JP5783523B2 - バイオシリカ形成能を有するペプチド - Google Patents
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[I-1]塩基性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなる配列を有し、かつαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含む、バイオシリカ形成能を有するペプチド。
[I-2]上記アミノ酸配列が7〜45、好ましくは7〜40のアミノ酸残基からなるものであるI-1記載のペプチド。
[I-3]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、リジン、又はヒスチジンである、I-1又はI-2に記載のペプチド。
[I-4]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、又はリジンである、I-1又はI-2に記載のペプチド。
[I-5]塩基性アミノ酸が、アルギニンである、I-1又はI-2記載のペプチド。
[I-6]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、さらに疎水性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなる配列を有するものである、I-1〜I-5のいずれかに記載のペプチド。
[I-7]疎水性アミノ酸が、同一又は異なってアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、又はグリシンである、I-6に記載のペプチド。
[I-8]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、次の式(1)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するか、次の式(2)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するものである、I-6又はI-7記載のペプチド
B−X−O (1)
O−X−B (2)
(式中、Bは塩基性アミノ酸、Xは任意のアミノ酸、Oは疎水性アミノ酸をそれぞれ示す)。
[I-9]二以上のαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含む、I-1〜I-8のいずれかに記載のペプチド。
[I-10]等電点が9以上である、I-1〜I-9のいずれかに記載のペプチド。
[I-11]等電点が9.5以上である、I-1〜I-9のいずれかに記載のペプチド。
[II-1]塩基性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなる配列を有し、かつαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含む、バイオシリカ製造用ペプチド。
[II-2]上記アミノ酸配列が7〜45、好ましくは7〜40のアミノ酸残基からなるものであるII-1記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-3]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、リジン、又はヒスチジンである、II-1又はII-2に記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-4]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、又はリジンである、II-1又はII-2に記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-5]塩基性アミノ酸が、アルギニンである、II-1またはII-2に記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-6]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、さらに疎水性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなるものである、II-1〜II-5のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-7]疎水性アミノ酸が、同一又は異なってアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、又はグリシンである、II-6に記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-8]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、次の式(1)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するか、または次の式(2)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するものである、II-6又はII-7に記載のバイオシリカ製造用ペプチド:
B−X−O (1)
O−X−B (2)
(式中、Bは塩基性アミノ酸、Xは任意のアミノ酸、Oは疎水性アミノ酸をそれぞれ示す)。
[II-9]二以上のαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含む、II-1〜II-8のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-10]等電点が9以上である、II-1〜II-9のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[II-11]等電点が9.5以上である、II-1〜II-9のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[III-1]塩基性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなる配列を有し、かつαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含むペプチドからなるか、または当該ペプチドを含むバイオシリカ形成材。
[III-2]上記アミノ酸配列が7〜45、好ましくは7〜40のアミノ酸残基からなるものであるIII-1記載のバイオシリカ形成材。
[III-3]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、リジン、又はヒスチジンである、III-1又はIII-2に記載のバイオシリカ形成材。
[III-4]塩基性アミノ酸が、同一又は異なってアルギニン、又はリジンである、III-1又はIII-2に記載のバイオシリカ形成材。
[III-5]塩基性アミノ酸が、アルギニンである、III-1またはIII-2に記載のバイオシリカ形成材。
[III-6]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、さらに疎水性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなるものである、III-1〜III-5のいずれかに記載のバイオシリカ形成材。
[III-7]疎水性アミノ酸が、同一又は異なってアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、又はグリシンである、III-6に記載のバイオシリカ形成材。
[III-8]αへリックス形成能を有するアミノ酸配列が、次の式(1)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するか、または次の式(2)で表されるアミノ酸配列の繰り返し構造を有するものである、III-6又はIII-7に記載のバイオシリカ製造用ペプチド:
B−X−O (1)
O−X−B (2)
(式中、Bは塩基性アミノ酸、Xは任意のアミノ酸、Oは疎水性アミノ酸をそれぞれ示す)。
[III-9]二以上のαへリックス形成能を有するアミノ酸配列を含む、III-1〜III-8のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[III-10]等電点が9以上である、III-1〜III-9のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[III-11]等電点が9.5以上である、III-1〜III-9のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチド。
[IV-1]溶媒の存在下、I-1乃至I-11またはII-1乃至11のいずれかに記載のペプチドをケイ酸原と共存させる工程を有する、バイオシリカの製造方法。
[IV-2]ケイ酸原が、ケイ酸、ケイ酸のアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ土類金属塩、及びアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物である、IV-1記載の製造方法。
[V]IV-1またはIV-2のいずれかに記載の製造方法によって得られるバイオシリカ。
本発明のバイオシリカ形成能を有するペプチド及びバイオシリカ製造用ペプチド(本明細書では総称して単に「本発明のペプチド」ということがある。)は、塩基性アミノ酸が3アミノ酸残基毎に配置されてなり、かつαへリックス形成能を有するアミノ酸配列(以下、「バイオシリカ形成ドメイン」ということがある。)を含むペプチドである。
[式]
B−X−Y (1)
(式中、Bは塩基性アミノ酸、X及びYは、同一または異なって、塩基性アミノ酸以外の任意のアミノ酸を示す)。
[式]
B−X−O (2)
O−X−B (3)
(式中、Bは塩基性アミノ酸、Oは疎水性アミノ酸、Xは塩基性アミノ酸及び疎水性アミノ酸以外の任意のアミノ酸、をそれぞれ示す)。
本発明のバイオシリカ製造方法は、上記Iで説明した本発明のバイオシリカ形成能を有するペプチドを、水等の液体溶媒の存在下でケイ酸原と共存させることにより実施することができる。 本発明において「ケイ酸原」とは、バイオシリカの原料となる物質、具体的にはケイ酸イオン、ポリケイ酸、ケイ酸コロイド、ケイ酸ゾルなどのケイ酸、並びにこれらケイ酸生成の原料となりえるケイ素含有化合物を広く包含する意味で用いられる。かかるケイ酸原として、好ましくは酸性又はアルカリ性のものである。
Iで説明した本発明のペプチド(バイオシリカ形成能を有するペプチド、バイオシリカ製造用ペプチド)は、IIで説明したようにバイオシリカを製造するための材料や試薬として、つまり「バイオシリカ形成材」として用いることができる。この観点から、本発明のペプチドは、バイオシリカ形成材と言い換えることもできる。
本発明が対象とするバイオシリカは、上記IIに記載する方法によって得られるバイオシリカである。
[実験方法及び結果]
(1)遺伝子変異導入及び発現コンストラクトの作製
(1-1)pET21aベクターを用いた発現コンストラクトの作製
本発明者が初めて同定した珪藻Phaeodactylum tricornutum由来の炭酸脱水酵素(Carbonic Anhydrase)(Phaeodactylum tricornutum Carbonic Anhydrase;PtCA1)はC末端側にα-helix構造を持ち、そのα-helix構造は3アミノ酸ごとに疎水性アミノ酸が配置されてなる疎水性クラスターを有している(Dan Satoh, Yasutaka Hiraoka, Brian Colman, and Yusuke Matsuda (2001) Physiological and molecular biological characterization of intracellular carbonic anhydrase from the marine diatom Phaedactylum tricornutum. Plant Physiology 126: 1459-1470)。そのアミノ酸配列を配列番号7に示す。
(1-1)でpET21a::PtCA1 C-terminalから作製した、PtCA1のC末端領域の疎水性クラスター部位の疎水性アミノ酸の隣をリシン残基で置換したペプチド(CDPF1)に相当するコンストラクト(以下「CDPF1コンストラクト」という)、または同疎水性アミノ酸の隣をアルギニン残基で置換したペプチド(CDPF2)に相当するコンストラクト(以下「CDPF2コンストラクト」という)、およびネガティブコントロールに使用する塩基性アミノ酸をグルタミン酸残基またはアラニン残基で置換したペプチド(CDPF0)に相当するコンストラクト(以下「CDPF0コンストラクト」という)を用いて、各目的ペプチドをコードしている遺伝子配列の5’末端側にEcoRI(5’-GAATTC-3’)を、さらに3’末端側に終止コドン(5’-TAA-3’)及びBamHI(5’-GGATCC-3’)を付加すべく、表3に示すプライマーと、伸長正確性の高いPrimeSTAR (TaKaRa Bio, Otsu, Japan)を用いてPCRによりpMAL-p2導入用の遺伝子断片を増幅した。 PCRは98℃で2分間熱変性させた後、98℃で10秒間、60℃で5秒間、72℃で30秒間のサイクルを30回繰り返した。なお、表3中、「A Fw」及び「A Re」は、上記CDPF1コンストラクトまたはCDPF2コンストラクトに使用するフォワードプライマー及びリバースプライマーをそれぞれ示し、「B Fw」及び「B Re」は、上記ネガティブコントロール用のCDPF0コンストラクトに使用するフォワードプライマー及びリバースプライマーをそれぞれ示す。目的の遺伝子断片とpMAL-p2ベクターを制限酵素(EcoRIとBamHI)で処理した後、遺伝子断片を導入し、発現用大腸菌K12株TB1に形質転換した。
(2-1)pET21aベクターを用いた大量発現系の構築
滅菌した500 mL三角フラスコにLB液体培地(10 g/L NaCl, 5 g/L yeast extract, 10 g/L Bacto-tryptone)を200 mL、および50 mg/mL ampicilineを200 μL加えた。組換え大腸菌の20%グリセロールストックを白金耳でひと掻きし、このLB液体培地に植菌した。37℃で15時間程度、10倍希釈した培養液のOD600を分光光度計(HITACHI U-2001, HITACHI, Tokyo, Japan)で測定し、希釈状態でOD600が0.5程度になるまで培養した。
(2-1)に記載した実験方法に準じて大量発現を行い、生成した菌体ペレットは-20℃で冷凍保存した。ただし、[IPTG 誘導サンプル]は100 mM IPTG(isopropyl-1-thio-β-D-galactopyranoside)を19 mL (終濃度 0.1 mM)添加し、37 ℃で6時間培養を行うこととした。
(2)で誘導確認用に冷凍保存しておいた[IPTG 誘導サンプル]および[IPTG 非誘導サンプル]の菌体ペレットに、2×sample buffer {0.1 M Tris-HCl, 20% Glycerol }を加え、超音波破砕機(Ultrasonic Disruptor, UD-201, TOMY Seiko, Tokyo, Japan) でOUTPUTを5、DUTYを50に合わせ30秒間破砕処理を行った。また、不溶性画分と可溶性画分に分けるため、[IPTG 誘導サンプル]に20 mM Tris-HCl (pH 8.0)を加え、先と同じ条件で超音波破砕を行い、15,000 rpm、4℃で20分間遠心した。上清を可溶性画分とし、また残ったペレットに対して2×sample buffer(0.1 M Tris-HCl, 20% Glycerol)を加え、再度超音波破砕したものを不溶性画分とした。次に細胞破砕液に対しSDS-PAGE(SDS-polyacrylamide gel electrophoresis)を行った。
(2)で冷凍保存した菌体ペレットを30 mL のBinding buffer (菌体ペレット1 g wet weightに対し、2〜5mL)で懸濁し、高圧連続式ホモジェナイザー(EmalsiFlex-C5 AVESTIN, INC., Ottawa, Canada.)を用いて約15,000 psi (1,000 kg/cm2)で破砕し、氷水中で回収した。次に破砕液を遠心機で15,000 rpm、4℃で20分間遠心し、上清を回収し、これを[細胞破砕液]とした。
ニッケル樹脂 (Ni Sepharose 6 Fast Flow, GE Helthcare, Chalfont St. Giles, UK)を25 mLカラムに充填し、液滴によって樹脂表面が乱れるのを防ぐためにカラム内径に合わせた濾紙を樹脂の上にのせた。以降の操作は4℃の冷蔵庫内で行った。[細胞破砕液]を流速約0.5 mL/minでカラムに通し、非吸着画分を回収した。これをさらに流速約0.5 mL/minでカラムに通し、非吸着画分を回収した。 次にBinding buffer (500 mM NaCl, 50 mM Tris-HCl, 5 mM imidazole, pH8.0)を100 mL、流速約0.25 mL/minでカラムに通し、流出液をフラクションコレクター(Fraction Collector CHF100AA, ADVANTEC, Tokyo, Japan)を用いて1.5 mLエッペンドルフチューブに回収し、これを[洗浄分画1]とした。 同様に250mL のWashing buffer (500 mM NaCl, 50 mM Tris-HCl, 50 mM imidazole, pH8.0)を流速約0.5 mL/minで、80 mLのEluting buffer (500 mM NaCl, 50 mM Tris-HCl, 500 mM imidazole, pH8.0)を流速約0.1 mL/minでカラムに通し、流出液をそれぞれ[洗浄分画2]、および[溶出分画]として回収した。
下記に記載する精製及び透析に関する操作は、4℃の冷蔵庫内で行った。Dextrin-Sepharoseカラム(MBPTrap HP, GE Helthcare, Chalfont St. Giles, UK)に、[細胞破砕液]を流速約0.5 mL/minでカラムに通し、非吸着画分を回収した。 これをさらに流速約0.5 mL/minでカラムに通し、非吸着画分を回収した。 次にBinding buffer (200 mM NaCl, 20 mM Tris-HCl, 1 mM EDTA, pH7.4)を100 mL、流速約0.25 mL/minでカラムに通し、流出液をフラクションコレクター(Fraction Collector CHF100AA, ADVANTEC, Tokyo, Japan)を用いて1.5 mLエッペンドルフチューブに回収し、これを[洗浄分画]とした。 同様に100mL のEluting buffer (200 mM NaCl, 20 mM Tris-HCl, 1 mM EDTA, 10 mM maltose pH8.0)を流速約0.1 mL/minでカラムに通し、流出液を[溶出分画]として回収した。
上記の方法で作製した各種ペプチド(CDPF0+His、CDPF1+His、CDPF2+His、CDPF0、CDPF1、CDPF2)の理論分子量、および理論モル吸光係数(ε)を算出し、Nano Drop (Nano Drop ND-1000, SCRUM, Tokyo, Japan)を用いて本発明のペプチドの定量を行った。理論分子量はGENETYX-WIN(GENETYX for Windows(登録商標) Ver.5.1, GENETYX CORPORATION, Tokyo, Japan)を用いて算出し、理論モル吸光係数の計算は以下の式(Pace et al., 1995) に従った。
GENETYX-WINを用いて各種ペプチド(CDPF0+His、CDPF1+His、CDPF2+His、CDPF0、CDPF1、CDPF2)の二次構造予測と理論等電点の計測を行った。結果を図3に示す。
[実験方法]
<本発明のペプチドを利用したバイオシリカの製造>
バイオシリカ形成反応の基本反応条件を表4に示す。基本反応は100μLの系で、本発明のペプチド溶液(本発明のペプチド[CDPF1+His、CDPF2+His], 50mM Tris-HCl, 250mM NaCl, pH 8.0)、Phosphate buffer (800 mM Na2HPO4-HCl, pH 6.8)、1μMの重合シリカ標識剤PDMPO (2-(4-pyridyl)-5((4-(2-dimethylaminoethylaminocarbamoyl)methoxy)-phenyl) oxazole) (Molecular Probes, Carlsbad, CA, USA) (Shimizu et al., 2001)溶液10μLと超純水を混合し、最後に1Mのケイ酸(TMOS(tetramethyl orthosilicate))を10μL加え、ボルテックスミキサーで10秒間激しく攪拌し、室温で5分間バイオシリカ形成反応を行った。100 mM TMOSはHCl処理後、徐々にモノマーから重合し1時間程度でゲル化するため、この影響がないように反応を溶液の白濁として確認した後、5分以内に反応後13,000 rpm、4℃で1分間遠心し、1 mLの超純水で3回、1 mLの99.5 % エタノールで2回洗浄し、反応産物を乾燥させた。表4には各成分の最終濃度を示す。上記本発明のペプチドとして、終濃度が70μM, 35μM, 7.0μM, 3.0μM, 1.0μM, 0.5μM, 0.1μM, 0.05μM, 0.01μMになるように調整したものを用いてそれぞれ反応を行った。
比較のため、本発明のペプチドに換えて、シラフィン〔単リピート型Silaffin(Sil1-R7+His)〕を用いて、表4に記載する同じ条件でバイオシリカ形成反応を行った。単リピート型Silaffin(Sil1-R7+His)は、SilaffinのR7と呼ばれるアミノ酸領域を有する、配列番号45のアミノ酸配列からなるペプチドである。
次のようにして、上記で製造したバイオシリカの形状および性状、並びに本発明のペプチドのバイオシリカ形成能を評価した。以下に定量方法を記載する。
各製造方法で生成した反応産物の内、ペプチド濃度70μMで生成したバイオシリカを蛍光顕微鏡Bx51 (OLYNPAS, Tokyo, Japan)を用いて観察した。蛍光ミラーユニットはU-MWU2 (励起フィルタ: 330-385 nm, 吸収フィルタ: 420 nm)を使用した。
各製造方法で生成した反応産物(バイオシリカ)を回収し、10μLの99.5% エタノールに懸濁し、GaAs基板上に載せ乾燥した。電子線露光装置 (ELS-3300PLM, Elionix, Tokyo, Japan)のSEM機能を用いて、あるいは高分解能SEM (ColumnショットキーFE-SEM SUPRA40/55, Carl Zeiss SMT, Inc., Thornwood, New York)を用いて加速電圧1 kV〜2 kVの条件で反応産物(バイオシリカ)を観察した。観察結果画像を元に得られたバイオシリカ粒子の粒子径の測定を行い、平均粒子径の算出及び粒子径分布の測定を行い、作られるバイオシリカが濃度依存的にどのように形状変化を起こすか検討した。
各製造方法で生成した反応産物(バイオシリカ)を乾燥し、精密電子天秤を用いて乾燥重量を風袋差により測定した。
従来のシラフィン(単リピート型Silaffin:Sil-R7+His)と本発明のペプチド(CDPF1+His、CDPF2+His)をそれぞれ用いて、バイオシリカ形成活性の有無を評価した。バイオシリカ形成活性の評価には3種類の方法を用いた。まず、ケイ酸溶液TMOSを添加後、数秒間で生じる白濁の目視確認(図4中、各図の左上)、そして、蛍光標識したバイオシリカの蛍光顕微鏡観察(図4中、各図の右上)、最後に、走査型電子顕微鏡SEMを用いた表面構造解析(図4中、各図の下)である。図4より、本発明のペプチドCDPF1+His及びCDPF2+Hisは、Sil1-R7+His同様にバイオシリカ形成活性を有していることが確認できた。
Claims (6)
- 配列表の配列番号1または2で示されるαへリックス形成能を有するアミノ酸配列からなるバイオシリカ形成ドメインを少なくとも1つ以上有する45以下のアミノ酸残基からなるペプチドであって、且つバイオシリカ形成能を有する、バイオシリカ製造用ペプチド。
- 配列表の配列番号1〜6で示されるいずれかのアミノ酸配列からなる、請求項1に記載するバイオシリカ製造用ペプチド。
- 等電点が9以上である、請求項1または2に記載するバイオシリカ製造用ペプチド。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のペプチドからなるか、または当該ペプチドを含有するバイオシリカ形成材。
- 溶媒の存在下、請求項1〜3のいずれかに記載のバイオシリカ製造用ペプチドをケイ酸原と共存させる工程を有する、バイオシリカの製造方法。
- ケイ酸原が、ケイ酸、ケイ酸のアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ土類金属塩、及びアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物である、請求項5記載の方法。
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