JP5785185B2 - 緑化用コケパネルの製造方法及び緑化工法 - Google Patents
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Description
本発明は、建物の屋上や壁面、道路の法面や傾斜地、及びコンクリート等の硬質面の緑化に最適なコケ植物を用いた緑化方法、及び現場施工の容易な緑化工法に関するものである。
近年の環境意識の高まりに伴って、建物の屋上緑化が官民上げて推進されており、又、予てより美観上の観点から敷地内の緑化や道路の法面の緑化も進められてきた。この緑化手段としては、草花を植えたり背丈の低い草木を移植したりする方式が一般的であるが、最近では、土壌がなくても生育し空気中から水分や養分を摂取すると共に、雨水のみで生育可能であり且つ管理の容易なコケ植物(以下単に「コケ」と記載する。)が、屋上緑化や壁面緑化の材料として注目されてきている。
このコケを緑化材料とするためには、コケを壁面や屋上等の緑化工事面に、いかにして固着保持させるかが大きな問題であった。そこで、この問題を解決するために種々の方法が提案されている。例えば、軽石を充填した容器内にフデゴケやスナゴケを貼り付けて、その仮根を軽石の孔内に入り込ませて保持するもの(特許文献1参照)や、コケを接着剤で固定した水溶性シートを、育苗用培土を固めたブロックに両面接着剤を用いて固定するもの(特許文献2参照)や、ポリエステル繊維ボードにマット状のコケを配置し、その上をネットで覆い更にミシンで縫合するもの(特許文献3参照)等がある。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の方法は、軽石や育苗用培土ブロックやポリエステル繊維ボード等のコケを保持する部材に、コケが安定的に保持されるようになるまでには、コケの生育が遅いために長期間が必要となり、特に、ネットで覆う方式(特許文献3)では、風により吹き飛ばされるコケの比率は無視できないものがある。
また、上記特許文献1〜3に記載の方法は、工事現場向きではなく、予め、育苗施設でコケを保持する部材に安定的に固着させた後に、工事面に貼り付けることが必要となる。即ち、根を有しないコケの場合には、上記特許文献1、3の方法を工事現場で行ったのでは、コケが固着しないうちに風で飛ばされてしまうことになり、また、上記特許文献2に記載の方法では、コケを粘着剤によって固定した水溶性シート状体と、培土をバインダで固めたブロックを準備し、両者を両面接着テープで固着する方法であるため、複数種のバインダとを必要とし、その製作に多数の工程が必要となり、現場工事としては、不適な作業である。特に、小さな細いスチック状の形をしているスナゴケの場合には、この傾向が顕著であり、スナゴケの基材への固着は極めて困難である。
そこで、これらの問題点を解決し、緑化工事現場でも容易にコケを固着保持させる方法として、本発明者らは特許文献4に記載の方法を提案している。この方法は大別して2つに分類される。第1の方法は、緑化工事面に塗布させる下地材を砂状物と耐水性接着剤とを混合して排水性に富んだ人工硬化部材となし、その表面に予め成形していたコケマット(コケを押圧してコケ同士を絡ませてマット状に成形したもの)を押し付けて、該下地材中の接着剤によってコケを前記砂状物に固着させる方法であり、第2の方法は、水硬化性有機高分子多孔質接着剤を施工面に塗布し、該接着剤が固化しないうちに、前記コケマットを押し付けて接着保持させる方法である。
詳述すると、第1の方法は、図5に示しているように、緑化工事面に配置されるコケを保持した緑化用材料21は、下地材22と該下地材22に固着されたコケ23とで構成され、これらがパネル型容器部材(コケパネル)24内に充填された構成となっている。前記下地材22は、図6に概念的に示している通り、適宜の粒度分布を有する砂粒子22aと大気中の水分と反応して固化する耐水性接着剤22bとを混合して硬化(固化)させたものであって、砂状物の砂粒子22a同士が前記接着剤22bによって結合され、内部に多数の空洞部22cが形成されて全体として固化した構成となっている。一方、コケ23は、前記砂状物の砂粒子22aと接着剤22bとを混合して接着剤22bが固化しないうちに、下地材22に押し付けたものである。コケ23は根を有しないので、その下端部23aが前記接着剤22bによって砂粒子22aに接着して固着保持されている。この様にして製作されたコケパネル24を緑化工事現場に搬入して、適宜の冶具を使って緑化工事面に配置すれば、短時間で緑化工事を行えることになる。このことは、現場工事の簡素化を行える点で、従前の技術を飛躍的に発展させた利点がある。
第2の方法は、下地材を用いる方法ではなく、直接コンクリート面等の緑化工事面にコケマットを貼着する方法であって、図7に示したように、緑化工事面111の表面に、空気中の水分を吸収して硬化する水硬化性有機高分子多孔質接着剤25を塗布し、該接着剤25が固化しないうちに、予め用意しているコケ23のマットを接着剤25に押し付けて貼着させるものである。第2の方法は、コケマットを、接着剤25を用いて基材(緑化工事面111自体)に接着保持させる点では、第1の方法と共通であるが、任意の形状の緑化工事面111でも容易にコケによる緑化が可能である点で第1の方法を補う方法である。
前記特許文献4に記載した第1の方法では、予め工場で製作されたコケパネル24を緑化工事現場に搬送して現場に所定の冶具を用いて配置していくものであり、現場工事が容易となる利点があるが、以下の問題が顕在化してきた。
(1)下地材22として砂粒子22aと接着剤22bとの混合物を用いる方法であるため、接着剤22bは、砂粒子22a同士を固着させるとともに、コケ23を砂粒子22aに固着させる機能を有することになるが、この固着が不均一になると、コケ23と砂粒子22aとの接着力が部分的に不足する場合が生じていた。この接着力不足の部分を含む状態でコケパネル24を緑化工事現場に搬入して緑化工事を行った場合には、風雨により時間の経過と共に、接着力の弱い部分のコケが剥離する現象が生じていた。コケ23が部分的に剥離すると、コケパネル表面がマダラ模様を呈して美観を損ねることになるので、コケ密度の薄い部分に接着剤22bを用いて手作業でコケ23を接着する現場補修作業が必要になっていた。そこで、この現場作業を防止するために、コケパネル24を出荷するまでに通気性の良い保管場所で一定期間養生させてコケ23と下地材22との接着を安定させ、その状態で空気を強く吹き付けて、浮き上がって接着が外れたコケや接着不良のコケを吹き飛ばし、これにより生じたコケ密度の薄い部分に接着剤を用いて手作業でコケを接着する作業が必要になっていた。このことは、コケパネルの生産性を著しく低下させていた。
(2)上記問題は、接着剤22bの量が少ないことが原因と考え、接着剤22bの量を増やす試みを行ってきた結果、不均一性は改善されるも、空洞部22cの比率が下がり、通気性と保湿性が低下して、コケ23が乾燥し易くなり、コケ23の緑色が失われて褐色になり易くなって美観を損なうとともに、接着剤22bのコストが増加する。結果としてコストアップと品質低下を生じることになる。
(3)第2の方法では、下地材22を用いないので上記下地材に起因する問題はないが、第1の方法も第2の方法も、接着剤22b,25を用いてコケ23を貼り付けるに当り、接着剤22b,25が固化しないうちに、予め準備していた前述のコケマットを押し付けて接着させる方法では共通している。コケマットの表面は粗い凹凸を有しており、マットを押し付けた程度では均等にコケを基材に接着させることは困難であるので、時間の経過と共に接着不十分なコケ23は次第に剥がれてマダラ模様になり、美観を損ねる。そこで、上記(1)に記載したとおり、剥がれた部分にコケ23を接着剤25によって貼り付ける補修工事が必要となり、コケ緑化工事のコストアップ要因となっていた。
(4)又、コケマットを押圧して接着する方法では、コケマットの中の比較的大きなコケ23は、接着剤の存在する下方まで届くので比較的接着し易いが、小さなコケは、単に絡まってコケマットの中に存在し、長いコケのみが基材に接着してコケマットを保持させた構造となっている部分が殆どとなる。その結果、図7に示されているとおり、時間の経過と共に、コケマット中の接着していない部分は乾燥して風によって飛ばされてしまうので、最終的には、長いコケ23が接着剤25に接着保持され、その間にはコケの存在しない隙間26が生じていた。これらの隙間26のうち小さな隙間26bは、さほど目立たないが、大きな隙間26aは目立ち易く、緑化面が、見る角度によって不均一に見えたり、マダラ模様に見えたりする。これは、施工品質上は問題であり、均一な緑の面が形成されなければならない。
そこで、本発明は、上記(1)〜(4)の問題点を悉く解決するコケ緑化用パネルの製造法とコケ緑化工法を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その最大の特徴とするところは、コケを裁断して寸法が比較的「長いコケ」と「短いコケ」を用意し、基材表面に塗布した接着剤(吸湿して発泡硬化する有機高分子接着剤)に、先ず前記長いコケを貼り付け、次に、前記長いコケを貼り付けて生じた隙間、即ち、長いコケの接着密度が低い部分に短いコケを張り付けることによって均一にコケ植物が貼着されたコケパネルを製造する点にある。
具体的には、第1の発明は、次の(a)〜(f)の工程を有することを特徴とする緑化用コケパネルの製造方法にある。
(a)原料コケを裁断して、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)と、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)とを準備する緑化用コケ材料準備工程と、
(b)パネル材(1)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(c)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に押圧し、前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記パネル材(1)に接着していない第1コケ(3a)を前記パネル材(1)から除去する第1コケ接着工程と、
(d)前記第1コケ(3a)を接着させたパネル材(1)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記パネル材(1)に押圧し、前記パネル材(1)の前記(c)工程で前記パネル材(1)に接着された前記第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に前記第2コケ(3b)を接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記パネル材(1)に接着していない第2コケ(3b)を前記パネル材(1)から除去する第2コケ接着工程と、
(e)前記パネル材(1)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記パネル材(1)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程と、
(f)前記(e)の接着剤発泡硬化工程の後に、前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)が接着された前記パネル材(1)を乾燥する乾燥工程。
具体的には、第1の発明は、次の(a)〜(f)の工程を有することを特徴とする緑化用コケパネルの製造方法にある。
(a)原料コケを裁断して、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)と、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)とを準備する緑化用コケ材料準備工程と、
(b)パネル材(1)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(c)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に押圧し、前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記パネル材(1)に接着していない第1コケ(3a)を前記パネル材(1)から除去する第1コケ接着工程と、
(d)前記第1コケ(3a)を接着させたパネル材(1)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記パネル材(1)に押圧し、前記パネル材(1)の前記(c)工程で前記パネル材(1)に接着された前記第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に前記第2コケ(3b)を接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記パネル材(1)に接着していない第2コケ(3b)を前記パネル材(1)から除去する第2コケ接着工程と、
(e)前記パネル材(1)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記パネル材(1)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程と、
(f)前記(e)の接着剤発泡硬化工程の後に、前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)が接着された前記パネル材(1)を乾燥する乾燥工程。
このようにして製造したコケパネルを用いて行う緑化工事においては、上記コケパネルの多数を緑化工事面に密着配置して固定することにより施工される。
本発明の他のコケ緑化施工法としては、コケパネルを用いることなく直接コケ植物を緑化工事面に貼着する緑化工事法であり、具体的には、次の(g)〜(j)の工程を有することを特徴とする緑化工法である。
(g)緑化工事面(11)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(h)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)から除去する第1コケ接着工程と、
(i)前記第1コケ(3a)を接着させた前記緑化工事面(11)の表面に、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記緑化工事面(11)の前記(h)工程で前記緑化工事面(11)に接着された第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に、前記第2コケ(3b)を前記接着剤(2)によって接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第2コケ(3b)を除去する第2コケ接着工程と、
(j)前記緑化工事面(11)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記緑化工事面(11)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程。
(g)緑化工事面(11)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(h)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)から除去する第1コケ接着工程と、
(i)前記第1コケ(3a)を接着させた前記緑化工事面(11)の表面に、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記緑化工事面(11)の前記(h)工程で前記緑化工事面(11)に接着された第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に、前記第2コケ(3b)を前記接着剤(2)によって接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第2コケ(3b)を除去する第2コケ接着工程と、
(j)前記緑化工事面(11)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記緑化工事面(11)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程。
更に、本発明においては、以下の如き幾つかのバリエーションがある。即ち、
(i)前記(c)及び(h)の工程で使用する第1コケは、目開き4〜5mmの篩を通過し且つ目開き1〜3mmの篩を通過しないコケであり、前記(d)又は(i)の工程で使用する第2コケは、目開き1〜3mmの篩を通過し且つ目開き0.3〜0.8mmの篩を通過しないコケである。
(ii)前記(b)及び(g)の接着剤塗布工程において、前記接着剤(2)を1〜4mmの厚さに均一に塗布する。
(iii)前記(e)又は(j)で使用するコーティング剤が、水溶性エマルション樹脂の水溶液である。
(iv)前記コケが、スナゴケ、ハイゴケ及びフデゴケの少なくとも1つを含むものである。
(i)前記(c)及び(h)の工程で使用する第1コケは、目開き4〜5mmの篩を通過し且つ目開き1〜3mmの篩を通過しないコケであり、前記(d)又は(i)の工程で使用する第2コケは、目開き1〜3mmの篩を通過し且つ目開き0.3〜0.8mmの篩を通過しないコケである。
(ii)前記(b)及び(g)の接着剤塗布工程において、前記接着剤(2)を1〜4mmの厚さに均一に塗布する。
(iii)前記(e)又は(j)で使用するコーティング剤が、水溶性エマルション樹脂の水溶液である。
(iv)前記コケが、スナゴケ、ハイゴケ及びフデゴケの少なくとも1つを含むものである。
従来法において、下地材として砂状物と接着剤との混合物を用いてコケを該接着剤によって固着する方法では、該接着剤によるコケと砂粒子との接着不良や砂粒子同士の接着不良によるコケの剥離によってマダラ模様が生じていたが、本発明によれば、接着剤によってパネル或いは緑化工事面にコケを直接貼り付ける方法であるので、コケの剥離の問題も減少し、緑化工事面の手作業による補修作業も減少してメンテナンス費用も低減し且つ美麗な緑化面を容易に維持できることになる。
また、本発明では、コケをマット状に成形したコケマットを使用するのではなく、採取したコケを裁断して相対的に長い(大きな)第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)と相対的に短い(小さな)第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)とを準備し、パネル面或いは緑化工事面に塗布した吸湿して発泡硬化する接着剤に、先ず大きな第1コケを散布して押圧接着させ、接着していない第1コケ及び接着不良の第1コケを吹き飛ばした後に、前記小さな第2コケを散布し、押圧接着する方法を採用しているので、大きなコケの隙間に小さなコケが入り込んで隙間のない均一なコケ緑化面を形成することが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明のコケパネルの製造工程(緑化用コケパネルの製造工程)について説明する。コケパネルの製造工程は、コケパネルを製造するための「緑化用コケ材料準備工程」と、コケ接着用の接着剤をパネルに塗布する「接着剤塗布工程」と、コケをパネルに接着させる「コケ接着工程(第1コケ接着工程、第2コケ接着工程)」と、接着させたコケを安定化させる「コケ安定化工程」とからなっている。以下に、各工程について詳細に説明する。
<緑化用コケ材料準備工程>
図1は、本発明で使用するコケの準備工程を示す工程図である。同図において、コケ栽培農場で人工栽培されたコケや天然のコケ(原料コケ)を採取し、これを洗浄して土壌や枯葉等の異物が除去され乾燥状態で工場に搬入されたコケ材料を、ラインL1から第1コケタンクT1に投入する。このコケ(原料コケ)は、ラインL3からカッターCに供給され、ここで適宜の大きさに裁断される。
図1は、本発明で使用するコケの準備工程を示す工程図である。同図において、コケ栽培農場で人工栽培されたコケや天然のコケ(原料コケ)を採取し、これを洗浄して土壌や枯葉等の異物が除去され乾燥状態で工場に搬入されたコケ材料を、ラインL1から第1コケタンクT1に投入する。このコケ(原料コケ)は、ラインL3からカッターCに供給され、ここで適宜の大きさに裁断される。
本発明の適用に最適なコケであるスナゴケは、茎が直立したときの高さは2〜3cm程度であり且つ不規則に枝を出したコケであるので、これがカッターCによって、枝の部分が切られたり、茎が切られたりして、適当に裁断される。本発明で使用するカッターCの種類は特に限定されないが、容器内に回転刃を有し、回転刃によってコケを裁断する形式のものが簡便な装置として採用される。
裁断されたコケはラインL4から第1篩装置S1に供給され、ここで、大きなコケと小さなコケに篩い分けされる。前記第1篩装置S1の篩を通過したコケは、ラインL5から第2コケタンクT2に送られ、該第1篩装置S1の篩を通過しなかった大きなコケは、ラインL2から元のタンクT1に返送される。
第2コケタンクT2内のコケは、ラインL6から第2篩装置S2に送られて、第2篩装置S2で更に篩い分けられ、第2篩装置S2の篩を通過したコケはラインL7から第3コケタンクT3に送られ、第2篩装置S2の篩を通過しなかったコケは、ラインL8を経て第4コケタンクT4に貯槽される。この第4コケタンクT4内のコケが、後述するコケパネルの製造に使用される「大きい(長い)コケ;第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)」となる。
前記第3コケタンクT3内のコケは、ラインL9から第3篩装置S3に供給され、第3篩装置S3で再び篩い分けられ、第3篩装置S3の篩を通過したコケはラインL10から第5コケタンクT5に貯槽され、第3篩装置S3の篩を通過しなかった大きなコケは、ラインL11から第6コケタンクT6に送られ、第6コケタンクT6に貯槽される。この第6コケタンクT6内のコケは、後述する「小さい(短い)コケ;第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)」となる。
前記第1篩装置S1で使用される篩の目開きは、4〜5mm程度が好ましい。これより大きな目開きだと、殆どのコケが通過してしまうとともに、後工程で大小2種類のコケに分画するに当たり、大のコケが大き過ぎて小のコケとの収率バランスが悪くなるほか、初期緑化面が粗くなり易い問題がある。一方、目開きを4〜5mm程度より小さくすると後工程で分画した小のコケも小さくなって、全体的に初期緑化面が薄層の感じを与え、コケ特有の重層感に欠けるおそれがある。なお、前記カッターCで裁断されたコケは、髭の生えた棒状体のような物であるので、篩上で振動を受けている状態では、長さ方向(縦方向)を水平方向にして振動しているのが殆どである。従って、目開きの4〜5mmよりも短いコケの殆どは篩を通過するが、長いコケは通過し難くなる。ただし、長さ方向を垂直にして篩の目に入り込むと、篩を通過してしまうことになり、大きなコケも確率的に篩を通過するものが存在することになる。係る観点から、第1篩装置S1の目開きは4〜5mmが好ましいといえる。即ち、主として4〜5mmよりも短いものが緑化用コケ材料として次工程に送られる。
次に、前記第2篩装置S2は、前記緑化用コケ材料のうちの大きい(長い)コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)を篩い分ける装置であるので、この篩の目開きによって第1コケのサイズが決まる。そこで、この篩の目開きは1〜3mm程度が選ばれる。これにより、この篩を通過しない、長さが1〜3mmより大きなコケが、後述する大きい(長い)コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)として緑化用コケ材料となる。この篩の目開きが3mmよりも大きいと、緑化用コケ材料としては大きくなり過ぎて、パネル面に貼着した際に単位面積当たりのコケの数が少なくなってラフなコケ面となるおそれがある。一方、これより小さな目開きであると、大きなコケ材料としての第1コケが小さくなって、コケパネルとした場合に薄層感を与えることになる。この意味から第2篩装置S2の目開きは、1〜3mmが好ましいといえる。
更に、第3篩装置S3を通過しなかった大きなコケが、小さいコケ材料(寸法が所定長さ未満の第2コケ)となるから、このふるいの目開きは、0.3〜0.8mm程度が好ましい。これより大きいと、後述するように大きなコケの間を埋めるように配置される小さなコケの役目を果たせなくなるので、適度に小さなものが望ましい。一方、これより小さな目開きの場合には第2コケが小さくなり過ぎて粉状になって取り扱いが困難となる。
なお、第5コケタンクT5に送給された小さなコケは、緑化用コケ材料の稚種としてコケ栽培用の農場に散布される。
<コケパネル製造工程>
次に、上記コケ植物準備工程で準備された第4コケタンクT4内の大きな(長い)第1コケと、第6コケタンクT6内の小さな(短い)第2コケを用いてコケパネルを製造する工程を説明する。第2図(a)〜(d)は、本発明方法によるコケパネルの製造工程を示す概念図である。以下に、図2に示した工程に従って説明する。
次に、上記コケ植物準備工程で準備された第4コケタンクT4内の大きな(長い)第1コケと、第6コケタンクT6内の小さな(短い)第2コケを用いてコケパネルを製造する工程を説明する。第2図(a)〜(d)は、本発明方法によるコケパネルの製造工程を示す概念図である。以下に、図2に示した工程に従って説明する。
(接着剤塗布工程)
図2(a)は、パネル材1の表面にコケを接着するための接着剤2を塗布する工程を示している。ここで使用する接着剤は、吸湿して発泡硬化する有機高分子樹脂(水硬化性有機高分子多孔質接着剤)からなる接着剤であり、後述するようにコケ3をパネル材1に固着させると共に、空気中の水分或いは添加供給される水分と反応して発泡し、通気性と保湿性を発現させる機能を有するものである。この接着剤に具体的に要求される特性としては、固着保持されたコケ3のために適度の保水力を有し且つ水や親水基との反応性を有し、更にpHは中性近傍のものが好ましい。特にpHについては、後述する如く本発明で使用するスナゴケやハイゴケ或いはフデゴケが酸性側でもアルカリ性側でも枯れてしまうので、pHは7近辺の中性が要求される。この観点から、本発明で使用する接着剤2としては、ウレタンプレポリマー系接着剤やウレタン樹脂溶液系接着剤やブロックされたウレタン樹脂エマルション接着剤が代表的な接着剤である。他には潜在性硬化剤を用いたウレタン樹脂もある。これらウレタン樹脂系接着剤では、その成分中のイソシアネート基(−NCO)が大気中の水分或いはその表面に散布される前述の散布液や後述する水溶性エマルジョン中の親水基(−OH,−COOH等)と反応して硬化し、この反応過程で生成する炭酸ガスの放出により硬化過程で発泡して多孔質体が形成されることになる。因みにこの多孔質発泡皮膜により断熱性も付与される。この硬化反応は比較的短時間で生じるので、パネル材1に接着剤2を介してコケ3が速やかに固着された状態となる。尚、水硬化性有機高分子多孔質接着剤としては上記ウレタン樹脂系接着剤の外、上記特性を満足するものであれば他の系統の接着剤でも良いことはいうまでもよい。
図2(a)は、パネル材1の表面にコケを接着するための接着剤2を塗布する工程を示している。ここで使用する接着剤は、吸湿して発泡硬化する有機高分子樹脂(水硬化性有機高分子多孔質接着剤)からなる接着剤であり、後述するようにコケ3をパネル材1に固着させると共に、空気中の水分或いは添加供給される水分と反応して発泡し、通気性と保湿性を発現させる機能を有するものである。この接着剤に具体的に要求される特性としては、固着保持されたコケ3のために適度の保水力を有し且つ水や親水基との反応性を有し、更にpHは中性近傍のものが好ましい。特にpHについては、後述する如く本発明で使用するスナゴケやハイゴケ或いはフデゴケが酸性側でもアルカリ性側でも枯れてしまうので、pHは7近辺の中性が要求される。この観点から、本発明で使用する接着剤2としては、ウレタンプレポリマー系接着剤やウレタン樹脂溶液系接着剤やブロックされたウレタン樹脂エマルション接着剤が代表的な接着剤である。他には潜在性硬化剤を用いたウレタン樹脂もある。これらウレタン樹脂系接着剤では、その成分中のイソシアネート基(−NCO)が大気中の水分或いはその表面に散布される前述の散布液や後述する水溶性エマルジョン中の親水基(−OH,−COOH等)と反応して硬化し、この反応過程で生成する炭酸ガスの放出により硬化過程で発泡して多孔質体が形成されることになる。因みにこの多孔質発泡皮膜により断熱性も付与される。この硬化反応は比較的短時間で生じるので、パネル材1に接着剤2を介してコケ3が速やかに固着された状態となる。尚、水硬化性有機高分子多孔質接着剤としては上記ウレタン樹脂系接着剤の外、上記特性を満足するものであれば他の系統の接着剤でも良いことはいうまでもよい。
また、係る接着剤の固化速度は速すぎても遅すぎても問題である。即ち、後述する通り、この接着剤2の上面にコケを散布して接着させることになるので、固化速度が速すぎるとコケを十分に散布して接着させる前に固化してしまうことになり、固化速度が遅すぎると、コケを接着させた後の固化に時間が掛り過ぎて、コケを接着させたパネル材1で樹脂流れが生じたりする問題と共に、パネル材1の保管上の問題もある。そこで、接着剤2の固化反応速度は、固化完了までに10分程度となる様にすることが好ましい。この意味で、接着剤2の選定或いは配合設計は、固化完了までに10分程度となるものが選定される。
次に前記接着剤2の塗布に当たっては、パネル材1の上面に、該接着剤2を、空気を巻き込まないように、均一に塗布することが重要である。空気を巻き込むとその部分が膨れ上がって、コケ3がパネル材1から浮き上がった状態となり、コケが剥げ落ちる原因となる。また、接着剤2の塗布厚さは、1〜4mm程度が好ましく、1mm以下では、接着剤の量が少なく、コケ3のパネル材1への接着力が不足し、コケが剥げ落ちる量が多くなり、後の手直しを要する度合いが高くなるおそれがある。一方、4mmを超えると使用する樹脂の量が多くなってコストアップ要因になるのみならず、コケが樹脂内に埋没してしまうおそれがある。従って、該接着剤2の塗布量を1〜4mmとするとともに、接着剤2を均一に塗布するが好ましい。
ここで使用する前記パネル材1について説明する。パネル材1の材質は、耐蝕処理されたアルミニウム板やステンレス鋼板等の耐候性に優れた金属材料,プラスチックス板,ベニヤ板等の合板,石膏ボード,建築用外装ボード材等々の適宜の材料で形成されるが、耐候性,耐蝕性,不燃性,成形性,水濡れ性,加工性(折曲加工性),取付性,重量,価格等の様々な観点と、使用される場所(用途)、即ち、屋上緑化,壁面緑化,道路の法面緑化,インテリア等に応じて適宜選択されるが、建材としての圧縮ボードが、不燃性,軽量性,水濡れ性の面で好ましい材料である。
(コケ接着工程)
<第1コケ接着工程>
図2(b)は、前記接着剤2の表面に第1コケ3aを接着させる工程を示している。この接着工程では、前記コケ植物準備工程で第4コケタンクT4(図1参照)に分取されている第1コケ(大きなコケ;長いコケ、寸法が所定長さ以上の第1コケ)3aを、図1に示したコケ準備工程で使用した第1篩装置S1と同一目開きの篩(第1コケ3aは、この篩を通過したもの)を用いて、前記接着剤2の表面に均一に散布する。
<第1コケ接着工程>
図2(b)は、前記接着剤2の表面に第1コケ3aを接着させる工程を示している。この接着工程では、前記コケ植物準備工程で第4コケタンクT4(図1参照)に分取されている第1コケ(大きなコケ;長いコケ、寸法が所定長さ以上の第1コケ)3aを、図1に示したコケ準備工程で使用した第1篩装置S1と同一目開きの篩(第1コケ3aは、この篩を通過したもの)を用いて、前記接着剤2の表面に均一に散布する。
使用される第1コケ3aは、乾燥状態で貯蔵されているので、表面は乾燥して表面は茶褐色を呈しているが、先端と内側は緑色であり、生きていることを示している。これに水を噴霧又は水に浸漬して全体が緑色に戻った状態で散布する。散布に当っては、第1コケ3aの上に第1コケ3aが重ならないように、平面的に、均一に、接着剤2全面が第1コケ3aで覆われるように十分に散布することが肝要である。散布が終わると、直ちに、その上面からローラーを用いて、該第1コケ3aを接着剤2中に押し込むように押圧する。この接着剤2は、前述のとおり吸湿して発泡する性質を有しているから、空気中の水分や第1コケ3aに付着している水分と反応し発泡して膨張するので、放置すると、該第1コケ3aが浮き上がってくる。前記ローラーで押圧するのは、このコケの浮き上がりを防止する意味もある。
続いて、散布したコケの上面を覆うように平板状の圧着ボード(図示せず)を乗せて、その上から押圧することにより、第1コケ3aを接着剤2に均一に馴染ませて接着を強固なものにする。圧着ボードを取り除き、その状態で接着剤2の地肌が見える場所があれば、その部分に前記第1コケ3aを散布して押し付けて接着剤2に接着させる。
しかる後にコケパネル(緑化用コケパネル)Pを立てて、接着していない第1コケ3aを払い落して除去する。この未接着の第1コケ3aの除去作業は、空気を吹き付けて未接着のコケを吹き飛ばす方法であってもよいが、接着剤2の固化は完了していないので、吹き付ける空気の気流が強いと接着しているコケが剥がれるので、穏やかな気流とすべきであることが好ましい。この様にして接着していない余剰のコケを取り除く。
ここで、第1コケ3aの寸法(長手方向の長さ)は、所定長さ以上、具体的には、目開き4〜5mmの篩を通過し且つ前述の目開きが1〜3mmの第2篩装置S2を通過しないレベルの大きさである。本発明に最適のコケであるスナゴケは、茎が直立した高さは2〜3cm程度で不規則に枝を出したコケであり、これが裁断されて前述の第2篩装置S2に供給されるものであるから、横になった時の寸法(長手方向の長さ)が1〜3mmの目開きよりも大きな寸法のものである。
従って、上述した接着していない余剰のコケを取り除くと、接着している第1コケ3aと第1コケ3aとの間に隙間(隙間部分)4が生じている。この隙間4は、大きな(長い)第1コケ3aを散布した際に、第1コケ3aと第1コケ3aとの間に新たな第1コケ3aが入り込めない空隙として、第1コケ3aのみでは不可避的に生じる隙間4である。この隙間4が存在すると、見る角度によっては、接着剤2の地肌が透けて見えることになり、美観上の問題があるのみならず重厚感に欠けるおそれがある。この隙間4を次の工程で解消する。
なお、第1コケ3aの大きさが上述のものより大き過ぎると、即ち、第1篩装置S1の目開き4〜5cmを通過しないレベルのコケとなり、大き過ぎて第1コケの接着量が少なくなり、コケパネルPの隙間4が目立つようになる。
<第2コケ接着工程>
次に、前記隙間4の問題を解消して重厚感を出す図2(c)に示した第2コケ接着工程について説明する。この工程は、前記第1コケ接着工程終了後、直ちに開始される工程であり、接着剤2の発泡硬化が完了しないうちに行う必要がある。この接着剤2は、前述のとおり固化完了までに10分程度のものが選定されているので、前記接着剤塗布工程(A)と第1コケ接着工程(B)とを各1分程度で終了させれば全く問題はないし、両工程を数分以内で終了させることにも格別問題はない。
次に、前記隙間4の問題を解消して重厚感を出す図2(c)に示した第2コケ接着工程について説明する。この工程は、前記第1コケ接着工程終了後、直ちに開始される工程であり、接着剤2の発泡硬化が完了しないうちに行う必要がある。この接着剤2は、前述のとおり固化完了までに10分程度のものが選定されているので、前記接着剤塗布工程(A)と第1コケ接着工程(B)とを各1分程度で終了させれば全く問題はないし、両工程を数分以内で終了させることにも格別問題はない。
この工程では、前述の第6コケタンクT6に分取されている小さな(短い)第2コケ3bを、前記第1コケ3aを散布したのと同様の要領で、前記コケ準備工程で使用した第2篩装置S2と同一目開きの篩(第2コケ3bは、この篩を通過したもの)を用いて、前記第1コケ3aが接着されているコケパネルPの表面に、接着剤2が見えなくなる様に均一に散布する。
続いて、該コケ散布面上面に、コケ散布面全面を覆う様に平板状の圧着ボード(図示せず)を載置して押圧し、第2コケ3bを接着剤2と接触させて接着させる。
そして、前述の第1コケ接着工程で説明したのと同様の手法で未接着の第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)3bを除去すると、前記第1コケ3a間に生じていた隙間4に短い(小さい)第2コケ3bが入り込んで接着剤2によって接着され、前記隙間4を第2コケ3bで埋めることになる。なお、この場合も、圧着ボードを取り除いた後に、目視で接着剤2が見える部分があれば、その部分に第2コケ3bを散布し押圧して接着させる。この様にして、コケパネルPの上面は、大きな(長い)第1コケ3aと小さな(短い)第2コケ3bで均一に覆われてコケパネルPが製作される。この工程も1分前後で完了する。
第2コケ3bの寸法(長手方向の長さ)は、所定長さ未満、具体的には、前述のとおり、1〜4mmの目開きの第1篩装置S1を通過するが、0.3〜0.8mmの目開きの第2篩装置S2を通過しない程度である。第2篩装置S2の目開きをこれより大きくすると、前記第1コケ3a間に生成した隙間4に入り込むには大きすぎて前記間隔4を埋め尽くすことが困難になり、逆に、第2篩装置S2の目開きを小さくすると、第2コケが小さくなり過ぎて、栽培用の稚種が一層小さくなって粉状化し、取り扱いが困難となる弊害が生じる。
(コケ安定化工程)
<接着剤発泡硬化工程>
前記第2コケ接着工程では、コケパネルPの表面に第1コケ3aと第2コケ3bとが均一に接着しているが、この時点では、接着剤2は完全に発泡固化していないので、接着剤2を発泡固化させてコケ3(第1コケ3aと第2コケ3b)を強固に接着剤2でコケパネルPに固着させる必要がある。そこで、図4(d)に示しているとおり、発泡硬化を促進させる目的でコーティング剤5を噴霧する。ここで使用するコーティング剤5としては、アクリルエマルジョン,ウレタンエマルジョン,エチレン酢ビエマルジョン,ポリビニルアルコール水溶液,スチレンブタジエン共重合ラテックス,クロロプレンラテックスなど中性(PH6.5〜7.5)の水性エマルジョン樹脂であれば使用が可能である。
<接着剤発泡硬化工程>
前記第2コケ接着工程では、コケパネルPの表面に第1コケ3aと第2コケ3bとが均一に接着しているが、この時点では、接着剤2は完全に発泡固化していないので、接着剤2を発泡固化させてコケ3(第1コケ3aと第2コケ3b)を強固に接着剤2でコケパネルPに固着させる必要がある。そこで、図4(d)に示しているとおり、発泡硬化を促進させる目的でコーティング剤5を噴霧する。ここで使用するコーティング剤5としては、アクリルエマルジョン,ウレタンエマルジョン,エチレン酢ビエマルジョン,ポリビニルアルコール水溶液,スチレンブタジエン共重合ラテックス,クロロプレンラテックスなど中性(PH6.5〜7.5)の水性エマルジョン樹脂であれば使用が可能である。
係るコーティング剤5をコケ3の外面に噴霧すると、コケ3の表面には水溶性エマルジョン樹脂による薄膜が形成されると同時に、該コケを伝わって或いは直接前記接着剤2の層まで該コーティング剤5が接着剤2にまで浸透する。コーティング剤5が接着剤2の層まで達すると、該接着剤2中のイソシアネート基とコーティング剤5中の水分及び親水基とが反応して接着剤2を発泡硬化させコケ3を強固に保持することになる。
同時に、コケ3の外面に水溶性エマルジョン樹脂による被膜6が形成される。具体的には、コケ3の下部(接着剤2部)では、該接着剤2とコーティング剤5とが反応して接着剤2を発泡硬化させてコケ3を強固に固着するとともに、接着剤2の層は、通気性と吸湿性を有する多孔質体に変化する。一方、コケ3表面に付着したコーティング剤5は、コケ3の表面にコーティング剤の被膜6を形成するが、この被膜6は、前記接着剤2と接触していないので接着剤2の発泡硬化反応には寄与していない。従って、コーティング剤5の被膜6中の水分が蒸発すると、被膜6は多孔質の被膜となる。
なお、コーティング剤5の主な作用は、接着剤2と反応して発泡硬化を促進させることであるので、この点のみに着目すると、コーティング剤の散布に代えて水の散布でも良いと言える。
接着剤塗布工程から、この接着剤発泡硬化工程まででコケパネルPのコケ貼り付け作業は一応終了する。ここまでの所要時間は、数分程度であり、実作業では3分前後で終えている。これは、接着剤固化時間約10分を考慮すれば十分な時間であるが、第1コケ接着工程及び第2コケ接着工程の各工程から次工程に移る前にコケの接着不十分な箇所が発見された場合のコケ再散布による補修作業を考慮すると、妥当な作業時間である。換言すると、前記接着剤の固化時間は、作業時間を考慮して10分程度に選定されていると言える。同時に、このことは、コケパネルPの大きさも、接着剤塗布工程から接着剤発泡硬化工程の全工程を5分以内で、補修作業を入れて6〜7分程度で終えられる程度の大きさのパネルサイズが選定される。この意味から、パネルの大きさは、1m2程度、具体的には90cm×90cm程度の建築用定型パネルが好ましい。
(乾燥工程)
係るコーティング剤5の噴霧が終了すると、コケパネルP(第1コケ(3a)及び第2コケ(3b)が接着されたパネル材(1))を乾燥させてコケパネルPの製作を完了する。乾燥工程において必要な条件は、(1)接着剤2の内部まで十分に発泡硬化反応を進行させるためには水分の急速な蒸発を避ける必要があるので、直射日光を避けて日陰で乾燥させること、(2)湿度の高過ぎる環境を避けてゆっくりと乾燥させるために通気性が保たれていること、(3)乾燥を阻害する雨水が掛らないこと、(4)乾燥初期において噴霧したコーティング剤が流下しないように水平に保持することの4点である。特に、この時点では前記接着剤2は未だ完全に固化していないので、接着剤2の塗布面を水平に保持しておかないと、接着剤2が、これに貼り付いたコケと共に流下してパネルが損傷する恐れがある。この工程は、1日〜2日間で十分である。
係るコーティング剤5の噴霧が終了すると、コケパネルP(第1コケ(3a)及び第2コケ(3b)が接着されたパネル材(1))を乾燥させてコケパネルPの製作を完了する。乾燥工程において必要な条件は、(1)接着剤2の内部まで十分に発泡硬化反応を進行させるためには水分の急速な蒸発を避ける必要があるので、直射日光を避けて日陰で乾燥させること、(2)湿度の高過ぎる環境を避けてゆっくりと乾燥させるために通気性が保たれていること、(3)乾燥を阻害する雨水が掛らないこと、(4)乾燥初期において噴霧したコーティング剤が流下しないように水平に保持することの4点である。特に、この時点では前記接着剤2は未だ完全に固化していないので、接着剤2の塗布面を水平に保持しておかないと、接着剤2が、これに貼り付いたコケと共に流下してパネルが損傷する恐れがある。この工程は、1日〜2日間で十分である。
(養生工程)
乾燥工程が終了すると、一応のコケパネルPの製造は終了するが、該コケパネルPを出荷するには、コケの養生(コケの育成と安定化)を行う必要がある。図3を用いてこの養生工程を説明する。
乾燥工程が終了すると、一応のコケパネルPの製造は終了するが、該コケパネルPを出荷するには、コケの養生(コケの育成と安定化)を行う必要がある。図3を用いてこの養生工程を説明する。
養生工程では、接着剤2は全て発泡硬化しているので、発泡硬化を考慮する必要はなく、次の条件下で養生を行うのが好ましい。
(1)日陰にコケパネルPを配置する。;コケ自体は直射日光の下では乾燥して褐色化するので、コケの育成を図るには好ましくない。
(2)通気性の良い場所にコケパネルPを配置する。;コケは空気中の水分を吸収しながら生育するので、通気性を確保することはコケの育成に不可欠である。空気中の水分は、コケパネルPの発泡し多孔質化した接着剤2及びコケ3を被覆しているコーティング剤中の水分が蒸発して多孔質化した被覆6に吸着され、コケ3に適度の水分を供給している。このために通気性は不可欠であり、通気が悪いと、コケの育成が遅くなる。
(3)湿度が高めの環境にする。;上記のとおり、コケは空気中の水分を吸収して生育するので、空気中の水分量(湿度)は高めが好ましい。このことは、自然界においてもコケは湿度の高い川辺や湿地の近傍で生育していることからも伺える。このことから、コケパネルPを川辺や湿地に近い場所に載置して養生を行うことも可能であるが、工場内で行うには、敷地内への散水や加湿器の設置が好ましい。コケ3が褐色に変色している場合には、直接散水することも必要である。この養生は、2〜4週間程度でよいが、保管スペースが十分な場合には、このまま保管を兼ねてもよい。なお、養生終了時に最後の検査を行い、コケの薄い部分には適宜の補修を行って出荷のための保管に移る。
(1)日陰にコケパネルPを配置する。;コケ自体は直射日光の下では乾燥して褐色化するので、コケの育成を図るには好ましくない。
(2)通気性の良い場所にコケパネルPを配置する。;コケは空気中の水分を吸収しながら生育するので、通気性を確保することはコケの育成に不可欠である。空気中の水分は、コケパネルPの発泡し多孔質化した接着剤2及びコケ3を被覆しているコーティング剤中の水分が蒸発して多孔質化した被覆6に吸着され、コケ3に適度の水分を供給している。このために通気性は不可欠であり、通気が悪いと、コケの育成が遅くなる。
(3)湿度が高めの環境にする。;上記のとおり、コケは空気中の水分を吸収して生育するので、空気中の水分量(湿度)は高めが好ましい。このことは、自然界においてもコケは湿度の高い川辺や湿地の近傍で生育していることからも伺える。このことから、コケパネルPを川辺や湿地に近い場所に載置して養生を行うことも可能であるが、工場内で行うには、敷地内への散水や加湿器の設置が好ましい。コケ3が褐色に変色している場合には、直接散水することも必要である。この養生は、2〜4週間程度でよいが、保管スペースが十分な場合には、このまま保管を兼ねてもよい。なお、養生終了時に最後の検査を行い、コケの薄い部分には適宜の補修を行って出荷のための保管に移る。
<保管>
前記養生を行うことによって、コケ3が均一に育成し安定化した深緑色のコケパネルPが得られる。そこで、一般的には出荷まで倉庫に保管しておくことになるが、この段階では、コケは安定化しているので、通気性の良い棚段に載置しておけばよい。保管中に乾燥してコケが茶褐色に変色しても、水を散布すれば短時間で深緑色のコケパネルPに戻るので問題はない。
前記養生を行うことによって、コケ3が均一に育成し安定化した深緑色のコケパネルPが得られる。そこで、一般的には出荷まで倉庫に保管しておくことになるが、この段階では、コケは安定化しているので、通気性の良い棚段に載置しておけばよい。保管中に乾燥してコケが茶褐色に変色しても、水を散布すれば短時間で深緑色のコケパネルPに戻るので問題はない。
<コケパネルを用いた緑化工法>
屋上や壁面等の平坦な場所の緑化には、2以上の多数のコケパネルPを緑化工事面に直接貼り付けて固着する方式と、適宜のフレームを組んで該コケパネルPをフレームにネジやボルト等の適宜の固着具を用いて固着する方法とがあるが、これには限定されない。なお、緑化工事面が比較的大きな曲率半径で湾曲している場合には、パネル材1を曲げ加工し易い材料(例えば金属板)で形成しておくことも好ましい態様である。緑化工事面に配置されたコケパネルPは、図3に示しているように、空気中の水分を吸収しながら生育することになる。本発明で使用するコケは、スナゴケ、若しくは、スナゴケにハイゴケ又はフデゴケを混合したものであり、これらのコケは、雨の降らない乾燥期においては乾燥して褐色に変色するが、これはいわば仮死状態であり、雨が降ると短時間で緑に戻るので、散水の必要もなく、メンテナンスフリーとなり、緑化維持コストが事実上不要になる利点がある。
屋上や壁面等の平坦な場所の緑化には、2以上の多数のコケパネルPを緑化工事面に直接貼り付けて固着する方式と、適宜のフレームを組んで該コケパネルPをフレームにネジやボルト等の適宜の固着具を用いて固着する方法とがあるが、これには限定されない。なお、緑化工事面が比較的大きな曲率半径で湾曲している場合には、パネル材1を曲げ加工し易い材料(例えば金属板)で形成しておくことも好ましい態様である。緑化工事面に配置されたコケパネルPは、図3に示しているように、空気中の水分を吸収しながら生育することになる。本発明で使用するコケは、スナゴケ、若しくは、スナゴケにハイゴケ又はフデゴケを混合したものであり、これらのコケは、雨の降らない乾燥期においては乾燥して褐色に変色するが、これはいわば仮死状態であり、雨が降ると短時間で緑に戻るので、散水の必要もなく、メンテナンスフリーとなり、緑化維持コストが事実上不要になる利点がある。
<直接緑化工法(コケパネルを用いない緑化工法)>
以上は、コケパネルPの製造方法及び該コケパネルPを用いた緑化工法について説明したが、次に、コケパネルを用いない緑化工法について説明する。
以上は、コケパネルPの製造方法及び該コケパネルPを用いた緑化工法について説明したが、次に、コケパネルを用いない緑化工法について説明する。
コケパネルを用いる場合には、該コケパネルを保持固定するために留め金具が必要であり、この留め金具を緑化工事面に打ち込んで固定することになるが、緑化工事面がコンクリートの屋上緑化の場合には、屋上のコンクリート面の直下には防水シートが配置されている。ここに留め金具を打ち込むと、防水シートに多数の穴が開けられることになり、防水処理が無効化されることになる。従って、このような屋上緑化にはコケパネルを使用するのは適切でない。そこで、コケパネルを用いることなくコケの貼り付けを行うことになる。図4は、コケパネルを用いることなくコケの貼り付けを行う緑化工法を示す工程図である。図4(a)〜(d)は、理解を容易にするために、図2の(a)〜(d)に対応させて示している。
(接着剤塗布工程)
図4(a)は屋上のコンクリート面の如き緑化工事面11であり、この表面にコケを接着するための接着剤2を塗布する工程を示している。ここで使用する接着剤は、図2の接着剤2と同一の接着剤であり、吸湿して発泡硬化する有機高分子樹脂(水硬化性有機高分子多孔質接着剤)からなる接着剤2であり、接着剤2の塗布要領は図2(a)の場合と同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
図4(a)は屋上のコンクリート面の如き緑化工事面11であり、この表面にコケを接着するための接着剤2を塗布する工程を示している。ここで使用する接着剤は、図2の接着剤2と同一の接着剤であり、吸湿して発泡硬化する有機高分子樹脂(水硬化性有機高分子多孔質接着剤)からなる接着剤2であり、接着剤2の塗布要領は図2(a)の場合と同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
(コケ接着工程)
<第1コケ接着工程>
図4(b)は、前記接着剤2の表面に第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)3aを接着させる工程を示している。この工程も前述の図2(b)と同一であり、第1コケ3aをコケ準備工程で使用した第1篩装置S1と同一目開きの篩を用いて接着剤2の表面に均一に散布し、散布後に上面からローラーを用いて該第1コケ3aを接着剤2中に押し込むように押圧して、接着剤2の発泡によるコケの浮き上がりを防止し、続いて、散布したコケの上面を覆うように平板状の圧着ボード(図示せず)を乗せて、その上から押圧することにより、第1コケ3aを接着剤2に均一に馴染ませて接着を強固なものにする等の作業も、前述の図2(b)と全く同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
<第1コケ接着工程>
図4(b)は、前記接着剤2の表面に第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)3aを接着させる工程を示している。この工程も前述の図2(b)と同一であり、第1コケ3aをコケ準備工程で使用した第1篩装置S1と同一目開きの篩を用いて接着剤2の表面に均一に散布し、散布後に上面からローラーを用いて該第1コケ3aを接着剤2中に押し込むように押圧して、接着剤2の発泡によるコケの浮き上がりを防止し、続いて、散布したコケの上面を覆うように平板状の圧着ボード(図示せず)を乗せて、その上から押圧することにより、第1コケ3aを接着剤2に均一に馴染ませて接着を強固なものにする等の作業も、前述の図2(b)と全く同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
<第2コケ接着工程>
次に、図4(c)は、小さな第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)3bを散布して第1コケ3aによって形成される隙間4の間に入り込ませて該隙間4を第2コケ3bで満たす工程であり、前述の図2(c)の工程と同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
次に、図4(c)は、小さな第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)3bを散布して第1コケ3aによって形成される隙間4の間に入り込ませて該隙間4を第2コケ3bで満たす工程であり、前述の図2(c)の工程と同一であるので、同じ符号を用いて重複説明を省略する。
(コケ安定化工程)
<接着剤発泡硬化工程>
次に図4(d)は、前述の図2(d)と同一であり、第1コケ3aと第2コケ3bからなるコケ3にコーティング剤5を散布して、接着剤2とコーティング剤5との反応により、接着剤2を発泡硬化させコケ3を強固に保持するとともに、コケ3自体はコーティング剤5によって被覆され、この被覆6中の水分が蒸発して該被膜6は、多孔質の被膜となる。
<接着剤発泡硬化工程>
次に図4(d)は、前述の図2(d)と同一であり、第1コケ3aと第2コケ3bからなるコケ3にコーティング剤5を散布して、接着剤2とコーティング剤5との反応により、接着剤2を発泡硬化させコケ3を強固に保持するとともに、コケ3自体はコーティング剤5によって被覆され、この被覆6中の水分が蒸発して該被膜6は、多孔質の被膜となる。
(乾燥工程)
係るコーティング剤5の噴霧が終了すると、乾燥工程に移る。図2のコケパネルの場合には、乾燥工程ではコケパネルを所定の乾燥場所に移動させるが、屋上緑化の如く緑化工事面に直接コケを貼着する場合には、緑化工事面が直射日光に晒されないように且つ雨が直接かからないように、テントの如きカバーを掛けて、通気性を保持しつつ乾燥させる。
係るコーティング剤5の噴霧が終了すると、乾燥工程に移る。図2のコケパネルの場合には、乾燥工程ではコケパネルを所定の乾燥場所に移動させるが、屋上緑化の如く緑化工事面に直接コケを貼着する場合には、緑化工事面が直射日光に晒されないように且つ雨が直接かからないように、テントの如きカバーを掛けて、通気性を保持しつつ乾燥させる。
(養生工程)
乾燥工程が終了すると、一応緑化工事は終了するが、しばらくは、直射日光を避けて通気性を維持しつつ雨が直接かからないように、1週間以上、好ましくは2〜3週間程度はテントで覆っておくとコケが成長して安定化する。
乾燥工程が終了すると、一応緑化工事は終了するが、しばらくは、直射日光を避けて通気性を維持しつつ雨が直接かからないように、1週間以上、好ましくは2〜3週間程度はテントで覆っておくとコケが成長して安定化する。
以後は、自然のように直射日光に晒しても風雨に晒しても問題はない。コケ自体は直射日光の下では乾燥して褐色化するが、雨が降れば短時間で深緑に戻る。従って、人が立ち入らない屋上の場合には、自然に任せておいても問題はないが、人が立ち入って美観が要求される場合には、コケが乾燥して褐色化する前に適宜散水してやれば、常時深緑を維持し続けることが出来る。
以上のように、本発明によれば、コケが均一に接着された良質のコケパネルを安定して生産することが可能となり、コケによる環境の緑化を促進させることが期待される。特にコケは、基本的には維持管理が不要であるので、メンテナンスの困難な屋上や道路の法面等の緑化には好適である。更に庭園の中の岩や砂利の表面に本発明によるコケの貼り付けを行えば、庭園に優美さを与えて深みのある美しさを醸し出すことが可能となる。同様にコケで覆った置き石等インテリアとしての新たな用途も期待される。以上のとおり、建物の屋上や壁面の緑化から道路の法面の緑化等々の環境の緑化・美化のみならず、庭園の美化やインテリア商品の創出等の新たな分野にも期待できる等、本発明の利用活用分野は大なるものが期待される。
1 パネル材
2 接着剤
3 コケ植物(コケ)
3a 第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)
3b 第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)
4 第1コケの隙間部分
5 コーティング剤
6 被覆
11 緑化工事面
21 緑化用材料
22 下地材
22a 砂粒子
22b 接着剤
22c 空洞部
23 コケ
24 コケパネル
25 接着剤
26 コケの隙間
26a 大きな隙間
26b 小さな隙間
C コケカッター
P コケパネル(緑化用コケパネル)
S1 第1篩装置
S2 第2篩装置
S3 第3篩装置
T1 第1コケタンク
T2 第2コケタンク
T3 第3コケタンク
T4 第4コケタンク
T5 第5コケタンク
T6 第6コケタンク
2 接着剤
3 コケ植物(コケ)
3a 第1コケ(寸法が所定長さ以上の第1コケ)
3b 第2コケ(寸法が所定長さ未満の第2コケ)
4 第1コケの隙間部分
5 コーティング剤
6 被覆
11 緑化工事面
21 緑化用材料
22 下地材
22a 砂粒子
22b 接着剤
22c 空洞部
23 コケ
24 コケパネル
25 接着剤
26 コケの隙間
26a 大きな隙間
26b 小さな隙間
C コケカッター
P コケパネル(緑化用コケパネル)
S1 第1篩装置
S2 第2篩装置
S3 第3篩装置
T1 第1コケタンク
T2 第2コケタンク
T3 第3コケタンク
T4 第4コケタンク
T5 第5コケタンク
T6 第6コケタンク
Claims (11)
- コケ植物を用いた緑化用パネルの製造方法であって、次の(a)〜(f)の工程を有することを特徴とする緑化用コケパネル(P)の製造方法。
(a)原料コケを裁断して、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)と、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)とを準備する緑化用コケ材料準備工程と、
(b)パネル材(1)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(c)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に押圧し、前記第1コケ(3a)を前記パネル材(1)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記パネル材(1)に接着していない第1コケ(3a)を前記パネル材(1)から除去する第1コケ接着工程と、
(d)前記第1コケ(3a)を接着させたパネル材(1)の表面に、前記(a)工程で準備した前記第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記パネル材(1)に押圧し、前記パネル材(1)の前記(c)工程で前記パネル材(1)に接着された前記第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に前記第2コケ(3b)を接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記パネル材(1)に接着していない第2コケ(3b)を前記パネル材(1)から除去する第2コケ接着工程と、
(e)前記パネル材(1)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記パネル材(1)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程と、
(f)前記(e)の接着剤発泡硬化工程の後に、前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)が接着された前記パネル材(1)を乾燥する乾燥工程。 - 前記(a)の緑化用コケ材料準備工程において、
前記第1コケ(3a)は、目開き4〜5mmの篩を通過し且つ目開き1〜3mmの篩を通過しないコケであり、
前記第2コケ(3b)は、目開き1〜3mmの篩を通過し且つ目開き0.3〜0.8mmの篩を通過しないコケであることを特徴とする請求項1に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法。 - 前記(b)の接着剤塗布工程において、前記接着剤(2)を1〜4mmの厚さに均一に塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法。
- 前記(e)工程において、
前記コーティング剤(5)が、水溶性エマルション樹脂の水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法。 - 前記コケが、スナゴケ、ハイゴケ及びフデゴケの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法。
- コケを用いる緑化工法であって、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法によって製造された2以上の緑化用コケパネル(P)を緑化工事面に固着することを特徴とするコケ植物を用いる緑化工法。 - コケを用いる緑化工法であって、次の(g)〜(k)の工程を有することを特徴とする緑化工法。
(g)緑化工事面(11)の表面に、吸湿して発泡硬化する接着剤(2)を塗布する接着剤塗布工程と、
(h)前記接着剤(2)が吸湿固化する前に、前記接着剤(2)の表面に、寸法が所定長さ以上の第1コケ(3a)を散布した後、
前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)に接着させ、
続いて、前記第1コケ(3a)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第1コケ(3a)を前記緑化工事面(11)から除去する第1コケ接着工程と、
(i)前記第1コケ(3a)を接着させた前記緑化工事面(11)の表面に、寸法が所定長さ未満の第2コケ(3b)を散布した後、
前記第2コケ(3b)を前記緑化工事面(11)に対して押圧し、前記緑化工事面(11)の前記(h)工程で前記緑化工事面(11)に接着された第1コケ(3a)間の隙間部分(4)に、前記第2コケ(3b)を前記接着剤(2)によって接着させ、
続いて、前記第2コケ(3b)のうち前記緑化工事面(11)に接着していない第2コケ(3b)を除去する第2コケ接着工程と、
(j)前記緑化工事面(11)の表面に接着された前記第1コケ(3a)及び前記第2コケ(3b)に、前記接着剤(2)の発泡硬化を促進させるコーティング剤(5)又は水を散布した後、前記コーティング剤(5)又は水を前記緑化工事面(11)の表面に塗布された接着剤(2)まで浸み込ませて前記接着剤(2)の発泡硬化を促進する接着剤発泡硬化工程。 - 前記第1コケ(3a)は、目開き4〜5mmの篩を通過し且つ目開き1〜3mmの篩を通過しないコケであり、
前記第2コケ(3b)は、目開き1〜3mmの篩を通過し且つ目開き0.3〜0.8mmの篩を通過しないコケであることを特徴とする請求項7に記載の緑化工法。
- 前記(g)の接着剤塗布工程において、
前記接着剤(2)を1〜4mmの厚さに均一に塗布することを特徴とする請求項7又は8に記載の緑化用コケパネル(P)の製造方法。 - 前記(j)工程において、
前記コーティング剤(5)が、水溶性エマルション樹脂の水溶液であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のコケを用いる緑化工法。 - 前記コケが、スナゴケ、ハイゴケ及びフデゴケの少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の緑化工法。
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DE102019135653A1 (de) * | 2019-12-22 | 2021-06-24 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Verfahren zum Aufbringen von Moos und moosbewachsene Fläche |
CN114365667B (zh) * | 2021-12-08 | 2023-06-02 | 深圳市数字城市工程研究中心 | 一种基于蕊形真藓的新型屋顶绿化方法 |
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JP2004154133A (ja) * | 2002-10-17 | 2004-06-03 | Mino Doro Kk | コケ育成シート及びそれを用いた構造物緑化方法 |
JP2009005603A (ja) * | 2007-06-27 | 2009-01-15 | Takubo Engineering Co Ltd | コケ植物の染色方法 |
JP2009072185A (ja) * | 2007-08-28 | 2009-04-09 | Ecolovie Corp | コケ植物を用いた緑化用材料とその製造方法並びに緑化工法 |
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- 2010-11-12 WO PCT/JP2010/070235 patent/WO2012063367A1/ja active Application Filing
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