JP5781153B2 - 人工肺および体外循環装置 - Google Patents

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Description

本発明は、人工肺および体外循環装置に関する。
従来、心臓外科手術で用いられる体外循環装置としては、血液が循環する流路の上流側から順に、気泡除去装置(バブルトラップ)、遠心ポンプ、人工肺が配置され、これらが互いにチューブで連結された体外循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の体外循環装置では、気泡除去装置は、患者から脱血された血液中の気泡を除去する装置である。また、遠心ポンプは、患者から血液を脱血し、当該脱血した血液を再度患者へ戻すよう血液を循環させる血液ポンプである。人工肺は、患者から脱血された血液に対し、ガス交換を行なう、すなわち酸素加、脱炭酸ガスを行なう多数本の中空糸膜を積層した中空糸膜層を有する装置である。
このような構成の体外循環装置では、低侵襲治療の観点から、当該装置内を循環する血液の体外循環量(プライミングボリューム)を抑制するために、貯血槽が省略されている。ところが、体外血液循環量抑制のために単に貯血槽を省略すると、脱血された血液中に含まれる気泡を除去することができないため、特許文献1に記載の体外循環装置では、気泡除去装置を設けている。仮に、貯血槽も気泡除去装置も省略されていたとすると、血液中の気泡が遠心ポンプに流入してしまい、気泡が流入してしまうと遠心ポンプは、空回りして、血液を循環させるとう機能を果たすことができない。
そこで、特許文献1に記載の体外循環装置では、遠心ポンプが前記機能を確実に果たすことができるよう、遠心ポンプの上流側に気泡除去装置を設置し、当該気泡除去装置で血液中の気泡を除去してから、血液が遠心ポンプに流入するよう構成されている。
しかしながら、さらに体外血液循環量を減らし、低侵襲治療を目指すには、この気泡除去装置さえ無くすことが望ましかった。
特開2007−14502号公報
本発明の目的は、血液が体外循環する際の当該血液の体外循環量を抑制することで、低侵襲を追求し、かつ安全性を確保することができる人工肺、および、かかる人工肺を備える体外循環装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、ガス交換機能を有する中空糸膜が多数本集積された中空糸膜層と、
前記各中空糸膜の内腔をガス流路として、該ガス流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられたガス流入部およびガス流出部と、
前記各中空糸膜の外側を血液流路として、該血液流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられた血液流入部および血液流出部と、
前記中空糸膜層の前記血液流出部側の面に接して設けられ、該面のほぼ全部を覆っており、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第1のフィルタ部材と、
前記第1のフィルタ部材から離間して、該第1のフィルタ部材と前記血液流出部との間に配置され、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第2のフィルタ部材とを備えることを特徴とする人工肺である。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、それぞれ、その形状がシート状をなすものであるのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第2のフィルタ部材の面積は、前記第1のフィルタ部材の面積よりも小さいのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記ハウジングは、筒状なすものであり、その側面視で、第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、重なっているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記血液流出部は、前記ハウジングから突出する管状の血液流出口を有し、
前記第2のフィルタ部材は、前記血液流出口の前記ハウジング側の端部の近傍に配置されているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材と前記ハウジングとの間には、間隙が形成されており、
前記ハウジングには、前記間隙に連通し、前記第2のフィルタ部材で捕捉した気泡を前記ハウジング外へ排出する排出口が設けられているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記中空糸膜層は、全体形状としてほぼ直方体の形状をなしているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記中空糸膜層は、全体形状としてほぼ円筒状をなしているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第2のフィルタ部材は、前記血液流出部側に向かって円弧状に湾曲しているのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記ハウジングは、円筒状なすものであり、その内周部には、前記第2のフィルタ部材が設置される凹部が形成されており、
前記第2のフィルタ部材は、前記ハウジングの内周部と同じ曲率で湾曲した状態で前記凹部に設置され、前記ハウジングの軸方向から見た形状が前記ハウジングの内周部とともに連続した1つの円形をなすのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材の構成材料と、前記第2のフィルタ部材の構成材料とは、同じものであるのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、それぞれ、親水性を有するのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、それぞれ、メッシュ状をなすものであるのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材の目開きと、前記第2のフィルタ部材の目開きとは、同じであるのが好ましい。
また、本発明の人工肺では、前記第1のフィルタ部材の目開きと、前記第2のフィルタ部材との目開きとは、それぞれ、80μm以下であるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、
本発明の人工肺と、
前記人工肺に対しその上流側に設けられ、血液を移送して体外循環させる第1の血液ポンプと、
前記人工肺に対しその下流側に設けられ、血液を移送して体外循環させる少なくとも1つの第2の血液ポンプとを備えることを特徴とする体外循環装置である。
また、上記目的を達成するために、本発明は、
本発明の人工肺と、
前記人工肺の下流側にのみ設けられ、血液を移送して体外循環させる血液ポンプとを備えることを特徴とする体外循環装置である。
また、本発明の体外循環装置では、前記人工肺の上流側に設けられ、該上流側の圧力を検出するセンサをさらに備えるのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記血液ポンプおよび前記センサの作動を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記センサから得られた情報に基づいて、前記血液ポンプの作動を制御するのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記センサで検出された前記圧力が所定の閾値を下回った場合には、前記人工肺に流入する血流量が減少するよう、前記血液ポンプの作動を制御するのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記血液ポンプは、遠心ポンプであり、
前記血液ポンプの作動の制御は、前記遠心ポンプの回転数を減少させるか、または、前記遠心ポンプを停止する制御であるのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記センサで検出された前記圧力が所定の閾値を上回った場合には、前記遠心ポンプの回転数を減少させて、再度前記センサで前記圧力を検出し、該検出された圧力が所定の閾値を上回った場合には、前記遠心ポンプを停止するのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記遠心ポンプの回転数の減少は、連続的または段階的に行なわれるのが好ましい。
また、本発明の体外循環装置では、前記血液ポンプは、遠心ポンプであるのが好ましい。
図1は、本発明の人工肺の第1実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1中のA−A線断面図である。 図3は、図1に示す人工肺における人工肺部の横断面図である。 図4は、図2中の右側下部(中空糸膜層、第1のフィルタ部材および第2のフィルタ部材)の拡大断面図である。 図5は、本発明の人工肺の第2実施形態を示す平面図である。 図6は、図5に示す人工肺を矢印B側から見た図である。 図7は、図6中のC−C線断面図である。 図8は、図6中の矢印D側から見た図である。 図9は、図5中のE−E線断面図である。 図10は、図9中のF−F線断面図である。 図11は、本発明の体外循環装置の第1実施形態を示す概略図である。 図12は、本発明の体外循環装置の第2実施形態を示す概略図である。 図13は、図12に示す体外循環装置の制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。 図14は、図12に示す体外循環装置の制御装置の制御による血液ポンプの回転数の経時変化を模式的に示すグラフである。
以下、本発明の人工肺および体外循環装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<人工肺の第1実施形態>
図1は、本発明の人工肺の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す人工肺における人工肺部の横断面図、図4は、図2中の右側下部(中空糸膜層、第1のフィルタ部材および第2のフィルタ部材)の拡大断面図である。なお、図1および図2中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、左側を「血液流入側」または「上流側」、右側を「血液流出側」または「下流側」として説明する。
図示の実施形態の人工肺1は、血液に対しガス交換を行う人工肺部1Aと血液に対し熱交換を行う熱交換部(熱交換器)1Bとを備える熱交換器付き人工肺であり、例えば血液体外循環回路中に設置されるものである。
この人工肺1は、人工肺部1A側のハウジング2と、熱交換器1B側の熱交換器ハウジング5とを有し、これらは連結(接合)または一体化されている。まず、人工肺部1Aについて説明する。
ハウジング2は、角筒状、すなわち横断面が四角形(長方形または正方形)をなす筒状のハウジング本体(以下「角筒状ハウジング本体」と言う)21と、角筒状ハウジング本体21の上端開口を封止する皿状の第1のヘッダー(上部蓋体)22と、角筒状ハウジング本体21の下端開口を封止する皿状の第2のヘッダー(下部蓋体)23とで構成されている。
角筒状ハウジング本体21、第1のヘッダー22および第2のヘッダー23は、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、MS樹脂、MBS樹脂)、ポリカーボネート等の樹脂材料あるいは種々のセラミックス材料、金属材料等で構成されている。角筒状ハウジング本体21に対し、第1のヘッダー22および第2のヘッダー23は、融着や接着剤による接着等の方法により固着されている。
角筒状ハウジング本体21には、その血液流出側の下部に円管状の血液流出ポート(血液流出口)28が突出形成され、血液流出側の上部に管状の排出ポート(排出口)29が突出形成されている。第1のヘッダー22の上部には、管状のガス流入ポート26が突出形成されている。また、第2のヘッダー23の下部には、管状のガス流出ポート27が突出形成されている。ガス流入ポート26は、その途中でほぼ直角に屈曲し、先端部が血液流出ポート28と平行な方向に向いている。
このようなハウジング2は、全体形状がほぼ直方体をなしている。このハウジング2の形状に由来して、本発明の人工肺1は、次のような効果を奏する。すなわち、まず第1に、ハウジング2が直方体形状であるため、内部に中空糸膜31を効率良く収納することができ、デッドスペースが小さく、そのため、小型の人工肺1で効率の良いガス交換を行うことができる。第2に、ハウジング2を例えば固定用基板に固定する場合に、ハウジング2の外面が平面であるため、固定を容易かつ確実に行うことができる。第3に、ハウジング2の内部に中空糸膜31を収納する際、ハウジング2の内部が平面で画成されているため、中空糸膜31に対して当該中空糸膜31を曲げる等のような負荷をかけることが防止される。
なお、本発明において、ハウジング2の全体形状は、必ずしも完全な直方体形状をなしている必要はなく、例えば全部または一部の角部に面取りや丸み付けがなされているものでもよく、あるいは、一部が欠損している形状、異形部分が付加された形状などでもよい。
図2〜図4に示すように、ハウジング2の内部には、ガス交換機能を有する中空糸膜31が多数本集積された中空糸膜層3と、中空糸膜層3の血液流出ポート28(血液流出部)側に設けられた気泡除去手段4としての第1のフィルタ部材41および第2のフィルタ部材43とが収納されている。これらの層および部材は、血液流入側から、中空糸膜層3、第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43の順に配置されている。
図4に示すように、中空糸膜層3を構成する中空糸膜31は、そのほとんどがほぼ平行に配置されている。この場合、各中空糸膜31は、その長手方向が上下方向(鉛直方向)となるように配置されている。
なお、中空糸膜層3における中空糸膜31の配設パターン、配設方向等は、上述したものに限定されず、例えば、各中空糸膜31が水平な方向に配置された構成、中空糸膜31同士が斜めに交差する部分(交差部)を有する構成、全部または一部の中空糸膜31が湾曲して配置された構成、全部または一部の中空糸膜31が波状、螺旋状、渦巻き状または環状に配置された構成等であってもよい。
各中空糸膜31の両端部(上端部および下端部)は、それぞれ、隔壁8および9により角筒状ハウジング本体21の内面に対し固定されている(図2参照)。隔壁8、9は、例えば、ポリウレタン、シリコーンゴム等のポッティング材により構成されている。
また、中空糸膜層3は、その幅方向の両端部がそれぞれ固着部7により、角筒状ハウジング本体21の内面に対し固定(固着)されている(図3参照)。固着部7は、前記隔壁8、9と同様の材料(ポッティング材)またはその他の接着剤で構成されている。
第1のヘッダー22と隔壁8とにより、第1の部屋221が画成されている。この第1の部屋221は、ガスが流入するガス流入室である。各中空糸膜31の上端開口は、第1の部屋221に開放し、連通している。
一方、第2のヘッダー23と隔壁9とにより、第2の部屋231が画成されている。この第2の部屋231は、ガスが流出してくるガス流出室である。各中空糸膜31の下端開口は、第2の部屋231に開放し、連通している(図4参照)。
各中空糸膜31の内腔は、ガスが流れるガス流路32を構成している。ガス流入ポート26および第1の部屋221により、ガス流路32の上流側に位置するガス流入部が構成され、ガス流出ポート27および第2の部屋231により、ガス流路32の下流側に位置するガス流出部が構成される。このガス流出部は、外部に向かって開放されている、すなわち、大気開放された状態となっている。なお、ガス流出部は、手術室の壁吸引に接続されていてもよい。壁吸引とは、酸素、治療用空気、窒素、吸引などの医療ガス配管設備の一つであり、手術室の壁などに設置されている吸引(脱気)のための配管のことである。この壁吸引により、ガス流出部を介して、二酸化炭素を比較的多く含むガス、すなわち、ガス交換に用いられたガスを確実に吸引することができる。
中空糸膜層3は、角筒状ハウジング本体21の内部にほぼ隙間なく充填されており、これにより、中空糸膜層3は、全体形状としてほぼ直方体の形状をなしている。これにより、同様の形状の角筒状ハウジング本体21に対し、中空糸膜31の高い充填効率が得られ(デッドスペースが少なく)、人工肺部1Aの小型化、高性能化に寄与する。
ハウジング2内の隔壁8と隔壁9との間における各中空糸膜31は、露出しており、各中空糸膜31の外側、すなわち、中空糸膜31同士の隙間に、血液が図2、図3中左側から右側に向かって流れる血液流路33が形成されている。
血液流路33の上流側(中空糸膜層3の上流側の面側)、すなわち角筒状ハウジング本体21と熱交換器ハウジング5との連結部には、血液流入部として、上下方向(中空糸膜31の配設方向とほぼ平行な方向)に延びる帯状またはスリット状の血液流入側開口部(血液流入側空間)24が形成されている。ハウジング2の内部と熱交換器ハウジング5の内部とは、この血液流入側開口部24を介して連通する。このような構成とすることにより、熱交換部1Bから人工肺部1Aへの血液の移送を効率良く行うことができる。
血液流入側開口部24の長さ(上下方向の長さ)は、各中空糸膜31の有効長(隔壁8の下面から隔壁9の上面までの長さ)とほぼ等しい(図2参照)か、またはそれより若干短い(有効長の70%以上)のが好ましい。これにより、熱交換部1Bから人工肺部1Aへの血液の移送を効率良く行うことができるとともに、血液流路33内で血液に対するガス交換を効率良く行うことができる。
また、血液流路33の少なくとも上流側(血液流入側開口部24側)では、血液の流れの方向は、各中空糸膜31の長手方向とほぼ直交する方向である。これにより、血液流路33を流れる血液に対し、効率の良いガス交換を行うことができる。
血液流路33の下流側(中空糸膜層3の下流側の面側)においては、第1のフィルタ部材41と角筒状ハウジング本体21の内面との間に隙間が形成され、この隙間は、血液流出側開口部(血液流出側空間)25を形成している。この血液流出側開口部25と、血液流出側開口部25に連通する血液流出ポート28とで、血液流出部が構成される。血液流出部は、血液流出側開口部25を有することにより、第1のフィルタ部材41を透過した血液が血液流出ポート28に向かって流れる空間が確保され、血液を円滑に排出することができる。
そして、血液流入側開口部24と血液流出側開口部25との間に、中空糸膜層3と、第1のフィルタ部材41と、血液流路33とが存在している。
また、図2に示すように、血液流出側開口部25には、角筒状ハウジング本体21に突出形成されている排出ポート29が連通している。
ところで、人工肺1の下流側に患者から血液を吸引する血液ポンプが設置され、当該血液ポンプの回転数が何らかの異常により、過剰に大きかった場合に、人工肺1に血液が流入した際、当該血液に含まれる気泡が第1のフィルタ部材41を通過してしまうことがある。しかしながら、この気泡は、第2のフィルタ部材43で捕捉されることとなり、その後、排出ポート29を介して排出される。この排出により、人工肺1から気泡を除去することができる。
また、人工肺1で気泡を捕捉することができるため、当該人工肺1を備える体外循環装置では、従来の体外循環装置に設置されていた「気泡除去装置」を省略することができる。このように気泡除去装置を省略することができる分、体外循環する血液の量(プライミングボリューム)を抑制することができる。
中空糸膜31としては、例えば、多孔質ガス交換膜が用いられる。この多孔質中空糸膜としては、内径が100〜1000μm程度、肉厚が5〜200μm程度、好ましくは10〜100μm程度、空孔率が20〜80%程度、好ましくは30〜60%程度、細孔径が0.01〜5μm程度、好ましくは0.01〜1μm程度のものを用いることができる。
また、中空糸膜31の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン等の疎水性高分子材料が用いられる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、ポリプロピレンであり、延伸法または固液相分離法により壁部に微細孔が形成されたものがより好ましい。
中空糸膜層3における各中空糸膜31の長さ(有効長)は、特に限定されないが、20〜150mm程度であるのが好ましく、30〜100mm程度であるのがより好ましい。
中空糸膜層3の厚さ(図2中横方向の長さ)は、特に限定されないが、3〜100mm程度であるのが好ましく、7〜50mm程度であるのがより好ましい。
中空糸膜層3の幅(図3中縦方向の長さ)は、特に限定されないが、10〜100mm程度であるのが好ましく、20〜80mm程度であるのがより好ましい。
さて、前述したように、中空糸膜層3の下流側(血液流出部側)には、血液中の気泡を捕捉しつつ、血液から除去する機能を有する気泡除去手段4が設置されている。図2〜図4に示すように、気泡除去手段4は、第1のフィルタ部材41と、第1のフィルタ部材41の下流側に配置された第2のフィルタ部材43とを有している。
第1のフィルタ部材41は、血液流路33を流れる血液中に存在する気泡を捕捉する機能を有するメインフィルタである。第2のフィルタ部材43は、前述したように人工肺1の下流側に設置された血液ポンプの回転数が何らかの異常により過剰に大きかった場合であって、第1のフィルタ部材41を気泡が通過してしまった場合に、当該血液中の気泡を捕捉する機能を有する補助フィルタである。このように、気泡は、人工肺1の使用状態(使用環境下)によっては、第1のフィルタ部材41を通過してしまうことがあり、この場合に、第2のフィルタ部材43は、この気泡を捕捉するのに有効なものとなる。
第1のフィルタ部材41は、ほぼ長方形をなす平坦なシート状の部材(以下単に「シート」とも言う)で構成され、その縁部(4つの辺)が隔壁8、9および両固着部7により固着されることにより、ハウジング2に対し固定されている。
なお、第1のフィルタ部材41の平面形状は、図示の実施形態では、長方形(または正方形)をなしているが、第1のフィルタ部材41の平面形状はこれに限らず、例えば、台形、平行四辺形、楕円形、長円形等、その形状は特に限定されない。
また、第1のフィルタ部材41は、図示の実施形態では、平坦なシートで構成されている。
このような第1のフィルタ部材41は、その片面が中空糸膜層3の下流側(血液流出部側)の面に接して設けられ、該面のほぼ全面を覆っている。第1のフィルタ部材41をこのように設けることにより、第1のフィルタ部材41の有効面積を大きくすることができ、気泡を捕捉する能力を十分に発揮することができる。また、第1のフィルタ部材41の有効面積が大きくなることにより、たとえ第1のフィルタ部材41の一部に目詰まり(例えば血液の凝集塊などの付着)が生じたとしても、全体として血液の流れを妨げることを防止(抑制)することができる。
第1のフィルタ部材41とハウジング2との間には、間隙、すなわち、血液流出側開口部25が形成されている(図2〜図4参照)。これにより、第1のフィルタ部材41がハウジング2の内面に接する(密着する)ことが抑制され、第1のフィルタ部材41を透過した血液が血液流出側開口部25内において容易に流下し、血液流出ポート28へ向かって円滑に流れることができる。
また、第2のフィルタ部材43は、この血液流出側開口部25を介して、第1のフィルタ部材41と対向配置されている。換言すれば、第2のフィルタ部材43は、第1のフィルタ部材41から離間しており、ハウジング2の側面視で(血液流出ポート28の軸方向から見たとき)第1のフィルタ部材41と重なって配置されている。さらに、第2のフィルタ部材43は、血液流出ポート28の上流側、すなわち、角筒状ハウジング本体21(ハウジング2)側の端部の近傍に配置されている。
図4(図2、図3についても同様)に示すように、第2のフィルタ部材43は、ほぼ円形をなす平坦なシート状の部材で構成され、その下流側の面が血液流出ポート28の内周面に対し固着部11により固定されている。固着部11は、前記隔壁8、9と同様の材料(ポッティング材)またはその他の接着剤で構成されている。また、第2のフィルタ部材43は、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)や、インサート成形により、固定されていてもよい。
このように配置された第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43を有する人工肺1は、図2に示す姿勢で使用される。この場合、血液流出ポート28は、人工肺1を使用する際の鉛直下方の位置に設けられている。すなわち、血液流出側開口部25の下部に血液流出ポート28の内腔が連通しており、第1のフィルタ部材41を通過し、血液流出側開口部25に入った血液は、血液流出側開口部25内を下方に向けて流れ、第2のフィルタ部材43をさらに通過して血液流出ポート28よりハウジング2外へ流出する。
そして、第1のフィルタ部材41は、血液流路33を流れる血液中に気泡が存在していたとしても、その気泡を捕捉することができる。また、第1のフィルタ部材41により捕捉された気泡は、血液流路33内の圧力と中空糸膜31(ガス流路32)内の圧力との差によって、第1のフィルタ部材41近傍の各中空糸膜31内に入り込み、その結果、血液流路33から除去される。
ところで、人工肺1はその使用状態によっては、すなわち、人工肺1の下流側に設置された血液ポンプの回転数が何らかの異常により過剰に大きくなると、血液流路側の圧力がガス流路(中空糸膜31の内腔)の圧力よりも過剰に低くなる場合がある。この場合、中空糸膜31の内腔からガスが血液流路内へ出現し、気泡となり、そして、中空糸膜31と第1のフィルタ部材41が接触している箇所では、この気泡は、第1のフィルタ部材41を通過してしまう。
しかしながら、第1のフィルタ部材41を不本意に通過した気泡があったとしても、その気泡は、第2のフィルタ部材43で確実に捕捉されることとなる。これにより、気泡が血液流出ポート28から流出するのを確実に防止することができる。
また、第1のフィルタ部材41を通過した気泡には、血液流出側開口部25内を浮上するものと、血液流出ポート28に向かうものとがある。前者の気泡は、そのまま排気ポート29に流入し、当該排気ポート29から排出される。一方、後者の気泡は、第2のフィルタ部材43で捕捉されて、その後、前者の気泡と同様に、血液流出側開口部25内を浮上して、排気ポート29から排出される。このように、第1のフィルタ部材41を通過したいずれの気泡も、血液流出ポート28から排出されるのがより確実に防止される。なお、排気ポート29は、気泡除去手段4の一部として機能していると言うこともできる。
第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43の形態としては、それぞれ、例えば、メッシュ状(網状)をなすもの、織布、不織布、あるいはこれらを組み合わせたものが挙げられるが、このなかでも、メッシュ状(網状)をなすものが好ましく、特に、スクリーンフィルタが好ましい。これにより、気泡を双方のフィルタ部材で確実に捕捉することができるとともに、血液が容易に通過することができる。
第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43がそれぞれメッシュ状をなすものである場合、互いに目開きが同じであるのが好ましい。そして、その目開きは、特に限定されないが、通常は、80μm以下であるのが好ましく、15〜60μm程度であるのがより好ましく、20〜45μmであるのがさらに好ましい。これにより、血液の通過抵抗を増大させることなく、比較的細かい気泡をも捕捉することができ、気泡の捕捉効率(除去能)が高い。
第1のフィルタ部材41と第2のフィルタ部材43とは、同じ材料で構成されているのが好ましい。そして、その構成材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、セルロース、ポリウレタン、アラミド繊維等が挙げられる。特に、抗血栓性に優れ、目詰まりを生じ難いという点で、各フィルタ部材の構成材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンを用いるのが好ましい。
また、第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43は、それぞれ、親水性を有するのが好ましい。すなわち、各フィルタ部材は、それぞれ、それ自体が親水性を有する材料で構成されているか、または、親水化処理(例えば、プラズマ処理等)が施されていることが好ましい。これにより、人工肺1のプライミング時の気泡除去が容易になるだけでなく、気泡が混入した血液が通過する際には、気泡の通過がより困難となるため、各フィルタ部材の気泡除去能がより向上し、血液流出ポート28からの気泡の流出をより確実に防止することができる。
このような第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43は、それぞれ、シート状(特にスクリーンフィルタのようなメッシュ)のものを1枚用いても、あるいはこれを2枚以上重ねて用いてもよい。2枚以上重ねて用いる場合、各シートは、その形態、構成材料、目開き、平坦/非平坦の別、平面形状等の条件のうちの少なくとも1つが異なるものを組み合わせて用いるのが好ましい。これは、各フィルタ部材に多彩な(複合的な)機能を持たせたり、気泡除去能をさらに向上するのに有利だからである。例えば、第1のフィルタ部材41、第2のフィルタ部材43のうちの第1のフィルタ部材41を代表的に説明すると、この第1のフィルタ部材41として、目開きの異なる2枚のメッシュを重ねて用いた場合(上流側に目開きの大きいメッシュを配置)、目開きの大きいメッシュでまず比較的大きい気泡を捕捉し、該メッシュを通過した細かい気泡を目開きの小さいメッシュで捕捉することができ、血液の通過抵抗を増大させることなく、気泡除去能を向上することができる。
また、図4に示すように、第2のフィルタ部材43の面積は、第1のフィルタ部材41の面積よりも小さい。第2のフィルタ部材43は、メインフィルタである第1のフィルタ部材41に対する補助フィルタであるため、このような大小関係でも、十分に気泡捕捉機能を発揮することができる。
次に、熱交換部(熱交換器)1Bについて説明する。熱交換器1Bは、熱交換器ハウジング5を有している。熱交換器ハウジング5は、ほぼ円筒状をなし、その上端および下端は閉じている。熱交換器ハウジング5の内部には、血液室50が形成されている。熱交換器ハウジング5の下端(下面)には、管状の熱媒体流入ポート52および熱媒体流出ポート53が突出形成されている。また、熱交換器ハウジング5の図2中左側の下部には、管状の血液流入ポート51が突出形成されている。血液流入ポート51の内腔は、血液室50と連通している。
熱交換器ハウジング5の内部には、全体形状が筒状をなす熱交換体54と、熱交換体54の内周に沿って配置された円筒状の熱媒体室形成部材(円筒壁)55と、熱媒体室形成部材55の内側空間を流入側熱媒体室57と流出側熱媒体室58とに区分する区画壁56とが設置されている。熱媒体室形成部材55は、熱交換体54の内側に熱媒体が一旦貯留される熱媒体室を形成する機能を有するとともに、筒状の熱交換体の変形を規制する機能を有している。
熱媒体室形成部材55および区画壁56は、熱交換器ハウジング5に対し例えば融着、接着剤による接着等の方法により固定されている。熱媒体室形成部材55と区画壁56とは、別部材でも一体的に形成されたものでもよい。
また、熱媒体室形成部材55には、その壁部を貫通する上下方向に延びた帯状の開口59a、59bが形成されている。開口59aと開口59bとは、区画壁56を介して対抗する位置に配置されている(図3参照)。開口59aは、流入側熱媒体室57に連通し、開口59bは、流出側熱媒体室58に連通している。
熱交換体54としては、図2に示すような、いわゆるベローズ型熱交換体(蛇腹管)を用いることができる。このベローズ型熱交換体54は、軸方向中央部の側面にほぼ平行に形成された多数の中空環状突起を備える蛇腹形成部と、その両端(上下端)に形成され、蛇腹形成部の内径とほぼ等しい円筒部とを備えている。この熱交換体54は、ステンレス、アルミニウム等の金属材料、またはポリエチレン、ポリカーボネート等の樹脂材料により構成されている。強度、熱交換効率の面からステンレス、アルミニウム等の金属材料が好ましい。特に、熱交換体54の軸方向(中心軸)に対してほぼ直交する凹凸が多数繰り返された波状となっている金属製のベローズ管で構成されているのが好ましい。
熱交換器ハウジング5、熱媒体室形成部材55および区画壁56の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、MS樹脂、MBS樹脂)、ポリカーボネート等の樹脂材料あるいは種々のセラミックス材料、金属材料等が挙げられる。
以下、人工肺1の熱交換部1Bにおける熱媒体の流れについて、図1〜図3を参照しつつ説明する。
熱媒体流入ポート52より流入した熱媒体は、まず流入側熱媒体室57に入り、開口59aを通って熱媒体室形成部材55の外周側に流れ込み、熱媒体室形成部材55の外周のほぼ全周に広がり、熱交換体54の蛇腹の多数の凹部(中空環状突起の内側)に入る。これにより、熱媒体に接触した熱交換体54は加温または冷却される。そして、熱交換体54の外周側を流れる血液との間で熱交換(加温または冷却)が行われる。
熱交換体54の加温または冷却に供された熱媒体は、開口59bを通って流出側熱媒体室58に入り、熱媒体流出ポート53より排出される。
なお、図示の実施形態と異なり、本発明においては、熱交換部1Bは、人工肺部1Aの下流側に設けられていてもよい。さらに。本発明では、熱交換部1Bは、存在しなくてもよい。
次に、本実施形態の人工肺1における血液の流れについて説明する。
この人工肺1では、血液流入ポート51から流入した血液は、血液室50、すなわち熱交換器ハウジング5の内周面と熱交換体54との間に流れ込み、熱交換体54の複数の中空環状突起の外面と接触して熱交換(加温または冷却)がなされる。このようにして熱交換がなされた血液は、血液室50の下流側に集まり、血液流入側開口部24を通って人工肺部1Aのハウジング2内へ流入する。
血液流入側開口部24を経た血液は、血液流路33を下流方向に向かって流れる。一方、ガス流入ポート26から供給されたガス(酸素を含む気体)は、第1の部屋221より各中空糸膜31の内腔であるガス流路32に分配され、該ガス流路32を流れた後、第2の部屋231に集積され、ガス流出ポート27より排出される。血液流路33を流れる血液は、各中空糸膜31の表面に接触し、ガス流路32を流れるガスとの間でガス交換(酸素加、脱炭酸ガス)がなされる。
ガス交換がなされた血液中に気泡が混入している場合、この気泡は、第1のフィルタ部材41により捕捉され、第1のフィルタ部材41の下流側には流出しない。また、前述したように、使用状態によって仮に気泡が第1のフィルタ部材41の下流側に流出してしまった場合であっても、その気泡は、第2のフィルタ部材43により捕捉され、血液流出ポート28からの排出が確実に阻止される。また、第2のフィルタ部材43にて捕捉された気泡は、前述したように血液流出側開口部25内を浮上して、排出ポート29から排出される。
以上のようにしてガス交換がなされ、気泡が除去された血液は、血液流出ポート28より流出する。
本実施形態の人工肺1において、血液と接触する面(例えば、ハウジング2の内面、熱交換器ハウジング5の内面、熱媒体室形成部材55の表面、区画壁56の表面、固着部7、隔壁8、9の血液流路33に臨む面)は、抗血栓性表面となっていることが好ましい。抗血栓性表面は、抗血栓性材料を表面に被覆し、さらには固定することにより形成することができる。抗血栓性材料としては、ヘパリン、ウロキナーゼ、HEMA−St−HEMAコポリマー、ポリHEMA等が挙げられる。
人工肺1において、血液流入ポート51から流入する血液の流量は、患者の体格、術式(手術の方式)により異なるため、特に限定されないが、一般的に、乳児から小児では、0.1〜2.0L/分程度が好ましく、中人では、2.0〜5.0L/分程度が好ましく、成人では、3.0〜7.0L/分程度が好ましい。
人工肺1において、ガス流入ポート26から供給されるガスの流量は、患者の体格、術式により異なるため、特に限定されないが、一般的に、乳児から小児では、0.05〜4.0L/分程度が好ましく、中人では、1.0〜10.0L/分程度が好ましく、成人では、1.5〜14.0L/分程度が好ましい。
また、ガス流入ポート26から供給されるガス中の酸素濃度は、手術中の患者の酸素・炭酸ガスの代謝量により異なるため、特に限定されないが、40〜100%とすることができる。
また、人工肺1の最大連続運転時間は、患者の様態、術式により異なるため、特に限定されないが、一般的に、2〜6時間程度とすることができる。また、人工肺1の最大連続運転時間は、稀に、10時間程度の長時間に及んでもよい。
<人工肺の第2実施形態>
図5は、本発明の人工肺の第2実施形態を示す平面図、図6は、図5に示す人工肺を矢印B側から見た図、図7は、図6中のC−C線断面図、図8は、図6中の矢印D側から見た図、図9は、図5中のE−E線断面図、図10は、図9中のF−F線断面図である。なお、図5、図7および図8中の左側を「左」または「左方」、右側を「右」または「右方」という。また、図5〜図10中、人工肺の内側を「血液流入側」または「上流側」、外側を「血液流出側」または「下流側」として説明する。
以下、これらの図を参照して本発明の人工肺の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、人工肺の全体形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図示の実施形態の人工肺10は、全体形状(外形形状)がほぼ円柱状をなしている。この人工肺10は、内側に設けられ、前記第1実施形態の熱交換部1Bとほぼ同様の構成の熱交換部(熱交換器)10Bと、熱交換部10Bの外周側に設けられ、血液に対しガス交換を行う人工肺部10Aと備える熱交換器付き人工肺である。
人工肺1は、ハウジング2Aを有しており、このハウジング2A内に人工肺部10Aと熱交換部10Bとが収納されている。また、熱交換部10Bは、ハウジング2A内において、さらに、熱交換器ハウジング5Aに収納されている。この熱交換器ハウジング5Aにより、熱交換部10Bの両端部がそれぞれハウジング2Aに対し固定されている。
ハウジング2Aは、円筒状なすハウジング本体(以下「円筒状ハウジング本体」と言う)21Aと、円筒状ハウジング本体21Aの左端開口を封止する皿状の第1のヘッダー(上部蓋体)22Aと、円筒状ハウジング本体21Aの右端開口を封止する皿状の第2のヘッダー(下部蓋体)23Aとで構成されている。
円筒状ハウジング本体21A、第1のヘッダー22Aおよび第2のヘッダー23Aは、それぞれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、MS樹脂、MBS樹脂)、ポリカーボネート等の樹脂材料あるいは種々のセラミックス材料、金属材料等で構成されている。円筒状ハウジング本体21Aに対し、第1のヘッダー22Aおよび第2のヘッダー23Aは、融着や接着剤による接着等の方法により固着されている。
円筒状ハウジング本体21Aの外周部には、管状の血液流出ポート28が形成されている。この血液流出ポート28は、円筒状ハウジング本体21Aの外周面のほぼ接線方向に向かって突出している(図9参照)。
また、円筒状ハウジング本体21Aの外周部には、その軸方向の中央部に管状の排気ポート(排気口)29が形成されている。この排気ポート29は、人工肺10が使用される状態で、円筒状ハウジング本体21Aの上部に位置し、上方に向かって突出する(図5〜図7、図9参照)。
第1のヘッダー22Aには、管状の血液流入ポート201およびガス流出ポート27が突出形成されている。血液流入ポート201は、その中心軸が第1のヘッダー22Aの中心に対し偏心するように、第1のヘッダー22Aの端面に形成されている。ガス流出ポート27は、その中心軸が第1のヘッダー22Aの中心と交差するように、第1のヘッダー22Aの外周部に形成されている(図6参照)。
第2のヘッダー23Aには、管状のガス流入ポート26、熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203が突出形成されている。ガス流入ポート26は、第2のヘッダー23Aの端面の縁部に形成されている。熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203は、それぞれ、第2のヘッダー23Aの端面のほぼ中央部に形成されている。また、熱媒体流入ポート202および熱媒体流出ポート203の中心線は、それぞれ、第2のヘッダー23Aの中心線に対してやや傾斜している。
なお、本発明において、ハウジング2Aの全体形状は、必ずしも完全な円柱状をなしている必要はなく、例えば一部が欠損している形状、異形部分が付加された形状などでもよい。
図7、図9に示すように、ハウジング2Aの内部には、その内周面に沿った円筒状をなす人工肺部10Aが収納されている。人工肺部10Aは、円筒状の中空糸膜層3Aと、中空糸膜層3Aの外周側(血液流出部側)に設けられた気泡除去手段4Aとしての第1のフィルタ部材41Aおよび第2のフィルタ部材43Aとで構成されている。これらの層および部材は、血液流入側から、中空糸膜層3A、第1のフィルタ部材41A、第2のフィルタ部材43Aの順に配置されている。
図10に示すように、中空糸膜層3Aは、ガス交換機能を有する中空糸膜31が多数本集積されたものである。この中空糸膜層3Aを構成する中空糸膜31は、そのほとんどがハウジング2Aの中心軸とほぼ平行に配置されている。
なお、中空糸膜層3Aにおける中空糸膜31の配設パターン、配設方向等は、上述したもの限定されず、例えば、各中空糸膜31がハウジング2Aの中心軸に対して垂直な方向に配置された構成、中空糸膜31同士が斜めに交差する部分(交差部)を有する構成、全部または一部の中空糸膜31が湾曲して配置された構成、全部または一部の中空糸膜31が波状、螺旋状、渦巻き状または環状に配置された構成等であってもよい。
図7に示すように、各中空糸膜31の両端部(左端部および右端部)は、それぞれ、隔壁8および9により円筒状ハウジング本体21Aの内面に対し固定されている。
また、中空糸膜層3Aは、円筒状ハウジング本体21Aと熱交換部10Bとの間にほぼ隙間なく充填されており、これにより、中空糸膜層3Aは、全体形状としてほぼ円筒状の形状をなしている。これにより、同様の形状の円筒状ハウジング本体21Aに対し、中空糸膜31の高い充填効率が得られ(デッドスペースが少なく)、人工肺部10Aの小型化、高性能化に寄与する。
なお、中空糸膜層3Aの厚さ(図9中径方向の長さ)は、特に限定されないが、2〜100mm程度であるのが好ましく、3〜30mm程度であるのがより好ましい。
ハウジング2A内の隔壁8と隔壁9との間における各中空糸膜31は、露出しており、各中空糸膜31の外側、すなわち、中空糸膜31同士の隙間に、血液が図10中上側から下側に向かって流れる血液流路33が形成されている。
血液流路33の上流側(中空糸膜層3Aの上流側の面側)、すなわち、人工肺部10Aと熱交換部10Bとの間には、血液流入ポート201から流入した血液の血液流入部として、円筒状の血液流入側開口部(血液流入側空間)24Aが形成されている(図7、図9参照)。
血液流入側開口部24Aに流入した血液は、当該血液流入側開口部24Aの周方向および長手方向に沿って流れることとなり、よって、血液流入側開口部24Aの全体に行き渡る。これにより、熱交換部10Bから人工肺部10Aへの血液の移送を効率良く行うことができる。
血液流路33の下流側(中空糸膜層3Aの下流側の面側)においては、後述する第1のフィルタ部材41Aの外周面と円筒状ハウジング本体21Aの内周面との間に円筒状の隙間が形成され、この隙間は、血液流出側開口部(血液流出側空間)25Aを形成している。この血液流出側開口部25Aと、血液流出側開口部25Aに連通する血液流出ポート28とで、血液流出部が構成される。血液流出部は、血液流出側開口部25Aを有することにより、第1のフィルタ部材41Aを透過した血液が血液流出ポート28に向かって流れる空間が確保され、血液を円滑に排出することができる。
そして、血液流入側開口部24Aと血液流出側開口部25Aとの間に、中空糸膜層3Aと、第1のフィルタ部材41Aと、血液流路33とが存在している。
また、図9に示すように、血液流出側開口部25Aには、円筒状ハウジング本体21Aに突出形成されている排出ポート29が連通している。
ところで、人工肺10の下流側に患者から血液を吸引する血液ポンプが設置され(図11、図12参照)、当該血液ポンプの回転数が何らかの異常により過剰に大きかった場合に、人工肺10に血液が流入した際、当該血液に含まれる気泡が第1のフィルタ部材41Aを通過してしまうことがある。しかしながら、この気泡は、第2のフィルタ部材43Aで捕捉されることとなり、その後、排出ポート29を介して排出される。この排出により、人工肺10から気泡を除去することができる。
また、人工肺10で気泡を捕捉することができるため、当該人工肺10を備える体外循環装置では、従来の体外循環装置に設置されていた「気泡除去装置」を省略することができる。このように気泡除去装置を省略することができる分、体外循環する血液の量を抑制することができる。
さて、前述したように、中空糸膜層3Aの下流側(血液流出部側)には、血液中の気泡を捕捉しつつ、血液から除去する機能を有する気泡除去手段4Aが設置されている。この気泡除去手段4Aは、第1のフィルタ部材41Aと、第1のフィルタ部材41Aの下流側に配置された第2のフィルタ部材43Aとを有している。
第1のフィルタ部材41Aは、血液流路33を流れる血液中に存在する気泡を捕捉する機能を有するメインフィルタである。第2のフィルタ部材43Aは、前述したように人工肺10の下流側に設置された血液ポンプの回転数が何らかの異常により過剰に大きかった場合であって、第1のフィルタ部材41を気泡が通過して(透過して)しまった場合に、当該血液中の気泡を捕捉する機能を有する補助フィルタである。このように、気泡は、人工肺10の使用状態(使用環境下)によっては、第1のフィルタ部材41Aを通過してしまうことがあり、この場合に、第2のフィルタ部材43Aは、この気泡を捕捉するのに有効なものとなる。
第1のフィルタ部材41Aは、ほぼ長方形をなすシート状の部材(以下単に「シート」とも言う)で構成され、そのシートを円柱状に巻回して形成したものである。第1のフィルタ部材41Aは、両端部がそれぞれ隔壁8、9で固着されることにより、ハウジング2Aに対し固定されている(図7参照)。
この第1のフィルタ部材41Aは、その内周面が中空糸膜層3Aの下流側(血液流出部側)の面に接して設けられ、該面のほぼ全面を覆っている。第1のフィルタ部材41Aをこのように設けることにより、第1のフィルタ部材41Aの有効面積を大きくすることができ、気泡を捕捉する能力を十分に発揮することができる。また、第1のフィルタ部材41Aの有効面積が大きくなることにより、たとえ第1のフィルタ部材41Aの一部に目詰まり(例えば血液の凝集塊などの付着)が生じたとしても、全体として血液の流れを妨げることを防止(抑制)することができる。
また、第1のフィルタ部材41Aは、図示の実施形態では、外径がほぼ一定なものである。
図9に示すように、第1のフィルタ部材41Aの下流側には、血液流出側開口部25Aを介して、第2のフィルタ部材43Aが対向配置されている。また、図8に示すように、この第2のフィルタ部材43Aは、円筒状ハウジング本体21A(ハウジング2)の側面視で、すなわち、血液流出ポート28側から見て、第1のフィルタ部材41Aと重なっている。これにより、気泡が第1のフィルタ部材41Aの通過直後に、当該気泡を第2のフィルタ部材43Aで迅速に捕捉することができる。
また、第2のフィルタ部材43Aの面積は、第1のフィルタ部材41Aの面積よりも小さい(図8参照)。第2のフィルタ部材43Aは、血液流出ポート28の円筒状ハウジング本体21A側の端部付近を覆うことができれば(図9、図10参照)、十分に気泡捕捉機能を発揮することができるため、このような大小関係となっている。
図9、図10に示すように、第2のフィルタ部材43Aは、円筒状ハウジング本体21Aの内周部に形成された凹部211に設置されている。凹部211の深さは、第2のフィルタ部材43Aの厚さよりも大きい。そして、この凹部211に設置された第2のフィルタ部材43Aは、円筒状ハウジング本体21Aの内周部と同じ曲率で、下流側(血液流出ポート28側)に向かって円弧状に湾曲している。これにより、第2のフィルタ部材43Aは、円筒状ハウジング本体21の軸方向から見た形状、すなわち、図9中での形状が円筒状ハウジング本体21の内周部とともに連続した1つの円形をなす。従って、第2のフィルタ部材43Aと円筒状ハウジング本体21Aの内周部との境界部には、段差部が生じることなく、滑らかな円弧状の曲線が描かれることとなる。これにより、第2のフィルタ部材43Aで捕捉された気泡が例えば前記段差部に留まる(引っ掛かる)のが防止され、排出ポート29に向かって確実に浮上することができる。そして、この浮上した気泡を排出ポート29から排出することができる。
また、第2のフィルタ部材43Aが円弧状に湾曲した状態となっていることにより、当該第2のフィルタ部材43Aの有効面積をできる限り大きくすることができ、気泡を捕捉する能力を十分に発揮することができる。
また、図5(図7、図9、図10についても同様)に示すように、凹部211の底部と第2のフィルタ部材43Aとの間には、間隙212が形成されている。間隙212は、第2のフィルタ部材43Aを通過した血液が通過する流路として機能する(図10参照)。そして、間隙212を通過した血液は、血液流出ポート28に向かうことができる。
このような第1のフィルタ部材41A、第2のフィルタ部材43Aを有する人工肺10は、図5〜図7、図9に示す姿勢で使用される。この場合、血液流出ポート28は、人工肺10を使用する際の鉛直下方に位置する。すなわち、血液流出側開口部25Aの下部に血液流出ポート28の内腔が連通しており、第1のフィルタ部材41Aを通過し、血液流出側開口部25Aに入った血液は、血液流出側開口部25A内を血液流出ポート28に向かって流下し、第2のフィルタ部材43Aをさらに通過して血液流出ポート28よりハウジング2外へ流出する。また、排出ポート29は、鉛直上方に位置する。
そして、第1のフィルタ部材41Aは、血液流路33を流れる血液中に気泡が存在していたとしても、その気泡を捕捉することができる。また、第1のフィルタ部材41Aにより捕捉された気泡は、血液流路33内の圧力と中空糸膜31内の圧力との差によって、第1のフィルタ部材41A近傍の各中空糸膜31内に入り込み、その結果、血液流路33から除去される。
ところで、人工肺10はその使用状態によっては、すなわち、人工肺10の下流側に設置された血液ポンプの回転数が何らかの異常により過剰に大きくなると、血液流路側の圧力がガス流路(中空糸膜31の内腔)の圧力よりも過剰に低くなる場合がある。この場合、中空糸膜31の内腔からガスが血液流路内へ出現し、気泡となり、そして、中空糸膜31と第1のフィルタ部材41が接触している箇所では、この気泡は、第1のフィルタ部材41を通過してしまう。
しかしながら、第1のフィルタ部材41Aを不本意に通過した気泡があったとしても、その気泡は、第2のフィルタ部材43Aで確実に捕捉されることとなる。これにより、気泡が血液流出ポート28から流出するのを確実に防止することができる。
例えば、体外循環装置100が図12に示す構成の場合、人工肺10の下流側に血液ポンプ101があるため、血液ポンプ101の回転数が何らかの理由で規定より多くなってしまった場合や、人工肺10の上流側の回路が何らかの理由で閉塞した場合には、人工肺10内で血液流路側の圧力がガス流路側(中空糸膜31の内腔)より低くなる場合がある。このとき、中空糸膜31の内腔のガスが気泡となって、血液流路側に出現することがある。そして、中空糸膜31と第1のフィルタ部材41Aとが接触している部分では、この気泡は、中空糸膜31および第1のフィルタ部材41Aを通過してしまい、患者側へ流れてしまうことになる。この気泡を捕捉するために、第1のフィルタ部材41Aの下流側で離間した位置に第2のフィルタ部材43Aを設け、第1のフィルタ部材41Aを通過した気泡を捕捉し、患者側への気泡の流出を防ぐのである。
また、第1のフィルタ部材41Aを通過した気泡には、血液流出側開口部25内を浮上するものと、血液流出ポート28に向かうものとがある。前者の気泡は、そのまま排気ポート29に流入し、当該排気ポート29から排出される。一方、後者の気泡は、第2のフィルタ部材43Aで捕捉されて、その後、前者の気泡と同様に、血液流出側開口部25内を浮上して、排気ポート29から排出される。このように、第1のフィルタ部材41Aを通過したいずれの気泡も、血液流出ポート28から排出されるのがより確実に防止される。
図7に示すように、第1のヘッダー22Aと隔壁8と熱交換部10Bの熱交換器ハウジング5Aおよび熱媒体室形成部材55とにより、第1の部屋221aが画成されている。この第1の部屋221aは、ガスが流出するガス流出室である。各中空糸膜31の左端開口は、第1の部屋221aに開放し、連通している。
一方、第2のヘッダー23Aと隔壁9と熱交換部10Bの熱交換器ハウジング5Aおよび熱媒体室形成部材55とにより、第2の部屋231aが画成されている。この第2の部屋231aは、ガスが流入してくるガス流入室である。各中空糸膜31の右端開口は、第2の部屋231aに開放し、連通している。
各中空糸膜31の内腔は、ガスが流れるガス流路32を構成している。ガス流入ポート26および第2の部屋231aにより、ガス流路32の上流側に位置するガス流入部が構成され、ガス流出ポート27および第1の部屋221aにより、ガス流路32の下流側に位置するガス流出部が構成される。
前述したように、人工肺部10Aの内側には、熱交換部10Bが設置されている。この熱交換部10Bは、熱交換部1Bとほぼ同様の構成であるので、その説明は省略する。
また、このように人工肺部10Aの内側に熱交換部10Bが設置されていることにより、次のような効果を奏する。すなわち、まず第1に1つのハウジング2A内に人工肺部10Aおよび熱交換部10Bを効率良く収納することができ、デッドスペースが小さく、そのため、小型の人工肺10で効率の良いガス交換を行うことができる。第2に、人工肺部10Aと熱交換部10Bとが前記第1実施形態よりも近接した状態となり、熱交換部10Bで熱交換がなされた血液が人工肺部10Aに迅速に流入することができ、よって、熱交換部10Bと人工肺部10Aとをつなぐ血液流入側開口部24A(血液流路33)中の血液の充填量を最小にすることができる。第3に、熱交換部10Bで熱交換された血液が放熱あるいは吸熱されることなく迅速に人工肺部10Aに流入することができる。
次に、本実施形態の人工肺10における血液の流れについて説明する。
この人工肺10では、血液流入ポート201から流入した血液は、血液室50、すなわち熱交換器ハウジング5Aの内周面と熱交換体54との間に流れ込み、熱交換体54の複数の中空環状突起の外面と接触して熱交換(加温または冷却)がなされる。このようにして熱交換がなされた血液は、熱交換器ハウジング5Aの上部に形成された開口59c、血液流入側開口部24Aを順次通過して人工肺部10Aのハウジング2A内へ流入する。
血液流入側開口部24Aを経た血液は、血液流路33を下流方向に向かって流れる。一方、ガス流入ポート26から供給されたガス(酸素を含む気体)は、第2の部屋231aより各中空糸膜31の内腔であるガス流路32に分配され、該ガス流路32を流れた後、第1の部屋221aに集積され、ガス流出ポート27より排出される。血液流路33を流れる血液は、各中空糸膜31の表面に接触し、ガス流路32を流れるガスとの間でガス交換(酸素加、脱炭酸ガス)がなされる。
ガス交換がなされた血液中に気泡が混入している場合、この気泡は、第1のフィルタ部材41Aにより捕捉され、第1のフィルタ部材41Aの下流側には流出しない。また、前述したように、使用状態によって仮に気泡が第1のフィルタ部材41Aの下流側に流出してしまった場合であっても、その気泡は、第2のフィルタ部材43Aにより捕捉され、血液流出ポート28からの排出が確実に阻止される。また、第2のフィルタ部材43Aにて捕捉された気泡は、前述したように血液流出側開口部25A内を浮上して、排出ポート29から排出される。
以上のようにしてガス交換がなされ、気泡が除去された血液は、血液流出ポート28より流出する。
<体外循環装置の第1実施形態>
図11は、本発明の体外循環装置の第1実施形態を示す概略図である。
本実施形態の体外循環装置(体外循環回路)100は、「脳分離体外循環」に用いられものである。体外循環装置100は、前記第1実施形態の人工肺1または前記第2実施形態の人工肺10を備えるものであるが、図11に示す構成では、前記第2実施形態の人工肺10を備えるものとなっている。また、この図11に示す体外循環装置100は、人工肺10の他に、第1の血液ポンプ101aと、第2の血液ポンプ101b、101cと、リザーバ(貯血槽)102とを備え、上流側から、リザーバ102、第1の血液ポンプ101a、人工肺10、第2の血液ポンプ101bおよび101cがこの順に配置されている。
リザーバ102は、脱血ラインであるチューブ103aを介して、患者の心臓(大静脈)に接続され、大静脈からの血液を一時的に貯留しておくものである。
人工肺10は、送血ラインであるチューブ103bを介して、患者の大動脈に接続され、人工肺10でガス交換が行われた血液が再び大動脈に戻される。
リザーバ102と人工肺10とは、チューブ103cを介して連結され、そのチューブ103cの途中に第1の血液ポンプ101aが配置されている。第1の血液ポンプ101aは、人工肺10に対しその上流側に設けられた、血液を移送して体外循環させる血液ポンプである。
チューブ103bの途中からは、2本のチューブ103d、103eが分岐している。チューブ103d、103eは、それぞれ、患者の頭部に人工肺10でガス交換が行われた血液を送る送血ラインである。チューブ103dの途中には、第2の血液ポンプ101bが配置され、チューブ103eの途中には、第2の血液ポンプ101cが配置されている。
第2の血液ポンプ101b、101cは、それぞれ、人工肺10に対しその下流側に設けられた、血液を移送して体外循環させる血液ポンプである。
このような構成の体外循環装置100では、第2の血液ポンプ101b、101cの作動状態によっては、その送血力が、第1の血液ポンプ101aでの送血力を上回る場合がある。この場合、人工肺10内では、前述したように人工肺10よりも下流側にある第2の血液ポンプ101b、101cの回転数が何らかの異常により過剰に大きくなったとき、すなわち、何らかの理由により、人工肺10よりも下流側にある第2の血液ポンプ101b、101cが、人工肺10よりも上流側にある第1の血液ポンプ101aより相対的に送血量が多くなったときには、血液流路33側の圧力が各中空糸膜31(ガス流路32)の内部圧力よりも過剰に低くなることがある。この場合、中空糸膜31の内腔のガスが、血液流路33へ入り込み、気泡として出現することがある。このとき、中空糸膜31と第1のフィルタ部材41Aとが密着している箇所では、気泡が第1のフィルタ部材41Aを通過してしまう。しかしながら、第1のフィルタ部材41Aを通過してしまった気泡は、第2のフィルタ部材43Aで確実に捕捉され、排出ポート29から排出されるため、血液中に混入したまま血液流出ポート28から流出して、人工肺10の下流側、すなわち、患者へ移送されてしまうのが確実に防止される。
また、従来の体外循環装置では、「動脈フィルタ」が患者の手前(体外循環装置の下流側)に設けられ、患者への気泡の流入を防いでいたが、本実施形態の体外循環装置100では、人工肺10で気泡の除去が行なわれるため、動脈フィルタを省略することができる。これにより、動脈フィルタを省略した分の体外循環血液量を抑制することができる。
なお、体外循環装置100での第2のポンプの設置数は、図11に示す構成では2つであったが、これに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
<体外循環装置の第2実施形態>
図12は、本発明の体外循環装置の第2実施形態を示す概略図、図13は、図12に示す体外循環装置の制御装置の制御プログラムを示すフローチャート、図14は、図12に示す体外循環装置の制御装置の制御による血液ポンプの回転数の経時変化を模式的に示すグラフである。
本実施形態では、体外循環装置(体外循環回路)100は、前述したように前記第1実施形態の人工肺1または前記第2実施形態の人工肺10を備えるものであるが、図12に示す構成では前記第2実施形態の人工肺10を備えるものとなっている。また、この図12に示す体外循環装置100は、人工肺10の他に、当該人工肺10の下流側にのみ設けられた血液ポンプ101dを備えている。さらに、この体外循環装置100は、体外循環血液量をできる限り抑制することができるよう、従来の体外循環装置に設置されていた「貯血槽」が省略された構成となっている。
人工肺10と患者の静脈(大静脈)とは、脱血ラインとしてのチューブ103fを介して連結されている。血液ポンプ101dと患者の動脈とは、送血ラインとしてのチューブ103gを介して連結されている。人工肺10と血液ポンプ101dとは、中継ラインとしてのチューブ103hを介して連結されている。チューブ103f、チューブ103g、チューブ103hは、それぞれ、可撓性を有する。
そして、体外循環装置100では、血液ポンプ101dの作動により患者から血液が脱血され、当該血液がチューブ103fを流下して、人工肺10に流入する。人工肺10では、血液に対しガス交換が行われる。そして、ガス交換が行われた血液がチューブ103h、血液ポンプ101d、チューブ103gを順に流下して、再び心臓に戻される。
血液ポンプ101dは、血液を移送して体外循環させるポンプである。この血液ポンプ101dとしては、例えば、遠心ポンプ、ローラポンプ、ベローズポンプ等を用いることができるが、そのなかでも、体外循環する血液量の調節に適し、着脱等の取り扱いが容易であるという点で、遠心ポンプが好ましい。遠心ポンプの回転数の大小に応じて、体外循環する血液量の量も上下する。すなわち、遠心ポンプの回転数が大となればなるほど、体外循環する血液量の量が増加し、遠心ポンプの回転数が小となればなるほど、体外循環する血液量の量が減少する。
そして、このような構成の体外循環装置100では、血液ポンプ101dの作動状態によっては、その送血力が過剰に大きくなる場合がある。この場合、人工肺10内では、前述したように人工肺10よりも下流側にある血液ポンプ101dの回転数が何らかの異常により過剰に大きくなったときには、血液流路33側の圧力がガス流路32側の圧力より低くなる場合がある。この場合、中空糸膜31の内腔のガスが、血液流路33へ入り込み、気泡として出現することがある。このとき、中空糸膜31と第1のフィルタ部材41Aとが密着している箇所では、気泡が第1のフィルタ部材41Aを通過してしまう。しかしながら、第1のフィルタ部材41Aを通過してしまった気泡は、第2のフィルタ部材43Aで確実に捕捉され、排出ポート29から排出されるため、血液中に混入したまま血液流出ポート28から流出して、人工肺10の下流側、すなわち、患者へ移送されてしまうのが確実に防止される。
また、従来の体外循環装置では、血液ポンプが遠心ポンプの場合、血液中に多量の気泡が存在すると、所謂空回りして、血液を送ることができなくなってしまう。しかしながら、本発明では、気泡は人工肺10で除かれるため、遠心ポンプである血液ポンプ101dの機能が損なわれることが確実に防止される。
また、従来の体外循環装置では、「動脈フィルタ」が患者の手前(体外循環装置の下流側)に設けられ、患者への気泡の流入を防いでいたが、本実施形態の体外循環装置100でも、人工肺10で気泡の除去が行なわれるため、動脈フィルタを省略することができる。これにより、動脈フィルタを省略した分も、前記気泡除去装置を省略した分と合わせて、体外循環血液量を抑制することができる。
図12に示すように、人工肺10の上流側、すなわち、チューブ103fの途中には、圧力センサが設けられている。この圧力センサは、人工肺10の上流側(チューブ103f)の圧力を検出するものであり、例えばダイアフラムゲージを用いることができる。ダイアフラムゲージは、隔膜(ダイアフラム)に加わる圧力を膜の変形として検出するよう構成されたものである。
人工肺10のガス流入ポート26の上流側には、当該ガス流入ポート26に接続されるガスライン105の途中に、弁機構106が接続されている。弁機構106は、ガスライン105を開閉するものである。このような弁機構106としては、例えば電磁弁を用いることができる。電磁弁は、電磁石の磁力を用いて、プランジャである鉄片を移動させることができ、この移動により、ガスライン105を通過するガス量を調整することができる。弁機構106は、通常は開状態となっており、必要に応じて閉状態となって、ガスの流れを止めることができる。
前述したように、血液ポンプ101dの作動状態によっては、その送血力が過剰に大きくなる場合があり、その場合、人工肺10内では、血液流路側の圧力がガス流路側の圧力よりも過剰に低くなって、発生した気泡が第1のフィルタ部材41Aを通過してしまうことがある。
しかしながら、このような場合、弁機構106が閉状態となれば、各中空糸膜31内へのガス流入が遮断されて、その内部圧力も下降させることとができる。これにより、血液流路側の圧力がガス流路側の圧力より低いという事態が解消され、ガス流路側から血液流路側へ気泡が出現する現象が確実に防止される。よって、第2のフィルタ部材43Aの作用と相まって、気泡が血液とともに血液流出ポート28から流出して、人工肺10の下流側へ移送されてしまうのをより確実に防止することができる。
また、体外循環装置100には、制御装置(制御手段)107が設置されている。制御装置107は、例えばCPU(Central Processing Unit)を内蔵したパーソナルコンピュータであり、血液ポンプ101d、圧力センサ104、弁機構106の作動をそれぞれ制御する機能を有する。
以下、体外循環装置100の制御装置107の制御プログラムを、主に図13のフローチャートに基づいて説明する。この制御プログラムは、血液流路側の圧力が前述よりもさらに下がり、一旦第2のフィルタ部材43Aで捕捉された気泡までもが、下流側へ吸引されるように第2のフィルタ部材43Aを通過してしまう事態を防ぐのに有効である。
なお、圧力センサ104により、人工肺10の上流側血液流路内の圧力pが検出される。チューブ103fとチューブ103hとは、人工肺10を介して連通しているため、圧力pは、第1のフィルタ部材41Aよりも下流側の圧力と同じである。そして、この圧力センサ104で検出された(得られた)圧力p(情報)に基づいて、血液ポンプ101dの作動が制御される。
図13に示すように、制御装置107には、予め閾値pが記憶されている。この閾値pを基準として、当該閾値pよりも圧力pが高ければ、気泡が第1のフィルタ部材41Aを通過してしまった場合でも、当該通過した気泡を第2のフィルタ部材43Aで確実に捕捉する。一方、圧力pが閾値p未満である場合は、第1のフィルタ部材41Aよりも下流側の圧力が各中空糸膜31の内部圧力よりもさらに(前述よりも)過剰に低くなって、気泡が第2のフィルタ部材43Aを通過してしまうおそれがある状態である。しかしながら、この第2のフィルタ部材43Aを気泡が通過するおそれを、制御プログラムで防止することができる。
図13に示すように、体外循環を開始すると、圧力センサ104で検出された圧力pが閾値pを下回ったか否かを判断し(ステップS500)、圧力pが閾値p以上である判断した場合には、そのときの(現状の)血液ポンプ101dの回転数を維持する(ステップS501)。
ステップS501を実行した後は、ステップS500に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
ステップS500において、圧力pが閾値pを下回ったと判断されたら、このときの血液ポンプ101dの回転数を、予め設定されている低下の度合(低下率)分(本実施形態では10%)だけ低下させる(ステップS502)。
次に、制御装置107に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS503)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS504)、再度、圧力pが閾値pを下回ったか否かを判断する(ステップS505)。
ステップS505において、圧力pが閾値p以上である判断されたら、ステップS500に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
また、ステップS505において、圧力pが閾値pを下回ったと判断されたら、血液ポンプ101dの作動を停止する(ステップS506)。
以上のような制御により、体外循環装置100では、気泡が第2のフィルタ部材43Aを通過してしまいそうな場合でも、血液ポンプ101dの回転数を低下させて、血液流路側の圧力低下を防ぐ。よって、当該気泡の通過を確実に防止することができる。これにより、血液中の気泡が人工肺10から流出するのを確実に防止することができる。
また、体外循環装置100では、人工肺10で気泡の下流側への流出を確実に防止することができるため、従来の体外循環装置に設置されているような、気泡を除去するための気泡除去装置を省略することができる。そして、人工肺10から下流への気泡の流出を防止できるので、下流に設けた血液ポンプ101dが遠心ポンプであっても、その機能を損なうことが確実に防止される。また、気泡除去装置を省略した分、体外循環装置100の小型化を図ることができるとともに、体外循環する血液の量をできる限り少なくすることができる。
また、ステップS502において、血液ポンプ101dの回転数を低下させており、その低下は、図14(a)に示すように連続的であってもよいし、図14(b)に示すように段階的であってもよい。回転数が連続的に低下するよう制御した場合には、血液ポンプ101dの回転数を速やかに落とせるので、好ましい。また、回転数が段階的に低下するよう制御した場合には、血液ポンプ101dの回転数を過剰に低下させるのが防止されるので、好ましい。
また、ステップS502において、血液ポンプ101dの回転数の低下率は、10%であるのに限定されず、例えば、5〜80%の範囲内にある所定の低下率であるのが好ましく、10〜50%の範囲内にある所定の低下率であるのがより好ましい。
また、血液ポンプは、人工肺の下流側にのみ設けられており、その設置数は、図12に示す構成では1つであったが、これに限定されず、例えば、2つ以上であってもよい。
以上、本発明の人工肺および体外循環装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、人工肺および体外循環装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。例えば、ハウジングおよび熱交換器ハウジングの構造や形状、各ハウジングに対するガス流入ポート、ガス流出ポート、血液流出ポート、血液流入ポート、熱媒体流入ポートおよび熱媒体流出ポート等の形成位置や突出方向については、図示の構成と異なる構成であってもよい。また、人工肺の使用時の姿勢(鉛直方向に対する各部の位置関係)も、図示の状態に限定されない。
また、本発明の人工肺および体外循環装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、人工肺は、前記各実施形態では気泡を排出する排出ポートがハウジングから突出形成されたものとなっているが、これに限定されず、例えば、ハウジングの壁部を貫通して形成された開口部に、気体は通過するが、液体(血液)は通過しない、疎水性を有するフィルタが設けられたものであってもよい。このフィルタを介して気泡を排出することができる。
また、前記第2実施形態の人工肺での第2のフィルタは、図9に示す構成では湾曲しているが、これに限定されず、例えば、図9で見える形状で直線状をなしていてもよい。
また、前記第2実施形態の人工肺は、その内側から外側に向かって血液が通過するものであるが、これに限定されず、これと反対に、外側から内側に向かって血液が通過するものであってもよい。この場合、第1のフィルタ部材は、円筒状の中空糸膜層の内周部に接して配置され、第2のフィルタ部材は、第1のフィルタ部材よりもさらに下流側に配置されている。
本発明の人工肺は、ハウジングと、前記ハウジング内に収納され、ガス交換機能を有する中空糸膜が多数本集積された中空糸膜層と、前記各中空糸膜の内腔をガス流路として、該ガス流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられたガス流入部およびガス流出部と、前記各中空糸膜の外側を血液流路として、該血液流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられた血液流入部および血液流出部と、前記中空糸膜層の前記血液流出部側の面に接して設けられ、該面のほぼ全部を覆っており、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第1のフィルタ部材と、前記第1のフィルタ部材から離間して、該第1のフィルタ部材と前記血液流出部との間に配置され、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第2のフィルタ部材とを備える。
そのため、2つの気泡除去フィルタ(第1のフィルタ部材、第2のフィルタ部材)を有する人工肺を体外循環装置に組み込むことができ、この場合、例えば従来用いられていた気泡除去装置を省略することができる。これにより、血液が体外循環する際の当該血液の体外循環量を抑制することができ、よって、低侵襲を追求し、かつ安全性を確保することができる。
従って、本発明の人工肺、および、かかる人工肺を備える体外循環装置は、それぞれ、産業上の利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. ハウジングと、
    前記ハウジング内に収納され、ガス交換機能を有する中空糸膜が多数本集積された中空糸膜層と、
    前記各中空糸膜の内腔をガス流路として、該ガス流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられたガス流入部およびガス流出部と、
    前記各中空糸膜の外側を血液流路として、該血液流路の上流側および下流側にそれぞれ設けられた血液流入部および血液流出部と、
    前記中空糸膜層の前記血液流出部側の面に接して設けられ、該面のほぼ全部を覆っており、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第1のフィルタ部材と、
    前記第1のフィルタ部材から離間して、該第1のフィルタ部材と前記血液流出部との間に配置され、血液中の気泡を捕捉する機能を有する第2のフィルタ部材とを備えることを特徴とする人工肺。
  2. 前記第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、それぞれ、その形状がシート状をなすものである請求項1に記載の人工肺。
  3. 前記第2のフィルタ部材の面積は、前記第1のフィルタ部材の面積よりも小さい請求項2に記載の人工肺。
  4. 前記ハウジングは、筒状なすものであり、その側面視で、第1のフィルタ部材と前記第2のフィルタ部材とは、重なっている請求項1に記載の人工肺。
  5. 前記血液流出部は、前記ハウジングから突出する管状の血液流出口を有し、
    前記第2のフィルタ部材は、前記血液流出口の前記ハウジング側の端部の近傍に配置されている請求項1に記載の人工肺。
  6. 前記第1のフィルタ部材と前記ハウジングとの間には、間隙が形成されており、
    前記ハウジングには、前記間隙に連通し、前記第2のフィルタ部材で捕捉した気泡を前記ハウジング外へ排出する排出口が設けられている請求項1に記載の人工肺。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の人工肺と、
    前記人工肺に対しその上流側に設けられ、血液を移送して体外循環させる第1の血液ポンプと、
    前記人工肺に対しその下流側に設けられ、血液を移送して体外循環させる少なくとも1つの第2の血液ポンプとを備えることを特徴とする体外循環装置。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載の人工肺と、
    前記人工肺の下流側にのみ設けられ、血液を移送して体外循環させる血液ポンプとを備えることを特徴とする体外循環装置。
  9. 前記人工肺の上流側に設けられ、該上流側の圧力を検出するセンサをさらに備える請求項8に記載の体外循環装置。
  10. 前記血液ポンプおよび前記センサの作動を制御する制御手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記センサから得られた情報に基づいて、前記血液ポンプの作動を制御する請求項9に記載の体外循環装置。
  11. 前記センサで検出された前記圧力が所定の閾値を下回った場合には、前記人工肺に流入する血流量が減少するよう、前記血液ポンプの作動を制御する請求項10に記載の体外循環装置。
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