以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明の技術的意義をより明確なものとするために、本発明のパチンコ遊技機の基本構成および基本処理等について記載した上で、本発明の具体的な実施例(第1実施例および第2実施例)を例示する。
(パチンコ遊技機の基本構成)
図1において、パチンコ遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。このパチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、パチンコ遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、その枠部材5に対して遊技盤2が着脱可能に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、下方(発射装置211;図4参照)から発射された遊技球が遊技盤2の主面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材(図示せず)とを備えている。
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示器21が配設されている。画像表示器21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示器21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。
さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
第1始動口25aに遊技球が入ると入賞して第1特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた「特別電動役物」(大入賞口開閉部115)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第1特別図柄表示器31a)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。第2始動口25bに遊技球が入ると入賞して第2特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第2始動口25bは、予め定められた特別電動役物(大入賞口開閉部115)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第2特別図柄表示器31b)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27を遊技球が通過すると、普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
また、ゲート27の上方には遊技球の通過を検知する検知手段60が配設されている。検知手段60は、遊技球がゲート27を通過する前に、遊技球の通過を検知する。検知手段60を通過した遊技球は、ガイド61によってゲート27まで誘導されるため、必ずゲート27を通過する。ガイド61は、複数の遊技くぎが遊技球の直径よりも狭い間隔で配設されて形成されたり、樹脂等によって形成されたガイド壁であったりする。
第2始動口25bは、「普通電動役物」の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26の一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口がほぼ閉ざされるため、遊技球が第2始動口25bへほとんど入らない。一方、電動チューリップ26の一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなる。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって始動される普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間開き、規定回数だけ開閉する。
「大入賞口」は、入賞口のうち、役物が作動した場合に著しく入賞が容易になるものである。パチンコ遊技機1に設けられた大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置している。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)の結果に応じて開放される。
「大入賞口」を開閉または拡大縮小するための電動役物が「特別電動役物」(例えば、大入賞口開閉部115)である。パチンコ遊技機1に設けられる大入賞口開閉部115の詳細な構造および駆動機構については省略するが、特別図柄抽選の結果に応じた特別電動役物の作動(例えば、特別電動役物の構造体の一部が、遊技盤2の主面から突出傾斜すること)によって大入賞口28が開状態となって遊技球が入り易い状態となる。また、パチンコ遊技機1は、特別電動役物を連続して作動することを可能にする機構(いわゆる、「役物連続作動装置」)を伴っており、特別電動役物は所定の作動パターンに従って駆動される。
例えば、大入賞口28の特別電動役物は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内など)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)だけ繰り返す(いわゆる、「大当たり遊技」が実行される)。なお、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても大当たり抽選は始動しない。
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。表示器3の詳細については、後述する。
なお、図1に示したパチンコ遊技機1は、遊技領域20に2つの始動口(第1始動口25a、第2始動口25b)が配設されているが、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が開始される始動口を1つだけ、または3つ以上設けてもかまわない。また、パチンコ遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数個設けてもかまわない。
また、後述により明らかとなるが、パチンコ遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時に大当たりが抽選される大当たり確率が変動することがある。
例えば、パチンコ遊技機1は、上記大当たり確率が相対的に低い状態(低確率遊技状態;例えば大当たり確率が300分の1)から上記大当たり確率が相対的に高い状態(高確率遊技状態;例えば大当たり確率が30分の1)へ変動することがある。また、パチンコ遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ26の羽根部の開時間が延長されたり、電動チューリップ26の羽根部が開閉する回数が増えたりする(電チューサポート;後述の「電動チューリップ処理」参照)場合がある。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しはない。
(パチンコ遊技機の枠部材における構成)
枠部材5の前面側には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置211(図4参照)が遊技球を電動発射する。皿59は、パチンコ遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置211に供給される。なお、皿59は、上下皿一体で構成してもいいし、上皿と下皿とを分離して構成してもかまわない。また、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれパチンコ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
(表示器)
次に、図2を参照して、パチンコ遊技機1に設けられる表示器3について説明する。図2において、表示器3は、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35を備えている。
第1特別図柄表示器31aは、第1始動口25aに遊技球が入賞することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、第1特別図柄表示器31aは、7セグ表示装置で構成され、第1始動口25aに遊技球が入賞した場合、特別図柄(第1特別図柄)を変動表示してその抽選結果を表示する。
第2特別図柄表示器31bは、第2始動口25bに遊技球が入賞することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、第2特別図柄表示器31bは、7セグ表示装置で構成され、第2始動口25bに遊技球が入賞した場合、特別図柄(第2特別図柄)を変動表示してその抽選結果を表示する。
普通図柄表示器33は、ゲート27を遊技球が通過することに対応して表示図柄が変動して表示される。例えば、普通図柄表示器33は、LED表示装置で構成され、遊技球がゲート27を通過した場合、普通図柄を変動表示してその抽選結果を表示する。
第1特別図柄保留表示器32aは、第1特別図柄抽選を保留している回数を表示する。第2特別図柄保留表示器32bは、第2特別図柄抽選を保留している回数を表示する。普通図柄保留表示器34は、普通図柄抽選を保留している回数を表示する。
例えば、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31bまたは普通図柄表示器33によって表示図柄が変動表示されている期間(入賞1回分の変動表示が行われている間)に、さらに他の遊技球が入賞した場合、その入賞した遊技球に対する表示図柄の変動表示は、先に入賞した遊技球に対する変動表示が終了するまで、規定回数(例えば、4回)を限度に保留される。
このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選回数)が、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32bおよび普通図柄保留表示器34に表示される。例えば、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32bおよび普通図柄保留表示器34は、それぞれ列設されたLED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留回数が表示される。
遊技状態表示器35は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態を表示する。後述によって明らかとなるが、パチンコ遊技機1には複数の遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、潜確遊技状態)が設定されている。そして、パチンコ遊技機1の電源投入時点においては、遊技状態表示器35によってその遊技状態が報知される。例えば、遊技状態表示器35は、複数のLED表示装置で構成され、その点灯態様によって遊技状態が表示される。
(入力装置)
次に、図3を参照して、パチンコ遊技機1に設けられる入力装置について説明する。図3において、パチンコ遊技機1には、入力装置の一例として、演出ボタン57および演出キー58が設けられている。
演出ボタン57および演出キー58は、それぞれ遊技者が演出に対する入力を行うために設けられている。演出ボタン57は、パチンコ遊技機1の前方に突出した皿59の上面脇部に設けられる。演出キー58は、中央キーと略十字に配列された複数のキーとを有し、演出ボタン57に隣接して皿59の上面脇部に設けられる。例えば、演出キー58は、その中央に1つの中央キーを配置し、中央キーの周囲に略同一形状の4つの周囲キーを配置して構成されている。
演出ボタン57および演出キー58は、それぞれ遊技者に押下されることによって所定の演出が行われる。例えば、遊技者は、演出キー58の4つの周囲キーを操作することにより、画像表示器21に表示されている複数の選択項目から所望の選択項目へカーソルを移動させ、さらに演出キー58の中央キーを操作することにより、カーソルによって示されている選択項目の選択を確定させることが可能である。
(枠部材の背面側における構成)
また、上記枠部材5の背面側には、払出用の遊技球を溜めておく球タンクや遊技球を皿59に払い出す払出装置(払出駆動部311を備える)が設けられ、各種の基板等が取り付けられている。例えば、遊技盤2の後面には、メイン基板およびサブ基板等が配設されている。
(メイン基板の概要)
具体的には、メイン基板には、内部抽選および当選の判定等を行うメイン制御部100が構成されたメイン制御基板が配設されている。このメイン基板は、開封されることにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケースによって密封されている。
(サブ基板の概要)
また、サブ基板には、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する発射制御部200が構成された発射制御基板、賞球の払い出しを制御する払出制御部300が構成された払出制御基板、演出を統括的に制御する演出制御部400が構成された演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像音響制御部500が構成された画像制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御するランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等が配設されている。また、遊技盤2の後面には、パチンコ遊技機1に供給された24V(ボルト)の交流電力を各種電圧の直流電力に変換して、それぞれの電圧の直流電力を上述した各種の基板等に出力するスイッチング電源が配設されている。
(制御装置)
(制御装置の概要)
次に、図4を参照して、パチンコ遊技機1での動作制御や信号処理を行う制御装置について説明する。なお、図4は、パチンコ遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4において、パチンコ遊技機1の制御装置は、メイン制御部100、発射制御部200、払出制御部300、演出制御部400、画像音響制御部500、およびランプ制御部600を備えている。
(制御装置におけるメイン制御部)
メイン制御部100は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、およびRAM(Random Access Memory)103を備えている。CPU101は、内部抽選および当選の判定等の払出賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM102は、CPU101にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられる。以下、メイン制御部100の主な機能について説明する。
メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると特別図柄抽選(第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選)を行い、特別図柄抽選での当選か否かを示す判定結果データを演出制御部400に送る。また、メイン制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)および特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータや、普通図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータを、演出制御部400に送る。
メイン制御部100は、電動チューリップ26の羽根部が開状態となる開時間や羽根部が開閉する回数、さらに羽根部が開閉する開閉時間間隔を制御する。また、メイン制御部100は、遊技球が第1始動口25aへ入賞したときの保留回数や、遊技球が第2始動口25bへ入賞したときの保留回数や、遊技球がゲート27を通過したときの保留回数を管理する。
メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉動作を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで、大入賞口28が突出傾斜して開状態とするラウンドを所定回数(例えば15回または1回)だけ繰り返すように制御する。また、メイン制御部100は、大入賞口28が開閉する開閉時間間隔を制御する。
メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出数を払出制御部300に対して指示する。例えば、メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部300に指示命令(コマンド)を送る。
なお、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払出を払出制御部300に指示しない。払出制御部300がメイン制御部100の指示に応じて賞球の払出を行った場合、払出制御部300から払い出した賞球の個数に関する情報がメイン制御部100へ送られる。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した情報に基づいて、払い出しした賞球の個数を管理する。
メイン制御部100は、発射制御部200を介して、遊技球を発射する発射装置211を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定の条件に基づいて、発射装置211が遊技球を発射する動作を許可する信号を、払出制御部300を介して発射制御部200へ送信する。
(制御装置におけるメイン制御部に係るスイッチ等)
上述した機能を実現するために、メイン制御部100には、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111b、電動チューリップ開閉部112、ゲートスイッチ113、大入賞口スイッチ114、大入賞口開閉部115、普通入賞口スイッチ116、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35が接続されている。
第1始動口スイッチ111aは、第1始動口25aへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。第2始動口スイッチ111bは、第2始動口25bへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
電動チューリップ開閉部112は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、電動チューリップ26の一対の羽根部を開閉する。
ゲートスイッチ113は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
大入賞口スイッチ114は、大入賞口28へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
大入賞口開閉部115は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、大入賞口28を開閉する。
普通入賞口スイッチ116は、普通入賞口29へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
(制御装置におけるメイン制御部の保留表示器)
また、メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞により始動した第1特別図柄抽選の結果を、第1特別図柄表示器31aに表示する。
メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第1特別図柄保留表示器32aに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞により始動した第2特別図柄抽選の結果を、第2特別図柄表示器31bに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第2特別図柄保留表示器32bに表示する。
メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選の結果を、普通図柄表示器33に表示する。そして、メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過に応じて抽選を保留にしている保留回数を、普通図柄保留表示器34に表示する。
さらに、メイン制御部100は、パチンコ遊技機1を設置している店(ホール)に設けられたホストコンピュータに対して、各種の情報を送信する。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した、払い出しした賞球数に関する情報やメイン制御部100の状態等を示す情報を、上記ホストコンピュータに送信する。
(制御装置における発射制御部)
発射制御部200は、CPU201、ROM202、およびRAM203を備えている。CPU201は、発射装置211に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM202は、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM203は、CPU201の作業用メモリ等として用いられる。
レバー52は、その位置が中立位置にある場合、信号を出力せずに発射停止状態となる。そして、レバー52は、時計方向に回転操作されると、その回転角度に応じた信号を打球発射指令信号として発射制御部200に出力する。
発射制御部200は、打球発射指令信号に基づいて、発射装置211の発射動作を制御する。例えば、発射制御部200は、レバー52の回転角度が増すほど、遊技球が発射される速度が速くなるように、発射装置211の動作を制御する。また、発射制御部200は、メイン制御部100から発射を許可する信号を受信することによって、発射装置211の発射動作が可能となる。一方、発射制御部200は、停止ボタン53が押下された信号が出力されたり、メイン制御部100から発射を停止する制御信号が出力されたりした場合、発射装置211が遊技球を発射する動作を停止させる。
(制御装置における払出制御部)
払出制御部300は、CPU301、ROM302、およびRAM303を備えている。CPU301は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。ROM302は、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM303は、CPU301の作業用メモリ等として用いられる。そして、払出制御部300は、メイン制御部100から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部300は、メイン制御部100から、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部311を制御する。ここで、払出駆動部311は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータを備える駆動ユニット等で構成される。
また、払出制御部300は、所定量の遊技球が所定の場所に貯留されている状態が確保され、所定数の遊技球が払い出されることを検出するための各種スイッチ(払出球検出スイッチ312、不正検出スイッチ313、球有検出スイッチ314、満タン検出スイッチ315)からの入力信号を受信する。
また、払出制御部300は、上記ホストコンピュータに対して各種の情報を送信する。例えば、払出制御部300は、払出駆動部311に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や実際に払い出された賞球数に関する情報等を、ホストコンピュータに送信する。また、払出制御部300は、メイン制御部100に対しても、同様の情報を送信する。
(制御装置における演出制御部)
演出制御部400は、CPU(演出制御CPU)401、ROM402、RAM403、およびRTC(リアルタイムクロック)404を備えている。また、演出制御部400には、演出ボタン57および演出キー58が接続されている。CPU401は、演出を制御する際の演算処理を行う。ROM402は、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM403は、CPU401の作業用メモリ等として用いられる。RTC404は、現時点の日時を計測する。
演出制御部400は、メイン制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出制御部400は、遊技者によって演出ボタン57または演出キー58が押下操作された場合、当該操作入力に応じて演出内容を設定する場合もある。また、演出制御部400は、パチンコ遊技機1に対する遊技が所定期間以上中断された場合、演出の1つとして客待ち用の演出を設定する。
演出制御部400には検知手段60が接続される。検知手段60は遊技球の通過を検知すると、遊技球が通過したことを示す信号を演出制御部400に送信する。詳細は後述するが、本実施形態では、検知手段60が遊技球の通過を検知したことに応じて、可動役物22の動作が制御されることがある。
さらに、メイン制御部100が、特別図柄抽選時の当選確率を変動させたことを示すデータを出力した場合、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、演出制御部400は、それぞれ出力されたデータが示す内容に対応させて、演出内容を設定する。そして、演出制御部400は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像音響制御部500およびランプ制御部600にそれぞれ送る。
(制御装置における画像音響制御部)
画像音響制御部500は、CPU(画像音響制御CPU)501、ROM502、およびRAM503を備えている。CPU501は、演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。ROM502は、CPU501にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM503は、CPU501の作業用メモリ等として用いられる。
画像音響制御部500は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、画像表示器21に表示する画像およびスピーカ55から出力する音響を制御する。具体的には、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。
また、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21に表示される画像と同期させて、または表示される画像とは独立に、スピーカ55から出力させる楽曲や音声、さらにジングル等の効果音等の各種音響データが記憶されている。画像音響制御部500のCPU501は、ROM502に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU501は、読み出した画像データを用いて、背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理を行う。また、CPU501は、読み出した音響データを用いて音声処理を行う。そして、CPU501は、画像処理された画像データが示す画像を画像表示器21に表示する。また、CPU501は、音声処理された音響データが示す音響をスピーカ55から出力する。
さらに、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21に表示される画像と同期して動作する可動役物22の動作に関する制御パターンデータ(制御コマンドデータ)が記憶されている。後述するように、当該制御コマンドデータに基づく制御コマンドがランプ制御部600に送信され、ランプ制御部600は受信した制御コマンドに基づいて可動役物22を制御する。このように画像音響制御部500に可動役物22の制御コマンドデータが記憶されているため、画像音響制御部500は後述するような可動役物22の動作を制御することができる。
(制御装置におけるランプ制御部)
ランプ制御部600は、CPU601、ROM602、およびRAM603を備えている。CPU601は、盤ランプ23や枠ランプ56の発光、および可動役物22の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM602は、CPU601にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM603は、CPU601の作業用メモリ等として用いられる。
ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、可動役物22の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部600のROM602には、演出制御部400にて設定される演出内容に応じた盤ランプ23や枠ランプ56での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した発光パターンデータに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の発光を制御する。また、ROM602には、演出制御部400から送信される可動役物22の制御コマンドに応じた可動役物22の動作パターンデータが記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された動作パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した動作パターンデータに基づいて、可動役物22の動作を制御する。
(メイン制御部により行われるメイン処理)
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、そのメイン制御処理が開始される。まず、電源投入を契機にして、図示しないブートROMに記憶されている起動プログラムを実行し、これによって、メモリ(例えば、RAM103)等の各ユニットの初期化等がなされる(いわゆる、「起動時処理」が実行される)。起動時処理が行われた後、ROM102に記憶されたプログラムがRAM103に読み込まれて、CPU101によって当該プログラムが実行される。図5は、メイン制御部100において実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、図5に示す処理は所定期間(例えば、4msec)毎に繰り返し行われる。
(乱数更新処理)
まず、メイン制御部100(CPU101)は、以降の処理で用いる各種乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、当たり乱数、変動パターン乱数等)を更新して(ステップ701)、次のステップに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、RAM103に格納されている大当たり乱数(例えば、0〜299)、大当たり図柄乱数(例えば、0〜9)、リーチ乱数(例えば、0〜249)、および当たり乱数(例えば、0〜9)にそれぞれ1を加算してそれぞれ更新し、RAM103に記憶する。なお、メイン制御部100は、各乱数が最大値の場合、乱数を0に戻して更新する。
(始動口スイッチ処理)
次に、メイン制御部100は、第1始動口スイッチ111aおよび第2始動口スイッチ111bの状態を監視して、第1始動口スイッチ111aまたは第2始動口スイッチ111bがオンとなった場合に、特別図柄抽選のための処理を実行する(図5、ステップ702)。以下、図6を参照して、上記ステップ702で行う「始動口スイッチ処理」の内容について説明する。図6は、始動口スイッチ処理(S702)の内容の一例を示す詳細フローチャートである。
図6において、メイン制御部100は、第1始動口25aに遊技球が入賞して第1始動口スイッチ111aがオンとなったか否かを判断する(ステップ721a)。そして、メイン制御部100は、第1始動口スイッチ111aがオンとなった場合(ステップ721aでYES)、次のステップ722aに処理を進める。一方、メイン制御部100は、第1始動口スイッチ111aがオフの場合(ステップ721aでNO)、後述する第2始動口25bに係る処理を進める。
ステップ722aにおいて、メイン制御部100は、RAM103を参照して、特別図柄抽選における第1保留回数U1が上限値Umax1未満か否かを判断する。例えば、メイン制御部100における上限値Umax1としては、4回に設定しているが、これらに限られない。そして、メイン制御部100は、第1保留回数U1が上限値Umax1未満の場合(ステップ722aでYES)、次のステップ723aに処理を進める。一方、メイン制御部100は、第1保留回数U1が上限値Umax1以上の場合(ステップ722aでNO)、第2始動口25bに係る処理であるステップ721bへと進む。
ステップ723aにおいて、メイン制御部100は、特別図柄抽選における第1保留回数U1に1を加算して更新し、次のステップに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、RAM103に格納されている第1保留回数U1に1を加算し、加算後の第1保留回数U1をRAM103に格納する。
ステップ724aにおいて、メイン制御部100は、今回の入賞による抽選のための乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数)をそれぞれ取得し、RAM103に時系列順に格納し、処理をステップ725aに進める。
ステップ725aにおいて、メイン制御部100は、事前判定処理をおこなう。事前判定処理では、ステップ724aにおいて取得した大当たり乱数を用いて、大当たりか否かを判定する。なお、事前判定処理では、大当たり判定のほかにも、図柄乱数を用いた図柄乱数判定や、リーチ乱数を用いたリーチ乱数判定をおこなってもよい。この後、メイン制御部100は、第1保留数増加コマンドをセットする(ステップ726a)。
次に、メイン制御部100は、第2始動口25bに係る処理を進める。まず、メイン制御部100は、第2始動口25aに遊技球が入賞して第2始動口スイッチ111bがオンとなったか否かを判断する(ステップ721b)。メイン制御部100は、第2始動口スイッチ111bがオンとなった場合、次のステップ722bに処理を進める。一方、メイン制御部100は、第2始動口スイッチ111bがオフの場合、この詳細フローチャートの処理を終了する。
第2始動口25bに係る処理において、ステップ722bからステップ726bの処理では、第1始動口25aに係るステップ722aからステップ726aと同様の処理が行われる。そして、その第2始動口25bに係る処理においては、特別図柄抽選における第1保留回数U1に対応する変数として特別図柄抽選における第2保留回数U2が定義され、その上限値としてのUmax2、また、第1保留数増加コマンドに対応する変数として第2保留数増加コマンドが定義される。なお、ステップ722bにおいて、第2保留回数U2が上限値Umax2以上の場合、メイン制御部100は、この詳細フローチャートの処理を終了する。
(ゲートスイッチ処理)
図5に戻り、上記ステップ702における始動口スイッチ処理の後、メイン制御部100は、ゲートスイッチ113の状態を監視してゲートスイッチ113がオンとなった場合に、普通図柄抽選のための処理(いわゆる、「ゲートスイッチ処理」)を実行する(ステップ703)。以下、図7を参照して、上記ステップ703で行うゲートスイッチ処理の内容について説明する。図7は、ゲートスイッチ処理(S703)の内容の一例を示す詳細フローチャートである。
まず、ステップ731において、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過してゲートスイッチ113がオンとなったか否かを判断する。そして、メイン制御部100は、ゲートスイッチ113がオンとなった場合(ステップ731でYES)、次のステップ732に処理を進める。他方、メイン制御部100は、ゲートスイッチ113がオフの場合(ステップ731でNO)、当該詳細フローチャートの処理を終了する。
ステップ732において、メイン制御部100は、RAM103を参照して、普通図柄抽選における保留回数Gが上限値Gmax未満か否かを判断する。例えば、メイン制御部100は、上限値Gmaxを4回に設定している。そして、メイン制御部100は、保留回数Gが上限値Gmax未満の場合(ステップ732でYES)、次のステップ733に処理を進める。一方、メイン制御部100は、保留回数Gが上限値Gmax以上の場合(ステップ732でNO)、当該詳細フローチャートの処理を終了する。
ステップ733において、メイン制御部100は、普通図柄抽選における保留回数Gに1を加算して更新して、次のステップに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、RAM103に格納されている普通図柄抽選における保留回数Gに1を加算し、加算後の保留回数GをRAM103に格納する。
次に、ステップ734において、メイン制御部100は、今回の入賞による抽選のための乱数を取得し、RAM103に格納する。ここで、メイン制御部100は、RAM103を参照して、上記ステップ701で更新された乱数のうち、普通図柄抽選のための乱数(当たり乱数)を取得してRAM103に格納する。後述によって明らかとなるが、ステップ734で取得された乱数によって、普通図柄抽選の結果が確定される。
次に、ステップ735において、メイン制御部100は、普通図柄抽選の保留数増加コマンドをセットする。この保留数増加コマンドは後述する出力処理(ステップ709)において、演出制御部400に送信され、演出制御部400は、普通図柄抽選の保留が増加したことを認識することができる。
(特別図柄処理)
図5に戻り、上記ステップ703におけるゲートスイッチ処理の後、メイン制御部100は、ステップ702で取得した特別図柄抽選のための乱数を参照して、大当たり判定処理、変動パターンの選択処理、変動開始コマンドを生成して図柄変動を開始する処理、変動停止コマンドを生成して図柄変動を停止する処理などを含む所定の処理(いわゆる、「特別図柄処理」)を行う(図5のステップ704)。
以下、図8を参照して、上記ステップ704で行う特別図柄処理の内容について説明する。図8は、特別図柄処理(S704)の内容の一例を示す詳細フローチャートである。
ステップ741において、メイン制御部100は、パチンコ遊技機1の現在の状態に係る「当たり遊技フラグ」がオンであるか否かを判定する。すなわち、現在のパチンコ遊技機1の状態が、特別図柄抽選の当選中(大当たり遊技中(大当たり遊技状態))か否かを判断する。ここで、「当たり遊技フラグ」は、後述の「停止中処理」において、停止している特別図柄が当たりを示すものである場合に設定されるフラグである。
ステップ741では、当たり遊技フラグがオンの場合(ステップ741でYES)、既に何らかの特別図柄抽選の当選を表す図柄(いわゆる、「特別図柄」)が選択されて、当該特別図柄が第1特別図柄表示器31aまたは第2特別図柄表示器31bに表示されて停止している状態となっているので、メイン制御部100は、当該詳細フローチャートの処理を終了する。他方、当たり遊技フラグがオフの場合(ステップ741でNO)、メイン制御部100は、次のステップ742に処理を進める。
ステップ742において、メイン制御部100は、RAM103を参照して、パチンコ遊技機1の現在の状態が特別図柄変動中か否かを判断する。例えば、メイン制御部100は、特別図柄が変動中であることをRAM103に記憶しており、当該RAM103を参照して特別図柄が変動中であるか否かを判定する(ステップ742)。特別図柄が変動中である場合(ステップ742でYES)、メイン制御部100は、パチンコ遊技機1の現在の状態が特別図柄変動中であると判断し、次のステップ751に処理を進める。他方、メイン制御部100は、パチンコ遊技機1の現在の状態が特別図柄変動中でない場合(ステップ742でNO)、次のステップ743に処理を進める。
ステップ743において、メイン制御部100は、RAM103を参照して、特別図柄抽選の第2保留回数U2(第2始動口25bへの入賞数)が1以上であるか否かを判断する。そして、メイン制御部100は、第2保留回数U2が1以上である場合(ステップ743でYES)、次のステップ744に処理を進める。一方、メイン制御部100は、第2保留回数U2が0である場合(ステップ743でNO)、ステップ745に処理を進める。
ステップ744において、メイン制御部100は、RAM103を参照して、特別図柄抽選の第2保留回数U2から1を減算して更新し、次のステップ744aに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、RAM103に格納されている第2保留回数U2から1を減算し、RAM103に格納する。
ステップ744aにおいて、メイン制御部100は、客待フラグをオフとし、ステップ747に処理を進める。ここで、客待フラグとは、特別図柄抽選を始動するための入賞がない状態を識別するためのフラグであって、後述のステップ745で第1保留回数U1が0であった際に行われる客待ち設定処理(ステップ745a)においてオンとされるフラグである。実際の客待ち設定処理については、後述する。
一方、ステップ745において、メイン制御部100は、RAM103を参照して、特別図柄抽選における第1保留回数U1が1以上であるか否かを判断する。そして、メイン制御部100は、特別図柄抽選における抽選保留回数U1が1以上である場合(ステップ745でYES)、次のステップ746に処理を進める。
ここで、ステップ746では、メイン制御部100は、RAM103を参照して、特別図柄抽選の第1保留回数U1から1を減算して更新し、その後、上述のステップ744aに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、RAM103に格納されている第1保留回数U1から1を減算し、RAM103に格納する。
他方、メイン制御部100は、第1保留回数U1が0である場合(ステップ745でNO)、特別図柄抽選を始動するための入賞がないことを意味するため、客待ち設定処理が行われる(ステップ745a)。
ここで、客待ち設定処理では、まず、客待ちフラグがオンであれば、そのまま処理を終了し、他方、客待ちフラグがオンでなければ、客待ちコマンドをセットして、客待ちフラグをオンとする。「客待ちコマンド」は、遊技が所定期間中断された場合に、演出の1つとして客待ち用の画面表示を行うために演出制御部400等に送信されるコマンドである。
次に、ステップ747において、メイン制御部100は、「大当たり判定処理」を行う。大当たり判定処理では、RAM103に格納された大当たり乱数を用いて、特別図柄抽選の結果が、大当たり、小当たり、及び、はずれのうちの何れであるかを判定する。例えば、メイン制御部100は、直前にステップ744が実行されて第2保留回数U2が減算された場合は、ステップ724bにおいて時系列で格納された大当たり乱数のうち、入賞の最も古い大当たり乱数を用いて、大当たり判定を行う。また、例えば、メイン制御部100は、直前にステップ746が実行されて第1保留回数U1が減算された場合は、ステップ724aにおいて時系列で格納された大当たり乱数のうち、入賞の最も古い大当たり乱数を用いて、大当たり判定を行う。そして、特別図柄抽選の結果が大当たりであった場合、メイン制御部100は、RAM103に格納された大当たり図柄乱数を用いて、大当たりの種類を判定し、判定結果に応じて大当たり図柄(大当たりの種類)を設定する。また、メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果が小当たりであった場合、小当たり図柄を設定し、特別図柄抽選の結果がはずれであった場合は、はずれ図柄を設定する。
次に、上記「大当たり判定処理」(ステップ747)の後、メイン制御部100は、「変動パターン設定処理」(ステップ748)を行う。ここで、「変動パターン設定処理」は、特別図柄抽選の契機となった始動口入賞時に取得して格納された変動パターン乱数、および、大当たり判定処理の判定結果に応じて、特別図柄の変動パターンを設定する処理である。メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果(大当たり判定の結果)、取得されたリーチ乱数の値、および、変動パターン乱数の値に基づいて、特別図柄の変動パターン(変動時間)を設定する。例えば、特別図柄抽選の結果が大当たりであった場合、変動時間が120秒に設定された変動パターンが設定されたり、特別図柄抽選の結果がはずれであっても、取得されたリーチ乱数が所定の値であった場合は、変動時間が120秒に設定された変動パターンが設定されたりする。
「変動パターン設定処理」の後に、ステップ749において、メイン制御部100は、特別図柄の変動を開始する。ここで、メイン制御部100は、特別図柄を変動させて第1特別図柄表示器31aまたは第2特別図柄表示器31b(図2)に表示する表示制御処理を開始する。
次いで、ステップ750において、メイン制御部100は、上記大当たり判定処理および変動パターン設定処理によって設定された設定情報を含んだ「変動開始コマンド」を生成し、RAM103に格納(セット)する。
例えば、変動開始コマンドには、他の処理で決定された変動パターン(変動時間)、図柄(大当たり図柄、小当たり図柄、はずれ図柄など)等が設定情報として含まれている。
メイン制御部100は、変動開始コマンドの設定情報で規定されている変動パターンが示す変動時間だけ特別図柄変動表示を行うために、変動開始(ステップ749)から変動時間を計測しており、ステップ751において、設定情報に規定された変動時間が経過したか否かを判断する。
上述の設定情報に規定された変動時間が経過した場合(ステップ751でYES)、メイン制御部100は、特別図柄変動表示を終了するために、第1特別図柄表示器31aまたは第2特別図柄表示器31bに図柄設定データD13に格納されている特別図柄を表示して特別図柄の変動を停止し(ステップ752)、変動停止コマンドを生成し、当該変動停止コマンドをセットする(ステップ753)。
なお、上述のステップ742においてパチンコ遊技機1の現在の状態が特別図柄変動中であると判断された場合も、メイン制御部100は、特別図柄変動時間が終了したか否かを判断し(ステップ751)。上述したような処理と同様に、ステップ751以降の処理を実行する。
なお、上記ステップ750でセットされた変動開始コマンド、および、上記ステップ753でセットされた変動停止コマンドは、後述するステップ709(図5参照)の「出力処理」において、演出制御部400へも送信される。
変動停止コマンドセット(ステップ753)の後、ステップ754において、メイン制御部100は、「停止中処理」を行い、図8に示す詳細フローチャートの処理を終了する。停止中処理では、特別図柄の変動を停止させるための処理が行われる。例えば、メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果が大当たりであった場合、当たり遊技フラグをオンに設定してRAM103に記憶する。
(普通図柄処理)
図5に戻り、上記ステップ704における特別図柄処理の後、メイン制御部100は、普通図柄処理を行う(ステップ705)。以下、図9を参照して、上記ステップ705で行う普通図柄処理の内容について説明する。
ステップ801において、メイン制御部100は、「補助遊技フラグ」がオンであるか否かを判定する。ここで、「補助遊技フラグ」は、普通電動役物である電動チューリップ26の開放を示すものであり、具体的には、変動を停止した際の普通図柄が当たり図柄である場合に、オンに設定されるフラグである(ステップ813参照)。
補助遊技フラグがオンである場合(ステップ801でYES)、メイン制御部100は、当該詳細フローチャートの処理を終了する。他方、補助遊技フラグがオフである場合(ステップ801でNO)、メイン制御部100は、普通図柄が変動中であるか否かを判定する(ステップ802)。
ステップ802において、普通図柄が変動中である場合(ステップ802でYES)、ステップ810に移行する。他方、普通図柄が変動中ではない場合(ステップ802でNO)、メイン制御部100は、RAM103を参照して、普通図柄抽選における保留回数Gが、1以上であるか否かを判定する(ステップ803)。当該普通図柄抽選における保留回数Gは、上述した「ゲートスイッチ処理」において設定されるパラメータである。
保留回数Gが1以上ではない場合(ステップ803でNO)、メイン制御部100は、当該詳細フローチャートの処理を終了する。他方、保留回数Gが1以上である場合(ステップ803でYES)、メイン制御部100は、保留回数Gから1を減算し、保留回数Gを更新する(ステップ804)。
その後、ステップ805において、メイン制御部100は、当たり乱数判定処理を実行する。当たり乱数判定処理とは、RAM103を参照して、遊技球がゲート27を通過した際に取得した当たり乱数が「当たり」を示す値であるか否かを判定する処理である。
次いで、ステップ806において、メイン制御部100は、停止図柄を設定する。停止図柄の設定とは、当たり乱数判定処理における判定結果に応じて停止させる図柄を設定することである。
そして、ステップ807において、メイン制御部100は、変動時間設定処理を実行する。「変動時間設定処理」とは、遊技状態に応じて普通図柄の変動時間を設定する処理であり、例えば、確変遊技状態や時短遊技状態などの電チューサポート機能を有する補助遊技状態では「1.5秒」が設定され、通常遊技状態や潜確遊技状態などの電チューサポート機能のない遊技状態では「4.0秒」が設定される。
この後、メイン制御部100は、普通図柄の変動を開始し(ステップ808)、普通図柄の変動開始コマンドをセットする(ステップ809)。ここでセットされる変動開始コマンドは、普通図柄の変動を開始させるコマンドであり、上述した特別図柄処理のステップ750でセットされた特別図柄の変動開始コマンドとは異なる。次に、メイン制御部100は、ステップ807において設定された変動時間が経過したか否かを判定する(ステップ810)。変動時間が経過していない場合(ステップ810でNO)、メイン制御部100は、当該詳細フローチャートの処理を終了する。変動時間が経過した場合(ステップ810でYES)、メイン制御部100は、普通図柄の変動を停止させる(ステップ811)。
そして、メイン制御部100は、停止した普通図柄が当たりであるか否かを判定する(ステップ812)。停止した普通図柄が「当たり」ではない場合(ステップ812でNO)、すなわち、はずれである場合、メイン制御部100は、ステップ814の処理を実行する。他方、停止した普通図柄が当たりである場合(ステップ812でYES)、メイン制御部100は、補助遊技フラグをオンにし(ステップ813)、ステップ814の処理を実行する。
ステップ814において、メイン制御部100は、普通図柄の変動停止コマンドをセットする。ここでセットされる変動停止コマンドは、普通図柄の変動を停止させるコマンドであり、上述した特別図柄処理のステップ753でセットされた特別図柄の変動停止コマンドとは異なる。ステップ814の処理の後、メイン制御部100は、当該詳細フローチャートの処理を終了する。
(大入賞口処理)
図5に戻り、上記ステップ705における普通図柄処理の後、メイン制御部100は、大入賞口処理(ステップ706)を行う。大入賞口処理では、メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉処理を行う。例えば、メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、所定条件(例えば、30秒経過または遊技球が10個入賞する)を満たすまで大入賞口28の開状態が維持されるラウンドを、所定回数(例えば、15回)だけ繰り返す。そして、メイン制御部100は、大入賞口28の開閉処理を終了した後、大当たり図柄(大当たりの種類)に応じて、遊技状態(確変遊技状態、通常遊技状態等)を設定する。また、例えば、メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果が小当たりである場合、大入賞口28が開放される累積時間が所定時間(例えば、1.8秒)となるようにして、大入賞口28の開閉を所定回数繰り返す。
(電動チューリップ処理)
次に、上記ステップ706における大入賞口処理の後、メイン制御部100は、普通電動役物の一例である電動チューリップの作動処理(電動チューリップ処理)を行う(ステップ707)。電動チューリップ処理では、メイン制御部100は、普通図柄抽選の結果に応じて、電動チューリップ26の開閉処理を行う。例えば、メイン制御部100は、普通図柄抽選の結果が当たりである場合、電動チューリップ26を所定のパターンで開閉させる。そして、所定のパターンで電動チューリップ26を開閉させた後、メイン制御部100は、補助遊技フラグをオフに設定する。具体的には、メイン制御部100は、例えば、遊技状態が高確率遊技状態であれば1.8秒×3回の作動パターンで電動チューリップ26の開閉処理を行い、遊技状態が通常遊技状態であれば0.15秒×1回の作動パターンで電動チューリップ26の開閉処理を行う。このように、メイン制御部100は、遊技状態に応じた作動パターンで電動チューリップ26を開閉させる。なお、メイン制御部100は、遊技状態に限らず、普通図柄抽選における当たりの種類に応じて電動チューリップ26の作動パターンを異なるようにしてもよい。
(賞球処理)
次に、上記ステップ707における電動チューリップ処理の後、メイン制御部100は、賞球処理を行い(ステップ708)、次のステップに処理を進める。例えば、賞球処理においては、メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29にそれぞれ入賞した遊技球数を管理する。例えば、メイン制御部100は、大入賞口スイッチ114から大入賞口28に遊技球が入賞したことを示す検出信号を取得した場合、メイン制御部100は、入賞個数データD18に格納されている入賞個数Cに入賞が検出された遊技球数を加算し、加算後の入賞個数Cを用いて入賞個数データD18を更新する。そして、メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29にそれぞれ入賞した遊技球数に応じた賞球の払出数を設定する。
(出力処理)
賞球処理の後、メイン制御部100は、発射制御部200、払出制御部300、および演出制御部400に対して、それぞれ制御用コマンドを出力し(ステップ709)、次のステップに処理を進める。例えば、メイン制御部100は、上記払出数を示す制御用コマンドを払出制御部300に出力することによって、当該払出数を払出制御部300に対して指示する。また、メイン制御部100は、演出に関するコマンド(例えば、特別図柄の変動開始コマンド(S750)、特別図柄の変動停止コマンド(S753)、第1保留数増加コマンド、第2保留数増加コマンド、普通図柄抽選の保留数増加コマンド(S735)、普通図柄の変動開始コマンド(S809)、普通図柄の変動停止コマンド(S814)等)を演出制御部400に出力することによって、パチンコ遊技機1における演出内容を決定させる。以上でメイン制御部100において行われる処理の説明を終了する。
(第1実施例における可動役物の制御)
次に、第1実施例における可動役物22の制御について説明する。まず、第1実施例における可動役物22による演出を、図10を用いて説明する。
図10は、可動役物22による演出の一例を示す図である。図10(a)は、特別図柄を示す装飾図柄(ここでは「特別装飾図柄」という)70の変動が開始した後の画像表示器21に表示される画像の一例を示す図であり、可動役物22が動作する直前の様子を示す図である。図10(b)は、可動役物22が動作して画像表示器21の画面を覆い隠す様子を示す図である。図10(c)は、可動役物22が収納されて画像表示器21の画面が遊技者に視認可能な状態に変化した後の様子を示す図であり、特別装飾図柄70の変動が停止する様子を示す図である。
図10(a)に示すように、画像表示器21の画面には、特別装飾図柄70と普通図柄を示す装飾図柄(ここでは「普通装飾図柄」という)80とが表示される。また、図示は省略するが、画像表示器21には、画像演出のためのキャラクタ画像や背景画像が表示される。遊技球が第1始動口25a又は第2始動口25bに入賞すると、特別図柄の変動が開始し(図8のS749)、特別図柄の変動開始コマンドが演出制御部400に送信される(S750およびS709)。この特別図柄の変動開始コマンドが送信されたことに応じて、画像表示器21には、当該特別図柄を示す特別装飾図柄70が変動する様子が表示される。特別装飾図柄70は、特別図柄抽選の結果を報知するためのものであり、遊技者は、特別装飾図柄70が示す数字によって、特別図柄抽選の結果を知ることができる。例えば、図10(c)に示すように、特別装飾図柄70に示された3つ数字が揃った場合、遊技者は、特別図柄抽選の結果が大当たりであったことを知ることができる。
また、普通装飾図柄80は、普通図柄の抽選結果を報知するためのものであり、遊技者は、普通装飾図柄80の色や記号等によって、普通図柄抽選の結果を知ることができる。遊技球がゲート27を通過すると、普通図柄の変動が開始し(図9のS808)、普通図柄の変動開始コマンドが演出制御部400に送信される(S809およびS709)。この普通図柄の変動開始コマンドが送信されたことに応じて、画像表示器21の画面には普通装飾図柄80が変動する様子が表示される。具体的には、例えば、「○」および「×」の記号が繰り返し表示されることで、普通装飾図柄80が変動する様子が表示される。あるいは、白色又は黒色に塗りつぶされた円形の画像が繰り返し表示されることで、普通装飾図柄80が変動する様子が表示される。そして、所定時間経過後、普通装飾図柄80が停止して、普通図柄抽選の結果が画像表示器21に表示される。例えば、普通図柄抽選の結果が当たりである場合は、「○」の記号が停止して表示されたり、白色の円形画像が停止して表示されたりする。
ここで、可動役物22は、動作していない状態では、遊技盤2の背面に収納されており、遊技者からは視認できない位置(初期位置)で停止している。可動役物22は、2つの板状部材で構成されており、図示しない駆動手段(モータ)によって横方向に移動可能に構成されている。具体的には、左側の可動役物22a(板状部材)は、動作していない状態では、画像表示器21の左端よりも左側であって、遊技盤2の背面に収納されている。左側の可動役物22aは、駆動手段によって収納された位置から右方向にスライド可能に構成されており、右方向にスライドすると画像表示器21の画面の前面に移動可能に構成されている。また、右側の可動役物22b(板状部材)は、動作していない状態では、画像表示器21の右端よりも右側であって、遊技盤2の背面に収納されている。左側の可動役物22bは、駆動手段によって収納された位置から左方向にスライド可能に構成されており、左方向にスライドすると画像表示器21の画面の前面に移動可能に構成されている。
メイン制御部100から特別図柄の変動開始コマンドを受信すると、当該変動開始コマンドに含まれる変動パターンに応じて、特別装飾図柄70の変動が開始し、特別装飾図柄70の変動開始から所定期間経過後に、可動役物22が動作する。図10(b)に示すように、左側の可動役物22aは右側に、右側の可動役物22bは左側にスライドし、画像表示器21の画面全体を覆い隠す(図10(b)では普通装飾図柄80が破線により示されているが、実際には普通装飾図柄80は可動役物22によって隠蔽されるため視認できない)。そして、さらに所定期間経過後、可動役物22が再び動作して、左側の可動役物22aは左側に、右側の可動役物22bは右側にスライドする。そして、可動役物22が初期位置に戻った後、特別装飾図柄70の変動が停止し、特別図柄抽選の結果が画像表示器21に表示される(図10(c))。このような可動役物22の動作によって、遊技者は、特別装飾図柄70が変動する様子を一時的に視認することができなくなり、次に可動役物22が動作したときに表示される結果に対する期待感を高めることができる。
以上のように、可動役物22は、特別図柄抽選が行われたことに応じて動作し、特別装飾図柄70の変動開始、および、変動停止時点では、可動役物22は初期位置に収納される。可動役物22が特別図柄抽選の結果に応じて動作することにより、画像表示器21の画面が一時的に隠蔽される。図10に示す可動役物22の動作パターンは予め遊技機1の記憶手段(ROM502およびROM603)に記憶されている。
一方、普通図柄抽選は、遊技球がゲート27を通過したことに応じて行われるため、特別図柄抽選とは独立して行われる。すなわち、普通図柄抽選は、特別装飾図柄70が変動中においても開始されることがある。このため、特別装飾図柄70の変動中に可動役物22が動作して、図10(b)に示すように画像表示器21の画面が隠蔽されている時点で、普通図柄(普通装飾図柄80)の変動が開始されることがある。また、同様に、可動役物22によって画像表示器21の画面が隠蔽されている時点で、普通図柄(普通装飾図柄80)の変動が停止することがある。従って、普通装飾図柄80の変動開始および変動停止時点において可動役物22が動作している場合は、普通装飾図柄80の変動開始および変動停止する瞬間を遊技者が視認することができない。
遊技機においては、図柄(特別図柄および普通図柄)を画像表示器21に表示させる場合、遊技者が図柄の変動開始および変動停止を認識することができるように、当該図柄の変動開始および変動停止の時点においては、必ずその様子を表示する必要がある。
そこで、本実施例では、普通図柄の変動開始および変動停止時点において、可動役物22によって、普通装飾図柄80が隠蔽されないように、可動役物22の動作を制御する。図11は、普通図柄の変動開始および変動停止と可動役物22の動作とのタイミングの一例を示す図である。図11(a)は、普通図柄の変動開始および変動停止のタイミングの一例を示す図である。図11(b)は、既定の動作における可動役物22の動作タイミングの一例を示す図である。図11(c)は、変更後の動作における可動役物22の動作タイミングの一例を示す図である。
図11(a)に示すように、検知手段60が遊技球の通過を検知した後、時刻t0で当該遊技球がゲート27を通過するとともに、普通図柄の変動が開始する。これにより、普通装飾図柄80が変動する様子が画像表示器21に表示される。次に、2つ目の遊技球がゲート27を通過する。これによって、上述のゲートスイッチ処理(図5のS703)において、普通図柄抽選における保留回数Gが1加算される(図7のS733)。次に、時刻t1になると、普通図柄の変動が停止する(普通装飾図柄80が停止する)。ここで、普通図柄の変動時間(t1−t0)は、上述のように予め定められた期間(普通図柄変動時間)である。さらに所定期間が経過して時刻t2になると、2つ目の遊技球の通過で保留された普通図柄抽選が開始される。そして、普通図柄変動時間が経過して時刻t3になると、普通図柄が停止する。
一方、普通図柄抽選が図11(a)に示されるように行われている間、普通図柄抽選とは独立して、可動役物22が動作する。例えば、図11(b)に示すように、検知手段60が遊技球の通過を検知するよりも前の時刻s0において、遊技球が始動口(第1始動口25a又は第2始動口25b)に入賞することがある。遊技球が始動口に入賞したことに応じて、特別図柄の変動が開始し、画像表示器21に特別装飾図柄70が変動する様子が表示される。ここで、上述したように、遊技球が始動口に入賞したことに応じて、メイン制御部100から特別図柄の変動開始コマンドが演出制御部400に送信され、演出制御部400が演出内容(可動役物22の動作や画像表示器21に表示する画像等)を決定する。
図11(b)に示すように、決定された演出内容では、特別図柄の変動開始時刻s0から所定期間経過後の時刻s1において、可動役物22が動作を開始する。すなわち、図10(a)に示すように、時刻s1において、左右の可動役物22が横方向へのスライドを開始する。そして、図11(b)に示すように、時刻s2の時点において、左側の可動役物22aの右端が、普通装飾図柄80の表示位置まで移動し、遊技者が普通装飾図柄80を視認できなくなる。その後、可動役物22は、図10(b)に示すように、画像表示器21の画面全体を覆い隠した後、反転動作を開始する(左側の可動役物22aが左側に、右側の可動役物22bが右側に移動を開始する)。可動役物22が初期位置まで戻る過程の時刻s3において、左側の可動役物22aの右端が普通装飾図柄80の表示位置を通過して、普通装飾図柄80は再び視認可能となる。次に、時刻s4において、可動役物22の動作が停止し、初期位置に戻る(図10(c)の直後)。そして、さらに所定期間が経過して時刻s5において、特別図柄の変動が停止し、特別図柄抽選の結果が報知される。なお、図10(c)においては、特別装飾図柄70の数字が揃って、大当たりの様子が表示されているが、この時点では、特別装飾図柄70は完全には停止していないものとし、さらに所定期間経過後に完全に変動が停止するものとする。
以上のような可動役物22の既定の動作では、普通装飾図柄80が可動役物22によって隠蔽される期間P1(時刻s3−s2の期間)において、普通図柄の変動が開始する(時刻t2)。このため、普通図柄の変動開始時点において、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽しないように、可動役物22の動作を変更する。
具体的には、図11(c)に示すように、変更後の動作では、可動役物22の動作開始タイミングs1が、これよりも遅い時刻s1’に変更される。可動役物22の動作開始を遅らせる時間(s1’−s1)は、普通図柄の変動開始時点t2と可動役物22が普通装飾図柄80の表示位置に存在する時点s2と応じて算出される。例えば、遅らせる時間間隔は、t2−s2に所定期間を加えたものであってもよい。このように、可動役物22の動作開始タイミングを既定の動作のタイミングよりも遅らせることによって、可動役物22が普通装飾図柄80の表示位置に移動して当該普通装飾図柄80を隠すタイミングを遅らせることができる(図11(c)のs2’)。これにより、普通図柄の変動開始時点で、普通装飾図柄80が可動役物22によって隠蔽されることを防止することができる。
なお、既定の演出では、可動役物22の動作と画像表示器21に表示されたキャラクタ等の動作とが連動した演出が行われることがある。可動役物22の動作が変更されると、変更後の可動役物22の動作と画像表示器21に表示されたキャラクタとの動作が連動しなくなり、違和感のある演出となることがある。このため、可動役物22の動作が既定の動作から変更されても違和感のない演出にするため、可動役物22の動作が終了するタイミングs4を変更しないことが好ましい。例えば、可動役物22の動作速度を調整したり、可動役物22が図10(b)のような画像表示器21の画面全体を覆い隠す状態で停止する期間を短くしたりすることで、普通図柄が隠れる期間s2を短縮させる。
図12は、普通図柄の変動開始および変動停止と可動役物22の動作とのタイミングの他の例を示す図である。図12では、図11と同様のタイミングで普通図柄の変動開始および変動停止が行われる。図12では、図11と比較して、可動役物22が動作するタイミングが早い。具体的には、図12(b)に示すように、既定の動作では、1回目の普通図柄抽選における普通図柄の変動停止、および、2回目の普通図柄抽選における普通図柄の変動開始時点において、可動役物22は普通装飾図柄80を隠蔽する位置に存在する。すなわち、普通図柄の変動停止タイミングt1、および、普通図柄の変動開始タイミングt2は、普通装飾図柄80が可動役物22によって隠蔽される期間P1(時刻s2〜時刻s3)の間にある。
従って、図12(c)に示すように、普通図柄の変動停止および変動開始時点において普通装飾図柄80を視認できるように、可動役物22の動作開始タイミングを遅らせる(s1をs1”に変更)とともに、可動役物22の動作停止タイミングを早める(s4をs4”に変更)。これにより、普通図柄の変動開始タイミングt1よりも普通装飾図柄80が隠れるタイミングを遅くし(s2をs2”に変更)、かつ、普通図柄の変動停止タイミングt2よりも普通装飾図柄80が再び視認可能となるタイミングを早くする(s3をs3”に変更)。
図13は、左側の可動役物22aの位置と時間との関係を示す図である。図13(a)は、既定の動作における可動役物22の位置と時間との関係を示す図である。図13(b)は、動作速度を変更した場合の可動役物22の位置と時間との関係の一例を示す図である。図13(c)は、可動役物22を一時停止した場合の可動役物22の位置と時間との関係の一例を示す図である。図13において、横軸は時間を示し、縦軸は左側の可動役物22aの右端の位置(画面の横方向の位置)を示す。位置X1は、普通装飾図柄80の横方向の表示位置を示し、位置X2は、画面の横方向の中央を示す。
図13(a)に示すように、既定の動作では、図11(b)および図12(b)と同様に、時刻s1において可動役物22が動作を開始し、時刻s2において、左側の可動役物22aの右端が普通装飾図柄80の表示位置X1に到達して普通装飾図柄80が隠蔽される。その後、可動役物22は、左側の可動役物22aの右端が位置X2に到達して、一時的に停止する。そして、左側の可動役物22aは左側に移動を開始して、その右端が時刻s3において、普通装飾図柄80の表示位置X1を通過し、普通装飾図柄80が視認可能となる。
このような可動役物22の既定の動作において、普通図柄の変動開始又は変動停止が時刻s2からs3の間の時刻s10に行われる場合、図13(b)に示すように、可動役物22の動作速度を遅くすることで、左側の可動役物22aの右端が位置X1に到達するタイミングを遅らせる(s12)。これにより、普通図柄の変動開始又は変動停止時点s10において、左側の可動役物22aの右端は、位置X1に到達せず(位置X1よりも左側の位置X10)、普通装飾図柄80が視認可能となる。
また、図13(c)に示すように、可動役物22の動作を一時的に停止させることによって、左側の可動役物22aの右端が位置X1に到達するタイミングを遅らせる(s13)。これにより、普通図柄の変動開始又は変動停止時点s10において、普通装飾図柄80を視認可能にすることができる。
以上、図11から図13で示したように、可動役物22の動作開始タイミング及び/又は動作停止タイミングを既定のタイミングよりも遅らせたり、早めたりすることにより、普通図柄の変動停止および変動開始タイミングにおいて、普通装飾図柄80を視認できるようにすることができる。また、可動役物22の動作速度を既定よりも速くしたり、遅くしたり、あるいは、可動役物22を一時停止したりすることにより、普通図柄の変動停止および変動開始タイミングにおいて、普通装飾図柄80を視認できるようにすることができる。すなわち、可動役物22の動作開始又は停止タイミングの調整、動作速度の調整、あるいは、これらの組み合わせによって、普通図柄の変動停止および変動開始タイミングにおいて、普通装飾図柄80を視認できるようにすることができる。
次に、上述のような可動役物22の動作を実現するための、可動役物22の制御の詳細について説明する。図14は、可動役物22の制御のための画像音響制御部500において行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
上述のように、遊技球の始動口(第1始動口25a又は第2始動口25b)への入賞に応じて、メイン制御部100が特別図柄の変動開始コマンドを演出制御部400に送信する。当該変動開始コマンドに基づいて、演出制御部400が、演出内容(画像表示器21に表示される画像演出や可動役物22による演出等)を決定し、画像音響制御部500に決定した演出内容を実行するようにコマンドを送信する。図14に示す処理は、決定された演出内容が可動役物22による演出を含む場合において実行される。具体的には、画像音響制御部500のROM502に格納されたプログラムをCPU501が実行することにより、図14に示す処理が行われる。なお、図14では、上述した役物の動作制御に関連する処理のみが示されており、これに直接関連しない処理は省略されている。また、図14に示す処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
まず、ステップ1001において、画像音響制御部500は、普通図柄の変動開始又は変動停止が予定されているか否かを判定する。普通図柄の変動開始コマンドや普通図柄の保留数増加コマンドは、メイン制御部100から演出制御部400に送信される。演出制御部400は、これらのコマンドを受信すると、画像音響制御部500に送信する。また、検知手段60が遊技球の通過を検知すると、演出制御部400にその検知結果が出力される。そして、演出制御部400は、検知手段60が遊技球の通過を検知したこと示すコマンドを画像音響制御部500に送信する。従って、画像音響制御部500は、検知手段60による検知結果のコマンドや普通図柄の変動開始コマンド、普通図柄の保留数増加コマンドを受信すると、普通図柄の変動開始又は変動停止が予定されていると判定することができる。判定結果が肯定の場合(S1001でYES)、画像音響制御部500は、次にステップ1002の処理を実行する。一方、判定結果が否定の場合(S1001でNO)、画像音響制御部500は、次にステップ1005の処理を実行する。
ステップ1002において、画像音響制御部500は、普通図柄の変動開始および/または変動停止のタイミングを算出する。画像音響制御部500は、演出制御部400からの上記普通図柄の変動開始コマンド、普通図柄の保留数増加コマンド、および、普通図柄変動時間に基づいて、普通図柄の変動停止および変動開始のタイミングを算出する。すなわち、画像音響制御部500は、受信した変動開始コマンドに係る普通図柄の変動停止タイミング(図11のt1)、および、受信した保留数増加コマンドに係る普通図柄の変動開始タイミング(図11のt2)と変動停止タイミング(図11のt3)を算出することができる。また、画像音響制御部500は、検知手段60による遊技球の検知結果のコマンドに基づいて、当該検知手段60が検出した遊技球によって行われる普通図柄抽選の普通図柄の変動開始タイミング(図11のt0)を算出することができる。次に、画像音響制御部500は、ステップ1003の処理を実行する。
ステップ1003において、画像音響制御部500は、ステップ1002で算出した普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングで、可動役物22が所定の位置か否かを判定する。ここでは、画像音響制御部500は、上記タイミングで、左側の可動役物22aが普通装飾図柄80の表示位置の前面に位置して、普通装飾図柄80を隠蔽するか否かを判定する。画像音響制御部500は、画像表示器21の表示を制御するため、普通装飾図柄80の表示位置を認識することができ、上記タイミングにおいて可動役物22によって普通装飾図柄80が隠れるか否かを判定することができる。判定結果が肯定の場合(S1003でYES)、画像音響制御部500は、次にステップ1004の処理を実行する。一方、判定結果が否定の場合(S1003でNO)、画像音響制御部500は、次にステップ1005の処理を実行する。
ステップ1004において、画像音響制御部500は、既定の動作パターンを変更して可動役物22の動作パターンを設定する。具体的には、画像音響制御部500は、上述した方法により、可動役物22の動作を変更(動作開始/停止のタイミングや動作速度等を変更)する。これにより、画像音響制御部500は、ステップ1002で算出した普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングで、可動役物22によって普通装飾図柄80が隠れないように可動役物22の動作パターンを設定する。なお、画像音響制御部500は、変更後の可動役物22の動作パターンに応じて、画像表示器21に表示する画像を調整してもよい。例えば、可動役物22の動作に連動するようにして、画像表示器21に画像を表示するタイミングを変更してもよい。画像音響制御部500は、次にステップ1006の処理を実行する。
一方、ステップ1001でNO、又は、ステップ1003でNOと判定された場合、ステップ1005の処理が行われる。ステップ1005においては、普通図柄の変動開始又は停止が行われないか、普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングにおいて普通装飾図柄80が可動役物22によって隠れない。従って、画像音響制御部500は、可動役物22の動作を変更する必要がないため、可動役物22の動作パターンを既定の動作パターンに設定する。次に、画像音響制御部500は、ステップ1006の処理を実行する。
ステップ1006において、画像音響制御部500は、可動役物22を制御するためのコマンドを演出制御部400に送信する。具体的には、画像音響制御部500は、ステップ1004又はステップ1005で設定した動作パターンに応じたコマンドを演出制御部400に送信する。当該コマンドを受信した演出制御部400は、当該コマンドをランプ制御部600に送信する。そして、ランプ制御部600によって、当該コマンドに応じた可動役物22の制御が行われる。ステップ1006の処理が終了すると、当該フローチャートによる処理が終了する。
以上のようにして、メイン制御部100が送信する普通図柄の変動開始コマンド、普通図柄の保留数増加コマンド、普通図柄変動時間、および、検知手段60による遊技球の検知結果に基づいて、普通図柄の変動開始および変動停止のタイミングを算出(予測)することができる。そして、当該算出されたタイミングにおいて、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽するか否かを判定し、隠蔽する場合は、算出されたタイミングにおいて可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽しないように可動役物22の動作を制御する。これにより、可動役物22が画像表示器21に前面に移動して画面を覆い隠す場合であっても、普通装飾図柄80の変動開始および変動停止時点においては、遊技者が当該普通装飾図柄80を視認することができる。
(第2実施例)
次に、第2実施例における可動役物22の制御について説明する。まず、第2実施例における可動役物22による演出を、図15を用いて説明する。図15は、第2実施例における可動役物22による演出の一例を示す図である。第2実施例では、可動役物22は、上述した図10に示す動作パターンに加えて、図15に示す動作パターンでも動作する。以下では、図10に示す動作パターンを第1動作パターン、図15に示す動作パターンを第2動作パターンと呼ぶ。
図15(b)に示すように、第2動作パターンでは、左側の可動役物22aが初期位置から右方向にスライドする場合、当該左側の可動役物22aの右端は、普通装飾図柄80の表示位置よりも左方の位置までしか移動しない。このため、第2動作パターンで可動役物22が動作しても、当該左側の可動役物22aによって普通装飾図柄80が隠れない。一方、右側の可動役物22bは、初期位置から画像表示器21の画面の中央まで左方向にスライドし、特別装飾図柄70を隠蔽する。そして、図15(c)に示すように、特別装飾図柄70の変動が停止する際には、左右の可動役物22が初期位置に戻る。このような第2動作パターンは予め記憶されている。
このように、第2動作パターンでは、特別図柄の変動が開始して可動役物22が動作しても、可動役物22は普通装飾図柄80を隠蔽しない。第2実施例では、特別図柄の変動が開始して上記第1動作パターンが選択された後、普通図柄の変動が開始する場合、第1動作パターンから第2動作パターンに動作パターンが変更されて、可動役物22の動作が制御される。これにより、普通図柄の変動開始および変動停止時点において、普通装飾図柄80を視認可能にする。
次に、図16を参照して、第2実施例における可動役物22の制御の詳細について説明する。図16は、第2実施例における可動役物22の制御のための画像音響制御部500において行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
図16に示す処理は、特別図柄の変動開始コマンドに基づいて演出内容(画像演出や可動役物22の動作パターン)が決定(選択)された後、行われる。ここでは、可動役物22の動作パターンとして、第1動作パターンが選択されたものとする。すなわち、始動口(第1始動口25a又は第2始動口25b)への遊技球の入賞に応じて、特別図柄の変動中に可動役物22が画像表示器21の画面全体を覆い隠す演出が選択されたものとする。図16に示す処理は、以上の第1動作パターンの選択処理(演出内容の決定処理)の後に行われる。なお、図16において、図14と同様の処理については、図14と同様の符号を付し、説明を省略する。また、図16に示す処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
図16において、ステップ1001からステップ1003の処理が行われた後、ステップ1101の処理が行われる。
ステップ1101において、画像音響制御部500は、可動役物22の動作パターンを第1動作パターンから第2動作パターンに変更する。ここでは、ステップ1003において、第1動作パターンで可動役物22が動作した場合、普通図柄の変動開始又は変動停止のタイミングにおいて可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽するため、画像音響制御部500は、動作パターンを第2動作パターンに変更する。そして、次のステップ1006において、変更された第2動作パターンで動作するように、可動役物22が制御される。従って、普通図柄の変動開始又は変動停止のタイミングにおいて、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽することを防止することができる。
一方、ステップ1001でNO、又は、ステップ1003でNOと判定された場合、ステップ1102の処理が実行される。ステップ1102において、画像音響制御部500は、可動役物22の動作パターンを既に選択されている第1動作パターンで維持する。ここでは、普通図柄の変動開始又は停止が行われないか、普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングにおいて普通装飾図柄80が可動役物22によって隠れないため、動作パターンを変更しない。そして、次のステップ1006において、第1動作パターンで動作するように、可動役物22が制御される。
次に、図16に示す処理による可動役物22の動作の一例を図17を参照して説明する。図17は、各動作パターンにおける左側の可動役物22aの位置と時間との関係を示す図である。図17(a)は、第1動作パターンにおける左側の可動役物22aの位置と時間との関係を示す図である。図17(b)は、可動役物22が第1動作パターンで動作する前に第2動作パターンに変更された場合の左側の可動役物22aの位置と時間との関係を示す図である。図17(c)は、可動役物22が第1動作パターンで動作した後に第2動作パターンに変更された場合の左側の可動役物22aの位置と時間との関係を示す図である。
図17(b)に示すように、可動役物22の動作が開始するタイミングs1よりも前(時刻s20)に検知手段60が遊技球の通過を検知した場合、画像音響制御部500は、可動役物22の動作が開始する前に、動作パターンを第1動作パターンから第2動作パターンに変更する。例えば、検知手段60が遊技球の通過を検知したタイミングで、第1動作パターンから第2動作パターンに変更される。
一方、図17(c)に示すように、可動役物22の動作が開始したタイミングs1よりも後(時刻s21)に検知手段60が遊技球の通過を検知した場合、画像音響制御部500は、第1動作パターンで動作中であっても可動役物22の動作パターンを第2動作パターンに変更する。これにより、検知手段60が遊技球の通過を検知した後の普通図柄の変動開始時点において、普通装飾図柄80を視認可能にする。
なお、上記フローチャートでは、普通図柄の変動開始タイミング又は変動停止タイミングにおいて、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽するか否かを判定し(図17のS1003)、当該判定結果が肯定の場合に、動作パターンを変更した(S1101)。他の実施例では、ステップ1003(およびステップ1002)の処理は必ずしも実行されなくてもよい。すなわち、普通図柄の変動開始タイミング又は変動停止タイミングにおいて、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽するか否かに関わらず、普通図柄の変動が行われる場合は、可動役物22の動作を変更してもよい。
また、上記処理では、特別図柄の変動が開始して第1動作パターンが選択された後、普通図柄の変動が開始して、第2動作パターンに動作パターンが変更された。すなわち、先に第1動作パターンが選択された後、第2動作パターンに変更された。上記処理において、先に普通図柄の変動が開始してから特別図柄の変動が開始した場合は、第1動作パターンが選択されずに第2動作パターンが選択されてもよい。
以上のように、第2実施例では、普通図柄の変動に応じて、予め記憶された第1動作パターンから第2動作パターンに可動役物22の動作パターンが変更される。これにより、普通図柄の変動開始タイミング又は変動停止タイミングにおいて、可動役物22が普通装飾図柄80を隠蔽することを防止することができる。
(変形例)
なお、本発明に係るパチンコ遊技機は、上記実施例に限定されず、下記の形態でもよい。
例えば、上記実施例では、画面全体を覆い隠すことが可能な可動役物22を例にして説明したが、他の実施形態では、画面の一部を覆い隠して普通装飾図柄80を隠蔽するような動作をする可動役物が用いられてもよい。当該可動役物は、画像表示器21の周辺に配設されて、特別図柄の変動中に画面の前面に移動して普通装飾図柄80(及び特別装飾図柄70)を隠蔽する。
また、上記実施例では、可動役物22は、特別図柄が変動を開始したことに応じて画像表示器21の前面に移動するものとした。他の実施形態では、可動役物22は、特別図柄の変動が停止して大当たりであった場合に実行される大当たり遊技中に、画像表示器21の前面に移動してもよい。すなわち、大当たり遊技中(大当たり遊技状態)では、大入賞口28の開閉処理が行われるとともに、画像表示器21には所定の動画演出が表示され、また、可動役物22による演出が行われる。このような大当たり遊技中においても、遊技球がゲート27を通過すると普通図柄抽選が行われるため、可動役物が動作している時点で普通装飾図柄80を隠蔽することがある。しかしながら、大当たり遊技中においても、上述した方法で可動役物を制御することによって、大当たり遊技中に普通装飾図柄80を隠蔽することを防止することができる。
また、他の実施形態では、上記大当たり遊技中のみならず、確変遊技状態において可動役物22が動作してもよい。すなわち、可動役物22は、遊技機1の遊技状態(大当たり遊技状態、確変遊技状態(潜確遊技状態を含む)、通常遊技状態等)に応じて、動作してもよい。例えば、潜確遊技状態において、遊技者が所定の操作をすることに応じて、可動役物22が動作して画面(の一部または全部)を隠す演出が行われてもよい。このような場合においても、上述の方法により、普通図柄の変動に応じて、可動役物22が制御される。
また、上記実施例では、既定の動作パターンを変更することにより、可動役物22の位置を制御して、普通装飾図柄80が隠れないように制御した。他の実施形態では、普通図柄の変動停止又は開始タイミングにおいて、普通装飾図柄80が可動役物22によって隠れると判定された場合、可動役物22を動作させないようにしてもよい。すなわち、このような場合に可動役物22の動作を禁止して、可動役物22が初期位置から移動しないように制御してもよい。
また、上記実施例では、可動役物の位置を制御することにより普通装飾図柄80を視認可能に制御した。他の実施形態では、可動役物を変形することにより普通装飾図柄80を視認可能に制御してもよい。例えば、普通装飾図柄80を隠蔽する可動役物の一部が変形して普通装飾図柄80が視認可能になってもよい。また、他の実施形態では、可動役物の一部が透明/不透明を電気的に切り替えることが可能なもの(例えば、透過型液晶表示装置や透過型有機EL表示装置)によって構成され、当該役物の透明/不透明を制御することで普通装飾図柄80を視認可能に制御してもよい。この場合において、普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングにおいて普通装飾図柄80が隠れない場合は、不透明となって画像表示器21に表示された普通装飾図柄80を隠す。一方、普通図柄の変動開始又は変動停止タイミングにおいて普通装飾図柄80が隠れる場合は、透明になって画像表示器21に表示された普通装飾図柄80を視認可能にする。