JP2023150488A - コイル部品、回路基板、電子機器およびコイル部品の製造方法 - Google Patents

コイル部品、回路基板、電子機器およびコイル部品の製造方法 Download PDF

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Shinya Akiyama
伸之 宮宗
Nobuyuki Miyamune
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Abstract

【課題】コイルの変形を防止しながらコイルの特性向上を図る。【解決手段】一態様に係るコイル部品は、複数層に積層された各層の導体パターンの重なりが積層方向から見て丁度1周して周回路を構成するように、当該複数層の導体パターンが螺旋状に繋がるように接続されており、当該複数層の導体パターンには他の層の当該導体パターンよりも短い短パターンを含む螺旋導体と、上記螺旋導体の両端に対してそれぞれ接続され、積層方向から見て上記周回路よりそれぞれ引き出された1対の引き出し線と、磁性材料が複数層に積層されて成り、上記螺旋導体を内包する磁性基体と、上記磁性基体の外面に設けられ、上記一対の引き出し線がそれぞれ接続された一対の外部電極と、上記短パターンの層に設けられ、当該短パターンの一端から、当該短パターンの層に隣り合う層の導体パターンに沿って並列に延び、延びた端部が当該隣り合う層の当該導体パターンに繋がるように接続された並列パターンと、を備える。【選択図】 図4

Description

本発明は、コイル部品、回路基板、電子機器およびコイル部品の製造方法に関する。
従来、磁性材料から成る磁性基体と、当該磁性基体の表面に設けられた外部電極と、当該磁性基体内においてコイル軸の周りを螺旋状に周回するコイル導体とを備えるコイル部品が知られている。
コイル部品の一つの例としてインダクタが挙げられる。インダクタは、電子回路において用いられる受動素子である。インダクタは、例えば、電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。
インダクタの一例として積層インダクタが知られている。積層インダクタは、例えば孔加工された磁性シート上にスクリーン印刷で導体パターンが形成され、そのシートが順次積層されて導体パターンが直列接続されることでコイルが形成されて成る。積層インダクタでは、インダクタとして所定の特性が得られるように効率的にコイル導体が形成される必要がある。また、積層インダクタでは、成形時の圧力で変形しないように導体パターンが配置される必要がある。
例えば、特許文献1には、コイル導体及びビアホール導体が接続されることにより二重螺旋状をなすようにコイルを構成することでコイルの直流抵抗を低減する技術が提案されている。
特開2011-187535号公報
積層インダクタにおいては、必要なインダクタンスと直流抵抗値を得るためのコイル導体の巻き数と、外部電極にコイル導体を接続する引き出し線の位置とが決まっている。また、積層方向から見て1層内では1周未満の巻き量を有した導体パターン(例えば1/2巻、3/4巻、5/6巻など)が用いられ、積層インダクタは、1層内における巻き量の多い方が特性は高い。
積層方向から見て1層内のコイルの巻き量が1周を超える場合、即ち、平面スパイラルコイルの形状となるように1周を超えて導体が周回して巻かれている場合、1層内で重なって周回している導体同士間の短絡の問題を解決する必要があり、またコイル導体に囲まれたコア部分の積層方向から見た面積が減少してしまうことから、必要なインダクタンス値が得られにくい。このため通常は、1層内のコイルの巻き量は1周未満に設定される。
積層インダクタにおいて、1層内における積層方向から見た巻き量の製造限界である最大巻き量の導体パターンが用いられると、積層されたシートのいずれかで導体パターンの巻き量が最大巻き量未満となることがある。最大巻き量未満の導体パターンが生じた場合、導体パターンがある部分と導体パターンがない磁性体部分とが均等に存在しないことになり、成形時における導体と磁性体の収縮差違によってコイルの変形が生じ、特性と品質が悪化する。
このため従来は、1層内における導体パターンの積層方向から見た巻き量として、最大巻き量よりも少ない巻き量が用いられていた。
この時、当該少ない巻き量として所望の巻き数に応じて、端数が出ない様に当該少ない巻き量を都度設定し、各層で巻き量が均等になるように調整される場合と、1種類の巻き量を定め、所望の巻き数に対して端数が出たときに引き出し側の導体パターンで調整する場合との2通りある。
しかしながらどちらの場合も、コイル周回部分内に含まれる、インダクタンスに寄与しにくいパターン隙間の長さが最大巻き量の場合よりも長くなるため、インダクタンスの低下を生じる。最大巻き量が用いられた時に比べて、少ない巻き量が用いられた時の方が、積層数が多い設計となる場合があり、コイル部品の高さは限られているために、積層1層あたりの厚み減少の必要が生じ、絶縁性能が劣化してしまう。
また、前者の場合、複数のインダクタンス値の異なるコイル部品毎に、各層の巻き量が異なる設計の導体パターンが必要となり、製造工程が複雑になってしまう。
また、後者の場合、端数部の導体パターンの存在により導体と磁性体が均等に存在しないことになり、成形時における導体と磁性体の収縮差違によって、上下層の導体パターンの接触によるショート不良や、コイルの変形によるインダクタンスの低下、積層成形体からインダクタを切り出す際の歩留まり悪化が生じ、特性と品質が悪化する。
後者を改善するために、従来は、引き出し部パターンが対称になるように電流の流れない位置まで不要な導体(非通電導体部)が延長されて設けられることで導体パターンの対称性が確保される設計も行われている。この場合は特性に寄与しない導体が増えることにより、磁性材料からなる基体の特性が効率的に使用されないという問題があった。
そこで、本発明は、コイルの変形を防止しながらコイルの特性向上を図ることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコイル部品は、複数層に積層された各層の導体パターンの重なりが積層方向から見て丁度1周して周回路を構成するように、当該複数層の導体パターンが螺旋状に繋がるように接続されており、当該複数層の導体パターンには他の層の当該導体パターンよりも短い短パターンを含む螺旋導体と、上記螺旋導体の両端に対してそれぞれ接続され、積層方向から見て上記周回路よりそれぞれ引き出された1対の引き出し線と、磁性材料が複数層に積層されて成り、上記螺旋導体を内包する磁性基体と、上記磁性基体の外面に設けられ、上記一対の引き出し線がそれぞれ接続された一対の外部電極と、上記短パターンの層に設けられ、当該短パターンの一端から、当該短パターンの層に隣り合う層の導体パターンに沿って並列に延び、延びた端部が当該隣り合う層の当該導体パターンに繋がるように接続された並列パターンと、を備える。
本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記短パターンは、上記複数層のうち中途の層に位置する。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記螺旋導体と上記並列パターンとを合わせた導体構造は、上記1対の引き出し線が入れ替わる方向での当該コイル部品の反転に対して対称な構造である。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記螺旋導体を構成する導体パターンのうち上記短パターンを除いた他の導体パターンは、層内で1周の90%以上に達する長さに延びている。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、積層方向から見て、上記周回路に投影される各層の上記導体パターンの接続部の位置間の上記周回路に沿った間隔を単位として、上記周回路の1周の長さを分母に、上記導体パターンの長さを分子とした分数で表される量を巻き量とするとき、上記螺旋導体を構成する上記導体パターンのうち上記短パターンを除いた他の導体パターンの巻き量と、上記短パターンおよび上記並列パターンを合わせたパターンの巻き量は等しい。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記螺旋導体を構成する上記導体パターンは、直径Rのビアによって互いに接続され、上記周回路の長さLを、上記導体パターンの幅PHと上記ビアの直径Rとの和で割った商以下の最大整数値nを用いると、上記短パターンを除いた他の上記導体パターンは、上記周回路の(n-1)/nの部分で構成されている。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記螺旋導体を構成する導体パターンは、積層方向の厚みが積層方向の相互間隔よりも大きい。
また、本発明の一態様に係るコイル部品によれば、上記導体パターンが延びた両端間の隙間は、少なくとも互いに隣り合う層同士では、積層方向に見て重なりを有さない。
また、本発明の一態様に係る回路基板は、上記いずれかのコイル部品と、上記コイル部品が実装された基板と、を備える。
また、本発明の一態様に係る電子機器は、上記回路基板を備える。
また、本発明の一態様に係るコイル部品の製造方法は、上記コイル部品を製造する製造方法であって、上記螺旋導体を構成する導体パターンおよび上記並列パターンを含んだ複数層と、上記磁性基体を構成する磁性材料の複数層とを積層する工程と、積層された複数層を圧着して積層体を形成する工程と、を有する。
本発明によれば、コイルの変形を防止しながらコイルの特性向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るコイル部品を示す斜視図である。 図1に示すコイル部品の断面図である。 導体の螺旋構造を示す概念図である。 コイル部品が有する導体の詳細構造を示す図である。 最大巻き量に相応したビア位置を示す図である。 ビアのランド形状を示す図である。 コイル部品の第1比較例が有する導体の構造を示す図である。 コイル部品の第2比較例が有する導体の構造を示す図である。 圧力の偏りが生じる状況を示す模式的な斜視図である。 圧力の偏りが生じる状況を示す模式的な断面図である。 圧力が分散された状況を示す模式的な斜視図である。 圧力が分散された状況を示す模式的な断面図である。 第2比較例に対する変形例における導体の構造を示す図である。 本発明の第2実施形態と比較される比較例を示す図である。 本発明の第2実施形態を示す図である。 本発明の第3実施形態を示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などを異ならせることがある。先に説明した図面に示された構成要素については、後の図面の説明で適宜に参照する場合がある。
<コイル部品の基本構造>
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品を示す斜視図である。図2は、図1に示すコイル部品の断面図である。図2(A)には、図1に示すA-A線に沿った断面が示され、図2(B)には図1に示すB-B線に沿った断面が示されている。
コイル部品1は、基板2aに実装されている。基板2aには、例えば2つのランド部3が設けられている。コイル部品1は、基体11と外部電極12とを有し、各外部電極12とランド部3とがはんだで接合されることでコイル部品1は基板2aに実装される。本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装された基板2aと、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に備えられる。回路基板2を備えた電子機器としては、自動車の電装品、サーバ、ボードコンピュータおよびこれら以外の様々な電子機器が想定される。
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトルこれら以外の様々なコイル部品であってもよい。コイル部品1は、カップルドインダクタ、チョークコイルおよびこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品であってもよい。コイル部品1は、例えば、DC/DCコンバータに用いられるインダクタであってもよい。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものには限定されない。
本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、方向の説明は、図1の「L軸」方向、「W軸」方向および「H軸」方向を基準に用い、それぞれ、「長さ」方向、「幅」方向および「高さ」方向と称する。「高さ」方向については「厚さ」方向と呼ぶ場合もある。
コイル部品1は、直方体形状の外形を有する。即ちコイル部品1は、長さ方向の両端に第1の端面1aおよび第2の端面1bを有し、高さ方向の両端に第1の主面1c(上面1c)および第2の主面1d(底面1d)を有し、幅方向の両端に前面1eおよび後面1fを有する。
コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、前面1eおよび後面1fはいずれも、平坦な平面であってもよいし湾曲した湾曲面であってもよい。また、コイル部品1の8つの角部および12の稜線部は、丸みを有していてもよい。
本明細書においては、コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、前面1eおよび後面1fの一部が湾曲している場合や、コイル部品1の角部や稜線部が丸みを有している場合にも、かかる形状を「直方体形状」と称することがある。つまり、本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」を意味するものではない。
本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、基体11の内部に導体14を有し、積層により基体11と導体14が一体で形成される。導体14は、両端が各外部電極12に接続される。なお、図2(B)には、積層による形成の概念を示すために層構造が示されているが、実際のコイル部品1では、各層が圧着されて一体化されるため明瞭な境界は存在しない場合もある。
基体11は、1以上の金属磁性粒子およびバインダー樹脂を含む複合磁性材料から作成される。基体11は、1以上の金属磁性粒子を含み、各金属磁性粒子の表面の酸化膜によって、各々の金属磁性粒子どうしが接合して作成されていてもよい。金属磁性粒子としては、FeまたはNiを主成分とする、FeSiCr、FeSiAl、FeSiCrB、Fe―Ni、Feなどが用いられ得る。あるいは、金属磁性粒子としてこれらの組み合わせが用いられてもよいし、金属磁性粒子は、例えば、Si、Biなどを含んでもよい。
金属磁性粒子の形状は特に限定されないが、球形または球形に近く、粒子の大きさとしては平均粒子径で1~20μmであるものが好ましい。金属磁性粒子は、絶縁処理が施されたものでもよい。
バインダー樹脂は、複数の金属磁性粒子同士を結着させる。バインダー樹脂は、例えば、絶縁性に優れた熱硬化性樹脂である。基体11の材料は、本明細書で明示されるものに限られず、基体の材料として公知の任意の材料が用いられ得る。
導体14は、導電性に優れた金属材料から成る。導体14用の金属材料としては、例えば、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、もしくはAg(銀)のうちの1以上の金属、又はこれらの金属のいずれかを含む合金が用いられ得る。導体14は金属材料の一部として酸化物を含んでもよい。
外部電極12は、導体14と同様に、導電性に優れた金属材料から成る。外部電極12用の金属材料としては、導体14用の金属材料と同じ金属材料が用いられ得る。外部電極12は、表面にNi、Snの層がめっきなどにより重ねて設けられていてもよい。
コイル部品1の積層による形成では、上述した複合磁性材料からなる磁性シート111が複数用意され、磁性シート111の表面に、導体14を形成するための平面状の導体パターン141が例えば印刷などで作成される。導体パターン141の形成には、めっきや、蒸着、ペーストの転写など印刷以外の手法が用いられてもよい。
導体パターン141の層厚は、導体パターン141同士の間隔(即ち磁性シート111の層厚)よりも厚い方が好ましい。導体パターン141の層厚が層間隔よりも厚いことにより、成形時における導体と磁性体の収縮差違の影響が抑制されるからである。
また、各導体パターン141を接続するビア142の形成のため、磁性シート111には穴が開けられ、その穴に導体材料が充填される。ビア142は、例えば印刷、充填によって作られる。ビア142の印刷は導体パターン141の印刷と同時に行われてもよく個別に行われてもよい。ビア142の形成にも、めっきや、蒸着、ペーストの転写など印刷以外の手法が用いられてもよい。
その後、導体パターン141やビア142が施された磁性シート111と、基体11の最上層部分や最下層部分となる磁性シート111とが重ねられ、圧着されて積層体が得られる。そして、得られた積層体が個片化され、熱処理が行われて、導体14を内蔵した基体11が得られる。積層体の熱処理では、600~850℃の熱処理で樹脂を熱分解で除去するとともに金属磁性粒子を酸化させてもよい。
その後、導体14の両端に外部電極12がつながるように形成される。外部電極12はどのような形成方法であってもよいが、例えば、印刷やペーストのディップ、ペーストの転写、スパッタや蒸着などの方法が用いられ得る。外部電極12の形状はどのような形状であっても良い。
<導体の詳細構造>
導体14は、各層の導体パターン141が螺旋状に繋がるように接続された螺旋構造を有し、螺旋導体を構成する導体パターンのうち、他の層の導体パターンよりも短い短パターンと、当該短パターンの一端から、当該短パターンの層に隣り合う層の導体パターンに沿って並列に延び、延びた端部が当該隣り合う層の当該導体パターンに繋がるように接続された並列パターンとを有する。
図3は、積層方向から見た導体14の螺旋構造を示す概念図である。ここで、積層方向から各導体パターンの形状を重ねて見た形状を、以下では周回路と称する。また、周回路を構成する各導体パターンの一端から他端にかけて、導体パターンの幅の1/2の部分を通る線分の長さを導体パターンの長さと呼び、周回路を構成する各層の導体パターンの長さを表す線分が互いに重なった線(即ち周回路を1周した線)の長さを、以下では周回路の長さと呼ぶ。
図3の一番左側の図は、導体14の周回路143とビア位置144を示す図である。図3では各層の導体パターン141どうしの接続は、ビア142が用いられて行われている。積層方向から見た周回路143に各層の接続のためのビア142の位置を投影したものが、接続位置であるビア位置144である。各層の導体パターン141の接続には、必ずしもビアが用いられなくても良い。その場合であっても周回路143に投影された接続位置は、ビアで接続した場合のビア位置144と同様である。以下では、接続の代表例であるビア接続の場合を例として本発明を説明する。ビア接続以外の場合、ビアを接続部と読み替えることで本発明は説明される。例えばビア142、ビア位置144を、それぞれ接続部142、接続部位置144と読み替えることができる。以下、図4、図7、図8、図13、図14、図15、図16の各図を説明する際も、同様に一番左側の図は、導体の周回路とビア位置を示す図として説明を行う。
導体14は、例えば楕円形状の周回路143に沿って延びた導体パターン141を有する。図3では楕円形状の周回路143が例示されているが、周回路143の形状は他の形状、例えば長方形であってもよい。
ビア142は周回路143上に等間隔に設定されたビア位置144のいずれかに設けられる。図3では、一例として、ビア位置144は周回路143を8等分する各位置となっているが、ビア位置144としては、例えば、4等分、6等分、10等分の位置であってもよい。ビア位置の間隔(以下、ビア間隔と称する。)は、必ずしも偶数等分には限られない。
コイル部品の構造が対称であれば、コイル部品の実装時に、実装方向に依存する特性変化が起こりにくくなり望ましい。このため、ビア間隔が等分の位置であると、コイル部品の構造の対称性が向上して望ましい。また、ビア間隔が偶数等分であると、コイル部品の構造の対称性がより向上するのでさらに望ましい。
各層の導体パターン141は、上側の層に接続されるビア位置144と下側の層に接続されるビア位置144との間に形成されており、ビア位置144の1間隔分だけ1周に満たない形状を有する。導体パターン141の層のうちで最上層は、一端が下層の導体パターン141に接続されるビア位置144と、外部電極12に接続される引き出し部145aに他端が接続されるビア位置144との間に形成されており、ビア位置144の1間隔分だけ1周に満たない形状を有する。また、導体パターン141の層のうちで最下層は、一端が上層の導体パターン141に接続されるビア位置144と、外部電極12に接続される引き出し部146aに他端が接続されるビア位置144との間に形成されており、ビア位置144の1間隔分だけ1周に満たない形状を有する。例えば図3では、8箇所のビア位置144によって周回路143が8等分された各ビア間隔のうち7つ分のビア間隔を含むパターンとなっており、およそ7/8周の形状となっている。各層の導体パターン141でビア142が形成されるビア位置144は、ビア位置144の1間隔分ずつずれているため、積層方向から見て互いに重なり合った導体パターン141は、一点鎖線の矢印で図示されるように螺旋状に繋がるように接続される。
1層の導体パターン141における1周に満たない周回量のことを、以下では導体パターン141の「巻き量」と称する。巻き量は、周回路143の1周の長さに対する導体パターン141の相対的な長さを表している。相対的な長さとは、1つ分のビア間隔を1としたときに幾つのビア間隔を含むかの数値を示す。巻き量とはこの場合、分子に導体パターン141が含むビア間隔の数、分母に周回路1周分が含むビア間隔の数、それぞれを有した分数で表される数値となる。即ち、図3には巻き量が7/8の導体パターン141が示されている。
同様にこのとき、1層分の周回路において、導体パターン141がない部分をパターン隙間と称し、周回路143の1周の長さに対するパターン隙間の相対的な長さのことを、以下ではパターン隙間の「隙間量」と称する。「隙間量」の相対的な長さは、パターン隙間が形成された部分に接する導体パターン141の両端にあるビア位置とビア位置の間隔と定義する。即ち、図3には隙間量が1/8のパターン隙間が示されている。周回路は必ず1周しているから、各層においては「巻き量」と「隙間量」の合計値は必ず1になる。
他の条件が同一であれば、巻き量が多い導体パターン141で導体14を形成した方が、コイル部品1におけるインダクタンス特性や絶縁特性が向上でき望ましい。即ち、巻き量が多いということは、隙間量は逆に少なくなり、コイル導体に囲まれたコア部分からパターン隙間を通って漏れる磁束が少なくなるため、インダクタンス特性の向上が可能であるからである。
また、巻き量が多いということは、コイル導体の螺旋がきつく巻かれた状態とすることができ、これは積層数を必要最小限とし、層間の間隔を最大限とすることができ、絶縁特性が向上することになるからである。さらに、積層数を最小限に減らすことは、生産工程上の工数削減のメリットにもなる。
製造上の限界となる巻き量のことを以下では「最大巻き量」と称する。「最大巻き量」は導体パターンの周回路の形とその長さ、およびビア部の大きさに関連する量であり、詳細は後述する。
さらに、導体14の詳細構造について図4を用いて説明する。なお、説明の便宜上、以下では図4にあるような長方形状の周回路を例として説明するが、周回路の形は、これに限定されるものではない。
図4は、コイル部品1が有する導体14の詳細構造を示す図である。
図4には、積層される各層の導体パターン141が積層の順に並べて示されている。例えば図4の左側が上方で、右側が下方である。コイル部品1は導体パターン141を内蔵する層の上下に、導体パターン141を内蔵しないカバー層を有するが、図では省略してある。以下、図7、図8、図13、図14、図15、図16も同様である。
図4には、長方形の周回路143が示され、ビア位置144として周回路143を12等分するビア位置144が示されている。従って、各層の導体パターン141は巻き量が11/12である。周回路143は何等分されていてもよい。周回路143は設計上の最大数に等分されていることが好ましく、この場合、各層の導体パターン141は最大巻き量となる。ここでは、図4における最大巻き量が11/12であるものとして説明する。つまり、図4に示す例では、各層の導体パターン141は最大巻き量を有している。
導体パターン141の層のうちで最上層は、一端が導体パターン141に接続され、他端が外部電極12に接続される引き出し部145aを有した上部引出層145となっている。また、導体パターン141の層のうちで最下層は、一端が導体パターン141に接続され、他端が外部電極12に接続される引き出し部146aを有した下部引出層146となっている。上部引出層145および下部引出層146については、引き出し部145a、146aを除いた部分の導体パターン141で巻き量が決まる。
上部引出層145と下部引出層146との間には、巻き量が11/12と同一で、ビア142の形成位置がビア位置144の1間隔分ずつずれる周回層147が、「A」~「H」の合計8層に亘って設けられている。各層の導体パターン141におけるパターン隙間141cは隙間量1/12と同一で順次にずれて配置されているため、互いに隣り合う層の間ではパターン隙間141cが重ならない。
上部引出層145と8層の周回層147の導体パターン141は、各ビア142を介して螺旋状に直列に接続されている。さらに、8層目の周回層147である「H」の周回層147のビア142から下部引出層146における短パターン部141aへと接続されている。この結果、上部引出層145の引き出し部145aと導体パターン141間の接続部から下部引出層146の引き出し部146aと短パターン部141a間の接続部に至る螺旋構造が形成されている。
ここで、コイル部品1に求められるインダクタンス特性を満たす螺旋構造の巻き数は例えば8巻であるものとする。更に、引き出し部145a、146aの配置に対応するため、螺旋構造の巻き数には約1/2巻の追加が求められる。図4の例では、螺旋構造の巻き数が「8+4/12」巻となっている。
下部引出層146には、短パターン部141aに接続される追加パターン部148が設けられている。追加パターン部148も周回路143に沿って延びているので、追加パターン部148は他の層の導体パターン141に沿って延びている。短パターン部141aの一方は引き出し部146aに接続されているから、追加パターン部148は短パターン部141aの、引き出し部146aと接続されている側とは反対の側から周回路143に沿って延びている。短パターン部141aと追加パターン部148とを合わせた巻き量が「11/12」となって他の層の導体パターンの巻き量と同一になっている。また、短パターン部141aと追加パターン部148とを合わせたパターンの隙間量は、各層の導体パターン141におけるパターン隙間141cの隙間量1/12と同一となっている。
追加パターン部148の一端は短パターン部141aに接続され、追加パターン部148の他端は、追加ビア142aを介して、「H」の周回層147の導体パターン141に接続されている。つまり、追加ビア142aは、導体パターン141の両端部ではなく、導体パターン141の中間部に設けられており、追加パターン部148は、「H」の周回層147における導体パターン141の一部、即ち導体パターン141の追加ビア142aからビア142までの区間141bと並列に接続されている。
図4に示す導体14の構造では、各層の導体パターン141が同じ巻き量を有しているため、積層後の圧着に際して圧力が全体に分散されて螺旋構造の歪などが抑制される。なお、追加パターン部148の長さは、各層の導体パターン141が同じ巻き量となる長さが望ましいが、この長さには限定されない。追加パターン部148の長さが他の長さであっても、追加パターン部148が存在しない場合に較べると、追加パターン部148が存在している場合には、圧着時の圧力を分散する作用を生じるからである。
また、少なくとも隣り合う層同士ではパターン隙間141cが重ならない導体パターン141の配置も、圧着時における圧力分散に寄与する。更に、1層当たりの巻き量が「9/10」以上であることにより、パターン隙間141cが十分に狭く、圧力分散により寄与する。
図4に示す導体14の構造では、導体パターン141が最大巻き量を有しているので、導体パターン141に対するパターン隙間が小さい。このため、最大巻き量を有していない場合と比べて圧着時の圧力に対する安定性が高く、コイル部品1の特性も向上する。また、導体パターン141の一部の区間141bと並列に接続された追加パターン部148を有する分だけ導体14の直流抵抗が下がるためコイル部品1は特性が向上する。
ここで、最大巻き量の算出方法について説明する。
図5は、最大巻き量に相応したビア位置を示す図であり、図6は、ビアのランド形状を示す図である。図5に示す各ビア位置144には、図6に示すランド形状のビア142が等間隔に配置される。図5に示すビア位置144の数は、最大巻き量の概念を示すための例示であって、実際のビア位置144の数は、図5に示す数に限定されない。
1層内の最大巻き量Aは、下記の式(1)、式(2)、式(3)により求められる。
A=(n-1)/n (nはビア位置の最大数) ……(1)
n=(周回路の長さL)÷(パターン隙間の長さm+ビアの孔径R+マージンk)
……(2)
R≧2×√(コイル導体の断面積S÷π) ……(3)
式(3)は、円形のビア142の面積が、導体パターン141における、延伸方向に垂直な断面の面積Sに等しいか大きいことを表している。これによりビア142の部分で直流抵抗が劣化することが避けられる。コイル導体の周回方向に垂直な面の断面積Sが適切な値となるように導体パターン幅PHと導体パターン厚みは選択される。
マージンkは、ビア孔が導体パターン端部よりはみ出して形成されない様に、製造工程上必要とされる周回路の方向に設けられるマージンであり、一般的には30μm以上の所定値である。マージンkHは、ビア孔が導体パターン幅PHよりはみ出して形成されない様に製造工程上必要とされる導体パターン141の幅方向に設けられるマージンであり、一般的には30μm以上の所定値である。マージンkとマージンkHを等しく置くことで、図6に示す円形状のランド形状とすることができる。ランド形状は楕円形であっても、矩形やその他の形状とすることも出来る。導体パターン幅PHに対するランドの幅RHは任意であるが、通常は等しい、もしくは、大きく設計される。図6は導体パターン幅PHに対するランドの幅RHが大きい例である。
周回路143の周回長さLは導体パターンの幅PHの1/2の部分を通る線の長さであり、周回路143が楕円の例では導体パターンの幅PHの1/2の部分を通る楕円の周長として求められる。その楕円の短径および長径は、コイル導体に囲まれたコアにおける短径raおよび長径rbそれぞれに、周回路143の幅の1/2を足したものである。導体パターン幅PHに対するランドの幅RHが等しい場合、周回長さLを表す楕円の短径および長径は、コイル導体に囲まれたコアにおける短径raおよび長径rbそれぞれにランドの幅RHの1/2を足したものとなる。
パターン隙間の長さmは、m≧Rであり、かつ、等間隔のビア位置144となる最小値である。従って、式(2)にm=Rを代入して得られるnの値(小数)以下の最大の整数値が、求めるnの値である。このnの値が式(1)に代入されることにより、最大巻き量Aが算出される。
コイル部品1の特性向上のためには、導体パターン141の巻き量が、上記の式(1)、式(2)、式(3)により求められる最大巻き量Aであることが望ましい。また隙間量は、なるべく小さい方が望ましく、パターン隙間の長さは短い方が望ましい。
パターン導体が構成する周回路は、通常、インダクタンス値が大きくなるように設定されるため、コイル部品の外形の比率が長辺:短辺=2:1である一般的なコイル部品において、内部に内包される導体パターンが構成する周回路はコイル部品の外面との間隔を考えると長い側の寸法と短い側の寸法の比は2を超える値となる。周回路が矩形の場合、長い側の寸法と短い側の寸法は、それぞれ長辺の寸法と短辺の寸法になる。周回路が楕円状の場合、長い側の寸法と短い側の寸法はそれぞれ長軸の寸法と短軸の寸法になる。
前述のように、コイル部品の構造の対称性を考えるとビア位置は等間隔で、且つ偶数個配置されることが望ましい。
そこで、偶数個でかつ等間隔で配されたビア位置144について考える。
周回路143の短かい側の寸法よりも等間隔のビア位置144の1つ分の間隔の方が大きいと、コイル部品の一つの短かい側全てにおいて、ビア142も導体パターン141も存在しない部分が出来ることになり、導体と磁性体の収縮差違によってコイルの変形が生じやすくなるので、望ましくない。
周回路143の短かい側の寸法が等間隔のビア位置144の1つ分の間隔であれば、2つのビア位置144が短かい側に存在できるので、これによりコイルの変形を抑止できる。周回路143の長い側には、短い側より多いビア間隔が設計可能であるため、ビア位置144の最大数nは6よりも大きくなる。従って、最大巻き量Aは5/6以上となる。
周回路143の短かい側の寸法が等間隔のビア位置144の2つ分の間隔であるならば、3つのビア位置が短かい側に存在できるので、コイルの変形を大きく抑止できる。周回路143の長い側には、短い側より多いビア間隔が設計可能であるため、ビア位置の最大数nは8よりも大きくなり、最大巻き量Aは7/8以上となる。
周回路143の短辺側の寸法は等間隔のビア位置144の3つ分の間隔以上であってもよい。
前述のように、一般的なコイル部品1において、内包される導体パターン141が構成する周回路143はコイル部品1の外面との間隔を考えると長い側の寸法と短い側の寸法の比は2を超える値となる。このため、周回路143の短かい側の寸法が等間隔のビア位置144の1つ分、2つ分各々である場合のビア位置144の最大数nは8、10となる。即ち、最大巻き量Aは7/8、9/10となる。
これらの考察により、巻き量は5/6、7/8が望ましく、巻き量が9/10もしくはそれ以上であることはより望ましい。実際には導体パターン141の長さは、ビア位置間ではなく、両端のビアのランドパターンをも含むため、巻き量から計算される値よりも長くなる。言い換えるならば、導体パターン141は、層内で1周の83.3%以上、87.5%以上に達する長さに延びていることが望ましく、90%以上に達する長さに延びていることがより望ましい。
以下、本発明の一実施形態におけるコイル部品1について、比較例と対比して説明する。以下では、先に説明した実施形態の構成要素と同様の構成要素については重複説明を省略する場合がある。
図7は、コイル部品の第1比較例が有する導体の構造を示す図である。
図7の比較例におけるコイル部品1001は、上述した実施形態のコイル部品1と同様に、上部引出層145および下部引出層146と、合計で8層の周回層147とを有する。
図7の比較例でも、インダクタンス特性を満たす螺旋構造の巻き数は例えば8巻であるものとし、引き出し部145a、146aの配置に対応するため、螺旋構造の巻き数には約1/2巻の追加が求められる。
図7の比較例におけるコイル部品1001では、周回路143を6等分するビア位置144が用いられるため、螺旋構造の巻き数は「8+2/6」(=50/6)巻となっている。そして、この巻き数が合計10層に対して均等に割り当てられて、1層の巻き量は「5/6」となっている。
図7の比較例でも、各層の巻き量が均等であるため、積層後の圧着に際して圧力が全体に分散される。しかしながら、1層の巻き量は、上述した実施形態のコイル部品1における「11/12」よりも少ないため、コイル部品1001の性能は劣っている。
コイル部品に求められる螺旋構造の巻き数xが、積層される層数Nに対して均等に割り当てられる場合の1層当たりの巻き量Bは、B=x÷Nで求められる。この巻き量Bは、当然ながら上述した最大巻き量A以下に制限される。また、周回路143上で等間隔のビア位置144が用いられることの制限も加えられ、これらの制限を満たすように層数Nが調整されることになる。この結果、巻き量Bは、例外的な場合を除いて最大巻き量Aよりも小さくなり、上述した実施形態のコイル部品1における構造の方がコイル部品における特性が向上する。
図8は、コイル部品の第2比較例が有する導体の構造を示す図である。
図8の比較例におけるコイル部品1002も、上部引出層145および下部引出層146と、合計で8層の周回層147とを有し、上述した実施形態のコイル部品1と同様に、導体パターン141が最大巻き量を有している。但し、図8の比較例の場合、下部引出層146は、短パターン部141aと引き出し部146aとを備え、他の層よりも導体パターン141の巻き量が少ない。
他の層よりも導体パターン141の巻き量が少ない層が存在する場合、積層後の圧着に際して圧力の偏りが生じてコイルの歪みなどが生じる虞がある。
図9および図10は、圧力の偏りが生じる状況を示す模式図である。図9には斜視図が示され、図10には断面図が示されている。
短パターン部141aの層と、巻き量の多い導体パターン141の層とが積層されて、図9の矢印Pが示すように圧力が掛けられると、導体と磁性材料との収縮差違によって、領域R1に圧力差が集中する。その結果、図9の矢印Tが示すように、積層構造全体が斜めに傾いたり、図10に示すように、導体パターン141の歪が生じたりするので、コイル部品の性能劣化の原因となる場合がある。また、コイルに変形が生じた場合、隣り合う層同士における導体パターンの接触によるショート不良やインダクタンスの低下が生じ、また、積層体からインダクタを切り出す際の歩留まり悪化が生じる。
図11および図12は、圧力が分散された状況を示す模式図である。図11には斜視図が示され、図12には断面図が示されている。
短パターン部141aに追加パターン部148が接続されていると、巻き量が、他の層の導体パターン141における巻き量と近くなる。この結果、矢印Pが示すように圧力が掛けられても圧力は各層に分散され、積層構造や導体パターン141の歪が抑制される。
図13は、図8に示す第2比較例に対する変形例における導体の構造を示す図である。
図13の変形例では、下部引出層146が、短パターン部141aと引き出し部146aとを備えるとともに追加パターン部1408も備える。この結果、下部引出層146における巻き量と、他の層の導体パターン141における巻き量とが同等で、積層後の圧着に際して圧力が全体に分散され、積層後の圧着によるコイルの歪などは抑制される。
しかしながら、図13の変形例における追加パターン部1408は、一端が短パターン部141aに接続されるのみで電流が流れないためコイル部品1002の特性に寄与しない。つまり、図13の変形例では、コイル部品1002の特性に寄与しない導体パターンが増えることにより、材料の効率的な使用が妨げられ、コイル部品1002の特性も向上しない。
このように、いずれの比較例と比較した場合でも、上述した実施形態のコイル部品1は優れている。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図14は、本発明の第2実施形態と比較される比較例を示す図である。図15は、本発明の第2実施形態を示す図である。
図14の比較例のコイル部品1003では、周回路143を8等分するビア位置144が用いられ、螺旋構造全体の巻き数が「5+2/8」(=42/8)巻となっている。また、図14の比較例では、引き出し部145aを有する上部引出層145と、引き出し部146aを有する下部引出層146と、合計で4層の周回層147とが積層される。そして、「42/8」巻が6層に対して均等に割り当てられて、1層当たりの巻き量が「7/8」となっている。
この比較例に対して図15に示す第2実施形態のコイル部品100では、周回路143を10等分するビア位置144が用いられ、1層当たりの巻き量は「9/10」と多い。即ち、導体パターン141は1層内で1周の90%以上に達する長さに延びている。そして、引き出し部145aを有する上部引出層145と、引き出し部146aを有する下部引出層146と、合計で4層の周回層147とが積層される。
下部引出層146には、引き出し部146aに接続される短パターン部141aと、短パターン部141aに接続される追加パターン部148が備えられ、短パターン部141aと追加パターン部148とを合わせた巻き量は「9/10」となっている。また、追加パターン部148は追加ビア142aを介して隣接層の導体パターン141に接続されていて、追加パターン部148は、導体パターン141の一部の区間141bと並列接続になっている。
第2実施形態でも、積層される各層の導体パターン141の巻き量が同等であり、かつ、一部で導体パターン141の並列接続が形成されているので、圧着時のコイルの歪が抑制されるとともに、コイル部品100の特性向上が図られる。このように、本発明の一実施形態としての構造は、螺旋構造の全体の巻き数が異なっていても適用可能である。
第2実施形態におけるパターン隙間141cの隙間量は「1/10」であり十分に小さい。1層内のパターン隙間141cが十分に小さい場合、積層された時の導体パターン141の占める割合は高くなり、圧着した時のコイルの歪はより抑えられる。
図16は、本発明の第3実施形態を示す図である。
図16に示す第3実施形態のコイル部品200では、第1実施形態と同様に、周回路143を10等分するビア位置144が用いられ、螺旋構造の巻き数は「8+4/12」巻となり、各層の巻き量は「11/12」となっている。また、第3実施形態のコイル部品200では、第1実施形態と同様に、引き出し部145aを有する上部引出層145と、引き出し部146aを有する下部引出層146と、合計で8層の周回層147とが積層される。
第3実施形態のコイル部品200では、上部引出層145から5層の導体パターン141が螺旋状に直列に接続され、下部引出層146から5層の導体パターン141も螺旋状に直列に接続される。そして、上側の5層と下側の5層との接続により、積層の中途に存在する周回層147で短パターン部141aが生じる。そして、当該周回層147の導体パターン141のうち、短パターン部141aを除いた部分が追加パターン部148となる。追加パターン部148は、追加ビア142aを介して、隣接層の導体パターン141の一部の区間141bと並列に接続される。
このように、追加パターン部148の並列構造は、積層の中途層に設けられてもよい。なお、図16に示された、短パターン部141aおよび追加パターン部148を備える周回層147と、追加パターン部148が並列接続される一部の区間141bを備える周回層147とは、導体パターン141の形状が対称な形状となっている。このため、これらの周回層147は、追加パターン部148や並列接続される一部の区間141bなどの役割を互いに入れ替えて解釈することができる。
第3実施形態のコイル部品200では、上側の5層と下側の5層とが互いに対称な構造を有している。このため、上部引出層145の引き出し部145aと下部引出層146の引き出し部146aとを相互に入れ替える方向でのコイル部品200の反転に対して導体14は構造が変化しない。つまり、第3実施形態のコイル部品200は、実装時に上下を区別する必要が無く、特性変化がないため実用性が高い。
1,100,200 コイル部品
2 回路基板
2a 基板
3 ランド部
11 基体
111 磁性シート
12 外部電極
14 導体
141 導体パターン
141a 短パターン部
142 ビア
142a 追加ビア
143 周回路
144 ビア位置
145 上部引出層
146 下部引出層
145a、146a 引き出し部
147 周回層
148 追加パターン部

Claims (11)

  1. 複数層に積層された各層の導体パターンの重なりが積層方向から見て丁度1周して周回路を構成するように、当該複数層の導体パターンが螺旋状に繋がるように接続されており、当該複数層の導体パターンには他の層の当該導体パターンよりも短い短パターンを含む螺旋導体と、
    前記螺旋導体の両端に対してそれぞれ接続され、積層方向から見て前記周回路よりそれぞれ引き出された1対の引き出し線と、
    磁性材料が複数層に積層されて成り、前記螺旋導体を内包する磁性基体と、
    前記磁性基体の外面に設けられ、前記一対の引き出し線がそれぞれ接続された一対の外部電極と、
    前記短パターンを有する層に設けられ、当該短パターンの一端から、当該短パターンの層に隣り合う層の導体パターンに沿って並列に延び、延びた端部が当該隣り合う層の当該導体パターンに繋がるように接続された並列パターンと、
    を備えることを特徴とするコイル部品。
  2. 前記短パターンは、前記複数層のうち中途の層に位置することを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記螺旋導体と前記並列パターンとを合わせた導体構造が、前記1対の引き出し線が入れ替わる方向での当該コイル部品の反転に対して対称な構造であることを特徴とする請求項1または2に記載のコイル部品。
  4. 前記螺旋導体を構成する導体パターンのうち前記短パターンを除いた他の導体パターンは、層内で1周の90%以上に達する長さに延びていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル部品。
  5. 積層方向から見て、前記周回路に投影される各層の前記導体パターンの接続部の位置間の前記周回路に沿った間隔を単位として、前記周回路の1周の長さを分母に、前記導体パターンの長さを分子とした分数で表される量を巻き量とするとき、前記螺旋導体を構成する前記導体パターンのうち前記短パターンを除いた他の導体パターンの巻き量と、前記短パターンおよび前記並列パターンを合わせたパターンの巻き量は等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル部品。
  6. 前記螺旋導体を構成する前記導体パターンは、直径Rのビアによって互いに接続され、前記周回路の長さLを、前記導体パターンの幅PHと前記ビアの直径Rとの和で割った商以下の最大整数値nを用いると、前記短パターンを除いた他の前記導体パターンは、前記周回路の(n-1)/nの部分で構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のコイル部品。
  7. 前記螺旋導体を構成する導体パターンは、積層方向の厚みが積層方向の相互間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコイル部品。
  8. 前記導体パターンが延びた両端間の隙間は、少なくとも互いに隣り合う層同士では、積層方向に見て重なりを有さないことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のコイル部品。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコイル部品と、
    前記コイル部品が実装された基板と、
    を備えることを特徴とする回路基板。
  10. 請求項9に記載の回路基板を備えることを特徴とする電子機器。
  11. 請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品を製造する製造方法であって、
    前記螺旋導体を構成する導体パターンおよび前記並列パターンを含んだ複数層と、上記磁性基体を構成する磁性材料の複数層とを積層する工程と、
    積層された複数層を圧着して積層体を形成する工程と、
    を有することを特徴とするコイル部品の製造方法。
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