JP5780203B2 - 放射線遮蔽構造物シール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び放射線遮蔽構造物 - Google Patents
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〔1〕 (A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)硫酸バリウム:120〜1,000質量部、
(C)BET法比表面積が10m2/g以上のシリカ:0.5〜100質量部、
(D) RaSiZ4-a
(式中、Rは炭素原子数1〜12の一価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。)で表される一分子中に加水分解性基を2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物:0.5〜30質量部、
(F)接着付与剤:0.1〜20質量部
を含有することを特徴とする放射線遮蔽構造物シール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔2〕 (B)成分の硫酸バリウムの平均粒径が0.5〜30μm、水分含有量が1質量%未満であることを特徴とする〔1〕に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔3〕 更に、(E)γ線遮蔽物質、中性子吸収物質、熱伝導率向上物質、水素ガス吸収物質から選択される1種類以上の粉末を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔4〕 (E)成分の中性子吸収物質がB4Cであることを特徴とする〔3〕に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔5〕 (F)成分が、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、及びメルカプト基含有シランカップリング剤から選ばれるシランカップリング剤である〔1〕〜〔4〕のいずれかに項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物でシールされた放射線遮蔽構造物。
〔7〕 放射線遮蔽構造物に対して〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなる厚さ0.1〜10cmのシール層を形成する工程を含むことを特徴とする放射線遮蔽構造物のシーリング方法。
〔8〕 シーリング対象物である放射線遮蔽構造物がコンクリートである〔7〕記載のシーリング方法。
本発明に係る放射線遮蔽構造物シール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、下記(A)〜(D)成分、更には好ましくは後述する(E)、(F)成分を含有してなる。
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)硫酸バリウム:120〜1,000質量部、
(C)BET法比表面積が10m2/g以上のシリカ:0.5〜100質量部、
(D) RaSiZ4-a
(式中、Rは炭素原子数1〜12の一価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。)で表される一分子中に加水分解性基を2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物:0.5〜30質量部
(A)成分の分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンは、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の主剤(ベースポリマー)であり、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有するものである。このようなジオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記一般式(1)又は(2)で表される分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンが用いられる。
(B)成分である硫酸バリウムは、本発明の組成物に放射線遮蔽性能を付与する必須成分である。硫酸バリウムは、比重が重く、物理的、化学的に安定であり、医薬用(X線造影剤)等でも使用されており、中性子吸収に有用な成分である。天然のバライト鉱物粉砕品(バライト粉)と、化学反応で製造される沈降性硫酸バリウムが存在するが、組成物への高充填性、安定性が必要であることから、粒子径をコントロールでき、水分量を管理できる、沈降性硫酸バリウムが好ましい。
なお、本発明において、平均粒径はレーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。
(C)成分はBET法比表面積が10m2/g以上、好ましくは30〜800m2/g、より好ましくは50〜400m2/gのシリカであり、この組成物から形成される硬化物に十分な機械的強度を与えるものである。このシリカとしては公知のものを使用することができ、例えば煙霧質シリカ、沈降シリカ等が例示され、煙霧質シリカが好ましい。これらはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、ヘキサメチルシラザン等のシラザン化合物、あるいはオクタメチルシクロテトラシロキサン等のシロキサン化合物等の有機珪素化合物で表面処理されているものが好ましい。
(D)成分は、下記式
RaSiZ4-a
(式中、Rは炭素原子数1〜12の一価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。)で表される一分子中に加水分解性基を2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物であり、本発明の組成物を硬化させるために有用な成分である。
aは、0〜2の整数であり、0又は1が好ましい。
これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明の組成物には更に(E)成分としてγ線遮蔽物質、中性子吸収物質、熱伝導率向上物質、水素ガス吸収物質を配合することが好ましい。(E)成分は、本発明の組成物に放射線(α線、β線、γ線、x線、中性子線)遮蔽性能、耐熱性、水素耐性等を更に付与する成分である。
これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明の組成物には更に(F)成分として接着付与剤を添加することが好ましい。接着付与剤としては、シランカップリング剤を好適に使用することができる。シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、エチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミノプロピルトリエトキシシラン、エチレンジアミノプロピルメチルジメトキシシラン、エチレンジアミノプロピルメチルジエトキシシラン、α−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤等が例示され、アミノ基含有シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤は、部分加水分解物であるオリゴマーであってもよい。また、これらは2種以上併用してもよい。
また、本発明の組成物には更に(G)成分として硬化促進剤を添加することが好ましい。(G)成分は、従来公知の縮合反応触媒を使用することが有効であり、これらは1種を単独で使用しても2種以上の混合物として使用してもよい。具体例としては、スズジオクトエート、ジメチルスズジバーサテート、ジブチルジメトキシスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジオクチルスズジラウレート、スズキレート等のスズ触媒、グアニジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)等の強塩基化合物及びそれらの基を有するアルコキシシラン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物等が例示される。
本発明の組成物において、上記成分以外に室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の添加剤として公知の添加剤を添加してもよい。充填材としては、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、あるいはこれらの表面をシラン処理したもの、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、アスベスト、ガラスウール、カーボンブラック、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、樹脂ビーズ、樹脂バルーンなどが挙げられる。また、チキソトロピー向上剤としてのポリエーテル、可塑剤としてのイソパラフィンや非反応性シリコーンオイル、架橋密度向上剤としてのトリメチルシロキシ単位とSiO2単位とからなる網状ポリシロキサン等も挙げられる。更に、必要に応じて、顔料、染料、蛍光増白剤等の着色剤、防かび剤、抗菌剤、ゴキブリ忌避剤、海洋生物忌避剤等の生理活性添加剤、シリコーンと非相溶の有機液体等の表面改質剤を添加してもよい。
本発明の放射線遮蔽構造物シール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、シーリング材、接着剤等に好適に用いられ、特に放射線遮蔽構造物のシーリングに適している。
本発明の組成物を用いて放射線遮蔽構造物をシーリングする際のシールの厚さは、放射線遮蔽構造物の形状や大きさにより適宜選択すればよいが、通常0.1〜10cm程度である。
両末端が水酸基で封鎖された粘度50,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度100mPa・sのジメチルポリシロキサン25質量部、更にジメチルジクロロシランで表面処理されたBET法比表面積が120m2/gの煙霧状シリカ10質量部、平均粒子径12μm、水分含有量0.2質量%である硫酸バリウム(C−300、竹原化学工業製)200質量部を均一になるまで混合した。更に、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン5質量部と、ジオクチルスズジラウレート0.5質量部と、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を加えて0.04〜0.06MPaの減圧下、30〜40℃にて均一になるまで混合して組成物を調製した。
実施例1において、硫酸バリウムの量を100質量部とした。
実施例1において、硫酸バリウムの量を500質量部とした。
実施例1の組成物に、更にB4Cを20質量部加えた。
実施例1の組成物から硫酸バリウム(C−300、竹原化学工業製)を除いた組成物を調製した。
実施例1において、硫酸バリウム(C−300、竹原化学工業製)を60質量部とした。
実施例1において、硫酸バリウム(C−300、竹原化学工業製)を1,000質量部とした。
実施例1の組成物から煙霧状シリカを除いた組成物を調製した。
以上の測定結果を表1に示す。なお、より高濃度の放射能汚染に対しては、本発明の組成物の施工厚みを厚くすればよく、放射線遮蔽の効果の増大が期待できる。
Claims (8)
- (A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)硫酸バリウム:120〜1,000質量部、
(C)BET法比表面積が10m2/g以上のシリカ:0.5〜100質量部、
(D) RaSiZ4-a
(式中、Rは炭素原子数1〜12の一価炭化水素基、Zは独立に加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。)で表される一分子中に加水分解性基を2個以上有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物:0.5〜30質量部、
(F)接着付与剤:0.1〜20質量部
を含有することを特徴とする放射線遮蔽構造物シール用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。 - (B)成分の硫酸バリウムの平均粒径が0.5〜30μm、水分含有量が1質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 更に、(E)γ線遮蔽物質、中性子吸収物質、熱伝導率向上物質、水素ガス吸収物質から選択される1種類以上の粉末を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- (E)成分の中性子吸収物質がB4Cであることを特徴とする請求項3に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- (F)成分が、アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、及びメルカプト基含有シランカップリング剤から選ばれるシランカップリング剤である請求項1乃至4のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物でシールされた放射線遮蔽構造物。
- 放射線遮蔽構造物に対して請求項1乃至5のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなる厚さ0.1〜10cmのシール層を形成する工程を含むことを特徴とする放射線遮蔽構造物のシーリング方法。
- シーリング対象物である放射線遮蔽構造物がコンクリートである請求項7記載のシーリング方法。
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