JP5785000B2 - 純水装置の運転方法及び純水装置 - Google Patents
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Description
同図において、1は原水を貯留する原水タンク、2は活性炭槽などの前処理装置、3は逆浸透膜装置、5は電気脱イオン装置、6は純水タンクである。
原水タンク1から供給される原水は、前処理装置2に送られてろ過され、ろ過水は、高圧ポンプP1によって、逆浸透膜装置3に送水される。逆浸透膜装置3から排出される逆浸透膜処理水は、電気脱イオン装置5に通水されて脱塩処理が行われ、脱塩水、即ち純水は純水タンク6に貯留される。
なお、逆浸透膜装置3の濃縮水は、濃縮水排水ライン7から排出される。
しかし、このような電気脱イオン装置を断続運転する方法では、運転を停止した後、運転を再開する際に、電気脱イオン装置の出口水の水質が低下して、元の抵抗率に回復するのに時間を要し、結果的に抵抗率の低い出口水しか得られないという問題があった。
さらに、逆浸透膜装置の運転時間が長くなるため、逆浸透膜装置の運転の負荷も大きくなり、逆浸透膜モジュール(ROモジュール)の交換頻度が増加するという問題もあった。
図4に示した純水システムの逆浸透膜装置3と電気脱イオン装置5間の管路にNaCl水溶液の注入部を設け、その下流側に導電率計とTOC計を取付けた。次に、電気脱イオン装置5の入口水が所定の導電率となるように、逆浸透膜装置3の出口水に、NaCl水溶液を、次に示すタイミングで注入するとともに、電気脱イオン装置の出口水の抵抗率を測定した。
なお、使用した装置及び運転条件は、次のとおりである。
電気脱イオン装置:(MK−3 mini 米国GE社製)
原水:厚木市水
通水率:20L/分
電気脱イオン装置の入口水の導電率:0〜2分→ 約5μS/cm
(NaCl水溶液の添加なし)
2〜4分→約100μS/cm
(NaCl水溶液の添加あり)
4〜6分→約200μS/cm
(NaCl水溶液の添加あり)
6〜8分→約100μS/cm
(NaCl水溶液の添加あり)
8〜10分→約5μS/cm
(NaCl水溶液の添加なし)
この実験による電気脱イオン装置の出口水の抵抗率は、図6に示すとおりであり、入口水の導電率を高くしたことによる電気脱イオン装置の出口水への影響は全く認められなかった。また、電気脱イオン装置への通水は、NaCl水溶液の添加を停止した後も5時間継続したが抵抗率の低下等は認められなかった。
すなわち、上記試験からは、電気脱イオン装置の入口水へのNaCl水溶液の添加による処理水の抵抗率への影響は認められなかった。
次に、図4に示したシステムを1時間連続運転後、24時間停止し、通水率20L/分で運転を再開したときの逆浸透膜装置3の出口水のTOC濃度を測定した。測定結果を図7に示す。図7から、逆浸透膜装置3の運転再開直後にTOCの値が上昇することがわかる。
なお、使用した装置及び運転条件は、それぞれ次のとおりである。
前処理装置:ACボンベ(NCC−200AC 野村マイクロ・サイエンス株式会社製、充填活性炭:活性炭クラレコールKW)2本
逆浸透処理装置:モジュール(東レ株式会社製DOW社製SG30−LE440i)2本、運転圧力0.7MPa、供給流量2m3/h、水回収率60%
電気脱イオン装置:(MK−3 mini 米国GE社製) 1台
原水:厚木市水
通水率:20L/分
実験2で使用したシステムの逆浸透膜装置の次段に硬度除去装置(三菱化学社製 SK−1B)を介在させ、1時間連続運転し、3時間停止した後、運転を再開したときの逆浸透膜装置の出口水のTOC濃度を測定した。測定結果を図8に示す。図8から、運転再開直後にTOCの値が上昇していることがわかる。
図9に示すように、図5のシステムの硬度除去装置4と電気脱イオン装置5の間に貯水タンク11を設置するとともに、電気脱イオン装置5の純水排出ライン9に純水排出ライン9の純水を貯水タンク11に還流させる循環ライン9aを設けたシステムを用いて以下の実験を行った。なお、電気脱イオン装置の純水排出ライン9の出口水の抵抗は、同ライン9に設置した抵抗計により測定した。
同図中、V3,V4は、電気脱イオン装置5の出口水を循環ライン9aと純水タンク6への送水ライン9bに切替える開閉弁である。この実験では、V3は閉、V4は開として、常に循環の状態とした。また、ポンプP1は、通常は、貯水タンク11のレベルスイッチLS2により、ポンプP2は純水タンク6中のレベルスイッチLS1により、それぞれ所定の水位となるように自動でON−OFF制御される。また、この実験では、電気脱イオン装置5は、ライン9、ライン9aタンク11を経て、常時循環運転し、電気脱イオン装置5の電極間に直流電圧を印加し続けた。
すなわち、電気脱イオン装置5は、常に循環で動いている場合でも、ポンプP1の停止・運転再開の影響を受けることが確認された。これは、逆浸透装置3及び、硬度除去装置4の運転再開時の抵抗率では観測されないような一時的な水質悪化、すなわち、TOCの影響を強く示唆するものである。
以上の実験1〜4の結果から、断続運転における電気脱イオン装置5の出口水の水質の低下は、運転停止時における電気脱イオン装置5内でのイオン濃度勾配の破壊によるよりも、断続運転における運転再開時に短時間放出される前段装置の出口水のTOCが関係している可能性が高いと考えられる。
さらに、(a)の工程における電気脱イオン装置の被処理水、又は(b)の工程における電気脱イオン装置の処理水の少なくとも一方の一部又は全部を、前記原水タンク又は前記逆浸透膜装置の供給水に還流させるようにすれば、原水の使用量を、その分だけ少なくすることができる。
また、本発明の純水装置は、前記電気脱イオン装置から前記純水タンクへの純水の供給ラインから分岐する循環ラインと、前記電気脱イオン装置からの純水を、前記循環ラインに送水させる弁装置と、前記弁装置を、前記電気脱イオン装置の処理水が前記電気脱イオン装置の運転開始から所定の時間前記循環ラインに送水され、その後前記純水タンクに送水されるように制御する制御装置と純水を前記電気脱イオン装置の分岐する循環ラインと、を有していることが好ましい。
なお、弁装置としては、電磁弁、モーター弁、三方弁など本発明の目的に沿う弁装置であれば特に、制限はない。
断続運転を行う純水装置の運転再開時に電気脱イオン被処理水を所定の時間排水する工程を初期ブローと記載する。
(実施形態1)
図1は、この実施形態のシステム構成図である。
この実施形態は、従来システムと同様に、主に、原水タンク1、前処理装置2、逆浸透膜装置3、電気脱イオン装置5及び純水タンク6から構成される。
原水タンク1は、原水を貯留するタンクであり、前処理装置2は原水中のゴミ等の夾雑物や次亜塩素酸を除去するための活性炭をろ過材としたろ過装置である。
電磁開閉弁V3,V4は、常時は、V3が開、V4が閉とされているが、必要に応じて、V3を閉、V4を開に切り替えて、ポンプP1を運転状態にしたまま、純水タンク6への送水を停止できるようになっている。循環ライン9aの管端は、例えば、高圧ポンプP1の入口側(又は原水タンク1)に接続される。
なお、図示を省略したが、逆浸透膜装置3の濃縮水排出ライン7も高圧ポンプP1の入口側に接続してもよく、原水タンク1へ返送してもよい。
純水タンク6には電気脱イオン装置5により脱塩処理された純水が貯留されてユースポイントの使用に供される。純水タンク6内にはレベルスイッチLS1の水位検知部が設けられ、純水タンク6内の純水の水位の設定上限位置L1及び設定下限位置L2になったことを検知して電気信号を出力し、この電気信号により高圧ポンプP1及び電磁開閉弁V1,V2が制御される。
この電気信号により、高圧ポンプP1が運転を開始し、同時に、電磁開閉弁V1が開、V2が閉となり、タイマーにより、所定の時間、例えば、最大で15〜20分、装置によっては1〜15分経過後に電磁開閉弁V1が閉、V2が開に切換えられる。そして、電気脱イオン装置5の電極間に直流電圧が印加される。なお、電気脱イオン装置5の電極間に直流電圧を印加する時期は、ブロー開始前でも構わない。
また、この、ブロー時間は、ラインの組み方、ラインの長さ等で変化するので、立ち上げ時の水質の経時変化を実測した上で決定するようにしてもよい。この場合、装置を3時間以上停止した後、運転を再開し、この際の水質(TOC)の経時変化を実測する。実測値の経時変化から、TOC値がピークに達した後、ピーク時のTOC値に対し、好ましくは、60%、より好ましくは70%、さらに、好ましくは、85%までTOCが低下した時間を、ブロー終了時間とすれば最適なブローが可能である。このようにして定めると、不要なブローをせずに済むという効果があり、より好ましい。なお、ピーク時のTOC値に対し、60%まで低下しないうちにブローを中止した場合には、電気脱イオン装置5の水質の低下という不具合が生じ、十分な効果が得られない。
したがって、電気脱イオン装置の断続運転において、起動時や運転再開後、所定の時間が経過するまでは、逆浸透膜3の処理水は、ブローライン8aから放出され、所定の時間経過後に電気脱イオン装置5に供給されるようになる。
電磁開閉弁V3,V4の切換えは、断続運転の頻度が高く、電気脱イオン装置5のイオン交換樹脂の再生が不十分になるおそれがある場合に行われる。この場合、V3を閉、弁V4を開とすることにより、純水タンク6内の水位に関係なく高圧ポンプP1は一時的に連続運転状態とされる。
次に本発明の実施例及び比較例について説明する。
なお、実施例及び比較例に使用した原水、使用装置等は次のとおりである。
[原水]:厚木市水
[装置]
前処理装置:ACボンベ(NCC−200AC 野村マイクロ・サイエンス株式会社製、充填活性炭:活性炭クラレコールKW)2本
逆浸透処理装置:モジュール(DOW社製SG30−LE440i)2本、運転圧力0.7MPa、供給流量2m3/h、水回収率60%
電気脱イオン装置:(MK−3 GE社製)1台
電磁開閉弁V1と逆浸透処理装置3(又は硬度除去装置4)間の配管:25mmφ(内径)×2.5m(長さ)
通水率:20L/分
断続運転における運転開始時には、弁V1を開、弁V2を閉にして、2分間ブローを行った後、V1を閉、V2を開にして、通常運転に切り替えた。
上記運転時の電気脱イオン装置3の処理水水質の経時変化は図2に示すとおりであり、透過水水質は、ほぼ17MΩ・cm以上で高水質を保っていた。
この断続運転による電気脱イオン装置6の透過水の抵抗率は、17MΩ・cm以上であった。
Claims (6)
- 少なくとも原水を貯留する原水タンク、逆浸透膜装置、電気脱イオン装置及び前記電気脱イオン装置の処理水を貯留する純水タンクを、流路に沿って有し、前記純水タンクの水位に応じて断続運転される純水装置の運転方法であって、
前記純水装置の運転再開にあたって、
(a)前記電気脱イオン装置の前段に設置された機器で処理された前記電気脱イオン装置の被処理水を所定の時間排水する工程と、
(b)前記電気脱イオン装置の前段に設置された機器で処理された前記電気脱イオン装置の被処理水の排水を停止し、前記電気脱イオン装置への前記機器の処理水の供給を開始するとともに、前記電気脱イオン装置の電極間に直流電圧を印加して脱イオン処理を開始する工程と、
を有し、
前記(b)の工程において、前記電気脱イオン装置の被処理水の排水の停止を、前記電気脱イオン装置の被処理水のTOC値が、ピークに達した後、該ピーク時のTOC値に対して60%以上低下したときに行うことを特徴とする純水装置の運転方法。 - 前記(b)の工程において、運転開始後所定の時間内に電気脱イオン装置が処理した処理水を排水し、その後処理した処理水を前記純水タンクに貯留することを特徴とする請求項1記載の純水装置の運転方法。
- (a)の工程又は(b)の工程における排水の少なくとも一方の一部又は全部を、前記原水タンク又は前記逆浸透膜装置の供給水に還流させることを特徴とする請求項1又は2に記載の純水装置の運転方法。
- 少なくとも原水を貯留する原水タンク、逆浸透膜装置、電気脱イオン装置及び前記電気脱イオン装置の処理水を貯留する純水タンクを、流路に沿って有し、前記純水タンクの水位に応じて断続運転される純水装置において、
前記電気脱イオン装置の前段の機器から前記電気脱イオン装置への供給水の供給ラインから分岐する排水ラインと、
前記前段の機器から前記電気脱イオン装置への供給水を前記排水ラインに送水させる弁装置と、
前記排水ラインに送水される電気脱イオン装置への供給水のTOC値を測定するTOC計と、
前記弁装置を、前記前段機器の処理水が前記前段機器の運転開始から所定の時間前記排水ラインに送水され、前記電気脱イオン装置への供給水のTOC値が、ピークに達した後、該ピーク時のTOC値に対して60%以上低下したときに前記電気脱イオン装置へ送水されるように制御する制御装置と
を有することを特徴とする純水装置。 - 前記排水ラインの排水を前記原水タンクに還流させることを特徴とする請求項4記載の純水装置。
- 前記電気脱イオン装置から前記純水タンクへの純水の供給ラインから分岐し、前記原水タンク又は前記逆浸透膜装置に接続される循環ラインと、
前記電気脱イオン装置からの純水を、前記循環ラインに送水させる弁装置と、
前記弁装置を、前記電気脱イオン装置の処理水が前記電気脱イオン装置の運転開始から所定の時間前記循環ラインに送水され、その後前記純水タンクに送水されるように制御する制御装置と
を有することを特徴とする請求項5記載の純水装置。
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