1.基板ケース1のパチンコ機96への装着状態
以下に、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。図1は、本発明を適用した基板ケース1が設けられたパチンコ機96背面側の全体斜視図、図2は、パチンコ機96の部分背面図である。基板ケース1は、図1、図2に示すように、パチンコ機96背面の略中央に取り付けられており、その内部に遊技全体のメイン制御を行うためのICや抵抗等の各種電子部品が実装された制御基板(図示省略)が設けられている。
基板ケース1は、後述のベース体3に設けられた一対のヒンジ11と係合片12とでパチンコ機96に対して回動可能に、且つ着脱自在に装着されている。また、パチンコ機96の背面側には、裏カバー97が設けられており、この裏カバー97は、一対のヒンジ98と係合片99とでパチンコ機96に対して回動可能に、且つ着脱自在に装着されている。つまり、基板ケース1と裏カバー97とは、パチンコ機96に対してそれぞれ反対向きに回動するようになっていると共に、着脱自在になっている。
裏カバー97は、図1、図2に示すように、パチンコ機96背面側から見て、裏カバー97の右側下端部が、基板ケース1の後述する保護カバー7の右側上端部に上から重なるように設けられており、即ち、基板ケース1と裏カバー97とは、この領域で当接している。従って、基板ケース1を開放したり取り外したりするときには、裏カバー97を回動しなければならず、これにより基板ケース1を不正に開放する行為を困難にしている。なお、裏カバー97は、透明な材料(合成樹脂等)にて形成されているので、重なった基板ケース1の領域は、パチンコ機96背面側から視認可能である。また、裏カバー97は、本実施形態では基板ケース1と当接するように設けたが、これは必ずしも当接する必要はなく、裏カバー97と基板ケース1とは、所定間隔離して設けるようにしてもよい。要は、裏カバー97を回動しなければ、基板ケース1を開放したり取り外したりすることが困難なようにすればよい。
2.基板ケース1の構成
基板ケース1の構成を図3〜図9に基づいて説明する。図3は、基板ケース1の分解斜視図であり、図4は、基板ケース1の3面図(正面図、平面図、右側面図)であり、図5は、基板ケース1のA−A断面における断面図であり、図6は、保護カバー7の全体斜視図であり、図7は、保護カバー7の3面図(正面図、平面図、右側面図)であり、図8は、保護カバー7を取り外したときの基板ケース1の正面図、背面図及び基板ケース1の封止を解除したときの状態を示す説明図であり、図9は、基板ケース1を封止するときの状態を示す説明図である。なお、基板ケース1は、図2に示すパチンコ機96の背面側から視た場合を正面として説明する。
基板ケース1は、上記したように、パチンコ機96の制御基板を収容して保護するためのケースであって略直方体の形状を有しており、大別すると、ベース体3と、蓋体5と、保護カバー7とから構成されている。まず、ベース体3は、図3、図8に示すように、略平板状に透明な材料(合成樹脂等)にて形成され、その中央には矩形平板状のベース板13が形成されベース体3の大部分を占めている。ベース体3の上下両端にはスライド固定部9が形成されている。このスライド固定部9は、後述する蓋体5のスライド固定部29と係合して、ベース体3と蓋体5とを重合する部材である。なお、スライド固定部9の詳細な構成については後述する。また、ベース体3の左端のやや下方には、係合片19が形成されており、この係合片19は、スライド固定部9と同様、後述する蓋体5の係合片21と係合してベース体3と蓋体5とを重合する部材である。また、ベース体3の上下両端の右端には、後述する保護カバー7を係止するためのコ字状に切り欠かれた係止部8が形成されている。
ベース体3の左右両端には、ベース体3と蓋体5とを接続固定して基板ケース1を封止するための筒状部材14が、対角線状にそれぞれ2個ずつ連設されている。筒状部材14は、図8(C)、(D)に示すように、四角く区画された収納空間16の略中央に配置され、一対の支持腕15によって、その左右両側部が支持されてベース体3に接続されている。支持腕15は、基板ケース1を組み付けた後の状態では、基板ケース1の背面側から視ると、その底面が露出するようになっている。また、筒状部材14の内部には、図3に示すように、後述する固定部材50を構成するカシメピン28を係止するリング17が装着されている。なお、筒状部材14及びリング17の構成については後に詳述する。
ベース体3右側面の上部(右の筒状部材14の上方)には、後述の封印シール45が貼付される平板凸状のシール貼付面10が手前側に垂設されており、このシール貼付面10は、ベース体3と蓋体5とを組み付けたとき、図9(B)に示すように、後述するシール貼付面22と僅かな長溝状の間隙20を持って、略逆L字状に直角になるよう形成されている。
ベース体3左端の中央部と下部には、一対のヒンジ11が設けられ、ベース体3右端の中央やや下側には、係合片12が設けられている。このヒンジ11と係合片12とにより、基板ケース1はパチンコ機96に対して回動可能に装着される。
一方、ベース体3に蓋をする蓋体5は、図3に示すように、略平板状に透明な材料(合成樹脂等)にて形成され、その上下両端にはスライド固定部29が形成されている。このスライド固定部29は、上記したように、ベース体3のスライド固定部9と係合して、ベース体3と蓋体5とを重合する部材である。なお、スライド固定部29の詳細な構成については後述する。また、蓋体5の左端のやや下方には、前記係合片19と対向する位置に係合片21が形成されており、この係合片21は、スライド固定部29と同様、ベース体3の係合片19と係合してベース体3と蓋体5とを重合する部材である。
蓋体5の中央部には、蓋体5の大部分を占める略矩形箱状の基板装着部24が前記ベース板13と対向するように形成され、制御基板は、図示していないが、基板装着部24の内側に設けられた台座部に、ネジで固定されるようになっており、つまり制御基板は、蓋体5側に取り付けられる。また、基板装着部24と上方のスライド固定部29との間の箇所には、パチンコ機96毎に形状の異なる制御基板の端子を保護する端子カバー25が、着脱自在に蓋体5に取り付けられる。
蓋体5の左右両端には、ベース体3の筒状部材14に対向するように筒状部材34が設けられており、この筒状部材34は、図3に示すように、四角く区画された収納空間36の略中央に配置され、図8(A)、(B)に示すように、支持腕35によって、その一側部(左に位置する筒状部材34は左側部、右に位置する筒状部材34は右側部)が支持されて蓋体5に接続されている。なお、筒状部材34の構成については後に詳述する。
図中、40は、カシメカバーであり、このカシメカバー40は、筒状部材34(筒状部材14)を覆うことが可能なように略矩形蓋状に形成されている。カシメカバー40は、蓋体5に突設されたコ字状のガイド部材41の内側に、その外壁面が当接するように嵌合された後、蓋体5の背面側からビス42にて蓋体5に螺着される。なお、カシメカバー40を蓋体5に装着した状態では、図8(A)、(B)に示すように、支持腕35前面の一部が露出するようになっている。また、カシメカバー40は、透明な材料(合成樹脂等)にて形成されており、カシメカバー40を蓋体5に装着した状態では、筒状部材34(筒状部材14)は外部から視認可能になっている。また、カシメカバー40には、一対の孔43が穿設され、この孔43は、筒状部材34(筒状部材14)の中心に対向するように形成されている。これは、基板ケース1を封止するときに用いる後述する固定部材50を構成するワンウェイビス27を螺入するとき、専用工具をこの孔43に挿入するためのものである。
蓋体5右側面の上部(右のカシメカバー40の上方)には、平板状のシール貼付面22が形成されており、このシール貼付面22は、上記したように、ベース体3のシール貼付面10とにより後述の封印シール45が貼付される略逆L字状の直角面を形成する。
また、基板装着部24の右端には、図3、図8正面図に示すように、一対のコ字状の切り欠き47が設けられており、この切り欠き47の中央にボス46a、46bが突設されている。つまり、ボス46a、46bの周囲には、切り欠き47により所定の空間が形成される。ボス46a、46bは、後述する保護カバー7を蓋体5に取り付けるためのもので、特に下側に位置するボス46bは、後述するワンウェイビス73が螺入されるようになっている。
次に、保護カバー7は、透明な材料(合成樹脂等)にて形成され、図4、図5に示すように、肉厚が薄く形成され、その形状は、ベース体3と蓋体5とを組み付けたときの右端部の形状とほぼ一致するように形成されている。即ち、基板ケース1は、保護カバー7が取り付けられた状態と保護カバー7が取り外された状態とで、その大きさはほとんど変わらないようになっている。
保護カバー7は、図6、図7に示すように、前面板61、側面板62、上面板63、下面板64を有している。前面板61は、その右上部に、蓋体5のシール貼付面22と対向する平板状の封印シール保護板65が形成され、この封印シール保護板65は、図5に示すように、封印シール45をシール貼付面22とで挟み込むように保護している。前面板61の封印シール保護板65の略下方には、カシメカバー40と対向する平板状の封止部保護板67が形成され、この封止部保護板67は、図5に示すように、カシメカバー40に当接するように設けられている。
前面板61の左端のやや下部には、蓋体5のボス46bと同軸状に筒状部材69が設けられており、この筒状部材69は、図7に示すように、蓋体5の切り欠き47と対向するように設けられた切り欠き70の略中央に配置され、一対の支持腕71によって、その上下両側部が支持されて保護カバー7に接続されている。つまり、支持腕71の背面側は、所定の空間が形成されている。また、前面板61の筒状部材69の上方には、蓋体5のボス46aと同軸状に孔72が穿設されている。即ち、保護カバー7は、図3に示すように、筒状部材69及び孔72に後述するワンウェイビス73及びビス74を螺入することで蓋体5に取り付けられるようになっている。
また、前面板61の上下端部には、平板68が形成されており、この平板68は、図5に示すように段差状に低い位置に形成され、保護カバー7が基板ケース1に取り付けられたときは、下端部の平板68の一部が、下側のガイド部材41の下端部に隣接しながら蓋体5の上面に当接するようになっている。また、前面板61には、下端部の平板68から上方に延びる規制板66が垂設されており、この規制板66は、保護カバー7が基板ケース1に取り付けられたときは、その下部が下側のガイド部材41の左端部に当接するようになっている。この規制板66により、保護カバー7が基板ケース1に取り付けられたとき、ベース体3と蓋体5とのスライドを規制する。
保護カバー7の側面板62は、その上部に、ベース体3のシール貼付面10と対向する平板状の封印シール保護板76が形成され、この封印シール保護板76は、封印シール45をシール貼付面10とで挟み込むように保護している。つまり、前面板61の封印シール保護板65は、蓋体5に貼付された封印シール45を保護し、側面板62の封印シール保護板76は、ベース体3に貼付された封印シール45を保護している。また、側面板62の封印シール保護板76の下方には、ベース体3の係合片12を露出させるためのコ字状の切り欠き77が形成されている。
保護カバー7の上面板63及び下面板64は、2本のスリット75によりそれぞれ対称状に形成される一対の係止片79を有しており、この係止片79先端に形成される爪80がベース体3の係止部8に弾性変形しながら係合することで、保護カバー7はベース体3にワンタッチで固定される。即ち、保護カバー7は、前面板61に形成された筒状部材69及び孔72と、上面板63及び下面板64に形成された係止片79とによって、基板ケース1に強固に固定されるようになっている。
3.基板ケース1の組立
次に、基板ケース1におけるベース体3と蓋体5との組み付けについて説明する。ベース体3と蓋体5との組み付けの際には、上述のように制御基板が取り付けられた蓋体5を、ベース体3に組み付ける。ベース体3に対する蓋体5の組み付けは、ベース体3に設けられたスライド固定部9と、蓋体5に設けられたスライド固定部29とを係合させることにより行う。
ここで、図8、図10を参照しながら、ベース体3のスライド固定部9と、蓋体5のスライド固定部29の構成について説明する。なお、図10は、基板ケース1のB−B断面におけるスライド固定部9とスライド固定部29とを係合するときの状態を示す模式図である。まず、スライド固定部29は、図10において、段差状に設けられたガイド片81と、ガイド片81の右端に設けられた先端83と、先端83の左側にガイド片81から上方に突出するように設けられたストッパ片82と、ガイド片81とストッパ片82とで形成される溝84とを備えている。スライド固定部29は、これらガイド片81、ストッパ片82、先端83、溝84を一組として蓋体5の上下両端に、図8に示すように、複数組ずつ形成されている。なお、図10においては、説明便宜のため、ガイド片81、ストッパ片82、先端83、溝84を三組示し、スライド固定部9は黒に、スライド固定部29は白に表示し、それら以外の構成を省略している。
次に、スライド固定部9は、図10において、段差状に設けられた受板91と、受板91の左側に設けられた覆板92と、覆板92の左端に設けられた先端93と、受板91と覆板92とで形成される溝94とを備えている。スライド固定部9は、これら受板91、覆板92、先端93、溝94を一組としてベース体3の上下両端に、図8に示すように、スライド固定部29と対応するように複数組ずつ形成されている。なお、図10においては、説明の便宜のため、受板91、覆板92、先端93、溝94を三組示し、スライド固定部9以外の構成を省略している。
このように構成されたスライド固定部9とスライド固定部29とを係合させるには、まず、図10(A)の矢印Vに示すように、上方からガイド片81を受板91に重合させる。この際、ガイド片81の下段は、受板91の下段よりも若干短く形成されているので、隣接する受板91の覆板92同士で形成される空間にガイド片81の下段を容易に挿入することができる。なお、図10(B)は、ガイド片81を受板91に重合させたときの状態を示している。
そして、この状態から図10(B)の矢印Hに示すように、右方向に蓋体5をベース体3に対してスライドさせ、スライド固定部9とスライド固定部29とを係合させる。なお、図10(C)は、スライド固定部9とスライド固定部29とが係合したときの状態を示している。図10(C)に示すように、スライド固定部29を右方向にスライドさせると、ストッパ片82が先端93に当接しスライド固定部9とスライド固定部29とは係合する。この際、溝84は覆板92により閉塞され、溝94はガイド片81(ストッパ片82の右側部分)により閉塞されるようになっている。なお、スライド固定部9とスライド固定部29とが係合すると、同時に、ベース体3の係合片19と蓋体5の係合片21も係合し、ベース体3と蓋体5とは重合する。
スライド固定部9とスライド固定部29とを係合させてベース体3と蓋体5とを重合したら、次に、ベース体3と蓋体5とを固定して基板ケース1を封止する。ここで、ベース体3と蓋体5とを封止する際に使用される固定部材50について図11を用いて説明する。図11は、固定部材50を示す説明図である。固定部材50は、図11に示すように、ワンウェイビス27とカシメピン28とで構成されており、カシメピン28は、下方にやや縮径した円柱状の本体51の上端部にフランジ状の係止部52が形成され、その中央から下端にかけて軸線に沿った所定幅のスリット53が形成されている。このため、カシメピン28の下部はスリット53の幅方向に所定量弾性変形できるようになっている。
また、本体51の下端には、外径方向に突出した逆止片54が一対設けられている。この逆止片54は、カシメピン28の下端側から上方に向かってその断面が大きくなるテーパ状に形成され、その下端部が挿入部54aを、上端部が係止部54bをそれぞれ形成している。
また、ワンウェイビス27は、カシメピン28の上端部にワッシャ55を介して螺入されている。このワッシャ55には、その外径が係止部52の上端面の外径と同一のものが使用されているため、カシメピン28の係止部52の表面は、金属部材により覆われるようになっている。なお、このワンウェイビス27は、周知のように、締結方向にのみ回動可能に構成されたネジであり、一旦係止部52に螺入されると、工具を用いてこれをリバースさせることは極めて困難となる。
そして、ベース体3と蓋体5とを固定するには、このように構成された固定部材50を筒状部材14、34に固定することにより行う。ここで、基板ケース1の封止構造について図9、図12を用いて説明する。なお、図12は、基板ケース1のC−C断面におけるベース体3と蓋体5とを固定して基板ケース1を封止するときの状態を示す説明図である。なお、図12においては、説明便宜のため、固定部材50、リング17、筒状部材14、34の構成のみを示し、固定部材50の断面線は省略して表示している。蓋体5に設けられた筒状部材34は、筒状に形成された筒状部56と、筒状部56の内径が小径化された段差部57とを有している。また、ベース体3に設けられた筒状部材14は、蓋体5側を開口部とする有底筒状に形成されている。
これら筒状部材14、34の間には、図12に示すように、リング17が同軸状に装着される。このリング17は、固定部材50の逆止片54を係止するためのものであり、その外径がベース体3の筒状部材14における内径に一致し、その内径が蓋体5の筒状部材34における段差部57の内径にほぼ一致する筒状体からなる。また、このリング17は、この一端に設けられたフランジ部58を備え、このフランジ部58がベース体3の筒状部材14に接着されて固定される。そして、ベース体3に蓋体5が組み付けられた際には、各筒状部材14、34が同軸状に配置されて、筒状部材14、34及びリング17により連通孔59が形成される。
固定部材50は、図12(A)に示すように、その逆止片54が蓋体5の筒状部材34における段差部57に支持され、係止部52が筒状部56の内壁に支持される態様で、筒状部材34内部の連通孔59上方に形成される待機空間60に一時的に保持される。
そして、ベース体3と蓋体5とを封止の際には、ベース体3と蓋体5とが組み付けられた重合状態において、図9(A)、(B)の矢印A、Bに示すように、所定の棒状の専用工具をカシメカバー40の孔43に挿通し、上述した待機空間60にて待機状態にある固定部材50(ワンウェイビス27)を押圧して、これを連通孔59内に挿入する。すると、図12(B)に示すように、固定部材50が連通孔59内に挿通される。
このとき、固定部材50の逆止片54がリング17の端面に、係止部52が蓋体5の筒状部材34における段差部57にそれぞれ係止されることにより、固定部材50がベース体3と蓋体5とを挟持する態様でこれらを互いに固定して基板ケース1を封止する。固定部材50が連通孔59に挿入される際には、挿入部54aがテーパ状になっており、且つスリット53が形成されていることから、固定部材50がその下部で撓みながら連通孔59内にスムーズに挿入される。そして、逆止片54が連通孔59を貫通すると、固定部材50の下端部が弾性復帰して係止部54bが係止されるため、固定部材50を挿入方向とは逆方向に引き抜くことは困難となる。
なお、この封止作業においては、左右に二対(計4個)配設された固定部材50のうち、左右対称に配置された一対(カシメカバー40に印字された数字の1同士または2同士の固定部材50)が使用されるため、本実施形態の場合、遊技機の出荷時を含めて計2回の封止が可能となっている。
このように、ベース体3と蓋体5とを固定して基板ケース1を封止したら、次に封印シール45を貼付する。ここで、封印シール45の構成について図13を用いて説明する。なお、図13は、封印シール45の構成を示す説明図である。封印シール45は、図13(A)に示すように、略矩形状に形成され、図13(B)に示すように、接着剤で形成された粘着層85、特殊紙からなる基材86を積層した構造を有している。また、貼付前の状態では、粘着層85に剥離紙87が付されており、この剥離紙87は、封印シール45を貼付するときに除去されるようになっている。
図13(A)に示すように、封印シール45は、その1対角線の全体にわたって、インレット88が組み込まれている。インレット88の内部には、図示しないICタグのミューチップ(超小型無線認識用ICチップ)と外部アンテナが収容されている。また、インレット88には、複数の切り込み88aが形成されている。そのため、封印シール45を剥がそうとして、インレット88に力が加わると、インレット88は切り込み88aの部分で容易に切断される。インレット88が切断されると、その中の外部アンテナも切断されてしまい、ICタグは機能しなくなる。つまり、封印シール45が破損すると、ICタグリーダーにて封印シール45に書き込まれたIDを読み取ることはできなくなる。
図13(A)に示すように、粘着層85及び基材86にも、切り込み89が形成されており、封印シール45を剥がそうとして力が加わったとき、封印シール45は、この切り込み89の部分で容易に破れる。また、図13(A)に示すように、封印シール45の周囲は波形に加工されている。そのため、封印シール45を剥がそうとして力が加わったとき、封印シール45は、この波形における谷の部分で容易に破れるようになっている。また、封印シール45は、一旦貼付した後に剥がすと、粘着層85及び基材86の一部が分離し、その分離した部分は基板ケース1側に残るようになっている。
このように構成される封印シール45は、上述したベース体3右側面の上部のシール貼付面10と、このシール貼付面10と僅かな間隙20を持って略逆L字状に直角に配置される蓋体5のシール貼付面22とに跨って、即ちケース本体3と蓋体5とに跨って図4に示すように貼付する。ケース本体3と蓋体5とに跨って封印シール45を貼付することで、基板ケース1は封止される。
基板ケース1に封印シール45を貼付したら、次に保護カバー7を基板ケース1に組み付ける。基板ケース1に対する保護カバー7の固定は、まず、保護カバー7を基板ケース1の右端部に、保護カバー7の側面板62、上面板63及び下面板64が基板ケース1に当接するように宛がい、保護カバー7を基板ケース1側に押圧する。すると、保護カバー7の係止片79が、スリット75により基板ケース1の外側に弾性変形しながら移動し、係止片79が基板ケース1の係止部8に到達すると、前面板61が基板ケース1に当接すると共に、係止片79が弾性復帰して爪80が係止部8に係合する。これにより、保護カバー7は基板ケース1にワンタッチで固定される。
このように保護カバー7を基板ケース1に固定すると、保護カバー7の筒状部材69及び孔72は、基板ケース1のボス46b及びボス46aと同軸状に位置される。そして、筒状部材69とボス46bとに上述したようなワンウェイビス73を、図9(C)の矢印Cに示すように、専用工具にて螺入し、孔72とボス46aとにビス74を螺入することで保護カバー7を強固に基板ケース1に取り付け、基板ケース1を封止する。
保護カバー7が基板ケース1に取り付けられた状態では、図4、図5に示すように、保護カバー7は、基板ケース1の右端部の形状とほぼ一致し、保護カバー7の封印シール保護板65が封印シール45を基板ケース1のシール貼付面22とで挟み込むように保護すると共に、保護カバー7の封印シール保護板76が封印シール45を基板ケース1のシール貼付面10とで挟み込むように保護するようになっている。また、保護カバー7の封止部保護板67が基板ケース1のカシメカバー40に当接し、基板ケース1を封止する固定部材50及び筒状部材14、34を保護するようになっている。
さらに、保護カバー7の規制板66が下側のガイド部材41に当接し、ベース体3と蓋体5とのスライドを規制、即ち、ベース体3のスライド固定部9と蓋体5のスライド固定部29との係合が解除されないように規制する。つまり、保護カバー7が基板ケース1に取り付けられた状態では、保護カバー7は、係止片79がベース体3の係止部8に係合してベース体3に固定されているので、この状態で、ベース体3に対して蓋体5を左方にスライドさせて、基板ケース1を開放しようとしても、蓋体5が規制板66に引っ掛かり、従って、ベース体3に対して蓋体5をスライドさせることはできない。これは、仮に、保護カバー7にワンウェイビス73及びビス74が螺入されていない状態であっても、同様である。即ち、本実施形態の基板ケース1は、保護カバー7が取り付けられている状態では、ベース体3と蓋体5とのスライドを規制し、基板ケース1の開放を防止する。
4.基板ケース1の封止解除
パチンコ機96に取り付けられた基板ケース1の封止状態を解除するには、まず、保護カバー7の右側上端部に重合している裏カバー97を回動して、基板ケース1全体を露出させる。そして、図14に示すように、保護カバー7の一対の支持腕71(図14(A)における斜線部分)を、ニッパ等の工具により切断する。なお、図14は、保護カバー7を取り付けたときの基板ケース1の正面図及び基板ケース1の封止を解除したときの状態を示す説明図である。ニッパ等の工具は、保護カバー7の切り欠き70と蓋体5の切り欠き47とにより形成されている空間により、刃先をこの空間に挿入して容易に支持腕71を切断することができる。支持腕71を切断すると、保護カバー7から筒状部材69は分離され、この分離された筒状部材69は、ワンウェイビス73によって蓋体5にのみ取り付けられている状態となる。
支持腕71を切断したら、次に、ビス74をドライバ等の工具で取り外す。なお、ビス74を取り外してから支持腕71を切断するように順序を変えてもよい。そして、次に、保護カバー7の係止片79とベース体3の係止部8との係合状態を解除することで、保護カバー7を基板ケース1から取り外す。この際、係止片79の先端を基板ケース1の外側に軽く押圧するようにして係止片79を撓ませながら、保護カバー7を、図15に示す矢印Dのように、基板ケース1の正面側に引っ張るようにして、保護カバー7を基板ケース1から取り外す。なお、図15は、保護カバー7を基板ケース1から取り外すときの状態を示す説明図である。
次に、図8(A)、(B)に示すように、蓋体5のカシメカバー40から露出している支持腕35(図8(A)、(B)における斜線部分)を、ニッパ等の工具により切断する。ニッパ等の工具は、蓋体5の収納空間36により、刃先をこの空間に挿入して容易に支持腕35を切断することができる。支持腕35を切断すると、蓋体5から筒状部材34は分離され、この分離された筒状部材34は、固定部材50によってベース体3にのみ取り付けられている状態となる。
この状態で、図2に示す係合片12によるパチンコ機96との係合を解除し、基板ケース1をヒンジ11を軸として回動させて基板ケース1の背面側を露出させる。そして、図8(C)、(D)に示すように、ベース体3の支持腕15(図8(C)、(D)における斜線部分)を、ニッパ等の工具により切断する。ニッパ等の工具は、ベース体3の収納空間16により、刃先をこの空間に挿入して容易に支持腕15を切断することができる。支持腕15を切断すると、ベース体3から筒状部材14は分離され、これにより、筒状部材14、筒状部材34、固定部材50は、図12(B)に示す状態のまま、基板ケース1から完全に分離して取り除かれる。
そして、ベース体3に対して蓋体5をスライドさせ、スライド固定部9とスライド固定部29との係合を解除することで、ベース体3から蓋体5を離脱する。このとき、封印シール45は破損し、これにより、基板ケース1の封止状態は完全に解除される。
なお、基板ケース1の封止解除は、保護カバー7の右側上端部に重合している裏カバー97を回動又は取り外し、基板ケース1をパチンコ機96から取り外してから、上記に準じて、保護カバー7を基板ケース1から取り外した後、支持腕35と支持腕15を切断して行うようにしてもよい。
5.本実施形態における基板ケース1の効果
(1)保護カバー7は、保護カバー7の筒状部材69と蓋体5のボス46bとにワンウェイビス73を螺入し、保護カバー7の孔72と蓋体5のボス46aとにビス74を螺入することで蓋体5に取り付けられていると共に、保護カバー7の係止片79がベース体3の係止部8と係合することでベース体3に取り付けられている。つまり、保護カバー7は、基板ケース1を封止するように、封止部材(筒状部材69、ボス46b、ワンウェイビス73)にて基板ケース1に取り付けられている。従って、基板ケース1を不正に開放しようとすると、この保護カバー7による基板ケース1の封止を解除すると共に、ベース体3と蓋体5とに設けられている封止部(固定部材50、リング17、筒状部材14、34)を解除する必要がある。その結果、基板ケース1を不正に開放するのに要する時間が、通常よりも保護カバー7による基板ケース1の封止を解除する時間だけ長くなり、基板ケース1を不正に開放する行為が困難になる。また、基板ケース1を不正に開放しようとすると、保護カバー7による基板ケース1の封止を解除するときに痕跡が残るので、基板ケース1に対する不正行為があったことを容易に発見できる。
(2)保護カバー7は、封印シール保護板65が封印シール45を蓋体5のシール貼付面22とで挟み込むように保護すると共に、封印シール保護板76が封印シール45をベース体3のシール貼付面10とで挟み込むように保護している。つまり、保護カバー7は、ベース体3と蓋体5とに跨って基板ケース1に貼付されている封印シール45を露出しないように覆って保護している。そして、保護カバー7は、透明な材料にて形成されており、封印シール45は、外部から視認可能になっている。従って、特殊な道具や化学薬品等を用いて封印シール45を痕跡を残さず剥がして再度貼付するという不正を行うには、まず、保護カバー7による基板ケース1の封止を解除し、保護カバー7を基板ケース1から取り外す必要がある。その結果、封印シール45に対する不正に要する時間が、通常よりも保護カバー7による基板ケース1の封止を解除する時間だけ長くなり、封印シール45に対する不正行為が困難になる。また、封印シール45に不正を行おうとすると、保護カバー7による基板ケース1の封止を解除するときに痕跡が残るので、基板ケース1に対する不正行為があったことを容易に発見できる。さらに、封印シール45は、外部から視認可能になっているので、封印シール45の破損等、基板ケース1に対する不正の痕跡を容易に発見できる。
(3)保護カバー7は、封止部保護板67が蓋体5のカシメカバー40に当接し、ベース体3と蓋体5とベース体3と蓋体5とに設けられている封止部(固定部材50、リング17、筒状部材14、34)を保護している。つまり、保護カバー7は、基板ケース1の封止部を露出しないように覆って保護している。そして、保護カバー7及びカシメカバー40は、透明な材料にて形成されており、基板ケース1の封止部は、外部から視認可能になっている。従って、基板ケース1を不正に開放しようとすると、まず、この保護カバー7による基板ケース1の封止を解除し、その後、ベース体3と蓋体5とに設けられている封止部(固定部材50、リング17、筒状部材14、34)を解除する必要がある。その結果、基板ケース1を不正に開放するのに要する時間が、通常よりも保護カバー7による基板ケース1の封止を解除する時間だけ長くなり、基板ケース1を不正に開放する行為が困難になる。また、基板ケース1を不正に開放しようとすると、保護カバー7による基板ケース1の封止を解除するときに痕跡が残るので、基板ケース1に対する不正行為があったことを容易に発見できる。さらに、基板ケース1の封止部は、外部から視認可能になっているので、封止部の破損等、基板ケース1に対する不正の痕跡を容易に発見できる。
(4)保護カバー7は、ベース体3のスライド固定部9と蓋体5のスライド固定部29とをスライドさせて係合することで、ベース体3と蓋体5とを組み付けてから、保護カバー7の筒状部材69と蓋体5のボス46bとにワンウェイビス73を螺入し、保護カバー7の孔72と蓋体5のボス46aとにビス74を螺入することで蓋体5に取り付けられていると共に、保護カバー7の上下端部に設けられた係止片79が、ベース体3の上下端部に設けられた係止部8と係合することでベース体3に取り付けられている。つまり、保護カバー7は、基板ケース1の右端部全体を覆うように、ベース体3と蓋体5とに強固に固着されている。さらに、保護カバー7の規制板66が蓋体5の下側のガイド部材41に当接するように係合し、ベース体3のスライド固定部9と蓋体5のスライド固定部29との係合が解除されないように規制している。従って、保護カバー7を基板ケース1から取り外さなければ、ベース体3と蓋体5とをスライドさせて基板ケース1を開放することができないので、その結果、基板ケース1の開放に時間がかかり、基板ケース1を不正に開放する行為が困難になる。また、何らかの原因でベース体3と蓋体5とがスライドして、基板ケース1が不本意に開放してしまうということも防止できる。
(5)保護カバー7は、肉厚が薄く形成され、その形状が、ベース体3と蓋体5とを組み付けたときの右端部の形状とほぼ一致するように形成されている。つまり、基板ケース1は、保護カバー7が取り付けられた状態と保護カバー7が取り外された状態とで、その大きさはほとんど変わらないように形成されている。パチンコ機96の背面側は、図1、図2に示すように、様々な部品や装置等が設けられ、余分なスペースはほとんどない。従って、基板ケース1に保護カバー7を取り付けて、基板ケース1に対する不正行為を防止するようにしても、パチンコ機96背面側の貴重なスペースを余分にとる必要はなく、その結果、パチンコ機96の設計に支障することがない。
(6)基板ケース1をパチンコ機96に装着した状態では、裏カバー97の右側下端部が、保護カバー7の右側上端部を覆うように重合している。従って、基板ケース1を不正に開放しようとすると、まず、裏カバー97を支障のない位置まで開放もしくは裏カバー97を取り外さなければならず、その結果、基板ケース1の開放に時間がかかり、基板ケース1を不正に開放する行為が困難になる。
6.他の実施形態
以上、本発明の実施形態に係わる遊技機の基板ケース1を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。例えば、上述した実施形態においては、保護カバー7は、係止片79により、封印シール45を覆うように基板ケース1に係止して固定するようにしたが、上記した規制板66のように、保護カバー7に、ベース体3のスライド固定部9と蓋体5のスライド固定部29との係合が解除されないように規制している部材があれば、保護カバー7は、封印シール45を覆うように蓋体5に固定するだけでよく、この場合には、係止片79は省略してもよい。また、保護カバー7には、封止部としての筒状部材69は一つだけ設けられている場合を示したが、これは、図16に示すように、筒状部材69を二つ設けるようにしてもよい。図16は、他の実施形態に係わる保護カバー95の正面図である。なお、図16において、上述した実施形態と同様な構成については、同じ符号を付す。
即ち、この他の実施形態では、蓋体5に、図3、図8に示すボス46bと切り欠き47とをさらに一個ずつ連設し(図示省略)、一方、保護カバー95に、上述した実施形態と同様に、この連設されたボス46b及び切り欠き47と対向するように、一対の支持腕71によって接続される筒状部材69及び切り欠き70を設ける。つまり、保護カバー95には、図16に示すように、二つの筒状部材69が連設され、この保護カバー95の二つの筒状部材69と蓋体5の二つのボス46bとのそれぞれに、ワンウェイビス73が螺入できるようになっている。
このように構成される他の実施形態においては、保護カバー95の封止部の数(2個)が、基板ケース1の封止部(固定部材50、リング17、筒状部材14、34)の数(2個)と整合するので、保護カバー95は、遊技機の出荷時を含めて計2回の封止が可能となる。従って、この他の実施形態における遊技機の基板ケース1では、保護カバー95を再利用することができるようになり、その結果、基板ケース1の使い勝手がよくなると共に、環境にもやさしく、さらに、コストダウンがはかれる。
なお、この他の実施形態においては、孔72は、保護カバー95にそのまま残すようにしたが、これは、孔72に変えて筒状部材69を設けるようにしてもよい。また、保護カバー95の封止は、上述した実施形態と同様にワンウェイビス73を用いて行うようにしたが、これは、基板ケース1の封止部(固定部材50、リング17、筒状部材14、34)と同様な構成にして行うようにしてもよい。
また、上述した実施形態ではパチンコ機96で説明したが、これは限定するものではなく、例えば、スロットマシンやアレパチ、雀球等、制御基板を収容する基板ケースが設置されるような遊技機に本発明を適用できることは、言うまでもない。