JP5015835B2 - 無植生壁面の緑化工法 - Google Patents

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Description

本発明は無植生壁面の緑化工法に関し、更に詳しくは、直壁を含む急峻な法面や斜面、またビル建造物の直壁面などのように植物の生育・繁茂がきわめて困難である無植生壁面を、コケまたはコケとシダを用いて緑化する工法に関する。
都市部には随所にコンクリート擁壁や石積ブロック塀などが存在しているが、これらはいずれも直壁面であったり、急勾配であるため表層土は存在せず、したがって樹木は成立していない。
また、都市部の再開発に伴い、都市部とその近郊では高層ビルやマンションなどのコンクリート建造物が林立し、また道路網などの交通網も拡張しているが、このような都市再開発事業は、都市人口の増加とそれに伴う排熱量の増加、都市部の無機質化を急速に進めており、その結果、例えば盛夏時に異常な暑熱を伴うヒートアイランド現象が多発する傾向が強まっている。
このような都市部とその近郊の無機質化は、自動車道路網の整備に伴う交通量の増加ともあいまって、地球温暖化の重大な要因となることから、都市部建造物への緑化工法の導入が注目を集めている。
例えば、ビルの直壁面に対しては、そこでは通常の植生は生育できないので、概ね、ナツヅタのようなつる性植物を用いて緑化が行われている。しかしその場合、潅水、施肥、落葉・落枝の除去処理などの維持管理作業が必要であり、しかもビル街特有の強風であるビル風の影響で落枝・落葉して人災を招く虞れもあり、厳重な管理が必要となる。このようなことから、ビル街の緑化に関しては、屋上緑化やテラス壁面緑化などの部分的な処理が進められているにすぎない。
また、コンクリート擁壁や石積ブロック塀などの場合は、植生を用いた緑化工法はほとんど施工されていないという現状にある。そして、コンクリート擁壁ではそこに埋め込まれている排水パイプのような隙間にトラノオシダの群落が自生している程度である。
なお、コンクリートなどの無機質材料から成る斜面を緑化する工法として次のような方法が提案されている(特許文献1を参照)。
この方法では、コンクリート斜面に鉄筋や針のようなからみ材を付着基盤として設け、そしてそこに、芝の種子と土砂の混合スラリーを吹付けて基盤層を形成し、ついで基盤層の上にコケ植物のかたまりと保水材の混合スラリーが吹付けられる。基盤層の中で発芽した芝の根と吹付けられたコケが絡みあって、コケは基盤層の上に固定される。そして、基盤層は付着基盤で固定されているので、コンクリート斜面はコケによって緑化される。
また、岩盤が露出している斜面や急傾斜で凹凸度の高い法面なども、植物の一率の生育が困難であり、貧弱な植生が点在しているに過ぎない。
そして、急勾配の法面の緑化に関しては、例えば、現場打吹付け法枠を併用して植生基盤を吹付ける工法が適用されている。しかしながら、この場合、全面的な緑被の永続性には限度があり、基盤の土壌化や凍結融解に伴って、植生基盤が多孔質化して剥離・落下することがある。また、植生根茎の発達・肥大化に伴い表層土の浮き上がりなどの問題が発生する。
このように、コンクリート建造物の直壁面を含めて、急勾配の傾斜面への緑化工法の導入が種々検討されているが、急勾配の急斜面では植物の生育が極めて困難であるということに規定されて現在まで有効な工法はない。現在、有効な工法の開発が望まれている。
特開2001−98555号公報
本発明は、上記した社会的な要望に応えるべく開発された緑化工法であって、代表的には直壁面を含む急勾配の法面であって、事実上、植生の生育が困難である無植生壁面を後述する吹付け工法によって、コケ、またはコケとシダの双方で緑化する無植生壁面の緑化工法の提供を目的とする。
なお、本発明でいう無植生壁面とは、表面に安定した表層土が存在していないので、事実上、植生の生育が困難な壁面であり、とりわけ、上記したように直壁面を含む急勾配(1:0.8以下)の壁面のこととする。
具体的には、コンクリート建造物や石積ブロック塀の壁面、道路の路肩壁面などの人工建造物の急斜面の外に、例えば景勝地における岩盤や断崖などの植生生育が困難な凹凸の激しい急斜面を挙げることができる。
上記した目的を達成するために、本発明においては、
多孔質基材にコケの胞子、コケ栄養剤、およびコケの発根促進剤が含有されているコケ生育基盤材と、固結材と、細骨材と、水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面にコケ生育基盤を形成する工程(以下、第1−1工程という); および、前記コケ生育基盤の表面を洗浄して、前記コケ生育基盤材の一部表面を表出させる工程(以下、第1−2工程という);
を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法(以下、第1工法という)が提供される。
また、本発明においては、
コケマットの細片または/およびコケ前葉体と固結材と細骨材と水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面にコケ生育基盤を形成する工程(以下、2−1工程という);
前記コケ生育基盤の表面を洗浄して前記細片または/およびコケ前葉体の一部表面を表出させる工程(以下、2−2工程という);および、
前記細片または/およびコケ前葉体の表出面に、コケの栄養剤およびコケの発根促進剤を塗布または吹付ける工程(以下、2−3工程という);を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法(以下、第2工法という)が提供される。
更に、本発明においては、
表面にコケの栄養剤とコケの発根促進剤が付着しているコケマットの細片または/およびコケ前葉体と固結材と細骨材と水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面の表面にコケ生育基盤を形成する工程(以下、3−1工程という);および、
前記コケ生育基盤の表面を洗浄して、前記細片または/および前記コケ前葉体の一部表面を表出させる工程(以下、3−2工程という);
を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法(以下、第3工法という)が提供される。
また、本発明においては、
上記した第1工法、第2工法、および第3工法のいずれかにおいて、
前記無植生壁面の一部または全部に網を張設し、前記網に、根茎部が保水剤で被包されたシダ株の前記根茎部を収容する通水性容器が取り付けられていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法(以下、第4工法という)が提供される。
そして、第1工法で用いる多孔質基材は木質または/および草質の破砕チップであることを好適とする。また、上記した第1工法、第2工法、第3工法、第4工法のいずれにおいても、用いるコケ生育基盤材には、更に、シダの胞子または/およびシダ前葉体が含まれていてもよい。そして、無植生壁面に吹付ける前記した混合スラリーには、保水剤が配合されていることを好適とし、前記コケの栄養剤がデンプンであり、前記コケの発根促進剤がアルギン酸であり、またアルギン酸に例えばパイナップル酵素を混合したものであることを好適とする。
本発明の緑化工法では、根系土壌空間が極小であっても自然界から供給される水分と陽光だけで、生育することができるコケやシダを緑化源とする。また、混合スラリーを壁面に吹き付けて形成されるコケ生育基盤が崩落しない限り、そのコケ生育基盤でコケやシダが生育するので壁面緑化は実現する。とくに、第1工法の場合は、コケ生育基盤材の骨格が木質や草質の破砕チップのような保水性に優れた多孔質基材であるので、コケやシダにとって好適な生育環境になる。
したがって、例えば都市部のコンクリート建造物の直壁面にこのコケ生育基盤を形成することにより、工法施工の場所の低温化をうながし、輻射熱の発散を防止または抑止して都市部におけるヒートアイランド現象の発生などを抑制することができる。
本発明は無植生壁面をコケ、またはコケとシダで緑化する工法である。ここで、コケとシダを植生の対象に選定した理由は以下の通りである。
まず、本発明における緑化対象の無植生壁面は、基本的には表層土が存在せず、植物にとっての根系土壌空間が極小であり、したがって、保水力も極小であり、植物にとっては過酷な生育環境である。
このような環境で生育できる植物は、したがって、根系土壌空間が極小であっても成立し、温度や水分の要求度が低く、しかも降雨や高湿度にも耐え、日陰や陽光下でも生育でき、そして施肥を前提にすることなく生育できる植物であることが求められる。
このような条件を満たす植物はコケであり、シダである。しかも、コケやシダは胞子で増殖し、光合成を行い、常緑性であり、肥大せずに成長後は一定の大きさを保持し、枯葉も付生したまま落下せず、日陰形成され、そして節理や微小隙間の空間で生息することができる。
このような視点から、本発明では、植生対象としてコケ、コケとシダが選定される。
用いるコケとしては格別限定されるものではなく、スギゴケやハイゴケなどのセン(蘚)類、ゼニゴケやツボミゴケなどのタイ(苔)類、ニワツノゴケなどのツノゴケ類のいずれであってもよい。
また、シダとしては、例えばオニヤブソテツ、ヤブソテツ、ホシダ、イノデ(いずれもオシダ科)、カタヒバ(イワヒバ科)、ノキシノブ、ヒトツバ、タマシダ、クリハラン(いずれもワラボシ科)などを用いることができる。
本発明において、第1工法、第2工法、および第3工法は、いずれも、基本的には無植生壁面をコケで緑化する工法であり、第4工法はコケとシダの双方で緑化する工法である。以下、各工法を順次詳細に説明する。
1.第1工法
この工法は、コケの胞子を用いる工法であって、後述するコケ生育基盤材と固結材と細骨材と水との混合スラリーを調製して、それを緑化対象の無植生壁面に吹付けてコケの生育基盤を形成する第1−1工程と、その生育基盤の表面を洗浄してコケ生育基盤材の表面を表出させる第1−2工程をもって構成される。
なお、工法の施工に先立ち、以下のような施工壁面の環境に関する事前調査、対象壁面の洗浄を行っておくことが好ましい。
すなわち事前調査の項目としては、例えば、コケやシダの生育環境として、年間の気温と降雨量の調査、壁面における方位別の降雨量の調査などの地域気象調査項目;冬期、夏期の日照調査項目;用いるコケの胞子(第2、第3工法の場合はコケマットの細片)を選定するために周辺に自生するコケやシダの種類を特定する調査項目;形成された緑化壁面への水の供給源や流下水の流下ルートに関する調査項目;などが検討される。
また、対象壁面の洗浄はここに形成されるコケの生育基盤を当該対象壁面に強固に付着させることを目的として、例えば対象壁面に付着しているコケやあかなどの障害物を除去するために実施される。例えば、洗浄機などを用いて行なわれる。なお、新規工事の場合には、この処置は不要である。
対象壁面に吹付けるコケ生育基盤材は多孔質基材とコケの胞子とコケの栄養剤とコケの発根促進剤とで構成され、また吹付け施工で形成されるコケ生育基盤は上記したコケ生育基盤材と固結材と細骨材と水で構成されている。
ここで、コケ生育基盤材における多孔質基材としては、機能面でいえば、無機質材であろうと有機質材であろうと、骨格部と空隙部を有する多孔質材料であって、その空隙部に目的物質を担持することができる材料であれば何であってもよいのであるが、コケの栄養源にもなり得るし、コケ生育基盤材の最終的な土壌化とその場での他の微生物や昆虫とが共存する生態系を創出できるという観点からしても、多孔質材としては一定の保水機能を有する有機質材であることが好ましい。
具体的には、各種の木材や草類を細く破砕した破砕チップを好適例とする。例えばスギ、ヒノキ、ブナの破砕物のような保水性に優れた木質、竹、笹のような草質の破砕チップをあげることができる。その場合の破砕チップの大きさは、形成するコケ生育基盤の厚みとの関係で、5〜20mm程度にすることが好ましい。
この多孔質基材は、その空隙部や表面にコケの胞子とコケの栄養剤とコケの発根促進剤を担持し、同時に空隙部に水分を吸収確保することにより、コケ生育基盤材の骨格となる。そして、この多孔質基材からコケの胞子が発芽して、コケの個体となり、個体の表面全体で空隙部に確保されている水分や大気中の水分を吸収して生育していき、コケは発根した自らの仮根によってこの多孔質基材に活着する。
用いるコケの胞子としては、前記した各種のコケ類が産生する胞子であれば何であってもよいが、工法の施工壁面の周辺に自生しているコケの胞子であることが好ましい。環境に順応してコケの生育が円滑に進行するからである。
用いるコケの栄養剤としては、コケ胞子の発芽、生育にとって有効なものであれば何であってもよく、例えば、デンプン類や、窒素、リン、カリウム成分を含み分解の遅い肥料などをあげることができる。具体的には、粥、おもゆなどを好適例とする。とくに、粥、おもゆなどは形成されるコケ生育基盤を壁面へ接着させる能力も備えているので好適である。
また、コケの発根促進剤は、根の活性、発根を促して根圏を拡大させる一種の植物活性剤または植物成長促進剤であるが、そのような発根促進剤としては、例えばアルギン酸をあげることができる。具体的には、昆布エキスなどの海草類を好適例とする。なお、アルギン酸に更にパイナップル酵素を混合して用いると、発根促進の効果はより向上するので好適である。
コケの生育基盤材の調製に際しては、コケの胞子、コケの栄養剤、コケの発根促進剤を同時に水に分散または溶解させて分散液または水溶液とし、ここに前記した多孔質基材を投入してその空隙部に分散液または水溶液を含浸させればよい。
なお、このときに、シダの胞子も同時に添加してもよい。得られたコケの生育基盤材からはコケが生育すると同時にシダも生育する。
このコケ生育基盤材は、後述する固結材と細骨材と水とからなる混合スラリーの状態にして対象壁面に吹付けられる。
固結材はコケ生育基盤材と細骨材を結着すると同時に、形成されるコケ生育基盤を対象壁面に強固に付着させるために配合される。したがって、固結材としては、対象壁面との付着力が大きいものであることが好ましく、例えば、セメント類、モルタル類、フライアッシュなどを好適例としてあげることができる。
また、細骨材は対象壁面に形成されたコケ生育基盤の強度を確保すると同時に、当該コケ生育基盤を若干多孔質構造にして内部への水分供給や空気の供給、またわずかではあれ陽光の入射を実現させるために配合される。このような細骨材としては、例えば、砂や、パーライトのような多孔質軽量骨材などを好適例としてあげることができる。
混合スラリーは、これらの材料と水を例えばミキサで混合して調製されるのであるが、各材料の配合量は、混合スラリー吹付け時における、対象壁面との付着性、コケの緑化密度の高低、造成するコケ生育基盤の厚みなどの観点を勘案して適宜に設定される。
例えば、水が多すぎると、吹付け作業性は向上するものの対象壁面へコケ生育基盤が形成しづらくなり、また固結材や細骨材が相対的に多すぎると吹付け作業性は極度に悪化する。またコケ生育基盤材が相対的に少なすぎると施工後の壁面におけるコケ緑化が貧弱になってしまう。
対象壁面の状態にもよるが、混合スラリーとしては概ね、スラリー1m当り、コケ生育基盤材1500〜2000L,固結材10〜50L、細骨材5〜30L、そして水700〜1000Lにすればよい。
なお、混合スラリーの調製に際しては、更に、例えば各種の吸水性ポリマのような保水材を配合してもよい。保水材を配合することにより、対象壁面に形成されたコケ生育基盤からの水分の蒸散が抑制されることになるので、コケやシダの生育にとって好適であるからである。
吹付け作業は公知のポンプ圧送装置を用いて行えばよい。その際、対象壁面には予め散水しておき、混合スラリーと対象壁面との馴染みをよくしておくことが好ましい。
このようにして、対象壁面にコケ育成基盤が形成される。このとき、コケ生育基盤の厚みを厚くしすぎると、当該コケ生育基盤が自重で対象壁面から剥落することがあり、また薄い場合は、後述する第1−2工程の洗浄時に当該コケ生育基盤それ自体の流亡が起こるようになるので、コケ生育基盤は1〜30mm程度の厚みに形成することが好ましい。
このような第1−1工程の終了後、続けて第1−2工程が施工される。
第1−2工程では、第1−1工程で形成されたコケ生育基盤の表面を洗浄して表層部の固結材を除去し、コケ生育基盤材の表面を表出させる。例えば、形成されたコケ生育基盤の表面に水を流しながらブラシで軽くスイープすればよい。
このようにして、コケ生育基盤材に確保されているコケの胞子には降雨水などが供給されるようになり、また空気や陽光とも接触して、炭酸同化作用の場が保障される。
なお、この第1工法においては、第1−1工程を実施する際に対象壁面に、コケ生育基盤の付着性を確実にするために、例えば亀甲金網のような網を張設しておいてもよい。
2.第2工法
第2工法は、第1工法におけるコケ生育基盤材を用いることはなく、無植生壁面をコケで緑化する工法である。
そして、この第2工法は、対象壁面が例えば軽量ブロック材のような多孔質材である場合に適用して有効である。
この工法の第2−1工程では、後述する混合スラリーを対象壁面に吹付けてコケ生育基盤が形成される。
混合スラリーとしては、既にコケが成立しているコケマットをばらばらに分解したコケ細片または/およびコケの前葉体と固結材と細骨材と水を混合したものが用いられる。ここで、固結材、細骨材としては、第1工法で説明したものが用いられる。また混合スラリーにおけるそれぞれの配合量は第1工法の場合と同様な観点から設定される。なお、このときに、更にコケの胞子を配合してもよい。
この第2−1工程が終了後に形成されているコケ生育基盤の場合、したがって、既に生育しているコケの個体、発芽が終わっているコケ個体の前駆体(前葉体)が当該コケ生育基盤の内部に埋設された状態になっている。しかし、そこにはコケの栄養剤とコケの発根促進剤は存在していない。
そのため、第2−2工程では、形成されているコケ生育基盤の表面を洗浄してコケの細片または/およびコケ前葉体の表面を大気中に表出させる。この工程は、第1工法における第1−2工程と同様な態様で行えばよい。
そして、第2−3工程では、コケの細片やコケ前葉体の表出面に、コケの栄養剤とコケの発根促進剤を塗布または吹付ける。
コケの栄養剤とコケの発根促進剤としては、第1工法で説明したものを用いればよく、具体的には、これらの分散液または水溶液を塗布または吹付けてコケの細片やコケ前葉体の表出面に付着させればよい。
このことにより、コケ生育基盤の表面に表出している細片のコケまたは/およびコケ前葉体の生育が進行する環境が整備され、コケ生育基盤、すなわち対象壁面は緑化する。
3.第3工法
第3工法の場合も、第2工法の場合と同じようにコケマットの細片または/およびコケ前葉体を用いて対象壁面をコケで緑化する。
その場合、第3−1工程で用いる混合スラリーの成分として、コケの細片または/およびコケ前葉体に予めコケの栄養剤とコケの発根促進剤を付着させたものを用いることを除いては、第2工法の場合と同じである。
具体的には、コケの栄養剤とコケの発根促進剤の分散液または水溶液にコケの細片やコケ前葉体を浸漬して、それらの表面に栄養剤と発根促進剤を付着させたものを用いる。
そして、第3−2工程では、混合スラリーを対象壁面に吹付けて形成されたコケ生育基盤の表面を第2工法の第2−3工程の場合と同じように洗浄して、当該コケ生育基盤の内部に分布している前記コケの細片やコケ前葉体の表面を表出させる。
その結果、第2工法の場合と同じように、コケ生育基盤の表面に表出しているコケの細片または/およびコケ前葉体には予め栄養剤と発根促進剤が付着した状態になっているので、ここに、コケの生育が進行する環境が整備されたことになる。
なお、この工法においても、混合スラリーの調製時にはコケの胞子を配合してもよい。
4.第4工法
この工法は、対象壁面をコケとシダの双方で緑化する工法である。具体的には、前記した第1工法、第2工法、および 第3工法を施工するに際して、同時にシダも共生させる工法である。
シダも胞子植物であり、とくに大きな根系土壌空間を必要とせず、また、根系空間が狭小であっても伸長することができ、そして植被率が高く、地盤の遮蔽効果が大きい。
このようなことから、コケとシダが共生している場合には、例えばシダが周辺のコケに対して遮光効果を発揮することになり、そのことによってコケ生育基盤でコケが生育している箇所からの水の蒸散を抑制する。
なお、用いるシダとしては、コケの場合と同様に、施工現場の周辺に自生しているものであることが好ましい。
この第4工法を施工するに際しては、例えば図1で示したように、樹脂のネットなどを巻いて半円錐状に加工した通水性容器1を用意し、この容器1の中に、根茎部が例えば保水材2aで被包されているシダ2を収容したシダカプセル3を予め製作しておく。
そして、対象壁面には、例えば亀甲金網のような網を張設する。網の張設は、後述するようにシダカプセルを取り付けるためである。張設箇所は、対象壁面の全面であってもよく、またシダを共生させたい箇所のみであってもよい。
そして、張設された網に図1で示したシダカプセル3を取り付ける。取り付けの個数はシダカプセル内のシダの大きさにもよるが、概ね、対象壁面1m当たり3〜5個程度にすればよい。
このような状態でこの対象壁面に第1工法〜第3工法のいずれかを施工してコケ生育基盤を形成する。
このようにして、シダが共生可能になっているコケ生育基盤が形成される。
なお、第4工法では、混合スラリーでコケ生育基盤を形成し、その後、必要箇所の網にシダカプセルを取付けてもよい。
なお、以上の工法において、造成するコケ育成基盤が10mm以下の厚みであり、また施工壁面が粗度のあるポーラスなコンクリート面や軽量ブロックの壁面などである場合には、前記固結材と細骨材を用いることなく、単に例えば高分子接着剤を混合スラリーに配合しての生育基盤材にしてもよい。
以下のようにして、勾配に1:0.4のコンクリート擁壁に第1工法を施工した。施工時期は4月である。施工場所は積雪地である。
スギ材の破砕チップを用意した。チップの大きさは10mm下である。一方、コケの栄養剤として、デンプン粉1kgを水5Lに溶解したもの、コケの発根促進剤として、アルギン酸とパイナップル酵素の混合物5gを水1Lに溶解したものを用意し、両者を混合し、ここに、コケの胞子200gと破砕チップ2000Lを投入して、温度25℃、湿度90%の環境で20日間湿潤養生したのち取り出し、コケ生育基盤材とした。
このコケ生育基盤材2000L、ポルトランドセメント(固結材)15kg、粒径が3mm下の砂(細骨材)10kg、水150Lをミキサーで混合して混合スラリーを調製し、この混合スラリーをポンプ圧送装置を用いてコンクリート擁壁50mに吹付けて厚み20mmのコケ生育基盤を形成した。
ついで、このコケ生育基盤の表面に水を流しながらブラシで軽くスイープしてコケ生育基盤材の表面を一部表出させた。
1年経過後の施工箇所ではコケ生育基盤の落下はなく、そして全面にはコケが生育していた。また、施工前のこのコンクリート擁壁における盛夏の炎天下での温度は39〜55℃であったが、施工後にあっては、36〜44℃となり、コケ緑化による効果が明白であった。そして、3年間は維持・管理が不要であった。
以上の説明で明らかなように、本発明の緑化工法を適用することにより、急勾配の既設コンクリート擁壁面、コンクリート建造物の直壁面や、景勝地の岩盤、植生の成立が困難な地盤などのような無植生壁面への緑化導入が可能となり、人間に優しい環境づくりにとって有用である。
本発明の第4工法で用いるシダカプセルの斜視図である。
符号の説明
1 通水性容器
2 シダ
2a 保水材
3 シダカプセル

Claims (9)

  1. 多孔質基材にコケの胞子、コケの栄養剤、およびコケの発根促進剤が含有されているコケ生育基盤材と、固結材と、細骨材と、水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面にコケ生育基盤を形成する工程;
    および、前記コケ育成基盤の表面を洗浄して、前記コケ生育基盤材の一部表面を表出させる工程;
    を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法。
  2. コケマットの細片または/およびコケ前葉体と、固結材と、細骨材と、水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面にコケ生育基盤を形成する工程;
    前記コケ生育基盤の表面を洗浄して前記細片または/およびコケ前葉体の一部表面を表出させる工程;および、
    前記細片または/およびコケ前葉体の表出面に、コケの栄養剤およびコケの発根促進剤を塗布または吹付ける工程;
    を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法。
  3. 表面にコケの栄養剤とコケの発根促進剤が付着しているコケマットの細片または/およびコケ前葉体と、固結材と、細骨材と、水とを混合して成る混合スラリーを無植生壁面に吹付けて、前記無植生壁面の表面にコケ生育基盤を形成する工程;および、
    前記コケ生育基盤の表面を洗浄して、前記細片または/および前記コケ前葉体の一部表面を表出させる工程;
    を備えていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法。
  4. 前記コケ生育基盤材には、更に、シダの胞子または/およびシダ前葉体が含有されている請求項1〜3の何れかの無植生壁面の緑化工法。
  5. 前記混合スラリーには保水材が配合されている請求項1〜4のいずれかの無植生壁面の緑化工法。
  6. 前記多孔質基材が、木質または/および草質の破砕チップである請求項1の無植生壁面の緑化工法。
  7. 前記コケの栄養剤がデンプンであり、前記コケの発根促進剤がアルギン酸、またはアルギン酸とパイナップル酵素の混合物である請求項1〜3のいずれかの無植生壁面の緑化工法。
  8. 前記コケ生育基盤の厚みは1〜30mmである請求項1〜7のいずれかの無植生壁面の緑化工法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの無植生壁面の緑化工法において、
    前記無植生壁面の一部または全部に網を張設し、前記網に、根茎部が保水材で被包されたシダ株の前記根茎部を収容する通水性容器が取り付けられていることを特徴とする無植生壁面の緑化工法。
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