JP5787288B2 - パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 - Google Patents
パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5787288B2 JP5787288B2 JP2011132745A JP2011132745A JP5787288B2 JP 5787288 B2 JP5787288 B2 JP 5787288B2 JP 2011132745 A JP2011132745 A JP 2011132745A JP 2011132745 A JP2011132745 A JP 2011132745A JP 5787288 B2 JP5787288 B2 JP 5787288B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- palladium
- ions
- ddhmp
- ion
- mesoporous silica
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Water Treatment By Sorption (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
- Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Description
いわゆる銀歯は金銀パラジウム合金で、20%以上のパラジウムを含有する。さらに、貴金属として装飾品にも利用され、ホワイトゴールドの脱色用割り金として利用される。近年、高騰してしまったプラチナ、アレルギーを起こす可能性のあるホワイトゴールドに替わって、パラジウムをメインに使用したジュエリーが出始めている。このようにパラジウムは多くの有用な分野で必要とされる金属であり、その需要は年々増大傾向にある。
図1は、本発明のパラジウム回収システムを示す図である。まず、第1段階で高度に秩序化したメソポーラスシリカ(HOMシリカ(HOMS):High Ordered Mesoporous Silica、尚通常、HOMと言った場合、シリカ(Silica)は含まないが、本明細書等においてはHOMと記載した場合も、特に明記しない限りシリカ(Silica)も含むものとする。)を合成する。ここで、メソポーラスシリカとは、多孔質シリカの1種であり、メソポア領域と呼ばれる、2nmから50nmの領域の大きさのほぼ均一で規則的な直径の細孔(メソ孔)を有し、細孔の作るネットワークの様式(空間対称性)や製造方法等によって、様々な特性を有することが知られている多孔質物質群である。しかし、本特許出願においては、メソ孔よりも小さなマイクロ孔(2nm以下の細孔)やメソ孔よりも大きなマクロ孔(50nm以上の細孔)を有するポーラスシリカもメソポーラスシリカと呼ぶ。
また、結晶構造の秩序性が高くBET比表面積が大きいポーラス(細孔)密度の大きなHOMシリカほど、多くのレセプターが規則的にHOMシリカの表面および細孔内壁に担持される。たとえば、好適には、立方晶構造Pm3n、Fm3m、Ia3d、六方晶構造P6mなどの構造が広範囲に形成されたHOMシリカにレセプターDDHMP{(パラジウムイオン)吸着性化合物}を吸着させる。
図2は、HOM5(立方晶Ia3d)シリカ・モノリスの作製方法を示す図である。HOMシリカ・モノリスはコポリマー界面活性剤P123(EO20PO70EO20)を用いて瞬間直接鋳型法を採用することにより合成された。メソポーラスシリカモノリスは、P123/オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)混合相にドデカンをドデカン:P123:TMOS=1:2.8:4の比率で付加することによって形成されたマイクロエマルジョン相を使って作製された。すなわち、容器中に8.0gのTMOSおよび5.6gの界面活性剤P123を5.6g入れ、その中に2.0gのドデカンを加え、界面活性剤を完全に溶解させるためにフラスコは約60℃の温水で保持された。この均質溶液の組成物相をロータリーエバポレーターに移し、pH1.3の酸性水溶液(H2O-HCl)を4g添加し蒸発させると、TMOSの発熱加水分解および濃縮が急速に起こる。この発熱加水分解/濃縮反応はロータリーエバポレーターで排気中も継続するので、液体材料の粘性が増大し生成した有色のゲル状物質が反応容器中に形成される。ロータリーエバポレーターで10分排気後に半透明のガラス状モノリスが収集され、オーブン中において40℃で24時間乾燥された。その後450℃で8時間焼成することにより白い粉末状のHOM5(立方晶Ia3d)シリカ・モノリスが作成された。
図3は、レセプターDDHMPを生成する化学反応式を示す図である。4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(4,5-diamino-6-hydroxy-2-mercaptopyrimidine)25mモル(2.372g)が、20mLのDMF {N,N-ジメチルフォルムアミド(N,N-Dimethylformamide)}中に溶解され、3時間攪拌された。その後、50mモル(6.106mL)のサリチルアルデヒドが150mLのエタノールに混合された。50mLのエタノールに混合された50mモル(6.106mL)のサリチルアルデヒドへ4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン溶液を添加し、オーバーヘッドスターラーを使い充分に攪拌した後、反応混合物は2時間還流された。黄色の析出物はろ過され、少量のエタノールを用いて洗浄され、その後60℃で乾燥された。これがDDHMPである。
図4は、HOM−DDHMPコレクターの作製方法を示す図である。図4において、DDHMPを使ってHOM−プローブ材料を製造する方法が示されている。1.0gのHOM5が、丸形フラスコにおいて30mlのDMF溶液に溶解された30mgのDDHMP染料を含む溶液に添加され、これらの混合液は60℃で2時間回転しながら保持された。ロータリーエバポレーターに連結され、DMFは70℃でゆっくりと真空引きされて取り除かれた。2時間以内に、粘性液体は有色のゲル状物質(固体生成物)へ変化し、丸形フラスコの形状と大きさになった。それから、この物質を60〜65℃で5時間乾燥した。その後、この物質は温水洗浄され、乾燥した状態になるまで再び乾燥された。この物質がHOM−プローブ材料(HOM−DDHMP)であり、色調は薄い黄色で種々の実験条件でパラジウム{Pd(II)抽出に使われた。
HOM−プローブ材料(HOM−DDHMP)がパラジウム{Pd(II)}イオンをどのpH水溶液で最も吸着するか、8種類のpH水溶液(1.0、2.0、3.5、5.0、7.0、9.5、11.0および12.5)を用いて調査した。pH2.0およびpH 3.5に関して0.01M硫酸か0.2MKCl−HClのどちらかのpH溶液を使い、pH5.2を調整するためにCH3COOH−CH3COONaを使った。3−モルホリノプロパン・スルホン酸{3-morpholinopropane
sulfonic acid(MOPS)}、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパン・スルホン酸{N-cyclohexyl-3-aminopropane sulfonic acid (CAPS)}および2−(シクロヘキシルアミノ)エタン・スルホン酸{2-(cyclohexylamino)
ethane sulfonic acid (CHES)}の混合液がpH7.0、9.5および11.0に関して使われ、0.2MNaOHを用いてpH値を調整した。
Spectroscopy)によって調査し、吸光度スペクトルを取った。パラジウム{Pd(II)}吸着を特に良く表す特定波長における吸光度を各固系材料についてプロットした。図5は、HOM5−DDHMP−Pd(II)の紫外線可視分光スペクトル信号強度(室温測定)と溶液のpH値との関係を示すグラフであり、2ppmのPd(II)イオンを溶解した種々のpH値溶液からHOM5−DDHMPがPd(II)イオンを吸着したHOM−DDHMP−Pd(II)の吸光度のpH値依存性を示す。図5において、HOM5−DDHMP−Pd(II)の紫外線可視分光スペクトル信号強度(比)を縦軸に、2ppmのPd(II)イオンを溶解した溶液のpH値を横軸にプロットした。参照pH値として最高の信号強度を使った。すなわち、図5の縦軸はpH値が3.5の水溶液の信号強度に対する比を取っている。HOM5−DDHMP中のパラジウム{Pd(II)}量が増えると紫外線可視分光スペクトルの吸光度が増大することが分かっているので、図5から分かるように、信号強度のデータは、パラジウム{Pd(II)}イオンのコレクター(吸着剤)としてHOM5−DDHMPを使用する場合、最も良くパラジウム{Pd(II)}イオンを吸着する最良のpH値は3.5であることを示している。測定誤差やばらつきも考えると最良のpH値は2〜5、好適には3〜4である。
図6は、Pd(II)の除去剤としてHOM5に担持したDDHMPプローブ(HOM5−DDHMP)を用いた場合のパラジウム{Pd(II)}抽出方法の手順を示す図である。この手順に従って、pH3.5溶液中に様々な濃度(5ppb〜15ppm)のPd(II)イオンを添加し、適量の純水を加えて容積を20mlにした。その後、HOM5−DDHMPを20mg加えて1時間攪拌し、固形材料が含まれた溶液をろ過した。この固系材料はパラジウム{Pd(II)}を吸着したHOM5−DDHMP−Pd(II)である。固形材料は紫外線可視分光スペクトル測定(UV-VIS-NIR Spectroscopy)によって調査され、吸光度スペクトルを取った。
パラジウム{Pd(II)}イオンを最も良く吸着するpH=3.5の酸性溶液4mlをビーカーに取り、このビーカーにクエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムおよび酒石酸ナトリウム溶液の0.3M混合液を4ml付加し、さらに種々の活性金属イオン(K+、Li+、Ca2+、Mg2+、Cr6+、Al3+、Cu2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Co2+、Cd2+、Pd2+、Hg2+、Fe3+、Bi3+、Sb3+、Mo6+および Se4+)およびパラジウム{Pd(II)}イオンをそれぞれ個別に2ppm添加した溶液を作り、それぞれにさらに水を適量加えて20ml水溶液を作製した。その後、それぞれの水溶液にHOM5−DDHMPを20mg加えて、1時間攪拌した。これらの水溶液をろ過し、固形物についてUV-VIS-NIR分析を行い、ろ過溶液はICP-OES(ICP発光分光分析)によって分析された。すべての操作は25℃で行なわれた。
次に種々のアニオンおよび界面活性剤がHOM5−DDHMPコレクターに影響を及ぼすかを調査した。パラジウム{Pd(II)}イオンを最も良く吸着するpH=3.5の酸性溶液4mlをビーカーに取り、このビーカーにクエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムおよび酒石酸ナトリウム溶液の0.3M混合液を4ml付加し、次に種々のアニオンおよび界面活性剤{SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、CTAB(臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)、Triton X-100(トリトンX−100)、tartrate(酒石酸塩)、citrate(クエン酸塩)、 oxalate(シュウ酸塩)、chloride(塩化物)、acetate(酢酸塩)、nitrite(亜硝酸塩)、nitrate(硝酸塩)、sulfite(亜硫酸塩)、sulfate(硫酸塩)、phosphate(リン酸塩)および carbonate(炭酸塩)}およびパラジウム{Pd(II)}イオンをそれぞれ個別に2ppm添加した溶液を作り、それぞれにさらに水を適量加えて20ml水溶液を作製した。その後、それぞれの水溶液にHOM5−DDHMPを20mg加えて1時間攪拌した。これらの水溶液をろ過し、固形物についてUV-VIS-NIR分析を行なった。すべての操作は25℃で行なわれた。
図11は、77KにおけるHOM5メソポーラスシリカ、DDHMPを担持したHOM5−DDHMPおよびパラジウム{Pd(II)}を吸着したHOM5−DDHMP−Pd(II)のN2吸着/脱着等温線である。これらの3種類のN2吸着/脱着等温線は、吸着/脱着(離脱)ブランチの鋭い変曲線を持つ典型的なIUPACのタイプIVの吸着挙動を示している。これらの特徴的挙動および顕著なヒシテリシスループはメソポーラスシリカのN2吸着/脱着等温線に特有のものであり、本発明のHOM5系材料はメソポーラス性が均一でしかも規則性が高いことが分かる。HOM5触媒は、典型的なN2ヒシテリシスループを示し、テンプレート(鋳型)としてコポリマーを使うことにより作製された均一なケージ状メソポーラスの立方晶およびシリンダー構造であることを示唆している。良く特徴づけられた鋭い変曲線は0.55≦P/P0≦0.8で現れた。この急峻さは、約6.7nmの均一なメソポーラス内での毛管凝縮を示している。さらに、N2吸着等温線データに示されるように、HOM−鋳型へのDDHMP有機質部分の固定化(担持)とともに、ヒシテリシスループの幅の減少は、作製されたナノプローブのすべてでナノスケールの細孔サイズの減少を示している。
cm3g-1、0.9 cm3g-1
および 0.85 cm3g-1であり、非常に大きな細孔体積を有する。また、BET比表面積はHOM5メソポーラスシリカ、HOM5−DDHMPおよびHOM5−DDHMP−Pd(II)に関して、それぞれ650 m2g-1、 600 m2g-1および570 m2g-1であり、どれも500 m2g-1よりも大きく非常に大きな比表面積を有する。さらに、細孔サイズはHOM5メソポーラスシリカ、HOM5−DDHMPおよびHOM5−DDHMP−Pd(II)に関して、それぞれ6.7nm、6.5nmおよび6.4nmと非常に小さい。このように、HOM5は、細孔体積が大きく、比表面積も大きく、細孔サイズも小さく、HOM5は良好な吸着サイトを持つことが分かる。
図13は、立方晶HOM5 メソポーラスシリカ、HOM5−DDHMPおよびHOM5−DDHMP−Pd(II)のX線小角散乱(SAXS)の一次元プロファイルを示す図である。集中高フラックス/高透過線およびMo・Kα線(λ=0.07nm)の単色X線ビームを得るために、2次元(2D)共焦点ミラー(リガク製Nanoviewer)およびピンホール・コリメーターが使われた。2D・SAXSパターンは、運動量移行q =(4π/λ) sin(2θ/2)の範囲、0.2〜10 cm−1をカバーする2Dディテクター(Bruker Hi-Star)によって記録された。ここで、λは入射X線ビームの波長で2θは散乱角である。SAXSパターン(a)はd間隔比9.4, 8.1,
6.1および5.7で4つのピークを示した。(dは面間隔)これは、コポリマー界面活性剤P123 (EO20PO70EO20)を使うことによって、立方晶シリカ・メソポーラス・モノリスが形成されたことを示唆している。高強度(211)ピークのd値および立方晶の格子定数{a = 2d/(√3)}は、立方晶Ia3d (HOM5)メソポーラスシリカから始まり、HOM5−DDHMPおよび最終的にHOM5―DDHMP−Pd(II)になるに従い減少する。すなわち、このSAXSデータから、立方晶の格子定数は、立方晶Ia3d 構造のHOM5 メソポーラスシリカ、HOM5−DDHMPおよびHOM5−DDHMP−Pd(II)に対して67.9 nm, 65.8 nmおよび 64.6 nmであることが求められた。
図14は、[311]方向および [111]方向に記録された均一な形状の立方晶Ia3d構造のHOM5モノリスの透過電子顕微鏡(TEM)像を示す図である。TEM像BおよびCはチルト角45°の対応する結晶軸の3次元(3 D)TEM表面を示す。3D画像から、立方晶Ia3d構造の広範囲ドメインに渡ってスムーズで秩序化したネットワーク表面を有していることが分かる。[311] および[111]方向のHOM5のTEM像から、HOM5モノリスはシリンダー状立方晶Ia3d、ケージ状立方晶構造およびワーム状Ia3d構造の広範囲ドメインに結合した高秩序細孔およびワーム状細孔を有していることが分かる。これらのTEM像は、広範囲ドメインにおける長範囲秩序化メソチャネルはHOM5モノリスの特徴である直接的実空間を示している。P123のマイクロエマルジョン系に炭化水素の付加によって作製されるHOM5メソ相において、球状に詰められた高秩序で均一なシリンダー状のHOM5モノリスは、秩序だったチャネル状の細孔アレイにおいて充分に結合して組織化している。
パラジウムの収集剤としてHOM5−DDHMPコレクターを使用して、都市鉱山からパラジウム{Pd(II)}を回収するシステムの概要を説明する。図15は、パラジウム{Pd(II)}イオン吸着性化合物HOM5−DDHMPを用いて、都市鉱山から金属を回収するリサイクルシステムを示す図である。このリサイクルシステムは、(1)収集/分離(2)除去(stripping)(3)再使用(可能性)のステップからなる。これまでの我々の発明に関する説明から分かるように、水溶液中のPd(II)イオンは黄色の色調を有するHOM5−DDHMPコレクターによって収集される。数分後HOM5−DDHMPコレクターの色調は黄色から茶色へ変化する。これはPd(II)イオンがHOM5−DDHMPコレクターに収集されたということを示す。次のろ過ステップで茶色の固形物(HOM5−DDHMP−Pd(II))が分離された。0.005MのHClを使った次のステップにより固形物(HOM5−DDHMP−Pd(II)からPd(II)イオンを除去すると、HOM5−DDHMPコレクターの色調は茶色から黄色へ変化し元のHOM5−DDHMPコレクターへ戻る。このようにして、Pd(II)イオンの回収のために何度もHOM5−DDHMPコレクターを使うことができる。
pH3.5の酸性水溶液を4mlビーカーに取って、クエン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムおよび酒石酸ナトリウム溶液の0.3M混合液4mlをビーカーに付加し、種々の活性金属イオン、貴金属イオンおよび2ppmのパラジウム{Pd(II)}イオンを添加した。この後、水を適量加えて20ml水溶液を作製した。その後、濃塩酸(HCl)を適量加えてpH3.5に再調整した。
Se4+である。その後、HOM5−DDHMPコレクターを20mg加え、1時間攪拌した。それから溶液をろ過し、UV−VIS−NIR解析用に固体材料を取った。ろ過溶液はICP−OESによって分析した。
ions}は同じであり、パラジウム{Pd(II)}イオンを含む種々の金属イオンを多数含んでも固形物の色調に影響を与えないことが分かる。この色調の結果からもHOM5−DDHMPコレクターは選択性が極めて優れたパラジウム{Pd(II)}イオン吸着剤であることを示している。
HOM5−DDHMP−Pd(II)から以下のようにしてPd(II)を分離できる。複数イオンの混合溶液からPd(II)を除去後、50mlビーカーに溶離溶液(0.005MのHCl)を20ml取り、この中にこの固体材料HOM5−DDHMP−Pd(II)を入れ、1時間攪拌した。この固体材料を含む水溶液をろ過し、ろ過液と固形材料に分けた。固形材料の色調はHOM5−DDHMPと同じ薄い黄色に変化した。固形材料のN2吸着等温線は図11に示したHOM−DDHMPと同じ特性を示した。また、UV-VIS-NIRのデータからもPd(II)を吸着していないHOM−DDHMPのプロファイルと同じであった。図19はろ過液のICP−OES分析から得られた各種金属イオン濃度を示す図である。ろ過液にはパラジウム{Pd(II)}イオン以外の金属イオンは全く含まれていないことが分かる。また、パラジウム{Pd(II)}イオン濃度は1.89ppmであり、図17に示したHOM−DDHMPを浸漬する前の水溶液のパラジウム{Pd(II)}イオン濃度2.1ppmの約90%の濃度である。HOM−DDHMPにはほぼ100%のパラジウム{Pd(II)}イオンが吸着されたことから、HOM−DDHMP−Pd(II)のPd(II)量の約90%を分離することができた。測定誤差などを考慮すれば極めて高い分離能力である。さらに分離液を最適化することによりこの分離率を高めることができる。
尚、明細書のある部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることも言うまでもない。
Claims (12)
- 目標金属であるパラジウムを含む各種金属が溶解された溶液(金属溶解溶液)からパラジウムイオンを吸着するとともに吸着されたパラジウムイオンを遊離することが可能な、パラジウムイオンを吸着するパラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカであって、
前記パラジウムイオン吸着性化合物は、
N,N’-ジサリチリデン-4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(N,N’-disalicylidene-4,5-diamino-6-hydroxy-2-mercaptopyrimidine)(DDHMP)であることを特徴とする、
パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカ。
- パラジウムイオン吸着性化合物である前記DDHMPを担持したメソポーラスシリカを、目標金属であるパラジウムイオンが最大に吸着されるpH値2〜5に調整された金属溶解溶液と接触させ、メソポーラスシリカに吸着したパラジウムイオン吸着性化合物に目標金属であるパラジウムイオンを吸着させることを特徴とする、請求項1に記載のメソポーラスシリカ。
- パラジウムを吸着する前は黄色の状態であり、パラジウムを吸着すると褐色に変色し、さらにパラジウムを分離するともとの黄色の状態に戻ることを特徴とする、請求項1または2に記載のメソポーラスシリカ。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載のメソポーラスシリカを用いたパラジウム除去フィルター。
- パラジウムイオン吸着性化合物である
N,N’-ジサリチリデン-4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(N,N’-disalicylidene-4,5-diamino-6-hydroxy-2-mercaptopyrimidine)(DDHMP)
をメソポーラスシリカに担持する工程、
目標金属であるパラジウムイオンを最も良く吸着するpH値に調整された目標金属であるパラジウムイオンを含む金属溶解溶液に前記パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカを接触させ、前記パラジウムイオン吸着性化合物に目標金属であるパラジウムイオンを選択的に吸着する工程、
目標金属であるパラジウムイオンを吸着した前記パラジウムイオン吸着性化合物から目標金属であるパラジウムイオンを遊離する工程、
を含むことを特徴とするメソポーラスシリカを用いたパラジウム回収方法。
- 比色法を用いて前記パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカに吸着されたパラジウムイオンの濃度を判定する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のパラジウム回収方法。
- パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカはリユースすることを特徴とする、請求項5または6に記載のパラジウム回収方法。
- 前記pH値は2〜5であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかの項に記載のパラジウム回収方法。
- 前記DDHMPを担持したメソポーラスシリカがパラジウムイオンを吸着すると変色することを用いてパラジウムイオンを抽出し、および/またはパラジウムイオンを吸着したDDHMPを担持したメソポーラスシリカがパラジウムイオンを溶離すると変色し前記DDHMPを担持したメソポーラスシリカに戻ることを用いてパラジウムイオンを分離することを特徴とする、請求項5〜8のいずれかの項に記載のパラジウム回収方法。
- 高濃度の競合イオンの存在下でも低濃度のパラジウムイオンを収集し検出することができる、N,N’-ジサリチリデン-4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジン(N,N’-disalicylidene-4,5-diamino-6-hydroxy-2-mercaptopyrimidine)(DDHMP)を担持したメソポーラスシリカをベースとした視覚コレクター。
- 比色法または紫外可視分光分析(UV-VIS-NIR spectroscopy)を用いてパラジウムイオン濃度を決定するために使用することが可能な請求項10に記載の視覚コレクター。
- 250nm〜600nmの波長を変えながらUV−VIS−NIR分光分析を適用することによってパラジウムイオンの濃度を決定するために、視覚的にまたは定性的に使用することが可能な請求項11に記載の視覚コレクター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011132745A JP5787288B2 (ja) | 2011-06-15 | 2011-06-15 | パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011132745A JP5787288B2 (ja) | 2011-06-15 | 2011-06-15 | パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013000639A JP2013000639A (ja) | 2013-01-07 |
JP5787288B2 true JP5787288B2 (ja) | 2015-09-30 |
Family
ID=47669793
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011132745A Active JP5787288B2 (ja) | 2011-06-15 | 2011-06-15 | パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5787288B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6187120B2 (ja) * | 2013-10-09 | 2017-08-30 | 東ソー株式会社 | アリールアミン化合物の製造方法 |
JP6532051B2 (ja) * | 2014-12-03 | 2019-06-19 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | 白金族系物質の分離回収方法及びその分離回収装置 |
JP6558566B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-08-14 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | 白金族元素の収集方法 |
CN109298470B (zh) | 2016-03-09 | 2021-02-02 | 株式会社Lg化学 | 抗反射膜 |
CN112159898A (zh) * | 2020-01-17 | 2021-01-01 | 倍永环保科技(上海)有限公司 | 一种印刷电路板厂用的钯回收方法 |
CN112206750B (zh) * | 2020-09-07 | 2021-10-12 | 中南大学 | 一种选择性吸附钯的材料及其制备方法与应用 |
CN114522445B (zh) * | 2022-01-04 | 2023-09-08 | 广东省科学院测试分析研究所(中国广州分析测试中心) | 一种核-壳结构复合材料固相微萃取探针的制备方法及其应用 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0639329B2 (ja) * | 1987-12-15 | 1994-05-25 | 宇部興産株式会社 | パラジウムと銅との分離回収方法 |
JP3896423B2 (ja) * | 1998-10-22 | 2007-03-22 | Dowaエコシステム株式会社 | パラジウム含有液からのパラジウム回収方法 |
JP4448937B2 (ja) * | 2004-02-27 | 2010-04-14 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | パラジウムの抽出剤及びパラジウムの分離回収方法 |
JP2008101169A (ja) * | 2006-10-20 | 2008-05-01 | Jsr Corp | 重合体溶液中の金属成分除去方法 |
JP5387228B2 (ja) * | 2009-08-21 | 2014-01-15 | 東ソー株式会社 | 溶存パラジウムの除去方法 |
-
2011
- 2011-06-15 JP JP2011132745A patent/JP5787288B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013000639A (ja) | 2013-01-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Awual et al. | Ligand field effect for Dysprosium (III) and Lutetium (III) adsorption and EXAFS coordination with novel composite nanomaterials | |
Awual | Novel nanocomposite materials for efficient and selective mercury ions capturing from wastewater | |
Awual et al. | Efficient detection and adsorption of cadmium (II) ions using innovative nano-composite materials | |
Awual et al. | Introducing an amine functionalized novel conjugate material for toxic nitrite detection and adsorption from wastewater | |
Awual | Mesoporous composite material for efficient lead (II) detection and removal from aqueous media | |
Hasan et al. | Facial conjugate adsorbent for sustainable Pb (II) ion monitoring and removal from contaminated water | |
Awual et al. | Investigation of palladium (II) detection and recovery using ligand modified conjugate adsorbent | |
JP5787288B2 (ja) | パラジウムイオン吸着性化合物を担持したメソポーラスシリカおよびそれを用いたパラジウムイオンコレクターおよびパラジウム回収方法 | |
Awual | An efficient composite material for selective lead (II) monitoring and removal from wastewater | |
Awual et al. | Investigation of ligand immobilized nano-composite adsorbent for efficient cerium (III) detection and recovery | |
Awual et al. | Design a novel optical adsorbent for simultaneous ultra-trace cerium (III) detection, sorption and recovery | |
Awual | A novel facial composite adsorbent for enhanced copper (II) detection and removal from wastewater | |
Awual et al. | A novel fine-tuning mesoporous adsorbent for simultaneous lead (II) detection and removal from wastewater | |
Shahat et al. | Functional ligand anchored nanomaterial based facial adsorbent for cobalt (II) detection and removal from water samples | |
JP6048855B2 (ja) | ランタノイド元素又はアクチノイド元素の抽出方法及びナノ構造体 | |
Awual et al. | Ultimate selenium (IV) monitoring and removal from water using a new class of organic ligand based composite adsorbent | |
Shahat et al. | Large-pore diameter nano-adsorbent and its application for rapid lead (II) detection and removal from aqueous media | |
Awual et al. | Functionalized novel mesoporous adsorbent for selective lead (II) ions monitoring and removal from wastewater | |
Awual et al. | Mesoporous silica based novel conjugate adsorbent for efficient selenium (IV) detection and removal from water | |
Nabi et al. | Development of composite ion-exchange adsorbent for pollutants removal from environmental wastes | |
Awual et al. | Efficient gold (III) detection, separation and recovery from urban mining waste using a facial conjugate adsorbent | |
Awual et al. | Selective lanthanide sorption and mechanism using novel hybrid Lewis base (N-methyl-N-phenyl-1, 10-phenanthroline-2-carboxamide) ligand modified adsorbent | |
Awual et al. | A novel ligand based dual conjugate adsorbent for cobalt (II) and copper (II) ions capturing from water | |
Gomaa et al. | Selective, photoenhanced trapping/detrapping of arsenate anions using mesoporous blobfish head TiO2 monoliths | |
Florek et al. | Understanding selectivity of mesoporous silica-grafted diglycolamide-type ligands in the solid-phase extraction of rare earths |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140421 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150210 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150410 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150413 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150707 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150721 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5787288 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |