基準値から減算して得られる値をしきい値に設定する演算処理であり、
前記第1判定条件は、前記第1の数値制御情報が前記しきい値を越えることを条件成立とする判定条件である、
ことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。 - 夫々ブロック番号が付された複数のブロックを備える加工プログラムをブロック番号順に実行し、前記加工プログラムを繰り返し実行する制御部、
をさらに備え、
前記第1の数値制御情報は前記制御部が実行中のブロックのブロック番号であり、
前記第2の演算処理は、予め設定されたオフセット値を前記基準値に加算して得られる値をしきい値に設定する演算処理であり、
前記第2判定条件は、前記第1の数値制御情報が前記しきい値を越えることを条件成立とする判定条件である、
ことを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
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