JP5782833B2 - ファン騒音低減装置 - Google Patents
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Description
この方法では、スピーカから音響波と逆位相の音響波を発生させることによって、これらの音響波同士を打ち消し合わせ、これによって外部に漏出する音響波を低減させて騒音の低減を図っている。
一方、特許文献2には、小型のスピーカやピエゾデバイスを用いることによって、同様に音響波を打ち消す方法が提案されているが、これらの小型のスピーカやピエゾデバイスでは、出力される音量が小さく、十分に音響波を打ち消すことができない。
また、このようなプラズマアクチュエータは、駆動されることによって体積力を発生して空気流れを形成する。このため、ダクト内のインピーダンスを変化させ、吸音材と同じようにプラズマアクチュエータを機能させることができる。
つまり、本発明によれば、プラズマアクチュエータが発する音と空気流れの両方で音響波を打ち消すことができる。
したがって、本発明によれば、ターボファンエンジンのダクトを伝播する音響波をより効果的に打ち消すことができ、小型ながら大きな消音効果を発揮することができる。このため、ターボファンエンジンの重量化及び大型化を招くことなく、騒音の低減を図ることができる。
図1は、本実施形態のファン騒音低減装置20が設置されるターボファンエンジンS1の概略構成を模式的に示す断面図である。
そして、アウターカウル1は、図1に示すように、その内部にインナーカウル2の上流側及びファン3を収容している。
このインナーカウル2は、ターボファンエンジンS1の主要部である低圧圧縮機4と、高圧圧縮機5と、燃焼器6と、高圧タービン7と、低圧タービン8と、シャフト9と、主ノズル10等を内部に収容している。
また、図1に示すように、アウターカウル1とインナーカウル2とは、空気の流れ方向から見て同心円状に配置されており、隙間を空けて配置されている。そして、アウターカウル1とインナーカウル2との隙間は、アウターカウル1内に取込まれた空気のうち、コア流路に流れこまない残部を外部に排出するバイパス流路とされている。
また、アウターカウル1及びインナーカウル2は、不図示のパイロンにより航空機の機体に取り付けられている。
なお、後に詳説するシャフト9は、空気の流れ方向から見て、半径方向に2つに分割されている。より詳細には、シャフト9は、芯部である中実の第1シャフト9aと、第1シャフト9aを囲って外側に配置される中空の第2シャフト9bとによって構成されている。
そして、ファン動翼3aは、シャフト9の第1シャフト9aに固定されている。
この低圧圧縮機4は、シャフト9の第1シャフト9aに固定される動翼と、インナーカウル2の内壁に固定される静翼とを備えている。
なお、動翼4aは、環状に等間隔で複数配列されて1つの動翼列を構成している。また、静翼4bも環状に等間隔で複数配列されて1つの静翼列を構成している。そして、低圧圧縮機4では、空気の流れ方向において、静翼列から始まり、静翼列と動翼列とが交互に複数配置されている。
この高圧圧縮機5は、シャフト9の第2シャフト9bに固定される動翼5aと、インナーカウル2の内壁に固定される静翼5bとを備えている。
なお、低圧圧縮機4と同様に、動翼5aは、環状に等間隔で複数配列されて1つの動翼列を構成している。また、静翼5bも環状に等間隔で複数配列されて1つの静翼列を構成している。そして、空気の流れ方向において、静翼列と動翼列とが交互に複数配置されている。
この高圧タービン7は、シャフト9の第2シャフト9bに固定される複数のタービン動翼7aと、コア流路に固定される複数のタービン静翼7bとを備えており、タービン静翼7bに整流された高温ガスをタービン動翼7aで受けて第2シャフト9bを回転駆動する。
この低圧タービン8は、シャフト9の第1シャフト9aに固定される複数のタービン動翼8aと、コア流路に固定される複数のタービン静翼8bとを備えており、タービン静翼8bによって整流された高温ガスをタービン動翼8aで受けて第1シャフト9aを回転駆動する。
このシャフト9は、上述のように、半径方向に2つ分割されて、第1シャフト9aと、第2シャフト9bとによって構成されている。
そして、第1シャフト9aは、上流側に低圧圧縮機4の動翼4a及びファン3のファン動翼3aが取り付けられ、下流側に低圧タービン8のタービン動翼8aが取り付けられている。
また、第2シャフト9bは、上流側に高圧圧縮機5の動翼5aが取り付けられ、下流側に高圧タービン7のタービン動翼7aが取り付けられている。
そして、この主ノズル10から高温ガスが噴射される際の反作用によってターボファンエンジンS1の推力が得られる。
コア流路に流入した空気は、低圧圧縮機4及び高圧圧縮機5によって順次圧縮され、燃焼器6に供給される。
燃焼器6に供給された圧縮空気は、燃料と混合されて混合気とされる。そして、当該混合気が燃焼器6によって燃焼されることによって高温ガスが生成される。
燃焼器6において生成された高温ガスは、高圧タービン7及び低圧タービン8を通過して主ノズル10からターボファンエンジンS1の後方に噴射される。これによって推進力が得られる。
また、高温ガスが低圧タービン8を通過する際に、低圧タービン8によって回転動力が回収され、第1シャフト9aを介して低圧圧縮機4の動翼4a及びファン3のファン動翼3aが回転駆動される。
この音響波は、ファン動翼の回転数とダクト11内部の空気流速とに依存する周期にて繰り返される粗密波であり、ダクト11内を伝播して外部に漏出することによって騒音となる。
ファン騒音低減装置20は、図1に示すように、流速計測器21と、プラズマアクチュエータ22と、回転数計測器23と、制御器24(制御手段)とを備えている。
図2は、プラズマアクチュエータ22の模式図である。この図に示すように、プラズマアクチュエータ22は、絶縁層30と、絶縁層30の上面に配置される第1電極板32と、絶縁層30の下面に配置される第2電極板31とを備えている。
そして、図2に示すように、第1電極板32と第2電極板31とが、絶縁層30の厚さ方向から見て変位して配置された構成を有している。
このようなプラズマアクチュエータ22の第1電極板32と第2電極板31とに制御器24の制御の下、電力を供給すると、第2電極板32の側方であって絶縁層30の厚さ方向から見て第2電極板31と重なる領域にプラズマが生成される。この際、プラズマアクチュエータ22から音が発せられる。また、プラズマが生成された領域の空気がイオン化されて体積力が発生し、矢印で示す空気流が形成される。
これらの図に示すように、上流側プラズマアクチュエータ22a及び下流側プラズマアクチュエータ22bは、ダクト11の周方向に等間隔で複数設置されている。
そして、本実施形態において回転数計測器23は、図1に示すように、ファン動翼3aのチップ側に配置されている。
そして、本実施形態において制御器24は、ダクト11内を伝播する音響波の波形を取得するためのデータベースを予め記憶している。
ダクト11内を伝播する音響波の波形は、ダクト11内の流速とファン動翼3aの回転数に依存して変化する。このため、制御器24に予め記憶されるデータベースは、ダクト11内の流速とファン動翼の回転数とに音響波の波形が関連付けられたものとなっている。
具体的には、制御器24は、ダクト11内を伝播する音響波と逆位相の音が発せられるようにプラズマアクチュエータ22を駆動する。
この場合には、制御器24は、流速計測器21の計測結果と回転数計測器23の計測結果とを演算式に代入して音響波の波形を算出(取得)し、この算出した音響波の波形に基づいてプラズマアクチュエータ22を駆動する。
また、このようなプラズマアクチュエータ22は、駆動されることによって体積力を発生して空気流れを形成する。このため、ダクト11内のインピーダンスを変化させ、プラズマアクチュエータ22を吸音材と同じように機能させることができる。
つまり、本発明によれば、プラズマアクチュエータが発する音と空気流れの両方で音響波を打ち消すことができる。
したがって、本実施形態のファン騒音低減装置20によれば、ターボファンエンジンS1のダクト11を伝播する音響波をより効果的に打ち消すことができ、小型ながら大きな消音効果を発揮することができる。このため、ターボファンエンジンS1の重量化及び大型化を招くことなく、騒音の低減を図ることができる。
このため、ファン動翼3aの上流側に伝播する音響波を上流側に配置されるプラズマアクチュエータ22である上流側プラズマアクチュエータ22aによって打ち消することができ、ファン動翼3aの下流側に伝播する音響波を下流側に配置されるプラズマアクチュエータ22である下流側プラズマアクチュエータ22bによって打ち消すことができる。
したがって、ダクト11の入口側及び出口側の両方から音響波が外部に漏出することを防止することができ、よりファン騒音を低減させることができる。
このため、ダクト11の全周に亘って音響波を打ち消すことができ、よりファン騒音を低減させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図4は、本実施形態のファン騒音低減装置20AがターボファンエンジンS1に設置された様子を模式的に示す概略断面図である。
そして、制御器24は、ファン動翼3aの上流側に配置された音響波計測器25(以下、上流側音響波計測器25aと称する)によってファン動翼3aの上流側に伝播する音響波の波形を取得し、上流側プラズマアクチュエータ22aを駆動する。
また、制御器24は、ファン動翼3aの下流側に配置された音響波計測器25(以下、下流側音響波計測器25bと称する)によってファン動翼3aの下流側に伝播する音響波の波形を取得し、下流側プラズマアクチュエータ22bを駆動する。
また、下流側音響波計測器25bは、下流側プラズマアクチュエータ22bと同様に、ダクト11の周方向に等間隔で複数配置されている。
したがって、本実施形態のファン騒音低減装置20Aによれば、より確実に騒音の低減を図ることができる。
しかしながら、図5に示すように、音響波計測器25をファン動翼3aから見て前記プラズマアクチュエータ22の外側に配置しても良い。このような場合には、音響波計測器25で計測される音響波が小さくなるようにプラズマアクチュエータ22を制御するフィードバック制御を行う。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、プラズマアクチュエータ22をダクト11の周方向に不等間隔で複数配置するようにしても良い。また、ダクト11の周方向に配置されるプラズマアクチュエータ22を空気の流れ方向にずらして配置して良い。また、ダクト11の周方向に配置されるプラズマアクチュエータ22の数は任意である。
Claims (6)
- ファン動翼を有するターボファンエンジンのダクト内に配置されると共に電圧が印加されることによって音を発するプラズマアクチュエータと、
前記ダクト内の音響波と逆位相にて前記プラズマアクチュエータに音を発させる制御手段と
を備え、
前記プラズマアクチュエータが前記ダクトの周方向に不等間隔で複数設置されている
ことを特徴とするファン騒音低減装置。 - 前記プラズマアクチュエータがファン動翼の上流側と下流側との両方に設置されていることを特徴とする請求項1記載のファン騒音低減装置。
- 前記ダクト内の流速を計測する流速計測器と、ファン動翼の回転数を計測する回転数計測器とを備え、
前記制御手段は、ダクト内の流速とファン動翼の回転数に関連付けて音響波の波形を予め記憶し、前記流速計測器での計測結果及び前記回転数計測器での計測結果に基づいて前記音響波の波形を取得すると共に取得した波形に基づいて前記プラズマアクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項1または2記載のファン騒音低減装置。 - 前記ファン動翼と前記プラズマアクチュエータとの間に配置される音響波計測器を備え、
前記制御手段は、前記音響波計測器の計測結果に基づいて前記音響波の波形を取得すると共に取得した波形に基づいて前記プラズマアクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項1または2記載のファン騒音低減装置。 - 前記ファン動翼から見て前記プラズマアクチュエータの外側に配置される音響波計測器を備え、
前記制御手段は、前記音響波計測器の計測結果に基づいて前記音響波の波形を取得すると共に取得した波形に基づいて前記プラズマアクチュエータを駆動する
ことを特徴とする請求項1または2記載のファン騒音低減装置。 - 前記音響波計測器が前記ダクトの周方向に複数設置されていることを特徴とする請求項4または5記載のファン騒音低減装置。
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