JP5778192B2 - コイル用線材、コイル構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車等に用いられるモータ用のコイル構造およびこれに用いられるコイル用線材に関するものである。
例えば、自動車等に用いられるモータ用のコイルには、高周波電流が流される。図6(a)は、コイル10を示す図である。コイル10は、コイルコア13の外周に巻き線11が巻き付けられて構成される。
図6(b)は、図6(a)のI−I線断面図であり、巻線11の断面に流れる電流密度分布の概念図である。また、図7は図6(b)のJ部拡大図である。巻線11は、略矩形断面形状である。このようにすることで、隙間なく巻線11をコイルコア13に巻付けることができるため、モータを小型化することができる。
図7に示すように、巻線11には、電流が集中する部位(図中K部)と、電流があまり流れない非集中部(図中L)が生じる。これは、巻線11に交流電流を流す場合、当該巻線11には、巻線11に鎖交する磁束によって巻き線内部に渦電流が発生するためである。
図8(a)は、巻線11の厚み方向に対する電流の流れ方を示す図である。巻線11を直線上に伸ばした状態では、厚み方向に流れる電流(図中M、N)は略一定である。一方、図8(b)に示すように、巻線11をコイルコア13に巻き付けた状態で高周波電流を流すと、渦電流(図中O)が生じる。したがって、この渦電流の影響により、巻線11に流れる電流は、図8(c)に示すように、厚み方向で分布を持ち、一方の表面近傍において電流が集中し、他方の表面で電流が流れにくくなる(図中P、Q)。
このように、渦電流の影響によって、巻線11の交流抵抗が増加する。このため、コイルの高効率化の妨げとなる。このような渦電流の影響を小さくする方法としては、導体断面を複数に分割する方法がある(例えば、特許文献1)。
特開2007−288088号公報
このような渦電流損失は、以下の式(スタインメッツの実験式)で与えられる。
渦電流損失(w)=k・(tfBm)/ρ
但し、k:比例定数、t:導体厚さ、f:周波数、Bm:磁束密度、ρ:体積抵抗率。
したがって、渦電流損失を低減するためには、導体の厚さを薄くする方法が有効である。このため、特許文献1のように、導体個々の厚さを薄くすることで、渦電流損失を低減することができる。一方、さらに渦電流損失を低減するためには、体積抵抗率ρを大きくする方法がある。体積抵抗率ρを大きくすることで、渦電流損失を低減することができる。
しかし、単に体積抵抗率の大きな材質を選択したのでは、直流抵抗が大きくなるため、周波数によっては、抵抗値の低減効果を得ることができない。また、導体を複数に分割するためには、分割導体同士の間に、絶縁層(または低導電率層)を形成する必要があるが、これにより、全断面積中の導体が占める占有率が低下する恐れがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、渦電流損失の低減と軽量化を両立可能なコイル用線材およびこれを用いたコイル構造を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、コイル用の線材であって、第1の素線と、前記第1の素線の導電率とは異なる導電率を有する材質からなる第2の素線と、を具備し、前記第1の素線は、銅または銅合金であり、前記第2の素線はアルミニウムまたはアル ミニウム合金であり、前記第1の素線と、前記第2の素線は略同一幅の、略矩形断面形状であり、前記第1の素線と前記第2の素線とが積層されて構成され、前記第1の素線と前 記第2の素線の間には、前記第1の素線および前記第2の素線よりも低導電率の介在層が 形成され、積層された各層の最外層には前記第1の素線が配置されることを特徴とするコイル用線材である。
前記介在層はアルマイト層であることが望ましい。
第2の発明は、コイル用の線材であって、第1の素線と、前記第1の素線の導電率とは 異なる導電率を有する材質からなる第2の素線と、を具備し、前記第1の素線は、銅また は銅合金であり、前記第2の素線はアルミニウムまたはアルミニウム合金であり、前記第 1の素線と、前記第2の素線は略同一幅の、略矩形断面形状であり、前記第1の素線と前 記第2の素線とが積層されて構成され、前記第1の素線と前記第2の素線の間には、介在 層が形成され、前記介在層はアルマイト層であり、前記第1の素線同士が隣り合うように積層されず、前記第1の素線は前記第2の素線と隣り合うように積層されることを特徴と するコイル用線材である
前記介在層は、エナメルであってもよく、接着剤であってもよく、酸化被膜であってもよい。
第2の発明において、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が2である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の37%〜82%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が3ある場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の25%〜59%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が4である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の19%〜45%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が5である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の13%〜35%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が6である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の13%〜29%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が7である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜24%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が8である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜19%であることが望ましい。
また、前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が9である場合には、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜15%であることが望ましい。
第1の発明によれば、略同一幅の略矩形断面を有する異種金属からなる素線を積層するため、素線を断面で複数に分割するのと同じ効果を得ることができる。特に、第2の素線は、第1の素線よりも導電率が低いものの、比重が小さいため、軽量化の効果を得ることができる。また、第2の素線の導電率が、第1の素線の導電率よりも小さいため、渦電流損失を低減することができる。
このような素線としては、例えば、第1の素線を銅または銅合金とし、第2の素線をアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることができる。このように、異種金属を積層することで、高い導電率を有する第1の素線によって直流抵抗を低減するとともに、相対的に低い導電率を有する第2の素線によって、渦電流損失を低減することができる。また、アルミニウムを用いることで、コイルを軽量化することができる。
また、第1の素線と第2の素線との間には、低導電率である介在層が設けられるため、確実に、各素線同士を分割することができる。なお、第1の素線と第2の素線とは、単に積層されるのみであるため、例えば、第2の素線を第1の素線で被覆するような場合と比較して、製造が容易である。
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いた際に、表面にアルマイト層を形成することで、アルマイト層を介在層として機能させることができる。したがって、介在層として通常の絶縁層等を形成する場合と比較して、介在層を薄くすることができる。このため、全断面積中の導体の締める割合を大きくすることができ、高効率化を達成することができる。
なお、介在層としては、銅素線の表面に形成されたエナメルであってもよく、素線同士を接着する接着剤であってもよく、各素線の表面に形成された酸化被膜であってもよい。
の発明は、コイル構造であって、コイルコアと、前記コイルコアに巻き付けられた巻き線と、を具備し、前記巻き線は、銅または銅合金からなる第1の素線と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の素線とが積層されて構成され、前記第1の素線と前記第2の素線は略同一幅の略矩形断面形状であり、前記第2の素線の表面にはアルマイト層が形成され、前記第1の素線と前記第2の素線とは、前記アルマイト層を介して積層され、積層された各層の最外層には前記第1の素線が配置されることを特徴とするコイル構造である。
第4の発明は、コイル構造であって、コイルコアと、前記コイルコアに巻き付けられた 巻き線と、を具備し、前記巻き線は、銅または銅合金からなる第1の素線と、アルミニウ ムまたはアルミニウム合金からなる第2の素線とが積層されて構成され、前記第1の素線 と前記第2の素線は略同一幅の略矩形断面形状であり、前記第2の素線の表面にはアルマ イト層が形成され、前記第1の素線と前記第2の素線とは、前記アルマイト層を介して積 層され、前記第1の素線同士が隣り合うように積層されず、前記第1の素線は前記第2の 素線と隣り合うように積層されることを特徴とするコイル構造である。
3、第4の発明によれば、銅または銅合金と、アルミニウムまたはアルミニウム合金とを積層させ、アルミニウム表面に形成されたアルマイト層を介在層として機能させるため、効率よく渦電流損失対策と軽量化とを達成することができる。
本発明によれば、渦電流損失の低減と軽量化を両立可能なコイル用線材およびこれを用いたコイル構造を提供することができる。
(a)は線材1を示す断面図、(b)は、長手方向断面における渦電流の状態を示す図。 交流周波数と抵抗との関係を示す図。 0〜2kHzの範囲の抵抗総和を示す図。 アルミニウム層割合と抵抗総和の関係を示す図で、(a)は2層の場合を示す図、(b)は3層の場合を示す図、(c)は4層の場合を示す図、(d)は5層の場合を示す図。 アルミニウム層割合と抵抗総和の関係を示す図で、(a)は6層の場合を示す図、(b)は7層の場合を示す図、(c)は8層の場合を示す図、(d)は9層の場合を示す図。 (a)はコイル10を示す図、(b)は(a)のI−I線部分断面図。 巻線11を示す断面図。 (a)は、巻線11における直流電流を示す図、(b)は巻線11における渦電流を示す図、(c)は巻線11に流れる高周波電流を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1(a)は、線材1を示す断面図である。線材1は、複数の素線3a、3bと絶縁被覆5等から構成される。素線3aと素線3bは、互いに導電率の異なる金属で構成される。素線3aは、素線3bよりも導電率が高い。また、素線3bは素線3aよりも比重が小さい。例えば、素線3aは銅または銅合金で構成され、素線3bはアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。
素線3a、3bの間には、介在層7が形成される。介在層7は、例えば素線3aまたは素線3bの表面に形成されたエナメル、接着剤、酸化被膜などである。すなわち、介在層7は、素線3a、3bに対して、より導電率の低い材質で構成される。したがって、線材1の断面において、導体部は、素線3a、3bに分割され、線材1は、複数の異なる素線3a、3bの集合線となる。
なお、素線3bがアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合には、介在層7を、その表面に形成されたアルマイト層とすることが望ましい。アルマイト層は、他のエナメル等の介在層と比較して容易に形成することができ、また薄くすることができるため、占積率を大きくすることができる。
素線3a、3bは、互いに略同一幅の略矩形断面形状である。線材1は、素線3a、3bが厚み方向に複数積層されて、全体として略矩形断面形状となる。なお、素線3a、3bの積層数は図示した例に限られず、さらに多層構造としてもよい。但し、素線3aを銅または銅合金、素線3bをアルミニウムまたはアルミニウム合金とし、介在層7をアルマイト層とする場合には、素線3a同士が隣り合うように積層されず、素線3aは必ず素線3bと隣り合うように積層されることが望ましい。このようにすることで、介在層7をすべてアルマイト層で形成することができる。このため、素線同士の間に、確実に介在層7を配置することができる。
また、素線3aを銅または銅合金、素線3bをアルミニウムまたはアルミニウム合金として、複数層に積層させる場合には、積層された最外層(最下段および最上段)には、素線3aが来るように積層することが望ましい。このようにすることで、積層された線材の最外周が銅または銅合金で構成されるため、従来の銅のみで構成された銅線を用いた場合と同様の半田や圧着などの方法で端子などを接続することができる。
このように形成される線材1を図6に示したようなコイルコア13に巻きつけることで、コイル構造を構成することができる。
なお、線材1は、例えば、素線3a、3bを接着し、その後外周に絶縁被覆5を設けることで製造することができる。また、複数の素線(丸線でも良い)を並べて束ねた後に圧延して矩形断面の線材1を製造しても良い。
図1(b)に示すように、素線3aの間に素線3bが設けられるため、渦電流は各素線に分散される。このため、前述したスタインメッツの実験式における導体厚みtを小さくする効果によって渦電流(図中A)による損失を小さくすることができる。また素線3aが銅または銅合金であり、素線3bをアルミニウムまたはアルミニウム合金とする場合には、前述したスタインメッツの実験式における導体厚みtを小さくする効果と、体積抵抗率ρが銅に対して大きくなる効果によって渦電流(図中B)による損失を小さくすることができる。
図2は、このようにして構成される線材における、交流周波数と抵抗との関係を示す計算結果である。なお、図2に示す各線材の全体の厚みは2.2mmで一定とした。図中Dは、線材の断面全体を銅で構成したものである。前述したように、周波数が増加するにつれて、渦電流損失が大きくなるため、抵抗が増加する。一方、線材の断面全体をアルミニウムとしたC線は、所定の周波数(図中G)以下では、直流抵抗値の増加によって高い抵抗を示すが、渦電流損失が小さいため、所定の周波数以上では、銅線よりも抵抗を低くすることができる。
一方、銅線の断面を複数に分割した積層構造(厚みを3等分に3分割した)の場合には、図中F線のように、低い抵抗となった。これは、断面を分割することによる、渦電流損失低減の効果である。これに対し、中央の素線をアルミニウムとして銅で挟みこんだ積層構造(各層の厚みは全体の厚みの3等分とした)の場合には、図中E線のように、全てを銅とした場合と比較して、僅かに抵抗が大きいが、その差は小さい。特に、所定の周波数(図中H)以上では、渦電流損失の低減の効果によって、全て銅とした積層構造よりも抵抗値が低くなった。なお、銅とアルミからなる線材としては、中心をアルミ、外周を銅とした銅被覆アルミ線が知られている。しかしながら、銅被覆アルミ線の場合には銅が分割されておらず、銅全体が導通しているため、外周の銅部分に大きな渦電流が流れる。そのため、スタインメッツの実験式における厚みtが小さくなる効果が得られず、渦電流損失の低減は図れない。
以上、本実施の形態によれば、単に断面を複数に分割するのみではなく、異種金属を積層させることで、より効率良く渦電流損失を低減することができる。また、銅によってアルミニウムを挟み込むことで、渦電流損失低減効果と、軽量化の両方の効果を得ることができる。
また、介在層7としてアルマイト層を適用することで、介在層7の厚みを薄くすることができる。このため、線材1の占積率を向上させることができる。
なお、線材1の断面の分割数や、各層の厚みは、使用される交流周波数帯に応じて適宜設計することができる。
次に、銅およびアルミニウムからなる積層構造を有するコイル用線材を用いて、層数およびアルミニウムの厚さ占有率(Al厚/素線厚み)を変化させた場合の抵抗の変化を計算した。前述したように、線材の抵抗は、直流電流における電気抵抗と、交流電流の際に生じる渦電流損失による抵抗がある。これらは、以下の式で算出される。
全抵抗=L・ρ/A+k・(tfBm)/ρ
但し、L:線材長さ、A:導体断面積、k:比例定数、t:導体厚さ、f:周波数、Bm:磁束密度、ρ:体積抵抗率。
なお、kは、実際に実験によって得られた抵抗から算出すればよい。また、線材を複数層積層して形成する場合にも、各層の直流抵抗および渦電流損失をそれぞれ算出し、得られた結果から導線全体の抵抗値を算出することができる。
得られた抵抗値は、周波数によって変化する。本発明では、電気自動車のモータとして利用される0〜2000Hzの範囲について注目した。0〜2000Hzの範囲の抵抗の指標として、図3に示すように、前述した各周波数に対する導線全体の抵抗の曲線を0〜2000Hzの範囲で積分して、当該範囲の抵抗総和とした。この抵抗総和をそれぞれの条件ごとに算出し、比較評価した。なお、図3において、Rは直流抵抗部分、Sは渦流損失による抵抗である。
結果を図4〜図5に示す。なお、線材の総厚はすべて4mm厚とし、幅は1mmとした。また、線材の長さは8mとした。なお、銅またはアルミニウムがそれぞれ複数層ある場合には、それぞれの金属の各層は厚みを均等に分割した。横軸(Al厚/素線厚み)は、線材全体の厚みに対するアルミニウム層の総厚みが占める割合である。また、縦軸は、平均抵抗として、抵抗総和を2000Hzで除したものである。
図4(a)は、2層構造の線材の計算結果である。なお、以下の図において、Xは、アルミニウムの厚みを変化させた場合の抵抗変化曲線であり、Yは、全てを銅で構成した場合の抵抗である。すなわち、図4(a)では、銅を2層で構成した場合の抵抗である。なお、各層間は絶縁層が形成されているとする。
図4(a)に示すように、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。これは、前述したように、渦流損失の低減による抵抗値の低下幅が、直流抵抗の増加分よりも大きくなる領域である。2層の場合には、アルミニウム層が全厚の37〜82%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図4(b)は、3層構造の線材の計算結果である。3層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。なお、図中Xは、アルミニウムを1層とし、銅を2層とした場合であるのに対し、図中Xaは、アルミニウムを2層とし、銅を1層とした場合のものである。図より明らかなように、抵抗の低減効果はXaの方が大きいが、効果の得られる厚み範囲はXの方が広い。したがって、3層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の25〜59%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図4(c)は、4層構造の線材の計算結果である。4層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。なお、図中Xは、アルミニウムを1層とし、銅を3層とした場合であり、図中Xaは、アルミニウムを2層とし、銅を2層とした場合のものであり、図中Xbは、アルミニウムを3層とし、銅を1層とした場合のものである。図より明らかなように、抵抗の低減効果はXa、Xbの方が大きいが、効果の得られる厚み範囲はXの方が広い。したがって、4層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の19〜45%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図4(d)は、5層構造の線材の計算結果である。5層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。なお、アルミニウムの層数と銅の層数の組み合わせについて計算した結果、効果の得られる厚み範囲が最も広いのは、アルミニウムが1層の場合であったため、以下の図においては、アルミニウムを1層とした場合(X)についてのみ示す。図4(d)に示すように、5層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の13〜35%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図5(a)は、6層構造の線材の計算結果である。6層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。図5(a)に示すように、6層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の13〜29%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図5(b)は、7層構造の線材の計算結果である。7層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。図5(b)に示すように、7層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の12〜24%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図5(c)は、8層構造の線材の計算結果である。8層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。図5(c)に示すように、8層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の12〜19%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
図5(d)は、9層構造の線材の計算結果である。9層の場合も同様に、銅のみで構成した線材よりも、所定範囲のアルミニウム層が形成された場合の方が、抵抗平均が小さくなる領域がある。図5(d)に示すように、9層の場合には、アルミニウム層が1層の場合であって、全厚の12〜15%の範囲で、抵抗低減の効果を得ることができた。
なお、上記の条件においては、10層以上では、アルミニウム層を形成することによる抵抗の低減効果を得ることができなかった。これは、10層以上では、各層の厚みが十分に薄くなるため、銅のみであっても、渦流損失の影響が小さくなるためである。
以上のように、層数によって、アルミニウムの占める望ましい厚さ割合が異なる。しかし、アルミニウムを適切な厚み範囲で積層させることで、同一厚さ同一層数で銅のみを積層した場合と比較して、抵抗総和を小さくすることができる。したがって、単に軽量化やコストダウンのために、銅をアルミニウムに置き換える場合には、電気抵抗の悪化は避けられないが、本発明のように、適正な範囲でアルミニウムを積層させることで、軽量化やコスト低減とともに、抵抗低減の効果をも得ることができる。
なお、このような効果は、ほぼ矩形断面の素線を積層させた線材に対して得られるものであり、例えば円形の同軸複数層線材に対しては、渦流損失低減の効果を得ることができないため、そのまま適用することはできない。
このように、条件ごとに必要な周波数範囲の抵抗総和(平均抵抗)を算出し、アルミニウムの占める厚さ割合と抵抗総和との関係を算出し、これを、すべて銅を用いて同数積層させた場合の抵抗総和と比較することで、適切なアルミニウムの厚さ割合を算出することができる。すなわち、すべて銅を積層させた場合よりも抵抗総和が低くなるアルミニウム厚さ割合範囲を、その条件(総厚や層数など)における適切なアルミニウムの積層条件とすることができる。したがって、このようなアルミニウム厚さ割合となるように、アルミニウムと銅とを積層させることで、軽量であり、コストも低減可能であり、抵抗増大の影響も小さいコイル用線材を得ることができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………線材
3a、3b………素線
5………絶縁被覆
7………介在層
10………コイル
11………巻線
13………コイルコア

Claims (16)

  1. コイル用の線材であって、
    第1の素線と、前記第1の素線の導電率とは異なる導電率を有する材質からなる第2の素線と、を具備し、
    前記第1の素線は、銅または銅合金であり、前記第2の素線はアルミニウムまたはアル ミニウム合金であり
    前記第1の素線と、前記第2の素線は略同一幅の、略矩形断面形状であり、
    前記第1の素線と前記第2の素線とが積層されて構成され
    前記第1の素線と前記第2の素線の間には、前記第1の素線および前記第2の素線より も低導電率の介在層が形成され、
    積層された各層の最外層には前記第1の素線が配置されることを特徴とするコイル用線材。
  2. コイル用の線材であって、
    第1の素線と、前記第1の素線の導電率とは異なる導電率を有する材質からなる第2の 素線と、を具備し、
    前記第1の素線は、銅または銅合金であり、前記第2の素線はアルミニウムまたはアル ミニウム合金であり、
    前記第1の素線と、前記第2の素線は略同一幅の、略矩形断面形状であり、
    前記第1の素線と前記第2の素線とが積層されて構成され、
    前記第1の素線と前記第2の素線の間には、介在層が形成され、
    前記介在層はアルマイト層であり、
    前記第1の素線同士が隣り合うように積層されず、前記第1の素線は前記第2の素線と隣り合うように積層されることを特徴とするコイル用線材。
  3. 前記介在層はアルマイト層であることを特徴とする請求項記載のコイル用線材。
  4. 前記介在層が、エナメルであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコイル用線材。
  5. 前記介在層が、接着剤であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコイル用線材。
  6. 前記介在層が、酸化被膜であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコイル用線材。
  7. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が2であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の37%〜82%であることを特徴とする請求項記載のコイル用線材。
  8. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が3あり、前記第2の素線の厚みが、全厚の25%〜59%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  9. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が4であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の19%〜45%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  10. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が5であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の13%〜35%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  11. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が6であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の13%〜29%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  12. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が7であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜24%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  13. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が8であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜19%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  14. 前記第1の素線と前記第2の素線の全層数が9であり、前記第2の素線の厚みが、全厚の12%〜15%であることを特徴とする請求項から請求項のいずれかに記載のコイル用線材。
  15. コイル構造であって、
    コイルコアと、
    前記コイルコアに巻き付けられた巻き線と、
    を具備し、
    前記巻き線は、銅または銅合金からなる第1の素線と、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第2の素線とが積層されて構成され、
    前記第1の素線と前記第2の素線は略同一幅の略矩形断面形状であり、
    前記第2の素線の表面にはアルマイト層が形成され、前記第1の素線と前記第2の素線とは、前記アルマイト層を介して積層され
    積層された各層の最外層には前記第1の素線が配置されることを特徴とするコイル構造。
  16. コイル構造であって、
    コイルコアと、
    前記コイルコアに巻き付けられた巻き線と、
    を具備し、
    前記巻き線は、銅または銅合金からなる第1の素線と、アルミニウムまたはアルミニウ ム合金からなる第2の素線とが積層されて構成され、
    前記第1の素線と前記第2の素線は略同一幅の略矩形断面形状であり、
    前記第2の素線の表面にはアルマイト層が形成され、前記第1の素線と前記第2の素線 とは、前記アルマイト層を介して積層され、
    前記第1の素線同士が隣り合うように積層されず、前記第1の素線は前記第2の素線と 隣り合うように積層されることを特徴とするコイル構造。
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