JP5787785B2 - 溶融塩電解装置および溶融塩電解方法 - Google Patents

溶融塩電解装置および溶融塩電解方法 Download PDF

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本発明は、使用済燃料の再処理を行なう乾式再処理技術に係り、特に、使用済燃料の中から有効成分を電解により電極に析出させて回収する溶融塩電解装置および溶融塩電解方法に関する。
原子力発電所から発生する使用済燃料の溶融塩電解法を用いた再処理装置として、使用済燃料を陽極として電位をかけることにより、使用済燃料に含まれる核分裂生成物(FP)を除去し、燃料製造に必要な金属を陰極に析出させ、機械的手段を用いて掻き取り、それを回収容器にて収集し、以降の塩除去プロセスにて塩を取除き、金属燃料として成型・製造する技術が確立されている。
図6は従来の使用済燃料を処理する溶融塩電解装置を模式的に示した縦断面図である。
図6において溶融塩電解装置1は、金属製のるつぼ14を有し、このるつぼ14内に溶融状態の塩2が収容され、溶融塩2中に陽極である陽極バスケット3と陰極である可動電極4が浸漬されている。溶融塩2は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムのようなアルカリ金属の塩化物で形成される。るつぼ14の外周側には加熱ヒータ5が加熱手段として設けられている。加熱ヒータ5は、るつぼ14の外周側に保護容器を介して設けてもよい。加熱ヒータ5は、るつぼ14を例えば500℃〜700℃の高温に加熱するようになっている。
るつぼ14の頂部は、上蓋6で覆われ、るつぼ14内が閉塞されている。上蓋6には、筒状あるいはスリーブ状の断熱部材7を介して陽極バスケット3が設けられている。断熱部材7は筒状あるいは棒状をなし陽極バスケット3のサポートメンバとして機能する構成となっている。
陽極バスケット3は金網やパンチングメタル等のメッシュ部材あるいは開口部材を円筒状、スリーブ状あるいはトーラス状のバスケット形状に組み立てたものであり、るつぼ14内の外周側に一方の電極を陽極として構成している。この陽極バスケット3の内側に逆截頭円錐形状の可動電極4が他方の電極(陰極)として設けられる。両電極3,4により電極装置10が構成される。
陽極バスケット3は、るつぼ14内の周方向に沿って設けられたトーラス状あるいは円環状、円筒状の固定電極であり、バスケット内部に被覆管付使用済切断燃料8が収納される。他方の電極4は、固定電極3の内側に同心円状に配置可能な可動電極を構成している。
両電極3,4には電解用電源11により電解用電源回路を介して電圧が印加され、一方の固定電極3は陽極として、他方の可動電極4は陰極として構成され、機能する。
さらに、るつぼ14内に設けられる陽極バスケット3の底部からサポート部材13が下方に延設され、このサポート部材13の先端に析出物の回収容器12が設けられている。サポート部材13はスリーブ状あるいは筒状メンバであっても、またロッド状メンバを複数本周方向に配設したものでもよい。サポート部材13には、析出物の掻き取り用カッタ9が取り付けられている。
そして、両電極3,4にて電解を行い、陰極である可動電極4に金属を析出させ、掻き取り用カッタ9にて析出した金属を掻き取り、陰極下部に設置した回収容器12にて受取り、回収する。回収した金属が入った回収容器には昇降機構を有しており、電解完了後、溶融塩2から引き上げ、金属を回収する。電解により使用済燃料8の溶解を行い、金属U、Pu、マイナーアクチニド等を析出させ、析出した金属を回収する構成を有している。
特開2006−314958号公報
上述した使用済燃料を処理する溶融塩電解装置では、電解停止後に掻き取り、回収した金属が入った回収容器を溶融塩から引き上げる際に、回収容器に溶融塩が流入するため、回収する金属の他に金属に付着した不要な大量の塩も同時に回収することになる。このため、使用済み再処理工程における塩除去プロセスで、塩の蒸発除去に長時間の加熱が必要になると共に、処理単位に含まれる回収金属量が減ってしまい、処理時間、コスト、効率の面において課題が発生している。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、後段の塩除去プロセスへの効率的な金属の供給が可能な機構を有した溶融塩電解装置および溶融塩電解方法を提供することを目的としている。
本発明に係る溶融塩電解装置は、溶融塩を収納するるつぼと、このるつぼを加熱する加熱手段と、前記るつぼ内に収容され、電解原料を収納し前記溶融塩が流通する陽極と、前記溶融塩と接し電解析出物を析出させる陰極と、を有する電極装置と、この電極装置の前記陽極と前記陰極間に電源を供給する電解用電源回路と、前記電極装置の前記陽極と前記陰極を昇降可能に駆動する電極駆動装置と、前記るつぼ内の前記陰極下部に配置され、前記陽極と前記陰極に電源を供給することによりこの陰極に析出した電解析出物を回収金属として回収する回収容器とを有し、この回収容器は回転機構または振動機構に接続され、この回転機構または振動機構の回転または振動による力により前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩の分離を行うことを特徴とする。
また本発明に係る溶融塩電解方法は、溶融塩を収納するるつぼと、このるつぼを加熱する加熱手段と、前記るつぼ内に収容され、電解原料を収納し前記溶融塩が流通する陽極と、前記溶融塩と接し電解析出物を析出させる陰極、とを有する電極装置と、この電極装置の前記陽極と前記陰極間に電源を供給する電解用電源回路と、前記電極装置の前記陽極と前記陰極を昇降可能に駆動する電極駆動装置と、前記るつぼ内の前記陰極下部に配置され、前記陽極と前記陰極に電源を供給することによりこの陰極に析出した電解析出物を回収金属として回収する回収容器とを有する電解装置において、この回収容器はこの回収容器に接続された回転機構または振動機構の回転または振動による力により前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩の分離を行うことを特徴とする。
本発明の溶融塩電解装置および溶融塩電解方法によれば、るつぼ内で回収金属と前記溶融塩の分離が行えるので、使用済み再処理工程の電解によって回収金属が取り出された後段の塩除去プロセスにおいて、効率的に塩の除去が可能となると共に、処理単位の金属供給量の増加が可能となり、金属燃料製造の生産性を向上することができる。
本発明に係る溶融塩電解装置の第1の実施例を示す概略縦断面図。 本発明に係る溶融塩電解装置の第1の実施例の駆動状態を示す概略縦断面図。 本発明に係る溶融塩電解装置の第2の実施例を示す概略縦断面図。 本発明に係る溶融塩電解装置の第2の実施例の変形例を示す概略縦断面図。 本発明に係る溶融塩電解装置の第3の実施例を示す概略縦断面図。 溶融塩電解装置の従来例を示す概略縦断面図。
以下、本発明に係る溶融塩電解装置および溶融塩電解方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。なお、図1および図2において図6と同一部分には同一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における溶融塩電解装置の構成を示しており、図2は図1示した溶融塩電解装置の駆動状態を示している。
本発明の第1の実施の形態における溶融塩電解装置20は、加熱ヒータ5により室温から700℃程度まで加熱が可能なるつぼ14を有し、このるつぼ14内に溶融状態の塩2が収納され、溶融塩2中に昇降可能な陽極3と陰極4が浸漬されている。
この溶融塩2は例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウムのようなアルカリ金属の塩化物もしくはこれらの混合塩で形成されている。陽極3はメッシュ部材等のバスケット形状であり、バスケット内部に使用済燃料8が収納されている。溶融塩2に浸漬した金属の回収容器21は、電極3,4とは独立に支持部材22によって支持されており、かつ、高速回転することが可能なように回転駆動用モータ23に接続されている。
このように構成された本発明の第1の実施の形態において、回収容器21が支持部材22を介して回転駆動用モータ23に接続されているため、電解処理の停止後に図2に示すように回収容器21を溶融塩2中から引き上げ、回収容器21を図中矢印A方向に高速回転させることにより、図6に示す掻き取り用カッタによって陰極4の周囲に付着され掻き取られ回収容器21内に収容された回収金属24に付着した塩の大部分を、遠心力によって回収容器21内からるつぼ14に排出させて取除くことができる。
よって、使用済み再処理工程の電解によって回収金属が取り出された後段の塩除去プロセスにおいて、効率的に塩の除去が可能になると共に、処理単位の金属供給量の増加が可能となり、金属燃料製造の生産性を向上させることができる。
また、回収金属と付着した塩との分離方法として、回収容器21に回転機構23を設けたものではなく、例えば、回収容器21に小刻みに昇降動作(振動)可能なシリンダの支持棒(図示せず)を設け、回収容器21の底部及び側面を微細なメッシュ部材もしくはパンチングメタル等とし、回収容器21が小刻みに昇降(振動)動作することにより、回収金属に付着した塩を大部分分離する構成としても良い。
(第2の実施の形態)
図3および図4を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、図3および図4において図1と同一部分には同一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。
第1の実施の形態では、回収金属24とそれに付着した塩2の分離を行うため、回収容器21に回転機構23もしくは昇降機構を設けることにより分離を行うが、第2の実施の形態としては回収金属24と塩2との分離方法として、回収容器21を加熱することにより、回収金属24とそれに付着した塩2の分離を行う方法とし、その構成を図3および図4に示す。
図3の溶融塩電解装置30は、電解停止後の陽極3、陰極4の引き抜き時にるつぼ14の頂部に保温材18を装着し、この保温材18を貫通して設けられた吊り部材17に吊設された回収容器用ヒータ19を回収容器21の開口部に装着する構成である。この回収容器用ヒータ19により、回収容器21を塩2のみが蒸発する温度800℃〜1000℃程度に昇温させ、回収容器用ヒータ19に形成された放出孔16から放出させることにより塩2を気化させ回収容器21内から取除くことが可能である。
また、上述の回収容器21の加熱方法として、回収容器用ヒータ19ではなく、例えば図4に第2の実施の形態の変形例として示すようにマイクロ波印加装置31を設け、回収容器21に導波管32からコネクタ33を介してマイクロ波Bを印加させることにより溶融塩2を加熱し蒸発させ、放出孔16から放出させることにより回収金属24とそれに付着した大量の塩2を分離することができる溶融塩電解装置30でも可能である。
よって、使用済み再処理工程の電解によって回収金属が取り出された後段の塩除去プロセスにおいて、効率的に塩の除去が可能になると共に、処理単位の金属供給量の増加が可能となり、金属燃料製造の生産性を向上させることができる。さらには駆動部分を少なくすることによって故障の確率の低い信頼性の高い溶融塩電解装置とすることができる。
(第3の実施の形態)
図5を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。なお、図5において図1と同一部分には同一符号を付し、その部分の構成の説明は省略する。
図5の溶融塩電解装置40は、第1の実施の形態に示した陽極バスケット3の支持棒41が中空構造となっており、この中空の支持棒41に配設されたバルブ42を開けることにより、溶融塩電解装置40の本体上部に設置された使用済燃料貯槽43から使用済燃料8を供給することができる。
このように構成された溶融塩電解装置40において、電解を行い、初期に陽極バスケット3に入れた使用済燃料8が陰極4に析出し、電解が進むにつれて陽極バスケット3内の使用済燃料8が減少していき、電解速度が低下した場合、陽極バスケット3上部のバルブ42を開動作させ、未処理の使用済燃料8を供給することができる。
このことにより、電解速度をほぼ一定にして、使用済燃料を電解処理させることができる。よって、電解効率及び生産性を向上させることができる。
なお、溶融塩電解法を用いた使用済燃料の再処理プロセスにおいて、軽水炉等から発生する使用済燃料は酸化物の形態であるため、一般的には、上述の金属精製プロセスの前段に酸化物を金属に還元する電解還元プロセスがある。本実施の形態で示した使用済燃料供給機構は、金属精製プロセスに限らず、電解還元プロセスで使用する装置にも同様に設置し、生産性の向上となる効果を発揮することが可能である。
1,20,30,40…溶融塩電解装置、2…溶融塩、3…陽極バスケット(陽極)、4…可動電極(陰極)、5…加熱ヒータ(加熱手段)、6…上蓋、7…断熱部材、8…被覆管付使用済切断燃料(使用済燃料)、9…掻き取り用カッタ、10…電極装置、11…電解用電源、12,21…回収容器、13…サポート部材、14…るつぼ、16…放出孔、17…吊り部材、18…保温材、19…回収容器用ヒータ、22…支持部材、23…回転駆動用モータ(回転機構)、24…回収金属、31…マイクロ波印加装置、32…導波管、33…コネクタ、41…支持棒、42…バルブ、43…使用済燃料貯槽。

Claims (7)

  1. 溶融塩を収納するるつぼと、
    このるつぼを加熱する加熱手段と、
    前記るつぼ内に収容され、電解原料を収納し前記溶融塩が流通する陽極と、前記溶融塩と接し電解析出物を析出させる陰極と、を有する電極装置と、
    この電極装置の前記陽極と前記陰極間に電源を供給する電解用電源回路と、
    前記電極装置の前記陽極と前記陰極を昇降可能に駆動する電極駆動装置と、
    前記るつぼ内の前記陰極下部に配置され、前記陽極と前記陰極に電源を供給することによりこの陰極に析出した電解析出物を回収金属として回収する回収容器とを有し、
    この回収容器は回転機構または振動機構に接続され、この回転機構または振動機構の回転または振動による力により前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩の分離を行うことを特徴とする溶融塩電解装置。
  2. 前記回収容器の底部及び側面を網部材もしくはパンチングメタルで形成したことを特徴とする請求項1記載の溶融塩電解装置。
  3. 前記回転機構に代えて、前記回収容器を引き上げた際に前記加熱手段とは別に上部から回収容器を覆うことができるヒータを有し、このヒータはるつぼ内で前記回収容器を前記回収金属に付着した前記溶融塩のみが蒸発される温度まで昇温させ、気化した前記溶融塩から成る塩が回収容器の開口部を通り回収容器外へ排気され、前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩を分離することを特徴とする請求項1記載の溶融塩電解装置。
  4. 前記回転機構に代えて、前記回収容器を引き上げた際に前記加熱手段とは別に上部から前記回収容器を覆うことができるマイクロ波加熱装置を有し、このマイクロ波加熱装置はる つぼ内で前記回収容器を前記回収金属に付着した前記溶融塩のみが蒸発される温度まで昇温させ、気化した前記溶融塩から成る塩が前記回収容器の開口部を通り回収容器外へ排気され、前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩を分離することを特徴とする請求項1記載の溶融塩電解装置。
  5. 前記陽極は電解原料を収納する貯槽からこの電解原料が供給されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の溶融塩電解装置。
  6. 溶融塩を収納するるつぼと、
    このるつぼを加熱する加熱手段と、
    前記るつぼ内に収容され、電解原料を収納し前記溶融塩が流通する陽極と、前記溶融塩と接し電解析出物を析出させる陰極、とを有する電極装置と、
    この電極装置の前記陽極と前記陰極間に電源を供給する電解用電源回路と、
    前記電極装置の前記陽極と前記陰極を昇降可能に駆動する電極駆動装置と、
    前記るつぼ内の前記陰極下部に配置され、前記陽極と前記陰極に電源を供給することによりこの陰極に析出した電解析出物を回収金属として回収する回収容器とを有する電解装置において、
    この回収容器はこの回収容器に接続された回転機構または振動機構の回転または振動による力により前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩の分離を行うことを特徴とする溶融塩電解方法。
  7. 溶融塩を収納するるつぼと、
    このるつぼを加熱する加熱手段と、
    前記るつぼ内に収容され、電解原料を収納し前記溶融塩が流通する陽極と、前記溶融塩と接し電解析出物を析出させる陰極と、を有する電極装置と、
    この電極装置の前記陽極と前記陰極間に電源を供給する電解用電源回路と、
    前記電極装置の前記陽極と前記陰極を昇降可能に駆動する電極駆動装置と、
    前記るつぼ内の前記陰極下部に配置され、前記陽極と前記陰極に電源を供給することによりこの陰極に析出した電解析出物を回収金属として回収する回収容器とを有する電解装置において、
    この回収容器はこの回収容器の上部を覆う加熱装置によって前記溶融塩を蒸発させて前記回収金属とこの回収金属に付着した前記溶融塩の分離を行うことを特徴とする溶融塩電解方法。
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