(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る田植機を示す図面に基づいて詳述する。図1は右後方から見た田植機を略示する斜視図であり、図2は左前方から見た田植機を略示する斜視図、図3はアームを略示する斜視図である。
田植機は、車台を含む走行部1を備えており、該走行部1の前部にボンネット2が設けてあり、該ボンネット2の内側にエンジン3が設けてある。走行部1の前部の下側にエンジン3の駆動力を伝達する伝動機構及びサスペンションなどを収容したフロントアクスルケース(図示せず)が設けてあり、該フロントアクスルに前輪30が支持されている。走行部1の後部の下側にエンジン3の駆動力を伝達する伝動機構及びクラッチなどを収容したリヤアクスルケース(図示せず)が設けてあり、該リヤアクスルに後輪31が支持されている。
ボンネット2の左右それぞれには、後述する植付部10に供給する苗を載置する複数の予備苗載台4、4、・・・、4が上下方向に並設してある。ボンネット2の後側には、ダッシュボードパネル5が設けてあり、該ダッシュボードパネル5の上側に田植機を操舵するためのステアリングホイール7が配してある。該ステリングホイール7の後側に、運転席6が設けてある。
該運転席6の後側に苗を植え付ける植付部10が設けてあり、該植付部10は、植付部10を昇降させる昇降リンク16を介して走行部1に連結してある。植付部10は、左右方向に並んだ上下に細長い8個の苗載台11と、該苗載台11の下端部付近に配置してあり、苗の植付けを行う植付爪14とを備える。なお苗載台11は8個に限定されず、例えば6個又は4個でもよい。苗載台11の中途部に、マット状の土台にて育成した複数の苗(苗マット)を押さえる苗マット押え12が設けてある。苗載台11の下端部には、上方に突出した柵状の苗マット保持機構13が設けてある。苗載台11の下端部の左右に植付部10の沈下を防ぐフロート15、15がそれぞれ設けてある。
前記走行部1における予備苗載台4付近に、左右にそれぞれ突出した二つのアーム20、22が設けてある。右側に突出したアーム20の先端部に右フロントカメラ21が設けてあり、左側に突出したアーム22の先端部に左フロントカメラ23が設けてある。アーム20、22の先端部と逆側の端部(基端部)は、上下方向に突出した枢軸(図示せず)を介して走行部1に連結してあり、図3に示すように、基端部側を中心にしてアーム20、22を回動させることができる。なお図3はアーム22を示しているが、アーム20においても同様に回動させることができることは言うまでもない。操作者は、苗の植付け作業を行う場合にアーム20、22を右側又は左側に回動させることによって、左右のフロントカメラ21、23をそれぞれ走行部1から左右に所定距離離間させた位置(走行部1に最も接近した苗の略真上)に配し、苗を撮像することができる。また苗の植付け作業を終了する場合にアーム20、22を前側に回動させることによって、アーム20、22を前方へ向けて折り畳むことができる。
前記植付部10の左側に上下に延びる軸17が設けてあり、該軸17の上端部にリヤカメラ18が設けてある。リヤカメラ18は、植付部10の後方を撮像するように苗載台11の上側に配置してある。前記ダッシュボードパネル5の上側に、表示パネル(例えば液晶パネル)を有する表示部8が、表示パネルの表示面を運転席6側に向けて設けてある。
表示パネルの左右方向中央部に、表示部8に表示される苗の列に沿う上下に延びる線100(指標、後述する図8参照)が配置してある。該線100は走行部1の進行方向、すなわち田植機の進行方向をも示している。また線100は、視認される態様であればよく、例えば表示パネルの表面に予め印刷されているか又は表示パネルにて画像として表示される。前記左右のフロントカメラ又はリヤカメラ18にて撮像された画像は表示部8に表示される。なお表示部8と左右のフロントカメラ21、23及びリヤカメラ18とは、後述するコントローラを介して接続してある。線100の左右方向の位置は中央に限定されず、中央よりも右寄り又は左寄りであってもよい。また指標として線を使用しているが、破線、矢印又は苗の並び方向を示すその他の図形又は記号を使用してもよい。
図4はダッシュボードパネル5付近を略示する平面図である。ダッシュボードパネル5には、田植機の状態を表示する表示ユニット50と、進行方向及び走行速度の切替に使用する主変速レバー51と、走行速度を一定にする場合に使用する変速固定レバー52と、植付部10の昇降、植付部10のオン/オフ及び左右のフロントカメラ21、23の切替を行う植付昇降レバー53と、走行部1を自動走行させる自動走行スイッチ54と、植付部10を設定された高さにする昇降ボタン55と、表示部8にリヤカメラ18の画像を表示させるバックモニタスイッチ56とが配設してある。
ダッシュボードパネル5の下方の床面には、走行速度の調節を行う変速ペダル60、走行停止時に使用するブレーキペダル61及び駐車時に使用する駐車ブレーキレバー62が設けてある。また運転席6の下側には、植付爪14、14、・・・、14の駆動を停止させる条止レバー63、63、63、63が左右に二つずつ設けてある。各条止レバー63は、二つの植付爪14、14を駆動又は停止させるために使用される。条止レバー63が前側に位置する場合に、植付爪14、14は駆動し、後側に位置する場合に、植付爪14、14は停止する。なお条止レバー63は、図示しないワイヤを介して植付爪14、14への駆動力の伝達を継断するクラッチ(図示せず)に接続してある。
自動走行スイッチ54がオンになった場合、走行部1は予め設定された所定の速度で走行する。自動走行スイッチ54がオフになった場合、走行部1は、主変速レバー51、変速固定レバー52又はブレーキペダル61などの操作部の操作に基づいて、走行する。
図5は植付昇降レバー53の操作を説明する説明図である。図5に示すように、植付昇降レバー53を上側に移動させた場合に、植付部10が作動する。植付昇降レバー53を下側に移動させた場合に、植付部10が停止する。植付昇降レバー53を上側に移動させた後、右側に移動させた場合に、右フロントカメラ21にて撮像された画像が表示部8に表示される。植付昇降レバー53を上側に移動させた後、左側に移動させた場合に、左フロントカメラ23にて撮像された画像が表示部8に表示される。植付昇降レバー53を最も下に位置させた場合、植付部10は上昇する。植付昇降レバー53を、植付部10が作動する位置よりも若干下側に位置させた場合、植付部10は下降する。植付昇降レバー53を、植付部10が上昇又は下降する位置の間であって、該位置よりも右側に位置させた場合、植付部10の上昇又は下降は停止する。
植付昇降レバー53には、植付昇降レバー53の位置を検出する植付昇降レバーセンサ53a(後述する図7参照)が設けてある。該植付昇降レバーセンサ53aによって、上述した植付昇降レバー53の位置が検出される。植付昇降レバーセンサ53aは、例えばポテンショメータにて構成される。
次に、ステアリングホイール7の操作によって前輪30の方向を変化させるためのステアリング系統の概略構成について、図6及び図7を用いて説明する。図6はステアリング系統を略示する左側面図、図7はステアリング系統を略示する背面図である。図6及び図7は田植機のダッシュボードパネル5等によって隠される部分を露出させた状態を示している。
ダッシュボードパネル5の後側に、接続部71を上部の先端部分とする上下に長いステアリングシャフト70を、やや後方側に傾けて設けてある。ステアリングホイール7の中心部分は、接続部71に接続している。
ステアリングシャフト70の下端側は、パワーステアリングユニット400の入力軸と接続されている。このパワーステアリングユニット400の下方側には、油圧アクチュエータの一例である油圧モータ77が設けられている。この油圧モータ77は、別途設けられる油圧ポンプ(不図示)から送出される圧油によって駆動するものである。
更に、該油圧モータ77の下部にはステアリングギアボックス78が設けられている。このステアリングギアボックス78は、油圧モータ77の出力軸と接続されるものであり、油圧モータ77の回転を減速して最終的に前輪30を左右方向に操向操作するためのステアリングギアが内蔵されるものである。
また、電磁バルブユニット200が、図6に示すように、パワーステアリングユニット400(後述する図8参照)の前後一側(本実施例では前方側)に設けられている。この電磁バルブユニット200は、上述した油圧モータ77を駆動するための油圧ポンプからの圧油の送出や停止を制御する方向制御弁から成るものであって、パワーステアリングユニット400の回動に応じて、該方向制御弁を制御するものである。
このように構成されているので、手動操作時においては、ステアリングホイール7が操作されると、パワーステアリングユニット400の回動に応じて電磁バルブユニット200の方向制御弁が制御され、圧油の送出や停止の制御がなされるので、油圧モータ77を制御することが可能となる。他方、自動制御時においては、コントローラの指令によって電磁バルブユニット200の電磁切替弁を制御することによって、油圧ポンプからの圧油の送出や停止を制御して、油圧モータ77の制御を行っている。このような、操作や制御が行われる仕組みを、図8を用いて詳しく説明する。
図8はステアリング系統の油圧回路図である。図8は主に上述したパワーステアリングユニット400、電磁バルブユニット200、油圧モータ77、ステアリングギアボックス78、油圧ポンプ301等を記号で示す。
パワーステアリングユニット400は、主として6ポート3位置切換の方向制御弁401と、メータリングポンプ402とを具備するものである。方向制御弁401の一次側は、オイルタンク302に貯溜した油を送出するための油圧ポンプ301に接続される油路303と、電磁バルブユニット200の電磁切換弁201に接続される油路204とに接続される。
更に、油路303は途中にカウンタバランス弁305を介して油路203と接続し、他の油圧機器に送油可能としている。なお油路304を介してオイルタンク302に油が戻る。また、方向制御弁401には、ステアリングホイール7の回転に連動するコントロール軸75が接続され、該コントロール軸75の回動に応じてスプールが左右に移動して弁が切り換えられるものである。なお図8は、方向制御弁401が中立位置にある場合を示している。
メータリングポンプ402は、方向制御弁401の2次側に設けられ、方向制御弁401のスプールが左右のいずれかに位置した場合に油圧ポンプ301からの圧油によって回転されると共に、油路404・405を介して該圧油を油圧モータ77に伝達するものである。また、メータリングポンプ402の回転量に相当する圧油を送出又は吸入するフィードバック配管403は、方向制御弁401のスプールに対して上記コントロール軸75とは反対側に接続されている。
このように構成されているので、手動によるステアリングホイール7の操作に応じて方向制御弁401は左右何れかの作用位置に切り換えられ、油圧ポンプ301からの圧油で油圧モータ77が回転されてステアリングギアボックス78が作動されることにより、前輪30の旋回角度を変化させることが可能となる。
電磁バルブユニット200は、主として電磁切換弁201が設けられ、ここでは電磁切換弁201は比例ソレノイド等を用いた電磁比例弁である。電磁切換弁201の一次側には、上記油路204と、他の油圧回路等に接続される油路203とに接続される。更に、油路204の中途部には、バルブ202が設けられる。このバルブ202は、基本的には図8に示すようにバネによって常時開側に付勢されるものであるが、電磁切換弁201が中立位置のときはブロックされているので、パイロット油路からの油圧によってスプールは閉側に移動され、油路203を介して他の油圧回路へ流れるようにしている。
そして、バルブ202は、電磁切換弁201が作動されて切り換わると、前記パイロット油路の油圧が減少してバネ力により開側に切り換えられる。また更に、2次側の油路205a・205bの圧力差によりシャトル弁206cが切り換えられると、パイロット油路を介してバルブ202が開側に付勢されてその状態が維持される。電磁切換弁201の2次側に接続される油路205a・205bの各々は、上述した油圧モータ77に接続される油路404・405に合流点207a・207bで接続される。
更に、油路205a・205bの中途部には、逆止弁206a・206bが設けられ、圧油が電磁切換弁201から油圧モータ77へのみ流れるように構成されている。また、自動操向時には、後述するコントローラによって上記電磁切換弁201のスプールの位置が変更されて切り換えられる。
このように構成されているので、手動によるハンドル操作がなされない自動操向時には方向制御弁401は中立の状態となり、油圧ポンプ301から送出される圧油は、油路303、方向制御弁401の中立位置、油路204、バルブ202の順で送油されて、電磁切換弁201によって送出方向が切り換えられ、油圧モータ77が駆動される。
この電磁切換弁201によって切り換えられるのは、合流点207a・207bで油路404・405に接続される油路205a・205bにおける圧油の送出方向なので、油圧モータ77の回転方向を切り換えることが可能となり、最終的にステアリングギアボックス78の作動方向を切り換えて、前輪30の旋回角度を変化させることが可能となる。
また、上述の構成においては、ステアリングシャフト70とステアリングギアボックス78とは、図8に示すように、パワーステアリングユニット400等の油圧系統を介して接続されており、直接機械的には接続されていない。更に、自動操向時において、方向制御弁401は中立状態のため、ステアリングギアボックス78や油圧モータ77等の操舵用アクチュエータの変化の影響はステアリングシャフト70に及ばないため、従来のようにステアリングシャフト70と操舵用アクチュエータとの接続を切るための電磁クラッチ等も必要としない構成となっている。
上述より、手動操作時は、電磁切換弁201は中立位置に保持されて方向制御弁401が切り換わることによって、油圧モータ77に接続される油路404・405を流れる圧油の方向を切り換えることが可能となる。他方、自動操向時には、方向制御弁401は中立位置に保持されて電磁切換弁201が切り換わることによって、油圧モータ77に接続される油路404・405を流れる圧油の方向を切り換えることが可能となる。
図9は、コントローラ周りの構成を略示するブロック図である。ダッシュボードパネル5内に、CPU91(Central Processing Unit)、ROM92(Read Only Memory)、RAM93(Random Access Memory)、切替スイッチ94及びタイマ95を備えるコントローラ90が設けてある。ROM92には、制御プログラム、各種閾値及び表示部8における線100の位置を示す情報など、後述する処理に必要なデータが記憶してある。切替スイッチ94は、表示部8と右フロントカメラ21、左フロントカメラ23及びリヤカメラ18との接続を切り替える3接点式のスイッチを使用している。なお切替スイッチ94は、3接点以上の接点を有する他のスイッチを使用してもよい。
CPU91は、ROM92に記憶された制御プログラムをRAM93に読出して実行する。右フロントカメラ21、左フロントカメラ23及びリヤカメラ18からコントローラ90に画像信号が入力される。植付昇降レバーセンサ53aからコントローラ90に右フロントカメラ21又は左フロントカメラ23を選択したことを示す信号が入力される。バックモニタスイッチ56からコントローラ90にリヤカメラ18を選択したことを示す信号が入力される。自動走行スイッチ54からコントローラ90に、走行部1を自動走行させるか否かを示す信号が入力される。コントローラ90は表示部8に画像信号を出力する。また電磁切換弁201に切換信号又は中立信号を出力する。切換信号によって、走行部1は左右に操舵される。中立信号によって電磁切換弁201は中立位置に戻り、走行部1は直進する。
バックモニタスイッチ56からコントローラ90にオフ信号が入力され、植付昇降レバー53の操作によって、右フロントカメラ21又は左フロントカメラ23を選択した信号がコントローラ90に入力されている場合に、コントローラ90は、選択された右フロントカメラ21又は左フロントカメラ23と表示部8とを切替スイッチ94を介して接続する。表示部8には、選択されたフロントカメラによって撮像された画像が表示される。
図10は、右フロントカメラ21によって撮像された画像の一例を表示した表示部8を示す模式図である。図10に示すように、右フロントカメラ21によって圃場を撮像した場合、圃場に植付けられた苗140が表示部8に表示される。操作者は、表示された苗140の最も左の列と線100とを重畳させる、換言すれば左右方向の位置を一致させることによって、田植機の進行方向と苗140の並び方向とを略一致させることができる。また苗の左右の間隔も、植付部10において予め設定した間隔となる。その結果、植付部10にて植付けられる苗は、既に圃場に植付けた苗140の列と同方向に沿って植付けられ、また左右の間隔も略同じになり、整列する。
図11は左フロントカメラ23によって撮像された画像の一例を表示した表示部8を示す模式図である。図11に示すように、左フロントカメラ23によって圃場を撮像した場合、圃場に植付けられた苗140が表示部8に表示される。操作者は、表示された苗140の最も右の列と線100とを重畳させることによって、田植機の進行方向と苗140の並び方向とを略一致させることができる。その結果、植付部10にて植付けられる苗は、既に圃場に植付けた苗140の列と同方向に沿って植付けられ、整列する。
バックモニタスイッチ56からコントローラ90にオン信号が入力された場合に、コントローラ90は、リヤカメラ18と表示部8とを切替スイッチ94を介して接続する。表示部8には、リヤカメラ18にて撮像された画像が表示される。
図12は、リヤカメラ18によって撮像された画像の一例を表示した表示部8を示す模式図である。図12に示すように、リヤカメラ18にて撮像した場合、植付部10及びその後方が表示部8に表示される。そのため、操作者は植付部10付近に障害物又は人がいないか確認することができ、安全を確保した上で田植機を後進させるか又は植付部10を駆動させることができる。
植付部10には苗の残量を検出するセンサ(図示せず)が設けてある。該センサにて苗の残量が所定量よりも少ないことが検出された場合、表示ユニット50に苗の補給を促す情報が表示され、また警報ブザー(図示せず)が鳴る。操作者は、予備苗載台4から植付部10の苗載台11に苗を補給することができる。植付作業に要する時間を短縮し、苗の植付効率を向上させべく、苗の補給を行っている間、操作者は走行部1を自動走行させることが考えられる。
図13はコントローラ90による操舵処理を説明するフローチャート、図14は操舵処理を説明する説明図である。
コントローラ90のCPU91は、自動走行スイッチ54からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。自動走行スイッチ54からオン信号が入力された場合(ステップS1:YES)、CPU91は、表示パネルに表示された画像を縦長の複数の帯状領域101、101、・・・、101に分割して認識し(図14A参照)、一の帯状領域101を抽出する(ステップS2)。そして抽出した帯状領域101における緑色の画素を計数する(ステップS3)。このとき計数する画素数としては、所定の時間間隔で計数した画素数の移動平均値又は所定の時刻における画素数が挙げられる。なお画素数に限定されず、苗140を認識するための特徴を示す値を計算してもよい。例えば帯状領域101の全画素数に占める緑色の画素数の割合を計算してもよい。
そしてCPU91は、緑色の画素数が閾値Aを超過しているか否か判定する(ステップS4)。なおRAM93には閾値が予めROM92から読み込まれており、CPU91はRAM93から閾値を参照可能であるとする。緑色の画素数が閾値を超過していない場合(ステップS4:NO)、RAM93の所定の記憶領域に非候補フラグを設定し(ステップS5)、後述するステップS7に処理を進める。
緑色の画素数が閾値を超過している場合(ステップS4:YES)、RAM93の所定の記憶領域に候補フラグを設定する(ステップS6)。図14Bは、候補フラグを設定した帯状領域101をハッチングにて示し、非候補フラグを設定した帯状領域101を無地で示している。なおRAM93の所定の記憶領域には、各帯状領域101に対応したアドレスが設定してある。該アドレスが示す記憶領域に非候補フラグ又は候補フラグが設定される。そのため、アドレスを参照することによって各帯状領域101のフラグを確認することができる。
次にCPU91は、全ての帯状領域101について緑色の画素を計数したか否かを判定する(ステップS7)。例えばCPU91は、アドレスを参照し、フラグが未設定の記憶領域が存在するか否かを判定する。全ての帯状領域101、101、・・・、101について緑色の画素を計数していない場合(ステップS7:NO)、例えばフラグが未設定の記憶領域が存在する場合、CPU91はステップS2に処理を戻す。全ての帯状領域101、101、・・・、101について緑色の画素を計数した場合(ステップS7:YES)、例えばフラグが未設定の記憶領域が存在しない場合、CPU91は、候補フラグを設定した帯状領域101の中から、田植機の進行方向の基準となる苗140の列を表示する帯状領域101を選択する(ステップS8)。
例えば右フロントカメラ21にて撮像した画像を表示部8に表示している場合には、候補の中から最も左側に位置する帯状領域101を選択する。左フロントカメラ23にて撮像した画像を表示部8に表示している場合には、候補の中から最も右側に位置する帯状領域101を選択する。図15Cは、選択された帯状領域101をハッチングにて示している。
次にCPU91は、選択した領域内に線100が存在するか否かを判定する(ステップS9)。なおRAM93には、表示部8における線100の位置を示す情報が予めROM92から読み込まれており、CPU91はRAM93から前記情報を参照可能であるとする。選択した領域内に線100が存在する場合(ステップS9:YES)、CPU91は待機する。
選択した領域内に線100が存在しない場合(ステップS9:NO)、CPU91は、線100の位置と選択した領域との間の距離に基づいて、ステアリングホイール7の操舵量を演算する(ステップS10)。
操舵量の演算は、例えば以下のように行われる。左右方向において、線100の中央に位置する画素から選択した領域の中央に位置する画素までの画素数を求める。求めた画素数を距離に変換する。なお画素数と距離との関係を示す情報は、ROM92に記憶してあるものとする。CPU91はROM92からRAM93に前記情報を読み込んで、RAM93から前記情報を参照可能であるとする。またCPU91は、走行部1の速度を検出する。なお田植機は図示しない車速センサを備えており、該車速センサの検出値によって速度を検出するものとする。そしてCPU91は、所定時間を設定し、該所定時間、前記速度及び距離に基づいて、操舵量を演算する。
操舵量を演算したCPU91は、電磁切換弁201に切換信号を出力する(ステップS11)。電磁切換弁201は切り換わり、走行部1を右又は左に操舵する。そしてCPU91は、タイマ95を用いて、前記所定時間が経過するまで待機する(ステップS12:NO)。
前記所定時間が経過した場合(ステップS12:YES)、CPU91は、中立信号を電磁切換弁201に出力する(ステップS13)。そしてステップS9へ処理を戻す。電磁切換弁201が中立位置に戻ることによって、走行部1は直進する。
図15は操舵処理後に表示部8に表示される画像の一例を示す模式図である。図中、選択された帯状領域101を破線ハッチングにて示している。左端に位置する苗140の列が、選択された帯状領域101内に認められる。自動走行している場合であっても、操舵処理によって苗を整列させることができる。
なおステアリングホイール7付近の構成を以下のように構成してもよい。図16はステアリングホイール7付近の構成を略示する分解斜視図である。図16に示すように、ステアリングホイール7は、コラムブッシュ171及びシャフトブッシュ172を介して、上下方向に沿って設けられたステアリングシャフト170の上端部に連結してある。ステアリングシャフト170には図示しないトーションばねが設けてある。ステアリングシャフト170は、トーションばねの復元力によって、初期位置に戻るようにしてある。
ステアリングシャフト170の中途部には、操舵アクチュエータ173が設けてある。操舵アクチュエータ173は、ステアリングシャフト170の外周に同軸的に取り付けられた従動ギヤ173bを備えている。従動ギヤ173bには、主動ギヤ173aが噛合している。主動ギヤ173aの回転中心には、電磁式のモータクラッチ173dを介してモータ173cの回転軸が連結してある。モータクラッチ173dが継合した場合、モータ173cの正逆回転によって、ステアリングシャフト170は右回り又は左回りに回転する。モータクラッチ173dが切断された場合、ステアリングシャフト170は、トーションばねの復元力によって、初期位置に戻る。自動操向時にモータクラッチ173dが継合し、コントローラ90からモータ173cに駆動信号が出力される。また手動操向時にモータクラッチ173dが切断される。
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る田植機を示す図面に基づいて詳述する。図17は、操舵処理において実行される傾き補正処理を示すフローチャート、図18〜図20は、傾き補正処理を説明する説明図である。CPU91は、選択した領域内に線100が存在すると判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS9に処理を戻す。
CPU91は、候補フラグを設定した各帯状領域101における苗の画像を認識する(ステップS21)。苗の画像の認識は、例えば以下のようにして行われる。ROM93に予め、苗の画像を示すデータを記憶しておく。緑色の画素数に基づいて、苗と推測される画素群を抜きだし、ROM93に記憶されたデータと比較し、苗であるか否か判定する。両者の一致点が多い場合に苗と判定し、少ない場合に苗でないと判定する。図18において、苗の画像として認識された画像を四角の枠で囲っている。
そしてCPU91は、苗の画像の中心に位置する画素を抽出し(ステップS22)、抽出した画素を通過する直線の傾きを演算する(ステップS23)。図19において、中心に位置する画素を黒色で示し、直線を示している。次にCPU91は、傾きの平均を演算し(ステップS24)、該平均が閾値よりも大きいか否か判定する(ステップS25)。平均が閾値よりも大きくない場合(ステップS25:NO)、CPU91は、傾き補正処理を終了する。なお傾き補正処理終了後、CPU91は、処理をステップS9へ戻す。
平均が閾値よりも大きい場合(ステップS25:YES)、CPU91は、該平均に基づいて、操舵量を演算する(ステップS26)。操舵量の演算は、例えば以下のように行われる。CPU91は、ステップS8(図13参照)において選択した帯状領域101があたかも前記平均だけ傾いていると認識する。図20は、CPU91が認識した帯状領域101を示している。CPU91は、認識した帯状領域101の傾きが0となる操舵量を演算する。帯状領域101の傾きが右上がりの場合は、右への操舵量を演算する。帯状領域101の傾きが左上がりの場合は、左への操舵量を演算する。
操舵量を演算したCPU91は、電磁切換弁201に切換信号を出力する(ステップS27)。電磁切換弁201は切り換わり、走行部1を右又は左に操舵する。そしてCPU91は、タイマ95を用いて、所定時間が経過するまで待機する(ステップS28:NO)。
前記所定時間が経過した場合(ステップS28:YES)、CPU91は、中立信号を電磁切換弁201に出力する(ステップS29)。そしてステップS21へ処理を戻す。電磁切換弁201が中立位置に戻ることによって、走行部1は直進する。
図21は、傾き補正終了後に、CPU91が認識している帯状領域101の一例を示す概念図である。CPU91は、田植機の進行方向の基準となる帯状領域101を、圃場に植付けた苗の列の傾きを考慮して補正する。その後、補正後の帯状領域101内に、線100が存在するか否かを判定する(図13、ステップS9参照)ので、圃場に植付けた苗の列が、圃場内の凹凸又はエンジンの振動などによって傾いても、圃場全体として整列させることができる。その結果、苗の間の距離を適切に保ち、圃場により多くの苗を植え付けることができる。
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る田植機を示す図面に基づいて詳述する。図22は、コントローラ周りの構成を略示するブロック図である。前記主変速レバー51を操作することによって、道路上を移動する場合を想定した変速段である「移動」、圃場にて前進する場合を想定した変速段である「前進」又は圃場にて後進する場合を想定した変速段である「後進」を選択することができる。主変速レバー51に、主変速レバー51の位置を検出する主変速レバーセンサ51aが設けてある。主変速レバーセンサ51aの検出値は、コントローラ90に入力される。コントローラ90は、入力された前記検出値に基づいて、変速を行う。
前記ステアリングシャフト70は、周面に磁性体を有している。ステアリングシャフト70の中途部に、ステアリングシャフト70の回転角を検出する回転角センサ74が周設してある。該回転角センサ74は、例えばホール素子又は磁気センサを有する。回転角センサ74の検出値はコントローラ90に入力され、積算される。
田植機は、地磁気を検出する地磁気センサ80を備えている。地磁気センサ80は、例えば3軸タイプの地磁気センサからなる。地磁気センサ80の検出値は、コントローラ90に入力される。コントローラ90は、手動で植付作業を行っている場合に、地磁気センサ80の検出値に基づいて、田植機の方位を求める。
図23は、田植機の方位を求める方位取得処理を示すフローチャートである。CPU91は、イグニッションがオンになった後、主変速レバーセンサ51aの検出値を取り込み、「前進」が選択されるまで待機する(ステップS41:NO)。「前進」が選択された場合(ステップS41:YES)、CPU91は、植付け昇降レバーセンサ53aの検出値を取り込み、植付昇降レバー53が上側に移動し、植付部10の作動が開始するまで待機する(ステップS42:NO)。イグニッションがオンになった後、主変速レバーセンサ51によって「前進」が選択され、植付部10の作動が開始された場合に、植付作業が開始されたとみなすことができる。
植付部10の作動が開始した場合(ステップS42:YES)、CPU91は、地磁気センサ80の検出値を取得し(ステップS43)、取得した検出値から田植機の方位(第1方位)を求め、RAM93に記憶する(ステップS44)。なお第1方位は往路における方位である。次にCPU91は、積算された回転角センサ74の検出値に基づいて、回転角を演算する(ステップS45)。そしてCPU91は、演算した回転角が閾値よりも大きくなるまで待機する(ステップS46:NO)。なお前記閾値は、田植機の方向を反転させたとみなすことができる回転角である。
演算した回転角が閾値よりも大きい場合(ステップS46:YES)、CPU91は、地磁気センサ80の検出値を取得し(ステップS47)、取得した検出値から田植機の方位(第2方位)を求め、RAM93に記憶する(ステップS48)。回転角が閾値よりも大きい場合、田植機の方向が反転したと考えられ、第2方位は往路における方位である。なおステップS47における検出値の取得は、反転後直進するまでに相当する時間待機した後、実行される。
なお第1方位及び第2方位を所定のタイミングで更新するように構成してもよい。また主変速レバーセンサ51によって「前進」が選択され、植付部10の作動が開始された場合に、方位を取得しているが、方位取得用のスイッチを設け、該スイッチがオンの場合に、方位を取得する用に構成してもよい。
図24は、操舵処理において実行される地磁気補正処理を示すフローチャートである。CPU91は、選択した領域内に線100が存在すると判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS9に処理を戻す。
CPU91は、地磁気センサ80の検出値を取得し(ステップS51)、現在の方位を求める。次にCPU91は、現在の方位と第1方位及び第2方位との差分をそれぞれ演算する(ステップS52)。そしてCPU91は、第1方位及び第2方位との差分の内、小さい方を選択する(ステップS53)。小さい差分を選択することによって、現在の進路(往路又は復路)における方位との差分を選択することができる。例えば現在の進路が往路の場合、現在の方位と第1方位との差分は、現在の方位と第2方位との差分よりも小さい。現在の方位と第2方位との差分は略180度ある。また現在の進路が復路の場合、現在の方位と第2方位との差分は、現在の方位と第1方位との差分よりも小さい。現在の方位と第1方位との差分は略180度ある。
次にCPU91は、選択した差分が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS54)。選択した差分が閾値よりも大きくない場合(ステップS54:NO)、CPU91は処理を終了する。なお地磁気補正処理終了後、CPU91はステップS9へ処理を戻す。
選択した差分が閾値よりも大きい場合(ステップS54:YES)、CPU91は、該差分に基づいて、操舵量を演算する(ステップS55)。操舵量の演算は、例えば以下のように行われる。差分と操舵量との関係を示す関数をROM92に予め記憶しておく。CPU91は、選択した差分を前記関数に適用し、操舵量を求める。
操舵量を演算したCPU91は、電磁切換弁201に切換信号を出力する(ステップS56)。電磁切換弁201は切り換わり、走行部1を右又は左に操舵する。そしてCPU91は、タイマ95を用いて、所定時間が経過するまで待機する(ステップS57:NO)。
前記所定時間が経過した場合(ステップS57:YES)、CPU91は、中立信号を電磁切換弁201に出力する(ステップS58)。そしてステップS51へ処理を戻す。電磁切換弁201が中立位置に戻ることによって、走行部1は直進する。
実施の形態3に係る田植機にあっては、地磁気に基づいて、操舵量の補正を行うので、自動走行している場合に、苗を確実に整列させることができる。地磁気のみに基づいて自動操舵させた場合には、地磁気の方向は場所によって変化するため、必ずしも所望の直進性を得ることができず、結局操作者による修正が必要となる場合が多い。しかし、画像処理に基づく自動操舵に、地磁気による補正を併用することによって、精度良く制御することができる。
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る田植機を示す図面に基づいて詳述する。図25は、コントローラ周りの構成を略示するブロック図である。田植機は、GPS81を備えている。GPS81は、例えばDGPS(Differential GPS)からなる。GPS81の測位値は、コントローラ90に入力される。コントローラ90は、手動で植付作業を行っている場合に、GPS81の測位値に基づいて、田植機の方位を求める。
図26は、田植機の方位を求める方位取得処理を示すフローチャートである。CPU91は、イグニッションがオンになった後、主変速レバーセンサ51aの検出値を取り込み、「前進」が選択されるまで待機する(ステップS61:NO)。「前進」が選択された場合(ステップS61:YES)、CPU91は、植付け昇降レバーセンサ53aの検出値を取り込み、植付昇降レバー53が上側に移動し、植付部10の作動が開始するまで待機する(ステップS62:NO)。
植付部10の作動が開始した場合(ステップS62:YES)、CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS63)、取得した測位値に基づいて現在位置(第1位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS64)。次にCPU91は、タイマ95を用いて所定時間が経過するまで待機する(ステップS65:NO)。所定時間が経過した場合(ステップS65:YES)、CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS66)、取得した測位値に基づいて現在位置(第2位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS67)。
CPU91は、記憶した第1位置及び第2位置に基づいて、第1方位を演算し、RAM93に記憶する(ステップS68)。例えば第1位置及び第2位置の差分を求め、該差分から赤道に対する傾きを求め、方位を演算する。そしてCPU91は、積算された回転角センサ74の検出値に基づいて、回転角を演算する(ステップS69)。そしてCPU91は、演算した回転角が閾値よりも大きくなるまで待機する(ステップS69:NO)。
演算した回転角が閾値よりも大きい場合(ステップS69:YES)、CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS70)、取得した測位値に基づいて現在位置(第3位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS71)。次にCPU91は、タイマ95を用いて所定時間が経過するまで待機する(ステップS72:NO)。所定時間が経過した場合(ステップS72:YES)、CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS73)、取得した測位値に基づいて現在位置(第4位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS74)。そして記憶した第3位置及び第4位置に基づいて、第2方位を演算し、RAM93に記憶する(ステップS75)。例えば第3位置及び第4位置の差分を求め、該差分から赤道に対する傾きを求め、方位を演算する。
図27は、操舵処理において実行されるGPS補正処理を示すフローチャートである。CPU91は、選択した領域内に線100が存在すると判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS9に処理を戻す。
CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS81)、取得した測位値に基づいて現在位置(第5位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS82)。次にCPU91は、タイマ95を用いて所定時間が経過するまで待機する(ステップS83:NO)。所定時間が経過した場合(ステップS83:YES)、CPU91は、GPS81の測位値を取得し(ステップS84)、取得した測位値に基づいて現在位置(第6位置)を求め、RAM93に記憶する(ステップS85)。
CPU91は、記憶した第5位置及び第6位置に基づいて、現方位を演算する(ステップS86)。そしてCPU91は、現在の方位と第1方位及び第2方位との差分をそれぞれ演算する(ステップS87)。そしてCPU91は、第1方位及び第2方位との差分の内、小さい方を選択する(ステップS88)。
次にCPU91は、選択した差分が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS89)。選択した差分が閾値よりも大きくない場合(ステップS89:NO)、CPU91は処理を終了する。なおGPS補正処理終了後、CPU91は処理をステップS9へ戻す。
選択した差分が閾値よりも大きい場合(ステップS89:YES)、CPU91は、該差分に基づいて、操舵量を演算する(ステップS90)。操舵量の演算は、例えば以下のように行われる。差分と操舵量との関係を示す関数をROM92に予め記憶しておく。CPU91は、選択した差分を前記関数に適用し、操舵量を求める。
操舵量を演算したCPU91は、電磁切換弁201に切換信号を出力する(ステップS91)。電磁切換弁201は切り換わり、走行部1を右又は左に操舵する。そしてCPU91は、タイマ95を用いて、所定時間が経過するまで待機する(ステップS92:NO)。
前記所定時間が経過した場合(ステップS92:YES)、CPU91は、中立信号を電磁切換弁201に出力する(ステップS93)。そしてステップS81へ処理を戻す。電磁切換弁201が中立位置に戻ることによって、走行部1は直進する。
実施の形態4に係る田植機にあっては、GPSの測位値に基づいて、操舵量の補正を行うので、自動走行している場合に、苗を確実に整列させることができる。GPSのみに基づいて自動操舵させた場合、GPSの性能によっては、必ずしも所望の直進性を得ることができず、結局操作者による修正が必要となる場合が多い。しかし、画像処理に基づく自動操舵に、GPSによる補正を併用することによって、精度良く制御することができる。
なお以下のように構成してもよい。地磁気センサ及びGPSを田植機に設け、両者の検出値又はいずれか一方の検出値によって、操舵量の補正を行うようにしてもよい。
実施の形態1〜4においては、苗の画像に基づいて、自動操舵を実行しているが、畔際においては畔の画像に基づいて自動操舵を実行してもよい。例えば、表示部8の左右に畔を示す画像が認識された場合に、畔の端に沿う方向に自動的に操舵してもよい。畔を示す画像の認識は、例えば色に基づいて行われる。草の生えた畔を示す緑、土の畔を示す茶色、コンクリートからなる畔を示す灰色、又はビニルを被せた畔を示す黒、青若しくは緑の画素群が、右側又は左側に存在することが認識された場合に、当該画素群を畔を示す画像として認識する。また畔の縁を示すエッジを検出し、該エッジに沿って自動的に操舵してもよい。例えば表示部の左右端部において、前後に長いライン状にエッジが検出された場合に、該エッジに沿って自動的に操舵する。エッジの検出は例えば以下のように行われる。表示部の左右端部において、左右に隣接する画素間の輝度差が予め設定した閾値以上である場合に、該隣接する画素部分を、水の張っている圃場内を示す画素と畔を示す画素との境界を示すエッジ候補と認識する。そしてエッジ候補として認識された部分が前後に所定数以上連続して存在している場合に、エッジとして確定する。なおエッジ候補を表示部8に表示し、エッジであるか否かの最終的な確定は、操作者の操作によって実行されるようにしてもよい。
(実施の形態5)
図28はコントローラ90による操舵処理を説明するフローチャートである。なおRAM93にて植付部10の作動開始回数を記録するようにしてある。
コントローラ90のCPU91は、自動走行スイッチ54からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS101:NO)。自動走行スイッチ54からオン信号が入力された場合(ステップS101:YES)、CPU91は、表示パネルに表示された画像を縦長の複数の帯状領域101、101、・・・、101に分割して認識し(図14A参照)、一の帯状領域101を抽出する(ステップS102)。そして抽出した帯状領域101における緑色の画素を計数する(ステップS103)。このとき計数する画素数としては、所定の時間間隔で計数した画素数の移動平均値又は所定の時刻における画素数が挙げられる。なお画素数に限定されず、苗140を認識するための特徴を示す値を計算してもよい。例えば帯状領域101の全画素数に占める緑色の画素数の割合を計算してもよい。
そしてCPU91は、緑色の画素数が閾値を超過しているか否かを判定する(ステップS104)。なおRAM93には閾値が予めROM92から読み込まれており、CPU91はRAM93から閾値を参照可能であるとする。緑色の画素数が閾値を超過していない場合(ステップS104:NO)、RAM93の所定の記憶領域に非候補フラグを設定し(ステップS105)、後述するステップS107に処理を進める。
緑色の画素数が閾値を超過している場合(ステップS104:YES)、RAM93の所定の記憶領域に候補フラグを設定する(ステップS106)。図14Bは、候補フラグを設定した帯状領域101をハッチングにて示し、非候補フラグを設定した帯状領域101を無地で示している。なおRAM93の所定の記憶領域には、各帯状領域101に対応したアドレスが設定してある。該アドレスが示す記憶領域に非候補フラグ又は候補フラグが設定される。そのため、アドレスを参照することによって各帯状領域101のフラグを確認することができる。
次にCPU91は、全ての帯状領域101について緑色の画素を計数したか否かを判定する(ステップS107)。例えばCPU91は、アドレスを参照し、フラグが未設定の記憶領域が存在するか否かを判定する。全ての帯状領域101、101、・・・、101について緑色の画素を計数していない場合(ステップS107:NO)、例えばフラグが未設定の記憶領域が存在する場合、CPU91はステップS102に処理を戻す。全ての帯状領域101、101、・・・、101について緑色の画素を計数した場合(ステップS107:YES)、例えばフラグが未設定の記憶領域が存在しない場合、CPU91は、候補フラグを設定した帯状領域101の中から、田植機の進行方向の基準となる部分を表示する帯状領域101を選択する(ステップS108)。田植機の進行方向の基準となる部分としては、例えば緑色の植物で覆われた畔の縁部分が挙げられる。
例えば右フロントカメラ21にて撮像した画像を表示部8に表示している場合には、候補の中から最も左側に位置する帯状領域101を選択する。左フロントカメラ23にて撮像した画像を表示部8に表示している場合には、候補の中から最も右側に位置する帯状領域101を選択する。図15Cは、選択された帯状領域101をハッチングにて示している。
次にCPU91は、選択した領域内に線100が存在するか否かを判定する(ステップS109)。なおRAM93には、表示部8における線100の位置を示す情報が予めROM92から読み込まれており、CPU91はRAM93から前記情報を参照可能であるとする。選択した領域内に線100が存在しない場合(ステップS109:NO)、CPU91は操舵処理を行い(ステップS110)、ステップS109に処理を戻す。操舵処理は、前述したステップS10〜S13と同様な処理である(図13参照)。
選択した領域内に線100が存在する場合(ステップS109:YES)、CPU91は、植付昇降レバーセンサ53aの出力を取り込み、植付部10が作動しているか否かを判定する(ステップS111)。植付部10が作動していない場合(ステップS111:NO)、待機する。植付部10が作動している場合(ステップS111:YES)、CPU91は植付部10の作動開始回数をインクリメントし、植付けの1工程目が開始されたか否か判定する(ステップS112)。作動開始回数が1の場合、1工程目である。1工程目が開始されていない場合(ステップS112:NO)、後述するステップS119に処理を進める。
1工程目が開始されているい場合(ステップS112:YES)、CPU91は地磁気センサ80から方位を示す検出値を入力する(ステップS113)。そして入力された検出値に基づいて、往路方位をRAM93に設定する(ステップS114)。そしてCPU91は、植付昇降レバーセンサ53aの出力を取り込み、植付部10が停止しているか否かを判定し(ステップS115)、植付部10が停止するまで待機する(ステップS115:NO)。植付部10が停止している場合(ステップS115:YES)、CPU91は回転角センサ74の検出値に基づいて、回転角が閾値よりも大きいか否かを判定し(ステップS116)、閾値よりも大きくなるまで待機する(ステップS116:NO)。
回転角が閾値よりも大きい場合(ステップS116:YES)、ステップS112にて設定した往路方位と180度反対の方向を復路方位としてRAM93に設定する(ステップS117)。回転角が閾値よりも大きい場合、田植機は復路を走行していると考えられる。次にCPU91は、植付昇降レバーセンサ53aの出力を取り込み、植付部10が作動しているか否かを判定し(ステップS118)、植付部10が作動するまで待機する(ステップS118:NO)。植付部10が作動している場合(ステップS118:YES)、CPU91は地磁気センサ80から方位を示す検出値を入力し、現方位と復路方位との偏差を演算する(ステップS119)。
そして前記偏差に基づいて、ステアリングホイール7の操舵量を演算する(ステップS120)。操舵量の演算は例えば以下のように行われる。前記偏差と操舵量との関係を示す関数を予めROM92に記憶しておき、該関数に前記偏差を適用して操舵量を求める。また該操舵量を所定時間に対応させておく。なお必要に応じて操舵量を補正してもよい。
CPU91は電磁切換弁201に切換信号を出力する(ステップS121)。電磁切換弁201は切り換わり、走行部1を右又は左に操舵する。そしてCPU91は、タイマ95を用いて、前記所定時間が経過するまで待機する(ステップS122:NO)。前記所定時間が経過した場合(ステップS122:YES)、CPU91は、中立信号を電磁切換弁201に出力する(ステップS123)。電磁切換弁201が中立位置に戻ることによって、走行部1は直進する。
CPU91は、植付昇降レバーセンサ53aの出力を取り込み、植付部10が停止しているか否かを判定し(ステップS124)、植付部10が停止するまで待機する(ステップS124:NO)。植付部10が停止している場合(ステップS124:YES)、CPU91は回転角センサ74の検出値に基づいて、回転角が閾値よりも大きいか否かを判定し(ステップS125)、閾値よりも大きくなるまで待機する(ステップS125:NO)。
回転角が閾値よりも大きい場合(ステップS125:YES)、設定した方位と180度反対の方向を目標方位として設定する(ステップS126)。そしてCPU91はステップS109に処理を戻す。ステップS109に処理を戻して以降、ステップS119においては、設定した目標方位と現方位との偏差を演算する。
実施の形態5に係る田植機にあっては、画像処理によって最も走行機体に近い苗の列に沿うように走行方位を調整する(ステップS109、S110)。その後地磁気センサ80の検出値に基づいて、往路方位及び復路方位を設定する(ステップS111〜S118)。そして地磁気センサ80の検出値に基づいて、自動操舵を行う(ステップS119〜126)。画像処理による自動操舵と併せて、地磁気センサ80の検出値に基づく自動操舵を実行するので、精度良く操舵量を演算し、走行機体を所望の方向に走行させることができる。
実施の形態5においては、地磁気センサ80を用いて自動操舵を行っているが、他のセンサを用いてもよい。例えばGPSを用いてもよい。
実施の形態5においては、例えば緑色の植物で覆われた畔の画像に基づいて、初期の走行方位を決定しているが、緑色に限定されない。土の畔を示す茶色、コンクリートからなる畔を示す灰色、又はビニルを被せた畔を示す黒、青若しくは緑の画素群が、右側又は左側に存在することが認識された場合に、当該画素群を畔を示す画像として認識してもよい。
また畔の縁を示すエッジを検出し、該エッジに沿って自動的に操舵してもよい。例えば表示部の左右端部において、前後に長いライン状にエッジが検出された場合に、該エッジに沿って自動的に操舵する。エッジの検出は例えば以下のように行われる。表示部の左右端部において、左右に隣接する画素間の輝度差が予め設定した閾値以上である場合に、該隣接する画素部分を、水の張っている圃場内を示す画素と畔を示す画素との境界を示すエッジ候補と認識する。そしてエッジ候補として認識された部分が前後に所定数以上連続して存在している場合に、エッジとして確定する。なおエッジ候補を表示部8に表示し、エッジであるか否かの最終的な確定は、操作者の操作によって実行されるようにしてもよい。
また植付作業の途中で自動操舵処理を実行する場合には、苗の画像に基づいて初期の走行方位を決定してもよい。
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲に記載された事項及び特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。