JP5787335B2 - アセチルコリンエステラーゼ遺伝子 - Google Patents

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Description

本発明は、アセチルコリンエステラーゼ遺伝子、その遺伝子を発現するベクター、その遺伝子を導入してなる形質転換体、その形質転換体を用いるアセチルコリンエステラーゼの生産方法、およびアセチル−L−カルニチンの分解に用いるアセチルコリンエステラーゼに関する。
アセチルコリンエステラーゼは、動物において神経組織、赤血球などに存在し、コリン作動性神経で神経伝達物質であるアセチルコリンを加水分解し酢酸を生成する加水分解酵素である。
現在市販されているアセチルコリンエステラーゼは、電気ウナギ等の動物由来のエステラーゼであるが、微生物であるシュードモナス・エルギノーザからも微量ではあるが分離されている(非特許文献1)。
アセチルコリンエステラーゼをはじめとするコリンエステラーゼを阻害するコリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー改善薬として知られている塩酸ドネペジルなどの医薬品として用いられている。また、コリンエステラーゼ阻害薬は、有機リン系農薬や毒ガスとしても用いられている。
一般に、酵素の構造と機能を研究する上では多量の精製酵素が必要となる。しかしながら、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼは多量の精製酵素を取得することが非常に困難であり、非特許文献1にも記載されているように550リットルの培養液から9mgというごくわずかな酵素しか精製することができなかった。そのため、多量の精製酵素を取得するためにアセチルコリンエステラーゼの生産効率を高めた形質転換体を作成する必要があったが、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼは、そのアミノ酸配列およびそのアミノ酸に対応する遺伝子の塩基配列は解明されていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子を見出すことを目的とする。
本発明によれば、アセチルコリンエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であって、配列番号1で表される塩基配列からなる、アセチルコリンエステラーゼ遺伝子が提供される。この塩基配列からなる遺伝子は、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子であり、アセチルコリンエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードすることが実証されている。
また、本発明によれば、ベクターと、そのベクターに作動可能に連結されてなる上記の遺伝子と、を備える、アセチルコリンエステラーゼ発現ベクターが提供される。このベクターは、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼを好適に発現することが可能である。
さらに、本発明によれば、上記のアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターを細胞に導入してなる形質転換体が提供される。この形質転換体は、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼを好適に発現することが可能である。
そして、本発明によれば、アセチルコリンエステラーゼを生産する方法であって、上記の形質転換体を培養する工程と、その形質転換体またはその培地からアセチルコリンエステラーゼを抽出する工程と、を含む生産方法が提供される。この生産方法によれば、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼを好適に生産することが可能である。
なお、上記のいずれの発明においても、(a)配列番号1で表される塩基配列は、(b)配列番号1で表される塩基配列がコードするアミノ酸に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列、(c)配列番号1で表される塩基配列がコードするアミノ酸配列のうち1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列、または(d)配列番号1で表される塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列、のいずれかの塩基配列であってもよい。このように、天然のシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子に対する変異遺伝子であっても、天然の遺伝子に対して高いホモロジーを有していれば、天然の遺伝子と同様の作用効果を有することは当業者には自明のことである。
また、本発明によれば、アセチル−L−カルニチンの分解に用いるアセチルコリンエステラーゼであって、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる、アセチルコリンエステラーゼが提供される。このアミノ酸配列からなるアセチルコリンエステラーゼは、後述する実施例で示すように、アセチル−L−カルニチンを分解する活性を有することが実証されている。
なお、上記の発明において、(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列は、(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列、(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列のうち1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列、または(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列がコードするアミノ酸配列、のいずれかのアミノ酸配列であってもよい。このように、天然のシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼに対する変異酵素であっても、天然の酵素に対して高いホモロジーを有していれば、天然の酵素と同様の作用効果を有することは当業者には自明のことである。
本発明によれば、シュードモナス・エルギノーザ由来の新規な塩基配列のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子およびその変異遺伝子が得られる。そのため、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼおよびその変異酵素を大量かつ効率的に生産することができる。
また、本発明によれば、アセチル−L−カルニチンを分解することができるシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼおよびその変異酵素を提供することができる。
シュードモナス・エルギノーザPA01株のアセチルコリンエステラーゼ(PA01)での酵素活性、シュードモナス・エルギノーザのPA01株からクローニングし大腸菌で発現させたアセチルコリンエステラーゼ(AEA)での酵素活性、実施例4で作成した大量発現系で発現したアセチルコリンエステラーゼ(EJ1)の酵素活性を示す表である。 実施例4で作成した大量発現系で発現したアセチルコリンエステラーゼの酵素活性を示すグラフである。 シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼをコードする塩基配列(配列番号1)を示す図である。 シュードモナス・エルギノーゼ由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。 電気ウナギ等の動物由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とを比較した結果を示す図である。 電気ウナギ等の動物由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とを比較した結果を示す図の続きである。
<発明の経緯>
アセチルコリンエステラーゼは動物において神経伝達に関わる酵素として知られており、アセチルコリンを加水分解し、コリンと酢酸を生成する加水分解酵素である。一方、微生物もアセチルコリンエステラーゼを生産することが知られており、その生産菌としてPseudomonas属細菌が知られている。本発明者は、新たな研究テーマとしてアセチルコリンエステラーゼを取り上げようとした。
本酵素はすでに1970年代にPseudomonas aeruginosaから精製されていた(非特許文献1)が、その生産量は非常に少ない。酵素の構造と機能を研究する上で多量の精製酵素が必要となるが、アセチルコリンエステラーゼの場合、多量の精製酵素を取得することが非常に困難であった。そこで、本発明者は、本酵素遺伝子をクローニングし、大量発現させることを試みた。
本発明者は、鋭意試行錯誤の末に、すでに全塩基配列が明らかになっているPseudomonas aeruginosa PA01を供試菌株とし、活性発現を指標としたショットガンクローニングによりアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニングに成功した。本発明者は、さらに本遺伝子を大量発現用ベクターに組換え、融合タンパク質として大量発現に成功した。
本発明者は、本酵素の基質特異性を検討したところ、従来報告がなかったアセチル−L−カルニチンを加水分解することが明らかとなった。また、本発明者は、その活性はアセチルコリンの3〜5%程度であることを見出した。
<用語の説明>
(i)アセチルコリンエステラーゼ
本明細書において「アセチルコリンエステラーゼ」(AChE、真性コリンエステラー)とは、アセチルコリンをコリンと酢酸に分解する酵素活性を有する酵素を意味する。なお、本明細書において「アセチルコリンエステラーゼ」は、天然のアミノ酸配列のアセチルコリンエステラーゼのみならず、天然のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列を改変してなる変異アセチルコリンエステラーゼを含む概念であるものとする。また、本明細書において「アセチルコリンエステラーゼ遺伝子」は、天然の塩基配列のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のみならず、天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列を改変してなる変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子を含む概念であるものとする。
(ii)シュードモナス・エルギノーザ
本明細書において「シュードモナス・エルギノーザ」(別名:緑膿菌、Pseudomonas aeruginosa)とは、グラム陰性好気性桿菌に属する真正細菌の一種を意味する。2000年には、緑膿菌のPAO1株の全ゲノム解読が完了しているが、2010年現在の本願出願時でも未だPAO1株の全ゲノム上のどのORFがアセチルコリンエステラーゼ遺伝子であるのはか公知ではなかった。
(iii)相同性
本明細書において「相同性」とは、2つもしくは複数間のアミノ酸配列の同一のアミノ酸数の割合を、当該技術分野で公知の方法に従って算定したものである。割合を算定する前には、比較するアミノ酸配列群のアミノ酸配列を整列させ、同一の割合を最大にするために必要である場合はアミノ酸配列の一部に間隙を導入する。また、いかなる保存的置換も同一と考えない。また、最適に整列した状態において、オーバーラップするアミノ酸を含めた全アミノ酸残基に対する、同一のアミノ酸数の割合を意味する。整列のための方法、割合の算定方法、およびそれらに関連するコンピュータプログラムは、当該技術分野で従来からよく知られており、一般的な配列分析プログラム(例えば、GENETYX、GeneChip Sequence Analysisなど)を使用して測定することができる。また「相同性」は、2つもしくは複数間のDNA鎖、または2つもしくは複数間のRNA鎖において、同一の塩基の割合を、上記と同様に当該技術分野で公知の方法に従って算定したものである。
(iv)ハイブリダイズ
本明細書においてポリヌクレオチドに適用される場合の「ハイブリダイズ」とは、ヌクレオチドの塩基間の水素結合等によってヌクレオチド間の対ができる性質のことを表す。塩基対はワトソン・クリック型塩基対、フーグスティーン型塩基対、または任意の他の配列特異的な形で生じうる。塩基対は二本鎖構造を形成する二本鎖、複数本鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含む。ハイブリダイゼーション反応は、PCR反応の開始またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断のような場合にも起こりうる。ハイブリダイゼーションが2つの1本鎖ポリヌクレオチド間において逆平行配置で生じる場合、それらのポリヌクレオチドは「相補的である」または「相補鎖」と言われる。
(v)ストリンジェントな条件
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、例えば(1)洗浄のための低イオン強度と高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いる、(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃において50%(vol/vol)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)、および750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを用いる、(3)42℃において50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%のデキストラン硫酸と、42℃において0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中での洗浄および55℃のホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1×SSCからなるストリンジェントな洗浄を含む条件であっても良い。なお、ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーは、当業者によって容易に決定でき、一般的にプローブ長、洗浄温度、および塩濃度に依存する。一般に、長いプローブは適当なアニーリングのために高温を必要とし、短いプローブは低温を必要とする。また一般に、ストリンジェンシーは塩濃度に逆比例する。
(vi)コールドショックプロモーター
本明細書において「コールドショックプロモーター」とは、通常の培養温度から低温に移すとコールドショックを受け、制御する遺伝子の発現量を安定的に増加させるプロモーターをいう。具体的には、例えば、大腸菌では通常の培養温度(37℃)から低温(10〜15℃)に移すとコールドショックを受け、常温で発現している遺伝子の発現レベルが極端に減少し、コールドショックプロモーターが制御するコールドショックタンパク質の遺伝子の発現が増加する。
(vii)シャペロン
本明細書において「シャペロン」 (chaperone)とは、他のタンパク質分子が正しい折りたたみ(フォールディング)をして機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称を意味する。大腸菌をはじめとする真正細菌で機能するシャペロンにGroEL(グループI型シャペロニン)がある。このシャペロンはコシャペロン(シャペロン補助因子)GroESの共存によって正常に機能することができる。GroELとGroESはシャペロニンとコシャペロニンと呼ばれることもある(シャペロンとして最初に明らかにされたためこう命名された)。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施形態1:アセチルコリンエステラーゼ遺伝子>
本実施形態に係るシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、配列番号1で表される924残基の塩基配列からなる遺伝子である。この塩基配列からなる遺伝子は、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子であり、アセチルコリンエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードすることが実証されている。
なお、このシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列がコードする配列番号2のアミノ酸配列は、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)のアセチルコリンエステラーゼの従来公知のN末端のアミノ酸配列(参照文献:Biochimica et Biophysica Acta, 1385, 126-138, 1998)と全く異なるものであった。参考までに、下記にこれら2種の微生物のアセチルコリンエステラーゼのN末端のアミノ酸配列を示す。
シュードモナス・エルギノーザ
MRTRLPALLLGVLLAGQACGHTSPL(配列番号5)
シュードモナス・フルオレセンス
AEPLKAVGAGEGQLDIVAWPGYIEA(配列番号6)
このように、本発明者がショットガンシークエンスによって同定したクローンから読み出したシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼのN末端のアミノ酸配列は、驚くべきことに、同じシュードモナス属のシュードモナス・フルオレセンスの公知のアセチルコリンエステラーゼの従来公知のN末端のアミノ酸配列とは全く異なるものであった。
なお、繰り返しになるが、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼは多量の精製酵素を取得することが非常に困難であり、非特許文献1にも記載されているように550リットルの培養液から9mgというごくわずかな酵素しか精製することができなかった。そのため、多量の精製酵素を取得するためにアセチルコリンエステラーゼの生産効率を高めた形質転換体を作成する必要があったが、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼは、そのアミノ酸配列およびそのアミノ酸に対応する遺伝子の塩基配列は解明されていなかった。さらに、同様の理由から、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼのN末端のアミノ酸配列も解明されていなかった。
そのため、本発明者も、通常ならば多量の精製酵素を取得してN末端のアミノ酸配列を解読し、その解読結果に基づいて既に解読済みのシュードモナス・エルギノーザのゲノムDNA全体の塩基配列内から対応するORFの候補を見つけ出し、それらを発現してみて活性を確認するという容易な方法を採用できず、実験上の苦労の多いショットガンシークエンス法を用いて多大な労力をかけてシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニングを行ったのである。その結果、判明したのは、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列は、同じシュードモナス属のシュードモナス・フルオレセンスの公知のアセチルコリンエステラーゼの従来公知のN末端のアミノ酸配列とは全く異なるものであるという予想外の事実であった。
また、得られたシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列およびその遺伝子のコードするアミノ酸配列は、さらに驚いたことには、電気ウナギ等の動物由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列およびその遺伝子のコードするアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とも大きく異なっていた(図5および図6参照)。そして、詳しくは後述するが、さらに驚くべきことに、得られたシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼの酵素活性は、電気ウナギ等の動物由来のアセチルコリンエステラーゼの酵素活性と、アセチル−D−カルニチンおよびアセチル−Lカルニチンに対する基質特異性の面で大きく異なっていた。
このアセチルコリンエステラーゼ遺伝子をコードするDNA断片を得る場合には、そのDNA断片は人工的に化学合成されてもよいが、シュードモナス・エルギノーザPA01株のゲノムから公知の手法を用いてクローニングされたり、そのゲノムからPCR法などを用いて人工的に増幅されたりしてもよい。あるいは、ベクター中に組み込んだ上で大腸菌などに導入して大腸菌およびベクターごと増幅させ、その後大腸菌の細胞内から抽出して得てもよい。
また、このアセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列の天然の遺伝子である必要はなく、天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列を改変してなる変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子であってもよい。
このような変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子としては、配列番号1で表される塩基配列がコードするアミノ酸に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるアセチルコリンエステラーゼ遺伝子が挙げられる。なお、この相同性は、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上であってもよい。この相同性が高ければ高いほど、変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子の活性が天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子に近似する可能性が高くなる。
さらに、この変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、(c)配列番号1で表される塩基配列がコードするアミノ酸配列のうち1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列であってもよい。なお、この欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸の個数は、20以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下であってもよい。この欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸の個数が少なければ少ないほど、変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子の活性が天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子に近似する可能性が高くなる。
なお、この変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列のコードするアミノ酸配列が、配列番号1で表される塩基配列のコードするアミノ酸配列に対して1または数個の置換がある場合には、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に置換していることが好ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、および、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。これらの各グループ内のアミノ酸同士の置換は保存的置換と総称される。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加、または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1984 Sep;81(18):5662-5666.、Zoller et al., Nucleic Acids Res. 1982 Oct 25;10(20):6487-6500.、Wang et al., Science. 1984 Jun 29;224(4656):1431-1433.)。
また、この変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列であってもよい。このハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの説明は、既に用語の説明の欄において行ったので煩雑を避けるために繰り返さない。
本実施形態に係るシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子は、本発明者によるショットガンクローニングによりゲノムからのクローニングが成功しているため、この遺伝子を大量発現用ベクターに組換え、大量発現させることができる。そのため、この天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子を用いれば、多量の精製酵素を取得して酵素の構造および機能を明らかにする上で役立てることができる。さらに、現在市販されているアセチルコリンエステラーゼは、電気ウナギ等の動物から精製されたエステラーゼであるが、この天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子を用いれば、電気ウナギ等の動物から精製する場合に比べて微生物を用いて安価に多量の精製酵素を生産することが可能になる。
<実施形態2:アセチルコリンエステラーゼ発現ベクター>
本実施形態に係るアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターは、ベクターと、そのベクターに作動可能に連結されてなる上記のアセチルコリンエステラーゼの遺伝子(シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来の天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子およびその変異遺伝子を含む)と、を備える。このベクターは、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼを好適に発現することが可能である。
ここで、このベクターとしては、特に限定されず、一般的な微生物等に導入可能なベクターを利用可能であるが、例えば、後述する実施例で用いられているpUC18、pET24b、pColdI〜IVなどを好適に用いることができる。通常は、これらのベクターにあらかじめ設けられているマルチクローニングサイトにおいて所定の制限酵素を用いて切断(Digestion)を行い、その後切断された箇所に上記のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子を挿入して所定のリガーゼ酵素を用いて連結(Ligation)を行うことにより、アセチルコリンエステラーゼを発現する組換ベクターを得る。
そして、この組換ベクターは、上記のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の上流において作動可能に連結されてなるコールドショックプロモーターをさらに備えることが好ましい。このように、アセチルコリンエステラーゼ遺伝子の上流にコールドショックプロモーターを設けることによって、コールドショックを与えて下流のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の発現を誘導することが可能になる。すなわち、このようにすれば、アセチルコリンエステラーゼ遺伝子の発現の有無または強弱を自由に調製することができる。
コールドショックプロモーターとしては、低温で発現誘導できるプロモーター出あれば任意のものを用いることができるが、例えば、大腸菌の低温発現遺伝子のプロモーターであるcspAプロモーターを好適に用いることができる。例えば、このcspAプロモーターをあらかじめマルチクローニングサイトの上流に有するコールドショックベクターであるpColdI〜IVは、cspA遺伝子の発現を制御するプロモーター配列や5’−UTRと呼ばれる配列の下流に製造しようとするタンパク質の遺伝子をつなげるようにしたプラスミドベクターであり、大腸菌に導入した後低温下に置くことにより、目的とするタンパク質を大量に発現させることができる。この方法を用いると大腸菌の全タンパク質中の最高60−70%を目的タンパク質として製造することができ、効率よく目的タンパク質を生産し回収するタンパク質生産工場として利用することが可能である。
例えば、cspAのプロモーターに目的の遺伝子をつないだ場合、37℃では目的の遺伝子はまったく発現しない状態であっても、15℃では新たに合成されるタンパク質の大部分が目的の遺伝子にコードされるタンパク質となるように高効率で発現させることも可能である。これはプロモーター領域などを含むタンパク質の発現領域のmRNAが37℃では不安定であるが、15℃では安定化するだけでなく、細胞内の他のタンパク質を造るのに必要なリボソームを全て奪ってしまうためだと考えられる(LACE効果)。すなわち、コールドショック発現系では、可溶性発現の向上を期待できるだけでなく、低温発現により大部分の大腸菌タンパク質の発現が減少するため、目的タンパク質のみを効率よく回収することができることが期待される。
本実施形態に係るシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異遺伝子の発現ベクターは、これらのアセチルコリンエステラーゼを大量発現させることができる。また、この発現ベクターにコールドショックプロモーターを設けることによって、さらに大量発現させたアセチルコリンエステラーゼを可溶化して活性を維持することができる。そのため、このアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターを用いれば、多量の精製酵素を取得して酵素の構造および機能を明らかにする上で役立てることができる。さらに、現在市販されているアセチルコリンエステラーゼは、電気ウナギ等の動物から精製されたエステラーゼであるが、このアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターを用いれば、電気ウナギ等の動物から精製する場合に比べて微生物を用いて安価に多量の精製酵素を生産することが可能になる。
<実施形態3:形質転換体>
本実施形態の形質転換体は、上記のアセチルコリンエステラーゼ発現ベクター(シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来の天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の発現ベクターおよびその変異遺伝子の発現ベクターを含む)を細胞に導入してなる形質転換体である。この形質転換体は、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼを好適に発現することが可能である。
ここで、この形質転換される細胞の種類は、特に限定されるものでなく、動物細胞および植物細胞などを排除する趣旨ではないが、取扱容易性および増殖性の面からは大腸菌(Escherichia coli)などの真菌細菌をはじめとする微生物細胞であることが好ましい。大腸菌の菌株は任意であるが、後述する実施例で大量発現の実績があるため、例えばE.Coli DH5α株を用いることが特に好ましい。
また、この形質転換体には、アセチルコリンエステラーゼ発現ベクターと共発現する分子シャペロン発現ベクターをさらに導入してもよい。このようにシャペロンを共発現させることによって、アセチルコリンエステラーゼのタンパク質分子(シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来の天然のアセチルコリンエステラーゼおよびその変異アセチルコリンエステラーゼを含む)が正しい折りたたみ(フォールディング)をして機能を獲得するのを助けるので、大量発現した場合にもアセチルコリンエステラーゼのタンパク質分子が可溶化して機能を維持しやすくなる。
大腸菌をはじめとする真正細菌を形質転換する場合には、真菌細菌で機能するシャペロンであれば任意のものを利用できるが、このように真菌細菌で機能するシャペロンの中でも入手容易性、取扱容易性および優れたフォールディング活性の面からGroEL(グループI型シャペロニン)を用いることが好ましい。このシャペロンはコシャペロン(シャペロン補助因子)GroESの共存によって正常に機能することができるため、さらに小シャペロンも共発現させてもよい。
上述のように、大腸菌コールドショック遺伝子cspAのプロモーターを利用したタンパク質発現系によれば、目的タンパク質の発現量は、最大で菌体タンパク質の60%、新生タンパク質の90%に達する場合がある。そのため、従来から汎用されている通常のpUC18、pET24bなどの発現系では発現できなかったタンパク質、あるいは発現しても可溶化が難しいタンパク質でも、pColdI〜IVなどのコールドショック発現系を用いることで発現が可能となる場合や可溶化率が向上する場合がしばしば見られる。しかし、目的タンパク質によっては、pColdI〜IVをはじめとするcspAプロモーターを利用したタンパク質発現系を用いても十分な発現や可溶化が困難な場合もある。そのような際には、pColdI〜IVとシャペロンベクターの共発現により、目的タンパク質の発現および可溶化率が著しく改善する場合がある。
シャペロンベクターは、タンパク質の折りたたみ(folding)に協同して働くことが知られている大腸菌の分子シャペロンを、大腸菌をはじめとする真菌内で発現するように構築したベクターを好適に使用できる。なお、このシャペロンベクターは、大腸菌内でpColdI〜IVとの共存が可能であるように複製開始点および薬剤耐性などを工夫しておくことが好ましい。このようなシャペロンベクターの共発現により、目的タンパ
ク質の発現量や可溶化率の向上が期待できる。シャペロンベクターとしては、例えば、tig配列、groESおよびgroELがシャペロンチームとして働くように構築されており、シャペロンチームの発現はPzt1プロモーター(テトラサイクリンで誘導)で制御されており、pACYCの複製開始点とクロラムフェニコール耐性遺伝子を利用しているため、大腸菌内でpColdベクターとの共存が可能である、プラスミドpG−Tf2などを好適に使用できる。
本実施形態に係る形質転換体は、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異遺伝子の発現ベクターを大腸菌細胞などに導入してなるため、これらのアセチルコリンエステラーゼを大腸菌細胞などで大量発現させることができる。また、この形質転換体でシャペロンを共発現させることによって、さらに大量発現させたアセチルコリンエステラーゼを可溶化して活性を維持することができる。そのため、この形質転換体を用いれば、多量の精製酵素を取得して酵素の構造および機能を明らかにする上で役立てることができる。さらに、現在市販されているアセチルコリンエステラーゼは、電気ウナギ等の動物から精製されたエステラーゼであるが、この形質転換体を用いれば、電気ウナギ等の動物から精製する場合に比べて微生物を用いて安価に多量の精製酵素を生産することが可能になる。
<実施形態4:アセチルコリンエステラーゼの生産方法>
本実施の形態のアセチルコリンエステラーゼの生産方法は、上記の形質転換体を培養する工程と、その形質転換体またはその培地からアセチルコリンエステラーゼ(シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来の天然のアセチルコリンエステラーゼおよび変異アセチルコリンエステラーゼを含む)を抽出する工程と、を含む。この生産方法によれば、後述する実施例で示すように、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来の天然のアセチルコリンエステラーゼまたはその変異アセチルコリンエステラーゼを好適に生産することが可能である。
ここで、上記の形質転換体を培養する工程において用いる培地は、形質転換体が増殖可能な培地であれば任意のものを用いることができるが、例えば大腸菌を形質転換した場合には、LB培地(1% Bacto Tripton、0.5% Yeast Extract、1% NaCl)などを好適に使用できる。また、培地の形状は、液体培地であってもよく、寒天培地であってもよいが、取扱容易性および増殖速度の面からは液体培地が好ましい。また、大腸菌の場合には、例えば、好気性条件下で37℃で一晩振盪培養すれば容易に大量増殖させることが可能である。
次いで、上記の形質転換体またはその培地からアセチルコリンエステラーゼを抽出する工程において、もしもアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターにコールドショックプロモーターが設けられている場合には、大腸菌の含まれる培地を37℃から15℃まで冷却し、さらに一晩培養した上でアセチルコリンエステラーゼを抽出することが好ましい。このように大量培養後に冷却した上で培養を継続することによって、コールドショックプロモーターの下流のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の発現が誘導され、大腸菌細胞内で
アセチルコリンエステラーゼが大量生産されることになるためである。このとき、大量生産しすぎると大腸菌細胞内でアセチルコリンエステラーゼがインクルージョンボディーを形成することがあるが、シャペロンベクターを共発現させておけば、このようなインクルージョンボディーの発生を抑制し、アセチルコリンエステラーゼを可溶化して活性を維持した状態で大量生産が可能になる。
その後、アセチルコリンエステラーゼを分離・精製するために、通常の細胞からのタンパク質の分離・精製に用いられる方法を用いることができる。具体的には、アセチルコリンエステラーゼを大量生産した大腸菌細胞を破壊後、通常用いられる分離精製手段を用いることにより行うことができる。大腸菌細胞の破壊には、例えば、超音波処理、高圧ホモジナイザー処理、浸透圧ショック法などが好適に用いられる。アセチルコリンエステラーゼの分離精製手段には、例えば塩析、ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るアセチルコリンエステラーゼの生産方法は、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異遺伝子の発現ベクターを導入してなる形質転換体などを培養して、その形質転換体またはその培地からアセチルコリンエステラーゼを抽出するため、これらのアセチルコリンエステラーゼを容易かつ安価に大量発現させて回収できる。また、この発現ベクターにコールドショックプロモーターを設け、この形質転換体でシャペロンを共発現させることによって、さらに大量発現させたアセチルコリンエステラーゼがインクルージョンボディーを形成することを抑制して、アセチルコリンエステラーゼを可溶化して活性を維持した状態で回収することが可能になる。そのため、この生産方法を用いれば、多量の精製酵素を取得して酵素の構造および機能を明らかにする上で役立てることができる。さらに、現在市販されているアセチルコリンエステラーゼは、電気ウナギ等の動物から精製されたエステラーゼであるが、この生産方法を用いれば、電気ウナギ等の動物から精製する場合に比べて微生物を用いて安価に多量の精製酵素を生産することが可能になる。
<実施形態4:アセチル−L−カルニチン分解性アセチルコリンエステラーゼ>
本実施形態に係るアセチル−L−カルニチンの分解に用いるアセチルコリンエステラーゼは、配列番号2で表される307個のアミノ酸配列からなるタンパク質であり、分子量は30kDa、等電点は、8.1である。このアミノ酸配列からなるアセチルコリンエステラーゼは、後述する実施例で示すように、アセチル−L−カルニチンを分解する活性を有することが実証されている。
このアセチル−L−カルニチン分解性のアセチルコリンエステラーゼを得る場合には、そのタンパク質は人工的に化学合成されてもよいが、上記のアセチルコリンエステラーゼの生産方法によって得ることが安価かつ大量に生産可能であるため好ましい。
また、このアセチル−L−カルニチン分解性のアセチルコリンエステラーゼは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の天然のタンパク質である必要はなく、天然のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列を改変してなる変異アセチルコリンエステラーゼであってもよい。
このような変異アセチルコリンエステラーゼタンパク質としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列が挙げられる。なお、この相同性は、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上であってもよい。この相同性が高ければ高いほど、変異アセチルコリンエステラーゼの活性が天然のアセチルコリンエステラーゼに近似する可能性が高くなる。
さらに、この変異アセチルコリンエステラーゼは、配列番号2で表されるアミノ酸配列のうち1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であってもよい。なお、この欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸の個数は、20以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下であってもよい。この欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸の個数が少なければ少ないほど、変異アセチルコリンエステラーゼの活性が天然のアセチルコリンエステラーゼに近似する可能性が高くなる。
なお、この変異アセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列が、配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して1または数個の置換がある場合には、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に置換していることが好ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、および、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。これらの各グループ内のアミノ酸同士の置換は保存的置換と総称される。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加、または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1984 Sep;81(18):5662−5666.、Zoller et al., Nucleic Acids Res. 1982 Oct 25;10(20):6487−6500.、Wang et al., Science. 1984 Jun 29;224(4656):1431−1433.)。
また、この変異アセチルコリンエステラーゼは、配列番号2で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドの塩基配列がコードするアミノ酸配列であってもよい。このハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの説明は、既に用語の説明の欄において行ったので煩雑を避けるために繰り返さない。
本実施形態に係るシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼは、当然のことながら、通常のアセチルコリンエステラーゼの活性を有しており、アセチルコリン、アセチルチオコリン、プロピオニルコリン、プロピオニルチオコリン、アセチルメチルコリン、ニトロフェニルアセテート、フェニルアセテート、アミルアセテート、イソアミルアセテートなどを加水分解できる。それに加えて、本実施形態に係るシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼは、驚いたことに、アセチル−L−カルニチンを加水分解することができる。
ここで、現在市販されているアセチルコリンエステラーゼである電気ウナギのエステラーゼについては、アセチル−D−カルニチンを加水分解する活性はあるが、アセチル−L−カルニチンを加水分解する活性は無いことが知られている(参照文献:Biotechnology and Bioengineering, 24, 911-915, 1984)。そのため、これまでアセチル−L−カルニチンを加水分解できるアセチルコリンエステラーゼの開発が、アセチル−D−カルニチンおよびアセチル−L−カルニチンの光学分割のために求められていた。
しかしながら、シュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼは多量の精製酵素を取得することが非常に困難であり、非特許文献1にも記載されているように550リットルの培養液から9mgというごくわずかな酵素しか精製することができなかったため、これまでシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼのアセチル−L−カルニチンを加水分解する活性は測定されたことが無かった。そして、本発明者も、研究開始当初は、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼも同様にアセチル−D−カルニチンを加水分解する活性はあるが、アセチル−L−カルニチンを加水分解する活性は無いだろうと予測していた。
ところが、本発明者が、大量生産に成功したシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼを用いてアセチル−L−カルニチンの加水分解活性を測定してみたところ、驚いたことに研究開発当初の予想を裏切ってアセチル−L−カルニチンの加水分解活性の存在が認められた。本実施形態のアセチル−L−カルニチン分解性のアセチルコリンエステラーゼは、まさにこれまでの産業界のアセチル−D−カルニチンおよびアセチル−L−カルニチンの光学分割の要望に応えるものであり、産業上大きな利用価値があると考えられる。
また、繰り返しにはなるが、このように驚くべき結果を得ることができたのは、本発明者によるショットガンクローニングによりゲノムからのシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニングが成功したためである。このように遺伝子のクローニングに成功したため、この遺伝子を大量発現用ベクターに組換え、大量発現させることができた。そのため、この天然のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子またはその変異アセチルコリンエステラーゼ遺伝子を用いて、多量の精製酵素を取得して酵素の構造および機能を明らかにするための実験を行うことができ、シュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼも同様にアセチル−L−カルニチンを加水分解する活性があることを見出したのである。繰り返しにはなるが、現在市販されている電気ウナギから精製されたアセチルコリンエステラーゼには、アセチル−D−カルニチンを加水分解する活性はあるが、アセチル−L−カルニチンを加水分解する活性は無いことが知られている(参照文献:Biotechnology and Bioengineering, 24, 911-915, 1984)。
現在、電気ウナギ等の動物から精製された動物由来のアセチルコリンエステラーゼは残留農薬(有機リン系農薬)の簡易分析に利用されている。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の幾つかは医薬品として試用されている。しかしながら、電気ウナギ等の動物からアセチルコリンエステラーゼを大量かつ安価に精製することは困難であった。これに対して、本実施形態のようにシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼを簡便に大量に調製することができれば残留農薬分析やコリンエステラーゼ阻害剤のスクリーニングに利用できる。すなわち、こうして得られたアセチルコリンエステラーゼの活性を測定することによって、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のスクリーニングを行うことができ、残留農薬分析キット、農薬センサーにも用いることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態では形質転換される微生物細胞を大腸菌細胞としたが、特に限定する趣旨でなく、枯草菌,酵母などを用いてもよい。このようにしても、大腸菌の場合と同様にシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼを簡便に大量に調製することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1:目的遺伝子のクローニング>
(1)ショットガンクローニング
PA01株を培養し、集菌し、ゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNA、プラスミドpUC18(タカラ製)を、それぞれ制限酵素(cfrI)で処理した。反応処理の後、それぞれの反応液を混合しライゲーションを行った。ライゲーションの結果、得られたDNAを、大腸菌へと組み込み形質転換体を作成した。
(2)スクリーニング
LB培地に、カルベニシリン・Na及び0.1M IPTG 23.8mg/1mlを加えて、LBCI培地を調製した。0.5%リゾチームと10mM EDTAを100mM K−P bufferに加え、pH 8.0に調製し、溶解液を調製した。LBCI培地を分注器にて、約1.2mlずつ1.5mlエッペンドルフチューブに分注し、爪楊枝をあて、形質転換体の大腸菌をLCBI培地に植菌した。30℃、24時間で培養し、集菌した。集菌したエッペンドルフチューブに準備した溶解液を200μl加えボルテックスにかけた後、37℃の恒温槽で30分反応させた。
再度、ボルテックスにかけた後、遠心分離にかけ、上清を回収した。マイクロプレートに表1に記載の反応液を入れたものに回収した上清を20μlいれ、反応を見て、アセチルコリンエステラーゼ活性を有する株を取得した。
(3)無細胞調製液の作成
IPTGとカルベニシリンを入れたLBスラント培地を調製した。調製したLBスラント培地に作成した形質転換体である大腸菌を植菌し、25℃・24時間の条件で培養した。つぎに培養したLBスラント培地からLB液体培地に植菌し、25℃・24時間の条件で培養した。液体培養した菌体を集菌し凍結させた。菌体に0.3Mリン酸カリウムバッファー(pH7.4)を約10ml加えて、菌体を超音波破砕器により10℃以下の液温を保ちながら15分間破砕した。破砕物のpHを測定し、低い場合には1M水酸化ナトリウムで調製した。破砕物を遠心分離し、得られた上清を無細胞抽出液とした。
(4)アセチルコリンエステラーゼ活性の測定
表1に記載するアセチルコリンエステラーゼ活性測定反応液を調製した。無細胞抽出液をアセチルコリンエステラーゼ活性測定反応液に加え反応させた。反応後のアセチルコリンエステラーゼ活性測定反応液を412nm波長での吸光度変化を測定した。得られた吸光度変化を基に、下記の反応式で、アセチルコリンエステラーゼ活性を計算した。
酵素活性(unit/ml)=吸光度変化(abs/min)×1.585×希釈倍率/13.6/酵素量(ml)
その結果、アセチルコリンエステラーゼ活性を有する形質転換体(E.coli AEA株)を取得した。このようにして測定したアセチルコリンエステラーゼ活性を以下の表2に示す。
<比較例1:アセチルコリンエステラーゼの活性測定>
(1)シュードモナスPA01の培養
肉汁培地を、傾斜をつけスラント培地にし、一晩インキュベートした後にシュードモナスPA01をクリーンベンチ内で植菌して、30℃で2日間培養した。その後、スラント培地からコリン培養培地に植菌し、25℃で一晩培養した。さらに培養液を坂口フラスコに十倍希釈して25℃120回転/minで24時間培養した。ここで用いた肉汁培地とコリン培地の組成を表3に示す。
培養した培養液から、12000rpm、5℃、20分で遠心分離機を用いて集菌し、菌体を凍結保存した。凍結保存した菌体に、0.3Mリン酸カリウムbuffer(pH7.4)を約10ml加えて、菌体を超音波破砕機により10℃以下の液温を保ちながら15分間破砕した。破砕物のpHを測定し、低い場合は1M NaOHで調製した。破砕物を遠心チューブに移して、12000rpm、4℃で20分間遠心した。得られた上清を無細胞抽出液とする。実施例1と同様にアセチルコリンエステラーゼ活性を測定した。
<実施例2:目的遺伝子のシークエンス解析>
(1)シークエンス解析
E.coli AEA株からプラスミドDNAを抽出し、挿入断片(7kb)をPCRで反応させた。増幅させた塩基配列のシークエンス解析を行い、塩基配列を決定した。決定した塩基配列を配列番号2に示す。決定した塩基配列は、シュードモナスPA01のORFであるPA4921と一致した。PA4921の塩基配列を配列番号1に示す。
(2)ホモロジー
配列を決定したシュードモナス・エルギノーザ由来のアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列と、電気ウナギのアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とホモロジーを解析した。その結果を図5に示す。図5を見ればわかるように、ホモロジーはアライメントが可能な領域でも30%以下と非常に低かった。
<実施例3:大量発現系の構築>
(1)大腸菌への形質転換
E.coli AEA株からプラスミドDNAを抽出し、挿入断片を切り出した。構築したプライマー(pAchE−U 5’GCCACATATGCGCACCCGTCT 3’(配列番号3), pAchE−L 5’TTCGGAATTCTCAGCGCGCGTA 3’ (配列番号4))を用いて、PCR法によりPA4921を増幅した。増幅したPA4921を、ベクターp−cold(製品番号 タカラ製)とライゲーションし、大腸菌に形質転換を行った。
(2)p−cold保有大腸菌の培養
アンピシリンで形質転換大腸菌を選択し、LBA液体培地で37℃の条件にて振とう培養し、OD600が0.5程度になったら、培養液を15℃に冷却し、30分放置した。0.1から1mMになるようにIPTGを加え、15℃で24時間培養を行った。
(3)アセチルコリンエステラーゼ活性測定
培養した培養液から集菌し、菌体を超音波破砕機によって10℃以下の液温を保ちながら15分間破砕した。破砕物を遠心し上清を用いて、実施例1の反応系を用いてアセチルコリンエステラーゼ活性を測定した。アセチルコリンエステラーゼ活性の測定結果から、Vmax,Km値を計算した。Km値は、0.0362mMであり、Vmax値は、0.0105mmol/minであった。
<実施例4:アセチルコリンエステラーゼの酵素活性の分析>
以下の表4の組成のアセチルカルニチン加水分解反応液及び表5のカルニチン定量反応液を調製した。
アセチルカルニチン加水分解反応液にて、アセチル−L−カルニチンの加水分解反応を、30℃で30分間の条件で反応させた。
反応後のアセチルカルニチン加水分解反応液50μlを、カルニチン定量反応液に添加した。カルニチン定量反応液を1時間、30℃の条件で反応させた。
カルニチン定量のために、アセチルカルニチン加水分解反応液の他に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mMのカルニチン基質濃度の溶液を、カルニチン定量反応液にそれぞれ反応させた。反応させたカルニチン基質濃度の溶液を基に検量線を作成し、加水分解活性を計算した。なお、アセチル−L−カルニチンの加水分解反応は、酵素を入れなくても反応が進む場合があるため酵素なしの組成のものも用意した。酵素なしをブランクとして酵素ありの吸光度から引いて加水分解活性を求めた。このようにして測定した加水分解活性を以下の表6に示す。
<結果の考察>
本発明者は、上述のように、すでに全塩基配列が明らかになっているPseudomonas aeruginosa PA01を供試菌株とし、活性発現を指標としたショットガンクローニングによりアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニングに成功した。本発明者は、さらに本遺伝子を大量発現用ベクターに組換え、融合タンパク質として大量発現に成功した。
その結果、このシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列がコードする配列番号2のアミノ酸配列は、驚くべきことに、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)のアセチルコリンエステラーゼの従来公知のN末端のアミノ酸配列(参照文献:Biochimica et Biophysica Acta, 1385, 126-138, 1998)と全く異なるものであった。
さらに、得られたシュードモナス・エルギノーザのPA01株由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列およびその遺伝子のコードするアミノ酸配列は、予想外なことに、電気ウナギ等の動物由来のアセチルコリンエステラーゼ遺伝子の塩基配列およびその遺伝子のコードするアセチルコリンエステラーゼのアミノ酸配列とも大きく異なっていた(図5参照)。
また、本発明者は、本酵素の基質特異性を検討したところ、従来報告がなかったアセチル−L−カルニチンを加水分解することが明らかとなった。また、本発明者は、その活性はアセチルチオコリンの0.03%程度であることを見出した。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

Claims (7)

  1. ベクターと、
    アセチルコリンエステラーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子と、
    前記遺伝子の上流に作動可能に連結されてなるコールドショックプロモーターと、を備え、
    前記遺伝子は、
    (a)配列番号1で表される塩基配列、
    (c)配列番号1で表される塩基配列がコードするアミノ酸配列のうち1または数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列、のいずれかの塩基配列からなる、アセチルコリンエステラーゼ発現ベクター。
  2. 前記コールドショックプロモーターは、cspAプロモーターである、請求項1に記載のアセチルコリンエステラーゼ発現ベクター。
  3. 前記遺伝子がシュードモナス・エルギノーザ由来である、請求項1又は2に記載のアセチルコリンエステラーゼ発現ベクター。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のアセチルコリンエステラーゼ発現ベクターを細胞に導入してなる形質転換体。
  5. 前記アセチルコリンエステラーゼ発現ベクターと共発現する分子シャペロン発現ベクターをさらに導入されてなる、請求項4に記載の形質転換体。
  6. 前記細胞が大腸菌細胞である、請求項4又は5に記載の形質転換体。
  7. アセチルコリンエステラーゼを生産する方法であって、
    請求項4乃至6いずれかに記載の形質転換体を培養する工程と、
    前記形質転換体またはその培地からアセチルコリンエステラーゼを抽出する工程と、を含む生産方法。
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