JP5785220B2 - ドア装置 - Google Patents

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Description

この発明は、指詰め事故を有効に防止することができるドア装置に関する。
ドアと、ドア枠の吊元側の縦枠との間隙がドアの開閉に伴って変化すると、指を挟んで怪我をすることがあり、このような事故は、指詰め事故と呼ばれている。
指詰め事故の防止対策として、ドアの吊元側の端面を円弧状に膨出させ、ドア枠の吊元側の縦枠を円弧状に凹入させることにより、ドアの開閉に拘らず、ドアと縦枠との間隙を一定の狭小な円弧状に維持する技術が知られている(特許文献1)。
実願平3−28035号(実開平4−122182号)のマイクロフィルム
かかる従来技術によるときは、ドアの吊元側の端面と、ドア枠の吊元側の縦枠との双方を精密な円弧状に加工して組み合わせなければならないため、製作上や設置上の精度の維持管理が難しい上、ドアの開放角度に制約を生じるため、実用性に乏しいという問題があった。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、吊元側の縦枠に段部を形成することによって、指詰め事故を防止し、実用性に優れたドア装置を提供することにある。
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、ドア枠と、中心吊りのピボットヒンジを介してドア枠に組み込むドアとを備えてなり、ドア枠の吊元側、戸先側の縦枠は、それぞれ互いに内向きに対向する突条部の両側に段部を形成するとともに、各突条部の片側の段部をドアの吊元側、戸先側に対応させ、ドアは、開放角度を90°に規定し、ドアの吊元側には、ドアの厚さと同一直径の半円弧状の膨出部をピボットヒンジのヒンジピンと同心に形成し、吊元側の縦枠の段部は、膨出部を収納するとともにドアの開放側に指詰め事故防止用の段差を形成し、ドアを開閉しても、膨出部と吊元側の縦枠の段部との相対関係が変動せず、ドアと吊元側の縦枠との最小間隙を実質的に一定に維持することをその要旨とする。
かかる発明の構成によるときは、ドア枠の吊元側の縦枠の段部は、たとえば板材を直線的に折曲げ加工して形成することができ、必要な精度を簡単に実現することができる。また、ドアの吊元側の膨出部は、ドアの厚さと同一直径の半円弧状であり、ピボットヒンジのヒンジピンと同心に形成されているから、ドアを開閉しても、ドア枠の段部との相対関係が変わることがなく、ドアとドア枠との間隙を十分小さく保つことができる上、段部に設ける段差は、ドアの開放側に形成されているため、ドアを開いてもドアの表面が実質的に段部に接近することがなく、ドアの吊元側における指詰め事故を有効に防止することができる。なお、吊元側、戸先側の各縦枠にそれぞれ形成する内向きの突条部は、ドアの全閉時において、ドアと各縦枠との間に生じる隙間を遮ることができる。また、中心吊りのピボットヒンジとは、ドアの厚さの中心位置を回転自在に支持するピボットヒンジをいう。
ドアの戸先側に装着するクッション材は、その先端部分だけが戸先側の縦枠の段部に収納されるため、仮に段部との間に指を挟んだとしても、可撓性のクッション材が容易に弾性変形し、指詰め事故に発展するおそれがない。
上枠に設ける戸当り用のクッション材は、ドアの全閉位置を規定するとともに、衝撃を吸収し、ドアの全閉時に過大な衝撃音を生じることを防止する。なお、ドアの開放角度は、たとえばドアクローザによって規定すればよい。
ドアの吊元側の膨出部は、ペーパハニカムの芯材の両面の鋼板の表面材によって形成することにより、ドアの表面と膨出部とを滑らかに連続させるとともに、格別な部材を追加使用することなく、膨出部を簡単に形成することができる。
全体模式正面図 全体模式横断面図 一部破断拡大縦断面図 一部破断拡大横断面図
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
ドア装置は、ドア枠10に対し、片開き形のドア20を組み込んでなる(図1、図2)。
ドア枠10は、上枠11、吊元側、戸先側の縦枠12、13により門形に構成されている。ドア20は、上下の中心吊りのピボットヒンジ14、15を介してドア枠10に開閉自在に組み合わされている。また、ドア20の戸先側には、開閉用のハンドル20aが付設されており、施錠用のロック20bが組み込まれている。ドア20の開放角度は、ドアクローザ20cを介してたとえば90°に規定されている。
上枠11、吊元側、戸先側の縦枠12、13は、それぞれ板材を折曲げ加工して形成されている(図3、図4)。上枠11は、下向きの突条部11aの両側に段部11b、11cが対称形に形成され、縦枠12、13は、それぞれ突条部12a、13aの両側に段部12b、12c、13b、13cが形成されている。また、上枠11、縦枠12、13は、それぞれ背面側の連結材11d、12d、13dを介して全体形状が補強されている。ただし、連結材11d、12d、13dは、それぞれ上枠11、縦枠12、13の長手方向に所定ピッチごとに付設されている。縦枠12、13の突条部12a、13aは、それぞれ上枠11の突条部11aに対応しており、互いに内向きに対向している。また、上枠11、縦枠12、13の片側の段部11b、12b、13bは、それぞれドア20の上端部、吊元側、戸先側に対応している。
上枠11の一端には、段部11b側に上のピボットヒンジ14が組み込まれている(図1、図3)。また、床面FL上には、上のピボットヒンジ14に対応するようにして下のピボットヒンジ15が設置されている。
上のピボットヒンジ14は、上枠11側のソケット14bに組み込む段付きのヒンジピン14aと、ドア20の上端のピボット14cとを備えている。ヒンジピン14aは、図示しない上枠11内の保持アームを介してソケット14b内に上下に位置決めして保持することができ、ソケット14bから下向きに突出させてピボット14c内に回転自在に挿入し(図3の実線)、ソケット14b内に引き上げてピボット14cから抜去することができる(同図の二点鎖線)。なお、上枠11のピボットヒンジ14の取付部分は、補強材11eを介して補強されている。
一方、下のピボットヒンジ15は、ブラケット15b上に上向きに立設するヒンジピン15aと、ドア20の下端のヒンジアーム15cとを備えている。ブラケット15bは、床面FLに埋設されており、ヒンジピン15aは、ヒンジアーム15cのピン穴に差し込むことにより、ブラケット15b内の図示しないスラストベアリングを介してドア20を回転自在に支持することができる。なお、上下のピボットヒンジ14、15のヒンジピン14a、15aは、同一直線上に配置されている。
そこで、ドア20は、ピボットヒンジ14、15を介してドア枠10の片側に90°に開くことができ(図2の実線、図4の二点鎖線)、ドア枠10と平行に閉じることができる(図2の二点鎖線、図4の実線)。また、ドア20は、上のピボットヒンジ14のヒンジピン14aをピボット14cから抜去することにより、ドア枠10に対して簡単に着脱することができる。
ドア20は、ペーパコアの芯材21と、芯材21の四周に枠状に配置するフレーム材22、22…と、芯材21、フレーム材22、22…の両面に貼る表面材23、23とを備えている(図3、図4)。各フレーム材22は、チャンネル状に形成されており、上下のフレーム材22、22は、それぞれ下向き、上向きにして互いに内向きに対向させ、吊元側、戸先側のフレーム材22、22は、いずれも戸先側に向けて配置されている。表面材23、23は、それぞれ厚さ0.6mm程度の亜鉛めっき鋼板であり、ドア20の上のフレーム材22に被せるようにして下のフレーム材22の両側にまで連続させ、下のフレーム材22の下面に沿って折り込んでいる。
表面材23、23は、ドア20の吊元側において、吊元側のフレーム材22の背面側にそれぞれ四分円形の突出部23a、23aを形成して対称形に突き合わせることにより、半円弧状の膨出部23bを形成している。ただし、膨出部23bは、ドア20の厚さと同一直径であり、ピボットヒンジ14、15のヒンジピン14a、15aと同心に形成されている。吊元側の縦枠12の段部12bは、ドア20の膨出部23bの半径を僅かに超える深さaに形成され、膨出部23bを収納するとともにドア20の開放側に段差12b1 を形成し、膨出部23bの半径を僅かに超える実効幅bに設定されている。
表面材23、23は、ドア20の戸先側において、戸先側のフレーム材22を包み込むようにして内側に折り曲げられている。なお、戸先側のフレーム材22には、ドア20の全高に及ぶクッション材24が装着されており(図1、図4)、戸先側の縦枠13の段部13bは、クッション材24の先端部分を収納することができる。また、上枠11の戸先側の先端部には、ドア20の全閉位置を規定する戸当り用のクッション材16が付設されている(図3)。ただし、図4において、符号16付きの矢印は、クッション材16の配設位置を示している。そこで、全閉位置のドア20の吊元側、戸先側は、それぞれ吊元側、戸先側の縦枠12、13に接触することなく、段部12b、13bに収納されている(図4)。
ドア20の吊元側の膨出部23bは、吊元側の縦枠12の段部12bに対し、ドア20を開閉させても相対関係が変動せず、ドア20と縦枠12との最小間隙d1 を実質的に一定に維持することができる(図4の実線、二点鎖線)。そこで、たとえば最小間隙d1 =3mmに設定し、段差12b1 の深さd2 >15mmに設定することにより、吊元側における指詰め事故を効果的に防止することができる。一方、ドア20の戸先側において、戸先側の縦枠13の段部13bは、クッション材24の先端部分だけを収納する。そこで、クッション材24と縦枠13との間に指が挟まれても、クッション材24が弾性変形することにより、怪我を生じるおそれがない。
以上の説明において、ドア20は、一般的な木製ドアであってもよい。そのとき、ドア20の膨出部23bは、吊元側の縦框の端面を半円弧状に膨出させて形成してもよく、半円弧状のエッジ材を縦框の端面に装着してもよい。
10…ドア枠
11…上枠
12、13…縦枠
12a、13a…突条部
12b、13b…段部
12b1 …段差
14、15…ピボットヒンジ
14a、15a…ヒンジピン
16…クッション材
20…ドア
21…芯材
23…表面材
23b…膨出部
24…クッション材

特許出願人 小松ウオール工業株式会社

Claims (1)

  1. ドア枠と、中心吊りのピボットヒンジを介して前記ドア枠に組み込むドアとを備えてなり、前記ドア枠の吊元側、戸先側の縦枠は、それぞれ互いに内向きに対向する突条部の両側に段部を形成するとともに、前記各突条部の片側の段部を前記ドアの吊元側、戸先側に対応させ、前記ドアは、開放角度を90°に規定し、前記ドアの吊元側には、前記ドアの厚さと同一直径の半円弧状の膨出部を前記ピボットヒンジのヒンジピンと同心に形成し、前記吊元側の縦枠の段部は、前記膨出部を収納するとともに前記ドアの開放側に指詰め事故防止用の段差を形成し、前記ドアを開閉しても、前記膨出部と前記吊元側の縦枠の段部との相対関係が変動せず、前記ドアと前記吊元側の縦枠との最小間隙を実質的に一定に維持することを特徴とするドア装置。
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