JP2013192712A - 閉鎖系体外循環回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】体外循環する血液の体外循環量をできる限り抑制することができるとともに、体外循環する血液中に気泡が混入した際、その気泡を確実に捕捉することができる閉鎖系体外循環回路を提供すること。
【解決手段】閉鎖系体外循環回路100は、脱血ライン1と、ローラポンプ4と、脱血ライン1内の気泡を検出する気泡検出手段6と、ガス交換を行なう人工肺3であって、第1のフィルタおよび第2のフィルタを有し、第1のフィルタと第2のフィルタとの間が血液が通過する流路として機能する人工肺3と、前記流路と連通し、血液の一部が排出され得る排液ライン9と、排液ライン9を開状態と閉状態とに切り換える切換え手段7と、気泡検出手段6による検出結果に基づいて、切換え手段7の作動を制御する機能を有する制御装置10と、開状態の排液ライン9を流下した血液が収納される排液収納容器8とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、閉鎖系体外循環回路に関する。
従来、心臓外科手術で用いられる体外循環装置としては、血液が循環する流路の上流側から順に、気泡除去装置(バブルトラップ)、遠心ポンプ、人工肺が配置され、これらが互いにチューブで連結された体外循環装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の体外循環装置では、気泡除去装置は、患者から脱血された血液中の気泡を除去する装置である。また、遠心ポンプは、患者から血液を脱血し、当該脱血した血液を再度患者へ戻すよう血液を循環させる血液ポンプである。人工肺は、患者から脱血された血液に対し、ガス交換を行なう、すなわち、酸素加、脱炭酸ガスを行なう多数本の中空糸膜を積層した中空糸膜層を有する装置である。
このような構成の体外循環装置では、低侵襲治療の観点から、当該装置内を循環する血液の体外循環量(プライミングボリューム)を抑制するために、貯血槽が省略されている。ところが、体外血液循環量抑制のために単に貯血槽を省略すると、脱血された血液中に含まれる気泡を除去することができないため、特許文献1に記載の体外循環装置では、気泡除去装置を設けている。仮に、貯血槽も気泡除去装置も省略されていたとすると、血液中の気泡が遠心ポンプに流入してしまい、気泡が流入してしまうと遠心ポンプは、空回りして、血液を循環させるとう機能を果たすことができないとともに、気泡を細かく砕き、より除去しにくいものとしてしまう。
そこで、特許文献1に記載の体外循環装置では、遠心ポンプが前記機能を確実に果たすことができるよう、遠心ポンプの上流側に気泡除去装置を設置し、当該気泡除去装置で血液中の気泡を除去してから、血液が遠心ポンプに流入するよう構成されている。
しかしながら、さらに体外血液循環量を減らし、低侵襲治療を目指すには、この気泡除去装置さえ無くすことが望ましかった。
特開2007−275473号公報
本発明の目的は、体外循環する血液の体外循環量をできる限り抑制することができるとともに、体外循環する血液中に気泡が混入した際、その気泡を確実に捕捉することができる閉鎖系体外循環回路を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
(1) 脱血された血液が流下する脱血ラインと、
前記脱血ラインの途中に設けられ、該脱血ラインに血液を吸引するローラポンプと、
前記脱血ラインの前記ローラポンプよりも上流側の部分に設けられ、前記脱血ライン中の圧力を検出する圧力センサと、
前記脱血ライン内の気泡を検出する気泡検出手段と、
前記脱血ラインの下流側に接続され、該脱血ラインを流下した血液に対しガス交換を行なうガス交換部と、該ガス交換部よりも下流側に配置され、前記ガス交換がなされた血液中の気泡を捕捉する第1のフィルタおよび第2のフィルタとを有し、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとは血流の方向に沿って離間しており、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとの間が血液が通過する流路として機能する人工肺系と、
前記流路と連通し、該流路を通過する血液の一部が排出され得る排液ラインと、
前記排液ラインを、血液の排出可能な開状態と、血液の排出が阻止される閉状態とに切り換える切換え手段と、
前記気泡検出手段による検出結果に基づいて、前記切換え手段の作動を制御する機能を有する制御手段と、
前記開状態の排液ラインを流下した血液が収納される排液収納容器とを備えることを特徴とする閉鎖系体外循環回路。
(2) 前記制御手段は、通常時は、前記切換え手段を前記排液ラインが前記閉状態となるよう制御し、前記気泡検出手段が気泡を検出した場合には、前記切換え手段を作動させて前記排液ラインを前記開状態とするよう制御する上記(1)に記載の閉鎖系体外循環回路。
(3) 前記排液ラインは、可撓性を有する排液ライン用チューブで構成され、
前記切換え手段は、前記排液ライン用チューブの長手方向の途中に設けられ、前記閉状態で前記排液ライン用チューブを圧閉し、前記開状態で前記排液ライン用チューブに対する圧閉を解除するクランプを有する上記(1)または(2)に記載の閉鎖系体外循環回路。
(4) 前記制御手段は、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記ローラポンプの作動を制御する機能を有し、
前記制御手段は、前記圧力センサの検出結果が、予め設定された下限値を下回った場合、前記ローラポンプの作動を停止するかまたは前記ローラポンプの回転数を減少させるよう制御する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の閉鎖系体外循環回路。
(5) 前記制御手段は、前記ローラポンプの作動を停止させ、または、前記ローラポンプの回転数を減少させてから、前記圧力センサの検出結果が、予め設定された上限値を超えた場合、前記ローラポンプを再度作動させるかまたは前記ローラポンプの回転数を増加させる上記(4)に記載の閉鎖系体外循環回路。
(6) 前記第1のフィルタは、円筒状をなし、その中心軸が水平方向と平行となるよう配置され、
前記第2のフィルタは、前記第1のフィルタの外周側に、前記第1のフィルタに対し鉛直下方に配置され、
前記人工肺系は、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとを一括して収納するハウジングを有し、前記ハウジングには、その鉛直上方の部分に、前記排液ラインに接続されるポートが突出形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の閉鎖系体外循環回路。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路では、前記脱血ラインは、脱血ライン用チューブで構成され、
前記気泡検出手段は、前記脱血ライン用チューブの前記圧力センサと異なる位置に配置され、前記脱血ライン用チューブに向けて超音波を送信する送信部と、前記脱血ライン用チューブを介して対向配置され、前記送信部から送信された超音波を受信する受信部とを有し、血液を透過する超音波の透過率と、気体を透過する超音波の透過率との差異を利用して、前記脱血ライン内の気泡を検出し得るのが好ましい。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路では、前記送信部および前記受信部は、前記圧力センサと前記ローラポンプとの間に配されているのが好ましい。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路では、前記ローラポンプの回転数は、連続的に減少するのが好ましい。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路では、前記排出ラインからは、前記第1のフィルタで捕捉しきれなかった気泡が混在した血液が排出されるのが好ましい。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路では、前記人工肺系の下流側に接続され、該人工肺系からの血液が流下する送血ラインを備えるのが好ましい。
本発明によれば、体外循環する血液に気泡が混入した際には、この気泡が混入した血液を、人工肺系の第1のフィルタで捕捉することができる。なお、第1のフィルタで気泡を捕捉しきれなかった場合には、当該気泡を人工肺系の第2のフィルタで捕捉して、血液ごと、排液ラインを介して排液収納容器に確実に回収、除去することができる。
また、本発明によれば、気泡が確実に捕捉、除去されるため、従来の体外循環装置に設置されているような、気泡を除去するための気泡除去装置を省略することができる。この気泡除去装置を省略した分、体外循環する血液の体外循環量をできる限り抑制することができる。
本発明の閉鎖系体外循環回路の第1実施形態を示す概略図である。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える人工肺の横断面図である。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える気泡検出手段の構成(作動状態)を示す部分縦断面図である。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える切換え手段の構成(作動状態)を示す横断面側面図である。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。 図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。 本発明の閉鎖系体外循環回路(第2実施形態)が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。 図8に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。 本発明の閉鎖系体外循環回路(第3実施形態)が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャートである。 図10に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。
以下、本発明の閉鎖系体外循環回路を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の閉鎖系体外循環回路の第1実施形態を示す概略図、図2は、図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える人工肺の横断面図、図3は、図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える気泡検出手段の構成(作動状態)を示す部分縦断面図、図4は、図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える切換え手段の構成(作動状態)を示す横断面側面図、図5および図6は、それぞれ、図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャート、図7は、図1に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。
図1に示す閉鎖系体外循環回路(閉鎖系体外循環装置)100は、脱血ライン1と、送血ライン2と、排液ライン9と、脱血ライン1と送血ライン2との間に配置され、これらライン同士を連結する人工肺(人工肺系)3と、脱血ライン1の途中に設けられたローラポンプ4と、脱血ライン1のローラポンプ4よりも上流側の部分に設けられた圧力センサ5と、脱血ライン1内の気泡を検出する気泡検出手段6と、排液ライン9を開状態と閉状態とに切り換える切換え手段7と、排液ライン9に接続された排液収納容器8と、制御装置(制御手段)10とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
なお、閉鎖系体外循環回路100では、当該閉鎖系体外循環回路100内を循環する血液の体外循環量(プライミングボリューム)を抑制するために、貯血槽(リザーバ)が省略されている。一般的に、貯血槽が省略された体外循環回路を「閉鎖系」の体外循環回路と言うことがあり、貯血槽を有する体外循環回路を「開放系」の体外循環回路と言うことがある。
脱血ライン1は、患者Hの静脈(大静脈)に留置されたカテーテル(図示せず)に接続された、可撓性を有するチューブ(脱血ライン用チューブ)11で構成されている。そして、脱血ライン1は、カテーテルを介して脱血された血液(静脈血)が流下するものである。脱血ライン1は、カテーテルと反対側の部分が、人工肺3の上流側(血液流入ポート311)に接続されている。
送血ライン2は、患者Hの動脈に留置されたカテーテル(図示せず)に接続された、可撓性を有するチューブ(送血ライン用チューブ)21で構成されている。そして、送血ライン2は、脱血ライン1、人工肺3を順に経た、血液が流下し、当該血液をカテーテルを介して患者に戻すことができる。また、送血ライン2は、カテーテルと反対側の部分が、人工肺3の下流側(血液流出ポート312)に接続されている。
脱血ライン1の途中には、ローラポンプ4が配置されている。ローラポンプ4は、脱血ライン1に血液を吸引し、閉鎖系体外循環回路100内を移送して体外循環させる血液ポンプである。ローラポンプ4は、回転しつつ、脱血ライン1を構成するチューブ11をしごいて、チューブ11内の血液を移送するロータ41を有している。このローラポンプ4では、ロータ41の回転数の大小に応じて、体外循環する血液の流量も上下する。すなわち、ローラポンプ4は、ロータ41の回転数が大となればなるほど、体外循環する血液の流量が増加し、回転数が小となればなるほど、体外循環する血液の流量が減少する。
なお、血液ポンプとしては、ローラポンプ4の他に、例えば遠心ポンプがあるが、遠心ポンプは、患者Hから血液を吸引した際にそれと同時に混入した気泡を細かく砕いてしまう場合がある。これに対し、ローラポンプ4では、遠心ポンプで起こり得る血液への混入気泡を細かく砕くことを防止することができる。
脱血ライン1のローラポンプ4よりも上流側の部分には、圧力センサ5が配置されている。圧力センサ5は、脱血ライン1中の圧力、すなわち、人工肺3の上流側の圧力を検出するセンサであり、例えばダイアフラムゲージを用いることができる。ダイアフラムゲージは、隔膜(ダイアフラム)に加わる圧力を膜の変形として検出するよう構成されたものである。
図1、図3に示すように、脱血ライン1(チューブ11)の圧力センサ5と異なる位置、すなわち、脱血ライン1の圧力センサ5とローラポンプ4との間の部分には、送信部61と受信部62とを有する気泡検出手段6が配されている。送信部61と受信部62とは、チューブ11を介して対向配置されている。
送信部61は、受信部62(チューブ11)に向けて超音波63を送信する装置である。受信部62は、送信部61から送信された超音波63を受信する装置である。このような送信部61と受信部62とを有する気泡検出手段6は、血液を透過する超音波63の透過率と、気体を透過する超音波63の透過率との差異を利用して、脱血ライン1内の気泡の有無を検出することができる。図3(a)に示す、脱血ライン1を流下する血液中に気泡(気体)が混在していない状態と、図3(b)に示す、脱血ライン1を流下する血液中に気泡が混在している状態とを比較すると、図3(b)に示す状態は、図3(a)に示す状態よりも、その気泡が存在している分だけ、送信部61で受信される超音波63が減衰する。閉鎖系体外循環回路100(制御装置10)は、図3(a)に示す状態での受信部62で受信される超音波63の大きさをαとしたとき、この大きさαを基準(閾値)として、体外循環中に受信部62で受信される超音波63の大きさαが大きさαよりも小となれば、図3(b)に示すように、血液中に気泡が混在しているとみなす。
なお、気泡検出手段6は、脱血ライン1のローラポンプ4よりも上流側の部分と、脱血ライン1のローラポンプ4よりも下流側の部分とのうちのいずれにも配置することができるが、図1に示すように、前者、すなわち、圧力センサ5とローラポンプ4との間に配置されるのが好ましい。これにより、できる限り早期に気泡を検出することができる。
脱血ライン1の下流側には、人工肺3が接続されている。図1に示すように、人工肺3は、円筒状をなすハウジング31を有している。また、図2に示すように、人工肺3は、ハウジング31に一括して収納された熱交換部32、ガス交換部33、第1のフィルタ部材(第1のフィルタ)34および第2のフィルタ部材(第2のフィルタ)35を有しており、血液が流れる方向(血流Qの方向)に沿って、上流側からこの順に配置されている。
ハウジング31は、血液流入ポート311と、血液流出ポート312と、熱媒体流入ポート313と、熱媒体流出ポート314と、ガス流入ポート315と、ガス流出ポート316と、排液ポート317とを有している。
図1に示すように、血液流入ポート311は、脱血ライン1を構成するチューブ11が接続され、当該チューブ11からの血液がハウジング31内に流入するためのポートである。血液流入ポート311は、ハウジング31の図1中の右端部から右方に向かって、管状に突出形成されている。
血液流出ポート312は、送血ライン2を構成するチューブ21が接続され、ハウジング31内の血液が送血ライン2に向かって流出するためのポートである。血液流出ポート312は、ハウジング31の外周部に図2中の下方に向かって、管状に突出形成されている。
熱媒体流入ポート313は、血液に対する熱交換を行なう際に用いられる熱媒体(例えば水)がハウジング31内に流入するためのポートである。熱媒体流入ポート313は、ハウジング31の図1中の左端部から左方に向かって、管状に突出形成されている。
熱媒体流出ポート314は、熱交換に用いられた熱媒体がハウジング31内から流出するためのポートである。熱媒体流出ポート314は、熱媒体流入ポート313と異なる位置に、ハウジング31の図1中の左端部から左方に向かって、管状に突出形成されている。
ガス流入ポート315は、血液に対するガス交換を行なう際に用いられるガス(主に酸素)がハウジング31内に流入するためのポートである。ガス流入ポート315は、熱媒体流入ポート313および熱媒体流出ポート314と異なる位置に、ハウジング31の図1中の左端部から左方に向かって、管状に突出形成されている。
ガス流出ポート316は、ガス交換に用いられたガスがハウジング31内から流出するためのポートである。ガス流出ポート316は、ハウジング31の図1中の右端部の血液流入ポート311と異なる位置に右方に向かって、管状に突出形成されている。
排液ポート317は、排液ライン9を構成するチューブ91が接続され、ハウジング31内の血液が排液ライン9に向かって流出するためのポートである。排液ポート317は、ハウジング31の外周部に図2中の上方に向かって、管状に突出形成されている。
なお、ハウジング31は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、MS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂、BS樹脂、AS樹脂)、ポリカーボネート等の樹脂材料あるいは種々のセラミックス材料、金属材料等で構成されている。
熱交換部32は、血液に対し熱交換(加温または冷却)を行なう部分である。図2に示すように、熱交換部32は、その全体形状が円筒状をなし、ハウジング31と同心的に配置されている。この熱交換部32の内側には、血液流入ポート311が連通している。そして、血液流入ポート311から流入した血液は、熱交換部32に接しつつ、血液流出ポート312に向かう。また、熱交換部32は、例えばいわゆるベローズ型熱交換体で構成され、当該熱交換体を熱媒体が、熱媒体流入ポート313から熱媒体流出ポート314に向かって通過する。その際、熱交換体に接触する血液との間で、熱交換が行なわれる。また、熱交換部32は、後述するガス交換部33と同様に、複数の中空糸膜を積層したものでもよい。
なお、熱交換部32は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料、またはポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン等の樹脂材料で構成することができる。
図2に示すように、熱交換部32よりも下流側、すなわち、熱交換部32の外周側には、ガス交換部33が設けられている。ガス交換部33は、脱血ライン1を流下してきて、熱交換部32で熱交換が行われた血液に対しガス交換(酸素加、脱炭酸ガス)を行なうものである。このガス交換部33は、その全体形状が円筒状をなし、熱交換部32と同心的に配置されている。
ガス交換部33は、多数本の中空糸膜が集積して構成され、中空糸膜同士の間を血液が血液流出ポート312に向かって通過することができる。各中空糸膜は、それぞれ、その一端側がガス流入ポート315に連通し、他端側がガス流出ポート316に連通している。そして、ガス流入ポート315に流入したガスは、各中空糸膜内をそれぞれ通過し、ガス流出ポート316から排出される。その際、各中空糸膜に接触する血液との間で、ガス交換が行なわれる。
なお、中空糸膜の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン等の疎水性高分子材料が用いられる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、ポリプロピレンであり、延伸法または固液相分離法により壁部に微細孔が形成されたものがより好ましい。
ガス交換部33よりも下流側、すなわち、ガス交換部33の外周側には、第1のフィルタ部材34が設けられ、さらに第1のフィルタ部材34の下流側には、第2のフィルタ部材35が設けられている。
第1のフィルタ部材34は、ガス交換部33でガス交換がなされた血液中に気泡が存在している場合、その気泡を捕捉するメインフィルタである。第1のフィルタ部材34は、平坦なシートで構成され、当該シートをガス交換部33の外周部に密着して、円筒状(ロール状)に巻回されている。
第2のフィルタ部材35は、例えばカテーテルの留置に何らかの不具合があり、これにより過剰に気泡が混入した場合であって、第1のフィルタ部材34を気泡が通過してしまった、すなわち、第1のフィルタ部材34で捕捉しきれなかった気泡が血液中に混在している場合に、当該気泡を捕捉する補助フィルタである。第2のフィルタ部材35は、短冊状をなす平坦なシートで構成され、ハウジング31の内周部に形成された凹部318に設置されている。なお、第2のフィルタ部材35の面積は、第1のフィルタ部材34の面積よりも小さくてもよい。第2のフィルタ部材35は、メインフィルタである第1のフィルタ部材34に対する補助フィルタであるため、このような大小関係でも、十分に気泡捕捉機能を発揮することができる。
気泡は、通常、第1のフィルタ部材34を通過することはないが、何らかの異常により、または、閉鎖系体外循環回路100の使用状態(使用環境下)によっては、第1のフィルタ部材34を通過してしまうことがあり、この場合に、第2のフィルタ部材35は、この気泡を捕捉するのに有効なものとなる。そして、このように気泡が捕捉、除去された血液は、血液流出ポート312から流出する。
なお、第1のフィルタ部材34で捕捉された気泡は、中空糸膜の内外の圧力差により、中空糸膜の内腔へ移動し、この気泡は、ガス交換に用いられたガスとともに、ガス流出ポート316から排出される。
また、第2のフィルタ部材35で一旦捕捉された気泡は、第2のフィルタ部材35を通過せずに、後述するように血液とともに排液収納容器8に収納される。これにより、脱血ライン1、人工肺3、送血ライン2を順に経る主回路からは、気泡が除去されることとなる。
第1のフィルタ部材34、第2のフィルタ部材35の形態としては、それぞれ、例えば、メッシュ状(網状)をなすもの、織布、不織布、あるいはこれらを組み合わせたものが挙げられるが、このなかでも、メッシュ状(網状)をなすものが好ましく、特に、スクリーンフィルタが好ましい。これにより、気泡を双方のフィルタ部材で確実に捕捉することができるとともに、血液は容易に通過することができる。なお、第1のフィルタ部材34、第2のフィルタ部材35がそれぞれメッシュ状をなすものである場合、互いに目開きが同じであるのが好ましい。
第1のフィルタ部材34と第2のフィルタ部材35とは、同じ材料で構成されているのが好ましい。そして、その構成材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、セルロース、ポリウレタン、アラミド繊維等が挙げられる。特に、抗血栓性に優れ、目詰まりを生じ難いという点で、各フィルタ部材の構成材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンを用いるのが好ましい。
なお、第1のフィルタ部材34、第2のフィルタ部材35は、それぞれ、親水性を有するのが好ましい。すなわち、各フィルタ部材は、それぞれ、それ自体が親水性を有する材料で構成されているか、または、親水化処理(例えば、プラズマ処理、親水化剤コーティング等)が施されていることが好ましい。
また、図2に示すように、第1のフィルタ部材34と第2のフィルタ部材35とは血流Qの方向に沿って離間している。これにより、第1のフィルタ部材34と第2のフィルタ部材35との間が、血液が通過する流路36として機能する。流路36を通過する血液には、血液流出ポート312に向かう血液と、排液ポート317に向かう血液とがある。
また、人工肺3は、図2に示す姿勢、すなわち、第1のフィルタ部材34が、その中心軸が水平方向と平行となるよう配置され、第2のフィルタ部材35が第1のフィルタ部材34に対し鉛直下方に配置されるような姿勢で用いられる。このとき、人工肺3(ハウジング31)の鉛直上方の部分に、排液ポート317が突出した状態となる。そして、図2に示す姿勢では、流路36を通過する血液のうち、下降して血液流出ポート312に向かう血液は、気泡の混入がない血液となり、上昇して排液ポート317に向かう血液は、気泡が混入した血液となる。この気泡が混入した血液は、そのまま、排液ライン9を排液収納容器8に向かって進み、排出される。
図1、図2に示すように、排液ライン9は、人工肺3の排液ポート317に接続された、可撓性を有するチューブ(排液ライン用チューブ)91で構成されている。チューブ91は、排液ポート317を介して、流路36と連通している。また、チューブ91の排液ポート317と反対側の端部は、排液収納容器8に接続されて(連結されて)いる。これにより、前記気泡が混入した血液を、排液ライン9を介して、排液収納容器8に回収することができる。
なお、チューブ11、21、91の構成材料としては、特に限定されず、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、シリコン、ポリウレタン等、あるいはこれらを主とする材料が挙げられる。
図1、図4に示すように、排液ライン9の長手方向の途中には、クランプ71を有する切換え手段7が設けられている。クランプ71は、例えば金属材料で構成された一対の挟持片72と、挟持片72同士を回動可能に支持する回動支持部73とで構成されている。回動支持部73には、モータ731が内蔵されている。そして、挟持片72同士は、モータ731の作動により、図4(a)に示す接近した状態(閉状態)と、図4(b)に示す離間した状態(開状態)とを取り得る。
また、挟持片72同士の間には、排液ライン9を構成するチューブ91が配されている。図4(a)に示す状態では、チューブ91が圧閉されて、血液の排出が阻止される。図4(b)に示す状態では、チューブ91に対する圧閉が解除されて、血液の排出可能となる。
チューブ91の人工肺3と接続されている端部と反対側の端部には、排液収納容器8が液密に接続されている。
排液収納容器8は、例えば、樹脂材料で構成された可撓性を有する2枚のシート材の縁部同士を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)により接合して、袋状に形成したものである。そして、排液収納容器8には、クランプ71のチューブ91に対する圧閉を解除した開状態で、当該チューブ91を流下した血液が収納される。
閉鎖系体外循環回路100には、制御装置10が設置されている。制御装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)を内蔵したパーソナルコンピュータである。この制御装置10は、ローラポンプ4、圧力センサ5、気泡検出手段6、切換え手段7の作動をそれぞれ制御する機能を有している。そして、制御装置10は、気泡検出手段6による検出結果に基づいて、切換え手段7の作動を制御することができる。また、制御装置10は、圧力センサ5の検出結果に基づいて、ローラポンプ4の作動を制御することができる。
以下、閉鎖系体外循環回路100の制御装置10の制御プログラムを、図5および図6の各フローチャートに基づいて説明する。
まず、図5のフローチャートに基づいて説明する。
制御装置10は、通常の体外循環時、すなわち、気泡検出手段6により気泡が検出されていない場合には、クランプ71を排液ライン9が閉状態となるよう制御している。
図5に示すように、制御装置10には、予め閾値として、図3(a)に示す状態での受信部62で受信される超音波63の大きさαが設定、記憶されている。大きさαは、体外循環中にクランプ71を作動させる基準となるものである。
図5に示すように、体外循環を開始すると、制御装置10は、受信部62で受信される超音波63の大きさαが大きさαを下回っているか否かを判断し(ステップS500)、大きさαが大きさαを下回っていると判断した場合には、制御装置10に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS501)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS502)、再度、大きさαが大きさαを下回っているか否かを判断する(ステップS503)。ステップS503での判断で、大きさαが大きさαを下回っていると判断した場合には、クランプ71を作動させて排液ライン9を開状態とする(ステップS504)。なお、閉鎖系体外循環回路100では、これらステップS500とステップS503との2回の判断により、脱血ライン1に気泡が混入していることが確実に分かる。
次に、制御装置10に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS505)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS506)、大きさαが大きさαを下回っているか否かを判断する(ステップS507)。ステップS507での判断で、大きさαが大きさαを下回っていないと判断した場合には、クランプ71を作動させて、排液ライン9を再度閉状態とする(ステップS508)。なお、閉鎖系体外循環回路100では、このタイマが作動している間、気泡が排液ライン9を通過して、排液収納容器8に回収されることとなり、大きさαが大きさαを下回っていない状態となる。
以後、ステップS500に戻り、それより下位のステップを順次実行する。
なお、ステップS503で、大きさαが大きさαを下回っていないと判断された場合には、ステップS501に戻り、それより下位のステップを順次実行する。なお、閉鎖系体外循環回路100では、この判断により、脱血ライン1には、気泡が混入していないことが分かる。
また、ステップS507で、大きさαが大きさαを下回っていると判断された場合には、ステップS505に戻り、それより下位のステップを順次実行する。これにより、排液ライン9の開状態が維持され、気泡の排液収納容器8への回収がさらになされることとなる。
以上のような制御により、閉鎖系体外循環回路100では、体外循環する血液中に気泡が混入した場合、当該気泡を確実に捕捉、回収することができる。また、閉鎖系体外循環回路100では、気泡は、血液ごと回収されるが、気泡が混在していると判断された場合にだけ、排液ライン9が解放されるので、血液が無駄に(過剰に)回収されるのを防止することができる。
次に、図6のフローチャートに基づいて説明する。
ところで、閉鎖系体外循環回路100では、ローラポンプ4と患者Hとの間の部分の圧力が最も低くなる傾向にある。この低い圧力の程度によっては、静脈に留置されたカテーテルが静脈内壁に貼り付き、血液を吸引できなくなってしまいそうになるが、制御装置10の制御プログラムでこのような事態を防ぐことができる。
なお、圧力センサ5により、脱血ライン1の人工肺3よりも上流側の部分の圧力pが検出される。そして、この圧力センサ5で検出された(得られた)圧力p(情報)に基づいて、ローラポンプ4の作動が制御される。
図6に示すように、制御装置10には、予め閾値として、上限値pmaxと下限値pminとが設定、記憶されている。下限値pminは、体外循環中にローラポンプ4の作動を停止させる基準となる圧力であり、上限値pmaxは、停止したローラポンプ4を再度作動させる基準となる圧力である。
図6に示すように、体外循環を開始すると、制御装置10は、圧力センサ5で検出された圧力pが下限値pminを下回ったか否かを判断し(ステップS200)、圧力pが下限値pminを下回ったと判断した場合には、ローラポンプ4の作動を停止する、すなわち、作動状態でのローラポンプ4の回転数Rを瞬時に「0」まで落とす(ステップS201、図7中の時間「0」〜「t」の部分参照)。
次に、制御装置10に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS202)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS203)、圧力pが上限値pmax を上回った(超えた)か否かを判断する(ステップS204)。
ステップS204において、圧力pが上限値pmaxを上回ったと判断されたら、ローラポンプ4を回転数Rで再度作動させる(ステップS205、図7中の時間「t」以降の部分参照)。一方、ステップS204において、圧力pが上限値pmaxを上回ってはいないと判断された場合には、ローラポンプ4が停止した状態を維持し、ステップS202に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
以上のような制御により、閉鎖系体外循環回路100では、ローラポンプ4の吸引による異常陰圧によって、静脈に留置されたカテーテルが静脈血管壁に貼り付き、脱血不良に陥りそうな場合でも、ローラポンプ4の作動を停止させて、その貼り付きを防止することができる。このことにより、閉鎖系体外循環回路100では、遠心ポンプを使わなくても、ローラポンプ4による異常陰圧での脱血不良を発生させることを防止することができ、また、ローラポンプ4の気泡を細かく砕きにくい特徴を有することとなる。この特徴により、閉鎖系体外循環回路100では、気泡が確実に除去されるため、従来の体外循環装置に設置されているような、気泡を除去するための気泡除去装置を省略することができる。この気泡除去装置を省略した分、閉鎖系体外循環回路100の小型化を図ることができるとともに、体外循環する血液の体外循環量をできる限り抑制する、すなわち、少なくすることができる。
<第2実施形態>
図8は、本発明の閉鎖系体外循環回路(第2実施形態)が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャート、図9は、図8に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。
以下、これらの図を参照して本発明の閉鎖系体外循環回路の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、制御装置のローラポンプに対する制御、すなわち、制御装置の制御プログラムが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図8に示すように、制御装置10には、予め閾値として、上限値pmaxと下限値pminとが設定、記憶されている。下限値pminは、体外循環中にローラポンプ4の回転数を減少させつつ、ローラポンプ4の作動を停止する基準となる圧力であり、上限値pmaxは、停止したローラポンプ4を再度作動させる基準となる圧力である。
図8に示すように、体外循環を開始すると、制御装置10は、圧力センサ5で検出された圧力pが下限値pminを下回ったか否かを判断し(ステップS300)、圧力pが下限値pminを下回ったと判断した場合には、作動状態でのローラポンプ4の回転数Rを連続的に徐々に減少させつつ「0」まで落とす(ステップS301、図9中の時間「0」〜「t」の部分参照)。
次に、制御装置10に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS302)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS303)、圧力pが上限値pmaxを上回った(超えた)か否かを判断する(ステップS304)。
ステップS304において、圧力pが上限値pmaxを上回ったと判断されたら、ローラポンプ4の回転数を連続的に徐々に回転数Rまで増加させて、再度作動させる(ステップS305、図9中の時間「t」以降の部分参照)。一方、ステップS304において、圧力pが上限値pmaxを上回ってはいないと判断された場合には、ローラポンプ4が停止した状態を維持し、ステップS302に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
以上のような制御により、本実施形態でも、ローラポンプ4の吸引による異常陰圧によって、静脈に留置されたカテーテルが静脈血管壁に貼り付き、脱血不良に陥りそうな場合でも、ローラポンプ4の作動を停止させて、その貼り付きを防止することができる。このことにより、閉鎖系体外循環回路100では、遠心ポンプを使わなくても、ローラポンプ4による異常陰圧での脱血不良を発生させることを防止することができ、また、ローラポンプ4の気泡を細かく砕きにくい特徴を有することとなる。この特徴により、気泡が確実に除去される。
また、本実施形態では、ローラポンプ4の作動が停止するまで、当該ローラポンプ4の回転数を連続的に減少させている。これにより、血液の流れが徐々に減少することとなり、患者Hの負担を軽減することができる。また、ローラポンプ4が停止になる以前に、前記カテーテルの血管壁への貼り付きを防止することができ、よって、ローラポンプ4の停止による体外循環停止も避けることができる。
<第3実施形態>
図10は、本発明の閉鎖系体外循環回路(第3実施形態)が備える制御装置の制御プログラムを示すフローチャート、図11は、図10に示す閉鎖系体外循環回路が備える制御装置の制御によるローラポンプの回転数の経時変化(作動状態)を模式的に示すグラフである。
以下、これらの図を参照して本発明の閉鎖系体外循環回路の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、制御装置のローラポンプに対する制御、すなわち、制御装置の制御プログラムが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図10に示すように、制御装置10には、予め閾値として、上限値pmaxと下限値pminとが設定、記憶されている。下限値pminは、体外循環中にローラポンプ4の回転数を減少させつつ、ローラポンプ4の作動を停止する基準となる圧力であり、上限値pmaxは、停止したローラポンプ4を再度作動させる基準となる圧力である。
図10に示すように、体外循環を開始すると、制御装置10は、圧力センサ5で検出された圧力pが下限値pminを下回ったか否かを判断し(ステップS400)、圧力pが下限値pminを下回ったと判断した場合には、作動状態でのローラポンプ4の回転数Rを連続的に徐々に回転数R’まで減少させる(ステップS401、図11中の時間「0」〜「t」の部分参照)。なお、回転数R’は、回転数Rの5〜80%であるのが好ましく、10〜50%であるのがより好ましい。
次に、制御装置10に内蔵されているタイマを作動させ(ステップS402)、該タイマにより設定された所定時間を経過したと判断されたら(ステップS403)、圧力pが上限値pmaxを上回った(超えた)か否かを判断する(ステップS404)。
ステップS404において、圧力pが上限値pmaxを上回ったと判断されたら、ローラポンプ4の回転数R’を連続的に徐々に回転数Rまで増加させる(ステップS405、図11中の時間「t」以降の部分参照)。一方、ステップS404において、圧力pが上限値pmaxを上回ってはいないと判断された場合には、ローラポンプ4が、回転数R’で回転している状態を維持し、ステップS402に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。
以上のような制御により、本実施形態でも、ローラポンプ4の吸引による異常陰圧によって、静脈に留置されたカテーテルが静脈血管壁に貼り付き、脱血不良に陥りそうな場合でも、ローラポンプ4の回転数を減少させて、その貼り付きを防止することができる。このことにより、閉鎖系体外循環回路100では、遠心ポンプを使わなくても、ローラポンプ4による異常陰圧での脱血不良を発生させることを防止することができ、また、ローラポンプ4の気泡を細かく砕きにくい特徴を有することとなる。この特徴により、気泡が確実に除去される。
以上、本発明の閉鎖系体外循環回路を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、閉鎖系体外循環回路を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の閉鎖系体外循環回路は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、ガス交換を行なう人工肺は、前記各実施形態では2枚のフィルタ部材を有するものであったが、これに限定されず、例えば、1枚のフィルタ部材を有するものであってもよい。この場合、人工肺よりも下流側に動脈フィルタを設置して、全体として、1枚のフィルタ部材を有する人工肺と、動脈フィルタとを備える人工肺系とすることができる。
また、圧力センサと気泡除去手段とは、前記各実施形態では圧力センサが気泡除去手段よりも上流側に配置されているが、これに限定されず、例えば、気泡除去手段が圧力センサよりも上流側に配置されていてもよい。
また、閉鎖系体外循環回路では、排液ラインの途中にポンプを設置して、当該排液ラインの血液を排液収納容器に向かって移送することもできる。
100 閉鎖系体外循環回路(閉鎖系体外循環装置)
1 脱血ライン
11 チューブ(脱血ライン用チューブ)
2 送血ライン
21 チューブ(送血ライン用チューブ)
3 人工肺(人工肺系)
31 ハウジング
311 血液流入ポート
312 血液流出ポート
313 熱媒体流入ポート
314 熱媒体流出ポート
315 ガス流入ポート
316 ガス流出ポート
317 排液ポート
318 凹部
32 熱交換部
33 ガス交換部
34 第1のフィルタ部材(第1のフィルタ)
35 第2のフィルタ部材(第2のフィルタ)
36 流路
4 ローラポンプ
41 ロータ
5 圧力センサ
6 気泡検出手段
61 送信部
62 受信部
63 超音波
7 切換え手段
71 クランプ
72 挟持片
73 回動支持部
731 モータ
8 排液収納容器
9 排液ライン
91 チューブ(排液ライン用チューブ)
10 制御装置(制御手段)
H 患者
p 圧力
max 上限値
min 下限値
Q 血流
R、R’ 回転数
S200〜S205 ステップ
S300〜S305 ステップ
S400〜S405 ステップ
S500〜S508 ステップ
、t 時間
α、α 大きさ

Claims (6)

  1. 脱血された血液が流下する脱血ラインと、
    前記脱血ラインの途中に設けられ、該脱血ラインに血液を吸引するローラポンプと、
    前記脱血ラインの前記ローラポンプよりも上流側の部分に設けられ、前記脱血ライン中の圧力を検出する圧力センサと、
    前記脱血ライン内の気泡を検出する気泡検出手段と、
    前記脱血ラインの下流側に接続され、該脱血ラインを流下した血液に対しガス交換を行なうガス交換部と、該ガス交換部よりも下流側に配置され、前記ガス交換がなされた血液中の気泡を捕捉する第1のフィルタおよび第2のフィルタとを有し、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとは血流の方向に沿って離間しており、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとの間が血液が通過する流路として機能する人工肺系と、
    前記流路と連通し、該流路を通過する血液の一部が排出され得る排液ラインと、
    前記排液ラインを、血液の排出可能な開状態と、血液の排出が阻止される閉状態とに切り換える切換え手段と、
    前記気泡検出手段による検出結果に基づいて、前記切換え手段の作動を制御する機能を有する制御手段と、
    前記開状態の排液ラインを流下した血液が収納される排液収納容器とを備えることを特徴とする閉鎖系体外循環回路。
  2. 前記制御手段は、通常時は、前記切換え手段を前記排液ラインが前記閉状態となるよう制御し、前記気泡検出手段が気泡を検出した場合には、前記切換え手段を作動させて前記排液ラインを前記開状態とするよう制御する請求項1に記載の閉鎖系体外循環回路。
  3. 前記排液ラインは、可撓性を有する排液ライン用チューブで構成され、
    前記切換え手段は、前記排液ライン用チューブの長手方向の途中に設けられ、前記閉状態で前記排液ライン用チューブを圧閉し、前記開状態で前記排液ライン用チューブに対する圧閉を解除するクランプを有する請求項1または2に記載の閉鎖系体外循環回路。
  4. 前記制御手段は、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記ローラポンプの作動を制御する機能を有し、
    前記制御手段は、前記圧力センサの検出結果が、予め設定された下限値を下回った場合、前記ローラポンプの作動を停止するかまたは前記ローラポンプの回転数を減少させるよう制御する請求項1ないし3のいずれかに記載の閉鎖系体外循環回路。
  5. 前記制御手段は、前記ローラポンプの作動を停止させ、または、前記ローラポンプの回転数を減少させてから、前記圧力センサの検出結果が、予め設定された上限値を超えた場合、前記ローラポンプを再度作動させるかまたは前記ローラポンプの回転数を増加させる請求項4に記載の閉鎖系体外循環回路。
  6. 前記第1のフィルタは、円筒状をなし、その中心軸が水平方向と平行となるよう配置され、
    前記第2のフィルタは、前記第1のフィルタの外周側に、前記第1のフィルタに対し鉛直下方に配置され、
    前記人工肺系は、前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとを一括して収納するハウジングを有し、前記ハウジングには、その鉛直上方の部分に、前記排液ラインに接続されるポートが突出形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の閉鎖系体外循環回路。
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